第124回自動車損害賠償責任保険審議会 議事録

1. 日時 平成20年1月10日(木) 14時00分~16時00分

2. 場所 中央合同庁舎第7号館西館13階 共用第一特別会議室

【保井保険課長】

私、金融庁監督局保険課長の保井でございます。本日はご参集いただきまして、まことにありがとうございます。御礼申し上げます。

まだ、若干の委員の先生が遅れておりますけれども、時間がまいりましたので、ただいまより第124回自動車損害賠償責任保険審議会を開催いたします。本日はご多忙のところご参集いただきまして、改めて御礼申し上げます。

前回の審議会以降、倉澤委員におかれましては、任期の満了に伴い本審議会の会長を退任しておられます。よって本日は会長をお決めいただくことになりますが、それまでの間、本審議会の事務局を担当させていただいております私、保険課長の保井が当面の議事進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。

まず、前回の審議会以降、委員を退任された倉澤委員、井手委員、市川委員にかわられまして、今回より就任されることになりました委員について、ご紹介を申し上げたいと思います。まず、戸川委員でございます。

【戸川委員】

全国交通事故遺族の会の戸川と申します。よろしくお願いいたします。

【保井保険課長】

ありがとうございます。

浅野委員でいらっしゃいます。

【浅野委員】

日本損害保険協会自賠責特別委員会委員長の浅野でございます。よろしくどうぞお願いいたします。

【保井保険課長】

ありがとうございました。

さて、当審議会の会長の選任についてお諮りいたします。会長は自賠責審議会令第4条の規定に基づきまして、委員の互選によるということとされております。ここで皆様のご意見を伺いたいと思いますが、いかがでございましょうか。

浅野委員、お願いいたします。

【浅野委員】

今までのご実績等から言って、山下先生がいいのではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。

【保井保険課長】

ほかにご意見はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【保井保険課長】

ありがとうございます。

山下先生のご了承をもって、会長就任をお願いいたしたいと存じますが、山下先生、いかがでございましょうか。

【山下委員】

それでは、ご指名でございますので、謹んでお受けさせていただきます。

【保井保険課長】

ありがとうございました。

それでは、山下会長におかれましては、会長席にお移りいただけますでしょうか。

(山下会長、会長席へ移動)

【保井保険課長】

それでは、まず山下会長よりごあいさつをいただきまして、その後の議事を山下会長にお願いしたいと存じます。それでは、よろしくお願いいたします。

【山下会長】

ただいまご指名により、会長の職を務めさせていただくことになりました。甚だ力不足ではございますが、この審議会が任務を十分遂行できるように議事進行役を務めさせていただきますので、どうかご協力のほどよろしくお願いいたします。

さて、本日の議題といたしましては、お手元の議事次第にございますように、料率検証結果に関する審議となっているほか、報告事項が幾つかございます。

それでは、まず事務局より議題及び資料の確認をお願いいたします。

【保井保険課長】

かしこまりました。それでは、改めてよろしくお願いをいたします。

本日の議事につきましてご説明をさせていただきます。

まず、お手元にお配りいたしました議事次第をごらんください。まず自賠責保険の基準料率についての検証結果が、損害保険料率算出機構から報告されておりますので、これについて、当方より説明をさせていただきます。

加えまして、報告事項といたしましては、4点ございまして、1点目は、保険料等充当交付金について、2点目は平成20年度自動車安全特別会計(旧自賠特会)の運用益の使途について、3点目が平成20年度民間保険会社の運用益の使途について、4点目が平成20年度JA共済の運用益の使途について、それぞれからご報告をいただきたいと思っております。

また、お手元に資料1から5までをお配りいたしております。ご確認いただければと存じます。

以上でございます。

【山下会長】

よろしゅうございましょうか。それでは、議事に移りたいと思います。

まず料率検証結果につきまして、事務局よりご報告いただき、ご議論いただきたいと思います。

では、事務局よりご説明をお願いいたします。

【保井保険課長】

かしこまりました。事務局でございます。

お手元にございます資料の平成19年度料率検証結果についての資料をごらんいただけますでしょうか。自賠責保険にかかる基準料率につきましては、その適正を確保するため、損害保険料率算出機構が毎年その妥当性の検証を行いまして、その結果を金融庁長官あてに報告いただくことになっております。昨年末に19年度の検証結果が料率機構より金融庁長官あてに報告されておりますので、その内容についてご報告をさせていただく存じます。

まず、1ページ目は自賠責保険、共済の収支表でございます。1ページ目につきましては、全事業者について収入純保険料、支払保険金、収支残、損害率等についての過去の推移、及び平成19、20年度の予測値を整理したものでございます。今回の検証では一番下の2つの欄の19、20年度が対象となってございます。一番左側の収入純保険料の予測値は、19年度9,733億円、20年度9,664億円となってございます。

これに対しまして、次の欄の支払保険金をごらんいただきますと、平成4年度以降、交通事故死傷者数の増加及び限度額の改定等を背景に、支払い額が増加傾向を示したものの、近年は交通事故死傷者数の減少とともに、全体として減少傾向にございます。したがいまして、支払保険金の予測値は、19年度8,291億円、20年度が8,238億円となってございます。

また、それまで減少傾向を示しておりました収入保険料及び支払保険金が19年度、20年度において、それまでより増えておりますのは、JA共済が18年12月1日から保険会社と同様に共同プール運用を行うのに伴い、18年12月以降に締結された契約については、JA共済を含めた収支となっているためでございます。

また、収入純保険料及び支払保険金をネットした収支残につきましては、19年度1,442億円、20年度1,427億円の黒字となってございます。この結果、一番右の欄、損害率につきましては、19、20年度とも85.2%となってございます。17年4月の基準料率改定の際にはこの注4にございますように、予定損害率を106.9%と見ておりましたために、乖離率は20.3%の減と大きなものとなってございます。

また、17年4月の基準料率改定時の見込みに比較いたしまして、今般の検証で損害率が低下した主な要因といたしましては、交通事故死者数及び交通事故及び交通事故負傷者数の減少により、事故率が改定時の見込みより大幅に減少したこと等が挙げられるわけでございますが、詳細は後ほどご説明いたしたいと存じます。

1枚おめくりいただきまして、2ページ目でございます。これは(参考)JA共済の自賠責共済収支表でございます。JA共済については、18年11月末までは、共同プールとは別枠で運営がされているということでございまして、当該期間の数字は前のページの全体表には含まれておりませんため、参考として資料を用意させていただきました。

3ページ目でございます。交通事故発生状況でございます。この資料は1ページ目の収支表の係数を算出する前提となる数値を整理したものでございます。まずは、3ページ目の警察庁の資料による交通事故発生状況でございます。

発生件数を見ると、平成16年をピークに減少傾向を示してございます。死者数につきましては、平成3年以降、多くの年で前年水準を下回る形で推移をしてございます。直近の19年につきましても9.6%の減となってございまして、近年の減少傾向が続いてございます。また次の欄の負傷者数については、平成3年以降は毎年増加しておりましたが、13年に2.2%の増加幅にとどまった後、14年から16年にかけてほぼ横ばいが続き、17年以降は減少傾向を示してございます。

4ページ目でございます。これは自賠責保険料率検証における主な予測要因でございます。まず、収入純保険料の前提となります保有車両数及び新車需要台数につきましては、国土交通省の推定を使用してございます。保有車両数は、19年度1.1%、20年度0.9%の増加が見込まれております。新車需要台数は19年度は0.3%の減少、20年度は1.3%の減少がそれぞれ見込まれてございます。

また支払保険金の前提となりますマル1事故率、及びマル2平均支払保険金については、以下のとおりでございまして、まず、事故率につきましては、過年度の事故率の推移及び先ほどご説明申し上げました交通事故発生状況を参考として算出してございます。(2)、マル1の一番左側の死亡事故率でございますが、これについては、19年度0.00752%、20年度が0.00731%ということでございまして、その後も減少傾向で推移していくと予測してございます。なお、こうした事故率は、17年4月の基準料率改定時に見込んでおりました死亡事故率と比較をいたしますと、19年度で21.4%の減、20年度で22.6%の減と、それぞれ低下してございます。この要因といたしましては、昨今の死亡事故の減少傾向及び事故率の低いJA共済との合算検証を行ったこと等が考えられるということでございます。

これに対しまして、真ん中の後遺障害事故率につきましては、19年度に0.06276%で減少しておりまして、20年度以降もこの水準が継続していくと予測してございます。また、後遺障害を除いた傷害事故率につきましては、19年度に1.34253%に減少しておりまして、20年度以降もこの水準が継続していくと予測をしてございます。

続きまして、マル2平均支払保険金でございますが、この予測要因でございますけれど、賃金上昇率、真ん中の欄の治療費の上昇率、右側の欄の支払基準の改定による影響が大きな要素となってございます。このうち賃金上昇率につきましては、19年度以降0.0%、横ばいに推移するという検証を行ってございます。近年の賃金上昇率は17年度以降ほぼ横ばいとなってございまして、19年度に入ってからも伸び悩みが見られておりますため、中長期的な観点から横ばいで推移するというふうに見込んでございます。

また、治療費の上昇率につきましても、近年の治療費上昇率はほぼ横ばいの状況が続いておりまして、中長期的な観点から19年度以降0.0%の横ばいで推移するものと見込んでおります。

また、治療関係費、休業損害及び慰謝料等の単価及び上限額等を定めました支払基準改定による上昇率につきましては、過去の実績を踏まえまして、20年度に0.67%の上昇。20年度以降、1年おきの0.44%の上昇を見込んでおります。

5ページ目でございます。これにつきましては、ただいま説明いたしました死亡、後遺障害、傷害の事故率の推移についてグラフの形でお示ししたものでございます。死亡事故率については、13年度以降、ごらんいただきますとおり低減傾向にございます。また、その下の後遺障害事故率につきましては、14年度以降は低減傾向にございます。また、右上の傷害事故率につきましても、15年度以降、低減傾向をいずれも示してございます。ただし、先ほど申し上げましたとおり、中長期的な観点から20年度の後遺障害事故率、傷害事故率については、19年度と同一の水準を用いてございます。

6ページ目、自賠責保険・共済の支払件数及び平均支払保険金の推移の表でございます。これにつきましては、以上の前提を置いた上で、自賠責保険・共済の支払件数、平均支払保険金を算出いたしまして、その推移を整理したものでございます。一番左側の欄の死亡の支払件数につきましては、19年度6,146件、20年度が5,086件と予測してございます。19年度は4.3%の増加、20年度は2.6%の減少と、多少数値がぶれてございますけれども、これは複数年契約の件数の年度による波が出ているということと、JA共済の合算検証の影響と考えられております。また、平均支払保険金については、19年度が2,429万1,000円、20年度が2,433万3,000円ということになってございまして、ほぼ横ばいとなってございます。

