第123回自動車損害賠償責任保険審議会 議事録

1. 日時 平成19年1月17日(水) 10時00分~12時23分

2. 場所 中央合同庁舎第四号館 共用第二特別会議室

【倉澤会長】

それでは、定刻がまいりましたので、ただいまより第123回自動車損害賠償責任保険審議会を開催いたします。

本日はご多用の中お集まりいただきまして、ありがとうございました。

まず、前回の審議会以降、一般委員、特別委員を退任された石井勝博委員、泉川委員、應地委員、木村委員、土屋委員、林委員にかわられまして今回より就任されることになりました一般委員、特別委員についてご紹介を申し上げたいと思います。

石井正三委員でいらっしゃいます。

【石井委員】

石井でございます。よろしくどうぞお願いします。

【倉澤会長】

市川委員でございます。

【市川委員】

市川でございます。よろしくお願い申し上げます。

【倉澤会長】

海野委員でいらっしゃいます。

【海野委員】

海野です。どうぞよろしくお願いいたします。

【倉澤会長】

古笛委員でございます。

【古笛委員】

古笛です。よろしくお願いいたします。

【倉澤会長】

田山委員でいらっしゃいます。

【田山委員】

田山でございます。よろしくお願いします。

【倉澤会長】

また、島田委員が今回就任されておられますが、本日は所用のため欠席でございます。

本日は、他に広重委員が所用のため欠席されております。

さて、本日の議題としてはお手元の議事次第にありますように、自動車損害賠償保障法第33条1項及び第2項の規定に基づく諮問事項に対する審議となっているほか、報告事項が幾つかございます。

それでは、まず事務局より議題及び資料の確認をお願いいたします。

【保井保険課長】

保険課長をしております保井でございます。大変お世話になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、大変恐縮でございますが、座って説明をさせていただきます。

お手元に1枚紙で第123回自動車損害賠償責任保険審議会の議事次第と書いてある縦紙がございます。それをごらんいただけますでしょうか。

まず、自賠責保険の基準料率についての検証結果が損害保険料率算出機構から報告されておりますので、これについて当方より説明をさせていただくこととしております。

続きまして、2.の諮問事項につきまして2点ございます。

1点目、(1)でございますけれども、小型二輪自動車、すなわち250ccを超えるバイクの車検期間延長に伴う基準料率の追加につきましてでございます。(2)でございますが、自賠責共済規程の一部変更について当方から御説明をさせていただきたいと存じます。

さらに、3番目の報告事項でございますが、これは8点ございまして、(1)から(8)でございますが、(1)が保険料等充当交付金の再計算について。(2)が小型二輪自動車の車検期間の延長について、(3)が自賠責保険にかかる診療報酬基準案、(4)が平成19年度自賠責特会の運用益の使途、(5)が平成19年度民間保険会社の運用益の使途、(6)が、平成19年度JA共済の運用益の使途、(7)が特別会計の改革、(8)が改正自賠法等の附帯決議に係る対応について、それぞれからご報告をいただきたいと思っております。

なお、配付資料でございますけれども、諮問事項につきましては、お手元の一枚紙の諮問文と書いてございますが、この諮問文並びに、2枚紙の答申案を配付させていただいております。

また、大部で恐縮でございますけれども、お手元に右肩に資料1、2と資料ナンバーが振っておりますが、お手元に資料1から11までお配りしております。あわせて加藤委員からご提出いただいております意見書も配付させていただいておりますので、大変恐縮でございますが、ご確認いただければと存じます。資料の配付漏れ等ございませんでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

以上でございます。

【倉澤会長】

ありがとうございました。

それでは、早速議事に移りたいと思います。

まず、料率検証結果について事務局よりご報告いただき、ご議論いただきたいと思います。

では、事務局よりご説明をお願いいたします。

【保井保険課長】

ありがとうございます。

それでは、議事に沿いまして最初の議案についてご説明をさせていただきたいと存じます。

まず、お手元の資料1というふうに書いております平成18年度の料率検証結果についてというタイトルがございます資料をごらんいただけますでしょうか。

総論でございますけれども、自賠責保険に係る基準料率につきましては、その適切性を確保するために損害保険料率算出機構が毎年その妥当性の検証を行い、その結果を金融庁長官あてに報告いただくことになっております。昨年末に18年度の検証結果が料率機構より金融庁長官あてに報告されておりますので、この内容についてご報告をさせていただきたいと存じます。

まず、最初のテーマが今般の料率検証の結果についての自賠責保険・共済収支表でございます。

恐縮でございますが、2枚おめくりいただきまして、1ページ目でございます。1ページと下にページが振ってございますけれども、1ページの1.自賠責保険・共済収支表(契約年度)とタイトルがございます表がございます。これに沿ってご説明をさせていただきます。

これにつきましては自賠法第28条の4に規定する共同プール、すなわち自賠責プールに参加している保険会社、共済事業者につきまして、収入純保険料、支払保険金、収支残、損害率等につきまして、過去の推移及び平成18、19年度の予測値を整理させていただいたものでございます。この縦横とマトリックスになっておりますが、横に収入純保険料、支払保険金、収支残、損害率と入ってございまして、縦に契約年度が昭和30年度から平成19年度まで並んでおります。

なお、農協共済につきましては、18年12月1日から保険会社と同様に共同プール運営を行っておりますが、これまで別枠で運用されておりまして、料率検証に必要な18年度のデータ報告が行えるのは19年7月からとなっております。このため、本年度につきましては、これまでと同様の形で料率検証を実施しておりまして、農協共済を含めた合算検証結果につきましては、次回の検証結果報告において行うこととなっております。この表につきましては、契約年度を昭和30年度からの推移を整理しておりますけれども、まず一番左の欄の収入純保険料の欄をごらんいただけますでしょうか。

平成14年度にそれまでの7千億円台から9千億円台にはね上がった形となっておりますけれども、これは平成14年4月の基準料率改定の際の再保険特別会計の累積運用益還元分の取り扱いの変更によるものでございます。具体的に申しますと、これは自賠責再保険制度の廃止に伴いまして再保険特別会計からの累積運用益還元分を見込んで基準料率を算出しておりました従来の方式を改めまして、累積運用益還元分を含めない形で改定基準料率を算定いたしまして、累積運用益還元分は保険料等充当交付金という形で交付をし、保険料の一部に充てるという形に改めたということによるものでございます。今回の検証におきましては、一番下の2つの年度でございますが、18年度、19年度が対象となっております。ここの一番下の9,146、9,086という数字がございますが、収入純保険料の予測値につきましては、18年度9,146億円、19年度につきましては9,086億円となっております。これは16年度の9,466億円からかなり減少した形になっておりますけれども、これは17年4月の基準料率の引き下げに伴いまして、純保険料部分を平均で6.0%引き下げたことによるものが大きいところでございます。

これに対しまして、その次の右側の欄、支払保険金の方の欄をごらんいただきますと、平成4年度以降、交通事故負傷者数の増加及び限度額の改定等を背景に支払額が増加をしております。支払保険金の予想値、これは一番下でございますが、18年度9,092億円、19年度が9,027億円となってございます。最近の支払保険金の増減の趨勢につきましては、17年度及び18年度は増加、他方16年度と19年度、これは予測値でございますが、これについては減少ということになっております。これにつきましては、2年契約、3年契約といった複数年契約の件数の波によるものと考えられておりまして、たまたま当該年度の契約が増加あるいは減少したものによるというふうに考えてございます。これは後ほど詳しくご説明させていただきますけれども、総体的に見まして、基本的にはこの収入純保険料、支払保険金等につきましては、おおむね横ばいの傾向にあるというふうに拝見しております。

それから、その次の欄の収支残でございますが、これについては収入純保険料及び支払保険金をいわばネットアウトしたものでございまして、一番下に18、19で54、59という数字がございますが、18年度54億円、19年度で59億円の黒字となってございます。したがいまして、一番右の損害率という欄でございますけれども、この下の方で99.4、99.4という数字が並んでございますが、いずれも18年度、19年度とも損害率は99.4%という予測になっております。17年4月の基準料率改定の際には、予定損害率を106.9%見ておりましたけれども、そういたしますと乖離率は▲7.0%となっておりまして、過去に料率改定を実施したときの乖離率と比べますといわば相対的に小さなものとなっております。これは17年4月の基準料率改定時の見込みに比較いたしまして、今般の検証で損害率が106.9%から99.4%に下がったということがございますが、この主な要因といたしましては、交通事故死者数の減少により、死亡事故率が改定時の見込みより減少したこと、あるいは交通事故負傷者数につきましても、直近までの実績を見ると減少していると、こういったことが大きいかと存じます。詳細については後ほど詳しくご説明をさせていただきたいと思います。

駆け足で恐縮でございますが、1ページをおめくりいただきまして、2ページ目でございます。これは参考と書いてございまして、農協共済の自賠責共済収支表(契約年度)というタイトルのついた表でございます。

この農協共済につきましては、昨年11月末までは共同プールとは別枠で運営がされておりまして、この1ページ前の全体表には含まれておりませんため、参考として資料を用意させていただいております。重ねてで恐縮でございますが、18年12月1日から保険会社と同一の共同プールが運営されておりますけれども、料率検証に必要な18年度のデータの報告がなされるのは今年の7月でございまして、次回の検証結果報告において合算した検証結果報告を行うこととなるということでございます。

ちなみに、この参考表につきまして、収入純掛金Aという欄が左にございますが、この18年度、19年度の数字を見ますと、18年度は若干減少を見込んでおりますが、19年度は契約台数の増加等を主因といたしまして増加が見込まれております。この18、19両年度の支払共済金、この次のB欄でございますが、これについても契約台数の増減あるいは支払基準の改定等の影響から18年度は若干の減少、19年度は増加が見込まれてございます。それから、一番右の欄、損害率につきましては、18年度76.2%、19年度76.5%、先ほど申し上げました本表の共同プールの損害率であります18、19年度の99.4%に比較いたしますと、低い数字となってございます。この要因といたしましては、都市部での加入が少ないために事故率が低いことによるものと考えられております。

それから、恐縮でございますが、1枚おめくりいただきまして3ページでございます。

タイトルが2.で交通事故発生状況と書いてある表でございます。これにつきましては、3ページ以降の資料につきましては、1ページ目の収支表の計数を算出する前提となる数値を整理させていただいたものでございます。この3ページの資料でございますが、これは警察庁の資料による交通事故発生状況でございます。一番左の発生件数のところをごらんいただきますと、平成10、11、12年の増加傾向が一段落をいたしまして、この一番下の17、18年度、足元を見ますと減少しているという状況にございます。それから、一つ右の欄の死者数につきましては、平成3年以降多くの年で前年水準を下回る形で推移をしております。

なお、直近の18年につきましては、▲7.6%と大きく減少しておりまして近年の減少傾向が続いているということでございます。

それから、そのさらに右の欄の負傷者数でございますけれども、平成3年以降は毎年増加しておりましたけれども、14年には▲1.1%、15年には1.2%、16年には0.1%、17年については▲2.2%となった後、18年には▲5.1%と減少しておりまして、いわば増加傾向が一段落しているという状況でございます。

それから、恐縮でございますけれども、1枚おめくりいただきまて4ページ目でございます。これはタイトルが3.自賠責保険料率検証における主な予測要因と書いたマトリックスでございます。

まず、順を追って説明させていただきますと、収入純保険料の前提となります保有車両数、それから新車需要台数につきましては(1)でございますけれども、国土交通省の推定を使用させていただいております。左側の欄がこれは保有車両数で右側が新車需要台数でございますが、保有車両数につきましては18年度1.9%、19年度にも0.9%の増加が見込まれております。右側の欄の新車需要台数でございますけれども、18年度は▲1.2%、19年度は▲0.3%の減少がいずれも見込まれております。

(2)の支払保険金でございます。これは支払保険金の前提となる事故率及び平均支払保険金についてのマトリックスでございます。

まず、マル1の事故率につきましては、次のページの過年度の事故率の推移及び先ほどご説明申し上げました交通事故発生状況を参考として算出をさせていただいております。この中で一番左に死亡事故率というものがございますけれども、マル1の事故率の表で、この死亡事故率につきましては18年度で0.00834%、19年度につきましては0.00811%ということでございまして。その後も減少傾向で推移していくと予想をしてございます。

なお、こうした事故率につきましては、17年4月の基準料率の改定時に見込んでおりました18及び19年度の死亡事故率と比較いたしますと、昨今の死亡事故の減少傾向を受けまして相当程度減少しておりまして、例えば18年度につきましては、当初見込んでおりますが、0.00972%に対しまして、18年度のここでございますが、0.00834%でございますので、比率で▲14.2%低下しているということになっております。この死亡事故率の低下につきましては、先ほど申し上げましたとおり、今般の検証における自賠責保険の損害率の低下要因というふうになってございます。これに対しまして、次の欄の後遺障害事故率でございますけれども、これにつきましては18、19両年度とも0.08247%ということでございまして、その後もこの水準が継続していくというふうに予測してございます。

