第125回自動車損害賠償責任保険審議会 議事録

1. 日時 平成20年1月18日(金) 10時00分~11時30分

2. 場所 中央合同庁舎第7号館西館13階 共用第一特別会議室

【保井保険課長】

おはようございます。時間となりましたが、委員各位におかれましては、本日冒頭、報道機関によるカメラ撮りがあることについてご了承いただければと存じます。

(報道機関 カメラ撮り)

恐れ入りますが、報道機関の皆様におかれましては、ご退室をお願いいたします。

(報道機関 退室)

それでは、山下会長、議事をお願いいたします。

【山下会長】

それでは、定刻でございますので、ただいまより第125回自動車損害賠償責任保険審議会を開催させていただきます。

本日の議題といたしましては、お手元の議事次第にございますように、自動車損害賠償保障法第33条第1項及び第2項の規定に基づく諮問事項に対する審議となっているほか、報告事項が幾つかございます。

それでは、まず事務局より、議題及び資料の確認をお願いいたします。

【保井保険課長】

かしこまりました。事務局でございます。それでは改めましてよろしくお願いいたします。本日の議事について、ご説明をいたします。

お手元にお配りをいたしました議事次第をごらんいただけますでしょうか。

まず1.諮問事項がございます。最初に(1)基準料率の適合性審査期間の短縮について。次に、(2)各共済事業者における自賠責共済規程の一部変更について。そして、(3)自賠責保険事業にかかる認可についての3点でございます。これらにつきまして、当方よりご説明させていただきたいと存じます。

加えまして、2.報告事項といたしまして2点ございまして、(1)につきましては、自賠責診療報酬基準案について。(2)自動車損害賠償保障制度に係る最近の取組について、それぞれご報告をいただきたいと考えてございます。

また、配付資料でございますが、お手元に、ここにございます資料及び答申案を配付させていただいておりますので、それぞれご確認いただければと存じます。

なお、本日の審議会の予定でございますが、ご審議の状況いかんではございますが、おおむね11時半を目途に終了することを予定してございます。

以上でございます。

【山下会長】

よろしゅうございましょうか。

それでは、以上ご確認いただくとともに、本日、本審議会の議事に関連する以上の資料以外に、別途戸川委員からも資料が配付されております。本件につきましては、議事終了の際に戸川委員からご発言をいただく予定にしております。

それでは、議事に移りたいと思います。まず、諮問事項でございますが、最初に一括して事務局よりご報告いただき、その後でご議論いただきたいと思います。まず、事務局よりご説明をお願いいたします。

【保井保険課長】

かしこまりました。まず、お手元の資料のうち、答申案と表紙にございます資料をごらんいただけますでしょうか。本日、金融庁長官より当審議会に対して、大きく3点諮問をさせていただいております。

まず、10日の審議会でご承認いただきました方向に沿いまして、昨日損害保険料率算出機構から基準料率の届け出がございまして、当該料率を本年4月1日から使用することを可能にするため、法律に定める適合性審査期間を短縮することでございます。なお、答申案の2から4につきましては、届け出のあった基準料率と同じ共済掛け金率の使用を自賠責共済事業者が用いることにつきまして、各所管官庁が認可・承認するために必要となる金融庁長官の同意についてでございます。

また、3というところでございますけれども、3につきましては、生協法の改正に伴う共済規定の変更・認可について、金融庁が与える同意について最後の5に記載されておりますSBI損保会社の自賠責事業の認可についてでございます。

恐縮でございますが、お手元にお配りいたしました資料のうち、右肩に資料1と書いた、タイトルが基準料率の適合性審査期間の短縮についてという横長の資料をごらんいただけますでしょうか。

1枚おめくりいただきまして1ページ目でございますけれども、ここでは、まず今回の料率改定に関する基本的な考え方を整理させていただいております。平成19年度で保険料等充当交付金が終了し、契約者負担額が増加する見込みでございます。他方、本年度の料率検証結果によれば、20契約年度の損害率は85.2%となり、予定損害率106.9%と比較して、大幅に乖離してございます。このため収支の調整を行うとともに、全自賠責事業者分の累計収支残及び累積運用益を還元し、契約者負担を軽減するものでございます。

また、平成18年12月以降、JA共済に対しましても自賠法が全面適用されていることから、JA共済の累計収支残及び累積運用益等も還元の対象といたしております。

続きまして、料率引き下げの具体的な算定方法でございますが、基準料率は賦課金を含む純保険料及び社費、並びに代理店手数料によって構成されておりまして、それぞれ改定されるということでございます。

具体的には3ページ目をごらんいただけますでしょうか。ここでは大きく分けまして損害率、累計収支残及び累積運用益の還元と3つの要素がございます。まず、一番上の箱の平成20契約年度の収支というところのCの損害率でございますけれども、20契約年度の支払保険金見込みを基準に改定いたしますと、ノーロス・ノープロフィットの原則で運用していくためには、従前の純保険料とを比較いたしまして、△14.8%の引き下げとなるわけでございます。これはDの欄でございます。

また、累計収支残は、その下、F、Eのところでございますが、6,570億円を見込んでございまして、これを20~24契約年度までの5年間で還元を行いますと、従前の純保険料を比較いたしまして、Gの欄でございますが、△13.5%の引き下げとなるわけでございます。

また、次のカラムのHの累積運用益でございますが、3,951億円を見込んでございまして、これを20~24契約年度までの5年間で還元を行いますと、Jの欄でございますが、従前の純保険料率と比較いたしまして、△8.1%の引き下げとなるわけでございます。これらを合算いたしたものがKでございますが、純保険料部分で△36.3%の引き下げとなるわけでございます。

また、社費につきましては、20~24年度までの5年間の中央時点でございます22年度を基準に改定することとしてございます。改定内容といたしましては、18年度の実績値や今後の契約台数、及び支払件数の見込み等をもとに、社費を構成している費用の水準を是正するものでございます。この際、自賠責保険共済紛争処理機構の運営経費として、契約1件当たり4円とした上で、累計収支黒字を5年間で還元いたしますと、社費は従前のものと比較いたしまして、Lの欄でございますが、0.8%の引き下げとなるものでございます。

