第139回自動車損害賠償責任保険審議会議事録

1.日時:平成31年1月16日(水)10時00分~11時30分

2.場所:中央合同庁舎第7号館西館13階 共用第1特別会議室

【藤田会長】 

 それでは、時間が参りましたので、ただいまより第139回自動車損害賠償責任保険審議会を開催いたします。本日は、ご多忙のところご参集いただきまして、改めて御礼申し上げます。

 お手元に当審議会のルールについてお配りしておりますが、それに則り、本日の審議は全て公開で進めさせていただきます。ただし、カメラでの撮影は冒頭のみ可とします。

 まず、今回より本審議会に参加されることとなりました委員について御紹介申し上げたいと思います。

 まず、飯豊委員でいらっしゃいます。

【飯豊委員】 

 飯豊でございます。よろしくお願いいたします。

【藤田会長】 

 江原特別委員でいらっしゃいます。

【江原委員】 

 江原です。よろしくお願いします。

【藤田会長】 

 長島特別委員でいらっしゃいます。

【長島委員】 

 長島です。よろしくお願いします。

【藤田会長】 

 ここでカメラ撮りの方は御退室いただきますようお願いいたします。

(カメラ退室)


【藤田会長】 

 さて、本日の議題としては、お手元の議事次第にありますように、自賠責保険料率の検証結果に関する報告のほか、諮問事項及びいくつかの報告事項がございます。

 それでは、まず、事務局より資料のご確認をお願いいたします。

【横尾課長】 

 まずお手元の配付資料でございますが、まずは配席図、それから、次に当審議会のルール、さらに、議事次第、委員名簿となってございます。

 それでは、議事次第に沿って資料の確認をさせていただきます。

 第1の議題は、先ほど会長よりございました自賠責保険の基準料率の検証結果をご報告するものでございまして、資料としては、右肩に資料1というふうにございます。表題「平成30年度料率検証結果について」でございます。

 議題2は、こちらは諮問事項でございまして、自賠責共済規程の一部変更について諮問させていただくものでございますが、資料2「自賠責共済規程の一部変更について」というものでございます。さらに、その後ろに諮問事項、それから、答申案をつけさせていただいてございます。

 議題3、報告事項でございますが、3点ございます。いずれも運用益の使途についてのものでございますが、資料3「自動車安全特別会計の運用益の使途等について」、資料4「民間保険会社の運用益の使途について」、さらに、資料5、「JA共済の運用益の使途について」でございます。

 以上が本日の資料となります。過不足、ご不明な点などございますでしょうか。

 特になければ私からは以上でございます。

【藤田会長】 

 ありがとうございました。

 それでは、議題1、料率検証結果についてご報告いただき、ご議論いただきたいと思います。

 まず、実際に料率検証の作業を行った損害保険料率算出機構の江原特別委員に概要をご説明いただき、その後、事務局から補足いただきたいと思います。

 それでは、江原特別委員、よろしくお願いいたします。

【江原委員】 

 損害保険料率算出機構の江原でございます。よろしくお願いいたします。

 資料1と書いてありますA4横の資料に沿ってご説明を申し上げます。

 具体的な説明に入る前に、サマリーを申し上げますと、今回は平成30年度の検証結果を報告するタイミングでございまして、前回改定がありましたのは平成29年4月でございますけれども、その改定からは2年度目の検証でございます。

 主として申し述べます純保険料、お支払いする保険金に関係する純保険料水準でございますけれども、検証対象の平成30年度、31年度、両契約年度の単年度の収支はほぼ均衡しております。ただし、平成29年4月、前回の改定時の基準料率は、運用益積立金等の活用に基づきまして、もともと純保険料としては赤字前提ということではございまして、これと比較をしますと、結論的には平成30年度、31年度の両契約年度について5%ほどの若干の成績の改善が見込まれるというような状況です。背景といたしましては、近年の交通事故の事故率が低下しているということ、それから、治療費が減少している、主にこういったことがポイントになります。

 では、資料に沿って今の話を具体的に申し上げます。ページの下の中ほどに数字があります。1ページをご覧ください。1ページが結論でございまして、2ページから6ページは、1ページに至る前提や予測要因などをまとめてございます。1ページですが、これはあくまで純保険料部分の収支を示したものでございます。なおかつ、自賠責の全部の事業者、全自賠責事業者についての純保険料、それから、支払保険金、収支残、損害率、こういったものを過年度の推移とともに今年度検証対象の平成30年度、31年度の予測値を示しております。

 まず左から2列目、Aの収入純保険料の欄をご覧いただきますと、平成25年度以降、8,500億円前後となっておりましたが、平成29年度に7,693億円となり、以降7,000億円台となっております。これは、平成29年4月に純保険料を11%程度引き下げたことが原因でございます。

 その右の列、支払保険金Bの欄、こちらは平成30年度、31年度ともに7,700億円台と見込んでおります。これはまた後ほど6ページで触れたいと思います。

 その右の列、当年度収支残Ⅽの欄、こちらはA引くBという引き算ですけれども、単年度収支としてはマイナス67億円、マイナス30億円ということで、若干の赤字ということでございます。

 それから、一番右に損害率とありまして、これはBの支払保険金が分子で、Aの純保険料が分母であり、このパーセンテージでございます。平成30年度が100.9%、平成31年度が100.4%、これは一番下の2行ですが、ほぼ均衡と申し上げたのはこちらのことでございます。あくまで前回改定の予定損害率は105.9%だったということ、こちらは下の注3に書いてあるとおりでございます。

 検証結果は以上でございます。

 引き続いて、2ページをご覧ください。こちらからは、1ページの背景説明等々でございます。2ページ目は交通事故発生状況、これは警察庁の交通事故統計からとらせていただいております。

 一番左から2列目、発生件数ですけれども、こちらを見ていただきますと、平成16年がピークとなり以後、対前年増減率、△が並んでおり、減少傾向にあるということでございます。

 その右の列、死者数ですけれども、こちらも同じように平成13年以降ほぼ一貫して減少しているということです。

 その右側、負傷者数ですけれども、こちらも平成17年以降、△が続いているということです。

 死者数につきましては、今年1月になりまして発表もございましたが、平成30年は一番下に3,532人となっております。これは統計を取り始めての最も少ない数字を示すことになったということは報道のとおりでございます。

 引き続き3ページをご覧ください。こちらは検証における主な予測要因ということでございます。

 (1)が収入純保険料、(2)が支払保険金です。まず収入純保険料、(1)でございますが、これは保有車両数、自賠責保険の対象となる車の数を見通しております。平成30年度、31年度ともに0.2%という、緩やかな増加を見込んでいるということでございます。

 (2)は、お支払いする保険金でございますけれども、こちらは①と②、事故率と平均の支払保険金を要素にいたしますけれども、①の事故率は過年度の事故率の動向ですとか、交通事故の発生状況ですとか、こういったものからどう見ているかということです。死亡の事故率は平成30年度、31年度ともに減少と見込んでおります。

 右側の後遺障害の事故率も同じく減少傾向で予測をしております。

 その右側、傷害事故率ですけれども、こちらはゼロ%ということで、横ばいで見ております。これにつきましては、4ページにまとめておりますので、先に4ページをご覧ください。

 4ページの右下に表がございます。これは死亡事故等々の事故率の推移でございますが、死亡事故については、平成25年度以降一貫して減っておりますので、検証対象年度も減少を見込んでおります。

