第144回自動車損害賠償責任保険審議会議事録


1.日時:令和4年1月24日(月曜日)16時00分~18時30分

2.場所:オンライン開催

【藤田会長】
 それでは、時間が参りましたので、ただいまより第144回自動車損害賠償責任保険審議会を開催いたします。本日は御多忙のところ御参集いただきまして、改めて御礼申し上げます。 既に当審議会の公開ルールについての資料をメールでお送りしておりますが、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインでの開催として、一般傍聴はなしとさせていただいております。また、メディアの関係者の方々は金融庁内の別室にて傍聴いただいております。 議事録は、通常どおり作成の上、金融庁ホームページで公開させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
  今回はオンラインでの開催となりますので、2点注意事項がございます。まず、発言されない間はミュート設定にしていただくとともに、画像の設定をオフにしていただきますようお願いいたします。次に、発言を希望される際は、オンライン会議システムのチャット上にて、全員宛てにお名前または協会名などの組織名を御入力ください。そちらを確認して私が指名させていただきますので、御自身のお名前を名のっていただいた上で御発言ください。 最初に、今回より本審議会に参加されることになりました委員について御紹介申し上げたいと思います。 まず、武田委員でいらっしゃいます。

【武田委員】
 弁護士の武田でございます。よろしくお願いいたします。武士の武に田んぼの田の武田ですけれども、すみません、アカウント名が英語になっております。恐縮です。

【藤田会長】
 よろしくお願いいたします。

【武田委員】
 よろしくお願いします。

【藤田会長】
 次、寺田委員でいらっしゃいます。

【寺田委員】
 東京海洋大学、寺田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【藤田会長】
 よろしくお願いいたします。 加藤委員でいらっしゃいます。

【加藤委員】
 日本自動車会議所の保険特別委員の加藤でございます。よろしくお願いします。

【藤田会長】
 よろしくお願いいたします。 慶島委員でいらっしゃいます。

【慶島委員】
 交運労協の慶島です。よろしくお願いします。

【藤田会長】
 よろしくお願いいたします。 大知委員でいらっしゃいます。

【大知委員】
 日本損害保険協会の大知でございます。よろしくお願いいたします。

【藤田会長】
 よろしくお願いいたします。 麦倉特別委員でいらっしゃいます。

【麦倉委員】
 関東学院大学社会学部の麦倉と申します。よろしくお願いいたします。

【藤田会長】
 よろしくお願いいたします。 宮木特別委員でいらっしゃいます。

【宮木委員】
 第一生命経済研究所の宮木と申します。よろしくお願いします。

【藤田会長】
 よろしくお願いいたします。 波多江特別委員でいらっしゃいます。

【波多江委員】
 明治学院大学の波多江と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

【藤田会長】
 よろしくお願いいたします。 なお、今回御就任いただいた金子委員においては、本日御欠席で、代理として全日本自動車産業労働組合総連合会副事務局長の安部様にお越しいただいております。 さて、本日の議題としては、議事次第にありますように、自賠責保険料率の検証結果に関する報告のほか、来年度の運用益の使途についての御報告がございます。 それでは、まず事務局より資料の確認からお願いいたします。

【池田課長】
 藤田先生、ありがとうございます。保険課長の池田でございます。 資料の確認をさせていただければと思いますが、資料については、まずあらかじめメールでお送りさせていただいたところでございますので、原則、画面上での投影はいたしませんので、お手元に御準備いただいて、そちらを御覧いただければと思います。 それから、当審議会の公開ルールにつきましてもお送りしておりますけれども、先ほど冒頭、藤田会長から御案内があったとおりでございます。また、委員名簿についても御確認いただければと思います。 その他の資料について議事次第に沿って確認させていただければと思いますが、議題1は、自賠責保険の基準料率についての検証結果を御報告するものになっておりまして、資料1となっております。それから、議題2の関連では、議題2の(1)に対応いたしまして、令和4年度自動車安全特別会計の運用益の使途等ということでございまして、資料2がございます。また、議題2、(2)に関連して、令和4年度民間保険会社の運用益の使途についての報告というのがございまして、これが資料3となっております。また、議題2の(3)に対応いたしまして、令和4年度JA共済の運用益の使途についての報告ということで、資料4がございます。 以上が本日の資料となりますが、何か御不明な点などございますでしょうか。 よろしいでしょうか。よろしければ、私からは以上でございます。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。 それでは、議題1、料率検証結果について御報告いただき、御議論いただきたいと思います。 まず、実際に料率検証の作業を行った損害保険料率算出機構の江原特別委員に概要を御説明いただき、その後、事務局から補足していただきたいと思います。 それでは、まず江原特別委員、どうかよろしくお願いいたします。