なお、この事故率は17年4月の基準料率改定時に見込んでおりました18、19両年度の後遺障害事故率と比較をいたしますと低下をしておりまして、そのときの見込みが0.09062ということでございますので、これと比較をいたしますと▲9.0%ほど低下をしてございます。この要因につきましては、交通事故負傷者数自体が減少しておりまして、後遺障害事故率の下落が損害率の低下要因となっているということが考えられると存じます。

また、一番右側の欄の傷害事故率でございますが、この後遺障害を除きました傷害事故率につきましては18年度、19年度とも1.48828%ということでございまして、今後もこの水準が継続していくと予測してございます。

なお、この事故率は17年4月の基準料率改定時に見込んでおりましたこの両年度の傷害事故率と比較いたしますと低下をしておりまして、このときの見込みが1.56545ということでございますので、▲4.9%程度低下をしているということでございまして、この要因につきましても後遺障害と同様でございまして、交通事故負傷者数自体が減少しておりまして、この傷害事故率の低下が損害率の低下要因となっているということでございます。

次に、マル2の平均支払保険金の予測要因でございますが、この欄に沿って申しますと賃金上昇率、治療費の上昇率、後遺障害等級表改正による上昇率及び支払基準改定の上昇率、こういったものが要素となっているわけでございます。このうち一番左の賃金上昇率につきましては、平成18年度以降0.0%、横ばいで推移するという予測に基づいて検証を行ってございます。近年の賃金上昇率につきましては、16年度▲0.3%とマイナスでございまして、17年度1.2%プラスになってございますが、中長期的な観点ということで、ここでは横ばいで推移するものと見込ませていただいております。

それから、一つ右の欄、治療費の上昇率でございますが、近年の治療費の上昇率は16年度0.30%とプラスでございます。また、17年度については▲0.06%マイナスに転じてございますが、これについても中長期的な観点から18年度以降横ばい、0.0%横ばいで推移すると見込んでおります。

それから、後遺障害等級表の改正につきましては、18年4月1日から改正をされておりますところでございまして、これによりまして18年度は▲0.35%減少するものと見込んでございます。

なお、治療関係費、休業損害及び慰謝料等の単価及び上限額等を定めた支払基準の改定の上昇率につきましては、過去5年の実績を踏まえまして19年度1.10%の上昇、21年度以降1年おきの0.44%の上昇を見込んでございます。

それから、駆け足で恐縮でございますが、1枚おめくりいただきまして、5ページ目でございます。

タイトルが4.事故率の推移(事故年度)と書いてあるグラフと表でございますけれども、これにつきましては、ただいまご説明をいたしました死亡、後遺障害、傷害の事故率の推移につきまして、グラフの形で示させていただいたものでございます。先ほどごらんをいただきましたように、死亡事故率につきましては、12年度以降逓減傾向にございます。また後遺障害につきましては、12年度から15年度までは上昇傾向にございましたけれども、16、17年度と若干減少のままほぼ横ばいで推移しておりまして、18年度以降も横ばいと見込んでおります。傷害事故率につきましては、12年度以降逓減傾向にございまして、15年度は上昇したものの16、17年度と若干減少しておりまして、事故率は高止まりをしているということもございまして、18年度以降横ばいと見込まさせていただいております。

恐縮でございます。1枚おめくりいただきまして、6ページ目でございます。

これは5.自賠責保険・共済の支払件数及び平均支払保険金(平均支払共済金)の推移(契約年度)と書いた表でございます。

これにつきましては、以上申し上げましたような前提を置いた上で自賠責保険・共済の支払件数、それから平均支払保険金を算出いたしまして、その推移を整理したものでございます。

まず、一番左側の区分の死亡の支払件数でございますけれども、18年度と19年度をごらんいただけますでしょうか。18年度は支払件数、一番左でございますが、6,311件、それからその下の19年度6,130件と予測しております。これは増減率で申しますと、18年度が▲1.2%、19年度が▲2.9%の減少を見込んでございます。それから平均支払保険金、その次の欄でございますけれども、右の欄でございますが、18年度が2,436万6千円、それから19年度につきましては2,444万円ということになっておりまして、支払基準改定の影響等がございまして若干の増加が見込まれてございます。

それから、真ん中の区分、後遺障害でございますが、これも左の一番下の支払件数のところでございますが、18年度が6万3,997件、19年度については6万3,530件と予測してございます。増減率でございますが、18年度が1.7%の増、19年度が▲0.7%の減と多少数値がぶれてございますけれども、これは複数年契約の件数の年度による波が出ているということでございまして、傾向といたしましては、保有車両数の増加等から微増を見込んでございます。

また、次の欄の平均支払保険金につきましては、18年度が452万2千円、それから19年度が454万円となってございます。これにつきましても、支払基準改定の影響等から若干の増加を見込んでいるところでございます。一番右の区分の傷害についての支払件数でございますが、18年度につきましては115万5千件、それから19年度につきましては114万7千件と予想してございます。増減率に直しますと18年度が1.7%の増、19年度は▲0.7%の減と後遺障害同様に多少数字がぶれてございますが、これにつきましては同様に複数年契約のぶれにございます波が出ているということでございまして、傾向といたしましては、同様に保有車両数の増加から微増を見込んでございます。その右側の欄の平均支払保険金につきましては、18年度が40万3千円、それから19年度が40万5千円となってございます。これにつきましても支払基準改定の影響等から若干の増加が見込まれているところでございます。

それから、1枚おめくりいただきまして7ページの表でございます。これはタイトルは6.自賠責保険・共済の支払保険金(支払共済金)の推移(契約年度)という表でございます。これにつきましては、先ほどの6ページの支払件数と平均支払保険金を掛け合わせました支払保険金の推移を整理したものでございます。

この一番下から2番目の18年度のところの欄をごらんいただけますでしょうか。これにつきましては、一番下の死亡で増減率で申しますと▲0.8%の減少、それから右にまいりまして後遺障害では2.1%の増、もっと右にまいりまして、傷害では2.2%の増、一番右側の合計でございますが、これにつきましては1.7%の増加を見込んでいるところでございます。同様にすぐ下の欄の19年度につきましては、死亡で▲2.6%の減少、後遺障害で▲0.3%の減少、それから傷害で▲0.3%の減少、全体で一番右ですが、▲0.7%の減少を見込んでいるところでございます。

なお、合計の欄の18年度支払保険金という数値、これは9,091億7,200万円になるわけでございますが、これは19年度が9,027億3,100万円でございますが、この2つの数字はきょう本日最初にご説明を申し上げました1ページ目の収支表の支払保険金の欄の18、19年度のケースと突合するということでございまして、あとでまた1ページの表とあわせてごらんいただければと存じます。

駆け足で恐縮でございます。1枚おめくりいただきまして8ページ目でございます。

タイトルは7.自賠責保険、自賠責共済運用益の発生と積立状況というふうになっている表でございます。これにつきましては、自賠責保険、自賠責共済の民間分の運用益の状況について参考として計数を添付させていただいております。

1点だけ補足的にご説明をさせていただきますと、損保会社という区分、一番上でございますけれども、ここの当期支出という額、これは右から2番目にございますHという欄ですが、この欄でございますけれども、14年度からは本日は後ほどご説明をいただきます自賠責運用益拠出事業への寄付金に加えまして、赤字補填と書いてございますが、この額が計上されてございます。これは運用益の活用を前提とした赤字料率でございましたために、13契約年度までに生じた収支不足、すなわち赤字を運用益積立金で補填するという必要が生じているために計上されていたものでございます。

大変恐縮ですが、以上1ページ目にお戻りいただきまして、まとめでございますけれども、1ページ目の計表、自賠責保険・共済の収支表でございますけれども、料率検証の考え方をいわば取りまとめ的にお話しさせていただきますと、今般の基準料率の検証におきます損害率につきましては、一番右でございますが、18年度は99.4%、19年度は99.4%と、17年4月の基準料率改定時におきます予定損害率106.9%と比較した場合にはそれぞれ乖離が▲7.0%となってございます。この乖離率につきましては、過去に料率改定を実施したときの乖離率と比べると相対的に小さなものとなっているということでございます。

なお、後ほど国土交通省の方から詳しくご説明をいただきます保険料等充当交付金につきましては、17年度以降段階的に削減されておりまして、20年度以降は廃止されるということになってございますことから、契約者負担額につきましては、20年度に向けて上昇していくということになっているということでございます。

以上、事務局からの説明でございました。失礼いたしました。

【倉澤会長】

ありがとうございました。

後ほど保険料等充当交付金については、国土交通省から報告がありますが、ご参考までに申し上げますと、来年度の保険料等充当交付金の減少額やそれに伴う契約者負担額の上昇というのは、昨年及び一昨年の審議会において議論していただいた際に想定、予測していたものと考えられるのではないかと思っております。

それでは、ただいまの報告に関しご質問、ご意見はございますでしょうか。

井手委員、どうぞ。

【井手委員】

今説明していただいたんですが、ご承知のように30分近くたっているわけですよね。きょうは2時間しかないのに資料1だけで30分近くかかっているということは、これからのことを考えると、この審議会というのは審議会じゃなくて、この資料を承諾する会じゃないかなと思って心配しておりますけれども、その点、この議事のやり方をもう少し審議する会に直していただきたいなという要望を持っております。

きょうの質問ですが、6ページ、死亡のところで18年度のところの数字が書いてあります。これは去年も質問したんですけれども、これは自賠責の死亡した人に対する支払いですよね。そうすると、警察庁の言うような24時間以内じゃなくて交通事故で亡くなった人の数についていっているわけですね。

そうすると、これはあくまでも金融庁といいますか、自賠責としての統計だと思うんですけれども、そうするとこれが目安になるのであって、先ほど申した警察庁の統計というのは、これは24時間以内ですから、これをここに添付するということは余り意義があるのかないのか、非常に疑問に感じているんですが、これは6の自賠責保険を支払った額の死亡者数だけでよろしいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

【保井保険課長】

ありがとうございます。

まず、2点お話をいただきましたけれども、1点目の議事進行につきましては、事務局からの説明が非常に長い時間を要しまして、大変おわびを申し上げます。議事の整理が私どもの方で説明が長い時間かかって大変おわび申し上げます。もちろん委員の方の自由闊達なご議論をいただくというのが本審議会の趣旨でございますので。ぜひその趣旨を呈して、今後も効率的なご説明に努めてまいりたいと思います。まず、おわびを申し上げます。

それから、2番目のご質問でございますけれども、井手委員の方からご質問いただいたご理解でそのとおりでございまして、この5.の自賠責保険・共済の支払件数の死亡欄につきましては、これはあくまでも保険統計、支払実績をもとにして支払件数を推定しているものでございまして、ここの参考表でございますけれども、その前についております交通事故死者数を使用して死亡の支払件数を推定するというものではございません。

他方で、交通事故死者数、警察統計と実はこの自賠責の支払実績につきましては、統計のソースは違うんですけれども、事故と死亡率は相当、因果関係があるということでございますので、かなりの程度相関関係が強いものというふうに考えてございまして、そういった意味で、この自賠責保険の支払いの予測に当たって、将来の支払件数を推定するということについて、最近の交通事故の発生状況をあくまでも参考にするという参考という意味でつけさせていただいているものでございます。

【倉澤会長】

簡潔にお願いいたします。

【井手委員】

質問を遮断されちゃうと、先に続かないものですから、疑問があったときにはちゃんと聞いていただきたいんですけれども、一回質問したらそれで終わりということだと何の解決にもならないので、言ったことはちゃんと聞いてもらいたいんですけれども。

【倉澤会長】

私は簡潔にお願いいたしますと申し上げましたので、どうかお願いいたします。

【井手委員】

ここは自賠責の問題について言っているわけですから、警察庁の資料を添付する意義があるんでしょうか。今までそういうふうになっていたから警察庁のやつを添付するというのでは、余り意義がないように感じるんですけれども。

【保井保険課長】

この検証結果についての資料につきましては、従来からの前例を踏襲しているというわけでは必ずしもございませんで、広くご審議をいただくための材料を幅広く集めてご提示させていただくというのが目的でございます。したがいまして、こういった警察庁の統計につきましては、あくまでも交通事故の発生状況についての一種のデータの検証の参考としていただくというために添付をさせていただくものでございまして、それ以上のものでもございません。

【倉澤会長】

よろしゅうございますか。

北原委員。

【北原委員】

2点ほどちょっと意見というか質問しますけれども、今、井手さんがおっしゃったように、この自賠責制度の一番原点が被害者救済という制度でありますから、被害者の団体の中で肌身に感じている人たちの意見を聞かなきゃ、この審議会というのは形骸化して意味がないということだと思います。だから、そういう意味では井手さんの方は遺族の方100%、私は連合会の代表でありますけれども、NPO法人の後遺障害者の重度障害者の家族の会の代表もしておりまして、これも本当の100%重度障害者である日本で一つの団体なんです。だから、そういうところで、会員の人に接して肌で感じている立場におりますから、そういう交通事故被害者重度障害者の立場の人の意見というものを聞きながら、こういう審議会の内容に反映していただきたいというのが1つ。