 その右側、後遺障害も、これも平成25年度以降一貫して減っておりますので、同じように見ております。

 その一番右、傷害でございますけれども、こちらも平成25年度から減っているんですが、平成28年度に1回だけ大変わずかでございますけれども増えておりますので、増減の傾向がやや不安定というふうに見ておりまして、これが傷害の事故率を横ばいとして見るということの根拠でございます。


 3ページに戻っていただきまして、②下の平均支払保険金のところでございます。こちらは賃金上昇率ですとか、治療費上昇率ですとか、支払基準の改定の有無ですとか、こういったものをベースに見込んでいるものでございます。賃金上昇率につきましては、過年度傾向からわずかですけれども増加傾向、治療費はマイナスで見ております。傷害の保険金は、死亡の保険金、後遺障害の保険金よりも支払保険金に占めるウエートとしては非常に高いんですけれども、こちらの傷害の保険金をお支払いする場合、平均の入院、通院の日数が減ってきておりますので、減少の方向で見るということでございます。

 一番右、支払基準の改定ですけれども、これは平成30年度はもうほぼないだろうというタイミングでございますので、ゼロ%と、来年度のことにつきましてはまだ不透明でございますので、これまでも読めないときには0.05%織り込むというようにしておりますので、これを踏襲したということでございます。

 なお、表には書いてございませんですけれども、平成32年度に予定されております債権法の改正の影響は、支払基準がこれから定まりますので、定まった段階で料率には織り込むという予定ですので、こちらはまだ見ておりません。

 それから、来たる10月に予定されております消費税の増税については8%から10%になりますけれども、これは織り込み済みということでございます。

 5ページをご覧ください。

 こちらは自賠責保険・共済の支払件数及びその平均支払保険金の推移ということで、これは3ページ、4ページのデータに基づいて表をつくったということでございます。

 一番左の列、死亡の支払件数は、平成30年度が3,463件、平成31年度が3,407件とあり、その右側にマイナス2.5%、マイナス1.6%と減少で見通しております。

 それから、その右側の後遺障害の支払件数、これもマイナスで見ております。

 その右側、傷害の支払件数、こちらは平成30年度はわずかに上がり、平成31年度は下がるということです。これは4ページのところで傷害の事故率については横ばいで見ますと申し上げましたが、支払件数といいますのは、契約台数掛ける事故率で出しますので、契約台数が増減しますとこの支払件数も増減いたしますので、そういった関係で傷害事故率と同じにはなっていないと、こういったところでございます。

 死亡、後遺障害、傷害の各々の右側、平均支払保険金、これにつきましては、死亡事故については横ばい、後遺障害については0.2%という、これは緩やかに増加、傷害保険金については、これはわずかながら減少と見込んでおります。

 死亡のところ、死亡事故の支払件数は、一番下に3,407件、それから、平均支払保険金は、一番下に2,385万1千円とありますが、これを掛け算いたしますと、これが次の6ページ一番下にあります死亡事故の支払保険金、812億5千9百万円となるという関係でございます。

 6ページは自賠責保険・共済の支払保険金の総額です。平均ではなくて総額の表でございます。数字は見ていただく通りですが、表の一番下に括弧の数字がございます。こちらは何を示しているかと申しますと、自賠責保険の支払保険金のうち、死亡に関する支払保険金は10.5%、後遺障害にかかわる事故に対する支払保険金は27%程度、傷害が一番多くて63%程度を占めているということでございます。

 表の一番右は足し算をした数字ですけれども、平成31年度、一番右下、774,192とありますけれども、これは1ページの支払保険金の一番下にある数字、7,742億円にリンクするという構成になっております。

 7ページは参考資料として重度後遺障害の支払件数の推移でございます。別表第一の1級、2級と、別表第二の1級、2級、3級とあります。これらは労働能力の喪失率が100%と、非常に重いとされている後遺障害が残ったケースの件数ですけれども、一番右下のところの件数で、ここ数年は1,700人程度の方々がこういった被害に遭われているというご参考の資料でございます。

 8ページに行かせていただきます。自賠責保険料から保険金を支払いますけれども、純保険料が保険金として払われるまでに滞留しますので、その間に運用ができるということで、一番右に積立金残高とありますが、運用益の残高はいかほどあるかということを示している表でございます。

 一番右下が平成29年度末の運用益ですけれども、1,485億円ということで、こちらは前回改定時の想定の範囲内というところでございます。この数字も後ほど10ページでもう一度出てまいります。

 9ページは今度は、社費・共済経費ということで、自賠責のオペレーションをやっております全自賠責事業者の経費がどうかというページでございます。収入社費については、一番下の平成29年度ですけれども、平成28年度の2,118億円から2,267億円ということで、150億円ほど上がっております。なぜかというのは、平成29年の4月の改定におきまして、この社費部分について消費税の5%から8%へのインパクトをこのタイミングで算入したということ、それから、平成28年度の段階での累計収支残、一番右側ですけれども、268億円ほどの赤字を5年ほどかけまして償却していこうということで、そういったことを含めて6%社費を上げましたので、この影響で収入社費が一番下の行の平成29年度では増えているということでございます。

 そのほか、結果ですけれども、その2,267億円という数字の2つ右に13億円ということで、これは△がついておりません。単年度でも黒字になったということですが、累計では255億円のマイナス、赤字となり、これも前回の改定で5年かけて解消予定と、こういったふうにご理解いただければと思います。

 10ページ、まとめと書いてございます。何のまとめかといいますと、純保険料、保険金の関係、社費を除く純保険料とその運用益の関係のまとめということでございます。前回改定の予定損害率は105.9%でした。この平成30年度、31年度はどうだったかといいますのが、左から6列目の損害率というところで、平成30年度は100.9%、31年度は100.4%、こちらが検証結果、結論でございます。どういうふうに理解するかというと、単年度では赤字ですけれども、予定損害率よりは若干ではありますが、成績の改善が予測されるというものです。

 それから、平成29年度までの運用益積立金による収支赤字の補填と、これを考慮した累計収支残というものもお示ししております。先程申しましたように、純保険料が保険金として支払われるまでのタイミングで運用でき、その運用益で収支残の補填ができるというようなことがありますので、運用益で赤字補填をしている関係でございます。

 平成29年度を見ていただきますと、5列目のマイナス3,597億円、これは累計収支残は赤字ということを示しております。その2つ右に行きますと、これは補填の累計額という欄がありまして、4,986億円を補填をしたんですけれども、これちょっと細かいルールなので説明が難しいんですけれども、平成25年度の累計収支残は、△5,112億円、約5,000億円赤字であり、ルールといたしましては、各社が5年間は義務として積み立て、5年目にそれに相応する補填ができるならしてもいいということで、この△5,112億円に対応する補填が平成29年度の4,986億円、右から3列目ですけれども、約5,000億円を補填したという関係でございます。

 運用益積立金残高に1,485億円とありますのは、先程8ページで見ていただきました1,485億円でございます。一番右に2,875億円とありますけれども、これはルールに従って収支残の赤字を補填した結果、これだけの実質的な余資があるという関係でございます。想定の範囲で自賠責のオペレーションは運営できているというように申し上げてよろしいかと思います。

 11ページ、最終ページでございますけれども、これも参考のページです。収入保険料、これが左側の円グラフで、1兆円強、右側は支出でございますけれども、これは保険金、それから、経費のウエートを示したものでございます。自賠責保険は、ご承知のとおり、ノーロス・ノープロフィットでございますので、右側の円グラフには利益は入っていません。その分保険金でお支払いする部分が増えていると見ていただければと思います。

