第29回金融トラブル連絡調整協議会議事要旨

1.日時:

平成17年6月3日(金)10時00分~12時20分

2.場所:

中央合同庁舎4号館 金融庁特別会議室AB

3.議題:

平成16年度内の規則及び運用の改善等について など

4.議事内容

平成16年度内の規則及び運用の改善等について

平成16年度中の苦情・紛争処理事例等について

  • 事務局より資料1-1、1-2、2に基づき説明が行われた。

  • 協議会参加業界団体・自主規制団体委員より苦情・紛争の状況等について報告が行われた。

    • 2点申し上げたい。1点目は相談・苦情・紛争の件数について。相談が減少し、苦情・紛争が若干増加したものの大幅な増加ではない、との報告があったが、消費者側は金融トラブルは非常に増加しているとの認識を持っている。業界団体等は、消費者へのPR等を通じ、問合せを受ける努力を更に行なう必要がある。

      多くのトラブルは、まず販売店に持ち込まれると思うが、会員企業で解決できず業界団体等の窓口に持ち込まれるものはどのくらいあるのか。また、業界団体等の窓口に直接問合せがくるもの、消費者センター等を経由してくるものは、それぞれどのくらいあるのか。

      2点目は生命保険の告知義務違反について。現在、告知義務に関する自主ルールの策定を検討中とのことだが、消費者側の意見を聞く機会はあるのか。また、明治安田生命のその後の体制整備はどのようになっているのか。

    • 現在、生命保険協会において、正しい告知のあり方に関するガイドラインの策定を進めている。業界としての問題点や契約者の理解が進んでいない点をどうするのか、営業職員への教育方法を含めた営業現場における対応についても検討している。明治安田生命の件については、内外の意見を真摯に受け止め、外部有識者の意見を聞くセクションを設けたり、詐欺による無効の判断をする前にチェック機能を働かせることができるような横断的な決定システムを作ったと聞いている。

    • 5団体に質問したい。

      不動産証券化協会に質問。事業者に対し、当該団体に加盟することで消費者・投資家の信頼を得ることができるというメリットをPRしているのか。

      日本損害保険協会に質問。資料にもある通り、満期案内の連絡が代理店任せで、しかも連絡をせず満期落ちになっても責任は問われないという状況に対するユーザー側の不満が強いと思うが、業界として何らかの対応を検討しているのか。

      日本商品先物取引協会に質問。外国為替証拠金取引については不招請勧誘禁止の規定が措置されたが、商品先物取引についてもそのような措置を検討しているか。

      日本証券業協会に質問。資料に、銀行が販売した投資信託のトラブル事例があったが、これは全国銀行協会を経由してきたものなのか。正会員でない銀行が適合性を無視した販売をした場合に協会が問題点を指摘するなどの対応を行なったのか。

      生命保険協会に質問。告知義務違反については、言った言わないの問題になるケースが多いが、保険会社の営業員は在職期間が短く、顧客がトラブルに気付いた時には営業員がやめていて、申し出ることすら不可能な場合も多い。自主ルールの策定では、そのような問題についても検討しているのか。また、今後の契約については告知に注意が払われることになると思うが、既存の契約はどうなるのか。

    • 不動産証券化協会です。近年、不動産証券化市場の拡大に伴い、会員は自然に増加傾向にあることもあって、特に当協会への加盟を呼びかけるようなPRはしていない。ただし、当協会から受けられるサービスをパンフレットやHPに公開し、様々な研修を行うなどの協会活動を通じた間接的なPRはしている。一方、投資家に対しては、不動産証券化商品のチェックポイント集を作成するなど、投資家が自ら商品特性等を判断できるような材料を提供している。

    • 日本損害保険協会です。満期案内の問題については、各社がそれぞれ検討を進めており、例えば、満期継続手続を忘れた場合でも、前年度と同内容で自動継続する特約を提供している会社もある。一方、当協会では、契約の管理はあくまで顧客が主体的に行うべきものであり、機会を見つけてその旨のPRを行っている。

    • 日本商品先物協会です。商品先物市場は公正な価格の形成という産業インフラとしての役割があり、多数の参加者の意思の反映した価格の形成が必要となる。そういった市場機能も考慮すると、不招請勧誘を禁止することは非常に難しい。ただし、委託者保護は重要な問題であり、決して軽視するものではない。近年の商品取引所法改正においても、勧誘の希望の有無の確認義務等の規制が追加され厳しくなった。今後、新しい行為規制の下で、その効果等も踏まえつつ、苦情・紛争の未然防止に努めたい。

    • 生命保険協会です。現場での言った言わないといった問題は、非常に難しい問題であると認識している。今回の自主ガイドラインは、業界として今後努力すべき点を定めるのは当然であるが、そもそも保険商品は公平性を前提に成立しており、顧客に対しても告知の重要性を理解してもらう必要がある。「正しく病歴を告知した場合どうなるのか」という顧客の不安に対し、どのように明確に説明するかが重要であり、業界側、顧客双方の理解を進めたいと考えている。

      2点目について。2月の個社案件を契機に既契約において「告知義務違反の教唆を受けた」とか「誤解をして告知していない」という申出が増加したが、過去の不告知については請求時の状況で判断せざるをえない。例えば、告知義務違反に対する解除期間の2年間を経過していれば、保険金は支払われるケースもある。