【江原委員】
 江原でございます。よろしくお願いいたします。 資料1に沿いまして御説明いたしますが、最初に簡単に今回の検証結果のまとめを申し上げます。2020年4月、それから2021年4月に2年続けて引下げの改定が行われまして、その1年後というタイミングの検証でございます。 自動車の安全装置の普及等々によりまして、若干の成績の改善が見られます。後で説明いたしますとおり、滞留資金につきましても6,665億という金額がございますが、このうち約9割は2021年4月改定時に、純保険料率の引下げファンドとして活用することを決定済みでございます。その内数字としての新型コロナの影響につきましても、同じく過半を純保険料率の引下げファンドとして活用するという決定が昨年なされたという経緯でございます。
 それでは、資料に沿って御説明を申し上げます。1ページを御覧ください。こちらは、純保険料率の収支表でございます。純保険料率ですので、保険金の支払いと直結する保険料部分ということになります。この資料ですと、2ページから6ページまでを経まして、こちら1ページの数字に至るというような構成でございます。 1ページの表の一番下2行に網掛けがついておりますところが2021年度、2022年度の予測値でございます。A欄の収入純保険料ですが、2021年4月に純保険料率を平均で10%弱引き下げておりますので、これに伴いまして収入純保険料はやや減ってくるという見通しです。保険金につきましては、後ほど簡単にポイントを説明いたします。御覧のとおり、C欄の当年度収支残はマイナス、それから一番右の欄の損害率ですが、118.0%とか116.6%という数字が示されております。右側の(注)の7にございますように、予定損害率は122.3%でございますので、余剰があるといった状況でございます。
 それでは、2ページに移らせていただきます。こちらは、参考資料ではございますが、一般に公表されている警察庁の統計でございます。表の左のほうから、交通事故の発生件数、死者数、負傷者数とございますが、発生件数につきましては、2004年をピークに一貫して減少傾向にございます。死者数も負傷者数もほぼ同じような動きでございます。ここで1点だけ申しますと、新型コロナの影響によりまして事故の発生が大きく減ったのは2020年でございます。したがいまして、いずれの数値も2020年の対前年の減少率が大きくなっているといった状況でございます。
 3ページに移らせていただきます。こちらのページは、純保険料率水準の検証における主な予測要因をまとめてございます。(1)の収入純保険料、いわゆる入りと、(2)の支払保険金、すなわち出をそれぞれ予測するということでございます。(1)の入りのほうですが、これは自賠責保険の対象となる自動車の台数を予測しており、プラス0.0%と見込んでおります。(2)の支払保険金、出のほうでございますが、こちらは、①事故率と②平均支払保険金に分けて見通しています。 事故率の見通しにつきましては、4ページを使って御説明申し上げたいと思います。
 4ページを御覧ください。グラフが、上に死亡と傷害、下に後遺障害と分けて示されております。全ての区分ともに基本的には一貫して減少傾向にあると見ております。新型コロナの影響につきましては、上の2つ、死亡と傷害につきましては、警察庁の統計から効果が把握できる2021年度上半期までの影響を反映し、事故率の見通しを立てております。下の後遺障害につきましては、事故が起こりましてから支払に至るまでの期間が長く、警察庁の統計からトレンドを把握できるようなデータは見いだせませんので、こちらは新型コロナの影響は見ずに、事故率の見通しを立てております。こうした違いはございますが、このページの右下の表にございますように、例えば2022年度ですと、死亡の事故率は0.00339%、そのほか、御覧のとおりと見込んでおります。こちらのパーセンテージを全部足しますと約1.16%でございますが、これを逆算しますと、自賠責保険が付保された自動車のうち98.8%は1年間、事故がなかったか、物損事故のみ等で自賠責保険の対象となる事故はなかったといった見方もできるかと思います。 3ページにお戻りいただきます。今お示ししました見通しは、中ほどの①事故率のところにまとめてございます。それから平均支払保険金でございますが、一番下の表にまとめました。賃金上昇率につきましては、毎月勤労統計を参考に見通し、治療費の上昇率につきましては昨今、入通院の日数が減ってきていることを反映し、減少傾向で予測、支払基準改定による上昇率につきましては、2021年度、2022年度には支払基準改定はない見通しですので、0.00%ということで見ております。
 5ページに移らせていただきます。3ページの予測要因から見込んだ支払保険金や、4ページの支払件数、事故率といったところから5ページの表が出来上がるという流れでございます。死亡と傷害につきましては、先ほども申しましたが、支払件数が大きく減ったのは2020年度でございます。こちらの表は契約年度の表でございますので、2018年度からの2年契約や3年契約、2019年度からの2年契約や3年契約、こうした契約に2020年度の事故の減少が大きく反映されていると見ていただければと思います。死亡も傷害も同じような傾向を示しております。真ん中の後遺障害につきましては、新型コロナの影響を見る根拠はないので、一貫した減少傾向と見ております。 それから、おのおのの項目の右側ですが、平均支払保険金につきましては、直近の支払基準改定が2020年4月にございましたので、これも2018年度、2019年度辺りからその影響で微増傾向を示しているという見方ができます。 表の一番下でございますが、支払件数と支払保険金の平均額を掛け算いたしまして、おのおのの支払保険金総額を見通すということにしております。こちらが次の6ページの支払保険金の表につながるということでございます。
 6ページを御覧ください。一番下の数字、死亡につきましては689億円という数字がございますが、これらの数字が5ページから移ってきているということでございます。死亡保険金が11.0%、後遺障害保険金が26.2%、傷害保険金が62.8%、自賠責保険におきまして発生する事故種別ごとの保険金のウエイトは、このようなところでございます。 なお、一番右、合計の支払保険金の欄に網掛けがついておりますが、この2021年度の6,323億円、2022年度6,268億円が1ページのB欄、支払保険金の数字に反映されています。
 7ページを御覧ください。こちらは御参考の2ですが、(注)の1に「後遺障害及び別表第二の1~3級に該当する」云々と書いてございますけれども、要は労働能力喪失率が100%とされる重度の後遺障害等級が認定された件数でございます。件数は減っておりますが、2020年度もまだ約1,500名の方々にこうした重度の後遺障害等級が認定されているということでございます。
 8ページを御覧ください。今度は運用益のまとめでございます。純保険料を収受してから保険金が支払われるまでの間の各事業者の運用益のトータルをまとめたものでございます。ポイントだけ申しますと、F欄のところが毎年度の運用益でございますが、300億円強の運用益が発生しており、想定の範囲内でございます。特に大きな取崩しは見られませんので、一番右下の黒い箇所ですが、現在の運用益の積立金残高は2,420億円あるということで、これも想定の範囲内でございます。
 9ページに参ります。こちらが、毎年度の収支と運用益が累積された姿を表したものでございます。一番右に滞留資金という欄がございますが、改定が行われる場合にはこの金額を純保険料率の引下げファンドとして使う位置づけのものでございます。C欄の2020年度の単年度収支はマイナス380億円でございます。累計の収支残につきましては、D欄が赤字補填前、E欄が赤字補填の額、F欄が赤字補填後でございます。2020年度末の赤字補填後の累計収支残は一番下4,246億円ございまして、8ページの一番下の2,420億円の運用益残高もございますので、合計しますと6,665億円の滞留資金があるということでございます。 一番下の(注)の2を御覧いただきますと、このうち5,965億円、これは1年前の時点での見通しですが、2021年4月改定での純保険料率の引下げファンドとして活用済みとなっております。すなわち、6,665億円のうち、約9割は使途が決定済みという位置づけでございます。
  10ページに移らせていただきます。こちらは社費水準ということで、保険金に回すファンドではなくて、各事業者のエクスペンスに相当する部分の保険料分でございます。2016年度のD欄を見ていただくと、268億円の累計の赤字がございました。そして、2017年4月改定では、基準料率全体としてはマイナス7%程度の引下げ改定でしたが、社費については6.0%の引上げをして、社費収支の改善を図っております。以後は、2020年、2021年と改定がございましたが、D欄の一番下、マイナス114億円という累計の赤字が5年後には収束する、すなわちゼロに近づく想定の下で改定が行われております。
 最後、11ページがまとめのページになってございます。(1)の純保険料率水準と(2)の社費水準ですが、(1)の2022年度の損害率は116.6%である一方、表の一番右上にありますように、予定損害率は122.3%でございますので、若干の余剰があるということを示しています。滞留資金も先ほど御説明したとおりですので、使途は決まっておりますものの、6,600億円強はございます。 社費の水準は、単年度収支残では49億円の黒字ですが、累計収支残は赤字で、この赤字も数年後の2025年度には収束する想定の下で改定が行われているというのが現在の状況でございます。 私どもからの最初の説明は以上でございます。

