第134回自動車損害賠償責任保険審議会議事録

1.日時:平成27年1月28日(水)10時00分~11時30分

2.場所:中央合同庁舎第7号館西館13階 共用第1特別会議室

【落合会長】

それでは、時間がまいりましたので、134回になりますけれども、自動車損害賠償責任保険審議会を開催いたします。本日はご多忙のところご参集いただきまして、ありがとうございます。

お手元に当審議会のルールにつきましてお配りしているものをごらんいただきますとわかりますけれども、本日はこれにのっとりまして、審議は全て公開で進めさせていただきたいと思います。

それでは、今回より新たに就任されました委員の方をご紹介申し上げたいと思います。

まず、石井委員でいらっしゃいます。

【石井委員】

日本医師会から参りました。4年前まで一度担当していましたので、古巣に戻ったようなつもりですが、そうは言いながら、引き締めて頑張りたいと思います。よろしくお願いします。

【落合会長】

続きまして德岡委員でございます。

【德岡委員】

日本損害保険協会の德岡でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【落合会長】

続きまして新居委員でいらっしゃいます。

【新居委員】

改めましておはようございます。日本自動車会議所から参りました新居でございます。よろしくお願い申し上げます。

【落合会長】

最後に堀本委員でございます。

【堀本委員】

損害保険料率算出機構の堀本でございます。よろしくお願いいたします。

【落合会長】

なお、清水委員におかれましてはご都合により辞任をされております。

ここでカメラ撮りの方はご退出をお願いしたいと思います。

(カメラ退出)

【落合会長】

本日の議題でありますが、お手元にあります議事次第にございますように、自賠責保険料率の検証結果に関する報告のほか、幾つかの報告事項がございます。

それでは、まず、事務局より資料の確認をお願いいたします。

【諏訪園課長】

保険課長をしております諏訪園と申します。本日はよろしくお願いいたします。

それではまず、お手元の配付資料でございますけれども、まずは配席図、そして当審議会の公開ルール、議事次第、委員名簿となっております。

それでは、議事次第に沿って資料の確認をさせていただきます。議題1は、自賠責保険の基準料率についての検証結果をご報告するもので、資料1でございます。

議題2は報告事項でございまして、議事次第の3点についてご報告するもので、資料2から資料4まででございます。

以上、8点の資料となりますが、お手元の資料に過不足等ございましたら、お知らせいただけますよう、よろしくお願いいたします。

なお、本日の審議会の予定でございますが、審議状況いかんではございますけれども、おおむね11時半を目途に終了することを予定しております。

以上でございます。

【落合会長】

ありがとうございました。

それでは、議題1であります、料率検証結果につきましてご報告をいただき、ご議論をお願いしたいと思います。

まず、実際に料率検証の作業を行った、損害保険料率算出機構から、堀本委員に概要をご説明いただき、その後、事務局から補足していただきたいと思います。

それでは、堀本委員、よろしくお願いいたします。

【堀本委員】

それでは、平成26年度の検証結果につきまして、資料1に沿ってご説明させていただきます。まず1ページ、自賠責保険・共済収支表をごらんください。表のタイトルに契約年度とありますが、この表は当該年度において契約を締結した車両の保険料と、その車両が起こした事故による支払保険金を集計したものでございます。この表では、自賠責事業を行っております全事業者の収入純保険料、支払保険金、収支残、損害率につきまして、過年度の推移、及び今回の検証の対象年度であります平成26契約年度、及び27契約年度の予測値を載せております。この表の一番左側の収入純保険料をごらんいただきますと、平成20年度以降、22年度までは6,000億円台での推移となっておりましたが、23年4月に純保険料率を17.2%引き上げたことによりまして、23、24年度は約7,000億円程度。その後、25年4月に純保険料率を20.1%引き上げたことによりまして、25年度は8,500億円程度となっております。

また、今回の検証の対象であります、平成26、27年度をごらんいただきますと、収入純保険料は26年度が8,523億円、その下の27年度が8,431億円と見込んでおります。また、その右側の支払保険金につきましては、26年度が8,545億円、27年度が8,446億円と見込んでおります。なお、支払保険金の算出に当たりましては、26年4月に消費税率が8%に引き上げられた影響を織り込んで計算したものとなっております。

以上の収入純保険料と支払保険金との差額が次の収支残の欄でございますが、平成26年度が21億円の赤字、27年度が15億円の赤字となっております。また、一番右側に損害率の欄がございます。支払保険金を収入純保険料で割った値でございますが、これが平成26年度、27年度ともに100.2%となっております。

下の欄外の注3にございますように、平成25年4月の基準料率改定の際の予定損害率は100.2%でございますので、改定時の見込みどおりと評価できるかと思います。

以上が本年度の検証結果でございます。

続きまして、今年度検証結果の背景及び要因等についてご説明させていただきます。それでは2ページをごらんください。このページの交通事故の発生状況は、警察庁の交通事故統計によるものでございまして、交通事故の傾向を把握するための参考ということで添付しております。初めに、左側の発生件数をごらんいただきますと、平成16年度あたりをピークとして減少傾向となっており、26年12月末までの発生件数も対前年増減率は8.8%の減少となっております。また、死者数、負傷者数の推移につきましても同様に、近年減少傾向となっております。

次に3ページをごらんいただきたいと思います。3ページでは、料率検証における主な予測要因についてご説明しております。まず(1)の収入純保険料に関する予測要因といたしましては、過年度の保有車両数の動向を参考に、将来年度の保有車両数を推計しておりまして、平成26年度、27年度ともに増減率は+0.1%と若干の増加を見込んでおります。

