第138回自動車損害賠償責任保険審議会議事録

1.日時:平成30年1月24日(水)10時00分~11時20分

2.場所:中央合同庁舎第7号館西館13階 共用第1特別会議室

【岡田課長】

おはようございます。それでは、時間が参りましたので、ただいまより第138回自動車損害賠償責任保険審議会を開催いたします。本日は、ご多忙のところご参集いただきまして、改めて御礼申し上げます。

前回の審議会以降、落合会長におかれましては、任期の満了に伴いまして本審議会の委員を退任されております。したがいまして、本日は会長をお決めいただくことになりますが、それまでの間、本審議会の事務局として、私、保険課長の岡田が当面の議事進行を務めさせていただきます。よろしくお願いします。

それでは、まず、今回より本審議会に参加されることになりました委員の方々についてご紹介申し上げたいと思います。

大知委員でいらっしゃいます。

【大知委員】

よろしくお願いします。

【岡田課長】

大野委員でいらっしゃいます。

【大野委員】

よろしくお願いいたします。

【岡田課長】

髙倉委員も今回ご就任されておりますが、先ほど交通の事情で遅れられるとの連絡がございまして、後ほどご到着されると思います。

村山委員でいらっしゃいます。

【村山委員】

村山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【岡田課長】

ありがとうございました。なお、甘利委員、秋田委員、松本特別委員、野尻特別委員におかれましては、所用のため本日ご欠席でございます。

続きまして、本日ご欠席の委員のうち、秋田委員と松本特別委員よりご意見等の代読の申出がございましたので、代読いただく方を紹介させていただきます。

秋田委員からのご意見の代読と、代読いただいた範囲での質疑へのご対応をお願いいたしたく、日本自動車会議所の中島専務理事でございます。

【中島専務理事】

よろしくお願いいたします。

【岡田課長】

それから、松本特別委員からのご意見の代読と、代読いただいた範囲内での質疑に対応いただく、日本医師会の市川常任理事でございます。

【市川常任理事】

よろしくお願いいたします。

【岡田課長】

ありがとうございます。それでは、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。もしカメラの方がいらっしゃいましたら、退出をお願いします。

(カメラ退出)

 

【岡田課長】

それでは、当審議会の会長の選任についてお諮りいたします。会長は、自賠責審議会令第4条の規定に基づきまして、委員の互選によることとされております。ここで、皆様のご意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。田島委員、お願いします。

【田島委員】

田島でございます。私は、当審議会の会長に藤田委員を推薦させていただきたいと思います。藤田委員は、商法の著名な研究者で、保険分野にもご造詣が深く、また、自動運転等の法に関するご研究もなさっていらっしゃいますので、当審議会の会長に適任と考えます。

【岡田課長】

ありがとうございます。他にいかがでしょうか。中林委員、お願いします。

【中林委員】

私も藤田委員をご推薦したいと思います。同じくこの分野に非常にご造詣の深い先生であり、また、自動運転など新しい分野に対するご見識も深いということで、相応しいのではないかと考えております。

【岡田課長】

ただいま藤田委員を推す声がございました。いかがでしょうか。特段のご意見がなければ、藤田委員のご承諾をもって会長就任をお願いしたいと思いますが、藤田委員、いかがでしょうか。

【藤田委員】

謹んでお受けいたしたく存じます。

【岡田課長】

ありがとうございました。それでは、藤田会長におかれましては、会長席へのご移動をお願いします。

 

(藤田会長 会長席へ移動)

 

【岡田課長】

それでは、まず、藤田会長からご挨拶をいただきまして、この後の議事を会長のほうにお願いしたいと存じます。

【藤田会長】

ただいまご指名により会長の職を務めさせていただくことになりました。甚だ力不足ではございますが、審議会が任務を十分遂行できるように、議事進行役を務めさせていただきますので、どうかご協力のほどよろしくお願いいたします。

さて、本日の議題としては、お手元の議事次第にありますように、自賠責保険料率の検証結果に関する報告のほか、いくつか報告事項がございます。

それでは、まず、事務局より資料の確認をお願いします。

【岡田課長】

お手元の配付資料でございますが、まず、配席図、それから、当審議会の公開ルール、議事次第、委員名簿となっております。

続きまして、議事次第に沿って資料の確認をさせていただきます。議題1につきましては、自賠責保険の基準料率についての検証結果をご報告するものでございます。これが資料1でございます。それから、議題2は報告事項でございまして、議事次第に記載しております3点をご報告するもので、資料2から資料4まででございます。お手元にございますか。

それから、資料の最後に「生命のメッセージ展」という紙を配付してございます。こちらにつきましては、後ほど鈴木委員からご案内があろうかと思いますので、よろしくお願いします。

以上が本日の資料でございます。過不足、ご不明な点などございますか。ありがとうございます。私からは以上でございます。

【藤田会長】

どうもありがとうございました。それでは、議題1、料率検証結果についてご報告いただき、ご議論いただければと思います。まず、実際に料率検証の作業を行った損害保険料率算出機構の堀本委員に概要をご説明いただき、その後、事務局から補足していただきたいと思います。それでは、堀本委員、よろしくお願いいたします。

【堀本委員】

それでは、平成29年度の検証結果につきまして、資料1に沿ってご説明させていただきます。

まず、1ページの「自賠責保険・共済収支表」をごらんください。表のタイトルに契約年度とありますが、これは当該年度において契約を締結した車両の保険料と、その車両が起こした事故に対する支払保険金を集計しているという意味でございます。また、この表では、自賠責事業を行っている全事業者の収入純保険料、支払保険金、収支残、損害率につきまして、過年度の推移及び今回の検証の対象年度である29契約年度及び30契約年度の予測値を載せております。

表のA欄の収入純保険料をごらんいただきますと、25年度以降28年度までは8,500億円程度となっておりますが、今回の検証対象の29年度、30年度につきましては、29年4月に純保険料率を11.0%引き下げたことにより減少するものとして、29年度が7,660億円、その下の30年度が7,709億円と見込んでおります。

次に、右側のB欄の支払保険金でございますが、29年度が8,001億円、30年度が8,020億円と見込んでおります。

以上の収入純保険料と支払保険金との差額がC欄の収支残でございますが、29年度が341億円の赤字、30年度が311億円の赤字となっております。

また、一番右側の欄は損害率です。これは、支払保険金を収入純保険料で割った値でございますが、29年度は104.5%、30年度は104.0%となっております。

なお、下の欄外の(注)3にございますが、29年4月の基準料率改定の際の予定損害率は105.9%でございましたので、算出時の見込みとの対比では若干の成績の改善が見込まれる状況となっています。