【池田課長】
 それでは、ただいまの江原特別委員からの御説明について、事務局から補足説明をさせていただければと思います。保険課長の池田でございます。 ただいま資料1の11ページを開いていただいているかと思いますので、それを参照するような形で補足説明をさせていただければと思いますが、ただいま説明のありました料率検証結果に関連して、今年度の検証結果としましては、支払保険金を収入純保険料で割った値であるこの損害率は、このページにあるように、116.6%になる見込みということでありまして、これも御説明がありましたが、令和3年4月の前回の基準料率改定時には予定損害率は122.3%ということでございましたので、改定時の見込みとの比較で申し上げますと、乖離率は約4.7%程度となる見込みとなっているわけであります。
 この数字につきまして、参考として申し上げさせていただきますと、当審議会で継続的に料率検証を行うようになりました昭和59年度、1984年度以降の数字と比較させていただきますと、料率改定を行った年度における予定損害率と検証結果の乖離率の平均が大体10.7%となってございます。他方で料率改定を行わなかった年度というものもあるわけですが、この場合の予定損害率と検証結果の乖離率の平均というのは大体4.6%となってございます。これらに照らしますと、今般の検証結果は、料率改定を行わなかったほうの年度の乖離率の平均と同程度の乖離と見ることができるのかなと考えております。
 また、これも御説明がありましたが、滞留資金につきまして、残高は令和2年度末で6,665億円ということですが、これは前回改定の純保険料率の引下げに5年間で5,960億円が活用される予定だということであります。 以上もろもろを踏まえつつ、中長期的な料率の安定性、改定に要するコストなども踏まえまして、令和4年4月以降の基準料率改定の必要性につきまして、委員の皆様に御議論を賜れればと考えております。 事務局からは以上でございます。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。 それでは、ただいまの料率検証結果の報告と事務局からの補足説明に関しまして、御質問、御意見はございますでしょうか。 長島委員、お願いいたします。

【長島委員】
 日本医師会の長島でございます。以前から継続の5つの点について質問いたします。
 まず1つ目は、警察庁の統計による負傷者数と自賠責による傷害への支払件数の乖離が年々どんどん拡大していることです。資料の2ページ目の警察庁資料による負傷者数と、5ページ目、自賠責による傷害の支払件数を比べていただくと、2013年においては、自賠責の支払数が115万件に対し、警察庁統計の負傷者数が78万1,000人、これが2021年には、自賠責支払いが91万8,000件に対し、警察庁統計が36万1,000人と、ますますこの乖離が拡大しております。このように、実態を反映せずに、統計上は大幅に負傷者が減っているように見えるということは、国や国民の危機意識を減弱させ、本来は必要である対応・対策が十分にされないという可能性があります。したがって、対応が必要です。 一つは、被害者や警察現場の負担をなるべく減らして、人身事故の届出をしやすくすることです。もう一つは、被害者に適切な人身事故の届出を促す働きかけの推進です。この点について、昨年の本審議会で、損保協会の方の回答として、「お怪我があるにもかかわらず、人身事故として届出されていないという場合につきましては、損保会社のほうから被害者の方に警察への届出をするように促しているところでございます。届出を損保会社の立場から事故当事者に強制することはできませんが、引き続き、適切に事故の届出がなされるように促してまいりたいと考えております」とありました。しかし、日本医師会が昨年、会員調査をしたところ、損保会社の方が患者さんに人身事故の届出を促すということを患者さんからほとんど聞いたことがないという会員が大部分でした。したがいまして、損保会社の皆様には現場への徹底をぜひお願いしたいと思います。
 次に、社会保険の利用です。2年前の本審議会にて、損保協会の方からの回答として、「あくまで被保険者、被害者の方の判断に基づいて社会保険の適用がなされているのが、私どもの考え方、立場でございます。従前、御指摘をいただいたところも踏まえまして、現場への教育等を徹底しているところでありますので、社会保険の適用につきましては、被害者の方の適切な判断がなされるような手続をしっかりと努めてまいりたいと考えているところでございます」とありました。しかし、日本医師会の会員調査では、損保会社の方による患者さんへの社会保険利用の誘導は、「よくある」、「たまにある」を合わせると、かなり多いという結果でした。会員からは、それ以外にも損保会社の現場の不適切な対応と考えられる事例が数多く報告されております。したがいまして、損保会社の方の現場教育は不十分ではないかという疑問を持たざるを得ません。医療機関における被害者救済のための治療を円滑に行うためには、損保会社との信頼関係の構築が必須です。そこで、協会におかれましては、現場の状況を把握する調査と、その調査結果に基づいた教育内容や方法などの改善をぜひお願いしたいと思います。
 3つ目に、傷害の支払限度額120万円の見直し、引上げについて、昨年、検証をお願いしましたが、その後、進展がありましたら教えていただきたいと思います。
 最後に、以前よりお願いしております2点、診療報酬請求の新基準の制度化・デジタル化、また柔道整復師による施術期間長期化への対策の進展状況について教えていただきたいと思います。 私からは以上です。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。5点御質問をいただきましたけれども、3番目の傷害の支払限度額についての検証について、進展があったなら知りたいということですが、この点につきましては国土交通省から回答をいただき、残りの4点につきましては、いずれも損害保険の支払いに関係することでしょうから、損保協会のほうから回答いただければと思います。どうかよろしくお願いいたします。