次に(2)の支払保険金の予測に当たって前提となりますのがマル1の事故率とマル2の平均支払保険金でございます。まずマル1の事故率についてでございますが、ここでの事故率と申しますのは自賠責の保険金の支払対象になった事故率を意味しております。こちらにつきましては、過年度の事故率の動向、及び先ほどご説明いたしました交通事故発生状況などを参考として算出しております。ごらんいただいている3ページの表には、死亡、後遺障害、傷害別の予測値を記載しておりますが、次の4ページに、過去の実績値を含めましてグラフと表でお示ししておりますので、先に4ページをごらんいただきたいと思います。最初に右下の表の左端の死亡の事故率についてですが、過年度の動向といたしましては、平成20年度以降一貫して減少傾向となっております。また、先ほど警察庁の交通事故統計をごらんいただきましたけれども、交通事故死者数は平成26年度に入ってからも減少傾向となっております。このため、死亡事故率は今後も減少傾向が続くものと見込み、平成26年度は0.00538%、27年度は0.00531%、28年度以降はさらに減少していくものと予測しております。

次に、この表の右端の傷害の事故率をご説明させていただきます。過年度の動向でありますが、先ほどごらんいただきました警察庁の統計による交通事故発生状況においては、負傷者数が減少傾向であったのに対しまして、自賠責の事故率は増加傾向で推移しております。ただし、近年その増加傾向に落ち着きが見られますことから、平成26年度以降の傷害事故率は25年度と同率で推移するものと予測しております。ここで交通事故負傷者数と自賠責の事故率とで動向に違いがあらわれる点についてご説明いたしますと、交通事故が発生した場合、基本的には人身事故、あるいは物件事故として警察に届出がなされることになりますが、このうち人身事故としての届出があったもののみが警察統計上の交通事故負傷者数として集計されております。これに対しまして、近年は物件事故として届け出られた事故において自賠責保険の支払いが行われるものが増加傾向となっていることから、交通事故負傷者数と自賠責の事故率とでは動向に違いが生じております。

最後は表の中央の後遺障害の事故率でございます。後遺障害事案は、交通事故による受傷の後に後遺症が残る事案でございます。そこで、後遺障害事故率と傷害事故率の関連性を見ますと、24年度までは後遺障害事故率に比べて傷害事故率のほうが若干強めに増加しておりましたが、直近の25年度には後遺障害事故率、傷害事故率ともにほぼ横ばいの推移となっております。このため、26年度以降の後遺障害事故率は、先ほど申し上げた傷害事故率と同様、25年度と同率で推移するものと予測しております。

以上が事故率に関するご説明でございます。

続きまして、申しわけございませんが、資料3ページに1度戻っていただきます。(2)のマル2平均支払保険金についてご説明させていただきます。マル2の平均支払保険金に影響を与える主な要因といたしましては、賃金、治療費、及び支払基準の改定の影響による変動が挙げられます。このうち、賃金上昇率につきましては、26年4月以降増加傾向が続いておりますことから、26年度上半期の賃金上昇率である+1.1%を26年度年間の上昇率と見込み、平成27年度以降は横ばいと予測しております。

また、治療費上昇率につきましては、近年、平均入通院日数に増加傾向が見られることを踏まえまして、治療費全体として26年度は+0.39%、27年度は+0.34%と若干の上昇を見込んでおります。

次に、一番右の治療費、休業損害、及び慰謝料の金額や算定方法等を定めております支払基準の改定による影響でございますが、26年度は支払基準の改定の見込みは今のところございませんので、影響は0とし、27年度以降発生する事故については、直近の平成22年4月の支払基準改定の年平均上昇率0.05%を毎年度織り込んでおります。

なお、資料には記載しておりませんが、平均支払保険金の予測に当たりましては、消費税率が5%から8%に引き上げられた影響を別途織り込んでおります。

続きまして5ページをごらんいただきたいと思います。自賠責保険・共済の支払件数及び平均支払保険金の推移の表でございます。この表は、3ページ及び4ページに基づき算出した自賠責保険・共済の支払件数、平均支払保険金の推移を一覧表にしたものでございます。こちらの表もタイトルに契約年度とありますが、これは先ほどの1ページと同じく、当該年度において契約を締結した車両が起こした事故による支払件数と平均支払保険金でございます。したがいまして、保険期間が1年を超える長期契約の場合、その契約を締結した車両に生じた事故につきましては、契約を締結した年度の支払件数と平均支払保険金の欄に保険期間全体分を通算したものが集計されております。

一番左側の欄の死亡の支払件数につきましては、平成26年度が4,400件、27年度が4,295件と予測しておりまして、平成26年度は1.8%の減少、27年度は2.4%の減少となっております。

また、後遺障害及び傷害につきましては、平成26年度は0.5%の増加、27年度は1.1%の減少と予測しております。このように数値が波打っておりますが、先ほど申し上げましたとおり、後遺障害及び傷害の事故率は横ばいで見込んでおりますものの、各年度ごとに新車販売台数の増減などの影響により、契約台数自体が増減いたしますことから、実際の件数としてはこのように増減する結果となっております。