それから、もう一つはこの6ページ、後遺障害の欄ですけれども、自賠責制度が1955年にスタートして、昭和30年にスタートして、今度再保険制度が変わったというふうに非常に革命的な制度の変化があったわけですから、そのときから別表第1で重度障害者の欄ができたわけですから、その障害者のここで支払われた実態というものをここに添えてほしいんです。そういう救済をするような制度を改善した結果どうなったかということがわかるようにしていただきたいというふうに思いますので、その辺について見解をお聞きしたいです。

【保井保険課長】

委員からお話しいただいたポイントは大変重要なことだと考えてございまして、まさに自賠責の制度がスタートしたそういった趣旨、意義を理解して私どもも事務局として審議に努めてまいりたいと思ってございます。

さらにでございますけれども、実はこの平成18年度料率検証結果という資料でございますけれども、これは審議会の審議の用に供するために基準料率の検証結果について、主に数表データを中心にコンパクトにまとめさせていただいている性格のものでございまして、まさに被害の実態等につきましては、私どもも襟を正して聞かせていただきたいと思ってございますけれども、データの性格上、そういった検証結果を計表的にまとめたという性格でございますので、ちょっとどういったことができるのか、今後また検討させていただければと思ってございます。

【北原委員】

統計的な視点から物を時系列的に見るとわかるんですけれども、それでは今回改善したところの改善を何でしたかということのそこのポイントのところに対して見過ごして、ただ統計的にずらずらと眺めるようなことになったのでは、本来の趣旨である被害者、特に重度障害者というのは大変費用もお金もかかるということがあって、この審議会のお金の話に全部はね返る話ではないですか。そこに関係があるものについて、こういうふうになっていますよというのを出さないことには、この制度を改善したこととのリンクがされていないと思うんですよ。だから、そういうものを取り上げるような方で、統計は前と同じ前例にならって、いつもと同じなんというやり方を変えて、制度を改善した結果こうなりますよということを出して、変わったんだなということをわかるような表現をしていただきたいと思うわけなんです。

【倉澤会長】

貴重なご意見を委員からそれぞれありがとうございました。井手委員にまた怒られるかもしれませんけれども、きょうの予定から見て、議論はこの辺までにさせていただきたいと思います。

この料率検証結果についての今議論の最中でございますけれども、先ほど申し上げましたように、保険料等充当交付金の減少により、契約者負担額が上昇することとなりますが、今ほどの事務局における料率検証結果の説明で、差し当たって平成18、19年度の料率検証結果が17年4月1日の料率改定の際の予定損害率との乖離幅でそれぞれマイナス7.0%の乖離率となっておりますが、過去に料率改定を実施したときの乖離率と比べると相対的に小さいという説明がありました。また、来年度の保険料等充当交付金の減少額やそれに伴う契約者負担額の上昇は、先ほど申しましたように、昨年及び一昨年の審議会において議論していただいた際に、想定していたものと考えられること、さらには自賠責保険料は中期的に安定を求められていることから、基準料率については今回も据え置くということでよろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【倉澤会長】

ありがとうございました。

それでは、平成19年度の基準料率については据え置くことにいたしたいと思います。

なお、自賠責扱い事業者におかれては契約者の混乱がなく、新しい契約者負担額の使用が開始できるように準備方をよろしくお願いいたします。

市川委員、どうか。

【市川委員】

自賠責取り扱い業者間によって新しい営業保険料の取り扱い開始時期が異なるということになりますと、契約者に混乱を来すおそれがございます。したがいまして、システム等の準備を短期間で行いまして、自賠責取り扱い事業者間で連携を図った上で、1月29日を目途に新しい営業保険料による取り扱いを開始するように努力をしたいというふうに存じます。

以上でございます。

【倉澤会長】

ありがとうございました。

どうかよろしくお願いいたします。

それでは、続きまして諮問事項に移ります。事務局よりご説明をお願いいたします。

【保井保険課長】

事務局でございます。

お手元に先ほど配付させていただいております一枚紙で諮問事項、これは写と書いてございます。この一枚紙をごらんいただけますでしょうか。

この一枚紙の諮問事項でございますけれども、1.でございますけれども、小型二輪自動車、これについては250ccを超えるバイクでございますが、この車検期間延長に伴う保険料率につきまして、道路運送車両法施行日の4月1日から使用するということを可能とするため、法律に定めております適合性審査期間を短縮するというものでございます。また、自賠責共済につきまして、保険会社と同じ保険料率を使用するのであれば、共済掛金の一部変更について行政庁が行う処分に対して同意をすることというのが諮問事項でございます。

それから、2.でございますけれども、事業協同組合及び協同組合連合会の行う自賠責共済の共済規程の変更につきまして、それぞれの行政庁の行う処分に対して同意することでございます。

なお、小型二輪自動車につきましてその車検期間延長に伴う基準料率の追加についてご説明をさせていただきます。恐縮でございますが、お手元の資料2と書いてございますこの横紙の資料でごらんいただけますでしょうか。

おめくりいただきまして、1ページをごらんいただけますでしょうか。

現在、自賠責保険の保険期間は当該自動車の車検期間にあわせまして設定しておりまして、例えば自家用乗用自動車は3年、オートバイは2年、営業用の乗用自動車1年というふうにしてございます。後ほど国土交通省の方からご説明をいただきますけれども、今般、道路運送車両法が改正されまして、平成19年4月1日から小型二輪自動車の新車の車検期間が2年から3年に延長されることになっております。これに伴いまして、小型二輪自動車の保険期間に26か月から37か月までの契約を追加するものでございます。

(3)でございますが、今回の保険期間の追加につきましては、自賠責保険を車検期間にリンクをさせまして、契約者利便と費用負担の軽減、保険会社の事務の効率化等から追加するものでございます。

(4)でございますが、上記の車検期間の延長につきましては、平成19年4月1日から実施されるため、これにあわせまして、自賠責保険契約の締結を可能とすること並びに自賠責共済が自賠責保険と同じ変更を求めることへの対応を行う必要がございますので、諮問文に記載させていただきますとおり、適合性審査期間の短縮並びに自賠責共済の変更に際して処分庁が行う処分に対する同意を行いたいとするものでございます。

1枚おめくりいただきまして、2ページ目でございますが、これがそれぞれ追加する基準料率となってございます。

それから、駆け足で恐縮でございますが、お手元にございました資料3というものをごらんいただけますでしょうか。この自賠責共済規程の一部変更と書いてあるものでございます。これに沿いまして自賠責共済の共済規程の変更についてご説明をさせていただきたいと存じます。

2点ございまして、実はこの1ページ目をごらんいただきますとありがたいのでございますけれども、1ページ目でございますが、自動車共済協同組合及びその全国組織でございます全国自動車共済協同組合連合会についてのものでございまして、2つ目のご説明事項が3ページをごらんいただけますでしょうか。これが交通共済協同組合及び全国トラック交通共済協同組合連合会についてのものでございます。この内容につきましては、1ページ目、3ページ目とも実はともに共通でございまして、中小企業等協同組合法の一部が改正をされておりまして、本年4月1日から施行されることになっております。これにつきまして、組合の委託を受けて当該組合のために共済契約の締結の代理または媒介を行うもので、当該組合の役員また使用人でないものが共済代理店として明確に位置づけられたということがございまして、このこと及び自賠法の改正で事業協同組合等が責任共済に関する代理店契約を締結することが可能となったことになっておりまして、これについての規定を共済規程に追加するものでございます。

なお、本件につきましても、諮問文の2.に記載してございますとおり、共済規程の変更を行う際にそれぞれの行政庁の行う処分に対して同意をしようとするものでございます。

以上でございます。

【倉澤会長】

ありがとうございました。

ただいまの説明に関しご質問、ご意見等ございましょうか。

よろしゅうございますか。

それでは、あらかじめ皆様に配付しております答申案、私の文書という形式になっているから読み上げるべきかもしれませんが、中に書いてあるのが今お話のあったことで日付とか条文ということですので、その事項について意義はないという内容でございますが、そこの答申ということでお認めいただけましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【倉澤会長】

ありがとうございました。

それでは、お認めいただいたと答申させていただきます。

続きまして、報告事項に移ります。

まず、保険料等充当交付金の再計算について、国土交通省自動車交通局保障課、蒲生課長よりご報告をいただきたいと思います。

課長、よろしく。

【蒲生保障課長】

国土交通省の自動車交通局の保障課長をしております蒲生でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、座りましてご説明させていただきます。恐縮です。

資料の4でございます。保険料等充当交付金の再計算ということでございまして、資料を1枚めくっていただきますと再計算に関しましての今回の考え方等に関します資料を1枚おつけてしております。その他関係資料2ページ以降ございますので、適宜それを参照しながらご説明していきたいと思っております。

この保険料等充当交付金に関しましては、既に委員の皆様は大変多数の方がご案内であるというふうに承知しておりますので、ポイントだけかいつまみましてご説明させていただきたいと思います。

1.でございますが、保険料等充当交付金につきまして、その設定の経緯でございます。ご承知のように自賠責再保険制度の廃止というのが平成14年度に行われました。その際に自賠法の改正法の附則におきまして、累積運用益につきましての取り扱いを決めさせていただきました。基本的にはユーザーの皆様への還元という柱ともう一つは被害者の救済対策、それを安定的に実施していこうということで、二本建てで対応するというふうにさせていただきました。それで、ユーザーへの還元でございますが、ご承知のように累積運用益の20分の11、約1兆700億円をユーザーの皆様に還元させていただくということにさせていただきました。

どういう形で還元するかということでございますが、ここで具体的にはというところにございますけれども、14年度から19年度までの6年間の保険契約につきまして、保険料の一部を保険料等充当交付金という形でユーザーの皆様に交付する形でユーザー負担額を引き下げるという形でこれまで取り組んでまいったところでございます。ここにありますように、対象となりますのは19年度までの保険契約ということでございまして、したがいまして平成20年3月31日までの効力が発生した保険契約が対象になりますので、来年度の予算へ盛り込む交付金と申しますのが基本的に最終的な形になるのかなということで、今回節目の年を迎えるということでご報告させていただきます。

2.でございますが、今までの交付状況でございます。

保険料等充当交付金の交付につきましては、当初3年間は厚目に交付しようということで、その後につきましては、段階的に交付金を引き下げることによりまして、ユーザー負担につきましての大きな変動はない形で進めていこうということで、今のところ、平成18年度末、今年度末までに総額約7,600億円ほどを交付するという予定になっております。ここにあります表は、自家用乗用車の24ケ月契約に基づきます交付金額とユーザー負担額の推移でございまして、当初は5,840円ぐらいであったものが17年度には1,950円、18年度は1,050円、5,840円から1,050円と段階的に交付金額が下がることによってユーザー負担額がその分上がっていくという仕組みになっております。この経緯につきましては、資料の3ページ目に運用益の使途という表題でこの推移を整理して表にしております。一番上に配分総額が1兆700億円ということでございまして、こちらにありますが、この色のついている部分を1兆700億円ということでございまして、これを配付してまいりました。19年度の初めまでということで、18年度交付金460億円とありますが、これにつきまして全部で約7,600億円ほど交付金の総額として交付させていただくという予定でございます。

今後につきましてどうかということでございますが、後ほどご説明申し上げますが、19年度以降に関しましては、ここにありますように19年度に376、20年度の初めに75億円ということで、これはどういうことかと申しますと、契約自体は19年度末までなんですが、実際の交付金の交付は半期遅れた1四半期おくれて交付ということでございまして、したがいまして最終的には20年度の第1四半期の交付までが予算的にはずれ込むということでございますが、単価的には今度の19年度予算の単価をそのまま使わせていただくという形になろうかと思います。

それで、こういう形でどういうふうに考えた形で来年度の交付金を決定したかということでございますが、まず1ページに再度お戻りいただきたいと思います。

来年度の交付金の水準でございますが、先ほど申し上げましたように来年度が交付の最終年度に当たるということでございまして、今回の交付をもちましてユーザーへの還元が終わるということでございますので、我々といたしましては、ユーザーへの還元をしっかりさせていただくと、一方で再保険金の支払いに支障がないような形にということが必要になってくるだろうということで、いろいろと精査させていただきました。

例年、概算要求時の額をベースに最終的な決定をさせていただくんですが、今年度につきましては、予算の作業のぎりぎりまで実績などが出てくるのを待ちました。11月の本当に終わりくらいまでに再保険金と充当交付金の実際の支払値の確定を待ちまして、それをもって12月の初めに予算の仮要求などもしながら、最終的な額というものを財務省、金融庁さんと相談しながら決めさせていただきました。