 私からのご説明は以上でございます。

【藤田会長】 

 事務局から補足説明があればお願いします。

【横尾課長】 

 それでは、事務局より補足説明させていただきます。

 今般の基準料率検証結果といたしましては、ただいまご説明がありましたように、30年度の損害率が100.9%、31年度では100.4%となっておりまして、収支としてはほぼ均衡しております。なお、平成29年4月に改定を行った際には損害率として105.9%を見込んでおりましたので、それと比較すれば各々マイナス4.7%、マイナス5.2%ということで、乖離というか、成績の向上が見られるということでございます。本年度は基準料率改定から2年目にあたること、また、累計収支残及び運用益積立金の状況等も踏まえ、31年4月以降の基準料率改定の必要性につきまして、委員の皆様のご議論をお願いしたいと考えております。

 なお、ここで本年10月に予定されております消費税引上げの自賠責保険実務に与える影響についてもご報告させていただきます。

 まず、自賠責保険料本体は、ご承知のように非課税の取引でございます。他方、保険会社等が代理店に支払う手数料には課税されるということになっておりまして、現行1,660円に増税分2%を加えた1,691円、30円ほどの手数料の増加ということになります。過去の消費税導入時及び増税時におきましては、料率改定までの間、当分の間ということですが、増税分につきましては自賠責保険を引き受けている保険会社等の社費で負担しておりまして、今回の増税にあたっても同様の取扱い、すなわち、次回改定までの間は社費による吸収ということにさせていただければと考えております。

 事務局からは以上でございます。

【藤田会長】 

 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの料率検証結果の報告と補足説明に関しまして、ご質問、ご意見はございますでしょうか。

 中林委員、お願いします。

【中林委員】 

 ご説明ありがとうございます。

 全体としましては、今回は改定から2年目ということを考えますと、コスト面などを考えると特に改定の必要はないのではないかというふうに思います。

 ただ、今後の社会の変化を考えますと、特に運転技術に関しては自動運転などが進むといったこともありますので、こういったことを踏まえて、今後も注意深く観察していくという点に配慮すれば問題ないのではないかと思います。
 以上です。

【藤田会長】 

 どうもありがとうございました。

 そのほかご意見ありますか。髙倉委員。

【髙倉委員】 

 自動車総連の髙倉でございます。本年もよろしくお願いをいたします。

 料率改定についてですけれども、今も発言ありましたけれども、一昨年に料率改定をしたことや、予定損害率の乖離が少ないこと、さらには、社費の削減等さまざまな努力を、今していただいているわけですけれども、消費税の引き上げという影響で、場合によっては増える可能性もあるという状況がある中で、料率の改定というのは短期間での大幅な変更は望ましくなく、また、安定的に運用をしていくことが基本だと考えておりますので、本年の料率改定は行わないことに対して異論はございません。

 引き続き、ノーロス・ノープロフィットの原則やユーザー負担軽減の観点などを踏まえた中長期的な収支にも十分に配慮をした料率設定に今後も努めていただきたいと思っております。

 さらに、社費の削減の問題でありますけれども、契約手続の簡素化や損害調査への警察の情報、例えば、カメラの映像などの活用ですけれども、行政と業界が連携した取組のさらなる効率化を考えていただいて、ユーザー負担の軽減にぜひつなげていただきたいと思っておりますし、また、これらの取組を進めるということは、損保業界で支払業務に携わっている従業員、組合員の働き方の改善、これにもつながると思っておりますので、ぜひ進めていただきたいと思っています。

 以上です。

【藤田会長】 

 ありがとうございました。

 では、長島委員、お願いします。

【長島委員】 

 日本医師会の長島でございます。私は整形外科医といたしまして長年交通事故の負傷者の治療にも携わっておりました。その観点で、ちょっと大きな視点から調査、分析、対応について要望を4点ほど述べさせていただきます。

 まず、柔道整復の施術に関してでございますけれども、一般的には交通事故による負傷者の重症度というのは、医療機関のほうが柔道整復よりも重症であることが多いというふうに考えられます。ところが、損害保険料率算出機構の2017年度自動車保険の概況の資料によりますと、この治療にかかる期間ですけれども、医療機関の平均診療期間が68.7日に対しまして、柔道整復は106.4日と、大幅に長くなっております。その影響か、1件当たりの平均費用の金額も、医療機関が約24万3,000円に対しまして、柔道整復は約28万3,000円と、4万円高くなっております。

 交通事故負傷者のできるだけ早期の回復、これを目指すという観点からも、柔道整復のほうが長期化している、あるいは、高額化しているということの要因をきちんと調査、分析していただいて、適正な対策を講じると。そして、その内容をぜひ来年度報告していただくということをまず要望いたします。

 次に、2点目でございます。社会保険の利用率でございますが、これも同資料によりますと、年間約11.4%が利用されておりますが、この社会保険の利用というのはこの自賠責の運用に関して大きな影響がございますので、この11.4%に関しまして、本来交通事故では自賠責を使うのが原則でございますので、なぜ社会保険が利用されているのか、その背景、理由につきましてきちんと調査、分析をしていただきたい。自賠責を使ったほうがふさわしいというようなものが含まれていないかどうか、もしそういうものがあるようであれば適正な対応をすべきと思います。この点についても来年度の報告を要望いたします。

 3つ目でございますけれども、物件事故における自賠責の支払いです。警察庁交通局の交通事故による負傷者の数値と、先ほどご紹介した損保料率算出機構の人身事故のデータを比較しますと、平成20年度から比べますと、その後年々大幅に物件事故扱いで支払われているというのが増えていて、28年度では約半数に近いんではないかと推測されます。本来は負傷があれば警察に対して医師の診断書を提出し、きちんと人身事故として扱うというのが本筋かと思います。人身事故か物件事故かによりまして警察の対応が変わってくるということがありますので、社会的な公平性、公正性という点から考えましても、このように年々大幅に物件扱いでありながら支払われているというものが増えているのは問題かと思います。

 この点に関しまして、自賠責が人身事故証明書がなくても支払うという制度になっているものが悪影響を及ぼしているという可能性がございますので、人身証明がなくても支払っているということの内容に関しまして、やはりきちんと調査、分析をしていただき、そういうような社会的な不公平性を助長しないような適正な対応をとるべきではないかというふうに思いますので、この調査、分析に関しても来年度の報告を要望いたします。

 最後に、自賠責診療報酬基準案の普及でございますけれども、これに関しましては、平成27年11月に山梨県医師会が合意に至りまして、一応47都道府県が自賠責保険の診療算定基準という、日本医師会が発出したものに従うということになっておりますが、実際、では、その後どれぐらい普及しているのか、これについて詳しいデータがございませんので、各地域別、あるいは、例えば、医療機関の規模とか扱う件数等によって大きな違いがあるようであれば、そこをきめ細かく分析して、それに応じた普及策を講じるべきと思います。

 それで、普及率が一定に達したということであれば、以前から議論されております制度化についても議論を始めるべきかと思いますので、この調査に関しましてもご報告を来年度お願いいたします。

 以上4点、お願いいたします。

【藤田会長】 

 ありがとうございました。

 それでは、お答えについては機構と協会でしょうかね。

 じゃあ、まず機構のほうからお願いいたします。

【江原委員】 

 4点をいただきまして、最初が柔道整復師でございまして、ご指摘は治療あるいは施術に要する期間、こちらが医療機関の平均ですと68日に対して、柔道整復師によれば105日ということでございました。いずれにつきましても、3年連続で引き下がっている傾向値にはあることは申し添えておきたいと思います。

