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平成13年2月8日
金融庁
金融税制に関する研究会(第3回)の議事要旨について
金融税制に関する研究会(第3回)(平成13年1月22日(月)開催)の議事要旨は、別紙1のとおり。
─今後の検討テーマは、別紙2のとおり。
─なお、第4回は、平成13年2月20日(火)に開催する予定。
お問い合わせ先
総務企画局政策課
濱田・斎藤 03(3506)6000 内線3181
本議事要旨は暫定版であるため、今後修正がありえます。
金融税制に関する研究会(第3回)議事要旨
1. 日時:
平成13年1月22日(月) 10時00分~12時00分
2. 場所:
中央合同庁舎4号館金融庁会議室
3. 議事要旨
まず、委員の問題意識を基に、今後の検討テーマを決定。
続いて、事務局より、平成13年度税制改正(金融庁関連)の概要及び金融商品課税の現状について説明。
この後、今回の検討テーマである「金融税制のあり方(総論)」について、委員からの意見発表および自由討議を行った。
(委員の意見発表の概要)
金融商品への課税は、納税者の分かり易さを優先して、各種金融商品を包括した金融所得課税に変更してはどうか。勤労所得まで含めて総合課税化すると、累進税率が適用されるほか、申告負担が重くなるという難点がある。まずは金融所得へのシンプルな課税方式を導入し、総合課税化へのワンステップとしてはどうか。
具体的なイメージとしては、金融所得の対象は、会計原則等で使用されている金融商品とし、原則申告課税とする(申告事務を軽減するため、預貯金の源泉徴収制度は維持)。リスク資産と非リスク資産の峻別は難しいので、利子、配当、譲渡益等に対して一律一定率の課税を行なう。なお、リスク資産に対する税率軽減は行なわないが、株式の長期保有については優遇税制を講ずる。
リスク資産の非課税化も一案だが、経済成長にあわせ税収が増える途は残しておきたい。資金配分に対する税制の限界的な効用は検証困難であるが、企業の収益性向上策や金融商品の多様化、金融関連人材の拡充といった他の施策とともに税制も駆使すべきではないか。
申告課税の導入に当たっては、株式市場に与える影響をミニマイズするためにも、ITを駆使した簡易な仕組みを構築すべきである。また、国民全員が申告納税を行なうという方向感を得たうえで、実施に向け教育を施すことも必要である。
(自由討議)
勤労所得と金融所得の中間的な所得も存在するため、最終的には総合課税に収斂せざるをえないとしても、総合課税が本当に公平な税制なのか疑問も残る。例えば、キャピタル・ロスと勤労所得がネッティング可能となると、結果的に勤労所得にかかる税負担が圧縮されることとなる。むしろ、キャピタル・ゲインとキャピタル・ロスだけが相殺されるよう、勤労所得と金融所得とは分離すべきと考えられる。
納税者番号制度は、公平性の観点からみれば導入することが妥当であるが、実務上は徴税コストを増加させるおそれがある。
原則申告納税とすべきであるが、金融機関等における実務上の煩雑さを考えると、源泉徴収制度も一部維持することが妥当。
国として、如何なる目的の下に(例えば1,300兆円の家計貯蓄の直接金融市場への誘導など)、税制を見直すのかを改めて考える必要がある。目的が違うからこそ、どの国をみても課税制度は異なっている。
既存のインフラを活用して、納税者番号制度を導入してはどうか。G7の中で最もGDPに対する税収割合が低く、かつサラリーマンの3分の1が納税していない現状を踏まえれば、徴税コストが多少嵩んだとしても、結果的に税収は増加すると考えられる。
総合課税を基本とし、必要に応じて政策的な優遇税制を措置してはどうか。申告納税も工夫次第で簡便な方法にすることは可能と考えられる。
現状も総合課税をベースに、利子所得や配当所得の性格に照らして源泉分離制度などを租税特別措置法で特例として設けており、改めて金融所得を一括りにすることの有用性には少々疑問を感じる。むしろ、現行の租税特別措置法や優遇税制について、税率や新商品の位置づけの整合性を検討することが妥当ではないか。
個人所得課税は、所得の大きさに担税力を見出して課税している以上、金融所得、勤労所得、事業所得など稼得の方法は問わず、年間の所得の大きさに着目して、総合課税とすることが適当ではないか。法人ではキャピタル・ロスを実現した場合に損失を計上していることからすれば、個人がキャピタル・ロスの実現時期を多少ずらしてもやむをえないのではないか。
納税者番号制度の導入にコストがかかるのであれば、そのコスト負担にこそ税務上の優遇措置を講ずるべきである。
金融商品に対する課税が複雑なので、国民全体がそれを理解できる仕組み、例えば中学生でも常識的に判るように義務教育に盛り込むことなどが必要ではないか。