ここにございますが、そういった作業を進めた結果、交付可能な金額は総額で約450億円というふうに来年度中で見込まれております。したがいまして、来年度の交付金は900円にしたいというふうに考えております。それに関しましては、後ほどまた補足資料でご説明を申し上げますが、今までこちらの審議会等、または外部の説明等々におきまして、昨年が1,050円くらいの交付でしたので、大体その半分くらいが19年度かなということでございましたが、各種統計等実績を基に精査した結果、最終的には900円という形で、当初予定したよりもユーザー負担額という面から見れば大きな減額にならずに、若干でございますが、減額にならずに済む形で900円ということを今想定しています。その考え方が2ページ目に出ておりまして、これでご説明をさせていただきます。

19年度以降の交付金額の推移という仕様でございます。今の考え方を簡単にまとめますと、18年度予定、19年度予定という欄がございますけれども、それぞれの年度首の交付金勘定、交付金と充当交付金の勘定がございますが、そこの残高というものがございます。19年度初めに実績等を踏まえまして、我々は948億円が残っているだろうというふうに推定しております。

そこから2つ目の欄の横の欄でございますが、再保険等の総額を引いていく必要があるだろうと、残っているものから再保険として出ていくものを引いた残りが交付金として交付できるだろうという基本的な考え方でございます。再保険金等の総額といたしましては、ここにございますように19年度が199、117、185ということで501億円ほど再保険金等としてお出しすることを今予定しております。これぐらいはキープしておく必要があるだろうということでございまして、これを年度当初の948億円から引きますと451億円という額が出てまいります。これが3つ目の欄でございます。

したがいまして、交付金・交付額に関しましては451億円を19年年度と20年度の第1四半期に分けまして契約のベースにあわせましてお支払いすることになるのかなというふうに思っておりまして、19年度が376億円、20年度が75億円ということを想定しております。これが交付金額の基本的な考え方でございまして、それを踏まえまして、それぞれのユーザーの皆様にとっての実際の負担額等々はどうなっているかということでございますけれども、これに関しましては、まず4ページ目の来年度の保険料等充当交付金額を見ていただきたいと思います。自家用乗用車以下、タクシーなどについて整理しておりますが、現行の交付金につきましての自家用乗用車1,050円、来年度は900円ということで、今年度より150円ほど利用者の方の負担が上がるということでございます。

以下、タクシー等々につきましても、それぞれ650円、510円、380円、350円という形で今年度より交付金額は減額されます。それに従いましてユーザーの負担額は上がっていくという方になろうかと思います。この推移を整理したものが5ページ目でございます。

こちらは認可保険料とユーザー負担額をそれぞれ推移を整理しておりますが、二重の線で引いてある部分が認可保険料でございまして、その下に実際にユーザー負担額というものが入っております。14年度以降、最初3年間は厚めに交付金を5,840円出しましたので、最初はこういう形で、その後交付金が減る形になりまして、次第次第にユーザーの負担額が上がっている形で、来年度につきましては900円の交付金、150円アップということで実質3万830円の保険料の負担になるのかなというふうに思っておりますが、20年度以降に関しましては、交付金制度が廃止されますので、認可保険料にすりつくという形になろうかと思っております。

以上が保険料等充当交付金の再計算の関係でございますが、なお3ページ目を開いていただきますと、185という数字が一番右側の方にございますが、これは再保険金の支払いに充当するものでございまして、これに関しましては、特会改革との関係もございますけれども、特会改革後の保障勘定の中で積立金という形で区分して経理してしっかりお支払していきたいというふうに思っておりまして、そういう制度改正を後ほどご説明を申し上げます特別会計改革の方でも法制的に手当てしておるということでございます。

以上でございます。

【倉澤会長】

ありがとうございました。

ただいまの報告に関しご質問、ご意見ございましょうか。

海野委員。

【海野委員】

ただいまの平成20年度からの保険料等充当交付収入に伴いまして2点お願いをしたいと思います。

1点は、自動車事故対策勘定からの一般会計繰り入れが繰り戻されないといつまでも自動車事故対策事業会計が安定しないので、早期に全額繰り戻されるように対処していただきたいという点でございます。

もう1点は交付金の交付終了に伴いまして、平成20年度の急激な保険料負担額の増加を防止するための措置というものを講じていただきたいということで、以上2点お願いをしたいと思います。

以上でございます。

【倉澤会長】

何かございますか。

【蒲生保障課長】

第1点目の一般会計の繰入金の繰り戻しに関しましては、我々も財政当局といろいろな場で早い段階からいろいろな形でお願い、議論をさせていただいております。今回、特会改革の全体の流れの中で、来年度につきましては繰り戻しが行われない形になっておりますけれども、23年度までに段階的に繰り戻ししていただくという約束になっておりますので、早期にその約束を履行していただくようにお願いしたいというふうに引き続き努力したいと思っております。

【倉澤会長】

高橋委員。

【高橋委員】

今のお答えに関連してなんですけれども、平成17年度末で5,127億円繰り戻しがないということなんですが、18年度末でどうなるのかというのと、今23年度までというお話でしたので、具体的な繰り戻し計画の案というものをお示しいただきたいと思うんですが、よろしくお願いいたします。

【蒲生保障課長】

一般会計の繰り入れの状況でございますが、我々の19年度末の推計でもよろしいでしょうか。

【高橋委員】

19年度末ではなくて18年度末。

【蒲生保障課長】

18年度末ですね。

18年度末でございますが、まだ繰り戻しをいただいていない残高は総額で5,628億円になっております。これは利子相当分も含んでおります。

なお、19年度末に関しましては、総額で5,667億円ほどになるのかなというふうに我々は予測しておりまして、その15年度補正以降、繰り戻しがまだ行われておりませんので、その流れの中で、随分23年度までどういう形で繰り戻してもらえるのかということに関しまして、実はいろいろな議論をさせていただいております。

ただ、一方では特会改革の中で、国の財政への寄与という議論もございまして、何かと申しますと、それぞれの特会において国の一般会計の赤字が今厳しいですから、財政が厳しいので、これに対する幾分かも寄与すべきだみたいな議論も一方ではありまして、そういう全体の流れの中で我々も繰り戻しをどういう形で取り扱うのが一番いいのか、ユーザーの方にとっても、特会自体にとっても、被害者の方にとっても一番いいのはどういうあり方がいいのかということを今議論させていただいておるという状況でございます。

【倉澤会長】

高橋委員、どうぞ。

【高橋委員】

元本にどんどん利息がついて繰り戻し金の金額が毎年上がっているというのが今確認できたんですけれども、そうすると本当にどうやって返していただけるのかということについて23年度までと言われても全く目途がたたないわけですね。このお金は毎度申し上げておりますけれども、ユーザーからとり過ぎた保険料ということですので、責任を持ってお返しいただかないといけませんので、今のようなお答えですと私は大変不満なんですけれども、ほかの委員の方はどういうお考えでしょうか。

【倉澤会長】

保障課長。

【蒲生保障課長】

繰り入れた先におきましても、利子はいただいておるというのはまず一方でございます。

一方で、国の財政状況も厳しいと言いながら、先般の補正予算におきましてはそれなりの形での補正も組めたということで、国のいわゆる歳入というものにつきましても、一時期の大変厳しい状況からは次第に変わりつつあるのかなということで、今後こういった財政状況の好転状況等を踏まえれば、我々としては強くお願いできる状況になりつつあるのかなと思っておりますし、これで審議会でそういうご指摘をいただいたことも我々にとっては大変追い風かなというふうに思いますのでしっかりお願いしてまいりたいと思っています。

【倉澤会長】

ちょっと簡潔にお願いします。ちょっとたくさんになっておりますので。

【高橋委員】

1兆710億円繰り入れられたということ自体もきちんと一般の方に説明されていないので、今審議会がとおっしゃいましたけれども、やはり世論というのは非常に重要だと思いますので、説明責任を果たしていただきたいと思います。

【倉澤会長】

ご意見でよろしいですか。

【加藤委員】

私も同意見なんですが、先般国土交通省のもとで懇談会を行いまして、その中でも説明いただいたんですが、被害者救済のための基金が元本が減っている状況が説明されたんですね。ですから、それはこの一般会計に繰り入れていることによってそうなっているわけでありますので、これは本当に早急に、23年と言わずとよほど言いたいぐらいなんですけれども、これは確実に繰り戻しをしてもらうように、ぜひご尽力をいただきたいと思います。

以上です。

【倉澤会長】

西崎委員、どうぞ。

【西崎委員】

重複するわけですけれども、特別会計統合整備、一般の国の財政にできるだけ寄与するという、これは確かに政府としての方針ですし、私も当然だと思うんですが、今、高橋さんからもご説明があったように、この繰入金は性格が違うわけですね。ですから、国の財政再建という立場から考えても、こういうものをあてにしてずるずる延ばしていくというのは非常に矛盾しているんですね。はっきりこれは返して、それで再建を考えればいいわけで、ですから単なる意見ではなくて、審議会として強く要望したいと思いますけれども、毎年この問題が出てきますので。

【倉澤会長】

田中委員、どうか。

【田中委員】

私も全く同意見でございまして、私どもは昨年来道路特定財源の一般財源化の反対運動をやってるんですけれども、この税の場合でもああいう議論が起きているわけですから、ましてやこの税と全く違う性格のものなんで、目的、あるいはユーザーの負担の考え方が非常にしっかりしているわけですから、今のお話のように、これはぜひユーザーの方に還元してもらうという考え方をしっかりと審議会としても意見を持つべきではないかと私は思います。

【倉澤会長】

石井委員、どうぞ。

【石井委員】

この場で今の局面で申し上げるかどうか、ちょっとあれなんですが、一応議論としてちょっとお聞きいただければと思います。

というのは、医療の部門の充実ということが非常に大事なわけですが、今の時点で欧米諸国と一番おくれをとっている部分というのは、ドクターヘリの普及という問題があります。それで、今いろいろとご相談させてもらいながら全国普及をなんとか図りたい。ご承知のとおり、昨年の医療保険全般の切り下げ改定の中で現場は大変に苦しいわけですが、なおかつそういうレベルのアップにぜひ寄与したいと考えてそういうことをいろいろ今ご相談しておりますので、今のようなご議論の中にぜひ皆様方のご理解とご支援ということをお願いできればと思います。

以上です。

【倉澤会長】

保険課長、どうか。

【保井保険課長】

すみません、ちょっと事務的な補足で申しわけございません。

海野委員からご指摘をいただきました第2点でございますけれども、交付金の交付終了につきます保険料率の上昇云々の意見につきましては、もちろんその影響が出る来年度以降の話でございますし、当然に来年度以降の審議会で改定等のご議論をいただくということでございますので、補足させていただきます。

【倉澤会長】

それでは、次の報告事項に進んでよろしゅうございましょうか。

引き続きまして、小型二輪自動車の車検期間の延長について、同じく国土交通省蒲生保障課長よりご報告いただきたいと思います。

【蒲生保障課長】

それでは、資料に基づきまして、報告申し上げます。資料の5をお開きいただきたいと思います。

先ほど保険課長からもご説明がありました関係の背景となった経緯等に関しまして、考え方も含めましてご説明申し上げます。

こちらにございますように、改正の経緯及び内容でございますが、これに関しましては、いわゆる政府も含めました規制改革に関しましての大きな流れの中でいろいろな規制改革案件がございますが、その中で車検に関しましても逐次見直しを行ってきてまいりました。その中で、小型二輪車に関しまして、これは先ほどお話がありましたように250cc超えるいわゆるバイクでございます。それに関しまして、現在車検期間が新規登録後初回2年なんですけれども、これを自家用乗用車並みに3年にできないのかというようなご議論がございました。

これに関しまして、自動車交通局の安全部門を中心にかなりの検証と申しますか、検討を行った結果、小型二輪車に関しまして、2年を3年にしたとしても不具合の発生する増分というのはかなり低いのではないかということで、安全上、環境上、基本的に問題はないんじゃないかというふうに最終的に判断をいたしまして、結果といたしまして、この真ん中にございますが、規制改革・民間開放推進3か年計画という国の政府としてのいろいろなメニューを入れたものなんですが、これが17年の3月に閣議決定されまして、初回2年を3年に車検期間を延長するということが可能ではないかというふうに盛り込まれました。これを受けまして、さきの通常国会におきまして、道路運送車両法を改正いたしまして、この19年4月1日から、2年から3年に初回に限り車検期間が延長されるということでございます。

もう一枚お開きいただきますと、このような排気量400とか700のようないわゆるバイクでございます。保有台数が約140万台ぐらい今あるようでございまして、年間新規7から8万台ぐらい登録されるということでございます。