以上が今年度の検証結果でございます。

続きまして、今年度の検証結果の背景及び要因等についてご説明させていただきます。それでは、2ページをごらんください。このページの交通事故の発生状況は、警察庁の交通事故統計によるものでございまして、交通事故の動向を把握するための参考という趣旨で添付しております。

初めに、左側の発生件数をごらんいただきますと、平成16年あたりをピークとして減少傾向となっております。その右側の死者数につきましても、継続して減少傾向となっており、27年はプラス0.1%とわずかに増加しておりますが、28年以降再び減少に転じています。その右側、表の中ほどの負傷者数につきましても、同様に近年減少傾向となっております。

次に、3ページをごらんください。3ページでは、料率検証における主な予測要因についてご説明しております。

まず、(1)の収入純保険料の予測にあたりましては、過年度の保有車両数の動向を参考に、将来年度の保有車両数を予測しておりますが、29年度、30年度ともにプラス0.2%と若干の増加を見込んでおります。

次に、(2)の支払保険金の予測にあたって前提となりますのが、①の事故率と②の平均支払保険金でございます。まず、①の事故率でございます。この事故率と申しますのは、自賠責による保険金支払いの対象となる事故の発生率を意味しております。こちらにつきましては、過年度の事故率の動向及び先ほどご説明いたしました交通事故発生状況などを参考として算出しております。ごらんいただいている3ページの表では、死亡、後遺障害、傷害別の予測値を記載しておりますが、次の4ページで過年度の実績事故率を含めてグラフと表でお示ししておりますので、先に4ページをごらんいただきたいと思います。

4ページの右下の表をごらんいただきまして、最初に左端の死亡の事故率についてですが、過年度の動向は24年度以降一貫して減少傾向となっております。また、先ほど警察庁の交通事故統計をごらんいただきましたが、交通事故死者数は29年度に入ってからも減少傾向となっております。このため、死亡事故率は今後も減少していくものと予測しております。

次に、表の中央の後遺障害の事故率でございますが、こちらも過年度の動向は24年度以降一貫して減少傾向となっております。このため、29年度以降の後遺障害事故率につきましても減少傾向で推移するものと予測しております。

最後に、表の右端が傷害の事故率でございます。こちらは、25年度から28年度にかけて緩やかな減少傾向で推移していましたが、28年度にわずかに増加に転じております。傷害の事故率に関しては、これまでも人身事故証明に基づく支払件数は減少傾向にあるものの、人身事故証明以外での支払件数は増加傾向にございました。ただし、28年度には、この影響で全体の事故率が増加に転じるというこれまでになかった状況となっております。このため、こうした動向が今後も継続するのかを見きわめるため、今年度は28年度以降同率での予測としております。

以上が事故率に関するご説明でございます。

続きまして、資料の3ページに戻っていただきまして、(2)の②の平均支払保険金についてご説明させていただきます。平均支払保険金に影響を与える要因といたしましては、賃金、治療費の上昇や支払基準の改定といった点が主なものとなります。このうち、賃金上昇率につきましては、過年度の傾向を踏まえ、29年度以降は緩やかな増加で予測しております。また、治療費につきましては、29年度以降若干の減少傾向で予測しております。これは、全体の8割を占める傷害の治療費については、昨年度まで増加していた平均入通院日数に直近でやや落ちつきが見られるため、横ばいでの予測を行っていること、また、全体の約2割を占める後遺障害に係る治療費については、ここ数年若干の減少で推移していることから、今後も減少傾向で予測していることが主な理由となっております。

次に、一番右の、治療費、休業損害及び慰謝料の金額や算定方法等を定めております支払基準の改定による影響でございますが、29年度は支払基準の改定の見込みは今のところ影響はゼロとし、30年度以降発生する事故については直近の22年4月の支払基準改定の年平均上昇率0.05%を毎年度織り込んでおります。なお、32年に予定されております債権法の改正による影響につきましては、これに伴う支払基準における対応が定まった段階で、その影響を織り込むこととなります。

また、資料には記載しておりませんが、平均支払保険金の予測にあたりましては、31年10月に消費税率が8%から10%に引き上げられる影響を織り込んでおります。

続きまして、5ページをごらんください。5ページは、3ページ及び4ページに基づき算出した自賠責保険・共済の支払件数及び平均支払保険金の推移を一覧表にしたものでございます。こちらの表も、タイトルに契約年度とありますが、先ほどの1ページと同じく当該年度において契約を締結した車両が起こした事故に対する支払件数と平均支払保険金ということでございます。したがいまして、保険期間が1年を超える長期契約の場合、その契約を締結した車両に生じた事故につきましては、契約を締結した年度の支払件数と平均支払保険金の欄に保険期間全体分を通算したものが集計されております。

一番左側の欄の死亡の支払件数につきましては、29年度が3,687件、30年度が3,640件と予測しておりまして、29年度は2.5%の減少、30年度は1.3%の減少となっております。中ほどの欄の後遺障害の支払件数につきましては、29年度が5万3,726件、30年度が5万3,531件と予測しておりまして、29年度は1.4%の減少、30年度は0.4%の減少となっております。また、一番右側の欄の傷害の支払件数につきましては、29年度が115万6,804件、30年度が116万4,403件と予測しておりまして、29年度は0.3%の減少、30年度は0.7%の増加となっております。

一方、平均支払保険金につきましては、死亡、後遺障害及び傷害のいずれも29年度及び30年度はほぼ横ばいで推移するものと予測しております。

次に、6ページをごらんください。6ページは、自賠責保険・共済の支払保険金の総額の推移でございまして、5ページの死亡、後遺障害及び傷害別の支払件数と平均支払保険金を掛け合わせて求めたもので、一番右の欄が合計となっております。合計欄の29年度の8,001億円、30年度の8,020億円という値が、冒頭の1ページの収支表でご説明いたしました支払保険金の値となっております。

続きまして、7ページをごらんください。7ページは、ご参考として重度後遺障害の支払件数の推移をまとめたものでございます。表のタイトルに支払年度とありますが、こちらの表の件数は当該年度に保険金が支払われた事案の件数でございます。集計の対象は、(注)1にございますように、現行の後遺障害等級表の別表第一に該当する介護を要する後遺障害と、別表第二の1級から3級までに該当する後遺障害でございまして、これらが労働能力喪失率100%とされる後遺障害でございます。それぞれの等級の支払件数の合計が一番右の欄にございます。年度により若干のぶれがございますが、重度後遺障害の支払件数として最近は約1,700人の方が被害に遭われている状況となっております。

続きまして、8ページをごらんください。8ページは、自賠責保険・共済の運用益の発生と積立状況でございます。一番右の積立金残高の欄が、法人税等相当額を加味した運用益積立金残高で、一番下の28年度末では損保会社、共済事業者合計で1,739億円となっております。