他方、平均支払保険金をごらんいただきますと、死亡はわずかに減少、後遺障害は横ばい、傷害はわずかに増加と予測しております。

次に6ページをごらんいただきたいと思います。自賠責保険・共済の支払保険金の総額の推移でございまして、前の5ページの死亡、後遺障害及び傷害別の支払件数と平均支払保険金を掛け合わせて求めたもので、一番右の欄が合計となっております。この合計欄の平成26年度の8,545億円、27年度の8,446億円という値が、冒頭の1ページの収支表でご説明いたしました支払保険金の26年度、27年度の値となっております。

続きまして7ページをごらんいただきたいと思います。ご参考として、重度後遺障害の支払件数の推移をまとめたものでございます。表のタイトルに支払年度とありますが、こちらの表の件数は、当該年度に保険金が支払われた事案の件数ということでございます。集計の対象は注1にございますように、現行の後遺障害等級表の別表第一に該当する介護を要する後遺障害、それと、別表第二の1級から3級までに該当する後遺障害でございまして、これらが労働能力喪失率100%とされる後遺障害でございます。それぞれの等級の支払件数の合計が一番右の欄にございますが、重度後遺障害の支払件数としては、減少傾向は見られますものの、依然として約1,700人の方が被害に遭われている状況となっております。

続きまして8ページをごらんいただきたいと思います。自賠責保険・自賠責共済の運用益の発生と積立状況でございます。詳細は割愛させていただきますが、一番右の欄に保険料の引下げ財源等に活用される際の実質的な金額となる法人税等相当額を加味した運用益積立金残高を集計しており、平成25年度末では、損保会社、共済事業者合計で5,342億円となっております。

続きまして9ページをごらんいただきます。自賠責保険の社費・共済経費の収支表でございまして、全事業者の社費の収支につきまして、ご参考までに過去の実績を示したものでございます。一番下の行の平成25年度をごらんいただきますと、当年度収支残が146億円の赤字となっております。その要因といたしましては、現行料率である平成25年4月の改定料率が24年度末の累計収支の黒字、社費で約300億円、これの活用を前提とした赤字水準の設定となっていることに加えまして、26年4月の消費税率の引上げ前の車の買い替えの駆け込み需要によって契約関係手続が増加したこと、また、傷害事故率の増加、これに伴い、支払件数が増加したことの影響によるものと考えております。したがいまして、今後の社費の収支状況につきましては、引き続き注視してまいりたいと考えております。

続きまして10ページをごらんいただきたいと思います。今までご説明させていただきました内容のポイントをまとめたものとなっております。(1)にございますように、平成25年4月の基準料率改定における予定損害率は100.2%でございましたが、(2)の表にございますとおり、本年度検証結果である26年度、27年度の損害率はいずれも100.2%ということで、予定損害率と比較すると改定時の見込みどおりとなっております。また、平成25年度時点での累計収支残は5,321億円の赤字となっておりますが、この累計の収支の赤字は、損保会社、共済事業者の運用益によりまして補填される仕組みとなっております。そこで、運用益積立金による補填を踏まえました、25年度時点の実質的な累計収支残を計算したものが右側の表になっております。25年度までの損保会社、共済事業者の決算におきまして、実際に収支の赤字補填がなされた累計金額、資料では運用益積立金による収支赤字の補填累計額と表示してあるFの欄になりますが、こちらが13億円、また、今後の補填の財源として25年度末時点での運用益積立金残高がG欄の5,342億円となっておりますので、これらを考慮した25年度時点での実質的な累計収支残は34億円となっております。

続きまして11ページをごらんいただきたいと思います。こちらは平成25年度における自賠責保険の収入と支出の構成割合を円グラフで表示したものとなっております。損保、共済合計の値でございます。ご参考ということで添付してございます。

私からのご説明は以上でございます。ありがとうございました。

【諏訪園課長】

それでは、今の11ページの1つ前の資料1の10ページに沿いまして、事務局から補足説明をさせていただきます。

今般の基準料率検証結果といたしましては、ただいまご説明がございましたように、26年度、27年度、ともに損害率が100.2%となっておりまして、25年4月に基準料率改定を行った際に予定しておりました損害率と比較いたしますと乖離は生じておりませんので、現行料率算出時の見込みどおりの推移と見ることができるかと思います。以上の点を踏まえて、27年4月以降の基準料率改定の必要性につき、委員の皆様にご論議をお願いしたいと考えております。事務局からは以上でございます。

【落合会長】

ありがとうございました。それでは、ただいまの料率検証結果の報告と補足説明に関しまして、ご質問、ご意見がございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

【相原委員】

委員の相原です。よろしくお願いします。ただいま、平成26年、27年の損害率についてご説明を頂戴いたしました。この点について大きな異論はございません。それを申し上げました上で、これまでの審議会の場でも申し上げてきたところなんですが、自賠責保険の保険料率そのものは、ユーザーの負担の観点から、短期での大幅な変動は望ましくないと承知をしております。もちろん、ノーロス・ノープロフィットの原則に基づいて安定的な運営が一番最適だろうと考えております。したがいまして、今後とも中期的な観点に立って、その収支の流れを十分配慮した料率設定を今後とも心がけていく、努めていくことが重要だと思っております。

あわせて、保険金の支払いの適正化、透明化など、業界、保険、損保会社等々のご努力があることも十分承知をしておりますが、関係のところとよく合わせていただいて、保険金の支払いの適正化などについても今後とも進めていただくことが必要だと。その結果として、ユーザーの保険料の負担の軽減にも資するものだと承知しておりますので、その点も加えて申し上げさせていただきたいと思います。