また、後遺障害の支払件数につきましては、19年度5万2,560件、20年度5万2,285件と予測してございます。19年度4.6%増、20年度については0.5%の減と、多少数値がぶれておりますが、これは死亡の場合と同じ要因でございます。傾向といたしましては、保有車両数の増加から微増を見込んでございます。平均支払保険金につきましては、19年度が438万7,000円、20年度が439万9,000円、ほぼ横ばいになってございます。

また、一番右の傷害の支払件数につきましては、19年度112万4,000件、20年度が111万8,000件と予測してございます。19年度が5.7%の増、20年度が0.5%の減と、死亡、後遺障害の場合と同様に多少数値がぶれておりますけれど、傾向といたしましては、保有車両数の増加から微増を見込んでございます。平均支払保険金につきましても、19年度は39万9,000円、20年度が40万1,000円と、これもほぼ横ばいとなってございます。

7ページ目でございます。自賠責保険・共済の支払保険金の推移でございます。これにつきましては、先ほどのページの支払件数と平均支払保険金を掛け合わせました支払保険金の推移を整理したものでございます。下から2番目の欄でございます。19年につきましては、死亡で4.3%の増加、後遺障害で5.3%の増加、傷害については5.9%の増加、全体で5.4%の増加を見込んでございます。同様に20年度につきましては、死亡で2.4%の減少、後遺障害0.2%の減少、傷害で0.3%の減少、全体で0.6%の減少を見込んでございます。この合計欄の19年度8,291億100万円、20年度で申しますと、8,237億5,500万円の数字が、本日最初にご説明いたしました1ページ目の収支表の支払保険金の19年度、20年度の係数とそれぞれ突合するということになるということでございます。

8ページ目でございます。これにつきましては、介護を要する後遺障害の支払件数、及び支払保険金の推移でございます。昨年の審議会におきますご指摘を踏まえまして、介護を要する重度の後遺障害について支払件数及び支払保険金についての表を掲載してございます。現行の後遺障害の等級が設定されました平成14年以降に発生した事故についての数字を示してございます。事故発生から後遺障害が確定するまでに一定期間を要するため、15年度、16年度にかけて支払件数が急増し、その後も増加傾向を示しておりますが、次第に安定するものと考えられております。

9ページ目でございますが、これは自賠責保険、自賠責共済の民間分の運用益の状況について、参考に係数を添付しているものでございます。

恐縮でございますが、1ページ目にお戻りいただけますでしょうか。1ページ目の表でございますけれど、まとめといたしましては、今般の基準料率の検証における損害率につきましては19、20両年度とも85.2%と、17年4月の基準料率改定時における予定損害率106.9%に比べて、乖離率が20.3%の減となってございます。後ほど国土交通省から詳しくご報告いただく予定でございますけれど、保険料等充当交付金が20年度以降廃止されることになりますことから、現行の基準料率が維持されれば、契約者負担額はその分だけは20年度に上昇する見込みでございます。

他方、損害率は、当初見込みより良好に推移をいたしておりまして、累積運用益も当初見込みを上回る還元財源が生じる見込みとなっておりますことから、今般基準料率の改定を行うことで、契約者負担の軽減をすることとしてはどうかと考えてございます。

口頭の説明で恐縮でございますが、契約者負担額の考え方でございますけれども、保険会社の累積運用益を活用いたしまして、今後5年から7年間で契約者に還元した場合、20年度の基準料率の引き下げ率は次に申し上げるとおりでございます。まず、5年還元の場合でございますが、この場合は基準料率の引き下げ率は24.7%の減となります。次に6年還元の場合は、22.0%の減でございます。さらに7年還元の場合でございますが、20.1%の減でございます。

基準料率の改定につきましては、累積運用益の還元期間は契約者への公平な分配、ノーロス・ノープロフィットの原則、基準料率の長期的な安定の3要素を考慮することが必要と考えられております。まず、契約者の公平の分配につきましては、還元期間が短過ぎて、引き下げた保険料での契約を締結できないユーザーが発生しないということが必要でございます。この点、自賠責保険の契約期間は車種によって異なっておりまして、最長では5年でございます。このための値下げの恩恵をすべてのユーザーが享受するためには、最短5年間の還元期間が必要と考えられます。

他方、2番目の原則でございますノーロス・ノープロフィットの原則に照らしますと、累積運用益等は確実に契約者に還元していくことが重要と考えられております。過去の累積収支残の還元期間はおおむね5年から7年間にかけて行われております。しかし、7年還元や6年還元のいずれの場合におきましても、予想よりも還元財源の償却が進まずに、途中でさらに引き下げを行っているという経緯がございます。したがいまして、これらの経緯にかんがみれば、還元財源を予定通り償却するためには、6または7年の長い還元期間を設けることなく、ノーロス・ノープロフィットの観点を踏まえ、5年間で還元することが適当と考えられるということでございます。

以上でございます。

【山下会長】

ありがとうございます。後ほど、保険料等充当交付金につきましては、国土交通省から報告がございますが、参考までに申し上げますと、来年度については、保険料等充当交付金がなくなる一方で、交通事故の減少等に伴う損害率の改善により、予想以上の黒字収支となっているほか、運用益についても累積しているということでございます。このため、今般、基準料率を改定することについてご審議をいただければと存じます。

それでは、ただいまの報告につきまして、ご質問、ご意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

北原委員。

【北原委員】

前にも質問したことなんですけれども、交通事故発生状況の3ページの中に負傷者数というのがありますけれども、重度後遺障害者の数というのがやはり損害につながってくるわけですから、その辺、自賠責の傷害等級の別表第1、あるいは従来の表の1級、2級、3級の労働能力100%喪失に該当する人たちがどのぐらい発生しているんだろうか、そういうことはやはりこの保険料の算定の中には参考にすべきような基礎数字の内に入るんじゃないかと思うんです。そういう数字が、前にも発言したことがあるんですけれども、ないと。

そこで、4ページの後遺障害事故率、ここに数字が出ているんですけれども、あるいは6ページの後遺障害の支払件数というのが出ているんですけれども、後遺障害といっても、労働能力100%、例えば別表第1に該当する人たちは、自分の意思を発表することもできなければ労働能力もなくしていると。そして、介護を必要としている。だから、普通の人間として社会生活ができないという面から見ると、死亡と同じなんです。そして手間が非常にかかる。介護に人手を要する、非常に社会が支えていかなければならない、社会に負担をかけるというような人たちですから、そういう人たちがどのぐらいいるのかということをここに表現してほしいんです。というのは、そういう基礎数字があってこその保険料の審査になるんじゃないかと思うからです。

それと、ちょっと初歩的なことでよくわからなかったから聞きますけれども、後遺障害事故率というのは、分母と分子は何ですか。

そういう意味で、後遺障害とくくりましても、大変幅がある。1から14級まで広がっていて非常に幅がありますから、14級とかになりますと、社会生活ができるし、その方々は社会に対して寄与ができるわけです。ところが、それができない人たちと、社会に寄与ができる人たちとでは、やはり障害の内容がかなり違う。障害が重い人たちは社会で支えなきゃいかんということなのに、そういうことがここにデータとして盛り込んでいない。やはりちゃんとした基礎データがあってこその自賠責料金のあり方の審議になると思うので、その辺について、今後どうされるか、ご意見を聞きたいということで、す。事故率のことも含めまして、よろしくお願いします。

【山下会長】

保井課長。

【保井保険課長】

北原先生、ご指摘ありがとうございます。昨年の審議会でご指摘をいただきまして、私どもといたしまして、データの集約の制約、作業状況等も勘案しながら、精いっぱいの数字を集めさせていただきまして、この8ページ目につけさせていただきましたのは、参考表でございますけれども、できる限り私どもとしてもデータを出していきたいというふうにして、本年度の審議会で出させていただいた表でございます。

他方で、先生がおっしゃいますように、そういった十分にデータをもって検証すると、審議会にお示しする上で大変重要でございますので、なお、私どもといたしましても、データの収集、あるいは審議会へのご報告について改善に努めてまいりたいと考えてございます。

また、事故率の分子、分母につきましては、今手元に数字がございませんので、また調べて後ほどご説明をさせていただきたいと存じます。

以上でございます。

【山下会長】

北原委員。

【北原委員】

障害等級の認定が毎年されているわけです。別表第1と、それからすべての認定がされているわけです。そのうちで、別表第1の1級、2級、それから従来の表の1級、2級、3級、その辺は分類したときに非常に重度障害者ですので、その辺の基礎数字が、どれぐらい年間に認定されているのか、支払件数と認定の数は同じじゃないと思うんです。だから、その辺がわかるようにしていただきたい。要するに、認定をしたわけですから、その事実がある以上はその数字がわからなきゃおかしいので、わかるようにしていただきたいということなんです。

【山下会長】

それでは、事務局、またご意見を踏まえて、ご検討をいただくということでよろしいでしょうか。

ほかにいかがでしょうか。

加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】

ただいま事務局から料率検証結果と、今後の還元のあり方についてご説明をいただいたんですけれども、今、事務局のほうからご提案のあった5年でというところについても、私も賛同したいと思います。

今、ご説明のあったような事故の減少という事情が一つはありますのと、それからさらに将来を考えましたときに、自動車会社そのものも、車の側のいわゆる乗員の保護、あるいはさらに衝突した場合の歩行者や相手側の保護といったことを大変研究もしておりまして、そういった面での減少もこれから期待もされるところでありますし、ノーロス・ノープロフィットの原則からすれば、さらに今後先行き、この累計収支残が積み重なっていくことも予測されますので、5年間で還元していくということについは、私は非常に適当ではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。

以上です。

【山下会長】

広重委員からお願いします。

【広重委員】

日本消費者協会の広重と申します。

国民生活全体のことを考えたときに、社会保障費などが家計にとって重圧であるとか、そういったお話もあります。そういう中で、道路交通法が厳しくなりまして、駐車違反などが随分罰金を取られるようになりましたけれども、国民がみんなで安心・安全ということを考えた結果、こういった強制的な負担が減るというようなことは、国民にとっても消費者にとっても歓迎すべきことだと思いますので、5年で還元というのに私も賛同したいと思います。

【山下会長】

堀田委員、どうぞ。さっきは失礼しました。

【堀田委員】

質問させていただきたいのですが、3ページに示されている死者数というところですけれども、自賠責はご案内のとおり、自損事故は対象になっていないんだろうと思うんです。そうすると、この死者数の中に当然単独事故というのも含まれているんだろうと思うんですが、それについて、どういうふうに勘案されているのか。あるいは、減少しているとずっとおっしゃっていましたけれども、自損事故を除いた部分も含めて、そういう傾向が見られると、そういう意味合いで理解していいのかというのが一つ。