    • 日本証券業協会です。金融機関の行う証券業務については、当協会の自主規制を受けることになっている。苦情相談の窓口については各業界団体に業務委託を行っているが、あっせん業務は当協会で一元的に処理している。各業界団体で受けた苦情で、あっせんが必要になり当協会に移送された件数は、昨年は4件。ペナルティーを課す場合は当協会の定款によることとしており、個々のあっせん事例ごとにペナルティーを課すようなことはしていない。

    • 協議会の役割としては、トラブルの再発防止も重要な目的の一つである。銀行による投資信託や変額保険の窓販におけるトラブル事例の再発防止に向け、どのような取組を行なっているか。

    • 全国銀行協会です。銀行は、日証協の特別会員として日証協の自主規制下にある。当然、銀行が関係する問題でもあるので、証券・保険を含めて販売勧誘に問題点があれば業界全体で改善することとしている。個々のあっせんは日証協で行っており、その結果について個別に全銀協にフィードバックされることはないが、日証協の会員向HPではあっせん事例が公開されており、個々の会員がそれを見てトラブルの未然防止を図るよう促す仕組みになっていると理解している。

    • 4月からの個人情報保護法の施行にあわせて認定個人情報保護団体となった業界団体等も多いと思う。国民生活センターでも個人情報関係の問合せを受け付けているが、意外に件数は少ないという印象である。業界団体における状況はどうなっているか。

    • 全銀協では、全国銀行個人情報保護協議会を立ち上げたが、個人情報保護関係の相談・苦情等は協議会事務局及び全国の銀行よろず相談所で受付けている。個人情報に関する申出か、銀行取引に関する申出か、厳密に分けるのは難しい面もあるが、4月中は全国の銀行よろず相談所の総計で50件程度とかなり少なかったという印象である。内容は、本人確認のために提出した書類や個人情報が行内で適切に管理されているか心配であるというケース、商品販売時に顧客から個人情報の利用に関する同意を得る際、同意しなければ契約できないと受取られるような説明をした結果、誤解を招きトラブルになるケース、などがあった。

    • 日証協も個人情報保護団体となったが、4月は30件弱、5月は5件程度。証券会社が顧客に送付した個人情報保護宣言について「そもそも保護宣言とは何か」といった問い合わせ、また休眠顧客からは「取引はなく送付の必要はない。」との申出などがあった程度である。

    • 信託協会です。今のところ個人情報保護に関する問合せはない。

「金融サービス利用者相談室」の運営方針等について

  • 事務局より資料3に基づき説明が行われた。

    • 3点質問がある。1点目は、資料3の「苦情・相談等受付体制」において、利用者から電話を受け、相談室が担当課室に照会し、担当課室から回答するとしている。これは個別取引に関する案件の場合も同様か。

      2点目は、相談室は個別取引に関するあっせん・仲介・調停は行わず業界団体等を紹介するとしているが、紹介した後のフォローアップは行うのか。

      3点目は「相談室」と協議会の関係について、資料3の「苦情・相談糖受付体制」では協議会の記載がないが、相談室で受け付けた相談事例や件数等については協議会の場でも意見交換すべきではないか。

    • 1点目について。相談室に寄せられた相談等について一義的には相談員がアドバイス等を行うが、相談員が応じきれないような専門性の高い問題であれば、担当課に照会することを考えている。個別取引に関するトラブルについては、あっせん等を行う立場になく業界団体等を紹介することになるが、案件の内容については担当課にも情報提供する。

      2点目について。寄せられた個別金融取引に関する苦情等に対して、業界団体等を紹介した場合、当該申出の顛末について業界団体等から報告をして頂くことは考えていない。

      3点目について。相談室と当協議会との関係については、相談室長を当協議会の委員とし、適宜活動の報告を行う等、今後も意見交換したいと考えている。

    • 業界団体を紹介した案件の処理状況のフォローアップを行なわなければ、消費者のトラブル解決促進につながらないのではないか。

    • 各業界団体等を紹介する際には、各協会等の機能、相談に際しての留意点等とともに連絡先を伝える。申出人は、相談室から提供された情報も参考にしながら、各業界団体等の窓口へ連絡するかどうかを決定することとなる。つまり、個別の相談等について相談室が一件一件ひも付きで管理するわけではないので、報告を求めることは難しい。

    • 金融庁が相談室を設置することについて大きな期待感がある。しかし、今説明のあった運営方針とその期待感には大きな隔たりがあると思う。金融庁の相談室なら問題は解決してもらえるという期待にどう応えるのか、引き続き検討して欲しい。

参加団体等における裁判外紛争処理に係る取組について

  • 資料4に基づき、金融先物取引業協会、信託協会、全国貸金業協会連合会、全国銀行協会、日本損害保険協会及び金融庁より報告が行われた。

    • 相談室だけでなく業界団体等の相談窓口も同様であるが、苦情を申し出た後どのようなプロセスを経て案件が取り扱われるのか、わかりやすいフローチャートを作成しHPに公開するなどの工夫をお願いしたい。

  • 今後、金融サービス利用者相談室長が委員として協議会に参加することが了承された。

  • 議事資料の公表について了承された

問い合わせ先

総務企画局企画課
電話03-3506-6000(内線3517)
本議事要旨は暫定版であるため、今後修正がありえます。

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