以上です。

【落合会長】

ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。

【新居委員】

先ほどご挨拶申し上げましたけれども、私は自動車の総合団体でございます日本自動車会議所保険委員会委員長として、本日、出席させていただいています。これまでいろいろ自動車業界、並びに自動車ユーザーの意見というのが出ておりますので、その視点に立って発言をさせていただきます。

一応これは意見でございますので、お聞き及びいただきたいと。今回、先ほどの資料に基づきまして保険収支が予定どおり改善していることが示されました。ただ、一方で、自動車ユーザーは、これまでの時系列の収入部分でのご説明もございましたが、保険料の値上げ、あるいは全体的な政治施策による消費税のアップということで、負担が増えていることもご承知のとおりだと思っています。また、さらに平成29年4月までには2%の消費税アップがさらに予定されている状況を踏まえると、今後大きな負担増を背負う自動車ユーザーを納得させる環境づくりを行わなければ、この自賠責保険制度の信頼そのものが損なわれると考えております。この解消においては、冒頭、資料1ページの時系列の収支を見ても、これまでもいろいろ意見具申がされていると思いますが、従前からの積み残しであって未解決となっている、特会からの一般会計繰入金の問題の解消が必要だろうと考えております。基本的に積立金と保険収支が直接の関係にないとは言え、この時系列を見ますと、繰り入れが返済されないまま保険料が一昨年値上げされたことにつきましては、自動車ユーザーとしては納得しがたい部分があることはご理解いただけると考えております。このことからすれば、今まで返済計画が示されたことが一度もないことは非常に遺憾であると考えております。約定の返済期限は平成30年度末でございますが、先ほど申し上げましたとおり、取り巻くユーザーの負担という部分の環境の変化を考えますと、消費税アップで負担が増える前の平成29年3月までの返済を強く求めさせていただきたいと思います。

そして、全額返済を受けて、それを出発点として、本自動車事故対策事業を安定運営するための抜本的な改革を、その時点で検討すべきというふうに考えますので、意見を述べさせていただきます。

以上でございます。

【落合会長】

ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。

【矢代委員】

ただいま新居委員からご指摘のありました、特会からの繰り入れの問題につきましては、自動車ユーザー団体でありますJAFといたしましても重大な関心事項でございます。どうぞ積極的な取り組みをお願いしたいと考えております。

以上です。

【落合会長】

どうもありがとうございました。ほかにございますでしょうか。

そういたしますと、今出ました意見等を踏まえまして、どうするかということでございますが、今回の料率検証の結果を見ますと、損害率が一昨年度の審議会で議論いただいた際に想定していた予定損害率と比べて乖離がないこと。

それから、第2に、自賠責保険料は中期的な安定が求められていることなどを踏まえますと、今回は基準料率については据え置くことが適当であるとすることでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【落合会長】

それでは、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。

次に、そういたしますと、平成27年度の運用益の使途についてご報告をいただいた上で議論をしたいということですが、順番としては、自動車安全特別会計、続いて民間保険会社、そして最後にJA共済の順にご説明をしていただいて、その後まとめて議論をするという順序で進めたいと思います。

それではまず、平成27年度自動車安全特別会計の運用益の使途につきまして、国土交通省の吉田保障制度参事官よりご報告をいただきます。

【吉田参事官】

国土交通省の吉田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、私のほうからは、資料2に基づきまして、国の自動車安全特別会計の運用益の使途についてご報告をさせていただきます。資料構成でございますけれども、資料2の最初の1ページ、2ページに、昨年度平成25年度の運用益事業の実績についてまとめてございます。それから2ページには、来年度、平成27年度の政府予算案の運用益事業のポイントについてまとめておりますので、この1ページ、2ページでご説明させていただきたいと思います。3ページ以降は運用益事業の総括表という形で、詳細一覧を載せておりますけれども、これについての説明は省略させていただきたいと存じます。それから、追加で先ほど配付させていただきましたけれども、資料2の8ページ以降という位置づけで、昨年度平成25年度の運用益事業の内容の一覧につきましても、参考ということでお配りさせていただいておりますので、適宜ご参照いただければと思います。

それでは1ページの平成25年度の実績についてご説明いたします。大きく被害者保護増進対策と自動車事故発生防止対策、2つの柱でやっておりますけれども、被害者対策といたしまして、25年度は、短期入所協力事業を開始いたしました。これは自動車事故の被害者、あるいはその家族の方々や、在宅の重度後遺障害者の関係の方から大変ニーズが高い短期の受け入れにつきまして、従来、短期入院協力病院ということで取り組みを進めてまいりましたけれども、これに加えまして、新たに平成25年度から、障害者施設等の協力施設の指定を始めました。これによって在宅の介護の少しでも負担の軽減を図るということで取り組んだところでございます。25年度はモデル的に実施するということで、協力施設としては8施設を指定したところでございまして、今年度、さらに本格的に実施ということで、さらに追加で施設を指定していきまして、遠くない時期に全国での施設指定を目指してまいりたいと考えております。

2つ目ですが、療護に関する知見等の共有でございます。これは独立行政法人の自動車事故対策機構(NASVA)が設置しております療護センター、これは遷延性意識障害の方々を受け入れて治療看護を行う施設でございますけれども、ここで得られました療護に関する知見、ノウハウ等につきまして、このセンターの中だけでとどめるのではなく、広く一般にこの知見を共有していく、普及していくという活動に取り組みました。具体的には、日本意識障害学会をはじめとする学会における研究発表、あるいは他の医療機関に対して研修という形でこの治療看護技術の普及に取り組んだところでございます。25年度におきましては、先ほど申しました短期入所協力施設のスタッフに対しても、新たにこの実務研修を開始したところでございまして、21年度から25年度までの累計で研修が計21回、69病院2施設、106人の方々にこの研修を実施したところでございます。