【長谷参事官】
 国土交通省保障制度参事官の長谷でございます。今、御質問、御意見がございました支払限度額の関係でございます。支払限度額につきましては、自賠責保険、こちらが強制保険として基本補償を賄っているというその性格、また保険金の支払いの状況、それらを総合的に勘案して定められていると認識しております。傷害に係る限度額につきましては、120万円となっておりますけれども、平成12年6月の自賠審の答申におきましても、保険金の限度額につきましては現行水準が適当であるとされているところでございます。 傷害に関する自賠責保険のカバー率につきまして、先ほどの平成12年度以降を見てみますと、85%程度で推移しておりまして、大きな変化がございません。また、支払限度額の検討に当たりまして考慮すべき賃金水準・物価水準などにつきましても、調査した結果、大きな変化がございませんでした。
 以上につきまして、現時点ではユーザーの負担の増にもつながり得るこの限度額120万円の引上げを行う状況にはないと考えてございますけれども、この自賠責保険、任意保険の普及状況や、また自賠責保険の基本補償を確保するという観点を踏まえまして、引き続き適切に判断してまいりたいと考えております。 以上でございます。

【藤田会長】
 ありがとうございました。 損保協会からもお願いいたします。

【大知委員】
 損保協会の大知でございます。日本医師会の皆様には、自賠責保険の運営で種々お世話になっておりまして、ありがとうございます。 今回、また前回の御指摘事項も、損保協会として重く受け止めておりまして、それぞれ対策を図ってきております。
 まず第1点目ですが、物件事故証明書での自賠責保険の支払いの件ですが、前回の回答の繰り返しにはなりますけれども、さすがに事故証明書の区分によって保険金の支払いに差を設けることはできませんし、お客様に強制することはできませんので、引き続き被害者保護の観点から適切な保険金支払いを完結することをまず優先し、その過程で事故報告を、人身損害がある場合には人身事故の証明書にするように促すような動きを継続しております。何度も御指摘をいただいておりますので、さらなる取組が必要だとは認識しております。原因の検証は別として、損害保険会社として、適切な事故届出を促せているかどうか、これは我々損害保険会社の内部でできますので、これについて個別にモニタリング調査を行う方向で現在検討しております。検討が終わってモニタリングの結果が出ましたら、御報告できる場で御報告をしたいと思っております。これが第1点目に関する御回答でございます。
 第2点目の社会保険の利用率についてですが、基本的な考え方は前回と同じでございまして、利用云々は健康保険の被保険者の意思に基づき決定されるというのを原則としてずっと貫いております。これに関しては、自賠責保険だけの問題ではなくて、任意保険等にも影響いたします。任意保険のほうでも、治療内容のほか、過失割合や損害総額の多寡を踏まえたいろいろな考慮が必要になってまいりますので、被保険者の皆様に判断をいただくということを徹底しております。損害保険会社としては、被保険者の方が適切な判断をされるよう、今後とも社員教育を行ってまいります。 なお、社会保険の利用率についても、毎年、統計をトレースしております。主観的な調査というよりは客観的なデータのほうが信用できますが、直近のデータでは、微妙な増加は見られるのですが、過去より10%余りというところから大きく増加しているものではありませんので、引き続き努力でこれは改善をしていきたいと思っております。
 次の論点ですが、診療報酬基準案の移行についてです。これにつきましては、御議論させていただいた上で、現在、徐々に御協力をいただきながら定着を図っている段階だと認識しております。現在の診療報酬基準案の都道府県別の医療機関単位の採用率は、全国平均では約6割となっていますが、個々に見ていきますと、約2割程度しか導入していない県と約9割の県というように、地域差が相当ある状況になっております。まず普及がなされることが第一ですので、その状況を見極めながら、今後の定着に努めてまいりたいと思います。 損害保険協会からは以上でございます。

【藤田会長】
 御回答、どうもありがとうございました。 長島委員、さらに何かありましたらどうぞお願いいたします。

【長島委員】
 傷害の支払限度額120万円の件ですけれども、確かにカバー率というのは大部分をカバーしているというのは会員調査でも分かっていますが、一方、カバーされないというところもかなりある、それもかなり金額に大きなばらつきがあるということが分かりました。特にこれからは、例えば再生医療なども含めて医療技術がどんどん進歩しますので、当然、医療費も大きくなると考えられますので、カバー率ではなくて、120万円を超えたところがどのような分布であるのか、このようなことについてぜひ検証をお願いしたいと思います。
 次に、損保協会におかれましては、このようにしっかりとされているとおっしゃいますが、実際に会員に聞くと、かなり実態は異なるということですので、これはもうずっと以前から御指摘している点ですので、しっかりと調査をして、確実な改善をお願いしたいと思います。 最後に、国交省におかれましては、最初に指摘した問題、統計上と実態で負傷者数が大幅に違うということに関して、どのような認識をお持ちか、教えていただければ幸いです。

【藤田会長】
 ありがとうございました。まず、国交省に2つのお願いあるいは御質問がありましたので、それについて答えていただいた上で、損保協会へのコメントについて、その後でご返答いただければと思います。まず、国土交通省のほうからお願いします。

【長谷参事官】
 長島委員、ありがとうございます。120万円の関係でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、強制保険というこの自賠責保険、基本補償を確保するという性質でございます。また、賃金、物価、そういう社会情勢を踏まえて、今後も適切に判断をする必要があるのではないかと考えている次第でございます。 2点目の統計の関係につきましての御質問でございます。警察庁さんにおかれては交通事故に関する統計を作成されており、また機構様におかれては自賠責保険の支払いに関する統計が作成されていると承知しているところでございます。この統計に関する問題、その統計の目的・作成方法ということを踏まえまして、作成主体の皆様におかれて適切に御判断をされると考えている次第でございます。 以上でございます。

【藤田会長】
 では、次に損保協会からお願いいたします。

【大知委員】
 損保協会の大知でございます。長島先生、御指摘をありがとうございます。引き続き何度もこういう御指摘をいただいておりますので、損保協会としても重く受け止めております。具体的な進展状況をお示しできるように、今後整えてまいりたいと思います。 以上です。

【藤田会長】
 長島委員、よろしいでしょうか。

【長島委員】
 分かりました。よろしくお願い申し上げます。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。 それでは、議題1についてですけれども、そのほか、御意見、御質問はございますでしょうか。自動車総連の安部様、よろしくお願いいたします。

【安部副事務局長】
 自動車総連の安部でございます。本日は代理での出席となりますので、会長の金子より意見を預かっておりますので、代読をさせていただきたいと思います。