以上が2つ目の報告事項でございます。よろしくお願いいたします。

【倉澤会長】

ありがとうございました。

ただいまの報告に関して、井手委員、どうか。

【井手委員】

今、これは二輪の小型自動車に関してなんですが、最近の世の中の心配ごとというのは、自転車による死亡が増えているんですよね。ですから、ここにはないんですけれども、自賠責審議会として、自転車についてもどうしたらいいか、検討を始めていただきたいと思うんです。かなりの人が自転車によって亡くなられているんですけれども、何ら保障されていないのが現実なんですね。ですから、これは検討されてしかるべきじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

【蒲生保障課長】

今、井手委員のご指摘にあったように、自転車に関しましての昔では考えられないような死亡事故が最近大変多くなっているということで、我々の方もそれは伺っておりますし、承知しております。

実は、国土交通省の方におきましては、今後の自賠責制度のあり方に関する懇談会という場を一つ持っておりまして、まずそういったところで議論をさせていただいた上で、また金融庁さんなりとご相談しながら、この場でどう取り扱っていくかということについてご相談できればというふうに思います。

【倉澤会長】

ありがとうございました。

では、引き続きまして自賠責保険診療報酬基準案についての報告をお願いいたします。都道府県別実施状況など現状について、損害保険協会の市川委員よりご報告をいただきたいと思います。

【市川委員】

損保協会といたしましては、昭和59年答申に基づきまして、診療報酬基準案の実施普及に努めてきておるところでございます。基準案の実施状況につきましては、資料6にございますとおり、ただいま全国45の都道府県で実施されております。残る山梨、岡山の2県につきましては、いまだ実施に至っておりませんが、業界として基準案の実施に向けて継続協議を行ってまいりますので、日本医師会を初め各位のご協力をいただきたいというふうに存じます。

既に実施しております45都道府県におきましても、地区医師会との協議の場を継続をいたしまして、良好な関係を維持しながら、医療機関のご納得のもとに基準案の普及に努めておりますけれども、現時点で約6割の医療機関に採用していただいているという状況にございます。損保業界といたしましては、地区医師会との協議会や一般の医師、あるいは事務職員の方にご参加いただいている自賠責研修会において、自賠責制度についてのご理解をいただいて、基準案の普及に向けて意思疎通に努めておるところでございます。

以上、ご報告申し上げます。

【倉澤会長】

ありがとうございました。

ただいまの報告に関しご質問、ご意見等ございますか。

井手委員、どうぞ。

【井手委員】

どういうふうな努力をなさってこられたんでしょうか。失礼ですけれども、15年以来、だめなんですね。そうすると、その講習のやり方とか、何かこの研究されているんでしょうか。どうしてこれが認められないのか、その点お考えがあったらお聞かせ願いたいんですけれども。

【倉澤会長】

市川委員、よろしゅうございますか。

では、お願いいたします。

【市川委員】

毎年、地区医師会に対してこの基準案のご説明をし、採用を働きかけておるわけでございますが。

【井手委員】

どういう内容。

【市川委員】

まず、その地区協議会を開いていただくということをお願いしておるわけですね。岡山なんかではそれが開いていただけるようになって、基準案そのものについてもご理解をいただけるようにはなってきております。山梨の場合はまだそこまで至っていないということでございますが、いろいろな接点がございます。医師会とさっきちょっと出ました自賠責の研修会のような場で、先生方との意見交換という場もございます。そういうところで基準案の内容についてもご説明をする機会がございますし、決して扱いにくいものではないと。医療機関によっては、労災基準のそういう基準案というものになれておられないとか、そういう面もございます。ですから、そういったようなことをご説明したり、そういった小冊子をつくって先生方に各地区の医師会に説明をしたり、そういう努力をいろいろやっております。そういう状況ですけれども、なかなか理解が得られないという状況でございます。引き続き粘り強くやっていきたいなというふうに思っております。

【井手委員】

今後何か新しい方法をお考えですか。

【市川委員】

地道にやっていくしかないというふうに思っております。これは当然強制するということができるものではございませんので、ご理解をいただいて実施をしていただくということしかございませんので、引き続きあらゆる機会をとらえて粘り強く交渉していきたいというふうに考えております。

【倉澤会長】

ありがとうございました。

私からもそのいきさつからいっても大変なご努力だと思いますが、井手委員のおっしゃるような一層新しい知恵もお加えになって、さらによろしくお願いいたします。ご苦労さまですが。

石井委員、どうか。

【石井委員】

医師会の名前が出ましたので、一言。我々としては、担当になって僕は日が浅いわけですけれども、引き続きこの全国での実施普及ということについてはやっていきたいと思っています。救急委員会であるとか、さまざまな機会をとらえまして、我々の方からも平準化した医療を守るという考えでいえば、この方がいいんではないかという価値観は広めていきたいと思っております。逆にこれが広まりませんと、いわゆる二階建て診療であるとか、いろいろなほかの考え方が今取りざたされておりますけれども、それよりもこの方がいいんだという概念は我々も全く同感でございますので、そういう方向に進みたいと考えております。

以上です。

【倉澤会長】

ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

それでは、続きまして平成19年度自動車損害賠償保障事業特別会計の運用益の使途について、国土交通省蒲生保障課長よりご報告いただきます。

【蒲生保障課長】

それでは、資料7に基づきまして、運用益の使途に関しましてご報告申し上げます。

資料7の1ページをお開きいただきますと、ここからは来年度の予算額も含めました対象事業の中身の説明を3枚ほどつけてあります。

4ページ以降につきましては、平成17年度の運用益の活用事業の内容の実績に関しまして、整理した資料でございます。

まず、来年度の予算額に盛り込みました運用益活用事業の概要につきまして、ご説明申し上げます。資料の1ページ目でございます。

独立行政法人の自動車事故対策機構に関する助成を一つ(1)という形で整理させていただいております。その他は2ページ以降は自動車事故対策費補助金ということで、事故対機構以外にかかわる補助金を整理したものでございます。

まず、事故対策機構に関する助成でございますが、こちらは大きく3つに分かれておりまして、一番上は事故対策機構を通じまして重度後遺障害者の方などへの介護料を支給するもの等でございます。こちらは自動車事故対策費補助金という制度でございますけれども、こちらに関しましては介護料の支給というのが真ん中ぐらいの欄の上の方にございますが、こちらにつきましてかなり多めに介護料の予算枠をとっておりました。しかしながら、その後実態等々に関しまして、かなり状況がわかってまいりましたので、現状というか、実績に合わせた形での予算額を立てさせていただいたということでございまして、30億4,900万ほどの予算になっておりまして、昨年度から約2億3,000万強、2億4,000万弱の予算が減っておりますが、これに関しましては、今申し上げましたように、実績に合わせたものということでございまして、それプラスある程度の余裕を見込んでおりますので、支給に支障が生じるようなものにはしておりませんので、そちら辺はこの場でしっかりとご報告申し上げたいと思っております。

なお、この介護料の関係でございますが、下の方に※1というのが欄についております。減額に関しましては、今ご説明したとおりでございますが、一方で支給対象品目を拡充させていただいております。これは最後の方に申し上げますが、自交局におきましては国土交通省のあり方懇という懇談会におきまして、議論になりました対象品目を追加してほしいという被害者の方々のご要望が強くございまして、結果といたしまして、要望の強かった紙おむつ、尿とりパット、吸引用カテーテルという3品目を追加いたしまして、予算に盛り込んでおります。

次に、真ん中の欄でございますけれども、事故対機構に対します施設整備費の補助金でございますが、これが3億2,000万ほど減っておりますが、これは予定しておりました療護センターの施設整備の対象品目というものの関係で昨年度に比べますと、その単価が安かったというだけのことでございまして、それで減っておるということでございます。

一番下の事故対策機構に対する運営費交付金でございますが、これは独法全体に関します運営費交付金の効率化ということでスリム化ということもございまして、2億6,000万円ほど減っております。ただ、これは実際の被害者対策などに影響がないような形でということで予算を組んでおりまして、具体的には業務運営費、人件費等についてのスリム化をお願いしたということでございます。

なお、注2という※がついておりますが、療護センターの運営というところについてです。一番下の欄の下に注2の説明が書いておりますけれども、これは運営費交付金自体は減額されておりますけれども、実は事故対策機構が運営を委託しております療護センターは全国に4つあるんですけれども、そういったところが空白地帯がまだあるということで、そういう空白地帯について一般の病院に療護センターの機能を委託しようじゃないかということで、そのための所要の予算を療護センターの運営費交付金84億円なりの内数ということで盛り込ませていただいております。そういう意味で、来年度予算につきましては、事業をしっかりやれるような中で必要なメリハリ、スリム化をお願いしたいということでございます。

以上が事故対策機構に対する助成でございます。

次が2ページ目でございます。

(2)自動車事故対策費補助金ということでございまして、まず大きな柱が被害者保護増進対策ということでございます。次のページは自動車事故の発生防止対策でございまして、まず被害者保護増進対策についてご説明申し上げますが、こちらも必要な業務の中身等々を精査させていただきまして、業務の実績状況なども踏まえながら、全体の予算に大きな枠の中でスリム化なり削減をお願いした部分もございます。一方では、こちらの真ん中の短期入院協力事業ということでございますが、こちらは4,200万円ほど増額しておりまして、これは重度後遺障害者の方が短期で病院に入るということで、それで必要な治療を受けたり、介護者の方が必要なアドバイスを受けたり、また介護の方も一時的ではありますが、介護から開放される時間を持っていただくことということで、短期入院ということを我々は協力病院を指定したり進めておるんですが、その協力病院を増やそうということを今考えておりまして、そのために必要となる特殊浴槽とかリフトみたいなもの、そういった特別な施設をプラスアルファで整備するということに必要な事業費ということで、4,200万円ほど増やしております。全体といたしましては、スリム化などの影響もありまして7,100万円ほど減っておりますが、こちらもメリハリをきかせる形でということで予算を組み立てたところでございます。

次のページが自動車事故発生防止対策関係でございます。こちらもメリハリをつけたいということで、従来からいろいろと議論がいろいろな場でありましたけれども、例えばこの自動車運送事業者等に関する補助金の中で、自賠特会の性格から見て、ある程度見直すべき点がないかどうかということをかなり部内でも財務省ともいろいろな形で議論をさせていただきました。この審議会でのご意見など踏まえた上での議論でございますが、結果といたしまして、一番上の欄にございますけれども、2億4,500万という増減額が一番上の欄にございますが、2億4,500万円ほどいわゆるバス関係なり公共交通関係の補助から2億4,500万円ほど、具体的にはコミュニティバスとか超低床式ノンステップバスの車両みたいなものとか、あとは行き先表示の表示器みたいなものは自賠と直接の関係が薄いんじゃないかと、大変厳しい流れの中で、そこまで我々も補助している余裕もなくなってきたということもございまして、メリハリをつける中でこちらについては、2億4,500万円ほど減額させていただいております。

一方で、その下にございますが、先進安全自動車(ASV)と書いておりますけれども、普及対象事業、普及促進対策ということで、これは我々が考えておりますのは衝突時の被害を軽減するブレーキを大型トラックなどに整備する場合に、そういった整備費用のアップ分の2分の1を補助しようじゃないかということで、これは事故防止対策ということでしっかり取り組む柱として今回盛り込ませていただいております。4億1,200万円ほどでございますが、それに関しましては、そのようなブレーキをつけますと、追突される車の乗員の9割ぐらいの方に、死亡事故にならないで済むような形で件数が減るんじゃないかという試算もございまして、そういった意味では事故防止対策上、大変効果のあるものだなということで、今後はこういったものにしっかり取り組んでいく必要があるのかなというふうに考えておりまして、これはメリハリのハリの方でございます。

以下、全体をまとめますと、こちらの自動車事故発生防止対策に関しましては、こちらの増減額的には7%ほどの増減ということで、全体の合計で162億1,600万くらいあったものが19年度に関しましては154億5,800万円ということで、メリハリをきかせた中でなんとか予算として組み立てることができたということでございます。

なお、17年度の活用事業の内容は、参考ということで4ページ以下にそれぞれの補助対象事業者と事業の中身と実績の数字、書けるものはできるだけ書くということでお願いしております。

なお、補助を受けた各団体におきましても、できるだけ実績目標をつくって、その達成度を内部的に評価すること、それを我々にちゃんと報告すること、または一般の方々にも公表できるようにすることということをお願いして、補助の有効性等を確認するということをやらせていただいております。

以上でございます。

【倉澤会長】

ありがとうございました。

ただいまの報告に関しご質問、ご意見等ございましょうか。

海野委員。

【海野委員】

運用益の使途につきまして、2点お願いをしたいと思います。

1点は被害者の救済対策に関しまして、事故後に被害者が必要な情報をタイムリーに、かつ十分に受けられるように、自動車事故対策機構の積極的なPRを進めていただきたいというのが1点です。

もう1点は特に事故発生防止対策に関して、特に教育安全広報について、後部座席のシートベルトの着用促進という観点につきまして重点的に取り組んでいただきたいというふうに思っております。