それから、自動車事故発生防止対策でございますけれども、先ほどもご説明ございましたけれども、交通事故の死者数、これは事故から24時間死者数でございますけれども、平成26年も4,113人ということで、減少傾向は続いておりますけれども、政府の目標でございます、27年までに3,000人以下ということにかんがみますと、さらに一層この事故発生防止対策にも取り組んでいく必要があると認識しております。そういった観点で、25年度でございますが、1つは、過労運転防止のための先進的な取組支援を開始いたしました。これは特に運送事業者、トラック、バスといった事業用自動車の運転者の体調・疲労、こういったことが要因となって事故が起こることが相次いでおります。こういった中で、ドライバーの体調・疲労をしっかりと把握して、的確な運行管理を行うという観点から、いろいろな先進的な活用できる機器が出てきております。こういったものを事業者が購入するときに補助を行いまして、事業者の過労運転防止、居眠り運転等を原因とする重大事故の防止の取り組みをしているところでございます。

昨年3月に、北陸道で高速乗合バスが大型トラックに追突いたしまして、乗員・乗客2名の方がお亡くなりになる、また、26名の方が重軽傷を負われる重大な事故が発生いたしました。これも今、当局のほうで原因調査が進められておりますけれども、衝突の直前にドライバーが意識を失っていたということも言われておりまして、こういったことも受けて、今年度もさらにこの事業については対象機器を拡充した上で実施に取り組んでいるところでございます。

それからもう一つは自動車アセスメントの広報の強化でございます。これは従来からNASVAが自動車の安全性能の評価・公表を行う自動車アセスメント、情報提供事業に取り組んでおりますけれども、これをさらにユーザーの方々にしっかりとお伝えしていくということで、わかりやすいパンフレットへのデザイン変更、あるいは衝突試験時に、消防関係者と連携してさらに広報の強化に努めていくことを実施いたしました。結果として、平成25年度ですけれども、このNASVAのアセスメントのホームページへのアクセス件数が66万件、また、各種メディアでもこの試験の結果について報道いただいたということでございます。

次に2ページの来年度の予算案でございます。来年度は合計額127億円ということで、今年度に比べまして1.1億円、0.9%の減ということで予算案に計上しております。これから国会のご審議をいただいて、予算として確定していくということでございますけれども、その内容の主なものをご説明いたします。まず、拡充したものとして4つほど考えております。1つは、介護料の支給の充実でございます。これは従来からNASVAを通じまして、重度後遺障害者の介護に要する費用を介護料という形で支給しているところでございますけれども、被害者あるいはご家庭のほうから、この介護料の支給の対象となります消耗品の品目を拡大していただきたいという強いご要望を受けてきたところでございます。具体的には、導尿カテーテル、バルーンカテーテル、滅菌ガーゼ、使い捨て手袋の4品目について、今般対象を拡大いたしまして、これについても支給の対象とするための所要の予算を計上しております。

それからもう一つは訪問支援業務実施体制の充実・強化でございます。これは介護料を受給されている在宅の方々のところに、NASVAのスタッフが実際に足を運んで訪問支援という形で取り組んでおりますけれども、これにつきまして、さらにこの取り組みを一層強化していくために、訪問支援情報をデータベースで一元管理化する、あるいはさらに訪問支援がしっかりできるような必要な経費の確保のための予算を計上しておりまして、これによってさらに介護をされるご家族の精神的な支援を強化してまいりたいと考えております。

それから、事故防止対策の拡充の内容でございますけれども、1つは、先進安全自動車に対する補助の拡充でございます。具体的には衝突被害軽減ブレーキ、あるいはふらつき注意喚起装置などが装着されたバスでありますとかトラック車両に対します補助でございます。これは先ほども述べましたような、昨年3月の北陸道の事故等も踏まえまして、さらにこういう安全装置の装着されたトラック、あるいはバスの普及を加速的に促進していくことで拡充したいと考えております。拡充内容といたしましては、バスについての補助上限額の増加でございますとか、あるいはトラックにつきまして、大型トラックだけではなくて、中・小型のトラックについても補助の対象にしていきたいということでございます。

それから、自動車アセスメント事業の充実でございます。先ほど申しましたNASVAが行っております自動車アセスメント事業につきまして、さらに予防安全技術に関する評価を来年度から本格的に実施してまいりたいと考えております。予防安全技術としては、衝突被害軽減ブレーキ、あるいは車線はみ出し警報といったものがございまして、今年度は試行的にNASVAで試験を行いまして、結果を公表させていただいたところでございますけれども、来年度からはこれをさらに本格的に実施いたしまして、ユーザーの方々のより安全な自動車の選択、あるいはメーカーによるこういった分野の製品開発のさらなる促進に努めてまいりたいと考えております。

一方、効率化のほうでございますけれども、従来から事故防止対策として安全運転推進事業を行っております。これは自動車運転者等に対して行う安全運転のための知識、あるいは運転技術の向上を図る研修等につきまして、補助事業という形で行ってきております。近年、執行率という点では、必ずしも全て使い切るという状況にはなっておりませんので、この辺りについては、予算の有効的な活用という観点から減額をしたいと考えております。今年度まで4,000万円予算を組んでまいりましたけれども、来年度は2,000万円の補助事業にしたいと思っております。