もう一つは、その数字と、それから6ページに支払いの件数が示されておりますけれども、多少の数字のずれはあると思いますけれども、この2つの関係をどういうふうに理解したらいいのかということをお教えいただきたいということです。

【保険課】

担当よりかわってお答え申し上げます。

まず3ページの表でございますけれども、こちらは警察庁がとっております交通事故の統計でございまして、先生ご指摘のとおり、自損事故というのも含んでおられるのではないかと思われますが、一方で、料率検証に使っているデータというのは、あくまで保険統計のデータになってきております。ですので、ちょっとまた別の数値になってきてございます。

3ページの表は、交通事故全体の傾向を把握するために参考とさせていただいているところではございますけれども、実際の料率検証に使用してはございませんので、そういった意味で3ページと6ページで少し数字がぶれてこようというところはございます。

具体的に自損事故が何件というのは、ここでは特に分けてはございませんけれども、自損事故を除いたとしても、全体として交通事故は下がっているであろうということは伺えようかと思います。自動車事故の被害者救済を本旨とする自賠責制度のあり方にも関わってくるお話ですが、御意見として承らせていただきます。

【山下会長】

よろしいでしょうか。

福田委員。

【福田委員】

福田でございます。先ほどの還元のところで、5年、6年、7年と3種類の数字をお出しになったのですが、料率改定に当たってのスタンスと申しますか、料率改定というのは、そもそも頻繁に行うようなものではないのだろうと思います。契約者のバランス、公平性の観点、あるいは代理店などの混乱も出てくるような気がします。ですから、安定した料率水準を維持するということを考えながら、ファンドの還元期間というのは5年よりも長めにしていくということも考える必要があるんじゃないかなと思っていまして、5年という方も多いようですが、私はどうも7年のほうがいいような気が若干するんですけれども。

【山下会長】

ただいま5年の提案に賛成というご意見と、それから7年がいいのではないかという福田委員のご意見が出ておりますが、このあたり、いかがでございましょうか。

どうぞ、石井委員。

【石井委員】

日本医師会の担当の石井と申します。

救急医療の現場から見ますと、結論を先に申し上げれば、余り長めの数字でおやりになると、将来の見通しがかなりずれ込む可能性があるというふうには思います。

それは、一つはこの死亡者数は減っているというのは事実です。ただ、どちらかというと、重症な複合損傷の例は、要するにセーフティーネットがある程度整備されてきて、なおかつそれを超えるような損傷というのは、どうしても単純な損傷ではなく重症化する、複雑化する。結局、この一番最後の8ページにあるような数字にだんだん反映されていく危険はあるわけです。重症の方が保障という部分のところに入ってくる可能性がありますので、そこのところはやはり見ていかなきゃいけない。

それからもう1点はおわびも含めてなんですが、救急医療の受け手のほうも、今、重点化・拠点化という言葉で代表されますが、逆に言えば、地域でどこでも受けられた状態が、医師の不足・偏在、両方が進行しておりまして、だんだん搬送の距離も長距離化しておりますし、それから広域化と。そうしますと、搬送時間の延長ということが今、救急の現場で問題になっております。それによって、いろいろな報道がある、いろいろなことがあるということもおわびしながらなんですが、そういう状況も見ますと、救急車による搬送の限界というのがどうしても出てきまして、ドクターヘリの話を、去年もこの場でお話しさせていただきました。そういうものの整備事業というのが、法律が昨年通りまして、一層整備していきましょうと。搬送時間というよりは、そこに医療チームが行って、そこから医療を始めると。それによって、重症化、また後遺症、そういうものをちょっとでも軽減したいという方向で我々も協力したいと思っていますので、話は戻りますが、そういうことを全体で勘案しますと、余り長いスパンで、この推計がずっといくはずだということはなかなか申し上げにくい。医療の現場から見ると、もう悲鳴が上がっている部分が多いものですから、そういうことを含めて、とりあえず今のいい状況はいい状況で還元していただく、それは賛成だという意見でございます。

【山下会長】

ほかにいかがでございましょうか。ご意見はございませんでしょうか。

そうすると、一応ご意見は伺ったということにさせていただきまして、先ほど、申し上げましたように、保険料等の充当交付金がなくなることにより、契約者負担増が見込まれていた中で、先ほどの事務局における料率検証結果の説明では、交通事故の減少等により、損害率については85%程度と、収支が予想以上の黒字となっているほか、運用益の残高も増加しているとの報告がありました。

一方で、自賠責保険の基準料率の改定を行うに当たって、累積運用益等の還元期間については、契約者への公平な配分、ノーロス・ノープロフィットの原則、基準料率の中期的な安定を考慮する必要があるとしております。

さらに補足しますと、自賠責保険の契約期間が車種により異なりまして、最長で5年となっていることがございます。それで、ノーロス・ノープロフィットの原則に照らし、運用益等については、確実に契約者に還元していくことが重要であること、それから過去の運用益等の還元期間がおおむね5年から7年にかけて行われているけれども、六、七年にわたって還元した際には、予定よりも還元財源の償却が進まず、途中でさらに引き下げを行っていること、そういうことを勘案いたしますと、還元財源を予定どおり償却するには、5年間が適当な期間設定ではないかという説明がございました。

この審議会におきましても、先ほどから委員の皆様方のご意見を伺っている中では、5年の還元というのが多数のご意見ではなかったかと見ておりますので、もし、ご異存がなければ、還元期間を5年ということに、この部会として決定したいということを考えておりますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【山下会長】

それでは、事務局の提案のとおり、5年を還元期間ということに決定させていただきます。どうもありがとうございました。

それでは、これを踏まえまして、事務局及び損害保険料率算出機構のほうで、新しい料率表等を作成していただきまして、来週18日の審議会におきましてご提示願いたいと思います。

そこで、続きまして、以下、報告事項でございますが、まず、保険料等充当交付金につきまして、国土交通省自動車交通局保障課山上課長より、ご報告いただきたいと思います。

【山上保障課長】

ただいまご紹介にあずかりました国土交通省自動車交通局保障課長の山上でございます。

お手元に資料2がございます。1枚お開きいただきますと、保険料等充当交付金の終了についての説明をしてございます。まず1の保険料等充当交付金の概要でございますが、ご案内のとおり平成13年に成立いたしました自動車損害賠償保障法等の一部改正法におきまして、平成13年度末の政府再保険制度廃止の際の累積運用益、当時で約1兆9,400億円ございましたが、この運用益の20分の11、約1兆700億円につきまして、ユーザーに還元をすることといたしました。残りの20分の9、約8,700億円につきましては被害者保護対策に充当することにした経緯がございます。

そのユーザー還元につきましてでございますが、平成14年度から平成19年度までの6年間の保険契約について、保険料の一部を保険料等充当交付金という形でユーザーの皆様へ交付する形でユーザー負担額の引き下げを行うこととしたわけでございます。

現在までの交付状況でございますが、次のページの図とあわせ、ご覧いただきたいと存じますが、次のページの二重線が認可保険料であります。太い線が実際のユーザーの負担額ということで、平成14年から20年まで、その2つの線の間に交付金という形で記載しておりますが、この交付金を交付することによりまして、二重線の認可保険料からユーザー負担額に引き下げを行ったということでございます。

その交付に当たりましては、当初3年間は厚めに交付をいたしまして、従来のユーザー負担額維持に必要な交付金を交付することによりまして、急激な保険料負担額の増加を防止するという方針を立てまして、その方針のもと、平成16年度までは、平成13年度以前と同一のユーザー負担額を維持してまいりました。2万7,630円という形であります。その後3年間はごらんいただいておりますように、太線が徐々に階段状に上がっておりますけれども、段階的に交付金の引き下げを行ったところであります。なお、19年度契約分の支払いをもって終了となるわけでありますが、最終年度であります19年度、つまり今まさに最終を迎えようとしておりますが、19年度の第4四半期の契約についての保険料等充当交付金の支払いに当たりましては、支払いに関する手続等もございまして、実際の支払いは平成20年度の第1四半期、つまり7月までに交付を終了いたします。この額が約75億円でございまして、これをもって保険料等充当交付金の交付が終了いたします。

ということで、約1兆700億円でありますけれども、交付金の総額が約8,000億円強、残りにつきましては、従前より政府の再保険の契約をしておりました契約分の支払いにつきまして赤字料率を設定しておりましたが、この赤字料率の分の支払い分が約2,600億円強ということで、合計で約1兆700億円の支払いを終了するということでございます。

以上、説明を終わらせていただきます。

【山下会長】

ありがとうございました。

それでは、ただいまのご報告につきまして、ご質問、ご意見があればいただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

それでは、報告を承ったということにさせていただきます。

それでは、続きまして、平成20年度自動車安全特別会計、これは旧自賠特会でございますが、その運用益の使途につきまして、やはり国土交通省の山上保障課長よりご報告をお願いいたします。

【山上保障課長】

それでは、引き続きまして、私から資料3に基づきまして、旧自賠特会の運用益の使途について説明をいたします。

まず、1ページ目から3ページ目までですが、これは、20年度の予算額を中心に対象事業の概要を整理したものであります。4ページ以降につきましては、平成18年度の実績について整理をいたしたものであります。

まず、来年度の予算に盛り込んだ運用益活用事業の概要についてご説明申し上げたいと存じます。

1ページ目をお開きいただきたいと存じます。なお、今回から、前回の審議会でのご審議、ご指摘を踏まえまして、18年度の予算と決算についても欄をつくりまして、経緯がわかるような形でお示しをしてございます。

まず、1ページ目につきましては、独立行政法人自動車事故対策機構に対する助成ということで、一覧にしてございます。ちなみに、2ページ目、3ページ目につきましてはもう一つの柱でございます(2)自動車事故対策費補助金ということで、各種団体に対する補助金の制度についての概要を整理してございます。この2つの柱からなっているわけですが、最初の柱であります独立行政法人自動車事故対策機構に対する助成でございます。

大きく3つの柱に分かれております。まず、自動車事故対策費補助金、上のほうの欄に書いてございますが、ここのポイントは、マル1の自動車事故による重度後遺障害者に対する介護料の支給でございます。介護料の支給ということで、20年度は30億強の予算を計上してございます。19年度予算に比べますと、1,300万円ほど減少しているわけでありますが、この介護料の支給につきましては、実績に基づいて、実際のニーズに合った形で支給しておりまして、実需に合わせた予算とした結果でございまして、支給に支障は生じないということでございます。