また、Mの欄でございますが、代理店手数料につきましても、20~24年度までの5年間の中央時点でございます22年度を基準に改定することとしております。改定内容につきましては、18年度における契約1件当たりの所要額を算出した上で、賃金上昇率等を据え置きといたしまして、22年度の所要額を算出いたしますと、従前の1,600円と同額になるものでございます。

なお、賦課金につきましては、今回、再計算をしてございますが、賦課金率について、従前のものと変更していないということでございます。

以上を踏まえますと、このNの合計の欄でございますが、基準料率は従前のものと比較して△24.1%の引き下げ、契約者負担額と比較してみますと、このPの欄でございますが△24.7%の引き下げの効果がございまして、Oの欄でございますが、保険料等充当交付金の交付金の減額による契約者負担額の上昇率2.5%、これを合わせますと、最終的な契約者負担額の引き下げ幅はQの欄の△22.2の引き下げとなるわけでございます。

なお、基準料率の実施日は平成20年4月1日となるということでございまして、これは保険料等充当交付金の終了により、現行基準料率では4月1日に契約者負担額が上昇することでございますので、短期間での契約者負担の変動を助けるために、4月1日付での改定が望ましいという考え方に沿ってございます。したがいまして、昨日届け出がございました基準料率が4月1日に使用可能となるために、適合性期間である90日が短縮される必要があるということでございます。

また1枚おめくりいただきまして、4ページ目でございます。こちらの表は車種別の損害率でございます。20契約年度の全車種合計損害率は、一番下の合計のところが85.2%ございますが、車種ごとの損害率に違いがございまして、車種別の基準料率はそれぞれをもとに算出してございます。

また、5ページ以下でございますけれども、これにつきましては、12カ月契約ベースでの各地域、各車種の料率案につきまして言及をさせていただいたところでございます。

なお、大変恐縮でございますが、9ページをおめくりいただけますでしょうか。こちらについて一言言及させていただきたいと存じます。9ページの表は、主要車種ごとの保険期間ごとの契約額につきまして、まとめさせていただいているものでございます。真ん中の箱の24カ月(2年契約)と書いているところの一番上をごらんいただきたいと存じます。これにつきましては、自賠責保険ではもっとも契約台数の多い自家用乗用自動車の2年契約額につきましては、現行基準料率の3万1,730円が、改定後は2万2,470円となりまして、差し引きでGの欄の一番上でございますが、△9,260円の下げ幅となるわけでございます。

また、各表とも右欄の改定率というのがございまして、こちらの契約者負担額ベースの個別の改定率が載ってございますが、各車種で保険料の構成などが異なるためで、若干のばらつきが出るということでございます。

以上を踏まえまして、諮問内容である適合性審査期間の短縮についてのご承認をいただければありがたいと存じております。適合性審査期間とは、料団法の10条の4におきまして、届け出が行われました基準料率について、本来90日間の審査が規定されているわけでございますが、当審議会で仮にご承認をいただければ、料団法の第10条の5第1項に基づき、当該審査期間の短縮を行いまして、本年4月1日からの当該基準料率の使用が可能となるものでございます。

また、あわせて各自賠責共済における共済掛金の改定につきまして、各所管官庁が認可・承認を与える際に必要な金融庁長官の同意につきましても、答申案の2から4で、あわせてお諮りをさせているものでございます。

続きまして、恐縮でございますけれども、右肩に資料2と書きました自賠責共済規程の一部変更についてをごらんいただけますでしょうか。

これにつきましては、平成20年4月1日に施行されます消費生活協同組合法の一部を改正する等の法律によりまして、消費生活協同組合法において、共済募集に関する規制が整備されるものでございます。

おめくりいただきまして1ページ目をごらんいただけますでしょうか。こちらに今回の変更の内容についての概略が記載されてございますけれども、具体的には共済募集に関する規制が整備され、共済代理店に関する規定の整備がなされるとともに、組合の委託を受けて、組合のための共済契約の代理、または媒介を行うものであって、当該組合の役員または使用人でないものが、共済代理店として明確に位置づけられ、また消費生活協同組合が責任共済に関する代理店契約を締結することが可能となるものでございます。このため、本資料につきましては、全労災、日本再共済連の共済事業規約について、所要の改正を行うものでございます。

具体的に申しますと、全労災におきまして、共済代理店を設置し、これと責任共済に関する代理店契約を締結することから、共済事業規約に共済代理店に関する規定を追加すること。また、全労災、日本再共済連におきまして、消費生活協同組合法の改正に伴う技術的な改正を行うものでございます。

それから、恐縮でございますけれども、右肩に資料3とございます、タイトルが自賠責保険事業にかかる認可についてという横紙でございます。1枚おめくりいただきまして1ページ目でございます。タイトルにSBI損害保険株式会社の自賠責保険参入についてとなっている紙でございます。

これにつきましては、SBI損害保険株式会社が平成19年12月26日をもって、保険業法に基づく損害保険事業の免許を取得したところでございますけれども、今般、自動車損害賠償責任保険事業に参入したいといたしまして、保険業法に基づき、基礎書類の変更認可申請があったものでございます。

この1ページ目の(参考)以下の欄でございますが、ここに基礎書類、すなわち事業方法書、普通保険約款、保険料及び責任準備金算出方法書の審査基準を示してございますけれども、SBI損害保険株式会社の今般の申請は、既に自賠責事業を行っておりますほかの保険会社と同一のものでございまして、問題はないかと認められているものでございます。よって、認可を行うとするに当たり、当審議会にお諮りをする次第でございます。

事務局からは以上でございます。

【山下会長】

ありがとうございました。

それでは、ただいまご説明いただきました事項につきまして、ご質問、ご意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

ご意見、ご質問はございませんでしょうか。

もし、ないということでございましたら、あらかじめ席上に答申案を配付させていただいておりまして、金融庁長官から諮問を受けました事項につきましての答申の内容が記載されておりますが、これにつきまして、審議会として異議はないということでお認めいただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【山下会長】

ありがとうございます。

それでは、答申書をご了解いただいたということにさせていただきます。

なお、この答申書につきまして、表現ぶり等、技術的な修正が万一あった場合には、最終的には私にご一任いただければと思いますが、よろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【山下会長】

ありがとうございます。

それでは、そのようにさせていただきます。

なお、自賠責保険の取扱事業者におかれましては、今後の自賠責保険料の改定に当たりまして、契約者や事務の混乱がなく、新しい保険料率の使用が円滑に行われるように万全な準備をよろしくお願いいたします。