以上が主な内容でございまして、トータルといたしましては、先ほど申しましたような127億円ということで、ほぼ近年では同レベルの事業規模になろうかと思います。私からの説明は以上でございます。

【落合会長】

ありがとうございました。

それでは、続きまして、平成27年度民間保険会社の運用益の使途につきまして、德岡委員よりご報告をお願いいたします。

【德岡委員】

私、日本損害保険協会の德岡でございます。平成27年度の民間保険会社の運用益の使途につきましてご報告申し上げます。お手元の資料3をごらんください。この運用益の拠出事業案は、第三者委員で構成されております、損保協会長の諮問機関である、自賠責運用益使途選定委員会で審議・ご了承いただいているものでございます。今後2月19日開催の損保協会の理事会で最終決定をする運びになっております。それでは、本運用益拠出事業案のポイントをご説明させていただきます。なお、この事業案の策定に当たりましては、平成24年8月に今後の自動車損害賠償保障制度のあり方にかかる懇談会で確認されました見直しの方針、加えまして、これまでの自賠責保険審議会の答申、さらには平成14年の自賠法改正に当たっての国会附帯決議等を踏まえまして、自動車事故の被害者対策を中心に充実させていくことを基本方針として進めております。したがいまして、被害者対策に資する事業や、被害者を生まないための自動車事故の防止対策事業を中心に、個々の事業報告・検証を踏まえて見直しを行っております。

資料の1ページに全体の概要を記載しておりますので、ご説明をさせていただきます。まず、平成27年度の支出予定総額といたしましては、右上のほうに合計欄がございますとおり、19億6,813万4,000円、前年度対比で約3,000万円、1.5%の減額になっております。その下に拡充いたしました事業は合計で7事業、一方、効率化等により縮減した主な事業は3事業でございます。具体的な事業でございますが、拡充いたしました事業は、まず、自動車事故防止対策におきましては、既存事業であります飲酒運転防止のための啓発事業支援を増額しております。新規事業といたしましては2点です。昨今社会問題になっております高齢者の事故の増加に伴いまして、高齢者の交通事故の原因と、その施策に係る研究というのが1点目でございます。2点目は、運転可否判断支援尺度日本版による運転能力評価、この2つを挙げてございます。

次に救急医療体制の整備では、新規事業といたしまして、献体による外傷手術臨床解剖学的研究会費用補助を挙げております。

3つ目の自動車事故被害者対策では、新規事業として3点ございます。1点目は、eラーニングを活用した交通事故被害者生活支援教育と中核的人材の育成。2点目は、生活版ジョブコーチ(生活訓練アドバイザー)養成研究事業。最後3点目は、MRIにおける頚椎加齢変化の縦断的研究の3点でございます。合計しますと、1つの拡充、6つの新規事業という内容でございます。

こうした事業は、自動車事故の被害者の皆様や関係者の声をお聞きしている中で事業化してきたもの、もしくは、昨今の社会的な状況に鑑みて喫緊の課題に取り組むといった観点で事業化したものでございます。一方、縮減した事業としましては、その下に効率化という欄がございますが、経費削減や運営の効率化によりまして、高規格救急自動車の寄贈、それから、交通事故無料法律相談事業の支援、こういったものを縮減しております。また、運用益事業の見直しの方向性を踏まえまして、交通事故防止用機器の寄贈といった事業を縮減しております。

加えまして、これまでの事業を振り返りますと、今年度平成26年度で終了してしまう事業、例えば、7ページをお開きください。一番下に●で記載しておりますが、高次脳機能障害ファシリテーター養成講座というものがございます。この事業は、高次脳機能障害の専門家を育成する医療関係者向けの講習会の支援をするという内容でございます。あらかじめ定めた3年間の支援が終わりますが、非常に好評だったということでございまして、来年度以降も有料で講習会は継続開催するという体制が構築されております。

このように、私どもといたしましては、被害者救済に資する事業や、交通事故の防止に資する事業、そういったものは、例えば、一地域で行っていたものを、その成果を全国的な広がりにつながらせていくとか、また、支援したことを契機に、その事業自身が自立して継続的に営まれる、こういったことに取り組んでまいりたいと思っております。

なお、資料としまして、もう一度1ページに戻っていただきまして、2ページ以降に詳細がございます。まず2ページ以降に平成27年度の事業案の詳細を記載しております。また、10ページには、5カ年の拠出額の推移を記載しております。そして11ページ以降は、平成25年度の運用益拠出事業の報告書をおつけしておりますので、ご参照いただければと思います。