続きまして2番目の柱でございます。真ん中の欄でございますが、独立行政法人自動車事故対策機構施設整備費補助金、これは、重度後遺障害者に専門的な治療を行います療護センターというものが全国に4カ所ございますが、その療護センターに整備される高度な医療機器の整備に対する補助金の交付ということでございます。本件につきましては、20年度予算額が4億8,600万余ということになってございまして、19年度比で2,300万余減少してございますが、これも実際のニーズ、療護センターから実際に必要な医療機器のニーズ、及び最近の医療機器は若干値が下がっているということもありまして、その実際のニーズを反映した数字でございます。

続きまして3番目でありますが、自動車事故対策機構運営費交付金ということで、総体で言いますと、約3.8%の減少ということでございますが、ここでは、先ほど申し上げました療護センターの運営費ですとか、交通遺児に対する育成資金の貸付けに必要な経費ですとか、あるいは自動車運送事業の安全対策に必要な指導講習、適性診断等の費用、あるいは自動車の安全情報を提供する自動車アセスメントに関する費用、こういった事業を行う上で必要な運営費を交付金という形で交付しております。20年度の予算額を見ますと、81億余でございまして、19年度予算額の84億円余に比べますと、3億円強減少してございます。

ご案内のとおり、独立行政法人につきましては整理合理化の議論が夏以降、活発に行われました。本独立行政法人も例外ではございませんで、厳しい見直しをみずから、そしていろいろな方のご意見も踏まえて行ってきたわけであります。しかしながら、必要な被害者対策については額を減らすことはできないという基本的な方針のもとで、どのようにして整理合理化を図るかということを検討してまいった結果、この減少分につきましては、主として自動車事故対策機構の一般管理費ですとか人件費、さらには業務経費という、いわば事務的経費の削減にご努力いただくことによって、あるいは自己収入の比率を高めていただくということによって、運営費交付金の交付を3.8%縮減しているわけでございます。

以上が独立行政法人自動車事故対策機構に対する助成でございます。

続きまして、1枚おめくりいただきまして、自動車事故対策費の補助金のほうでございます。基本的には、自動車事故対策費補助金は被害者の保護対策ということに充てられるわけですが、2つ便宜的に分けてございます。1つは2ページ目に書いてある被害者保護増進対策ということで、もう一つは、3ページ目にございます自動車事故発生防止対策ということで整理をしてございます。

まず、被害者保護増進対策でございます。本件につきましても、必要な業務の中身を精査するとともに、業務の実績なども踏まえまして、必要額を確保して、スリム化を行える部分についてはスリム化を行い、他方で、特に申し上げたいのは、下から3つ目の欄に紛争処理機関が行う紛争処理業務というのがございますが、これは自賠責の保険金の支払いに関する紛争が生じた場合に、ADRと申しますか、第三者機関として紛争処理を行う機関でございますが、その機関に対する経費の補助でございます。この件数が年々増えてございます。100件単位で審査検査が増えている状況でございまして、合理化にも限界がありますので、その必要な経費については、増額をしてございます。

そのほかについては減額をしてございますけれども、例えば、一番上の欄の自動車事故医療体制整備事業ですが、マル1救急医療機器整備事業の平成20年度の予算額2億2,900万円に対しまして、19年度予算が2億9,000万円ということで約6,000万円減額しております。これも従前よりこの補助制度を活用いただいて、各医療機関に救急医療機器の整備が大分されてまいりました。また、医療機器の値も若干下がってきたという経緯もありまして、そういった実際の医療機関側のニーズも踏まえた上で算出してございます。そういった整理をしながら、この被害者保護増進対策については予算を計上してございます。

続きまして、1枚おめくりいただきまして、もう一つの柱でございます自動車事故発生防止対策のほうでありますが、こちらについても詳細を説明すると長くなりますので、かいつまんでポイントを申し上げますと、例えばバス等の公共交通関係の補助につきましては減額をする一方で、先進安全自動車、これは4億1,250万円計上しています。平成19年度予算において補助制度を新設したわけでありますが、これは何かと申しますとトラックにつけられる自動衝突予防の機能を持ったブレーキを装着する際には半額補助するという制度でございます。トラックの事故が起きますと、非常に被害が甚大ですので、この制度をつくりました。これを20年度も引き続き行っていくということであります。

また、トラックの関係で言えば、下から2番目にトラック事業の安全対策リーディングモデル創出事業とございますが、これも新設いたしました。これは特に中小のトラック事業者、非常に経営が厳しい中で、安全にしわ寄せがあってはいけないということで、安全対策を積極的に取り組んでいただいている事業のケースといったものをリーディングケースとしてとらえて、広く普及していこうというためのインセンティブ補助でございます。

以上、自動車事故対策費補助金のトータルで言いますと、約1億5,000万の減となっておりますが、ただし、ここで1点申し上げたいのは、20年度予算におきましては、補助制度についての制度変更を一部行っておりまして、口頭で大変恐縮でありますが、従前、18年度の実績の資料を見ていただきますと、例えば5ページ、6ページを見ていただきますと、補助対象事業者という欄が一番左にございます。つまり、これまでの補助事業は補助対象事業者を補助を行う前に特定して、つまりその補助団体が行う業務をみて、この補助団体が行うのが適当であろうという判断をし、特定をして、補助を交付してまいりましたが、限られた予算でできるだけ効率的にパフォーマンスを高めていきたいという観点から、これを原則として公募制に改めました。例えば紛争処理機構ですとか日弁連交通事故相談センターのような、明らかにこの法人でなければできないというものを除きまして、原則公募制にいたしまして、これまで補助金を交付してまいった団体についても、もう一度効率性について見直しをしていただいて、競争原理を活用した形で補助事業の効率を高めていくというご努力をお願いしたいという趣旨で制度を変えてございます。

以上、若干長くなりましたが、事業効率を高めながら、限られた予算で必要なことをやっていくということをモットーに20年度の予算を組みまして、トータルで149億5,000万円ほど計上してございます。

以上でございます。

【山下会長】

それでは、ただいまのご報告につきまして、ご質問、ご意見があれば、お願いいたします。

【奥宮委員】

この運用益は平成13年度末の累積運用益のうちの9,000億円分が原資となっているものだと理解しておりますが、その個々の項目の増減は特に意見はないんですが、全体で3.3%下がるということは、その運用益という自体が減少しているのかどうか。それから、9,000億も全部残っているわけではなくて、こちらから見ると繰り出しになりますが、一般会計への繰出金があって、それがいつ繰り戻されるか。平成23年度までには繰り戻す予定というお話も伺っていたと思いますが、そのあたりの元金の問題と、それから毎年の運用利率がどうなっているのか。その中で、こういうふうに予算としては減少させざるを得ないのかどうかというところをご説明いただきたいと思います。

【山下会長】

どうぞ。

【山上保障課長】

ただいまご指摘いただきましたが、1兆9,400億円あった累積運用益のうちの20分の9、約9,000億円を自動車事故対策事業に充てるということでありました。その当時の制度設計では、その9,000億円を基金として積み立てて、その運用益で必要な事業費を出していくということでしたが、ご指摘のとおり、現在、一般会計に、平成6年、7年当時に非常に一般会計が厳しかったということで、お貸ししております。繰り入れという形でお貸ししておりまして、その自動車事故対策勘定からは平成19年度末の見込みで約5,000億円繰り入れをしてございます。現在はどのようにして費用を捻出しているかと申しますと、運用益だけでは賄い切れませんので、残っている積立金が2,500億円程ございますが、この元本を一部、毎年100億円強取り崩して、それで必要な歳出を賄っているといった状況にございます。

したがいまして、毎年審議会でもご指摘をいただいていますけれども、一般会計からの繰り戻しを早期に行わないと、安定的な自動車事故対策事業の運営ができないということで、財務省との間で毎年協議をしてございます。平成6年、7年当時に特例法という形で法律に基づいて繰り入れをしておりますが、返すということを法律上も書いてございます。いつまでに返すということにつきましては、先ほど委員からもご指摘があったかと思いますが、平成23年度までに財政状況、並びに特別会計の支出状況を踏まえながら、毎年度の返還額については、財務省と国土交通省との間で協議していくと、23年度までに分割して返すというのが財務大臣と国土交通大臣の覚書で定められておりますので、我々としては必ず返していただくということで、毎年度できるだけ早く返してくださいというお願いをしているわけでありますが、残念ながら20年度につきましては叶いませんでしたので、21年度に向けて、早い段階から協議を進めていきたいと思っております。

ちなみに20年度の予算ベースで申し上げますと、自動車事故対策勘定につきましては、152億の歳入歳出を予定しております。先ほど事業費については149億円余ということでお示ししておりますが、ここに必要な人件費、庁費等も入りますので、必要な額は152億、このうち運用益と過去に交通遺児に対して、無利子で貸付けをしているものが返ってきているものもありまして、その運用益とお貸しした額の返還金、これが約50億ございます。この50億で賄い切れないので、積立金から102億取り崩しをして充てるという状況でございます。

以上です。

【山下会長】

よろしいでしょうか。

戸川委員。

【戸川委員】

大変丁寧なご説明をいただきましたので、頭の中では大変よくわかりますけれども、私が被害者、あるいは遺族の代表というか人間として考えてみると、やはり感覚的には納得がいかないですね。

この後の民間の会社のほうも見せていただきましたけれども、これも運用益の使途がマイナスになっているんです。昨年からずっとマイナス傾向が続いておりまして、私たちは、もちろん下がっている理由については今お話しいただいたように、いわゆる合理化とかいったことをなさったり、コストダウンをしているわけです。それはよくわかりますけれども、数字の魔力と言いますか、数字が外部に与える印象というのは非常に大きいですね。こういったふうに被害者保護、あるいは事故防止策に投じられる費用というものが減っていくということは、これ自体が一種の後退というふうなイメージに受け取られかねない。

そもそも政府の再保険制度の廃止されたときの公約というか約束でしたけれども、交通事故の防止策と被害者保護については最優先課題でやっていくというふうなことがあったわけですね。そういった点から見ましても、今、もう予算を入れてもやることはないんだよということはないと思うんです。やることはいっぱいあると思うんです、私は。ただ、その辺の掘り起こしの部分のがまだ十分にできていないだけじゃないかと思うんです。せっかくの自賠責制度、世界に冠たるものだと私は思っていますけれども、こういった被害者救済制度みたいなものが、こういったふうに少しずつかんなをかけられるよに削られていくというのは、聞いていて非常に寂しい気がします。

ご存じだと思いますけれども、犯罪被害者基本法という法律ができて以来、被害者に対する政府や行政の姿勢というものが、本当に最近がらっと変わっています。そういう意味で、この自賠責制度は真っ先に被害者救済ということで政府の制度としてやっているわけですから、何とかこのマイナス部分というものを、これからは避けるような方向で考えていただきたいと私は思います。せっかくコストダウンをしたり、あるいはさまざまな苦労をして減らしたわけですけれども、それが減ったからよかったねではなくて、それを今度は別の新しい新規事業に振り向けるようなことを考えるべきではないかな。