続きまして、9ページをごらんください。9ページは、自賠責保険社費・共済経費収支表でございまして、全事業者の社費の収支につきまして、ご参考までに過去の実績を示したものでございます。

最近の社費は赤字が続いておりまして、一番下の行の28年度をごらんいただきますと、当年度収支残が155億円の赤字となっており、累計収支残も273億円の赤字となっております。この要因といたしましては、25年4月の改定料率が24年度末の累計収支の黒字約300億円の活用を前提とした赤字水準の設定となっていること、また、これに加えまして、26年4月の消費税率の引き上げによる物件費の増加、及び第133回の本審議会でご説明がございましたとおり、代理店手数料の増税負担分を保険会社等の社費で負担したことによる影響等が挙げられます。

なお、28年度の数値は、29年4月の基準料率改定前の収支でございまして、現行料率である29年4月改定料率では、以上の点を踏まえ、消費税率引き上げによる影響等の社費増加分を反映するとともに、28年度末における累計収支残の赤字を償却するため、プラス6.0%の引き上げを行っております。

また、29年4月改定料率のもとでの社費水準に関する実績は、次年度の検証において把握することとなります。

続きまして、10ページをごらんください。10ページは、今までご説明させていただきました内容をまとめたものとなっております。(1)のとおり、29年4月の基準料率改定における予定損害率は105.9%でございましたが、(2)の表のE欄にございますとおり、本年度の検証結果である29年度、30年度の損害率はそれぞれ104.5%、104.0%ということで、予定損害率と比較すると若干の改善が見られるところでございます。

また、(2)の表では、運用益積立金による補填後の実質的な累計収支残について、直近の28年度までの実績に基づいて計算した結果をお示ししております。まず、運用益積立金による補填前の累計収支残は、表のD欄のとおり、28年度時点で3,605億円の赤字となっております。一方、F欄の運用益積立金による収支赤字の補填累計額ですが、自賠責会計では5年前までに生じた収支赤字を補填する仕組みになっております。このため、28年度は24年度までに生じた収支赤字に対して累計4,433億円の補填がなされております。また、運用益積立金残高は、8ページでご説明いたしましたとおり、G欄の1,739億円となっております。これらを考慮した実質的な累計収支残は、H欄のとおり、28年度時点で2,567億円となっております。

なお、29年4月の基準料率改定時には、この額を2,242億円と見込んでおりましたので、差額の325億円が新たに生じた滞留資金となりますが、このほとんどは成績が良好だったことによる収支残から生じております。

なお、11ページは、28年度における自賠責保険の収入と支出の構成割合を円グラフで表示したものとなっておりますので、ご参考ということで添付してございます。

私のご説明は以上でございます。

【藤田会長】

どうもありがとうございました。では、岡田課長から補足をお願いします。

【岡田課長】

ただいまの資料1の10ページに沿いまして、事務局から補足させていただきます。

今般の料率検証の結果といたしましては、ただいま説明がありましたように、平成29年度の損害率は104.5%、平成30年度では104.0%となっております。平成29年4月に基準料率の改定を行った際に予定していた損害率105.9%と比較いたしますと、各々マイナス1.3%、マイナス1.8%の乖離率で、過去に基準料率改定を実施したときの乖離率と比べましても大きな乖離は生じておりません。

以上の点に加えまして、本年は基準料率改定から1年目にあたること、累計収支残及び運用益積立金の状況等も踏まえ、平成30年4月以降の基準料率改定の必要性につきまして、委員の皆様にご議論をお願いしたいと考えております。

事務局からは以上でございます。

【藤田会長】

どうもありがとうございました。それでは、ただいまの料率検証結果の報告と補足説明に関しまして、ご質問、あるいはご意見はございますか。

【市川常任理事】

日本医師会の市川でございます。2つございまして、まず第1が、物件事故における自賠責の支払いについてでございます。最初に、警察統計に関連するものですが、当審議会の審議対象事項かどうか大変恐縮ですが、交通事故発生数は減少傾向にある一方で、警察統計には含まれない物件事故扱いでの自賠責保険の支払いが微増傾向にあると見られることを踏まえ、昨年に引き続き発言をさせていただきます。物件事故扱いの場合、軽症であることが一般的だと思いますが、警察に対して医師の診断書の提出がなく、詐欺や不正請求などが紛れ込み、自賠責保険から多額の保険金が支払われることになり、保険契約者の正当な利益を害する結果になっていないか当審議会において検証が必要であると考えております。

なお、これは自賠責保険の問題ではありませんが、何らかの処分が必要な事故に遭っても、安易に物件事故として処理された結果、不公平感を生むことにつながる問題ではないかと考えております。

それから、続きましてもう一件よろしいでしょうか。自賠責保険における柔道整復施術費の適正化についてでございます。柔道整復師の長期間にわたる施術や過剰な施術が行われている傾向を踏まえ、自賠責保険における適正化が必要であると考えております。健康保険の療養費の分野では、柔道整復の多部位、長期、頻回請求などの不正請求や反社会的勢力と結託した療養費詐欺事件、窃取事件などの現状を踏まえて、柔道整復療養費検討専門委員会が設置されており、審査会の強化や施術範囲の明確化などにより、具体的な適正化の方向が示されているところであります。自賠責保険は、交通事故被害者救済を第一とした保険制度であり、限られた財源で多くの被害者を手厚く救済する必要がありますので、施術費の検証及び適正化の議論が早急に必要であると考えます。

以上でございます。

【藤田会長】

どうもありがとうございました。ご意見をお伺いするということでよろしいですね。

【市川常任理事】

はい。よろしくお願いいたします。

【藤田会長】

ありがとうございました。その他ご意見、あるいはご質問はございますか。山本委員、どうぞ。

【山本委員】

山本でございます。先ほどのご説明によりますと、昨年4月1日に改定をしたときの予定損害率から見ると、そこまでいってないということなので、あえて今年変える必要はないのかなとは思うのですが、それはそれとして、3ページの事故率の表で言うと、死亡事故率とか後遺障害事故率について減少傾向で予測をされているようですけれども、最近高齢者の方の事故がものすごく報道されていて、大きな被害結果を出していたりとか、高速道路を逆走したりとか、考えられないような深刻な事故が出たりしているので、私自身も弁護士で依頼者の方と話をしていても、高齢者の方で運転しているという方は結構いらして、すごく危ないなと思うことも多いんですね。