浅野委員、どうぞ。

【浅野委員】

自賠責事業者間によって、新しい営業保険料の取扱時期の開始時期が異なりますと、契約者に混乱を来すおそれがございますので、したがいまして、私ども自賠責業者間で連携を図った上で、一応2月1日をめどに、新しい営業保険料による取り扱いを開始できるよう、また公平性の観点からも円滑に料率が使用されるよう努力したいというふうに存じます。

以上です。

【山下会長】

そういうことでよろしくお願いいたします。

それでは、議事次第の報告事項に移りまして、まず、自賠責保険診療報酬基準案につきまして、浅野委員よりご報告いただきたいと思います。

【浅野委員】

損害保険協会の浅野でございます。自賠責保険の診療報酬基準案につきまして、ご報告申し上げます。

損保協会といたしましては、昭和59年の自賠責審議会答申に基づきまして、診療報酬基準案の実施・普及に努めてきているところでございます。診療報酬基準案の実施状況につきましては、お手元の資料4でございますとおり、現時点で、全国45の都道府県で実施されております。

残る岡山、山梨の2県につきまして、業界として積極的に取り組んでおりますけれども、岡山県におきましては、昨年になりますけれども、6月及び9月にいわゆる利用協議会というのを開催しておりまして、こうした診療報酬基準案についても議題として取り上げていただいております。そういうことで、かなり診療報酬基準案についての理解が深まっている状況にありますが、しかしながら、診療報酬基準案についての合意については、県の医師会の内部でも、必ずしもまだ意見の統一が図られれていないということや、医師会としましても、現状トラブルがない中での基準案合意ということに対しては、まだ慎重と言える状況にございます。

また、山梨県におきましても、県医師会としては、従来より請求にかかるトラブルが特にないという中で、あえて混乱を招くような基準案導入は請求事務の煩雑化を招くという意見がございまして、業界としましては、定期的に県医師会を訪問するといったことをして、いわゆる協議会開催に向けて、同じ土俵で議論させていただきたいという働きかけを行っております。昨年10月には医師の理事会で基準案導入について審議と言いますか、議論されていましたが、結果といたしまして、まだ協議会開催というところにまではこぎつけられておらないといった事情でございます。

いずれにいたしましても、業界としましては、日本医師会の方を初め、関係各位のご協力を得て、引き続き継続協議を行って、診療報酬基準案の実施を進めていきたいというふうに考えております。

なお、実施しております45の都道府県におきましても、地区医師会との協議の場を継続して、良好を関係を維持しながら、医療機関のご納得のもとに基準案の普及に努めておりますけれども、現時点でまだ約6割の医療機関に採用していただいている状況にとどまっております。損保協会といたしましては、地区の医師会との協議会や、一般の医師の方、事務職員の方にご参加いただいている自賠責の研修会というものをおきまして、自賠責制度へのご理解を得つつ、基準案の普及に向けて、さらに引き続き努力してまいる所存でございます。

以上、ご報告申し上げました。

【山下会長】

ありがとうございました。

ただいまのご報告につきまして、ご質問、ご意見等はございませんでしょうか。

石井委員、どうぞ。

【石井委員】

日本医師会におきましては、この2県残っているということについては十分認識しておりまして、昨年の本会議の後も、労災・自賠責委員会を通じまして働きかけを行っております。そして、まだ、正式なコミッティーが形成されていない山梨に対しましてお話はさせていただいております。ただ、まだ現状は、今のお話のとおりであるということについては、なお重く受けとめて、いろいろお話し合いをさせていただければと思っております。

以上でございます。

【山下会長】

ほかにいかがでしょうか。

それでは、この件はそういうことでご報告を承ったということでよろしゅうございましょうか。

それでは次に移りまして、自動車損害賠償保障制度にかかる最近の取り組みにつきまして、国土交通省の山上保障課長よりご報告をいただきたいと思います。

【山上保障課長】

国土交通省自動車交通局保障課長の山上でございます。

それでは、ご報告申し上げます。資料5をご覧いただきたいと思います。

私ども国土交通省におきましては、平成13年に政府再保険廃止の法改正を行いましたが、その後5年を迎えまして、節目となる平成18年に有識者の懇談会を設けさせていただきまして、被害者救済対策、そして事故発生防止対策という2つの柱からなります自動車事故対策事業につきまして、被害者の保護という観点に立ちまして、重点的に今後のあり方を検討いたしました。その概要につきましては、昨年度の本審議会におきましても報告をさせていただいたところであります。

その後、1年たちまして実施状況について、本資料によりましてご報告させていただければと思っている次第であります。

項目として1から8まで掲げてございます。ポイントをかいつまんでご報告をさせていただきます。なお、参考資料として、後ろのほうにそれぞれの項目についての報告書の概要、そして、その後の状況について添付してございますので、あわせてごらんいただければと思います。

まず、1.一般病院への療護センター機能の委託でございますが、自動車事故対策機構の療護センターでカバーされない空白地域を解消いたしまして、遷延性意識障害者の方々の回復に向けた治療・看護機会の拡充を図るという目的のために、北海道そして九州の2つの地区におきまして、療護センターの機能の一部を一般病院に委託し、平成19年12月から患者の受け入れを開始いたしているところであります。委託先の病院については、ご覧の資料の記載のとおりであります。

2.短期入院協力病院の拡充ということで、拡充を目指してまいりまして、前回の本審議会でもご報告させていただきましたが、現在61病院に拡充しているところでございます。

3.介護料の支給対象品目の見直しということでありまして、実態を踏まえまして、ご要請のございました紙おむつ等の3品目につきまして、平成19年度から支給対象品目として介護料を支給しております。

4.交通事故被害者への情報提供体制の整備ということであります。交通事故被害者を救済する制度ですとか機関、それぞれございますが、実際事故に遭われた際に、どこに頼っていけばいいのか、あるいは情報提供が不十分ではないかというご指摘を踏まえまして、各関係機関、団体が行っている各種支援策の情報を集約いたしまして、交通事故被害者、そしてその家族の方々に対して総合的な情報提供を行う窓口といたしまして、平成19年10月から自動車事故対策機構にNASVA、これは自動車事故対策機構の英語名でございますが、「NASVA交通事故被害者ホットライン」の開設をして、情報提供を図っているところでございます。