私たちはかねて会のほうでも運動しているんですけれども、ドライブレコーダーとか、大型トラックの運転衝突防止装置とか、まだまだ大きな金をかけなければならない分野がいっぱいあるんです。そういった点から見ると、先ほど申しましたように、新規の分野を掘り起こしながら、できれば額面を削ることがないようなことをやっていただきたいなというふうに思います。

以上です。

【山下会長】

山上課長。

【山上保障課長】

委員のご指摘はごもっともでございまして、私どもとしても被害者の保護対策について、後退させてはならないというふうに思っております。また、ご指摘のとおり、必要な事業については必要なお金を出していくということでありますし、また、従前よりやっていて、もうそろそろいいのではないかという補助事業もあるのではないかという目でしっかり検証していかなければいけない、衣がえも考える、例えば、昨年から始めたASVに対する補助とか、あるいは現在まだ調査事業の中でやっておりますが、ドライブレコーダー、こういった新規分野についてどう取り組んでいくかということが我々の課題だと思っております。

一方、これは一般財源ではございません。ユーザーからいただいた特定財源でありますので、一般財源の議論とは分けて議論をしてくださいと我々は世の中に訴えていますが、他方で、ユーザーからいただいたお金も、これは貴重な公金でございますので、我々もこの補助事業の実施に当たっては、できるだけ効率性を高めていくという努力も同時にしていきたいというふうに思っております。

以上でございます。

【山下会長】

福田委員。

【福田委員】

先ほど5,000億円を一般会計に繰り入れているということで、これが返ってくると大体7,500億ぐらいで、ことしの支出から見ると、大体それでとんとんでいきそうだということになるわけですね、もし全部返ってくると。ぜひ、早く返していただいて、あと、くれぐれも埋蔵金、お宝だということで取り上げられないようにしていただかないと、これは本当に被害者対策のために重要な資金源でありますから、間違ってもそういうことのないようにしていただきたいと思います。

【山下会長】

山上課長。

【山上保障課長】

まさにご指摘のとおり、最近新聞の埋蔵金の報道を見ると、その中に自動車安全特会も入っているケースがあります。これは大きな誤解であると私は思っておりまして、これは被害者救済対策、あるいはユーザー還元に充てられるべき、目的がはっきりしているお金でありまして、余っているお金は一切ないということですので、いわゆる埋蔵金の議論については、そのようにしっかりと主張していきたいと思います。

【山下会長】

ぜひ、そのようにお願いいたします。

西崎委員。

【西崎委員】

先ほど戸川委員のご指摘の点です。例えば、資料3の2ページで、ここで最初の自動車事故医療体制整備事業、その2番目に短期入院協力事業というのがあって、これが20年度5,000万円減っているわけです。私、事故対策機構の事業評価のタスクフォースをずっとやっていまして、でも、この1年は私は退任して最近の状況はわからないんですが、もともとこの療護センターが北海道、あるいは九州にないわけです。それで非常に不便で、ですから療護センターの増設がずっと基本方針として随分長年掲げてきたんですが、療護センターの増設よりも協力病院をつくることによって代替していくというほうが非常に効率的であるということで、方針を転換しているわけです。

それと同時に、療護センター自体は、できるだけ回復の早い人を優先していくことによって治癒率を高めていくという。そうすると、回復の見込みのない方々はなかなか大変なんですね。政府のいろいろな国立病院も含めて、長期介護のほうは非常に制限がありますし、それから、また在宅介護を中心に重点を置いているわけですが、これも疲れちゃって、短期に入院させて、そこでチェックと家族の若干の休養を目指そうということで短期入院も随分力を入れてきたはずなんですが、例えば、ここで5,000万円減るということは、そういうニーズがもうなくなってきている、あるいは非常に行き届いてきているということなんでしょうか。

それから、療護センターにかわる協力病院の充実というのが一体どのぐらい進んでいるのか、その辺をちょっとお聞きしたいんですが。

【山下会長】

山上課長、よろしいですか。

【山上保障課長】

まず、短期入院協力病院でございますが、これはご指摘のとおり増やす必要があるだろうということで、平成18年度に、それまで32しかなかった短期入院協力病院を61に増やして、各都道府県必ず1つはあるようにするようにいたしました。

なぜこれが予算に反映されていないかということでございますが、実は平成18年度の予算を見ていただきますと、1億800万の予算を講じていたのですが、決算は3,200万ということで、我々も実は予想外でありました。19年度の予算については、32から61に増やしましたので、それを反映させた形で1億5,000万ということにしたんですが、どうも実際に状況を調べてみますと、この短期入院協力事業というのは、その病院に対する浴槽といった施設整備に対する補助ですとか、その病院にいらっしゃる看護師さんの研修の費用とか、そういった費用を補助する事業なんですが、短期入院協力病院を指定した際に、かなり施設の整った病院を指定した。逆にそういう病院じゃないとなかなか短期入院を受け入れるというのも難しいものですから、逆にそういう施設が整っている病院だったものですから、今現時点では浴槽といった施設整備のニーズが我々が想定したほどはなかったということで、額が20年度は下がっている。

しかしながら、浴槽等につきましても更新の時期が必ずまいりますので、更新する際には補助していくということでして、したがって、実際のニーズ、実需に合わせた形で変動していくというふうにご理解いただければよろしいかと思います。

それからもう1点、先ほど療護センターの空白地域であろう北海道、九州地区のご議論がございましたが、これにつきましては、療護センターの機能を一般病院に一部委託できないかという取り組みを進めておりまして、実は19年度の予算でそれを計上しており、19年度から、北海道、九州、それぞれ一般病院で施設の整った病院を1つずつ指定をしまして、そこに委託費を交付する形で受け入れを12月から開始していただいております。20年度もその増床分について必要な経費を、独立行政法人自動車事故対策機構の助成の中で計上してございます。

以上でございます。

【西崎委員】

ありがとうございました。

ただ、確かに事故件数、それから死者、負傷者、数としては減ってきているんですが、重度後遺障害の問題というのは、私の知る限りでは依然として深刻で、さらに例えば親亡き子の問題とか、いろいろな懸案事項もありますし、一般的に死者数が減ってきている、事故件数が減ってきているということで、重度後遺障害者問題ももう峠を越したのかというような印象を与えると、これは非常に実態に反しているので、その辺よろしく、国土交通省においても、自動車事故対策機構においても、引き続き力を入れていただきたいと思います。

【山下会長】

北原委員。

【北原委員】

今のお話に関係があることをちょっと話しますけれども、療護センターのサービスが悪いという声が、患者の中からあるんですね。ローテーションを図るようになってきたから、今、西崎さんのおっしゃるように、軽い人を入れるほうに傾向が変わってきているんじゃないか、ローテーションしやすい人を入れるほうに変わってきているんじゃないかという疑いがありますことと、もう一つは、画一的にローテーションを当てはめようとするために、非常に苦しんでいる患者がいるんです。いろいろな事情があって退院をできない、要するにワンパターンでいくということが、なかなか難しい。

原則と例外というのがない世界はないんです。困った人をいかに助けるかという視点がない。ただ、決まったことをやるだけだというふうな、お役所的な、そういう運営がされているんじゃないか。そこで、そういう方々の声なき声を調査するようなリサーチをやっていただきたい。フィードバックサイクルをもっとつくって、きめ細かいサービスをやるようにしていただかないと、ただ表面的な数字の羅列で議論するようなことになってしまうんじゃないかということが1つあります。

それから、全く異質のお話をしますけれども、自衛隊の車で傷害を負った人で、自衛隊に保険がない、自賠責もないと聞いたことがありますが、それで苦しんでいる人がいるんです。この辺、自衛隊は国の組織だから保険がないんでしょうか。そして、その救済策というのはあるのかどうか。自賠責制度というのは、広く国民の交通事故の被害者を救うという視点に立ったときに、組織の存在によって対応が違うというのはやはりおかしい。そういうことも、これは自賠責制度を議論する場合ですから、こういうところでも考えていただきたいんですけれども、その辺いいかがなものでしょうか。

【山下会長】

山上課長、よろしいですか。

【山上保障課長】

2点ご指摘をいただきました。

まず1点目でございますが、療護センターのサービスが悪いというご批判でございます。ご批判はご批判として、我々しっかりと受けとめていかないといけないと思っていますし、ご指摘のとおりフィードバックのシステムがないと、自分がやっていることがあたかもいいことだというふうに錯覚をしてしまうということがないとは言い切れません。私自身、現場も見せていただきましたが、現場は現場なりに一生懸命やっているというふうに思いますから、現在は、運営を民間に委託しているところでありますので、硬直的になり過ぎないように、しっかりと対応していかねばならないと思っておりますので、ご指摘を踏まえてフィードバックの努力をしたいと思っております。

2点目の自衛隊の車によって、不幸にして事故に遭われた方の救済が自賠ではないかということなんですが、ご指摘のとおり、自賠法では、自衛隊の車については対象になっておりません。これはただ、自衛隊というのは国の軍隊でありますので、別の賠償制度で救われているのではないか、今法律を確認できていないので軽々なことは申し上げられませんが、そういうセーフティーネットがあるのではないかというふうに考えてございます。

いずれにしても自賠制度は、車の賠償制度の特別法であってセーフティーネットですので、しっかりとそのセーフティーネットが機能するよう、例外となっているものについても、どのような運用がされているのかということについて、研究したいと思います。

以上です。

【山下会長】

よろしいでしょうか。

ほかに。加藤委員。

【加藤委員】

たびたびすみません。少し、今出ていたお話に関連して、本来であれば、18日に恐らく今後のあり方についてのお話があるでしょうから、そこで申し上げるべき意見だと思うんですが、ちょっと都合で出られないものですから、きょうあわせてお願いしたいんですが、今もございましたように、私もかねてこの場で何回かもあていますように、被害者救済の安定的に実施をしていくために、やはり自賠責そのものに組み込んだ賦課金という形で十分な費用を充てていくという発想が、やはり本格的に検討される時期に来ているのではないかなと思います。

埋蔵金などと言われるのは、もう論外だと思いますし、そういうふうに言われるのも、お金がたまるシステムになっていること自体に私はやはり問題があるのだろうと思います。今回、累積運用益の還元についてもきょう議論がまとまったところだと思うんですが、恐らく、これは軽々には言えない、石井委員がおっしゃったわけですが、先行き、事故件数等々も減少していく傾向にあるとすれば、この5年後に見直す。そのときにさらにユーザー負担が軽減できるようであれば、そのときに合わせて、いずれにしても前回の改正から一度あり方懇をつくって見直し、あと3年後にはまた5年目が来るわけですから、それに向けてぜひ前向きに検討していただいて、そして、被害者の方々の声を本当にきちんと反映していく姿にしていくべきではないのかな。