【藤田会長】
 よろしくお願いします。

【安部副事務局長】
 料率検証結果についてでございますけれども、まず昨年の審議会で検討を要請したクレジットカード払いなどの振込方法の選択肢拡充につきまして、導入いただいたことに対して感謝申し上げる。 今回の料率据置きという判断については、元来、ユーザーの立場からすれば、低ければ低いにこしたことはないという認識であることを踏まえつつも、乖離率が小幅にとどまるとの料率検証、ノーロス・ノープロフィットの原則、改定に伴うコストや組合員の作業負荷増加への懸念などを踏まえますと、妥当と考えます。なお、自動車ユーザーを中心に過度な負担増加が生じないよう、保険料は安定的に推移することが望ましく、中長期的な収支などにも十分配慮した料率設定に努めていただきたい。 社費削減に向けては、コロナ禍による「新しい生活様式」が定着しつつある中、より一層の効率化や、消費者の利便性向上実現の観点も含め、契約手続の簡素化や、損害調査への警察情報の活用や、医療機関等とのネットワークの構築など、行政と業界が連携した効率的な取組を検討いただきたい。特に、消費者の利便性向上、環境対策といった観点から、自賠責保険証明書のペーパーレス化について、行政間での連携を図りながら検討を進めていただきたい。 以上でございます。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。 そのほか、御意見、御質問はございますでしょうか。特にございませんでしょうか。 料率について明示的にいただいたのは、ただ今の自動車総連様からの料率据置きに賛成であるという御意見ですが、ほか、事務局から示された、料率は据え置く方向でどうかという方向性については、御異論はございますでしょうか。 もし異論がないようでしたら、今回の料率検証結果については、やや繰り返しになりますが、収支が当初の想定よりも若干良化しているものの、予定損害率と現状の損害率の乖離は小幅にとどまっていて、制度の安定的な運営という観点があるということ、それと、累計収支残及び運用益積立金の水準を見ると、今回直ちに料率改定が必要な状況とまでは言えないということから、これらを踏まえて、今回は基準料率を据え置くことが適当であると考えるということでよろしいでしょうか。 こういうときに、リモートですとお顔が見えないので、反応が見にくくて、少しまとめにくいのですけれども、唯根委員どうかよろしくお願いいたします。

【唯根委員】
 積極的に賛成させていただいて、すみません、手を挙げるというか、賛成の意味で手を挙げさせていただきました。

【藤田会長】
 ありがとうございました。そういう形で明示的なご意見をお示しいただけると座長としては非常に助かります。 ほかに、皆様、どうでしょうか。拍手の表示をされていらっしゃる方もお見かけしますが、これも賛意と受け取らせていただきます。 それでは、今私のほうから申し上げたように、基準料率を据え置くということにさせていただければ、そういう形で了承いただいたということに取り扱わせていただければと思います。
 それでは、引き続きまして、令和4年度運用益の使途について、御報告いただければと思います。国土交通省、日本損害保険協会、JA共済連の順に御説明いただき、この全ての報告の後に一括して御議論いただければと思います。 それでは、まず令和4年度自動車安全特別会計の運用益の使途等について、国土交通省の長谷保障制度参事官より御報告いただければと思います。なお、一般会計からの繰戻しに関する新たな大臣合意に係る報告及び今後の自動車事故対策勘定のあり方に関する検討会に係る報告についても、長谷参事官からの報告の中で併せてお願いできればと思います。それでは、どうかよろしくお願いいたします。