民間損保といたしましては、今後とも自賠責保険の運用益の有効かつ適正な拠出につきまして、引き続き努めてまいりたいと思っております。

以上、ご報告申し上げます。

【落合会長】

ありがとうございました。それでは、最後になりますけれども、平成27年度JA共済の運用益の使途につきまして、中村委員のほうからご報告をお願いいたします。

【中村委員】

JA共済連の中村でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。それでは、平成27年度のJA共済の運用益の使途につきましてご報告申し上げます。お手元の資料4をごらんいただきたいと存じます。運用益拠出事業につきましては、先ほどご説明のありました損保協会様と同様に、第三者委員からなる使途選定委員会にて審議・ご了承いただいた内容に基づき、本日、ご報告させていただくものでございます。この当案の作成に当たりましては、これまでの実施状況を調査の上、その効果や課題等を検証し、必要な事業については継続または拡充し、縮小すべき施策については、減額することでより効果的な実施に努めております。また、これまでの当審議会におけるご意見なども参考に検討しております。それでは、資料4の表紙をおめくりいただきたいと思います。1ページ目の上段に記載しておりますとおり、平成27年度の支出計画の合計額は平成26年度より666万5,000円減少の15億5,333万5,000円を予定しています。主な変更点をまとめております。新規、拡充、縮減の3つに分けて記載をしています。まず、新たな事故防止対策として1点、反射材を活用した交通安全啓発活動の実施を計画しております。警察庁の統計によりますと、先ほどもございましたが、交通事故による死亡者数の合計は減少傾向にありますが、夜間の歩行中に交通事故に遭って亡くなる方は依然として多く、毎年1,000人以上もの方が亡くなられている状況にあります。このため、全日本交通安全協会が主催する反射材フェアへの協賛を行い、夜間の交通事故防止に効果的な反射材の普及促進を図っていきたいと考えております。

それから、拡充する施策としてもう一点、生徒向け自転車交通安全教室の充実を計画しております。こちらは、自転車交通安全教室として、警察等と連携をしまして、スタントマンによる交通事故の実演を中学校や高等学校で開催しているものでありますが、自転車事故が社会問題化している昨今の状況を踏まえ、新たに自転車事故にかかる被害者・加害者2つの視点から、それぞれの危険に関する学習チラシを参加する生徒全員に配付することで、さらなる自転車交通安全啓発の強化につなげてまいりたいと考えております。

続きまして縮減を図る事業として1点ございます。救急医療機器等購入費補助を計画しておりますが、これにつきましては、救急医療機器の整備が一定程度進んだことが主な理由ということで、提供先とも協議の上、一部縮減をさせていただくということでございます。これら以外の事業につきましては、26年度の内容を継続することを基本としています。

資料、次のページ以降に、27年度事業の運用益拠出事業の詳細と、25年度事業の実施状況を取りまとめたものを添付しておりますので、後ほどごらんいただきたいと思います。

説明は以上でございます。

【落合会長】

ありがとうございました。それでは、今、3者からそれぞれご報告があったわけですけれども、この報告につきまして、ご質問あるいはご意見がありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

【石井委員】

質問というよりはコメントですが、まず、運用益の使途として、さまざまな医療の現場で、交通事故被害者となった患者さんにこういう事業を継続的に実施しているということでございました。やはり後遺症の問題であるとか、単に急性期医療だけではなく、在宅にまで、引き続き、当事業で、医療、介護の現場に対する目配りをお願いいたします。

もう一点は、先ほど、最初の料率検証結果の報告のときに損害保険料率算出機構よりコメントがありましたが、物損事故として届けられたものの中に自賠責の支払いが行われるものが増加傾向にあるというコメントがあったと思います。その辺のところは、検証が必要な事案等がありましたら、ご一緒に検証できればと思っています。これはお願いです。

以上でございます。

【落合会長】

ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。

【丹野委員】

運用益の活用利用を、国と、それから民間の保険会社、それからJA共済さんも含めて活用事業をやっていらっしゃること、非常に適切で有益な事業をなさっていると感じております。例えば、国のほうでなさっている、NASVAさんがなさっているんだと思いますけれども、例えば、被害者支援に加えて、自動車事故発生防止対策として、自動車アセスメントをなさっている。これは、一昨年ぐらいから非常にテレビのコマーシャルの中で、エマージェンシーブレーキのついている車のコマーシャルがたくさん流れていて、非常に一般のユーザーとしては関心を持っていて、どういうものだろうと思っているわけですね。そういうものを早速取り上げてアセスメントしていただいて、それを世の中に公表している。非常にアクセス数が高かったのは多分そのせいだと思うんですけど、消費者としては何を物差しにしていいかわからないから、そういう物差しが出ると、それを非常に関心を持って眺める、そういうことが行われている。そういうことを通して、今度は、例えば、NASVAさんならNASVAというところの存在を知って、それが今度、被害者保護とかそういう事業をやっているという方向へ周知するきっかけになれば、それは非常にうまい回り方だと思っています。

なぜそんなことを申し上げるかと言うと、前回から委員になったんですが、自賠責の運用益がこんなふうに被害者支援と事故の未然防止に使われていることを知りませんで、非常に不明を恥じております。そういうことが世の中にいっぱい降りていって、必要な人のところへ必要な支援がちゃんと行われるような手だてがなされればいいなと思っておりますので、こういう形でさらに周知されることを強く望みます。感想でございます。

【落合会長】

ありがとうございました。それでは、ほかにございますでしょうか。

【相原委員】

2点ほど申し上げたいと思うんですが、1点は、個々の事業の精査の必要性を申し上げておきたいと思います。損保協会さんからもその点について触れられておりますので、賛同するところですが、いずれにしても自動車ユーザーが支払っている保険料の運用益を一部こういう形で使途しているわけで、効果検証を含めPDCAをしっかり回していくことは大変大事だということを重ねて申し上げておきたいと思います。

その際に、効果検証と加えて、これも損保協会さんから話があったかと思いますが、ふさわしい事業主体、適切な事業主体はほんとうはどこなのかということと、財源をどこに求めるべきなのかについても、新規、継続、終了、その段階においてはあわせて検討されるべきものだと思っていますので、その辺も加えさせていただきたいと思います。