いずれにしても、決まったファンドで運営をしていくというところに非常に無理があると私はいつも申し上げていることでございますが、ぜひご検討いただいたと思います。

以上です。

【山下会長】

ご意見ということでよろしいでしょうか。

では、石井委員、どうぞ。

【石井委員】

ちょうど医療体制のところが話題になっておりますので申し上げますけれども、一つは急性期の救急病院の医療機器整備事業と、これはだんだんもういいじゃないかという方向のお話だったんですが、実態からしますと、今、医療の救急医療の中で、地域の病院が救急からどんどん撤退するという傾向が非常に強くなってきているんです。この首都圏でも、病院の姿は残っていても救急医療からチームが撤退する、縮小するとか、そういう実態が進んでおりまして、ですから、機器の整備という、これとのマッチングが要らなくなってきているというのは、そういうニュアンスもあるんです。

ですから、これは全部どんどんなくしていこうかという議論でいいのかどうかというのは、今、加藤委員がおっしゃったように、チームに対するサポートとか、セットアップ体制そのものをどういうふうに国で支えていくかという概念のほうにシフトしていただかないと、機械だけ整備すれば、あとは何とかやるだろうというのはもたない。悲鳴がもういっぱい聞こえるわけです。そこのところをまず一つ考えていただければと。

それから、もう1点、短期入院の話で、施設を増やしてという方向は、去年も僕が申し上げたように全く賛成なんです。ただ、今、ちょうど厚生労働省マターになりますけれども、地域医療計画の中で、リハビリであるとか療養病床の見直しとか、そういう方向が非常に顕著に進んでおりまして、確保しておかないと、いわゆる投資対効果、効果が非常に顕著なケア、治療の部分はそれでも、減らされながらでも何とかやる。でも、その後のケア、フォローのところは、非常にこれも脆弱になってきているということなものですから、こういう施設を確保するなり、事業を維持していく、横軸に確保しておかないと、一回そういうものがなくなってしまうと、地域から消えてしまうわけです。

よくイギリスの非常に惨憺たる状態になった例を引かれますけれども、やはりそこの視点で、ぜひこの事業をどうやってやっていくかと。継続していくかという視点でお考えいただければと思います。

以上です。

【山下会長】

ほかにいかがでしょうか。

古笛委員。

【古笛委員】

日弁連交通事故相談センターなどではいつもお世話になっております。

私たちは弁護士として、被害者の方のご相談ですとか、その後の事故処理などに携わっているんですけれども、その中で、やはり弁護士としてできることには限界があるということはすごく感じていまして、被害者あるいはご家族の方々、あるいはまた加害者となり得る立場の方々、業者の方々からお話を伺っていてとても勉強になるということもありますし、みな立場は違いこそすれ、目指すところは被害者保護であり、事故をなくすというところなので、いろいろな活動をされている方に、自賠責からもこのようないろいろな補助をさせていただくというのは、すごくいいことだと思っています。

したがって、公募制にされるというのはすごくいいことだと思うんですけれども、ただ、公募制と言っても、実際に公募しているということをいろいろな方がわからなければ、それは余り機能しないので、今までの補助を与えるという形ではなくて、求められて必要なものについて補助をするという形になったということを、どのようにして広報活動などをされるのか、そのあたり具体的にご検討されているのであれば教えていただきたいと思います。

【山下会長】

山上課長。

【山上保障課長】

ご指摘ありがとうございます。

公募制が形骸化したら何の意味もございませんので、公募制になったということを広く周知する必要があると思っております。

その前に補助金の交付要綱というのがございますが、それが特定の団体向けになっておりますから、その交付要綱見直しの作業を現在行っておりまして、広報については、年度末に向けて今まさに検討しているところでありまして、具体的に申し上げられないんですけれども、いずれ個別にご報告させていただければと思っております。

【山下会長】

高橋委員。

【高橋委員】

旧自賠特会、自動車安全特別会計については、毎回注文をつけさせてきていただいていますけれども、何にも増して、先ほどからご説明がありますように、ユーザーのお金を還元するという立場に立って、しっかり取り戻していただきたいということと、今回の記者レクに当たっても、既に事前にいろいろな報道が流れてしまっていますけれども、交付金が補助金だというふうな記述が非常に多いことについては誤解を招きやすいと思いますので、きょう及び18日に関しましては、今までユーザーからとり過ぎた保険料を返していくんだというところもぜひ強調していただきたいと思っております。

それと、国土交通省さん、今回資料3で、決算も入れていただいて、以前から比べると非常にわかりやすくなってきたと思っておりますけれども、今後とももう少し透明性を増していく努力をしていただきたいと思います。

と申しますのも、先ほどご説明の中に被害者への救済とか、事故防止のほうにお金が使えるように、人件費とか事務管理費とかの削減をということなんですが、それがもう少し見えてくるとありがたいなと思っております。

この独立行政法人自動車事故対策機構に対する助成に関しては、国交省さん自体の評価の中で非常にいい、順調であるという評価をしていらっしゃるんですね。そういう中で人件費とか、そういうことに対しての注文は昨年つけていらっしゃらないということで、その辺が少し違和感を覚えました。ここはもっと踏み込んでいただくべきことではないかと思いました。

もう1点は、この機構が競争入札じゃない、随意契約に関しての見直しを出しておられるんですけれども、その点検、見直しのところで見直しの余地ありという項目がずらっと並んでいるわけですね。こういうところを削減していただいて、実質のところにお金がきちんと使われるような効率性を図っていただく必要があるのではないかと私は思っております。

そういう意味で、お金を出す以上、これの使い方に関してのチェックを国交省さんのほうにぜひしっかりやっていただきたいと思います。何を増して、ユーザーのお金であるんだということに立って、よろしくお願いいたします。

【山下会長】

山上課長。

【山上保障課長】

一般管理費と業務経費につきましては、実は独立行政法人の中期目標、5年の目標を19年度からスタートしておりまして、その中で、5年間で一般管理費であれば15%減という目標を達成すべしというのを自動車事故対策機構の目標として立てておられます。その目標を達成していくという、かなりきついタスクでありますけれども、それによって、何とか必要な経費を確保しながら、整理合理化を図っているという現状がございますので、19年度からスタートしているということは申し上げておきます。

もう一つは随意契約の見直しでありますが、今回の独立行政法人の見直しについても、大きなテーマになりまして、我々も独立行政法人の見直しの中で機構と相談をして、機構の努力を援助する形で、いろいろと相談させていただきました。

一般に独法においては、一定額以下については随意契約が認められておりますが、以前は独立行政法人と国はその基準が違っていたのですが、いち早く機構においては国と同様の基準とすることを先取りしてやっておられます。さらに、今回、どの時点の資料をごらんになったか私はわからないのですが、随意契約の率を相当減らしております。ただ、どうしても、随意契約でなければできない、例えば、事務所の借り上げとか、そういったことについては致し方ないという部分もありまして、それでそのような結果になっているのではないかと思いますが、ここまでやれば十分だということはないという性格のものだと承知しておりますので、見直しができる部分があれば、見直していきたいと思っております。

以上でございます。

【山下会長】

それでは、なおご質問があるかもしれませんが、あとの議題も、報告事項が残っておりますので、この自動車安全特別会計の運用益の使途についてのご報告の件は以上のとおりとさせていただきます。

ただいまいただいたご意見は、今後の運用益の活用のご検討をされるに際して十分にご参考いただければと思っております。

それでは、続きまして、平成20年度保険会社の運用の使途につきまして、浅野委員よりご報告をいただきたいと思います。

【浅野委員】

浅野でございます。ご報告させていただきます。

お手元の資料4、2008年度自賠責保険料運用益拠出事業(案)をごらんいただきたいと思います。本拠出事業(案)につきましては、業界で検討いたしました内容を、学識経験者の方を中心とした委員で構成されております自賠責運用益使途選定委員会というところにお諮りし、了承されたものでございます。なお、本拠出事業(案)につきましては、今後2月21日開催の損保協会の理事会で最終了承を得る予定ということにしております。

それでは、拠出事業(案)のポイントについて、簡単にご説明させていただきます。

まず、2008年度拠出事業(案)の作成に当たりましては、これまでの自賠責審議会答申、自賠責審議会におけるご意見、及び2001年度自賠法改正時の国会附帯決議などを踏まえまして、自動車事故の被害者対策というのを中心に充実させていくということを基本方針としております。さらに既存事業におきましては、事業報告なり、その検証ということを踏まえまして、一層の事業の見直しを行い、必要な事業は充実させる一方で、その他の事業は縮減するということにしております。

また、新規の事業につきましては、自動車事故被害者対策を中心に、幅広い観点から模索するとともに、自動車事故防止対策等、ほかの事業におきましても民間の果たすことのできる役割ということに照らしまして、1つ目としまして、被害者、家族等の心のケア、ネットワークづくりのための対策事業。2つ目としまして、高次脳機能障害等、いわゆる重度後遺障害の方についての医科学的研究の促進事業。3つ目といたしまして、飲酒運転による悲惨な交通事故の未然防止、それから高齢者の交通安全教育支援、さらに交通事故発生を減少させるための対策事業、こういったところへの拠出への可能性というのを追求することとしております。

個々の事業内容につきましては、項目が多いので説明は割愛させていただきますけれども、資料の1ページから4ページに記載されています、支出先のうち、1ページで言いますと、Aのマル3マル4マル5が新規の事業でございます。事故防止対策についての新規事業、これで1,995万円ほどの金額になっております。また、自動車の被害者対策につきましては、3ページを見ていただきますと、マル9マル10マル11マル12で4件、合計1,578万円、以上合わせまして7件、全部3,570万円強の事業へ拠出する案でございます。

既存事業のうちで必要とされる増額分というのも1,000万強行っております。

これら新規・増額の合計額は4,697万円ほどになりますけれども、しかし、一方で、警察庁、消防庁を中心としまして、本来税で賄うべきというご意見等も過去にございまして、その辺を踏まえまして毎年減額しております。さらにまた終了しているというものも合わせまして、1億1,500万円ほど実はマイナスがございます。その他、期間終了に伴うもののマイナスも5,500万円ほどございますので、これら終了・減額の合計額が1億7,000万とあるため、最終新規・増額と、終了・減額、差し引きしました合計額をしますと、マイナス1億2,000万強ということに、残念ながらなっております。