【長谷参事官】
 では、資料2に基づきまして御説明をさせていただきます。
 まず、1ページ目でございますけれども、自動車安全特別会計の運用益の活用事業につきましては、2つの柱がございます。1つ目が、左側にございます被害者の救済、2つ目が、右側にございます自動車事故の防止でございます。 被害者救済につきましては、主に重度後遺障害者の被害者の方々への御支援として、遷延性意識障害の方の専門的治療を実施しております療護施設の設置・運営、それから在宅ケアをされている方々に対しまして、介護料の支給、また訪問支援の実施を行っております。また、短期入院・入所をしていただくときの病院等の受入体制の整備や、介護者なき後への問題の対応としまして、在宅生活支援環境整備事業として、障害者支援施設やグループホームにおける受入体制の整備ということを行っております。 右の自動車事故防止につきましては、ASV(先進安全自動車)の普及や、運行管理の高度化に資する機器等の普及、また自動車安全性能の評価についての取組を行っているという状況になっております。 これらにつきまして、令和2年度の実績、令和3年度の取組、そして令和4年度予算案につきまして、次のページ以降で御説明をさせていただきたいと思います。
 2ページを御覧いただけますでしょうか。まず、令和2年度の実績でございます。被害者の保護の関係につきましては、まず一貫症例研究型委託病床を藤田医科大学病院に設置しておりますが、症例研究等をさらに推し進めるため、この委託病床を令和2年12月に5床拡充し、令和3年1月から患者の受入れを開始しております。 また、介護料の充実につきましては、日々の介護経費の支援を充実させるという観点で、支給額の見直しを実施するとともに、対象につきましても、介護料受給者の皆様の御要望を踏まえまして、品目の追加をさせていただいております。 また、介護者なき後を見据えた日常生活支援の充実につきましては、障害者支援施設やグループホーム54事業者に対しまして、設備導入や介護人材確保に係る経費を補助しております。 下の2の自動車事故発生防止対策の関係でございますけれども、自動車アセスメント事業につきまして、交差点における衝突被害軽減ブレーキや、また現在の事故実態により近い新たな全面衝突の調査研究等を行いました。
 続きまして、令和3年度の関係でございます。3ページ目を御覧いただけますでしょうか。まず、介護料につきましては、感染症対策として、消毒液や医療マスク等を支給対象に追加しております。また、介護者なき後の対策、日常生活支援の充実としましては、引き続き障害者支援施設・グループホームに対しまして器具の導入や介護人材確保に係る経費を補助しておりますけれども、令和3年度におきましては、人材雇用費の対象に看護職員や理学療法士等を追加しております。 また、事故発生防止対策としましては、アセスメントの関係でございますが、性能評価の対象に「被害軽減ブレーキ(対自転車)」を追加するための最終検討などのほか、歩行者保護試験におきましてaPLI(advancedPedestrianLegformImpactor)、より生体忠実度の高い脚部インパクターの導入に向けた調査研究を行うなどしております。
 続きまして、4ページを御覧いただけますでしょうか。令和4年度の予算案でございます。短期入院の費用等の助成につきましては、リハビリ目的で短期入院を利用する場合における1回当たりの利用日数の上限を30日までに拡大することとしております。 また、療護施設の関係につきましては、老朽化対策に加えまして、リハビリの充実など、被害者の皆様、御家族の皆様、そういう皆様のニーズを的確に捉えまして、最適な機能強化に取り組むための調査研究を実施することとしております。 介護者なき後の関係につきましては、障害者支援施設やグループホームに対しまして、人材確保、求人情報発信や研修などの受講に係る経費を補助することとしております。 自動車アセスメント事業、2の事故発生防止対策のところでございますけれども、性能評価の対象に「被害軽減ブレーキ(対自転車)」を追加し、また新たな評価項目の設定のため、「被害軽減ブレーキ(交差点)」の評価に向けた調査などを実施することとしております。
 5ページ目を御覧いただけますでしょうか。これまでに御説明した事業につきましては、自動車安全特別会計の自動車事故対策勘定の運用益積立金を原資として行っておりますが、この自動車安全特別会計からは一般会計に対しまして繰入れを行っております。例年の御報告のとおり、予算成立前ではございますけれども、令和4年度末の見込みでございます繰入残高は5,952億円となっております。財務省に対しては、引き続き特別会計に対する繰戻しを求めてきておりますところ、直近では平成30年度から連続して繰戻しが実現しておりますが、令和4年度の当初予算では54億円ということとなっております。この繰戻しにつきましては、財務大臣と国土交通大臣との間で大臣間合意を結んでおりまして、昨年末がその合意を改めるというタイミングでございましたので、次の御説明資料「一般会計からの繰戻しに関する新たな大臣間合意について」という資料に基づきまして御説明させていただきます。
 資料を御覧いただけますでしょうか。 まず、こちらの1ページ目でございますけれども、こちらが大臣間合意に関するこれまでの経緯を表しているものでございます。直近が昨年末の、その前のところが平成29年の大臣間合意となっておりまして、令和4年度までに繰り戻すとされているところ、令和4年度の予算案の策定に当たりまして、昨年12月22日に新たな大臣間合意を締結いたしました。
 この新たな大臣間合意につきまして、次のページ、2ページ目で御説明をさせていただきます。「新たな大臣間合意のポイント」という資料でございます。 これまでの大臣間合意との違いですが、5点挙げさせていただいております。 まず、繰戻額ですが、令和3年度の47億円から54億円と7億円増となっております。 2点目に、大臣間合意の期限を5年間とさせていただいております。 3点目です。「令和4年度予算における繰戻額の水準を踏まえること」という形で、初めて明記させていただいております。 また、4点目でございますけれども、「一般会計からの繰戻しに継続して取り組むこと」ということで、繰戻しの継続ということも初めて明記させていただいております。このように、令和4年度の54億円をベースにしながら、継続して繰戻しに取り組むということとなっております。 5点目でございますが、この自動車事故対策勘定の安定性のために、関係者の御理解を得ながら、賦課金制度の検討を行い、早期に結論を得る旨記載しております。この5点目につきましては、この次の資料になりますけれども、検討会におきまして関係者の皆様で御検討していただいておりますところ、その概要につきまして後ほど御説明をさせていただきます。
 次のスライドを御覧いただきますと、大臣間合意の本文となっております。先ほど御説明させていただいた5点が明記されているところが御覧いただけるかと思いますけれども、御説明のほうは重複いたしますので、省略させていただきます。 次のスライドでございますけれども、こちらが運用益活用事業に係る特別会計の歳入の推移となっております。赤が繰戻し、灰色が積立金の運用益など、また緑が積立金の取崩額となっております。赤の繰戻しが着実に増額されているところが御覧いただけるかと思います。令和4年度予算としましては、一番右上のところでございます約147億円の予算案となっているところでございます。
 最後の資料でございますけれども、「今後の自動車事故対策勘定のあり方に関する検討会について」という資料でございます。こちら、1ページ目を御覧いただけますでしょうか。先ほど申し上げた検討会の関係になりますけれども、下半分にございますとおり、「今後の自動車事故対策勘定のあり方に関する検討会」として、今の会長の藤田先生に座長をしていただきまして、昨年8月よりこれまで6回開催してきております。 背景としましては、左上にございますけれども、事故被害者の声に寄り添いながら、被害者支援、事故防止について、さらなる充実を図っていくために、財源の確保が必要不可欠であるということである一方、右上のところでございますけれども、運用益活用事業を実施するための財源でございます積立金でございますが、この図のとおり、積立金を取り崩しており、右の棒グラフの下に急激に減少と書かせていただいておりますけれども、いずれ枯渇するおそれがございまして、持続可能な仕組みへの転換が求められているという状況でございます。
 2ページ目、次の資料を御覧いただけますでしょうか、検討会で御議論いただいているところのポイントとして4点書かせていただいております。 1点目でございますけれども、20年前に再保険を廃止したときに、平成13年の自賠法改正時に定めたスキームが破綻しているというところでございます。平成13年制度改正時は、約9,000億円を年利2%ということで想定しておりました。しかし、金利水準が著しく低下しており、先ほど御覧いただいたとおり、積立金の取崩しによりまして、財源がいずれ枯渇するという状況にございます。 2点目は、一般会計の厳しい財政事情を踏まえながら、繰戻しも含めた今後の財源のあり方の検討というところでございます。一般会計からの繰戻しが引き続き行われることは当然でございますけれども、一般会計も、コロナへの対応など、現在の財政事情は過去に例がなく厳しい状況にあることを踏まえながら対応する必要があるのではないかという点が2点目でございます。 3点目ですけれども、自動車ユーザーの皆様の負担感を軽減するための措置の検討というところでございますが、積立金の残余がある時点から少しずつ御負担をいただくなど、将来の世代を含めた自動車ユーザーの皆様の負担軽減も踏まえた施策拡充のための安定的財源の確保策が必要ではないかというところでございます。 4点目でございますが、賦課金額や施策の関係につきましては、一般会計からの繰戻しの継続を前提としまして、賦課金の導入の必要性につきましては共通の理解が得られましたけれども、詳細な賦課金額の水準、また事故対策事業の歳出の在り方については十分な議論の時間が必要ではないかということで、4点、御指摘をいただいているところでございます。 こちらにつきましては、1月17日に第6回中間取りまとめに向けた議論をいただきまして、この後御説明いたしますけれども、21日に中間取りまとめをさせていただいております。3月以降に検討会を継続して実施しまして、詳細な賦課金額の水準、また事故対策事業の歳出の在り方につきまして、1~2か月に1回程度の頻度で検討を進めさせていただきながら、今年の秋頃に最終的な取りまとめをという予定で考えているところでございます。
 次のスライド、4ページ目を御覧いただけますでしょうか。先ほど、安定的な財源の関係につきまして、自動車事故対策事業の安定的な財源を確保するために、今、無保険、またひき逃げをされた方に対して、政府保障事業として被害者救済を行っているところでございますけれども、その財源は今、賦課金という形で頂いております。この賦課金につきまして、今、さらに額の充実を図るということ、また使途の拡大を図るということはどうかという点。また、ひき逃げの保障事業に関しては保障勘定でやらせていただいております。そして、事故対策事業は自動車事故対策勘定でやらせていただいている左側の青いところでございますけれども、こちらを一つの勘定にすることで業務の合理化を図ってはどうかということで、論点整理をいただいたというところでございます。
 ということで、次のスライドを御覧いただけますでしょうか。5ページ目でございます。1月21日に中間取りまとめを公表させていただいておりまして、この概要になります。背景・必要性につきましては、これまでに御説明をしておりますので、割愛させていただきますが、対応の方向性として、下半分のところ、5点いただいております。 まず、持続可能な仕組みへの転換として、一般会計からの繰戻しの継続を前提に、安定的な財源を確保すべきという御指摘をいただいております。 2点目の安定的な財源の確保の在り方につきましては、事故対勘定と保障勘定を統合の上、賦課金を拡充し、安定的な財源確保ということでまとめていただいております。 安定的な財源の使途、右上のところでございますけれども、使途の明確化、定期的な効果検証を行うべきとされております。 導入時期につきましては、準備期間を踏まえつつ、可及的速やかに制度設計ということとされております。 賦課金の額につきましては、政令事項、またこの自賠責審議会の審議にも当然なってまいりますけれども、この保障事業に今実施しております賦課金の拡充、また特別会計、この勘定の統合につきましては法律事項ということになりますので、国会に改正法を提出すべく準備をしております。 最後の周知・広報というところでございますけれども、自動車ユーザーの皆様の理解を得るというところが大事でございます。安定的な財源の必要性を含め、被害者支援などの周知・広報を見直すこととされているところでございます。 このような対応の方向性によりまして、被害者やその御家族が安心して生活できる社会を実現するということで、繰り返しではございますけれども、詳細な賦課金額の水準、歳出の在り方については今後も引き続き検討ということで、一番最後の行に書かせていただいているところでございます。
 最後のスライドでございますけれども、参考で、今後の自動車事故対策事業の歳出規模の試算というところで、こちらは、今後、施策を拡充した場合、今後御議論いただくところで、あくまで例というところでございますけれども、約200億円の歳出が必要とされる場合に、左側、パターン①で、賦課金と積立金の取崩しを1対1とする場合、またパターン②は、積立金と取崩しを合わせて100、また賦課金を100とするような場合でございます。 新たな賦課金の関係につきましては、下の赤字の米印のところでございますけれども、現時点において想定し得る最大値である150円を超えない、できる限りユーザー負担の抑制を考慮した水準を長期にわたって維持する観点から、引き続き検討とされております。 この後、一覧表がございますけれども、御説明のほうは省略をさせていただきます。 以上となります。どうかよろしくお願いいたします。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。 それでは引き続きまして、令和4年度民間保険会社の運用益の使途について、大知委員より御報告いただければと思います。どうかよろしくお願いいたします。