キャピタル・ロスを利用した租税回避の議論は、現行の累進度合いの高い所得税率を前提としており、租税回避防止には累進税率を緩やかにすることが有効。
預金、株式、投信など各種の金融資産に対して資金が如何に流れるかは、本来リスクとリターンの関係あるいは価格メカニズムの中で決定されるものであり、税制上の優劣をつけるべきではないのではないか。
リスク資産への資金誘導に税制を利用することには反対。我が国は高齢者層に金融資産が偏在し、構造的に資金がリスク資産へ流れにくい状況にあるほか、確定拠出年金の拡大にも時間を要することを考えれば、金融所得への実質増税となる総合課税化より、金融所得への包括課税化が適切ではないか。
金融資産、例えば株式、集合投資、間接金融(預金)の性格はそれぞれ異なることを認識すべきではないか。間接金融は主に企業に対する貸出すなわち他人資本となり、株式と異なって、企業の体質強化には寄与しない。また、集合投資は投資家全体の投資態度が似通ってくる結果、米国のブラック・マンデーのように、相場を急落させるリスクがある。
一貫性のある(consistent)な税体系を考えることが重要である。政治的圧力等で朝令暮改するのではなく、日本版Big Bangの考え方に則り、政策上の重点課題を絞って修正するべき。キャピタル・マーケット育成のため、金融所得をその他勤労所得への課税と分離して機動的に見直す方が現実的ではないか。
総合課税化は、金融商品にとって実質的な課税強化となり、資金逃避の可能性を勘案すれば行なうべきではない。
金融商品は定義の境界が薄れてきているので、例えば、不動産への直接投資も金融商品の範疇に含めるべきとの意見があるが、不動産証券化商品の保有と、サービサー業務等も含めた事業としての不動産投資とは異なるので、一緒にして議論すべきではない。
包括的な金融所得課税を導入する場合には、会計上定義されている金融商品を対象として一定税率を適用してはどうか。ただし、企業が資本不足でリスクをとれない結果、株式の持ち合い解消が進んでいる現状に鑑みると、リスク資産への投資に対しては、長期保有株式への優遇税制などを講じてもよいと考えられる。
勤労所得と金融所得の境目は、例えばストック・オプションが勤労所得と整理されている一方、金融商品とみることも可能であるなど、極めて曖昧となっている。
リスク・インベストメントが進展しないという現実の歪みに対し、市場の解決に任せるか、リスク資産に対する課税軽減という社会的コストを負担することにより、ファイナンスがしやすいキャピタル・マーケットを育てるか、ビジョンを持って選択する必要がある。
納税者番号制度は、適正な課税を担保するためにはメリットがあるが、一方で課税強化につながりかねないなどのマイナスイメージもあり、プライバシー問題やシステム構築コストの問題も含めて、国民的議論を経てコンセンサスを得ていくべき。
総合課税制度の導入を展望した場合、預貯金利子も(少額の利子所得者は別として)、その対象とすべきではないか。
(13年度税制改正へのコメント)
株式譲渡益課税に関し、海外投資家は、「源泉分離を選択すれば実質1.05%と、諸外国に比べて既にかなり低い水準。税制改正によって今後更に2年間継続されることになったが、株式投資を活性化する効果は疑問」とみている。
キャピタル・ロスの繰延べや給与所得との相殺などを考えると、米国の方が株式譲渡益の税負担は軽いのではないか。
株式譲渡益に関しては、損失繰延べ制度の導入など前倒しで見直すべきではないか。
▽検討テーマ
検討テーマ | |
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第3回 (1月) |
金融税制のあり方(総論)
(1) 金融税制のあり方 |
第4回 (2月) |
金融商品への課税のあり方(その1)
(1) 株式譲渡益課税 |
第5回 (3月) |
金融商品への課税のあり方(その2)
(1) 公社債利子課税(課税玉問題、非居住者に対する源泉徴収<レポを含む>) (2) 株式配当課税(二重課税、みなし配当課税) |
第6回 (4月) |
金融の新潮流への対応
(1) 資産流動化・集団投資スキーム(不動産流通税ほか) (2) 金融新技術(含むタックス・シェルター) |
第7回 (5月) |
金融の国際化への対応
(1) 金融に関連する企業税制(連結納税制度、持株会社税制、タックスヘイブン税制、海外関係会社宛ローンに係る利子源泉税、外部委託費等の消費税、役員賞与の損金算入<ストック・オプション>、確定拠出年金の従業員拠出非課税上限、印紙税) (2) 税務執行体制(事前照会制度、IT活用) |
第8回 (6月) |
(余裕枠) |