 それから、ご要望について、来年度ご報告ということにつきましては、その方向で考えたいと思います。

 それから、柔道整復師というのは手術をするわけではありませんし、注射もいたしませんので、若干軽い、いわゆる重い軽いで言うと、先程ご指摘ありましたように、軽い部分に対して即効性のある治療ではなく、施術をやっているということはあると思います。お答えできるようなデータがあればそれを努力してとっていきたいと思います。

 それから、2番目が社会保険でございましたですけれども、これは社会保険を、健康保険等々を使う使わないという判断は、被害者、患者さんのご判断でもありますので、これにつきまして、健康保険を使わない理由、使う理由というあたりにどこまでアプローチできるかはちょっと今わからない部分がありますけれども、ご要望に沿って検討はいたしたいと思います。

 それから、3つ目は物件事故でございました。物件事故につきましては、データがいろいろあるんですけれども、自賠責保険全体の支払件数における物件事故証明による支払いというのは、ご指摘のとおり50%程度ございます。ただし、保険金の額を比べますと、人身事故証明によるものというのは5,600億円程度、それに対して、物件事故証明によるお支払いというのは全部足し合わせても2,400億円程度と、こういったような数字がございます。

 いずれにしても、物件事故証明だけで自賠責保険がお支払いされているわけではなく、医師による診断書によって事故との相当因果関係が確認されており、なおかつ、必要かつ妥当な費用と認められた場合には、これはお支払いしないというわけにいきませんので、一律に物件事故だからお支払いしないという対応にはなっておりません。これにつきましては、業界、共済もそうですし、当機構としても同じような観点で調査、点検はしておるところでございます。

 それから、4番目、診療報酬基準案でございます。これはご指摘のとおりで、全都道府県、山梨を最後に、導入自体は終わりました。ただし、その実施状況は、一番低いところですと20%を割っており、一番高いところですと90%を超えているというように、非常にばらついております。これもご指摘ありましたけれども、普及がなされることがまず第一でございまして、その後の制度化につきましては、医療関連法ですとか、自賠法ですとか、絡みますので、関連のご当局とも相談しながらやっていきたいと思っております。

 機構からは以上です。

【藤田会長】 

 損保協会から補足はありますか。

【飯豊委員】 

 損保協会の飯豊でございます。補足含めてご回答申し上げます。

 貴重なご意見ありがとうございます。業界としても真摯に対応してまいりますけれども、柔道整復師に関しましては、1件1件必要かつ妥当な実費の範囲内かどうかというのを個別判断して保険金をお支払いしております。その際、医療機関への受診も促しながら、個別事案ごとに確認して、必要に応じて診断医に意見を求めるというような方向で適正な支払いに努めてまいりたいというふうに思っております。

 次に、健康保険の使用につきましても、最終的には治療内容のほか、過失割合であるとか、損害総額の多寡を踏まえて、あくまで被保険者、いわゆる被害者のご判断によるものというふうに考えておりますが、この考えにつきましても、業界現場担当者に対して研修などのときに随時そういう考え方も織り込みながら、注意喚起を図ってまいりたいというふうに思っております。

 人損、物損事故の届出の実情でありますとか、算定基準制度の普及状況なども踏まえながら、今後も医療費の適正化も含めて適正な支払いに努めてまいりたいというふうに思っている次第でございます。

 以上でございます。

【藤田会長】 

 どうもありがとうございました。

 もし来年度出せるデータありますようでしたら、提出のほうご検討いただければと思います。

 今のお答えでよろしいでしょうか。

【長島委員】 

 基本的には被害者、負傷者のより早期の回復を目指すと、よりよい回復を目指すという意味で、長期化しそうであればできるだけ早く医療機関の受診をしていただく。あるいは、整形外科の現場の感覚としては、社会保険、健康保険の利用が本当にその被害者本人だけの考えか、そこに何らかの考えが及んでいないかというようなこともございますので、現場できちんと教育、研修を徹底していただきたいというふうに思います。

 そのほか、先ほど述べた物件事故とか、自賠責の基準に関しては、きちんときめ細かく調査、分析をして、それに応じてやはりきめ細かい対応というのをぜひお願いしたいと思います。

 以上です。

【藤田会長】 

 ご意見ありがとうございました。

 そのほかご質問、ご意見ございますでしょうか。

 どうぞ。

【唯根委員】 

 よろしいですか。

【藤田会長】 

 はい。

【唯根委員】 

 ありがとうございます。日本消費者協会の唯根です。

 消費者の視点から、ここのところ高齢者の運転事故が非常に目立つのですが、今データでは非常に件数も少ないですし、事故率も低くなっているということですが、私も高齢者の域に入ってきていますので、今後高齢者の事故が増加した場合どういうふうに影響したりする可能性があるかどうか伺えればと思います。

【藤田会長】 

 それでは、機構のほうから、ご説明いただければと思います。

【江原委員】 

 ありがとうございます。高齢化の影響でございますけれども、大きく分けて2つございまして、1つは高齢運転者の影響、それから、2つ目は被害者のサイドに高齢者が立たれた場合の大きく2つございます。

 まず運転者、高齢の方が運転される場合でございます。50歳を過ぎますと、データによりますと、年齢が上がれば上がるほど事故率は上がっております。運転免許保有者における高齢者の割合も、今は増加しております。65歳以上の免許保有者というのは、過去5年間で19%から22%に上がっております。認知機能検査等々による免許の取り消しですとか、停止ですとか、こういった対策はもちろんされておるんですけれども、結果としては事故率は上がっているということで、こちらは、結論づけますと、高齢運転者の割合の増加は事故率の増加につながると、これが1つでございます。

 もう一方の、被害者になられた場合ですけれども、これは非常に申し上げにくいというか、死亡事故を例にいたしますと、高齢被害者が亡くなられた場合、逸失利益とか、こういったものがお支払いの対象になりますけれども、高齢者の方といいますと、若い方、それから、働き盛りの方よりはこういった逸失利益等が低くなるということでございまして、なおかつ、65歳以上の方が被害者になられるという割合というのは、5年間で52%から56%に上がっておるというようなことがあります。2つ目の結論としましては、高齢者の被害者の方が増えるということは平均支払保険金は減ってくると、こういった両面がございます。

 ご指摘があった自動運転等々も技術的には進んでおりますが、一律の影響があるというわけではないので、今後ともこちらのところについては注視をしていきたいというのは今のところの結論でございます。

 以上です。

【藤田会長】 

 どうもありがとうございました。

 よろしいでしょうか。

【唯根委員】 

 はい、ありがとうございます。

【藤田会長】 

 その他、どのようなご意見でも、あるいは、ご質問でもあればいただければと思いますが、よろしいでしょうか。

 それでは、委員の皆様からのご意見は一通りお伺いできたかと思いますので、議論はこのあたりまでにさせていただければと思います。

 基準料率の見直しにつきましては、2名ほどの委員から明示的にご意見いただきまして、残りの方からは特にご意見はいただきませんでしたけれども、今回の料率を見直す必要はないという意見が出されたほか、見直すべきだという意見は出されなかったと了解しております。

 今回の料率検証結果につきましては、収支が当初の想定より若干良化しているものの、前回の改定からまだ2年であり、制度の安定的な運営や複数の年数の契約を行っている契約者間の負担の公平性という観点からは、料率については中期的な安定が求められていること、累計収支残及び運用益積立金の水準を見ると、今回直ちに料率改定が必要なほどの状況にはなさそうであるということを踏まえれば、今回は基準料率を据え置くということが適当だということでまとめさせていただいてよろしいでしょうか。


(「異議なし」の声あり)