資料の4ページ、最後の合計にございますとおり、全体の支出額は20億1,653万円、率にして5.8%の減ということになっておりますけれども、新規事業については、これまでにも増して、被害者対策、事故防止対策というのに重点を置いて積極的に積み上げてまいりましたものの、先ほども申し上げました終了・減額の件がことしは多くて、結果としては前年比減ということになったものでございます。先ほど、戸川委員、北原委員からのご指摘等もありましたとおり、今後も新規案件の発掘にさらに努めまして、積み上げをさらに図っていきたいと考えております。

最後に直近5年間の拠出事業支援額の推移表、及び2006年度の運用益拠出事業報告書を添付させていただきますので、参考としていただければと存じます。

簡単でございますけれども、以上で2008年度の自賠責保険拠出事業(案)の内容説明とさせていただきます。

以上、ご報告申し上げました。

【山下会長】

ありがとうございました。

それでは、ただいまのご報告につきまして、ご意見、ご質問があれば、お願いいたします。

【田中委員】

ただいまの民間の運用益の問題で、先ほど自賠責特会の運用益と関連なんですけれども、自賠特会の運用益で見る事業と、民間の保険会社で見る運用益で見る事業と、その辺の仕分けというのが、どうも明確でないところがあるように思うんです。

例えば、私は警察におったわけですけれども、先ほど公的な性格の強い、警察に対する車と消防に対する車のほうは民間でやっておって、自賠特会ではそういうものに手を触れないというのはどうも逆のような感じがしまして、特別会計というのは国の会計ですから、少なくとも公的な色彩の強いものはそこでやる。民間にゆだねられるものは民間にゆだねるというような、そういうような具体的な基準とか、あるいは非常に新奇的なもので予算になじまないものは民間にゆだねるような、そういうような考え方がもうちょっとあってもいいのかなという感じがして仕方がないんです。

例えば、先ほどドクターヘリの話がありましたけれども、ドクターヘリはせっかく昨年法律ができたわけですから、国の特別会計で運用益の中で何か取り組みがあってもいいんじゃないかという感じがしますけれども、これが見えてこないとかいうような、その辺の自賠特会、あるいは民間との仕分け、守備範囲というのか、その辺がもう少し明確になれば、それぞれどういう事業に重点的に執行するかということがよりはっきりしていくんじゃないかという感じがするんですが、その辺は国もどういうふうにお考えになっているのか。

【山下会長】

これはどなたがよろしいでしょうか。

【浅野委員】

民間の考え方としましては、おっしゃるとおり、やはり過去のいろいろなご意見の中では、国の事業は、基本的には本来は税金を投入してやるべきだろうと、こういうお話が結構ありましたものですから、そうは言っても、民間で過去からいろいろな経緯で出しているものを急に削るというのも、せっかく交通事故を減少するということに対する貢献は過去非常にあったと考えておりますので、急激には減らせないだろう。ただ、例えば交差点における自動記録装置とか、こういったものはやはり被害者対策に非常に資するということもありまして、こういう観点のものはやはり民間でもやったほうがいいのではないだろうかと考えておりまして、いわゆる交通事故の警察の単なる機器と言いますか、そういったものではなくて、交通事故の被害者の方に直接資するような機械は、なるべく民間でもまだ継続してやっていこうと考えているところでございます。

ですから、確かに大きな目でいった警察の仕事という意味では国のほうでやっていただくというお考えで、ただ、私どもは国の策を保管したり、または支援をしたり呼び水になるといったものは民間の一つの考え方ではないのかなということで、そういう面でのなるべく事業というものを今回も盛り込んでやっていくというふうに考えております。

【田中委員】

私が申し上げているのは、国一般から拠出すべきものと、民間の運用益で拠出すべきものの中間ぐらいに自賠特会が位置づけられるんだろうとすると、ドクターヘリとか、そういうものについては、むしろ自賠特会なんかでもう少しおやりになってもいいんじゃないかという感じがするわけです。ですから、一般会計はとてもいかないんでしょうけれども、そういうような議論があってもいいんじゃないかという感じがするんです。

例えば、日弁連の相談センターは運用益でやっている。それから紛争処理センターのほうは民間でやる。こういうような、その辺の仕分けみたいなものは、どういうお考えがあるのかな。その辺は恐らく、国の予算の仕組みもあるもので、なかなか難しいのはわかるんですが、やはり一般会計で措置すべきもの、あるいは民間でやる、その中間ぐらいに自賠特会みたいなものがあって、そういった先行的なものがあるというのが、もうちょっと工夫をされてもいいんじゃないかな。個別にどうというわけじゃありませんけれども、そういうような感じがするわけです。

これは今後の問題として、少し議論していただければと感じがいたします。

【山上保障課長】

1点だけ申し上げますと、ご指摘のとおり、自賠特会のほうは公的色彩の強いものに補助するということだと認識しております。具体的には、自動車事故対策計画というものを政府がつくりまして、その計画にのっとって事業を行っています。

なお、先ほど来、出ておりますドクターヘリの件でございますけれども、現在、厚生労働省の補助でヘリコプターの整備、ランニングコストを含めて補助するという制度がございます。これを今後普及してはどうかという観点から、議員立法で昨年ドクターヘリ普及に関する法律ができました。財源については、3年後を目途に検討するということになっておりまして、私どもはその検討状況を注視していきたいと思っております。

自賠制度との関係で申し上げれば、ドクターヘリについては利用者負担を求めるということに仮になった場合、健康保険がどういう適用をするかということにも絡んできますが、交通事故の移送費については、自賠の保険で支払うということは制度上可能でございます。そういうことで、3年後の財源についての検討を見てからと、今そういう状況にございます。

【山下会長】

石井委員。

【石井委員】

ドクターヘリの話題がありましたので、一応議員立法の条文にもお願いしながら参画させていただいた立場から、ちょっと補足します。

今現在、寄附財源を何とか現場のほうに寄附したいということで、戦後初めてだと思いますが、医療の現場に多分、財団なりNPO法人なりが寄附を集め、それから、各地に寄附をするという仕組みづくりについて検討中でございます。今年度中に厚生労働省の会議で、僕もまざっていますが、成案を得られるのではないかと思っております。

それで、その状況に関しましては、もともと国の補助財源がありまして、そして都道府県の裏負担がついたところは順次整備されているわけです。全国47、全部飛ぶようになって、100億ぐらいの予算規模になるだろうということで今考えているわけですなんですけれども、その中で、そうはいってもどうしても太平洋ベルト地帯なり、また北海道と九州の福岡、長崎には整備されているんですが、非常に導線が長い、途中に医療機関がない、そういう地域に普及したいという願いはなかなかできていないわけです。そのための話なものですから、一般財源のほうで一応予算はとっていただいている。その上でと考えれば、特会がどういうふうに関与できるのか僕はわからないんですけれども、やはり寄附財源のところで、今も予算化されているのはわかっていてありがたいと思っているんですが、やはりけたがちょっと……、今後ぜひ普及させたいということでは、いろいろ検討していただければと思っているわけです。そのためのインフラの整備は今年度中にとにかく整備して、整備が終わったらご案内が行くかと思いますので、きょうはそこまでのご報告にしたいと思います。

【山下会長】

浅野さん。

【浅野委員】

せっかくのお話でありがとうございました。

たまたま2ページ目に、ドクターヘリの講習会というのがございまして、マル6で日本航空医療学会というところでやっております講習会、最近非常に盛況でございまして、すぐにいっぱいになるという講習会だそうでございます。民間の我々の、そういう意味では果たす役割という意味で、ここでは、さすがにドクターヘリ、ヘリコプターを買うというところまではできないわけでございまして、その講習会等は、我々のできる範囲ということで、ぜひこういうことは応援していきたいと考えて、今回このような形でやらせていただいている。

ただ、今のお話のように、全体の、やはり個別ということでは、国も含めて全体でこういうことをやっていくと。こういう総合的な取り組みがないと、なかなかこういう問題は難しいんだろうなと。今の石井先生のお話を聞きまして、今後も我々もできるところ、皆と一緒になりながら民間のできる範囲のところをどこまでやるのかということを検討していきたい思っております。よろしくお願いいたします。

【山下会長】

どうぞ、広重委員。

【広重委員】

先ほどの特会のほうともちょっと重なる部分があるんですが、民間の保険会社の方がいらっしゃったら非難するようなことになって申しわけないんですが、私は保険の機能というのが、保険金を払えばいいということももちろん一つにあるんですが、それと同時に、例えば、仮に障害を負ったりしても安心していける世の中づくりということがあるんじゃないかなと思っておりまして、そういう中で今、企業の社会的責任ということで、消費者はそういったことに非常に注目しているわけですが、民間の保険会社さんの中には高名な画家の絵を購入したりとか、そういうことが本当に消費者が求めている保険の事業なんだろうかということを考えたときに、今ご紹介いただいた資料3と資料4の事業に関しては、そういう意味では非常に保険の事業としてふさわしい事業をやっていらっしゃるなと。

これはユーザーが負担する、そうでないものも中にはあるのかもしれませんが、負担する価値のある、こういうことを確かにユーザーは求めているというような事業をやっていらっしゃると思うのですが、これはおととしにも発言させていただいたのですが、こういう事業をなさっている。その結果がどういうことに貢献したのかとか、そういったことがなかなか一般のユーザーや消費者には見えてきていないというところがあると思うんです。ですので、こういう事業がある。私たちが仮に事故に遭って、障害を負ったとしても、こういうところでリハビリが受けられるとか、そういうことを知っているということも一つ大変重要なことなのではと。

私はこの委員に就任するまで、残念ながらこういった事業のこと、想像はできましたけれども、具体は一つも知らなかったということがありますので、ぜひこれを国民に多く周知していただけるようにお願いしたいと思います。

以上です。

【山下会長】

浅野委員。

【浅野委員】

まさにごもっともでございます。保険会社サイドから一言言わせていただきますと、やはり企業のCSRと言いますか、社会的責任と、これをなくして今仕事はできない、こういう考え方で、これはそれぞれの保険会社、個社個社がそれからやっている部分、ただ、本件のように業界全体としてやっている分でございますので、この辺につきましては、まだまだPRが足りないということもございますが、協会のホームページに載せたりということで、だれがそんなものを見るのかと、私はいつも怒っていますけれども、もっともっとPRをさせていただければと。

ということで、先生からも折があれば、皆さんのほうにPRをしていただいて、やはり国のため、国家のためにも、被害者のためにも非常に重要な事業を、保険会社としてもやっているんだということを、できればPRいただければありがたいなと思います。よろしくお願いします。