以上、2点についてよろしくお願いをいたします。

【倉澤会長】

奥宮委員。

【奥宮委員】

大変基本的な質問で申しわけないんですが、今のご報告の中の運用益の数字の根拠を教えていただけますか。約154億円で、162億円が154億円とおっしゃっているんですが、もともとこれは累積された政府再保険に係る運用益の一部を基金としたもの、その基金が幾らあって、先ほどおっしゃった162億、154億というその数字はどこから算出されているものなのか、その点ちょっと基本的なことで申しわけないんですが、教えていただけますか。

【蒲生保障課長】

すみません、私のご説明がちょっと不十分で大変恐縮でございます。こちらの運用益の関係でございますが、先ほど高橋委員からお話のありました一般会計への繰り入れとも絡む話でございます。

実は当初、平成14年度に発足いたしました新しい自賠の制度の中での運用益というものは、しっかりとした形で基金として持っておくということが基本的なスキームだったんですが、それより前に一般会計に既に繰り入れを行っておりました。したがいまして、実際の運用益が発生する基金というのは、繰り入れを行っているものを除いたものから発生する運用益になっております。したがいまして、必要な事業を行うためには運用益だけでは賄えない状況になっておりまして、その賄えない部分の差額を実は基金の取り崩しを行ってやらせたいということでございまして、その取り崩して行ったものによって基金自体は減りますが、一方では一般会計の方では利子分も含めて積み重なっているという状況です。それを我々は早く返していただいて、こういった被害者対策事業の基金としてしっかりした形で本来のスキームで事業を行いたいということで、それを早くやれということの先ほど来からのご指導をいただいているという流れかと思っております。

【倉澤会長】

北原委員。

【北原委員】

療護センターについてですけれども、非常に偏って今存在しているということですので、九州とか北海道とか、非常に離れた場所にある人たちは同じ自動車強制保険の保険料を払っているのにサービスが受けにくいということがありますから、このことについてはかなり強く促進していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

【倉澤会長】

よろしゅうございましょうか。

それでは、井手委員。

【井手委員】

自動車事故防止対策に関しまして、平成15年度の衆議院の決算委員会で、車載監視カメラを採用するということが決議されまして、国土交通省で実証試験もやっているわけですが、これがなかなか普及しないわけですね。車載監視カメラを普及させるための努力というものをここにはちょっと書いていないので、もう少し予算を立ててやっていただきたいと思うんですね。この車載監視カメラというものも非常に効果があるということはわかっているんですが、これが非常に威力を発揮するためには裁判所で証拠書類として採用されるような状態になるようにしてもらわなくてはならないわけですね。そうすると、車載監視カメラの規格とかそういうもの、それから公的機関での解析とか、そういうものにもう少し予算を使って、せっかくある有効な交通事故防止のものが発明されたわけですから、これを有効に使ってもらいたいと思うんですが、どこかの例えば交通安全総合分析センター、こういうところにでも予算をつけていただいて、少し積極的に普及に努めていただいて事故を減らして、事故を減らすことによって、国家予算というか、そういうものも減ってくるわけですから、とにかく事故を減らすという意味では今ある有効なものを利用する方向で検討いただきたいと思うんですが、それは難しいでしょうか。

【蒲生保障課長】

今、井手委員がご指摘になったようにドライブレコーダーに関しまして、その有効性というものはいろいろな形で検証されつつあると我々は理解しております。タクシーなどにおきましてもかなり普及が進んでおって、ある業者などはそれを搭載することによって、第一当事者になる事故が半分ぐらい減ったということもあると伺っておりまして、我々としては普及とそれをうまくどういう安全運行に活用するかというのが2つ大きな柱かと思っております。

今、国土交通省で取り組んでおりますのは、普及に向けた実証実験、有効性の検証ということをまずさせていただいておりました。今後はそれを踏まえて、それを運送事業者においてどういうふうに役立てるのが安全上メリットがあるのかということなどにつきまして、国土交通省もやりますし、あとは事故対策機構などにおきましても、そういった講習会などに取り組む予定でおりますが、今、委員がおっしゃった、それを例えば事故の検証とか裁判とかでどう使っていくかということに関しましては、関係機関もちょっと絡みますので、我々としましては、普及対策をやりながら関係機関とその辺を普及の状況を見ながら議論を進める必要があるのかなということで、承らせていただきたいと思います。

【倉澤会長】

高橋委員。

【高橋委員】

今ご説明をいただいて、2ページと3ページの増減率を見ますと、どちらも4.8とか4.7とか率としては同じなんですが、金額を見ていただきますと、被害者保護増進の方と発生防止の方とでは1けた違うということになっているわけですが、冒頭から被害者の方々から、そもそも自賠責保険というのは被害者対策のためにあるという、特に被害者の保護というのは私は非常に重要だと思っているんですけれども、この未然防止ももちろん大切なんですが、この資金配分というのは厳しい予算の中では私はちょっと納得のいかないところがございます。

昨年のときにもバスだとかタクシーだとか、何とかしてほしいというふうには申し上げたんですが、削減率が非常に低いような感じがしております。そういう運送事業者に対する安全対策というのは、そもそも彼らがやるべきものだという考え方を私は持っているんですね。独立行政法人の評価の方でも私も実は委員をしていたんですが、この日出られなかったものですから、細かいところは議事録でしかわからないんですが、かなり業務のありように関しては委員会の方で意見が出ているんですよね。特に、例えば交通遺児等々への貸し付けに関しても、債権の回収率が9割とすばらしく高いんですけれども、それに対するコストを見たらめまいがするほどかけておられるわけで、そういう非効率なことをやられちゃ困るので、また来年度から新しい中期計画に入ってくると思うんですけれども、これはバランスを私は非常に欠いていると思いますので、抜本的に見直しをしていただきたいというふうに思っています。いかがでしょうか。

【倉澤会長】

保障課長、どうぞ。

【蒲生保障課長】

今、お話ありましたように、我々といたしましては、被害者保護対策というものが一つ重要ですし、一方では交通事故の発生防止対策というのが重要だと思っています。ただ、事業者という方々がもっと自助努力をすべきじゃないかというような問題意識というものは我々も持っております。具体的には、事故対策機構などにおきましてのいろいろな講習会がございます。それに関しまして、事故対策機構から何らかの負担をしておるんですが、そういったものに関しましては、むしろ事業者の方々の自己負担を増やすべきじゃないかというような議論もさせていただいておりまして、そういう流れの中で自己負担をそれぞれ増やしながら、一方では被害者保護対策をしっかりやっていけるようにということで、来年度予算に関しまして、自動車のそういう事業者の関係で2億4,000万削ったんですけれども、これも一つ第一歩なのかなということで、問題意識は引き続き持って来年度以降も取り組みたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【倉澤会長】

堀田委員。

【堀田委員】

ちょっとこの今いただいた表を見ると、平成18年度の予算額というものが1ページに出ていますけれども、4ページ以降に17年度の実績が出ていますよね。これだと予算と実績との検証というのができない形になっていまして、この予算を増やすとか減らすとかという資料としてちょっと不十分ではないのかという印象を持ちますので、できれば平成17年度の予算と実績が見比べられるような表をこの前に2行ほどつけていただくと、よりわかりやすいのではないかと。ご意見だけ申し上げます。

【倉澤会長】

それはお願いということでいいですか。

それでは、貴重なご意見をこれまでもいただきました。今後の運用益の活用に十分参考にしていただければと思います。

それでは、続きまして、平成19年度保険会社の運用益の使途について、市川委員からご報告をいただきたいと思います。

【市川委員】

ご報告申し上げます。

お手元の資料8の中の2007年度自賠責運用益拠出事業(案)という資料をごらんいただきたいと思います。

本拠出事業案につきましては、業界で検討いたしました内容を学識経験者を中心とした委員で構成されております自賠責運用益使途選定委員会にお諮りをし、了承されたものでございます。

なお、本拠出事業案につきましては、今後2月15日開催の損保協会理事会で了承を得る予定としております。

それでは、拠出事業案のポイントについてご説明いたします。

まず、2007年度拠出事業案の作成に当たりましては、これまでの自賠責審議会答申や自賠責審議会におけるご意見及び自賠法改正時の国会附帯決議などを踏まえまして、自動車事故被害者対策を中心に充実させていくことを基本方針としております。さらに、既存事業におきましては、一層の事業を見直しを行い、必要な事業は充実させる一方で、その他の事業は縮減するということといたしました。また、新規事業につきましては、自動車事故被害者対策を中心に検討を行いました。個々の内容につきましては、項目が多いため説明を割愛させていただきますが、当初の事業計画に基づき事業等が2006年度で終了するものが比較的多くございます。一方、既存事業のうち必要と判断される事業に対する若干の増額や新規事業を積み上げましたものの、トータルとしては前年度の支出額を下回っているという内容でございます。具体的な支出額案の総額でございますが、4ページ目の最後の合計にございますとおり21億4,097万円、2006年度支出予定額と比較をいたしますと約3億3,850万円、率にして13.7%の減となっております。これは既存事業の見直しと新規事業とをもって拠出額としたいわば自然体による結果でございます。

最後に、直近5年間の拠出事業支出額の推移表及び2005年度運用益拠出事業報告書を添付させていただきましたので、参考としていただければと存じます。

簡単でございますが、以上で2007年度の拠出事業の内容説明とさせていただきます。

【倉澤会長】

ありがとうございました。

それでは、ただいまの報告に関しご質問、ご意見ございますでしょうか。

井手委員、どうか。

【井手委員】

今、報告書とおっしゃったんですけれども、報告書に従ってちゃんと検証をされているんですか。実際にこれは行われたのかという、それは効果があったのかどうか。せっかくお金を出してもそれが効果的に利用されていないんだったら、無駄に使われたことになるわけですよね。だから、報告書を見て、それでよしとするんじゃなくて、一つ一つちゃんと検証して、これが行われたのかどうかはやっていらっしゃるんですか。

【倉澤会長】

市川委員、どうぞ

【市川委員】

ご指摘の点は毎年いただいている点でございますので、私どもとして事業報告書ですかとか、あるいは収支決算書というものを取りつけるのは当然でございますし、実際に拠出先の方へ現物確認ですとか、あるいはいろいろな現地調査、ヒアリング等をしっかり行う。実際に新規事業なんかの場合ですと、特にどういうふうな使われ方をしているかということも途中段階でお聞きするというようなことも励行するように努めておるところでございます。

以上でございます。

【北原委員】

自動車事故被害者対策の中の交通事故紛争処理センター、これに非常に多額の費用が配当されておりまして、この中立的な立場から云々ということになっております。こういうところにたくさんのお金を使う必要があるのかと最近思っております。

というのは、交通事故は損保会社と加害者側は同じ利害の立場に立ちますし、被害者側の方は対立の立場に構造的に立って、民事上の裁判において解決をすることになりますけれども、この紛争処理センターは中立の立場ですから被害者側じゃないんです。ですから、こういうところにお金を払っていくよりは、社会に多くの弁護士さんがいるわけですから、その弁護士さんたちが被害者側に立って、損保側とそこで正々堂々と戦って被害者の救済をすればいいと思うんですね。ところが、中立の立場に立つというのは被害者側じゃないわけですよ。ですから、被害者側に社会にいっぱいいる弁護士さんが立って解決をすれば、こういう組織は要らないと思うんですね。ですから、そういう視点から見たときにこういうところにお金を余り使う必要はないんじゃないかと。今一定の役割をしているから、それなりのことはあるということはありながらも、発想の転換がないといかんのじゃないかと思うんですよ。ですから、被害者側で活動する弁護士さんが現実にはなかなか得られない難しさがありますけれども、いればこういう機関は余り大きくなる必要はないんじゃないかと思うんです。ですから、このお金の使い方については、そういう点を頭に置いて考えていただきたい。

それと、もう一つ私たちが交通事故に遭って、大変苦労して弁護士さんの法律事務所に行って、1時間1万円を払って相談するわけですね。そうすると、私なんかも経験がたくさんあるけれども、余り役に立つ内容が聞けないのに1万円を払うという経験はしておりますが、そのことはついでの話でして、そういう役に立つ弁護士さんを育てていただきたい。被害者の側に立つ弁護士さんが少な過ぎるんですよ。損保側には損保会社と弁護士さんはそこでチームワークをとって被害者側に対立しているんですね。私はこの構造を非難する気は全くないんです。それでいいんです。だけれども、被害者側の支援が全くないんです。そこのところをもう少し考えていただきたいと思うんです。見解をお伺いしたいと思います。

【倉澤会長】

市川委員。

【市川委員】

今ご指摘の1点目の被害者保護の立場で余り機能していないんじゃないかというご指摘かと思いますが、もともとこの紛争センターをつくつた経緯というものがございまして、昭和49年に前身の交通事故裁定委員会というものがその前身でございますけれども、損保が当時任意保険で示談代行を行うような商品を発売をした。示談代行と申しますのは、どうしても加害者の立場で代行するという面が強うございますので、被害者の立場が相対的に弱くなるということが当然懸念されたわけでございまして、そういう被害者のいろいろな相談ごとに応ずることのできるようなものをつくろうということで、49年に発足をし、その後に53年に今の交通事故紛争処理センターに改装されたという経緯がございます。