【藤田会長】 

 ありがとうございました。

 それでは、そういうことにさせていただき、この場でいただいたご意見につきましては今後の参考にさせていただければと思います。とりわけ自動運転などが長期的にこういう料率にどういう影響を与えるか、高齢化がどういう影響を与えるかということは十分注視する必要があると思いますので、今後注意して見ていきたいと思います。ありがとうございました。

 それでは、続きまして、諮問事項がございます。諮問事項につきましては、村山委員にご説明いただき、事務局から諮問事項について説明した後、ご議論いただければと思います。

 まず、村山委員より自賠責共済規程の一部変更についてご説明をいただければと思います。

【村山委員】 

 JA共済連の村山でございます。

 それでは、お手元の資料2に基づきまして、自動車損害賠償責任共済規程の一部変更についてご説明を申し上げます。

 JA共済の自賠責共済の共済規程につきましては、その内容を変更する場合には、自賠法において本審議会に諮問する必要がございます。今般、自賠責保険・共済の業界標準システムとなっておりますe-JIBAIの導入に伴いまして、共済規程を変更する必要があることから、ご説明をさせていただくものでございます。

 まず初めに、e-JIBAIとはどのようなものかということの説明を、まず8ページのほうをお開きいただきたいと思います。参考でe-JIBAIの概要ということで載せさせていただいております。e-JIBAIとは、各損保・共済団体が共同でコストの削減、また、利便性向上等を目的に開発しております自賠責保険・共済の契約引受等にかかる保険代理店、共済代理店向けのシステムでございます。平成16年10月から稼働しておりまして、現在11法人が利用されております。

 全国の自賠責保険・共済の証明書発行件数のうち、約90%の3,900万件がこのe-JIBAIにより発行されております。ということで、e-JIBAIにつきましては実質的な業界標準システムとなっているわけでございます。

 このe-JIBAIにつきましては、加入手続につきまして、紙の申込書を使用せず、インターネットシステムを通じた手続が可能となっております。また、保険代理店や共済代理店が顧客の自動車購入時や継続検査、車検等に必要となる各種手続、納税等の申請代行を行う際においても、e-JIBAIと連携する別のインターネットシステム、自動車保有関係手続のワンストップサービスがございまして、こちらを通じて行うことも可能だということでございますので、このような特徴を有するe-JIBAIを、我々JA共済といたしましても、これまでは独自のシステムを構築してございましたが、このe-JIBAIを導入して、共済代理店はもちろんのこと、契約者の利便性向上を図ってまいりたいと考えているところでございます。

 続きまして、e-JIBAIの導入に伴いまして、共済規程の変更についてご説明をさせていただきますので、ページが戻りますが、1ページのほうにお戻りいただきたいというふうに思います。

 まず(1)の変更理由でございますけれども、31年より自賠責共済を取り扱う共済代理店にe-JIBAIを導入することに伴いまして、全国共済農業協同組合連合会及び農業協同組合の共済規程の変更が必要となります。

 具体的な変更内容につきましては、(2)の変更内容をごらんいただきたいと思いますが、現在の共済規程は自賠責共済の引き受けについて、紙の申込書による手続を前提とした規定となっております。e-JIBAIの導入後は、申込書を使用せず、パソコンなどの電子計算機を用いた引き受けが可能となるため、この電子計算機による引き受けに関する規定を追加させていただきます。

 また、平成22年度の保険法の施行に伴いまして改正された自賠法において、自賠責保険、自賠責共済については、保険証書、共済証書の発行はしなくてもよいとされたことを踏まえまして、まだ我々JA共済におきましては、現行においては契約者から請求があった場合は作成、交付するということとしてございました。これにつきましては、請求者が、契約者からの請求、これまでもなかったということもございますので、自賠責証書、共済証書の作成、交付についてはしないということとさせていただきたいということでございます。

 主な変更内容はこの2点でございまして、これらの変更により所要の規程の変更を行う必要がございます。

 全国共済農業協同組合連合会の共済規程の新旧表につきましては、2ページに記載をさせていただいてございます。e-JIBAIの導入に伴いまして、第4章の自動車損害賠償責任共済に関する事項の第10条、共済契約締結の手続の第1項にただし書きにて電子計算機を活用した契約の手続について規定を追加させていただきます。

 また、次のページになりますが、第5項に自賠責の共済証書を作成、交付しない旨を規定させていただきます。この自賠責共済証書を作成、交付しないことに伴い、用語として共済証書が用いられております第9条、被共済自動車の検査、及び、第12条、共済契約申込書の記載事項及び様式について、所要の変更を加えさせていただくということでございます。

 なお、今回の共済規程の変更につきましては、31年4月1日からの実施を予定しているところでございます。

 また、5ページ以降に記載する農業協同組合の共済規程につきましても同様の変更を行っているため、あわせてご確認をいただきたいというふうに思います。

 以上、簡単ではございますが、ご説明とさせていただきます。

【藤田会長】 

 ありがとうございました。

 それでは、事務局のほうから諮問及び答申案の内容のご説明をお願いします。

【横尾課長】 

 事務局より説明させていただきます。

 ただいま村山委員よりご説明ありましたとおり、農業協同組合及び農業協同組合連合会におきまして、e-JIBAIシステムを導入することに伴いまして、自賠責共済の事業についての共済規程の一部を変更する必要がございます。当該共済規程の一部を変更することには、行政庁の承認が必要でございまして、承認にあたっては金融庁長官の同意が必要であり、本同意にあたっては、自賠責審議会に諮問するということになっております。つきましては、金融庁として同意して差し支えないか諮問させていただきたいと思います。

 お手元に金融庁長官から当審議会藤田会長宛ての諮問文、それから、それに対する当審議会の答申案を配付させていただいております。

 それでは、諮問文を読み上げさせていただきます。

 「自動車損害賠償保障法第28条の2第1項の規定に基づき、農業協同組合及び農業協同組合連合会の行う自動車損害賠償責任共済の事業についての共済規程のうち共済契約に係るものの一部をe-JIBAIシステムを導入することに伴い変更することについて、行政庁が行う承認に対して同意すること。」でございます。

 事務局といたしましては、e-JIBAIシステム導入に係る今般の共済規程の一部変更は、契約者の保護に欠けるおそれのないものというふうに認められるため、同意をして問題ないと考えております。

 事務局からは以上でございます。

【藤田会長】 

 ありがとうございました。

 それでは、ただいま説明のあった自賠責共済規程の一部変更の諮問とそれに対する答申案に関しまして、ご質問、あるいは、ご意見ございますでしょうか。

 特にございませんでしょうか。あらかじめ答申案を配付させていただいておりますが、金融庁長官からの諮問を受けた事項につきましては、当審議会としては異議はないということでお認めいただければと思いますが、そのようにさせていただいてよろしいでしょうか。


(「異議なし」の声あり)


【藤田会長】 

 どうもありがとうございました。

 異議がないということですので、そのようにさせていただきたいと存じます。

 それでは、報告事項に移らせていただきたいと思います。

 引き続き平成31年度の運用益の使途についてご報告いただきたいと思います。

 国土交通省、日本損害保険協会、JA共済連の順でご説明いただき、その後一括してご意見、ご質問いただければと思います。

 まず平成31年度自動車安全特別会計の運用益の使途等について、国土交通省の小林保障制度参事官よりご報告いただければと思います。よろしくお願いします。

【小林参事官】 

 国土交通省からご報告させていただきます。お手元の資料3になりますけれども、平成31年度自動車安全特別会計の運用益の使途等についてご報告させていただきます。

   まず、1ページ目をお開きいただきたいと思います。

 一般会計からの自動車安全特別会計への繰り戻しという題になっておりますけれども、改めましてこの特別会計の説明をいたしますと、自動車安全特別会計、このうち自動車事故対策勘定と保障勘定というのがございますが、こちらから過去に1兆1,200億円を一般会計に貸付をしておりました。この貸付金につきましては、平成6年度と7年度に貸付をし、その後平成15年度までの間、何度か返済があったわけでございますが、平成15年度以降戻ってこなかったということでございました。