1枚おめくりいただきまして、5.高次脳機能障害認定システムの見直しということでございまして、ご指摘を踏まえまして、損害保険料率算出機構内に検討委員会が設置され、認定システムの見直しが行われまして、平成19年度から新たな認定システムによって、高次脳機能障害の審査が行われているところでございます。

6.政府保障事業の運用変更でございますが、平成19年4月から重過失減額の採用など、自賠責の運用とそろえる形で変更を行った次第であります。

7.衝突被害軽減ブレーキ普及についての補助制度の創設。大型トラックの事故被害軽減に有効なASVの早期普及を図るための補助制度を19年度から創設いたしまして、20年度も引き続き補助を行っていくということにしてございます。

最後に、8.被害者保護企画官の設置ということでございます。自動車事故の被害者保護の一層の充実を図るという観点から、関係機関等との連絡調整、あるいは地方の運輸局、自動車事故対策機構等への指導を行うということと、被害者保護についての企画立案を強化するということで、被害者保護企画官という新たな官職を平成20年7月から国土交通省の保障課に設置することとしております。

以上、簡単でございますが、ご報告を終わります。

【山下会長】

ありがとうございました。

それでは、ただいまのご報告につきまして、ご質問、ご意見等をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

戸川委員。

【戸川委員】

NASVAのホットラインについてお聞きしたいんですけれども、もし、情報をお持ちだったらと思いますが、遺族の会でも事務所で会員以外からの電話相談というのを受けているんですけれども、その主なものは損害賠償にかかわる問題についての質問が非常に多いわけですけれども、遺族ゆえかもしれませんけれども、いわゆる心の問題についての問い合わせというか質問といったものが非常に多いんです。悲しい、つらいというような悩みを、この問題をどこに持っていったらいいのかというようなこととか、それをきっかけにして、親子同士、あるいは家族の中での夫婦や兄弟、あるいは外部の親戚や、あるいは学校、職場等のさまざまな問題が出てくるわけです。

こういったことについて我々としてはお聞きしているんですが、NASVAに入ってくる情報というのは、当然、全交通事故の被害者ですから遺族の電話相談とはちょっと違うかもしれませんけれども、このような心の問題について、どのような頻度で入ってくるようなデータがあるのか。もしあるとすれば、そういったものに対してどのような対応をされているのかというあたりをお聞きしたいと思います。

対応といってもさまざまあるわけですけれども、カウンセリングの紹介とかいったものは、この中の組織図には書いていないんですけれども、当然お考えのことと思いますけれども、中には、同じ悲しみを持った被害者同士で語り合いたいというニーズが非常に強いんです。こういった役割を担っているのは、私たちを初めとする自助グループだと思うんですけれども、ここでいわゆるNASVAのバックにある部分で自助団体との連携とか、あるいは自助団体を紹介するとかいったような心の問題に対しての裏方としての機能があるのかどうか、そのあたりをもしご存じでしたら、お教えいただきたいと思います。

【山下会長】

山上課長、よろしいでしょうか。

【山上保障課長】

お答えいたします。

10月以降やっておりますが、10月、11月の実績を見てみますと、全体で2カ月の間に412件のご相談がございました。

主な内容を見てみますと、やはりご指摘のとおり、「交通事故の責任の割合に納得ができない」等の損害賠償に関連するものが最も多くて100件強ございました。続きまして多かったのが、「突然の出来事に今後の対応がわからない」という、交通事故後の対応全般についてのご相談がやはり99件、100件弱ございました。続きまして、「当事者間での話し合いが進まない」等の示談交渉に関するもの、さらに保険金額へのご不満といったご相談がございました。

心理的なご相談というのは、先ほど申し上げた2の「突然の出来事に今後の対応がわからない」ですとか、あるいは最初の交通事故の責任割合、損害賠償に関連するもの、こういったご相談の中に恐らく含まれているというふうに思っております。私どももそうですが、NASVAにおいても、そういったご相談にはできる限り丁寧にお話に応じて差し上げるようにということで対応させていただいております。

まだ、2カ月の状況ですが、ご相談内容につきましては、しっかり検討してフィードバックをして、さらに対応の丁寧度ですとか、対応のクオリティーを高める努力をしていく必要があると考えており、努力をしてございます。

2点目の自助団体のご紹介等でございますが、現在NASVAにおいてそこまではしておりません。そういう声、ご意見もございますので、今回設けます被害者保護企画官を中心に、そういったネットワークをどのように組んでいけばいいのかということを、私どもも検討していきたいと思っております。NPO法人も多種多様でございますので、いろいろな方のご意見を聞きながら考えていきたいと思っております。

以上でございます。

【山下会長】

戸川委員、よろしゅうございましょうか。

では、西崎委員、どうぞ。

【西崎委員】

まず第1点、自動車事故対策機構(NASVA)の問題なんですが、今ご説明があったように、NASVAの療護センターを中心とした被害者の救済システム、これは北海道、九州における協力病院、それから全国的な短期入院病院は、非常に期待した以上に進んでいる感じを受けるんですが、今後とも、特に短期入院病院は、在宅介護の場合は大変な負担がかかりますし、それを緩和するためにも短期入院病院の拡充はぜひ努力していただきたい。これが第1点です。

それで、NASVAについては、こうした被害者の救済機能と同時に、事故防止ですね。事故防止機能というのは非常に大きいわけで、何といっても事故そのものをいかに防止して減らしていくかということが非常に大きいわけです。

それで前々から私も意見を述べているんですが、今のNASVAの事故防止機能というのは、専ら営業車中心に、実に多角的ないい活動をしているんですが、個人のドライバーですね。特に高齢者ドライバーに対する講習あるいは指導を、最近の高齢者による事故が多発していますし、私もそうなんですが、高齢者免許の書きかえも極めて形式的で、ほとんどチェック機能を果たしていないという状況を見ると、やはりNASVAが今後、個人の高齢者ドライバーに対する講習をもっと大規模にやって、講習を受けて事故を起こした者と、そういう講習を受けないで事故を起こした者のペナルティーも格差をつけて、これからの高齢化社会を考えれば、やはりNASVAとしても私は非常に大きい事業としてこれをやっていただけないかと思います。これが第2点です。