したがいまして、被害者救済対策ということが非常に大きなテーマになっておりまして、もちろん中立の機関でございますから、いろいろなご相談はあるわけでございますけれども、実際に裁判外紛争処理機関の一つとして年間約7千件の新規相談を受け付けておりまして、非常に認知度も高く、被害者救済に相当機能しているのではないかというふうに考えておりますけれども、ご指摘の点についてはよく留意をしてやっていきたいと思っております。

【倉澤会長】

古笛委員、どうぞ。

【古笛委員】

厳しくご指摘いただきました弁護士の立場からなんですけれども、私は財団法人日弁連交通事故相談センターにも関与しておりますし、交通事故紛争処理センターの方にもいろいろお仕事の関係で関与することがございます。

今ご指摘いただいたんですが、むしろ弁護士の立場としましては、今ADR法なんかもできましたので、今後裁判外紛争処理というのはいろいろな場面でもっと機能していかなければならないのではないかという形に考えております。もちろん日弁連でも被害者保護にそれこそ十分活用できるような弁護士育成ということで全国研修をしたりですとか、そういった活動もありますので、また役に立たない組織ではなく、弁護士会の方も努力していきたいとは思っているところです。

【北原委員】

被害者救済について、いろいろな制度とか紛争処理センターをつくったいきさつについて、損保会社の方々の話を聞きましたけれども、損保会社の方々の私たちへの役割というのは大変大事で、損保会社があるおかげて私たちは助かっているわけですから、そういう損保会社に対して感情的にどうのこうのと思わないでありがたいと思っているわけですね。ただ、物事を考えるときに、被害者救済を構造的に損保会社は営利事業として、これもいいことだと思っていますけれども、被害者と対決するわけじゃないですか。その損保会社のお世話になって被害者の面においてはどこかおかしさがあるんですよ。被害者側の立場で被害者のことを論じるのが筋道だと思いますから、そういうことについて損保会社の方でお世話になった被害者の救済対策、今の制度みたいなこと、損保会社の存在のありがたさとそこにいろいろな行う施策の点とはちょっと同じじゃない。そういう点がありますことを今まで議論もされなかったと思うから話しているわけです。弁護士さんの方もなかなか被害者側に立たないと、いずれ挙げることができますから、今ここで挙げたってしようがないけれども、もうびっくりするような実例がありますから、そういうところで、弁護士さんの組織が私たちの被害者の意見を聞きに来た覚えはないし、どこか被害者と離れたところで被害者のことを論じておられる。これはおかしいんじゃないかと思うので、ここで指摘しておきます。

【倉澤会長】

なお、先ほどお話がありましたように、この保険会社の運用益の使途については第三者機関の運用益使途選定委員会というものによって決められる権限について、ここで報告されるということでございますけれども、自賠責委員の委員方のいろいろなご意見とか、そういうものを吸収していただく、お聞きいただくということでこの報告事項に加えたということでございますので、またもしほかにも何か問題をお気づきの委員がございましたら、個別に業界の方へご質問に行っていただきたいと思いますので、この点次の議事に移らせていただいたよろしゅうございますか。

ありがとうございました。

それでは、続きまして平成19年度JA共済の運用益の使途についてでございますが、今ほどご説明のあった国及び保険会社の運用益の拠出という点で重複する部分が多いこと、また時間の都合上、資料のみの配付と恐縮ですが、させていただきたいと考えております。資料は皆様の事前に事務局から送付しており、お目通しいただいているものかと存じますので、JA共済の運用益の使途について、その資料に基づきご質問、ご意見というものがございましたらどうか。

北原委員、どうか。

【北原委員】

ここで挙げてある交通事故無料法律相談の支援、これについてさっき話したことと関係があるわけで、同じことを繰り返してもしようがないんですけれども、弁護士さんが、こういうところに出られたときに、私は自分で1万円を何回も払ったものですから、その辺でこういうときに弁護士さんに対する手当というのは、実際払った立場の者から関係があると思うので、どのぐらい時給幾らなのか、払われているか、ちょっと参考まてに教えてほしいと思っております。

それと、交通事故後遺障害者家族交流等の支援ということで、3,200万というお金が使われているようですけれども、交通事故後遺障害者家族というのは、私の会は連合会の代表ということだけれども、その連合会の中にいろいろな障害者団体が入っていて、私はNPO法人交通事故後遺障害者家族の会の代表でもあるんですが、私の会は100%重度後遺障害者の家族で、ほかにはそういう会はないんです。だけれども、私はこういうことは全く聞いたこともない。これはだれに払うお金なんですか。4ページのマル8、3,200万円、これが3,200万円上がっておりますけれども、交通事故被害者家族交流となっているけれども、私どもの会は被害者家族なんです。全く聞いたことがないけれども、これはだれにも聞かないで計上されたんですか。

【上原委員】

2007年度まで家族交流支援の継続という形になっておりますが、ちょっと細かいことは承知しておりません。ただ、感じでは協同組合ですから、極めて被害者の立場、あるいは被害者と加害者が同じ組合員であるとか、もろもろ非常に難しい状況のこともありまして、これは第三機関、社団法人の共済総合研究所というところがありますが、そういうところで内容を委託したりして、できる限り悩み、情報を交換しながら、禍根を残さないような措置が必要だというようなことから、始めているということでございますので、後ほどまた詳細詳しく必要であればご報告をさせていただきたいと思いますが。

【北原委員】

今の話は全く納得できないんです。私は全く知らない話が交通事故の被害者で悩みがあって困っているという、だれかそういうことを語ってここに来た人がいるんですか。私は全然聞いていない。100%の交通事故の被害者の会ってうち以外にはないんですよ。病気なども含めた障害者の会はほかにありますけれども、その辺の関係がだから全然納得できない。交通事故の被害者が困っているから何とかしましょうと、その言葉だけではなかなかいいことですねと思うけれども、この適用するところ、3,200万円というのはだれに払うお金なんですよと教えてください。

【上原委員】

現在、委託先で今年は三菱総研のところで委託をさせていただいて、その家族のニーズ実態調査等をさせていただいているということなんですが、今のご指摘、交通事故家族の会なんていうのをよく承知されていないと、中身は一体何だというご指摘だと思いますが、詳細はいずれにしても被害者、家族の悩みを承知するということは極めて重要なことだと思いますので、そういう視点はずらさないように機軸を置きながら結果報告させていただきたいと思いますので、今日の時点では、またこの会がどういう会かというようなことか、もうちょっと家族の会というのがあるのかないのかというようなご指摘だと思いますが。

【北原委員】

ここで質問が出たときには、細かいことまではわからないけれども、主なことは答えられるようにしてきていただきたい。あるいはそういうことを答えられるスタッフを連れてきていただきたい。そうしないと、この会議が成り立たないのではないかと思うんですね。交通事故の被害者の名を語って、だれが来ているのかよくわかりませんではないですか。私の方は全く聞いていないし、だけれども困っている人をいろいろ助けたり、事情を聞くというのは大変うれしい話なんですね。だけれども、私の知らないところ、私たちはホームページも持っていて、そこにいろいろなことを書いているから、こんな団体があるということがわかるわけですよね。だけれども……

【倉澤会長】

北原委員に私からお願いいたします。

ご趣旨よくわかりました。しかし、今この場でもってその点についてそういう報告なり資料なりが出るということも時間的にもその他ちょっと無理なようでございます。どうか北原委員が情報をお求めになって、それは情報開示するというお言葉だけいただくということで、この場では失礼ですが終わりにさせていただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。

【北原委員】

それは時間も時間ですから、やむを得ないかもしれないけれども、井手さんのおっしゃったように会議が形骸化することがないように運営していただきたい。それと、同時に、ここで私が言っているのは、そういう問題があることをほかの方にも知ってもらいたいんです。ですから、言っているんです。こそこそと一対一で取引するようなやり方もありますよね。だけれども、そんなことを言ったら周りの方々は何も問題がないというふうに思われちゃうじゃないですか。

【倉澤会長】

私の言い方が悪かったかもしれませんが、その問題をここで出すのは不適切だと言っているのではございませんで、この議事進行上、そこから先の情報はそちらからいただくということをここでこの場ではそこで打ちどめにさせていただけませんかという、そういうことでございます。

【上原委員】

介助犬等の支援をしております。例えば、介助犬が必要な方の悩みとかなんか、連携しながら会合を持ちたいと、ひとつ積極的にどうぞ活用してくださいと、会議費は要りませんとか、そういうようなことを現実としてやっているんですね。そのことが制度的にどういう位置付けでどうやっているかということははっきりしておりませんが、そういうことが必要であるという視点を持ちながら、例えば会場提供なんかごく当たり前のことでしょうし、そういう視点で進めていきたいということでございますので、ご理解をいただけたらと思います。

【倉澤会長】

田中委員からご発言を求められています。

【田中委員】

今ほど運用益のお話、国及び民間の会社、それからJAのお話がありましたけれども、真に必要な事業に充てるという考え方を貫いていただきたいと思います。それで、そうでありませんと、もし運用益に余剰があれば、これは契約者に返すべきだという話になりますので、その辺のところはこれはお願いでございます。個別具体的なことを申し上げるわけではありませんけれども、考え方としては、そういう考え方で対応していただければ大変ありがたいというふうに思います。

【倉澤会長】

加藤委員、どうか。

【加藤委員】

大分時間が迫っておりますので、書面も出させていただいていますので、かいつまんで申し上げますが、このJA共済の事業を一応見させていただきましたけれども、そもそもの民間プールに合同するという経過になるわけですが、ここに述べさせていただきましたように、いわゆる自賠責の本体、これの運用益を半分はユーザーに、半分は被害者救済に充てたという経過もございますので、そういう経過からすれば、これを合体をして、今この前にご説明になった民間の方の保険会社の被害者救済事業、こういうものと一緒に運営をするのが私は合理的であり、効率的であるというふうに思いますので、その点を意見として強く申し上げながら、ぜひご検討をいただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

【倉澤会長】

加藤委員には大変明確なご意見を書面でいただきまして、取り扱いとして委員に対しては失礼かもしれませんけれども、そういった将来のあるべき論のときにこれは問題になり得るもので、賛否は私は申し上げませんが、なり得るものだということで、きょう配付したということで、それでよろしゅうございますか、加藤委員。

【上原委員】

まことに申しわけないんですが、こういう意見書をいただいておりますので、制度のことですから、私からどうのこうの言うことじゃないかと思いますけれども、もしかして前回この共同プール参入について、私の立場からも考え方を説明して、小野保険課長からも最終的にご説明いただいたところなんですが、要は共同プールの事務というのはどういうことかということですね。これは資金をプールするということではございませんから、危険収支を共同プールで参入して、平成8年、10年前に生協で自賠責を扱うというようなことから、担当業者はすべて収支計算を共同プールでやるということを決められたわけですね。プールというのは資金をプールするということになりますと、これは原点に戻らなきゃいかんことになるわけでして、我々は協同組合ですから、収支残があれば契約者に返さなきゃいけないわけです。ところが、国でやるものですから、それはいかがなものかということで、収支残がありますし、運用益積立金も違います。したがって、その資金プールということと違うということが一つと。

それから、損保各社ではただいまもありましたとおり、運用益積立金は2,500億円強ありますね。うちの方は460億あるわけです。これはご理解いただきたいのは、損保の2,500億というのは、これは運用益使途を拠出して同じ歩調でやりましょうということですから、資金はそれぞれ各損保会社が責任を持って管理しなければいかんわけです。契約は責任を持って引き受けて、支払いは責任を持って支払わないといけないということですから、この資金プールと共同計算の趣旨がちょっと違うんじゃないかという点をまず当局の方で十分ご説明いただいて御理解いただかないと、最後まで何回もこういうことになりますと、これは困りますので。

【倉澤会長】

上原委員に申し上げますけれども、加藤委員に先ほど意見書の扱いについて、私が非礼をわびましたのは、この問題を今日の議題としては取り上げないということでございますので、今のお話ですと、その内容ということになりますから、今日のこの料率算定についても、今まで一方においてロスレイシオが130にもなる一方で、運用益がだほだぼに余っちゃうというような変な制度をこの際ずっと本来のあるべき責任保険制度というものに、しかもソフトランディングでこうやっていこうという将来展望の中で料率なんかも考えていく、そんなときに国の運用益の交付金とか、いろいろな問題も全部出てきまして、そういうことであるべき論というときにはいろいろなことが問題になるだろうというときの一つの意見としてしか今日はお取り扱いしませんよといって加藤委員に私はおわびしたわけなので、そのご議論はいずれ議題として、きょうの招集の議題の中には含まれておりませんものですから、どなたもご用意はしていないんだと思いますので、ちょっとそれはそういうことでおさめさせたいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。お話の筋について、反論をするということではございませんので、議事進行上のおさめ方の話ということでよろしゅうございましょうか。