 この自動車安全特別会計の勘定のうち、自動車事故対策勘定につきましては、被害者保護増進事業でありますとか、事故防止事業について必要な事業を行ってまいったわけでございますが、この事業の原資となるものは過去の運用益に基づいておりまして、新たな収入源がなく、一方で最近の運用収入が低金利の中で得られない、得られにくくなっているという状況の中で、次第にこの原資、積立金が減少している、これについて、被害者団体の方々からも今後の先行きについて大変心配であるという声をいただきましたし、これまで当審議会においてもさまざまなご意見をいただいてきたところでございます。

 ちょうど一昨年、大臣間覚書の見直しの時期に当たりまして、財務省と協議をいたしまして、15年ぶりの繰り戻しが平成30年度に行われることになりました。こちら左の表になりますけれども、23億円、正確に言いますと23.2億円が、15年ぶりに返済がなされるということになりました。

 ただ、引き続きこの取り崩し、積立金の減少の傾向というのは変わらないという現状があり、31年度予算におきましては、この23.2億円を額を明示して要求するとともに、さらに繰り戻しの増額について、事項要求として財務省と協議を行ってまいったところでございます。

 結果としまして、上の四角の中にございますが、2年連続となる繰り戻しが実施されることとなり、繰り戻し額については37.2億円に増額となりました。これは30年度比約14億円の増、1.6倍といった数字になります。

 これによりまして、30年度の積立金の取崩額を82億円と予想しておりますが、これが31年度においては79億円になる。30年度比約3億円の減という、縮減がなされるという見込みになったところでございます。

 あわせまして、被害者保護増進事業、後ほどご説明いたしますけれども、小規模委託病床等の充実も認められたところでございます。

 この増額がなされた一方で、さらに積立金の取り崩しについては今後ともまだ発生する状況が続いてまいります。そして、残存額についても減少し続けていくという状況にかんがみまして、一昨年結びました大臣間合意に基づいて、引き続き繰戻額の増額と積立金の取崩額の着実な縮減を図ることについて、財務省と協力して進めていくということで共通認識を得ているところでございます。

 今後ともこの考え方に基づいて、32年度以降の予算要求においても取組を進めてまいりたいと考えております。

 この予算要求にあわせまして、1つご紹介させていただきますが、本日お越しになられています秋田委員、髙倉委員、桑山特別委員、そして、矢代特別委員が中心となっておられます自賠制度を考える会が一昨年から活動され、被害者救済や繰戻しの必要性について社会的な訴えかけをされてきましたが、昨年については、国土交通大臣に対してもご要請をいただきまして、こうしたことについても、私ども真摯に受けとめさせていただいて、財務省との協議を進めてきたということについてご紹介させていただきたいと思います。

 続きまして、2ページ目でありますが、自動車安全特別会計の運用益活用事業についての全体像でございます。詳細は後ほど述べますので、簡単にご説明させていただきますと、左の欄が被害者の救済対策として、療護施設の設置・運営でありますとか、短期入院・入所協力事業を実施、そして、在宅生活の支援事業、介護料の支給、訪問支援の実施などを行っております。

 また、事故防止事業として、右の欄でありますが、ASVの普及であるとか、プロドライバー等に対する教育、自動車アセスメント等について行っているところでございます。

 次のページ、3ページ目をお開きいただきますと、29年度に行いました運用益活用事業の主な内容についてのご報告でございます。

 まず1点目でありますが、新しく29年度から開始したものとしまして、一貫症例研究型委託病床の設置・運営ということで、これまで重度の脳障害の方を受け入れる施設は慢性期になってから療護センターで受け入れて治療及びリハビリを行っておりましたが、急性期から治療等を行うことでまた新しい回復効果が得られるのではないかということで、29年度、30年1月からですけれども、一貫症例研究型委託病床を、愛知県にあります藤田医科大学において開始しているところでございます。

 私も実際に行って見てまいりましたが、急性期から積極的なリハビリを行って、病院の医師の先生方も含めて、よい改善事例が見られるということで、まだ症例が積み重なっておりませんので、はっきりした効果の発表というものはこれからということでございますけれども、よい事例が得られつつあることを私も実際見させていただいたところでございます。

 次に、ASVに対する支援の拡充ということでありますが、こちらは軽井沢のバスの事故を契機として、ASV、先進的な衝突被害軽減ブレーキでありますとか、新しい機器に対しての補助について、これまで中小事業者に限っていた支援について、貸切バスについては中小企業の枠を外し、ASVについての補助を開始したというのがこの年の特徴でございます。

 次に、自動車アセスメント事業の実施、充実については、車線逸脱抑制装置についての評価を加えたというのが新しい事項として挙げられるところでございます。

 次に、30年度、今年度の実施事業についての主な内容でございますが、1つは地方を中心とした小規模な療護機能、委託病床の展開ということで、これまで重度の脳障害の方を扱う療護施設については、大都市圏を中心に配置していたわけでございますが、この療護施設から遠い地域の方々については大変なご不便、ご家族を預けておられるときになかなかご家族のところに行けない、場合によっては、仕事を変えて、住まいを変えてという方もいらっしゃるという状況の中で、小規模でもいいから空白地帯に展開してほしいという強い要望がございました。

 これについて、30年度からその空白地帯における配置を始めたわけでございますが、まず第1号として、石川県に1つ病院を指定して、5床の受け入れをこの1月から開始するということになっているところでございます。

 次に、右の欄でありますけれども、介護者なき後を見すえた日常生活支援の充実という項目でございますが、昨年もご説明いたしましたけれども、介護者、重度の後遺障害者の方を介護しているご家族の方が高齢化などによって介護者がいなくなった、または、介護ができない状況になったときに、残された重度後遺障害者の方がどうなるのか、大変心配との声が上がっていたところでございました。こうした方々についての終の棲家を提供することについては、全国の障害者支援施設、また、グループホームについて、なかなか環境が整っていないケースが多く、これに対して30年度から補助を行って、現在23施設について対象を決定したというところでございます。

 次に、再生医療の実現に向けた取組でございますが、現在NASVAの千葉療護センターと札幌医科大学が連携しまして、重度脳障害の方を治験のため数名送りまして、現在まだ治験中ということで、結果については発表されておりませんけれども、引き続きこの治験が進められていくという状況でございます。

 最後、自動車アセスメント事業の充実という観点では、衝突被害軽減ブレーキ、夜間の対歩行者という項目が新しく加わりました。また、ペダル踏み間違い時加速抑制装置の項目についても追加になったところでございます。

 次に、31年度、5ページ目でありますが、31年度予算要求において認められた主な内容でございますけれども、一番左の上のほう、小規模な療護施設についてはさらに1施設について設置することが認められましたので、31年度になりましてから予算が成立した後に、どこの場所に設置するか、交通事故の発生状況、または、既存の施設との地理的関係性などを勘案し、検討してまいりたいと考えております。

 次に、介護者なき後を見すえた日常生活支援につきましても、予算額としては倍増ということで認められておりまして、こちらについても引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

 また、介護料の充実につきましては、労災保険制度において介護補償給付の引き上げが行われるということにあわせまして、所要の支給額の引き上げを措置することとしたということでございます。