【山下会長】

どうぞ。

【山上保障課長】

押している中で恐縮ですが、広報の重要性については、実は、国交省の有識者の懇談会、あり方懇談会でもご指摘いただいております。それを踏まえて、昨年の10月から自動車事故対策機構の中に交通事故被害者ホットラインというのをつくりまして、ここに行けば、こういう支援が受けられる、ここに行けば、こういうサポートを受けることができるということを一元的に情報提供できるような体制を整備しました。それを今積極的に支援しているところでございます。

【山下会長】

どうぞ。

【保井保険課長】

保険業を監督する当局としての立場から補足をさせていただきます。

保険業法の1条に保険会社の公共的使命というのがございまして、先生ご指摘のように保険会社の公共的使命というのは大変重要なものだと認識してございまして、種々の機会を通じまして、個社並びに生損保両協会については、こういった社会貢献についても十分事業実施の上、その広報活動にも力を入れるべしだということをお願いしてございます。

これを受けまして、協会のほうでも、例えば損保協会さんでありましたら、交差点の安全について、交通の安全についての啓蒙活動、テレビやラジオ番組を使ったもの、あるいは、生保協会でございましたら、年に1回SR、ソーシャルレスポンシビリティー報告書というのをまとめていただきまして、これは交通安全のみならず、環境等も含んだものでございますが、こういったことで、啓蒙あるいは広報運動を進めていただいているところでございますけれども、なお一層の広報の余地がないかどうか、私どものほうからも折に触れて、協会のほうに伝達をしたいと思ってございます。

以上でございます。

【山下会長】

後の案件がございますので、簡単に。

【高橋委員】

今、国交省さんからは機構のホームページに行けばという話があって、金融庁さんは民間の保険会社や業界云々という話があるんですが、省庁として、きちんと私はやっていただきたいと思います。

というのは、本来であれば、自賠責保険のポータルサイトのページがあっていいぐらいではないかと思っているんですね。事故に遭った人はまず困るわけですから、それが今ないので、まずは金融庁と国交省のホームページでもうちょっと目立つ位置に、自賠責保険に関して、きちんと一般の方々に周知するようなこともぜひやっていただきたいと思います。

【山下会長】

よろしいでしょうか。

それでは後の案件がございますので、この件につきましては、ただいまいただきましたご意見を、またご参考にして、次の年度のご検討をお願いしたいと思います。

それでは、最後の報告事項といたしまして、平成20年度JA共済の運用益の使途について、上原委員よりご報告をお願いいたします。

【上原委員】

上原でございます。共済にかかわる2008年度の運用益拠出事業につきまして、ご報告をさせていただきたいと思いますが、お手元の資料5でございますが、JA共済の運用益の使途についてをごらんだたいと思います。

この共済の運用益積立金の活用につきましては、これまでも本審議会の答申、あるいはご意見等を踏まえまして、当然のことではございますけれども、損保会社と同様、まず、将来の収支改善のための財源としての留保、当然でございますが、その上で、事故被害者対応、それから救急医療、あるいは事故防止対策等についての効率的な活用に努めてきているということでございます。

特にJA共済につきましては、ご承知いただいておりますとおり、事故防止につながる、例えば、報道とか救急医療体制とか、インフラ整備が非常に遅れている、あるいは手薄いというような農村部もしくは山村部をコウエキとしているということから、これら地域の住民についても、必要な配慮をしながら、事故の再発防止対策の被害者のための対策が行われるよう、効果的で、かつ効率的な活動に今まで努めてきていると。これからもそういう方向でいかないといけないと思っております。

それでは、お手元の資料、それでは、この運用益の拠出事業のポイントについて、簡単にご説明させていただきたいと思います。個々の内容につきましては、項目が多いので割愛させていただきたいと思いますが、最初に1ページでございます。A.自動車事故防止対策でございます。ここにございます従来のものでございますが、特にマル8をごらんいただきたいと思いますが、ここに力を入れております。幼児向け・高齢者向けの交通安全教室の実施でございます。全国のJAにおきまして、身体機能の衰えた高齢者ドライバー、農家は80歳を超えても平気で車をぼんぼん運転しているということもございまして、大変反応能力低下の自覚、これを促すことが非常に重要だということで、高齢者等対象者等の効果的な交通安全教室を、これが一番大きくあれしていますが、継続して開催するということといたしております。

2ページをお開きいただきたいと思いますが、概略のみポイントとして説明させていただきます。救急医療体制の整備についてでございます。2008年度におきましては、この事故被害者救済の観点から、救急医療体制の整備にかかる事業の計画を大きく増額をいたしました。特に石井先生からのお話もありましたとおり、救急医療機器の購入助成等をごらんいただきたいと思います。この事業は、地域の救急医療を担う病院、大変深刻でございます。医者がいない、少ない、非常に深刻というようなことでございまして、救急医療機器等の購入費の助成、これを公的病院、日赤、済生会等、私どもの持っております厚生連病院――厚生連病院というのは、農村地域の医療とか健康、福祉等を担うということでございまして、全国で百二十数病院がございます。この厚生連病院等の救急体制を充実する、寄与するというようなことでございまして、高額の救急医療機器が更新すると。大変病院経営が厳しいということもございまして、厚生連病院が増加しているために、増額する助成の病院、あるいは1病院当たりの高額の救急医療の助成金額について、一定程度のルールを設けて増額を計画しているというものでございます。

次に、C.被害者対策でございます。自賠責の目標がそこでございまして、ほとんど継続ということにいたしておりますが、3ページのマル7をごらんいただきたいと思いますが、被害者の救済に資するための新規事業といたしまして、交通事故に関する有効な医療研究についても幅広く支援するというようなことにさせていただきました。そのほか、既存の事業がほとんど継続となっておりますが、事業の遂行状況の審査を厳格に行いまして、必要なこと、必要でないこと、縮減あるいは支援等の充実、これらを図っていくというようなことでございます。

なお、原案の策定に当たりましては、当審議会の議論を踏まえ、当然でございますが、事故防止対策、それから救急医療体制の整備、被害者対応策等への法律的な活用を図るべく、本日の当審議会委員を含む外部の学識経験者あるいは、地域の代表者からなる使途選定委員会というものを設けておりまして、そこで十分審議を既にいただきました。その審議をいただきまして、この使途を決定し、今後取り組んでまいるというようにいたしているところでございます。

参考として次のページに、最近5カ年間の拠出事業の推移を出させていただいております。後ほどご高覧いただきたいと思いますが、合わせまして、最後に下につけております2006年度の事業の実施状況、これをまとめた運用益拠出事業報告書を添付させていただいておりますので、また後ほどごらんいただきたいと思います。

大変簡単でございますけれども、以上で報告とさせていただきます。

【山下会長】

ありがとうございました。

それでは、ただいまのご報告について、ご質問、ご意見は。

福田委員。

【福田委員】

ありがとうございます。

ちょっと教えていただきたいんですが、資料の4ページになりますか、自賠責共済運用拠出額の推移というところで、民間損保のほうは大体おおむね安定して26億とか、そういう形で金額が推移してきたんですが、JAさんの場合は非常に何かでこぼこと言ったらいいんでしょうか、2006年度は8億5,800万でしょうか。それから2008年度は17億4,200万程度と。このでこぼこは、これは何か理由があって出ているんでしょうか、教えていただけますか。

【上原委員】

これは、事業の性質上もありますけれども、使途選定委員会で幅広にご検討いただいております。特に時節柄、例えば今年度は救急医療体制、大変深刻な状況が出てくる可能性がある。特にドクターヘリについてもそうなんですが、非常に関心があります。地方でも離島とか、こういうこと。あるいは厚生連病院もドクターヘリ等がある病院がほとんど少ないということも踏まえまして、ご意見に沿いながら、適宜蓄積してやっているということもございます。そういうようなことで年度ごとに、必要に応じた対策を機動的に対応していくという基本姿勢を持っておりますので、若干こんな形になっているということでご理解いただけたらというように存じます。

【山下会長】

戸川委員、どうぞ。

【戸川委員】

日本はこれから高齢者の社会になっていくということで、高齢者の交通事故が物すごく多くなっているんです。現実に高速道路に逆行しているというのがほとんどが高齢者だということで、非常に大きな事故になりやすい。私たちは高齢者の免許をいたずらに取り上げろということを言っているわけじゃないんですけれども、どうしても高齢者の免許のことを言うと、特に農村部は、じゃ、我々の生活はどうするんだと、医者にも行けないじゃないか、買い物にも行けないじゃないかという議論が出てくるんです。

もちろん、さまざまな予算の使われ方があって、非常に有効に使われていると思うんですけれども、ドクターヘリも結構なんですけれども、やはり農村部なんかにおいて、高齢者がどうしても車に乗らざるを得ないような環境を何とかほかの方法でもって解決するということも、これからの課題としてぜひご検討していただきたいという意見を述べさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

【上原委員】

高齢者の健診は全国で既に年間250回もやっておりまして、きちっとやればやるだけの成果が確実に期待できるという認識も持っておりまして、大変貴重なご意見だと思って、今後しっかり対応させていただきたいとに存じます。

【山下会長】

もしよろしければ、若干予定の時間を回っておりますので、今回いただいたご意見を踏まえて、また次年度の事業をご検討いただければと思います。

これで、予定しておりました議事は終了いたしましたので、最後に事務局から一言お願いします。

【保井保険課長】

事務局でございます。本日の議事、まことにお疲れさまでございました。今回の審議会は、金融庁が新庁舎に移転いたしましてから初めての審議会ということでございまして、新庁舎へのご案内等、十分に必ずしも行き届きませず、ご迷惑をおかけしましたことをおわび申し上げたいと存じます。

次回の自賠責審議会でございますが、来週1月18日金曜日、10時より、同じく当会議室、すなわち7号館の13階共用特別第1会議室にて行わせていただきたいと存じております。委員各位におかれましては、引き続きお取り計らいのほど、よろしくお願い申し上げます。

なお、本日の議事の内容の取り扱いでございますが、メディアの関心も高いものと存じますけれども、冒頭会長からもお話しいただきましたように、記者レクに関しましては、次回、18日の審議会終了後、会長より会見をさせていただくことを考えてございます。また、本日この後でございますが、金融庁長官の定例記者会見、明日には金融担当大臣の閣議後記者会見が予定されてございます。本日の審議会について、基準料率について引き下げの方向で議論がなされた旨、ご発言させていただく予定でございますので、あらかじめご了承いただければと存じます。

また、審議会で改めてお諮りする18日までの間は、当審議会においては、個別案件を扱うこと、あるいは自由闊達にご議論いただくということで非公開としております事情もございますものですから、誤解等に基づく混乱等を避けるために、議事内容のお取り扱いについては慎重にご留意いただければと存じております。

本日はありがとうございました。

【山下会長】

それでは、これで終了いたします。どうもありがとうございました。

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