それから、質問なんですが、被害者保護企画官は非常に総合的な機能を持って、しかも具体的に処理していくというのは非常にいいんですが、この資料の8番目の図表を見ますと、大変な仕事ですね。とても企画官一人じゃできないわけで、この企画官のスキームを一体どういうふうに考えておられるんですが。かなり充実したものがないと大変だと思うんですが。

【山下会長】

それでは、山上課長、お願いします。

【山上保障課長】

幾つかご指摘いただきましたけれども、短期入院協力病院でございますが、これは拡充を図っていくのと、もう一つは広く周知をして、利用頻度を高めていくべきと思っております。

2点目のNASVAへのご期待、あるいはご鞭撻というふうに受けとめておりますけれども、確かに、現在NASVAにおきましては、事業用の自動車、青ナンバーを中心に、講習ですとか安全指導、それにドライバーの適性診断といったものを行ってございます。具体的にご指摘いただいた高齢者のドライバーに対する指導、免許の書きかえのときも含めて、本件につきましては、警察庁の所管するところでもございますので、そうしたところにしっかりと話もしながら、ニーズも踏まえて、我々、業務を行っていきたいと思います。

もう一つは、自動車事故対策費補助金というのがございまして、ここで具体的な事故発生防止対策について広くやっておりますので、その中でもご指摘を踏まえた形で工夫していきたいというふうに思っております。

3点目の被害者保護企画官でございますが、被害者保護企画官が一人でこれを行うのではなく、もちろんスタッフをつけて行うわけでありますが、それ以前に、私ども保障課全体が、この被害者の保護という観点に立って、自賠責制度を運用しております。被害者保護企画官という官を柱として責任ある官として設け、体制を強化し、かつ、当然スタッフも充実した形でつけて、課としてバックアップしていくということで考えてございます。

以上です。

【山下会長】

西崎委員、よろしゅうございますか。

【西崎委員】

結構です。

【山下会長】

福田委員。

【福田委員】

被害者保護企画官についてお伺いしたいと思いますが、NASVAのほうでも交通事故のホットラインを設けていて、国土交通省のほうにもこの被害者保護企画官というのを設けるということですが、この割り振りというか、権限というか、内容というか、これの線引きというのはどう考えていらっしゃるのでしょうか。こちらは個々のケースをやるとか、そういうものではなくても、大きなピクチャーを描くというような感じなんでしょうか、いかがでしょうか。

【山下会長】

山上課長。

【山上保障課長】

まさにご指摘のとおりでありまして、NASVAの被害者対策というのは、個々の現場でそれぞれ対応するということですが、この被害者保護企画官は、企画立案、関係省庁との連携、連絡、調整といったことを通じて制度全体を被害者保護の観点から充実させていく、そういった観点で設けたいと思います。

【山下会長】

よろしいですか。

【福田委員】

はい。

【山下会長】

奥宮委員。

【奥宮委員】

1つ要望を述べさせていただきたいと思います。

先ほど個人のドライバーのお話がありましたけれども、私はむしろ業界のほうについて、やはり先ほどいただきました損害率を見ましても、営業用の事故というのが、多分タクシーが中心だと思うんですが、やはり高い率になっております。業務用の車による事故は、個々のドライバーの意識の問題ではなくて、会社全体の労務管理を含めたコンプライアンスの問題が非常に大きいと認識しております。その中で、昨年の日経新聞、昨年末に保険料の引き下げは、ガソリンの高騰に悩む業界にとっては非常に朗報になるだろうという記事もございました。

そういう意味で、コンプライアンスを強化するということが、最終的には経費の節減につながる、保険料の引き下げという形で経費の引き下げにつながるということを、ぜひこの機会にPRして、業界のほうのご指導をよろしくお願いいたしたいと思います。

【山下会長】

山上課長。

【山上保障課長】

私どももコンプライアンスが非常に大事ということで、一昨年、運輸安全マネジメント法というのをつくりまして、それを業界全体に施行しているところでありまして、それと、NASVAの事故対策事業、これも指導講習については、運行管理者について指導講習をし、適正化を図っているということです。

営業用の自動車が事故を起こしますと、やはり事故の被害も大きくなる。特にトラックの場合は大きくなりますし、影響も甚大ということで、特に力を入れているところでございますが、ご指摘も踏まえて、さらに先ほどの法律の施行も含めて、充実させていきたいと思っております。

以上です。

【山下会長】

北原委員、どうぞ。

【北原委員】

高次脳機能障害認定システムに関連しまして、今まで私のほうでも発言しているところですけれども、民事裁判で裁判所の認定がとれた高次脳機能障害、この高次脳機能障害認定システムに合致しているとは言えないけれども、司法の判断で裁判所が1級に該当するとか、2級に該当するとか認定した案件があるわけです。

そういうものについては、例えばNASVAの介護料支給なども基準のとり方として、裁判所が認めたものについては、高次脳機能障害としての認定と食い違いがあるけれども認めてあげましょうという扱いについて、検討中であるという話は聞いておりますけれども、余りこのこちらの認定システムにこだわらない、被害者保護という視点から、そういう障害者を助けるという視点で対応策をしていただきたいという点が1つ。

それともう一つは、NASVAのほうで被害者の相談を受け付けることを10月から初めているわけですけれども、ここで心の問題などが出てきた場合に、自助グループに入ることによって少しはいやされるという視点から見たときに、非常に多くの団体があるものですから簡単に紹介しにくいかと思いますけれども、やはり見る視点というのがあると思うんです。

例えば、全員が交通事故の被害者の団体というのがあるんです。障害者の団体といっても、病気原因とか不慮の事故による障害になったとかいう人たちを含めた団体。そういう場合には、救済を求める相手が厚生労働省になっちゃうんです。ところが、全員が交通事故のグループの場合には、それと同時に、やはり交通事故犯罪の被害者として視点で話し合いをするというところがありまして、病気原因の人たちとは全く視点が違うんです。ですから、交通事故犯罪の被害者グループで、助け合い、励まし合いをしているようなグループというのは、そういう団体の中に、そう多くはないですから、NASVAのほうでもこういう団体がありますよということで紹介されたほうが、そういう被害者が救えると思うんです。病気原因と他人の不注意で障害を負った場合には、やはり心の持ち方に違いがありますので、やはりそういう交通事故被害者で心の問題を抱えている人たち、遺族でもあれば、あるいはその障害者ということについて配慮をいただきたいと思います。