 再生医療については引き続き、先ほどの治験を引き続きやっていくということです。

 自動車アセスメント事業に関しましては、先ほどの衝突被害軽減ブレーキの夜間ということで変わりはないですけれども、街灯なしの状況での試験について、新しく項目として加えて実施していくということは認められているところであります。

 私からは以上でございます。

【藤田会長】 

 どうもありがとうございました。

 それでは、引き続きまして、平成31年度民間保険会社の運用益の使途につきまして、飯豊委員よりご報告いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【飯豊委員】 

 日本損害保険協会からは、平成31年度の民間保険会社の運用益の使途につきましてご報告申し上げます。

 お手元の資料は資料4でございます。この運用益拠出事業案は、第三者委員で構成されます損保協会長の諮問機関であります自賠責運用益使途選定委員会にて審議、ご了承いただいているものでございまして、2月21日開催の日本損害保険協会理事会で最終決定する予定でございます。

 平成31年度事業案の策定に当たりましては、これまでの自賠責保険審議会の答申や、今後の自動車損害賠償保障制度のあり方にかかわる懇談会で示された方向性なども踏まえまして、自動車事故の被害者対策を中心に取り組みますとともに、高齢者事故の割合増加、並びに、技術の急速な発展などの昨今の環境変化も踏まえまして、交通事故被害者を生まないための事故防止対策に一層注力することを基本方針としております。

 それでは、運用益拠出事業案のポイントについて、資料4の1ページをごらんください。

 これがサマリーでございまして、まず、平成31年度の拠出予定合計額は、必要な事業を積み上げました結果、この1ページ右上の囲みにございます記載のとおり、総額18億5,417万3,000円、前年度対比で約2,900万円の減額となっております。

 まず、拡充する事業についてご説明申し上げます。1ページの上段でございます。上半分でございます。

 自動車事故防止対策の分野におきましては、高齢者の事故防止対策を中心に新規事業を実施いたします。主な新規事業といたしましては、地域密着型交通安全教育の方策開発と普及活動支援、スマートフォンを利用した個人交通事故リスク算出と行動改善に関する研究、高齢者の運転再教育及び運転リハビリテーションによる運転期間の延伸手法の科学的検証と体系化に関する研究などを実施してまいります。

 次に、自動車事故被害者対策の分野でございますが、脊髄損傷者や脳外傷等の交通事故に起因する割合の高い症状への対策を中心に拡充してまいります。具体的には、脊髄損傷当事者によるピアサポート事業支援、及び、高次脳機能障害者の社会復帰支援に関する研究事業などを増額してまいります。また、グリーフケアが心に与える影響を調査、研究するために、交通事故等の遺族による被害者等の生きた証を伝承する活動が心のケアに寄与する影響に関する調査を新規に実施しまして、より適切な被害者支援のあり方を引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。

 これら拡充する事業に関しましては、自動車事故被害者の皆様や関係者の皆様の声をお聞きする中で事業化したものでございます。

 次に、同じページの下段、減額する事業についてご説明申し上げます。

 事業運営の効率化や、これまでに示された運用益事業の方向性などを踏まえまして、ごらんのとおり交通事故防止機器の寄贈、公的病院への救急医療機器購入費補助、及び、交通事故無料相談事業支援などの事業で減額をいたしております。

 平成31年度の事業案は以上のとおりでございまして、総額といたしましては、前年度対比で減額となっておりますが、これらは必要な事業を充実させる一方で、個々の事業内容の精査、見直しを行うなどして、各事業を積み上げた結果でございます。

 2ページ以降に平成31年度の個々の拠出事業案の事業内容、それから、ページ飛びまして、12ページに直近5年間の拠出額の推移、それから、13ページ以降最終ページまでに平成29年度の運用益拠出事業の報告を添付しておりますけれども、時間の関係から説明を割愛させていただきます。

 民間損保といたしましては、本支出が自動車事故の被害者の皆様への支援並びに事故防止対策に資するような、今後とも自賠責保険運用益の有効かつ適正な拠出に努めてまいりたいというふうに思っております。

 報告は以上でございます。

【藤田会長】 

 ありがとうございました。

 それでは、引き続きまして、平成31年度のJA共済の運用益の使途について、村山委員よりご報告いただければと思います。

【村山委員】 

 それでは、お手元の資料5に基づきまして、平成31年度のJA共済の運用益の使途につきましてご報告を申し上げます。

 なお、毎年度の運用益拠出事業の計画の策定に当たりましては、ただいまご説明がありました損保協会様と同様に、第三者委員からなる使途選定委員会にてご審議の上、ご了承いただいているところであります。

 検討にあたっては、各施策の実施状況を踏まえ、その効果や課題などを検証し、各施策の継続、あるいは、新規取組、減額の方向性を整理しながら、より効果的、効率的な活用に努めているところでございます。

 また、これまでの当審議会におけるご意見も参考としているところでございます。

 早速でございますが、資料の表紙をおめくりいただきたいと思います。1ページでございます。

 上段に記載しておりますとおり、平成31年度の計画額の合計につきましては、13億32万5,000円13億32万5,000円を予定しているところでございます。

 次に、新規施策としてでございますけれども、重度脳損傷後の意識障害者と家族に関する研究支援を計画しているところでございます。こちらは交通事故等を原因とした重度脳損傷後の意識障害者の家族負担軽減を図る研究に対して支援するものでございます。当該研究は平成31年度から3年間の研究支援でございまして、意識障害者の家族の介護負担の軽減を図る支援方策を策定するものでございます。平成31年度につきましては、意識障害者の家族の介護負担に感じる要因について実態調査を実施するものであります。当該研究の実施主体は筑波大学となっているところであります。

 次に、主な減額の施策でございますが、こちらは救急医療体制の整備にかかる救急医療機器等購入費補助についてでございます。こちらにつきましては、救急医療機器の整備が一定程度進んだということで減額となっているものでございます。

 また、最後に予算の推移につきまして、ページの下に記載させていただいておりますけれども、平成30年度と比較して2%の減少となっているところでございます。

 なお、次ページ以降に平成31年度の本運用益拠出事業の詳細と29年度の実施状況を取りまとめて記載しておりますので、ご覧おきいただきたいと思います。

 報告につきましては以上でございます。

【藤田会長】 

 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの3者の報告について、ご質問、ご意見等はございますでしょうか。

【長島委員】 

 はい。

【藤田会長】 

 どうぞ。

【長島委員】 

 長島でございます。3者全体への要望なんですけれども、各事業の成果をきちんと評価していただいて、可能な範囲で結構ですが、ぜひその評価も書いていただきたい。それに基づいて次年度をこういうふうな計画にしたということを明確にしていただくと、なぜこうなったかというのがわかるということで、可能な範囲で結構ですので、ぜひ評価を書いていただきたいと思います。

 次に、現在科学技術が画期的に進歩したということで、重点とすべき分野が2つあるというふうに考えております。

 1つは、脊髄損傷、脳損傷に関する再生医療です。これは、脊髄損傷に関する再生医療はもう完全に実用化、先ほどお話がありました札幌医大のものがもう脊髄損傷の再生医療としては実用化しておりますし、ほかのところもかなり進んでいると。これは従来の治療とは全く違う新しいステップに入ったもの、これで損傷による麻痺が1段階、2段階回復するということは、その方のその後の生涯に渡って生活が改善するだけではなくて、例えば、医療費とか、さまざまな福祉、介護等にずっと削減できるということで、極めて効果が大きいと思いますので、ここを重点的にやるべきと思います。