もう一点は、今日の議題の1ともかかわりますが、運用益で被害者救済事業を行っておりますから、その制度そのものの持続性を高めていかなきゃいけないと思っております。いずれにしても今の規模で事業を継続していくことになれば、現在でも運用益だけでは賄い切れておらずに基金を取り崩している現状にありますから、持続可能性がある制度にはそもそもなっていないと承知しています。したがって、保険料との関係で、積み立ての6,000億の話がありましたが、よりダイレクトに効いてくる話として、何よりも一般会計に繰り入れられている6,000億を早く取り戻すことが大事ですし、国交省さんにおかれては、この救済事業を担保できる制度づくりという面からも、しっかりと取り組んでいただきたいと思いますし、1歩も2歩も踏み込んで、計画的な取り戻しをどのように進めていくのかについてもご論議いただいて、実行に移していただけるとありがたいと思います。

以上です。

【落合会長】

ほかにございますでしょうか。

【福田委員】

ほかにご意見がないようですので、これで終わってしまうと最後の発言ができませんので一言。私、これで委員の任期が1期2年の5期で10年。今回の審議会が最後になります。今までの自賠責審議会議論の中で非常に残念なこととかいろいろあったのですが、10年間議論に参加しながら、結局、先ほども出ている一般会計の繰り入れの問題が全然進行しなかったのが全く残念で、毎回のようにこの話が出るのは何とかならないものかなと考えます。

もう一点、ユーザーへの還元という問題がよく出てきますけれども、保険理論的に言うと、運用益の総計として積み上がったものは、現在のユーザーのものではなくて、過去のユーザーたちの貢献による積み上げでございますので、現在のユーザーのものではないことをきちんと理解していただきたいと考えております。理論的には具体的に個人として特定できる誰のものかということを決めるのは非常に難しいと思います。2兆円の運用益が積み上がったときに20分の11と20分の9の分け方をして、11については、当時のユーザーへの保険料還元という形にして、20分の9については被害者救済のために使うということを決めたのも、実はそれが大きな理由ではないかと思います。現時点のユーザーへの還元ではなく、潜在的な被害者救済に用いることが国民からの理解を得られる使い方であると考えています。この自賠責保険ですけれども、昭和30年にできて、私より年をとっているわけですけれども、よくここまで世界に誇れる制度ができたものだなと考えております。特にこれは保険のシステムだけではなくて、各種の被害者救済保障事業があわさってのすばらしい制度だと考えております。被害者救済事業の抜本的な見直しという主張もありますが、決して被害者救済の後退をもたらすものであってはいけないと思います。それについてこれからの自賠責保険審議会における議論を見守っていきたいと思います。どうもありがとうございました。

【落合会長】

ありがとうございました。ほかにご意見、ご質問ございますでしょうか。

【桑山委員】

家族の会の桑山です。被害者団体として、昨年の11月に例の6,000億円に関連しまして、とりあえず財務省にほかの被害者団体と一緒に行ってきました。門前払いはされなくて、今後の返済についてのお考えを聞きたいということで聞いてきました。財務省は、財政状況が非常に厳しいので、そこのところの理解を欲しいということでしたが、我々、被害者団体のほうも、日常生活を生きていくのに非常に困難な状態であるので、そこのところのご理解を欲しいと言ってきました。

財務省と私たちの間で一番大きな温度差があるのは、いわゆる財源の使い方の問題で、財務省の方々はほかの福祉制度との比較のことを言っておられて、交通事故被害者だけ突出したような支援策は実はしたくないんだという形でおっしゃいました。そのことに関連して、この財源というのは、交通事故被害者のための財源なので、ぜひともその趣旨をよく考えてほしいということを申し述べ、労災は労災で独自の制度もあることも発言してきました。ただ、一方でNASVAを中心に130億円の支出があり、それでは不十分なのか、どこかに無駄があるのではないかとも言われました。

平成24年度に実は内閣府で交通事故の損害額を調査しています。これは6年ごとで調査をしているようですが、平成23年度の内閣府の調査では、交通事故による損害額は6兆3,000億という数字が出ています。だから、6兆3,000億に対して、表向き出ている数字は130億円という数字で、割合で言うと0.2%という形です。この被害額に対して0.2%という対策費は妥当なのかどうなのかという議論は、今後、どこでこういった話をしていったらいいのかよくわからないのですが、このようなデータも大事であると思っています。

東日本大震災は大体16.9兆円という数字の損害が出てて、ケースは異なるのですが、支出された金額は2%どころではないと思っています。だから、かなり多くの費用支出がなされていますので、これもどこで話し合えばいいのかよくわからないのですが、考えていって欲しいと思います。

また、財務省の方々に、ぜひとも、在宅とかで介護している現場をとりあえず見に来てほしいという要望を出したら、とりあえず、ぜひとも現場は見てみたいとおっしゃいました。何とか現場を見てもらえば、いろいろ状況も変わるかなと、そんなことを思っています。また来年度以降も、財務省のほうに行きまして、とりあえず6,000億円返してもらうような活動は今後もやっていきたいと思いました。

以上です。

【落合会長】

ありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。

そうしますと、本日さまざまなご意見をいただいたわけですけれども、これらの意見を今後の運用益の使途につきまして十分配慮して進めるということをお願いしたいと思います。

そういたしますと、これで本日予定しておりました議事は全て終了ということになります。この際、全体につきまして何かご発言があればと思いますけれども、いかがでしょうか。

では、特にないようですので、これで本日の審議会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

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金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
監督局保険課
(内線3375)


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