それについては、免許を自主返納しましょうみたいなこととか、自動運転のことをいろいろ研究されていたりとか、多分後で報告される運用益のところでも高齢者の事故についての防止策みたいなものをいろいろ考えられているようですけれども、ただ、最近の報道を見ると、死亡事故みたいなのも散見されるので、そういう中で、減少傾向で予測というのが、料率にどう影響するんだろうかということを若干懸念するところもあるので、もし先ほどの損害保険料率算出機構のほうでそういう点についても検討されているようなことがあれば、ご説明いただければありがたいと思います。

【藤田会長】

どうもありがとうございました。まず、ご意見のほうについては、料率そのものの見直しはとりあえず結構ですということですね。

【山本委員】

いいんじゃないかと思います。

【藤田会長】

ご質問の部分について、堀本委員からご返答いただければと思います。

【堀本委員】

ご案内のとおり、警察統計でも全体の交通事故件数が減少傾向にある中で、高齢運転者の交通事故件数はほとんど減少していないということからも、高齢運転者の増加は自賠責保険の事故率を悪化させる方向に働きます。ただ、一方で、高齢被害者は相対的に逸失利益が少ない、低いということで、高齢被害者の増加は平均支払保険金を減少させる方向に働きます。高齢化、高齢者の問題については、高齢運転者の問題と高齢被害者の問題の両方あると思いますが、政策的に高齢化の進展を契機として運転免許の自主返納を促す免許制度の改定や、道路交通環境の整備など、交通事故減少を目指したさまざまな施策が推進されておりますので、これによって自賠責保険の保険成績が改善すれば、保険料率の引き下げにつながります。

以上のとおり、高齢化の進展が自賠責保険の保険料率に与える影響につきましては、さまざまな要素がございまして、今後の保険成績の動向を注視する中で確認していきたいと考えております。

以上でございます。

【藤田会長】

そのほかにご意見、ご質問は。唯根委員、どうぞ。

【唯根委員】

ありがとうございます。日本消費者協会の唯根です。会議に遅れまして申し訳ございません。

私も、質問なのですが、自動運転という技術が出てきたので、最近安全運転というか自動運転で安全性が高い車の宣伝・コマーシャルも非常に増えておりまして、サポカーというんでしょうか、こういう自動車が普及すると、自賠責保険の料率はどう変わっていくのかなという非常に素人的な質問で恐縮ですが教えて頂けますか。自動車が安全運転を自動でしてくれるというのは、消費者にとっては夢の世界の話だと思っていたのが現実になってきたので、こういった自動車が自賠責保険にどのように影響するのかなというところで、教えていただければ幸いです。

【藤田会長】

それでは、堀本委員、よろしくお願いします。

【堀本委員】

サポカーというお話がございましたけれども、サポカーというのは衝突被害軽減ブレーキを搭載した自動車全般とされていますが、こういう自動車が普及することで、自賠責保険の事故率や平均支払保険金が減少し、保険料率の引き下げにつながることが期待されます。ただ、現時点では、事故率や平均支払保険金の予測に用いております保険統計では、例えば衝突被害軽減ブレーキだけを切り出した統計というのはなかなかございませんけれども、それらを含んだ自動車全体の統計を使用しておりますので、少しずつサポカーのウエートが上がっていけば、これらの仕組みの事故軽減効果が反映されていくと考えております。

【藤田会長】

どうもありがとうございました。以上でよろしいですか。そのほかご意見、あるいはご質問はございますか。髙倉委員、どうぞ。

【髙倉委員】

遅れて大変申し訳ありません。自動車総連の髙倉です。よろしくお願いいたします。

社費の件で要望があります。説明にもありましたが、自賠責保険料の内訳で支出の20.4%を占めている社費については、損保各社の大変な努力によって効率化が進められていると承知をしていますが、契約手続の簡素化や、自賠責保険証明書のペーパーレス化、損害調査への写真、カメラ映像などの警察情報の活用といった行政と業界が連携した取り組みによるさらなる効率化も検討いただきたいと思っています。

【藤田会長】

どうもありがとうございました。それでは、大知委員。

【大知委員】

日本損害保険協会の大知でございます。貴重なご意見をありがとうございました。

今ご説明いただいたとおり、損害保険協会加盟各社におきましても、自賠法の趣旨に則って事業費削減をはじめとした効率的な運営に努めております。ご指摘のありました、従来手作業で行っていた業務をオンラインで一括して行うシステム、e-JIBAIと申しますけれども、これは普及率が約90%になって、ペーパーレスかつ非常に短時間でできるということで、社費の削減には役に立っていると自負しております。保険金の支払い面でも、さらなるシステムの導入について検討を行っておりますので、今後もこういう努力を続けてまいります。

以上、ご説明いたしました。

【藤田会長】

どうもありがとうございました。その他、どの点でもご意見、ご質問などございますか。桑山委員、どうぞ。

【桑山委員】

全国遷延性意識障害者・家族の会の桑山です。この間の財務省からの自賠責の繰戻しに関して発言させていただきます。

この4年間、ほかの被害者団体とともに自賠責運用益の繰戻し実行を財務省にお願いしてまいりました。今回、繰戻しの予算要求が15年ぶりに実現されたことを本当に嬉しく思っております。特に、昨年9月からの自動車損害賠償保障制度を考える会の活動の中で、自動車関連団体の方々が被害者保護を全面的に打ち出してくださったことに関して、心より感謝しております。財務大臣と国交大臣の大臣同士の覚書にあるように、被害者のニーズに応じて事業が今まさに行われようとしております。

また、来年度の国交省の施策として、小規模委託病床の設置や介護者亡き後解決へ向けたグループホーム等への助成、再生医療にかかわる研究助成等が行われ、我々被害者団体の長年の要望が実現される方向にあります。このことに関して、被害者団体として素直に喜びたいと思っております。

来年度以降についても、自動車安全特別会計の財源が枯渇しないように、今回以上の金額の繰戻しに向けて活動していきたいと思っております。関係団体の方々、ぜひとも今後ともよろしくお願いいたします。

以上です。

【藤田会長】

ご意見どうもありがとうございました。この件につきましては、この後で「平成30年度自動車安全特別会計の運用益の使途等について」のところでも若干ご説明があるかと思います。

その他、どの点でもご意見、ご質問などございますか。よろしいでしょうか。

さまざまなご意見、ご質問ありがとうございました。色々ご意見をいただきましたけれども、料率自体につきましては、今回の料率検証における損害率が昨年度の審議会において議論していただいた際に想定していた予定損害率から乖離が小さいこと、また、自賠責保険料の料率については中期的な視点に立った保険料の安定が求められていることなどを踏まえますと、今回は基準料率を据え置くことが適当であるということでよろしいでしょうか。その旨明示的にご意見をいただいた委員もいらっしゃいますけれども、この点について見直すべきであるという意見は出なかったように理解しております。今回は据え置くということでよろしいでしょうか。