 もう1点は、自動車事故発生を防止したり、規模を軽減させるような安全運転のサポートするもの、例えば、ブレーキとか車線逸脱のものです。これはかなり採用されておりますが、じゃあ、その効果が実際どうだったかというのを、例えば、それをつけたものの事故の発生率とか、仮にそれをつけても事故が起こった場合、その事故の内容とか、負傷の内容等、こういうものをきちんと集積して、分析すると。それを社会に還元するという形で、例えば、自動車会社なり、それを開発しているような企業に対してより正確なデータを与えることでより効果的な開発をしていただく。あるいは、社会的にはこういう機能を追加すると確かに効果があるということで、例えば、補助金等でそれを装着することを進めるとかいう形で、ぜひ社会に還元していただきたいと、この2点をお願いいたします。

【藤田会長】 

 ご意見どうもありがとうございました。

 報告された3者から何かご説明、あるいは、ご返答がございましたらどうぞ。

【小林参事官】 

 それでは、国土交通省のほうから、まず、事業の成果の関係でありますけれども、事業の成果の詳細につきましては、私ども国土交通省の中に自動車損害賠償保障制度のあり方に係る懇談会というのがございまして、その場で詳細に資料も含めて説明をしているというのが通常の方法になりますけれども、当審議会においてどのようにするか、またそれは検討させていただきたいと思います。

 また、再生医療については、先ほどご指摘のとおりだと思いますが、今各省庁、厚生労働省等で様々な制度などがこれから検討されていくと思いますけれども、国土交通省、特にこの運用益事業の中でどのようなことができるのか、これについては今研究をしているところでございますので、またご相談させていただくこともあろうかと考えております。

 さらに、事故の発生の状況、それの防止の効果ということにつきましては、自動車メーカーや、我々の安全基準のセクションもございまして、安全基準、そして、開発の効果について様々な検証をしております。それが新しい開発にフィードバックされていくという関係にございますので、この補助金の効果ということではなくて、今後開発されていくものがどのような効果があって、それをさらにどうフィードバックしていくかという、大きなテーマとして捉えさせていただきたいと考えております。

【藤田会長】 

 どうもありがとうございました。

 他の方から補足ございますか、どうぞ。

【飯豊委員】 

 民間保険会社の実施事業につきましては、年度終了後に事業報告書の提出を求めておりまして、加えまして、上半期の終了時点で実施状況、それから、下半期の実施要件についても報告を求めております。また、報告だけではなくて、事業内容に応じまして、現地の視察でありますとか、実施状況のヒアリングを行うなど、そういった事業の実施状況をチェックしておりまして、ご指摘のように、成果並びに組織運営、さらには、会計処理についても適正に行われてきたかというのを検証してまいりますが、いただいた意見も踏まえまして、より適正に評価をしてまいりたいというふうに思っております。

【藤田会長】 

 どうもありがとうございました。

【村山委員】 

 JA共済といたしましても、実施してきたものにつきまして、それぞれの項目につきまして外部研究機関に各施策がどうかという評価の調査も委託して実施しているところでございます。そういったようなものをこの場で出していくかどうかというところもございますけれども、国交省さん、また、損保協会さんとも連携し、ご要望のほうを検討してまいりたいというふうに思います。

【藤田会長】 

 どうもありがとうございました。

 よろしいですか。

 それでは、どうぞ。

【秋田委員】 

 ありがとうございます。日本自動車会議所でございます。

 国土交通省の小林参事官からのご説明にもありましたように、一般会計に自動車安全特別会計から6,000億円を超えるまだ貸付金、特別会計から見たら貸付金でございますが、そういうご説明がありましたけれども、平成31年度予算案におきましては、平成30年度、15年振りの繰り戻しが実現したことに引き続き、自動車安全特別会計37.2億円と、こういった金額を繰り戻すとされました。これは平成30年度の1.6倍の繰り戻しでございまして、また、積立金の取崩額の縮減、こちらのほうも図られるということでございますので、これまでの我々の要望に沿う結果ということで、評価をいたしております。

 また、交通事故被害者の救済事業につきましても、療護機能の拡充等が認められると、こういったことも含め、充実拡大が図られたことにつきましても評価されるべき内容だと考えているところでございます。これもご関係の皆様に、私ども考える会を初めとして、真摯な思いを受けとめていただいた賜物と、心から御礼を申し上げる次第でございます。

 引き続きまして、一般会計に貸し出された6,000億円を超える繰入金が、国土交通大臣と財務大臣との合意どおり返済されることを我々としても求めてまいりますので、ご関係の皆様の特段のご支援、ご指導を引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 以上でございます。

【藤田会長】 

 どうもありがとうございました。本年度の繰り戻しへのポジティブな評価と今後への要望ということだったと思いますが、特に何かお答えすることは、よろしいですか。じゃあ、ご意見ありがとうございました。

 それでは、ほかに。どうぞ。

【髙倉委員】 

 この自賠責保険制度というのは車社会のセーフティネットであるということは言うまでもないですが、これは自動車ユーザーにとっても、車を使わない交通参加者にとっても、安心して移動するための必要不可欠な制度であるというふうに思っております。

 それで、先ほど藤田会長もおっしゃいましたけれども、自動運転技術とか、安全装置とか、さまざまな技術が進歩している中で、今後より安心で持続可能な自賠制度とはどうあるべきかということも、今後こういった審議会の場を通じて論議をさせていただきたいと思っております。

 それで、事故被害者の対策の拡充、充実を図るということはもちろん大事でありますけれども、あわせまして、これ以上被害者を増やさないための研究などの対策費用を拡充することも将来に向けた大変意義のある取組だと思っておりますし、今説明いただいた中でも幾つか入っているということは評価をしたいと思います。

 事故減少に対して即効性のある取組というのも片やあると思って、前回の審議会の場でも私のほうから発言させていただきましたけれども、後付できる事故防止効果の高い装置、事例を出したのは、アクセルとブレーキの踏み間違いが起きにくいスライド式の後付の装置がありますという話をさせていただきましたけれども、最近、自動車メーカーがつくった後付装置で、踏み間違い加速抑制システム、このような装置についてアセスメントの事業の中でも調査検証されているという話もありましたけれども、すぐでも装着できるものが既にもう世に出ていますから、ぜひそういった情報発信、それに対する補助を、装置自体は5万5,000円で、作業工賃を含めると多分10万円ぐらいかかるんじゃないかと思うのですが、なかなか簡単に普及する感じではないものですから、それに対する補助もよろしくお願い申し上げたいと思います。

 それと、今ありましたけれども、6,000億円の繰り戻しですけれども、麻生大臣が早々に返すという発言をされた言質もとっていますから、麻生さんのいる間に早くしっかり確実に進めていただきたいと思います。引き続きよろしくお願いします。

【藤田会長】 

 ご意見ありがとうございました。

 何か返答はありますか。

【小林参事官】 

 繰り戻しの関係は引き続き頑張ってまいりたいと思います。

 安全装置の関係について、今は、具体的にいくつか、補助の対象としておりますけれども、それ以外についてもその効果も含めて、我々の技術陣からも話を聞いて、その中でどれを取り上げていくべきか、また研究させていただきたいと思います。

【藤田会長】 

 どうもありがとうございました。

 そのほかどの点でもご意見等ございますでしょうか。

 特にないようでしたら、議論はこの辺までにさせていただければと思います。

 本日はさまざまなご意見をいただきましたけれども、これらのご意見は今後の制度の運営にあたり十分に参考としていただければと存じます。

 これで本日予定しておりました議事は全て終了いたしました。

 全体につきまして何か特段のご発言があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。特にないでしょうか。

 それでは、本日の会議を終了させていただきたいと思います。長時間どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
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