【山下会長】

課長、よろしいですか。

【山上保障課長】

最初の高次脳機能障害認定システムについてでありますが、もちろん硬直化しないように、適宜見直しを行っていくという姿勢が必要だと思っております。

また、司法の判断が出た場合の扱いでありますが、おっしゃるように、司法の場で、これは高次脳機能障害であるという事実認定が争いとなって、認定が司法の判断でされておれば、それは援用してもいいのではないかというふうに考えておりまして、そういった観点から、現在、検討させていただいているところでございます。

また、2つ目の心の問題でありますが、おっしゃるように心の問題というは大変重要だと思っておりますが、他方で多種多様な団体があるのも事実でありますので、どういった形で今のご意見を承るか、具体化していくかということについて、なお検討していきたいというふうに思っております。

以上です。

【山下会長】

よろしゅうございましょうか。

関委員。

【関委員】

7.の被害軽減ブレーキの普及にかかる補助制度の関係ですけれども、トラックの事故は、ここに記載されているようにかなり多くて、重大事故につながるということがあるんですが、その背景としてはさまざまな要因があると思いますが、この補助制度の関係で教えてほしいんですが、1台当たり27万5,000円となっておりますけれども、1台当たり全体で幾らぐらいかかるのかというのが1つ。

それから受付期間が4月1日から1月15日にで終わっていますね。まだ、全体の集計がされていないと思うんですが、どれだけの件数があったのかというのが1つ。

それから、1月15日で終わっていますから、さらに再延長的なものもあるのか、あるいは台数1台からやるとなっていますけれども、台数制限的なものはないのかどうか、その辺を含めて、ちょっと教えてほしいと思います。

以上です。

【山下会長】

山上課長、お願いします。

【山上保障課長】

補助率2分の1で、1台当たり上限27万5,000円ということでありますが、大体トラック一台あたり55万ぐらいではないかと思っておりまして、実態を見ると、中古車に新たに備えつけるというのは非常に難しいようでありまして、新車の場合にこの補助を行うというのが実態となっております。現在、交付を受け付けておりまして、実績として、私どもは1,500台と見ておりましたが、現在、420台ということでありまして、補助金額として4億円強を確保しておりましたが、交付はその25%ぐらいにとどまっております。

これは一つには制度が新設されたばかりというのもございます。今、徐々に普及が始まっているということでありまして、20年度も同様に同額の補助を確保してございます。

以上です。

【山下会長】

よろしゅうございましょうか。

では、高橋委員。

【高橋委員】

先ほどの福田委員のご質問に関連して何ですけれども、私もこの企画官の設置というのは非常に今後期待できるところだと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

そことNASVAとのホットラインとの関係なんですけれども、やはり企画立案をするからには、実態がよくわからなければいけないということで、ホットラインというのは、多分そういうセンサー機能としても使われるでしょうし、分析をして、機構自体の仕事にもいろいろ使われていくんだろうというふうに思っております。

NASVAのパンフレット、ホームページ等も拝見しているんですが、このホットラインに関して、まだ始まったばかりということですけれども、内容が実はよくわからないんです。どんな体制で、どういう人がこれを受けていただいているのか、その辺を少し補足して教えていただきたいと思います。

今、出ているもので見る限りでは、わりに他機関紹介が中心になっているように思われるんですれども、他機関で紹介しているものと、NASVAさん自体で受けているものがあると思うんですが、単にお困りの方にということではなくて、ここに相談するとどういうふうな解決が得られるのかと、ここのあたりももう少し親切に案内していく必要があるのではないかと思っております。

それと、他機関紹介を既にしていらっしゃると思うんですが、2カ月で400件、土日はやっていらっしゃらないですから、大体1日平均20件ぐらいの相談が来るということは、かなりスタートとしての多いのかなというふうに思っておりますけれども、この紹介したものの後のフォローアップですね、紹介した後、きちんと解決されたのかどうなのか、そこまで、私はNASVAのホットラインの仕事ではないかと思っているんですけれども、そういう体制をしいていらっしゃるのか。しいていらっしゃらなければ、そういう体制をしくご予定があるのか、教えてください。

【山下会長】

山上課長、よろしいでしょうか。

【山上保障課長】

ホットラインについてのご質問でありますけれども、ご指摘のとおりでありまして、単に紹介機関で終わっていれば、必要性もだんだんとなくなっていくであろうということで、しっかりとご相談内容を聞いて、その場で答えられるものについては答える。ただし、限界がありますので、紹介をすべき場合については紹介をする。もちろん自動車事故対策機構自身で受けられるものも多数あるということであります。

紹介の先としては、先ほど申し上げたように、損害賠償についてのお悩みというのは非常に多いものですから、弁護士の無料電話相談が可能である財団法人の日弁連交通事故相談センターへのご紹介というのがかなり多くなっております。

あとは、都道府県の交通事故相談所、これは非常に身近なところに相談所があるというのを実はご存じない被害者の方もいらっしゃるものですから、そういう相談所がありますよというご紹介もしてございます。

2番目にフィードバックの件でございますが、実際どうなったかというのを、その場で解決できない場合もあるし、それでご不満の場合もあって、再度電話がかかってくるというケースもあると聞いております。その場合もしっかりと話を聞いてさしあげて、さらに適当な紹介先があれば紹介するし、自動車事故対策機構のほうで解決可能であれば対応するということですが、おっしゃるとおりフィードバックというのは非常に重要でありまして、そのご相談内容に応じて、しっかりと対応できるような体制を自動車事故対策機構、そして私ども国交省の方でもとっていかないといけないと考えており、被害者保護企画官がまさにそういったフィードバックを受けて、具体に必要な制度があれば制度の立案をしていく、そういうふうにしていきたいと思っております。

以上です。

【山下会長】

高橋委員。

【高橋委員】

ありがとうございます。

具体的に人数と、その専門性をお伺いしたいんですが、何人ぐらいでやっていらっしゃるのかというと、現在、2カ月で400件、電話がパンク状態なのか、うまく流れているのか、その辺も教えてください。

【山下会長】

山上課長。

【山上保障課長】

3人の体制でやっております。それで、パンク状態ということではございませんが、1件当たりかなり長くかかるご相談もありますので、ケース・バイ・ケースであります。必要に応じて相談が増えてくれば、必要な体制をとっていくという考えでやっていきたいと思います。