 

(「異議なし」の声あり)

 

【藤田会長】

どうもありがとうございました。それでは、異議がないということですので、そのようにさせていただければと思います。

それでは、引き続きまして、平成30年度運用益の使途についてご報告いただければと思います。自動車安全特別会計、民間保険会社、JA共済の順にご説明いただき、その後、全体で一括してご議論いただければと思います。

それでは、まず、平成30年度自動車安全特別会計の運用益の使途等について、国土交通省の小林保障制度参事官よりご報告いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【小林参事官】

国土交通省の保障制度参事官の小林でございます。よろしくお願いいたします。私からは、お手元にあります資料2に基づきましてご説明させていただきたいと思います。

先ほど桑山委員からもご意見がございましたが、一般会計から自動車安全特別会計への繰戻しの関係からご説明させていただきたいと思います。1ページおめくりいただけますでしょうか。今般の平成30年度の予算要求に当たって、財務省との協議を進めてきたわけでございますが、折衝の結果として、1ページ目に「平成30年度予算大臣折衝結果」というものを付しております。

この中身についてご説明いたしますと、かつての自動車損害賠償責任再保険特別会計、現在の自動車安全特別会計から一般会計に繰り入れられた繰入金に関して、平成30年度までを期限として一般会計から繰り戻すこととされている覚書があったわけですが、今般平成30年度の予算要求に当たりまして、一定額について自動車安全特別会計に繰り戻すということになりました。その額については、被害者保護増進事業の増加などを勘案しまして、23.2億円とするということで財務大臣と国土交通大臣との間で合意がなされたということでございます。

2ページ目に詳細な資料がついておりますけれども、こちらの中段の左の図を見ていただきますと、これまで一般会計に繰り入れられた額、そして、これまでに繰り戻されてきた額が記載されておりますが、平成15年度を最後といたしまして、平成29年度まで14年間繰戻しがなされてこなかったということでございます。その結果として、29年度末で6,169億円が繰り戻されていない状況となってまいります。

この状況の中、財務省に予算要求を行った結果、平成30年度の繰戻しの額が23.2億円となりました。自動車安全特別会計には保障勘定と自動車事故対策勘定の2つ勘定がありますが、保障勘定の方は、ひき逃げ事故や無保険車による事故の被害者に対する保障のための予算として存在するものでございまして、一方で、自動車事故対策勘定は、被害者救済対策や自動車事故防止対策の財源となっているものでございます。今般の23.2億円については、この自動車事故対策勘定の中に繰り入れられていくということになってまいります。

そして、下の段をご覧いただきますと、予算の決定に当たりまして、被害者保護増進事業等についても同時に充実をするということになっております。これについては、後ほどもう少し詳細にご説明しますが、全体の額として平成29年度よりも約10.5億円が増額されるということになっております。

また、大臣間覚書も今回内容を大きく更新いたしました。返済期間をこれまで7年間としてきたわけでありますが、より短い4年とし、かつ、「被害者のニーズに応じて、被害者保護増進事業が安定的、継続的に将来にわたって実施されるよう十分に留意」との文言を新たに追加したところでございます。

次のページをお開きいただきたいと思います。3ページ目の上段に、国土交通大臣と財務大臣との新たな覚書が示されております。下段にありますのが、平成30年度を期限とするこれまでの覚書でございます。従前のものからの新たな変更点についてご説明いたしますと、まず、一番上の段に平成30年度における返済額がさらに詳細な額まで書いております。この23.2億円について、自動車安全特別会計自動車事故対策勘定に繰り戻すこととする点が従前と異なる点でございます。

次の点ですが、覚書の期限が短縮されたという点であります。「自動車事故対策勘定における積立金の水準と変動状況等に鑑み」とありますのは、自動車事故対策勘定の残金が平成29年度末には1,700億円程度となるということで、将来積立金を枯渇させぬように積立金の額等に配慮して、といった趣旨となります。新しい覚書では、そうした点を考慮して、今までの7年から、平成31年度から34年度の4年間という期間に短縮をすることによって、次の返済に向けての議論をより密にしていこうという趣旨でございます。

そして、3点目でございますが、毎年度の具体的な繰戻し額についてどのような点に留意するかということに関して、これまでは「一般会計の財政事情に基づいて」といった表現だけでしたが、今回は「被害者等のニーズに応じて被害者保護増進事業等が安定的、継続的に将来にわたって実施されるよう十分に留意しつつ」という踏み込んだ表現を盛り込んでおります。先ほど桑山委員のご発言にもありましたが、被害者団体の皆様方から寄せられた、このまま積立金が枯渇をしたら困るという不安の声がありましたが、その声を両省庁でしっかりと受け止め、この事業が将来にわたりしっかり安定的に継続できるようにするという趣旨をしっかり確認し合ってこのような表現となったということでございます。

なお、この部分の趣旨について補足しますと、23.2億円が平成30年度に戻ってくるということになっておりますが、今後この積立金を安定的に継続していくためには、毎年度の取崩し額を減らすことが必要でございまして、継続的に繰戻しを行うことはもとより、その上で、いかに増額を行っていくかということが課題となってくるところです。3点目でご説明した部分については、こうした課題について今後両省庁で議論していくという意味合いが込められております。

いずれにいたしましても、平成15年度から29年度まで14年間繰戻しがなされなかったところ、平成30年度要求で繰戻しがなされ、再び返済が始まったということでございまして、私どもも引き続き桑山様をはじめ被害者団体の方々、または自動車団体の方々のお話をよく伺いながら、この積立金の将来の継続についてしっかり力を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。これが今回の繰戻しに関するご報告でございます。

続きまして、運用益事業についてのご報告でございますが、4ページ目をご覧下さい。ご案内のとおり、運用益事業につきましては、被害者の救済対策と自動車事故の防止対策という大きな2つのジャンルがございます。被害者の救済対策の代表的なものとしては、極めて重度な障害を負われた方々についての治療・看護を行う療護施設の設置・運営でございまして、この地図を見ていただきますと、元々の8カ所に最近1つ加わり、現在9カ所で運営している状況です。また、重度の障害を抱えられた被害者の方々の生活を支えるための介護料の支給、介護されているご家族のご支援等のための短期入院・入所協力事業の実施、訪問支援の実施という施策も運用益事業として行っております。

自動車事故の防止事業の代表的なものとしましては、自動車アセスメントの実施でありますとか、ASV等の普及、さらには、運送事業者の運行管理者等への研修といった事業が含まれているところでございます。

5ページ以降は、運用益事業に関する平成28年度事業の結果、平成29年度に実施している事業、さらには、平成30年度の予算についてでございまして、次に、これらの概要をご説明させていただきたいと思います。