【上原委員】

委員長、ちょっとそれは制度の問題ですから、10年前にさかのぼってこういう制度でやらなきゃいかんということで決められたことで粛々と進めてきていることですから。

【倉澤会長】

そのこと自体も将来問題になるかもしれないというふうにお考えの委員もおられるという、そういうことでございます。

【上原委員】

十分説明していただかないといけないと思います。

【倉澤会長】

わかりました。

12時までのお約束で、私の取り柄なんていうのはタイムキーピングぐらいしかないので、それがないと何もやったことになりませんので、ご協力をいただきたいと思います。

続きまして、特別会計の改革について、国土交通省蒲生保障課長からご報告をいただきたいと思います。

【蒲生保障課長】

資料10に基づきまして、特別会計の改革に関しまして、かいつまんでポイントだけご説明申し上げます。1ページ目をお開きください、特別会計改革全体に関しましての基本的な考え方をまとめたものでございます。

現在、国の特別会計は1ページ目の1.の真ん中くらいにありますけれども、現行31特別会計がございます。これに関しましては財政の均一の観点等々から、各種問題があるということで近年さまざまな形で議論が進められました。その結果、先の通常国会で行革推進法という形で特会改革をしっかりやっていこうという法的な枠組みができております。それが7ページ目についておりますので、後でご参照ください。

それを受けまして、今回特別会計に関します法律案ということで、こちらの上から4行目くらいでございますが、こういった名前になるだろうと思いますけれども、この法律案を次期通常国会、今度1月25日から開会されますが、その通常国会の冒頭に出す方向で現在関係省庁で調整中ということでございます。その中身はこちらにあります概要でございまして、1、2、3とございますが、これは特別会計の改革に対する基本的な考え方をまとめたものでございます。1.は31特別会計を17に廃止もしくは統合しますと。2.は一般会計と異なる取り扱いの整理をしましょうということでマル1マル2マル3というふうに入っております。

あとは3.でございますが、特別会計に係ります情報開示をしっかりしなさいということで、今まで自賠特会も含めまして情報開示に関しまして、若干おくれているんじゃないかというご指摘をこの審議会等でもいただいております。それに応じてやっているものに関しましても、中には法定化することも含めて情報開示にしっかり取り組めというのが3.目で入っているということが今回の特別会計に関する法律案の全体の一つの大きな柱でございます。その特別会計法の全体の考え方の中が終わった後に、各特会を統合するための各部分ごとのパーツがくっつく形で、かなりの大法案になるというのが、今度の特会法でございます。総論をやった後各論に入るということで、その各論の一番最後の方に我々の自動車関係の特別会計の統合に関する部分がございます。

どういう統合かと申しますと、自動車損害賠償保障事業特別会計とあとは自動車交通局で所管しております自動車検査登録特別会計、この2つの会計がございますが、どちらも自動車の安全や安心にかかわるものだろうということで、この2つの特別会計を自動車安全特別会計という名前で統合しようじゃないかということを盛り込ませていただいております。統合によりまして、統合効果を各種発揮したいということで、具体的には車両の安全基準の策定などから、事故防止被害者救済対策といったものを総合的、包括的に自動車にかかわります安全安心対策を実施できるような特会にせねばならないということで統廃合を予定しております。

2.目は勘定でございますが、勘定は減らせと言われておりますので、現在2つの特会に4つの勘定がございますが、これに関しては3つの勘定にすると。後ほど申し上げます。

あと括弧書きでございますが、冒頭ご説明した再保険金の絡みでございますけれども、現在保険料等充当交付金勘定でやっております保険金等の支払いに関しましては、保険料等充当交付金の交付等を含めまして、再保険金を含めて保障勘定に移管するということで、勘定自体は統合に伴ってなくなります。統合自体は平成20年度でございますので、従来予定しておりました21年度になくすという予定が特別会計統合に応じまして1年前倒しになりました。ただ、行った先の保障勘定におきましてもしっかりした形で積立金という形で区分して経理して、経理はしっかりしようという仕組みになっております。

その他でございますけれども、こちらは暫定的な取り扱いでございます。来年度の暫定的な取り扱いに関しましての考え方等、そういうことでございます。

それで、今の考え方を下の方の図でご説明いたしますと、20年度に統合でございますので、19年度まではまだ2つの特別会計がございます。これに関しましては、自賠責特別会計が3つの勘定を持って、車検特別会計が1つの勘定を持っております。統合後には保障勘定、事故対策勘定、保険料等充当交付金勘定を2つに統合いたします、保険料等充当交付金勘定を1年前倒しで保障勘定に統合すると、それによって3つが2つになります。車検特会に関しましては、自動車検査登録勘定ということで勘定は横ずれするという形になろうかと思います。20年度以降一つの特別会計で統合効果をどう発揮していくかというのが今後1年間我々の一つの課せられた課題でございますので、その辺をしっかり勉強、議論していく必要があろうかなというふうに今思っているところでございます。

3ページ目が2つの特別会計の17年度と18年度の歳入歳出の決算と予算をまとめたものでございます。この自賠責特会に関しましては下の方にございますが、保険料等充当交付金とか、再保険金の交付が減ってきますので、次第次第に歳入歳出も減っていくという形になっております。一方で、車検特別会計は4ページ目にございますが、歳入に関しましては、いわゆる自動車の登録にかかわります印紙収入とか、あとは車検にかかわる手数料収入などがございますので、大体600億円前後の歳入があってということで、歳出が453億円と474億円ということで、一部剰余金等々になっているという形になろうかと思います。こういう特別会計を統合するための法律が次期通常国会の冒頭に出るということが特会改革の私からのご説明でございます。

以上です。

【倉澤会長】

ありがとうございました。

最後に、改正自賠法等の附帯決議に係る対応も保障課長からお願いをいたしますので、これも説明を先にしていただいて2つの説明についてのご意見を伺うということにさせていただきたいと思います。

【蒲生保障課長】

こちらの懇談会の報告の概要と、あとはそれに対します現在の我々の考え方、取り組み状況に対しまして、ポイントをご説明したいと思います。この懇談会にはこちらの審議会の委員の方々におかれましても参加いただきまして、いろいろとご意見をいただいた方もいらっしゃいますので、ポイントだけご説明になろうかと思います。

まず、趣旨でございますが、こちらにございますように、13年の法改正のときの衆院、参院の附帯決議で、5年以内にしっかり見直しを行いということでございましたので、こういった名前の懇談会を国土交通省内に設置いたしました。18年、昨年の3月から6月まで全体で6回開催いたしまして、6月30日に提言をいただいております。

2.には幾つかその懇談会におけます主な課題ということで整理しておりますが、1、2、3ということでございますけれども、被害者対策ということが大きな柱になりました。専門的な治療、看護のケアの体制がどうなんだろうかという部分とか、やはり情報が不足して事故直後大変な状況になっているときに相談できるところが必要じゃないかというような話とか、あとは被害者につきましての損害賠償の保障ということで、なかなかここにございますように高次脳機能障害とか、新しい医療の先端分野での認定みたいなものが今どうなっているんだろうか、それを見直す必要はないんだろうかというような問題意識などが課題となりました。

それに関しまして、次のページでございますが、今後の被害者救済対策の見直しの方向性ということで、それぞれに関しまして、こういう形でご提言をいただきまして、我々といたしまして、この中には例えば1.のマル2のように予算措置に盛り込んだようなものとか、あとは例えば2.のマル2でございますけれども、事故対策機構による情報提供の充実ということで、先ほど情報提供が足りないという話もございましたが、事故対策機構の方でも来年度、情報提供センターみたいなものをつくる方向で今準備を進めているものとか、あとは3.のマル1でございますけれども、高次脳機能障害認定システムの充実ということで、損害保険料率算出機構の方で今検討委員会を設置していただいておりまして、最終的な報告書を今まとめていただいている段階にあるものとか、幾つか成果として出てきているものがございます。中にはまだ4.とかの方で、今後の部分の問題とか、あとはその他の方の親亡き後の問題など、いろいろと難しい課題もまだ残っておりますが、それに関しましても引き続き検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

その次のページは懇談会の委員の方のメンバー表でございます。

最後の資料が先ほど申し上げましたそれぞれの提言に対応いたしました来年度の予算案に盛り込んだものを1.から5.まで整理しております。既に先ほど報告事項の中で触れたものもございますので、こちらに関しましては目を通していただければと思います。

以上です。

【倉澤会長】

ありがとうございました。

恐縮ですが、特別会計の改革についての説明と改正自賠法等の附帯決議に係る対応(あり方懇談会)についての2つのどちらでも結構ですが、ご意見、ご質問等ございましょうか。

福田委員。

【福田委員】

特別会計の件ですけれども、まず廃止ありきという議論だと大変なことになります。特に被害者救済のために重要な機能を果たしているわけですから、ぜひこの被害者救済の一層の充実安定のために、再保険をやめました、それで、特別会計が残ったわけですけれども、特別会計までなくなる、あるいは一般会計になんてということになっていくと、交通事故被害者、既に傷んでいる被害者に痛みをまた強制することになりますので、ぜひその点頑張って、頑張ってというのは何となく変な言い方ですけれども、お願いしたいと思います。

【倉澤会長】

ご意見でよろしゅうございますね。

海野委員。

【海野委員】

特別会計の統合ということでございまして、統合の効果というお話もございましたが、自動車事故対策事業会計と検査登録事業会計とは明確に区分すべきだと、こういうふうに考えておりますので、ぜひ区分運営につきまして明確にしていただきたいということを要望させていただきたいと思います。

【倉澤会長】

西崎委員、どうか。

【西崎委員】

ちょっと全般的な問題も若干絡むんですが、交通事故減少、死亡者減少ですね。非常に何となく改善されているような印象を一般に持ちやすいんですが、重度障害、この問題は依然として深刻ですね。

それで、今度のあり方懇談会、私も委員で参加したんですが、療護センターは特に重度障害、脳機能障害に非常に大きな役割と水準を持っているわけですが、これまで北海道と九州の設置というのは実は私がこの問題にタッチしてから一貫して言ってきたんですが、今度は一般病院、協力病院の方に移していくといいますか、独立の北海道、九州の療護センターを当面つくらないという、そういう形になっているんですが、これはなかなか言うは易くして行うはかたし、特に先天性脳障害の場合は長期入院、これは今後医療制度の改革もあって、なかなか一般病院の協力が得られない状況ですね。そうすると、非常に悲惨なことになるので、先ほどの一般会計の繰り入れの問題も重なるんですが、特に高度脳機能障害、これに対する救済対策、それから療護センター、一般協力病院を活用するということなら、これは厚生省まで含めて実効性のある形でないとうたい文句に終わってしまうと、その点を非常に強く危惧します。

以上です。

【倉澤会長】

井手委員。

【井手委員】

自賠責問題なんですけれども、自賠責ができたのは昭和30年にできて、もう50年ぐらいしているわけですよね。最初はこの交通事故の悲惨さということがテーマにとらえられて問題が起こったと思うんですが、当初は死亡の場合が最高30万で負傷が10万、軽傷が3万になっていたのが昭和42年度に死亡は150万に変わったわけなんですけれども、現在のところは死亡した場合に3,000万で重度の後遺障害者が4,000万となっているようですけれども、遺族の立場で理解してほしいんですけれども、遺族というか、一番大事なことは、命を奪われるというのが一番悲惨だと思うんですよ。命を奪われた、殺された者が3,000万で生き残った者が4,000万というのは、命の値段を考える上でどうしても腑に落ちない。後遺障害者は介護にお金がかかるということで4,000万になったんでしょうけれども、介護は別に切り離して、自賠責としては悲惨さということを重点に考えて、命の値段ということを非常に問題のあることなんですけれども、少し考えてもらいたいと思うんですね。現在のままで死んだ人が生きた者よりも低いというのは解せないので、これは改善してほしいと思うんですが。

【蒲生保障課長】

今のご指摘の点等を含めまして、実はこちらのあり方懇談会のご説明のときにちょっと最終的に触れる部分を触れ忘れてしまったんですが、この懇談会自身、報告していただいた後のフォローアップ、またはそういった議論、論点も前々からございますので、やったことなどの報告も含めて、さらなる議論を深めるために毎年度1回ぐらいはやっていきたいと思っていまして、そういう場の中において、今、井手委員のおっしゃったものなども議論を深めていく必要があるのかなと思い、またご相談させていただきたいと思います。

【倉澤会長】

まだたくさんご意見があると思いますけれども、12時を30分近く越えて人道問題でございますので、どうか私に免じて本日の議事をすべて終了させていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

ありがとうございます。

それでは、これで本日の会議を終了させていただきたいと思います。

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