【山下会長】

高橋委員。

【高橋委員】

ありがとうございます。その結果は、例えば1年分を集計して、来年公表なさるとか、その辺のご予定はいかがでしょうか。ぜひ私は公表していただきたいと思っております。

【山下会長】

山上課長。

【山上保障課長】

10月、11月の実施状況につきましては12月の中旬にプレスにリリースしております。私どもで集計して、また適宜プレスにリリースしてまいりますし、お呼びいただければ、説明に上がりますので、よろしくお願いしたいと思います。

【山下会長】

石井委員。

【石井委員】

1.一般病院の療護センター機能の委託というテーマに関してですが、これは各地区を代表するような病院に委託が行われたというふうに理解できますので、よかったなと思います。

2.短期入院病院に拡充のテーマと両方あわせてですが、できればどういうフォーマットで、またどういう契約でこういうことが行われ、これからこうなっていきますというような情報がございましたら、いただければ、会内を通して、また各都道府県なり、また担当なりに情報を流しまして、それは結局先ほども話題になりました診療報酬基準案の普及とか、そういうことにもポジティブな影響が出ると思いますので、新しいトレンドとして、情報をいただけるものがありましたら、また後ほどで結構ですので、お願いします。

【山下会長】

古笛委員。

【古笛委員】

先ほどお話のありましたNASVAから紹介されたという形で、やはり日弁連交通事故相談センターのほうでも電話相談ですとか、面接相談をやっているんですけれども、どこから紹介されてここへ連絡しましたかということもきちんと確認はしているんですけれども、中にはNASVAからというお答えの方もちょこちょこ出てくるようになりましたので、センターのほうでもそういったことはきちんと確認していきたいとは思っています。

それから、また別のご質問なんですけれども、政府保障事業の運用が変わったということで、重過失減額制度が採用されたのはとてもいいことだと思っているんですけれども、そのことによって、何か保障事業の運用について、例えばお支払いの期間がかなり早くなっただとか、それから件数的なものに何か影響が出ただとか、この運用変更によって、目に見える形で何か変わったのかということがあれば、ぜひ教えていただきたいと思うんですけれども。

【山下会長】

山上課長、いかがでしょうか。

【山上保障課長】

ご質問ですが、重過失減額の採用は19年4月からでございまして、まだこれから実績が出てくるのかなと。おそらく支払い額が増えるという形で影響が出てくると思っております。これからでございます。

【山下会長】

それでは、今後とも何か情報がございましたら、お願いいたします。

ほかにいかがでしょうか。

広重委員。

【広重委員】

前回発言させていただきました運用益事業ともかかわることなんですが、私ども日本消費者協会は消費者相談室というのを設けておりますが、時々交通事故に関するご相談をいただきまして、今、NASVAさんもありましたけれども、さまざまなご相談先を逆にご紹介するようなところがありまして、そのたびに感じることなんですが、自賠責保険の特徴としましては、保険料を負担している人たちだけが対象になるわけではないですね、交通事故の被害者全体が対象になるということで。そうすると、日ごろはこういった事業にかかわりのない方たちもこれを利用するということができるんですが、それが知られていないということで、被害者の方にとってのこれらの事業というのは、大変価値のある、意味のある内容だということで評価したいと思うんですが、そのことを日常的に国民全体に知らせていただくという、前回、高橋委員のほうからポータルサイトの話もありましたけれども、そちらのほうにもぜひ気を配っていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【山下会長】

ほかにいかがでしょうか。

福田委員。

【福田委員】

国土交通省の山上課長、ドライブレコーダーが最近非常に普及してまいりまして、あと、きのう、友人の交通事故専門の弁護士のメールリストで流れてきたもので、交通事故の記録装置でドライバーの証言がうそであったということがわかったというケースなどが出てきておりますので、交通事故分析について、多角的な角度から検討するようなシステムを検討していただきたいというのが1つあります。

それから、交通事故だと、遺族の会の方々もよくおっしゃるんですが、真実がどうであったのかというのが、実は知りたいんだということに、交通事故鑑定は、現状で本当に正確なのかどうなのか、非常にあやふやなところが多いんじゃないかということを危惧しておりますので、ぜひ、その点もあわせてご検討いただきたいと考えております。

【山下会長】

ほかにいかがでしょうか。

よろしゅうございましょうか。

それでは、ただいまいただきましたご意見につきましては、今後の自賠責保険制度のあり方につきまして、十分参考にしていただきたいと思います。

それでは、これで、本日予定しておりました議事は終了いたしましたが、なお、全体につきまして、委員各位におかれまして特段のご発言があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。

それでは、最初にお話ししましたように、戸川委員より遺族の会についてご発言をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【戸川委員】

貴重な時間をありがとうございます。

先回の10日の委員会で、私は先ほども出ましたけれども、運用益の使途の事業につきまして、実質的な減額になっていることについて、それについての意見を言わせていただいたわけですけれども、あれはあれで終わってしまって、これから先、来年というところに動き始めるんじゃ情けないかと思うんですけれども、決して事故防止あるいは被害者救済についてはニーズがないわけではない、まだまだいっぱいあるんです。

その中でやはり私たちが本当に真剣になって考えなきゃいけない問題だと考えているのは、1つは救急救命がよく最近話題になっているように非常に後退しているということです。交通事故を含まず、ありとあらゆる救急患者がたらい回しにされて、とどのつまりは亡くなってしまうようなことも報道されておりますので、この運用事業の中に救急救命に対する支援があるわけですけれども、このあたりは、もちろん中核は厚労省の問題かと思いますけれども、ぜひそのあたりがむだにならないように、やはり救うべき命を救わなきゃいけないという使命でこの救急救命というものを、もっと実効あるものにしていただきたいなと思います。ですから、予算につきましても、ぜひむだにならないような形で、もし大幅に余るようでしたら、この救急救命体制をもう一回盛り上げることに使っていただきたいと思います。

それからもう一つ、きょう配りました資料は、本当はこんなにたくさんコピーしていただくつもりはなかったんですけれども、事務局の方には大変ご迷惑をかけましたけれども、実はきょうご提案する「交通事故犠牲者の日」というのも、できましたら、私は運用益の事業のほうでちょっと考えていただきたいと思ったものですから、きょう提案する運びになりました。