まず、平成28年度につきましては、新たに療護施設機能を有する委託病床を設置いたしまして、同年5月に業務を開始したということでございます。場所は、医療法人社団康心会湘南東部総合病院で、神奈川県における病院に委託したものです。また、次の行ですが、自動車事故対策機構が運営する療護施設においてさまざまなケアができるように、リハビリ機器の導入等を図ったということでございます。さらには、自動車事故対策機構の職員が重度の障害を抱えているご家庭を訪問して、さまざまなニーズの聞き取りなどをしたりしてケアをしているわけですけれども、そういったニーズをより効率的に把握できるようにするためのシステム作りといったものも平成28年度に行われたところです。

下の段の自動車アセスメント事業の充実としては、昼間の対歩行者ということでございますけれども、衝突被害軽減ブレーキが追加されるなど、試験項目が拡充されております。

次に、平成29年度に何をやっているかということでございますけれども、上段に書いておりますのが一貫症例研究型委託病床の設置・運営ということで、先ほど4ページ目でご説明しました9カ所目の療護施設がこれに当たります。これまでNASVAにおける療護施設は、交通事故で重度の障害を抱えられた方々が慢性期に至った段階で受け入れるということでございましたけれども、事故発生から間もない急性期から受け入れた場合の回復効果について研究するため、藤田保健衛生大学病院というところに委託先を決めまして、今年の1月から受け入れが可能となったといった状況でございます。今後、同所の研究実績により、新しい療護のあり方についての知見が得られればと考えているところでございます。

次の段の自動車事故発生防止対策として、ASVに関する補助、支援の拡充ということで、先進安全自動車であるASVの導入支援ですとか、ドライブレコーダー等運行管理の高度化に資する機能の普及を促進するために、特に貸し切りバスに対する導入支援について重点化して普及促進を図っているところでございます。さらには、自動車アセスメントについては、車線逸脱抑制装置の評価について新たに加えて実施しているところでございます。

次に、7ページ目でございますが、平成30年度の予算案について記載しております。年末までに、先ほどの繰戻しの額の合意とともに、幾つかの新しい事業についても認められたところでございます。

1つ目が、小規模な療護施設機能委託病床の展開で、先ほど桑山委員からございましたとおり、現在、NASVAの療護施設は9カ所でございますが、所在については地域的に限定されているところでございまして、例えば施設に入ろうと思うと2つも県を越えて行かなければいけないような空白地帯のご家族が同施設に患者を預けた場合は、大変なご負担になっているという声もあり、できれば空白地帯に小規模でもいいから高度な療護機能を備えた施設を作ってほしいというご要望が強くございました。そこで、平成30年度におきましては、まず1カ所目でありますけれども、小規模な療護施設機能委託病床を作るための予算を確保しておるところでございます。

次に、介護者なき後を見据えた日常生活支援の充実でございますけれども、実際に介護をされているご家族が今後お亡くなりになってしまうですとか、介護できない状況になったときに、残されてしまった被害者の方をどうするかという問題に応えようという施策です。内容としては、グループホーム等に終の住み家としてお移りいただいて、そこで重度後遺障害者をしっかり支援していけるような機能を付けていこうといったものであり、これを平成30年度から取り組んでいこうと考えているところでございます。

次に、右上の自動車事故被害者への再生医療の実現に向けた取組みでございます。再生医療についてはまだまだ治験段階ということでございますが、交通事故被害者に対しても再生医療を治療方法として取り入れることが可能なのかどうなのか、今後の支援の在り方はどのようにあるべきか等についての調査を行っていこうと考えておるところでございます。

最後に、自動車アセスメント事業の充実としましては、先ほども高齢者の事故対策ということがございましたけれども、ペダル踏み間違い時加速抑制装置についての評価を開始したり、あとは、事故の自動通報システムの評価を追加しましたり、夜間における対歩行者の衝突被害軽減ブレーキの評価も始めるということで、新しい項目が幾つか加わったということでございます。

私からのご説明は以上とさせていただきます。

 

【藤田会長】

どうもありがとうございました。それでは引き続きまして、平成30年度民間保険会社の運用益の使途について、大知委員よりご報告いただければと思います。

【大知委員】

日本損害保険協会の大知でございます。私からは、平成30年度の民間保険会社の運用益の使途につきましてご報告申し上げます。

お手元の資料3をご覧ください。この運用益拠出事業案は、第三者委員で構成されております損害保険協会長の諮問機関、自賠責運用益使途選定委員会にてご審議、ご了承いただいているものであり、2月15日開催の日本損害保険協会の理事会で最終決定される予定です。平成30年度の事業案の策定に当たりましては、これまでの自賠責保険審議会の答申や、今後の自動車損害賠償保障制度のあり方に係る懇談会で示された方向性なども踏まえ、自動車事故の被害者対策を中心に取り組むとともに、昨今の環境変化を踏まえて、交通事故被害者を生まないための事故防止対策に一層注力することを基本方針としております。

それでは、運用益拠出事業案のポイントをご説明させていただきます。資料の1ページをごらんください。平成30年度の拠出予定合計額は、必要な事業を積み上げた結果、資料右上に記載のとおり、18億8,358万5,000円、前年度対比では約2,700万円の減額となっております。

まず、上のほうに書いてあります拡充案件についてご説明いたします。自動車事故防止対策の分野では、喫緊の課題である高齢者の事故防止対策を中心に、4つの新規事業を実施いたします。具体的には、高齢運転者の運転時認知障害の早期発見事業、自動運転コミュニティバスを活用した健康長寿社会システムの研究事業、自動運転の事故軽減効果計測手法等の研究事業、最後に、老化情報と交通事故との関係性に関する研究事業を新たに実施いたします。

次に、自動車事故被害者対策の分野では、脊髄損傷の再生医療に関する勉強会開催費用補助を新規に追加し、加えて、高次脳機能障害に関する事業として、家族に対するサポートシステムの支援事業を増額するとともに、高次脳機能障害者の社会復帰支援に関する研究事業を新規に実施いたします。こうした事業は、昨今の社会環境や自動車事故被害者の皆様、関係者の皆様の声をお聞きする中で事業化したものでございます。

次に、減額関係についてご説明いたします。事業運営の効率化や、これまでに示された運用益事業の方向性などを踏まえ、ごらんのとおり交通事故防止用機器の寄贈、公的病院への救急医療機器購入費補助及び交通事故無料相談事業支援などの事業で減額しております。

平成30年の事業案の概要は以上のとおりです。総額としては、前年度対比で減額となっておりますが、これは必要な事業を充実させる一方、個々の事業内容の精査、見直しも行うなどして、各事業を積み上げた結果でございます。