【大知委員】
 日本損害保険協会の大知でございます。私からは、令和4年度の民間保険会社の運用益の使途につきまして御報告申し上げます。お手元の資料3を御覧ください。 この運用益拠出事業案は、第三者委員で構成される、損保協会長の諮問機関でもある自賠責運用益使途選定委員会にて審議、了承をいただいているものであり、2月17日開催の日本損害保険協会理事会で最終決定する予定のものであることをお断りしておきます。 令和4年度事業案の策定に当たりましては、これまでの自賠責保険審議会の答申や、「今後の自動車損害賠償保障制度のあり方に係る懇談会」、「今後の自動車事故被害者救済対策のあり方に関する検討会」、これらで示された方向性を踏まえて、自動車事故の被害者対策を中心に取り組むとともに、交通事故被害者を生まないための自動車事故防止対策にも一層注力することを基本方針としております。 それでは、運用益拠出事業案のポイントを御説明させていただきます。資料の1ページを御覧ください。令和4年度の拠出予定合計額は、昨今の社会環境や、自動車事故被害者の皆様、関係者の皆様の声をお聞きし、各団体からの御意見、御要望を踏まえ、必要な事業を積み上げた結果でございまして、資料右上に記載のとおり、17億8,071万円、前年度対比では約7,156万円の減額となっております。
  内容的に拡充する主な事業について御説明をいたします。自動車事故防止対策の分野で2つの新規事業がございます。具体的には、歩行者事故低減を目的とした子ども用教育ツールの開発と普及に関する研究、それから交通環境の多様化による交通事故因子の顕在化と事故抑制のための自動運転社会の技術・環境要件の調査、この2つの新事業への支援を実施いたします。 次に、自動車事故の被害者対策の分野では、グリーフケアに関する研究支援や、ピアサポート活動の事業支援等への対策を拡充しております。具体的には、新規事業として、交通事故遺族を対象としたグリーフケアの質の向上とその基盤整備に関する研究や、水中環境を用いたリハビリテーションにおける自動車事故受傷者及びその家族の心理的回復プロセス並びに地域における障害理解に関する研究への支援を実施いたします。 また、脊髄損傷当事者によるピアサポート事業支援や、地域通所施設をめぐる高次脳機能障害者への支援プログラムに関する研究への支援の増額も実施いたします。 今後も引き続き、各団体の事業や研究の執行状況を精査しつつ、適切な被害者支援の在り方を検討してまいりたいと考えております。 増加するものは以上ですが、逆に減額する主な事業について御説明をいたします。事業運営の効率化や、これまでに示された運用益事業の方向性などを踏まえ、御覧のとおり、交通事故防止用機器の寄贈、公的病院への救急医療機器購入費補助及び交通事故無料相談事業支援などの事業を減額しております。 令和4年度の事業案の概要は以上のとおりでございますが、総額としては前年度対比で減額となっておりますが、これは減額自体を意図したものではございませんで、必要な事業を充実させる一方、個々の事業内容の精査・見直しも行うなどして、各事業を積み上げた結果でございます。
 なお、資料2ページ以降には、令和4年度の個々の拠出事業内容、直近5か年の拠出額の推移、令和2年度の運用益拠出事業の実施状況報告を添付しておりますが、時間の関係から説明は割愛させていただきます。 民間損害保険会社といたしましては、本拠出が自動車事故の被害者の皆様への支援並びに事故防止対策に資するよう、今後とも自賠責保険運用益の有効かつ適正な拠出に努めてまいりたいと考えております。 私からは以上でございます。