この世界交通事故犠牲者の日というのがあるんですけれども、実はこの日があるということを私たちが知ったのは去年の春先でした。ほぼ1年前なんですけれども、その段階で、これは大変だということで、行政に聞いてみましたけれども、だれも知らないんです。これはどうしたことかなというふうに思ったんですけれども、国連で2005年10月26日に、11月の第3日曜日を世界共通の交通事故犠牲者を悼む日にしようということが議決されているわけです。日本も常任委員会をねらうような動きがあるわけですから、ぜひ国連の動向につきましては敏感に反応していただきたいなというのを、ここは内閣府の方がいらっしゃるものですから申し上げたいと思います。

この犠牲者の日というのは、一番上の鏡に書きましたように、ウィキペディアに書いてあるのをこのまま写してきたんですけれども、2005年10月26日に国連で議決されています。これについての解説文、WHOが書いた解説文を日本のさる交通事故の遺族の方が和訳してくれたものを、きょう皆さん方にお目にかけているわけです。

細かいことは申しませんけれども、こういう世界で毎年120万とも言われている交通事故の犠牲者がいるわけです。これはいろいろな意味での大変な社会的損失ですけれども、これを放置しないで、この運動を通して、最終的には交通事故を減らしていこうというねらいがあるわけですから、私たちもこれを取り組む必要があるのではないかと考えるわけです。

枚数ではなくて、ページで4ページですが、そこに年表のようなものが書いてあるんですけれども、1993年にイギリスのロードピースという民間団体が中心となってこういった運動を立ち上げて、先ほど言ったように2005年に国連で議決されたんですけれども、現在ヨーロッパが中心ですけれども、1998年にはその輪が広がりまして、南米、あるいはオーストラリア、アフリカというところまで広がって、この運動がいっているんですね。ところが、日本を含むアジアにはこの運動の火の手が全く上がっていないんです。私たちは、遺族の会という一団体だけでこういったことをやるものではなくて、やはり世界の趨勢にもおくれないためにも国家行事――国家行事にもいろいろな形があるでしょうけれども、していただきたいという形で要望書を書いたわけですけれども、国家行事とはいいますけれども、実質的にはこういった運動を盛り上げるNPOみたいなものを一つの母体にして、全国の被害者団体、そこに一般の市民の方を巻き込んだような運動に盛り上げていっていただきたいなと思うんです。

もちろん、私たちにはこんな予算も働き手もいませんものですから、もし、その運用益の事業のほうでこういったふうなものが考えられるならば、ぜひ考えて、世界の趨勢におくれをとらないようにお願いしたいということで、きょうはご提案を申し上げます。

細かいことにつきましては、膨大な資料がありますので、それから、この鏡のほうに原文とか、最近ネットのほうにもこの問題が提案されていますので、ぜひご自宅にお帰りになってからお読みいただいて、この問題に関心をお持ちいただきたいなと思います。

大変長くなりまして申しわけございません。以上です。

【山下会長】

ありがとうございました。

それでは、予定の議事を大体終わりましたので、この会議を終了させていただきたいと思いますが。

高橋委員、どうぞ。

【高橋委員】

せっかく厚労省の方にもお出ましいただいて席に座っていただいておりますので、先ほど、自動車共済に関しての一部変更の件があったんですけれども、関連して、ちょっと確認と言いますか、ご質問させていただきたいと思います。

今回、生協法の改正に伴って、自賠共済に対して共済代理店というものが認められるということになったわけなんですけれども、今まで整備工場などがグレーな形で共済契約にかかわっていたものがちゃんと法的にかかわれるということはいろいろ指導という点でも重要だというふうに思っております。

今回、生協法制度の見直しに関しての検討会の答申の中で、共済代理店の設置に当たっては届け出制になるとした上で、共済推進者の禁止行為がこれらの者にも適用するとともに、共済代理店の行為に関する生協の損害賠償規定、生協による共済代理店に対する教育の義務づけ等を行う必要があるというふうに書かれているんですが、この義務づけに関して、現在どのような形で進んでいるのかということを教えてください。

【山下会長】

それでは、厚生労働省の社会援護局の中村消費生活協同組合業務室長にご説明をお願いいたします。

【中村消費生活協同組合業務室長】

失礼いたします。厚生労働省の生協業務室長をしております中村でございます。

ご質問の件でございますけれども、ご承知のとおり、これまで生協法には生協代理店に関します規定がなかったものですから、そうしますと、募集の際のいろいろな規制がかからなかったという問題がございまして、今般の改正におきまして、共済代理店としてきちっと位置づけをしまして、法律上も規制をかけていくということにしたわけでございます。

おっしゃるとおり、今回の法改正で、共済代理店について、その設置の際に行政庁に届け出を義務づけるということ。委託元の生協が共済代理店の教育、管理、指導を行うことを義務づけるということをしております。また、行政庁につきましても、委託元の生協におきまして、法令の遵守あるいは内部管理体制の整備等について、指導基準が明確化され、共済代理店に対して教育、管理、指導が適切に行われているかといった点、あるいは共済代理店の育成、資質の向上を図るための措置が講じられているかどうか。あるいは共済代理店について、監査等を適切に実施しているかということを確認していくというふうに考えております。そうした関係につきましては、現在の監査基準といったものも準備をしているところでございますので、そういったものを通じまして、万全を期してまいりたいと思っております。

以上でございます。

【山下会長】

よろしいでしょうか。

どうぞ。

【高橋委員】

ご説明ありがとうございました。

生協もいろいろあると思うんですけれども、若い人たちが大学生協を通して自動車免許を取り、その生協の共済のほうで自賠やマイカー共済に入っていくというふうなケースもあると思うんですけれども、やはり若い人の交通事故に対する教育とか、そういったことも厚生労働省さんの管轄かどうかわかりませんけれども、その生協の制度を扱っているということで生協団体に対してもきちんとそういうこともやるように、ぜひご指導いただきたいというふうに思っております。

【山下会長】

ほかにございませんでしょうか。

それでは、本日の議事は大体ここで終わらせていただきたいと思います。

ご連絡事項といたしまして、この後11時45分ごろをめどに、前回及び今回のこの自賠責保険審議会の内容につきまして、私のほうで記者会見を予定しております。委員の皆様方におかれましても、その旨をご了承いただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【山下会長】

ありがとうございます。

それでは、これで本日の会議を終了させていただきます。

どうもありがとうございました。

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