なお、資料の2ページ以降には、平成30年度の個々の拠出事業内容、直近5カ年の拠出額の推移、平成28年度の運用益拠出事業の報告書を添付しておりますが、時間の関係から個別の説明は割愛させていただきます。

民間損保といたしましては、本拠出が自動車事故の被害者の皆様への支援並びに事故防止対策に資するよう、今後とも自賠責保険運用益の有効かつ適正な拠出に努めてまいりたいと考えております。

以上、ご報告申し上げます。

【藤田会長】

どうもありがとうございました。それでは引き続きまして、平成30年度JA共済の運用益の使途について、村山委員よりご報告いただければと思います。

【村山委員】

JA共済連の村山でございます。それでは、お手元の資料4に基づきまして、平成30年度JA共済の運用益の使途についてご報告を申し上げます。

運用益拠出事業の策定に当たりましては、今ご説明のありました損保協会様と同様に、第三者委員から成る使途選定委員会にてご審議の上、ご了承をいただいているところです。検討に当たっては、各施策の実施状況を踏まえまして、その効果や課題などを検証、そして、各施策の継続、あるいは新規の取り組み、また、減額の方向性を整理しながら、より効果的な活用に努めているところでございます。また、これまでの当審議会におけるご意見等も参考としているところでございます。

早速でございますが、資料の表紙をおめくりいただきまして、1ページをお開きいただきたいと思います。まず、1ページの上段に記載しておりますが、平成30年度の計画額の合計につきましては、平成29年度より4,888万6,000円減の13億2,744万5,000円を予定しているところでございます。

次に、平成29年度からの主な変更点につきましてご説明をさせていただきます。まず、新規施策といたしましては、シルバー世代向け自動車安全運転診断の実施を計画しているところでございます。特に農村部につきましては、高齢者が非常に多いということもございますので、この施策につきましては、シルバー世代向けの自動車安全運転診断に必要な巡回型の自動車シミュレーター機器搭載車両をこれまでも展開してきたところでございますが、さらに認知・判断機能の低下や運転習慣などの運転能力を判断する機器に刷新をして取り組んでまいりたいというものでございまして、これを行うことによって、タッチパネルのものでございますが、運転に必要な動体視力、判断力等を診断する機器の導入をいたしまして、特に高齢ドライバーのための交通安全運転診断を目的としたシルバー世代向け自動車安全運転診断を新規に実施させていただくという内容でございます。

続きまして、ページの中段でございますけれども、増額、減額となる施策を掲げてございます。まず、増額施策につきましては、自動車被害者対策に係る交通事故無料法律相談事業の支援になります。こちらは、公益財団法人交通事故紛争処理センターにおけるJA共済の相談件数割合が増加していることを受けまして、増額するという内容でございます。

次に、減額の施策でございますが、救急医療体制の整備に係る救急医療機器等購入費補助につきまして、救急医療機器の整備にこれまで取り組んできたところでございますが、一定程度進んだということでございまして、減額をしているところでございます。

最後に、予算の推移につきましてページの下段のほうに記載しております。平成29年度と比較して3.5%の減少ということになっておるわけでございますが、損保協会さんと同様に、それぞれの施策の検証を行った上で、このようなことになっているということでございます。

なお、次ページ以降に、30年度の各事業の詳細と28年度の実施状況を取りまとめて記載しておりますので、ごらんおきいただければと思います。

報告につきましては以上でございます。

【藤田会長】

どうもありがとうございました。それでは、ただいまの3つの報告に対して、ご質問、あるいはご意見はございますか。矢代委員、どうぞ。

【矢代委員】

JAF会長の矢代でございます。繰戻しの件について発言させていただきます。本席には、自動車損害賠償保障制度を考える会の5人の呼びかけ人のうち、家族の会の桑山さん、自動車総連の髙倉会長、日本自動車会議所保険委員会の秋田委員長の代理で中島専務も出席しておられますので、それぞれ発言があるかとは思いますが、呼びかけ人の一人として、私からも一言申し上げたいと思うわけであります。

先ほど桑山代表のお話にありましたとおり、平成30年度の政府予算において、一般会計から自動車安全特別会計へ23.2億円強の繰戻しが実現し、15年ぶりの返済再開でありまして、解決に向けた第一歩として評価いたしますとともに、予算折衝に当たられました国土交通省自動車局、そして、査定に当たられました財務省の担当者の方々に敬意を表し、感謝を申し上げたいと思います。

しかしながら、いまだ6,000億円は一般会計に残ったままとなっておるわけであります。今回の覚書では、今後も被害者保護増進事業等が将来にわたり安定的、継続的に実施されるよう、十分に留意しながら具体的な繰戻し額を決定するとされております。この約束が着実に実行されることによりまして、最終的な解決が図られることを期待しております。考える会といたしましても、引き続き今後の推移を見守り、関係者の皆様と力を合わせ、被害者保護等の事業が安定的、持続的なものとなるよう注力してまいります。どうぞ当局のさらなるご尽力をお願いしたいと思います。ありがとうございました。

【藤田会長】

ご意見ありがとうございました。小林参事官からは特によろしいですか。

【矢代委員】

もしよければ、髙倉委員からは。

【藤田会長】

ほかの委員の方からこの件に関しまして何かご意見はございますか。それでは、髙倉委員。

【髙倉委員】

矢代委員からの発言に私も全く同感であります。今回ご尽力いただいた皆様に心より敬意を表したいと思いますし、大事なことは、まだまだ我々がやらなければならないことはたくさんあると思っていますので、引き続きみなさんと共に努力してまいりたいと思っています。よろしくお願いします。

【藤田会長】

ご意見ありがとうございました。その他、ご意見ございますか。どうぞ。

【中島専務理事】

自動車会議所の中島でございます。今回の件は、ほんとうに国土交通省自動車局の皆様をはじめとする関係者の粘り強いご尽力、そして、財務省の皆様の決断があってのことと思います。特に決まったのが最後の最後でしたので、ほんとうに難しいタイミングから23億というものを調整して出していただいたのは、並大抵の努力じゃなかったと思います。重ねて御礼申し上げたいと思います。

自動車業界といたしまして、今回の問題につきましては、年度初めに必ず実現しようということを重要目標として決めました。個人的には、ここまで切羽詰まられた被害者の皆様の窮状、今までのいきさつ、もともとは保険料じゃないかという思いから、今回は何らかの違う対応があるんじゃないかという期待がないことはなかったですが、折衝が始まってみると、そんなものは全くなくなり、ほんとうに厳しい、暗澹たる思いが続いておりました。財務省の皆様も、繰り返し陳情を受けられまして、きっと本当は返したかったんだろうと思いますが、大きな体制とか流れの中でこの問題はすぐどこかに飛ばされて、そうはできなかった。

