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平成12年10月24日
金融庁
金融税制に関する研究会(第1回)の議事要旨について
金融税制に関する研究会(第1回)(平成12年10月10日(火)開催)の議事要旨は、別紙のとおり。
お問い合わせ先
金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
総務企画部政策課 濱田・斎藤(内線3181)
本議事要旨は暫定版であるため、今後修正がありえます。
金融税制に関する研究会(第1回)議事要旨
1. 日時:
平成12年10月10日(火) 10時00分~12時00分
2. 場所:
中央合同庁舎4号館金融庁会議室
3. 議事要旨
金融庁総務企画部長の挨拶、事務局の金融税制に関する現状の説明に続き、委員より金融税制の中長期的課題について発表がなされ、次いで自由討議を行った。
委員より出された意見の概要は以下のとおり。
金融を巡る環境が大きく変化する中、金融税制についても、国際的整合性や企業競争力強化等の視点を持つとともに、税務リスクを回避できる安定性や、外部環境の変化に対応可能な柔軟性のある税制とすることが重要である。
企業の組織再編を促進するため、連結納税制度の早期導入が望まれる。
新金融商品は複雑・高度化しており、税務上の取扱いが微妙な場合が増加している。行政の裁量を排除し、税務リスクを遮断するために、米国に設けられているような事前照会制度の早急な整備が望まれる。
業務のアウトソーシング化を進める際、貸出金利収入など消費税非課税対象が売上に占める割合の高い業種等では、仕入税額控除が制約されコスト増になると予想される。人件費に代替する性格の外部委託費等については、消費税の非課税化が望ましい。
企業体全体として、アウトソーシング化による経営の効率化と消費税負担増によるデメリットを比較・検討すべきではないか。
集団投資スキームについて、投資信託、投資法人、特定目的信託、特定目的会社の各種スキーム毎に税制が区々で複雑である。適用される税制が何を根拠にして決定されるのか(例:運用対象や商品性など)が分かりにくい。
集団投資スキーム間の整合性のみにとらわれず、投資商品の多様化、運用リスクの分散化といった同スキームの経済的意義を踏まえ、投資家の立場に立って税制を検討することが重要。
集団投資スキームのビークルへの課税について、支払配当の損金算入など課税上の特例を得るために満たすべき要件(例えば同族要件など)を、実務上の観点から見直し、税務リスクを遮断する必要があるのではないか。
金融税制を論ずる上で基本的に必要なのは「税制の中立性」であり、投資家の資金移動が税制そのものに左右されてはならない。
株式キャピタルゲイン課税について、税負担、必要経費となる取得価額の計算、確定申告の手間等を考えると、他金融商品に比べ不利である。また、税負担が他の先進諸国に比べて重くならないよう検討することも必要である。
米国での株式保有拡大の成功理由は、投信革命、税制面からの恩恵、インフレ抑制の3つと報告されている。投信改革も実現しデフレ懸念脱却が課題の日本にとっては、残る税制面からの恩恵という点を見習うべきではないか。
現状、株式市場においては、法人・外国人は売越しであり、個人投資家も動きが鈍い。個人金融資産をリスクキャピタルへ向かわせるためには、税負担を現状あるいは他金融商品と比べて重くならないよう配慮すべきではないか。
個人株主が売越しになる場合も当然考えられるので、個人投資家だけを重視する施策は必要ないのではないか。
総合課税には、納税者番号制等の導入が必要である。技術的には、基礎年金番号等を利用すれば可能ではないか。株式譲渡所得を把握する手法(売買履歴の把握方法)の確立なしに、株式キャピタルゲイン課税について総合課税か源泉分離課税かの議論はできないのではないか。
公社債利子に対する源泉徴収は、中途売却に伴う税制上の不利益取扱、課税玉・非課税玉によるマーケットの歪み等を生み、市場参加者の拡大やマーケットの効率化を阻害している。諸外国の状況と比較しても、源泉徴収は撤廃しても良いのではないか。
みなし配当課税について、自己株式消却に応じない株主にとっては、担税力がないにも拘わらず課税するため株式保有コストが高くなっており、消却に応じる株主にとっては市場買付け(譲渡益課税)とのバランスが問題となっている。みなし配当課税は国際的にも撤廃の方向にあり、撤廃してはどうか。
不動産の証券化を推進する観点から、SPCや会社型投資信託等に係る不動産流通税の非課税化を検討してはどうか。また、不動産を投資対象とする場合、配当可能利益(90%以上の配当が支払配当の損金算入要件)を不動産特有の設備更新等の大規模修理コストを差し引いた収益としてはどうか。
税の公平性・中立性・透明性の観点から、課税上の例外的措置を可能な限り限定すべきである。例えば、老人マル優など、老人を一律弱者とみなすのは実態にそぐわないのではないか。
株式配当について、特に法人に対しては二重課税を完全に排除すべきではないか。
投資促進の観点から、国際的にも少数派となっている配当・利子収入への源泉課税を廃止すべきではないか。
法人の持合い株式の譲渡益課税について、最近のドイツの例にならい非課税としてはどうか。株式持合いの解消は、短期的には株式の需給を悪化させるものの、リストラやM&Aの促進、企業統治の改善、ROA・ROEの上昇等をもたらし、結果的に株式市場の回復に繋がると考えられる。
日本における株式持合いは、税制が支障になっているというよりもむしろ、他の複雑な経緯によるものと考えられ、解消はなかなか難しいのではないか。
株式持合い解消は企業間の取引関係全体の中で対処されており、法人への株式譲渡益非課税化が持合い解消をどの程度加速させるかは予想困難である。ただし、ラディカルな手法は市場へのメッセージ性が高いのは確かである。
現在の株価低迷の背景には、税制上の問題よりもむしろ企業の資本利益率の低下があるのではないか。
企業活性化や競争力回復のためには、役員賞与の損金算入を認め、ストックオプション制度の導入を促進してはどうか。
確定拠出年金制度の従業員拠出非課税額の上限が米国に比べ余りにも低く、同制度への加入のインセンティブに成り得ないのではないか。労働市場の流動性を確保するためには、上限を引き上げるべきではないか。
全体的に税負担を軽減する方向の意見が多かったのだが、租税確保の観点から言えば、逆に増税になる部分もでてくるのではないか。
税制度のディストーションが問題である。資金の必要な企業に必要な資金が流れるような枠組みにすることが重要である。
長期的な観点からみると、ITを活用して極力行政の徴税コストを削減することが必要である。
以上