今回は、大きなものという部分にも相当な意味があった。要は、公という部分でありますけれども、そこに対する我々の思いとか信頼感にも影響する大事な問題であったと思います。折衝の中で、そういうことは繰り返し申し上げてきました。財務省の方も、返さないわけじゃない、わかってくれと繰り返しおっしゃいました。でも、今回は4回目です、1円でもいいから返してくださいという本当に切羽詰まった折衝をやってきたのがつい先々月だったと思います。

ただ、もう頭は2年目でありまして、先ほどおっしゃいましたように、被害者救済事業の持続的、安定的な拡充に向けて世論の応援をいただいて、今回はすごい力になりました。本当にありがとうございました。関係者が連携して力を合わせて取り組んでまいりたいと思っていますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

以上です。

【藤田会長】

どうもありがとうございました。繰戻しの件につきまして、さらにご意見はございますか。よろしいですか。

【小林参事官】

今関係者の皆様からご意見をいただきました。先ほど申し上げましたが、15年ぶりに一般会計からの繰戻しが始まり、平成30年度は23.2億円ということでございます。将来にわたって皆様にご安心いただけるようにするためには、この積立金による被害者救済対策事業等をしっかり安定して継続して、さらに、繰戻し額も拡充をしていくことが必要となってくるということについては、私どもも十分承知しておりますし、財務省も同じ認識であると考えております。ただ、予算については単年度ごとの交渉になってまいりますので、今後ともしっかりと財務省と協議してまいりたいと考えております。

それに当たりましては、より一層被害者救済対策の重要性などについて社会的なご理解もいただけるような環境づくりも必要だと思っております。日頃そうしたことをこつこつと実施していただいている皆様のご意見を伺いながら、繰戻しを実現すべく、我々も頑張って参りたいと思います。

【藤田会長】

非常に重要な問題について、いろいろなご意見、ご説明ありがとうございました。

繰戻しの件以外につきましても、先ほどいただきました3つの報告についてご意見、ご質問がございましたらいただければと思います。特にありませんか。どうぞ。

【髙倉委員】

報告されました運用益事業の関係で共通して言えるのは、自動車事故防止対策を強化していかなければならないということでした。民間保険の運用益事業では、高齢者の交通事故の原因究明、予防にかかわる事業の予算を拡充するという報告もありました。将来に向けて大変意義のある研究も非常に重要ですが、例えば自動ブレーキの機能や、ブレーキとアクセルを踏み間違えた際に飛出しを予防する機能、車線をはみ出した際に警報やステアリングを戻す技術など、様々な技術が既に一部の車両に装備されています。新車に買い替えてもらうことはすぐには難しいですが、例えば後づけの装置でブレーキとアクセルを一体化し、たスライド式の操作にすることで踏み間違えを予防する装置も現在販売されています。このような装置のことなどを情報提供していくとか、今すぐできる即効性のある対策についても検討いただきたい。。

【藤田会長】

貴重なご意見ありがとうございました。よろしいですか。

【小林参事官】

現在は直接事故防止の施策を担当しておりませんけれども、私はかつて安全政策課長もやっておりました。今おっしゃった事故防止対策の関係、とりわけ事故全体の抑止ということについては、現在死者が減ってきているとはいえ、まだこれだけの事故があるわけで、しっかり取り組まなければならないと考えております。特に事業用自動車に関しましては、国交省としても計画を策定の上、各業界と一緒に交通事故防止対策に取り組んでいるわけでございますけれども、軽井沢の事故のようなものは二度と起こしてはならないのであり、さまざまな新たな技術も出てきておりますし、当室としても、そうしたものをしっかり取り込みながら、戦略的に考えて施策を推進して参りたいと考えております。

【藤田会長】

ありがとうございました。よろしいですか。そのほかご意見、ご質問などございますか。ありがとうございました。

それでは、議論はこのあたりまでにさせていただきたいと思います。本日は、さまざまなご意見をいただきましたが、これらのご意見は今後の運用益の使途の十分参考にさせていただければと思います。

これで本日予定しておりました議事は全て終了いたしました。全体につきまして、特段の発言があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。鈴木委員、どうぞ。

【鈴木委員】

いのちのミュージアムの鈴木と申します。今回の議題とは全くというか、直接的な関係はないんですけれども、私たちは、理不尽な状況で命を奪われた犠牲者の人型パネルと遺品の靴を展示する「生命のメッセージ展」を2001年から全国で開催して、命の尊厳を伝える活動をしております。

理不尽に命を奪われた犠牲者といえども、8割が交通事故の犠牲者なんですね。そのうち半数が飲酒運転の犠牲者になっております。いろいろなところで開催しているんですけれども、主に教育現場ですとか、矯正、更生施設、少年院ですとか一般刑務所、交通刑務所で開催を進めております。また、例えば自動車製造の関連の会社ですとか、自動車の運送会社の企業内でも開催をしております。そこで、「車を運転する人たちへ」ということで、犠牲になった方からのメッセージを伝えるという形をとっております。見学していただいた従業員の方にアンケートをとりましたところ、92%が加害者にはならないという答えをしていただいております。

そうした「生命のメッセージ展」なんですけれども、来年6月に横浜で開催をさせていただく予定なので、ご案内させていただきました。テーマを「生命・愛・平和」にしまして、皆さんのお手元に配付されておりますチラシの中に主文があるんですが、交通事故・犯罪など身近にある理不尽な事件、事故の犠牲者と、戦争・テロなどの出来事による犠牲者を重ねて、命の尊厳を伝えようという企画なんですね。さまざまな団体とコラボしての開催となる予定です。

大切な人の命を守るという一人一人の意思が安心・安全な社会を築き、世界平和にもつながるのではないかという大変大きな視点からの開催なんですけれども、その中で、交通事故ゼロを目指し、交通戦争は終わっていないのだというブースを設ける予定なんですね。戦後70年の死亡者数というんでしょうか、また、負傷者数を累計で可視化して伝える予定です。特に死亡者数は67年ぶりに4,000人を下回ったと言われておりますけれども、身近で結構事故を見ているものですから、まだ実感として感じられていないんですね。

ですから、引き続き私たちとしては、一人一人のモラル、意識に訴えていこうという活動を続ける予定なんです。来年6月なのでまだ先の話なんですけれども、入場無料ですので、ぜひご来場いただければ大変うれしく思います。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。

【藤田会長】

ありがとうございました。本年6月ですね。

【鈴木委員】

そうです。

【藤田会長】

本年6月の「生命のメッセージ展」の案内をいただきました。

それでは、これで本日の会議を終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁監督局保険課

Tel 03-3506-6000(代表)(内線3375、3342)

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