【藤田会長】
 ありがとうございました。 それでは引き続きまして、令和4年度JA共済の運用益の使途について、鹿嶋委員より御報告いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【鹿嶋委員】
 JA共済連の鹿嶋でございます。お手元の資料4に基づきまして、令和4年度のJA共済の運用益の使途について御報告を申し上げます。 運用益拠出事業の計画策定に当たりましては、外部調査機関における各施策の実施状況や効果、課題などの検証を基に、交通事故の発生状況等を踏まえ、方向性を整理し、損保協会様と同様に、外部有識者などから構成される使途選定委員会にて御審議をいただいた上で決定しております。なお、検討に当たっては、これまでの自賠責保険審議会における御意見も参考としております。 早速ではございますが、資料の1ページを御覧ください。上段に記載しておりますとおり、令和4年度の計画額の合計は12億2,608万円を予定をしております。
 次に、令和4年度施策における主な変更点について御説明いたします。まず、自動車事故防止に資する新規施策を2点、実施いたします。1点目が、先進安全自動車の普及促進に向けた広報啓発活動になります。これは、従来の意識啓発を中心とした交通事故未然防止に加えて、直接的に交通事故の発生軽減に資するASVについて、特に農村部における高齢者層に対して普及促進を図るため、動画や資材等による広報啓発活動を展開をいたします。 2点目といたしまして、自転車ヘルメット着用の必要性訴求のための啓発資材作成になります。これは、自転車のヘルメット非着用時における死亡率が高いことを踏まえ、自動車と自転車の衝突実験動画を作成し、弊会のホームページでの公開に加えて、警察庁等と連携した啓発活動を展開いたします。 続いて、見直しを行う取組が3点ございます。まず1点目は、幼児向け交通安全教室となります。この取組は、農村部を中心とした幼稚園・保育園児やその保護者を対象に、体験しながら交通ルールを学んでいただく交通安全教室となっており、コロナ禍の影響により実施しにくい状況であること及びこれまでの開催実績を踏まえ、開催回数を縮小し、計画額を3,850万円減額いたします。 2点目といたしまして、シルバー世代向け自動車安全運転診断になります。この取組は、高齢者向けに、自動車運転シミュレーターを活用した自身の認知機能や運動能力の把握、安全運転の注意喚起を図るための体験型イベントであり、こちらもコロナ禍の影響及びこれまでの開催実績を踏まえ、開催回数を縮小し、計画額を2,750万円減額いたします。 なお、コロナ禍で影響を受けた取組の代替策として、これまで小学生向け交通安全資材やシルバー世代向け交通安全啓発資材の提供を実施しておりますが、令和4年度においてもこれらの資材を活用した啓発活動を引き続き実施してまいります。 3点目は、救急医療機器等購入費補助について、救急医療機器の整備が一定進んでいることから、全体計画額における占率等を勘案しまして、2,000万円減額いたします。 最後に、予算の推移について、ページの下段に掲載しておりますが、令和3年度と比較しますと、金額で2,510万円、割合にして2.0%の減額となっております。 次ページ以降は、令和4年度の本運用益拠出事業の計画詳細と令和2年度の実施結果を掲載しておりますので、御覧おきいただければと思います。 弊会からの報告につきましては、以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【藤田会長】
 ありがとうございました。 それでは、ただいまの3者の御報告について、御質問、御意見はございますでしょうか。どうかよろしくお願いいたします。加藤委員、お願いいたします。

【加藤委員】
 日本自動車会議所の加藤でございます。国土交通省からの報告に関して、意見を述べさせていただきたいと思います。 まず、この運用益の事業に関しましては、自動車ユーザーが支払った保険料の運用益によるものでございますので、その使途につきましては、これまで同様、今後とも関係者の意見を踏まえ、被害者救済対策あるいは自動車事故防止対策を充実させつつ、このような審議を通じてぜひ精査していく必要があると思っています。 一般会計からの繰戻しが増額の上5年連続で実現して、新たに国土交通大臣と財務大臣との間で交わされた合意文書において、今回の繰戻額である54億円を最低ラインとしつつ、合意期間である今後5年間、継続的に繰戻しを実施する旨などが記載されたことについては、大いに評価するところでありますし、国土交通省を含め関係者の皆様の御努力に感謝申し上げたいと思います。 しかしながら一方で、いまだ約6,000億円が繰り戻されてない状況にあるということについては、しっかりと認識をしていかなければならないと思います。被害者救済事業等の持続可能性を高めるために、新たな財源の在り方が検討されておりますけれども、引き続きさらなる繰戻額の増額に取り組んでいただくとともに、賦課金の検討に当たりましては、自動車ユーザーの納得感を醸成していくことが必要不可欠であると思っています。具体的な賦課金を活用した制度設計あるいは自動車事故対策事業として取り組むべき施策、そしてその必要性の精査に当たりましては、十分な検証、論議の時間を確保するとともに、併せて国土交通省などによる財源を含めた被害者支援対策あるいは事故防止対策についての丁寧な説明、先ほど説明にもありましたが、一方では広報活動といったものを含めた中で、自動車ユーザーの理解を得るための努力を求めたいと思っていますので、よろしくお願いします。 私からは以上でございます。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。御意見を承りました。 今の御意見に対して、国土交通省から何かコメントなどはございますか。

【長谷参事官】
 加藤委員、ありがとうございます。繰戻しの関係につきましては、皆様方、また考える会の御活動のおかげもありまして、このような成果を得ることができました。残りの額をしっかりと全額返してもらうべく要求をやっていくということは、当然のことでございます。引き続き、そちらにつきましてはしっかりとやっていく必要があると認識しております。 また賦課金の関係、また事業の関係、そして広報の関係、様々な点、検討会でも御意見をいただいておりますけれども、しっかりと検討会において検証の在り方も含めて御議論いただきながら、またユーザーの皆さんに丁寧な御説明もさせていただきながら、鋭意進めていきたいと思っております。引き続きよろしくお願いいたします。

【加藤委員】
 ありがとうございました。

【藤田会長】
 ありがとうございました。 では続きまして、京井委員、お願いいたします。

【京井委員】
 お疲れさまです。先ほどから皆様の説明、ありがとうございます。私は、当事者の団体としてちょっと、今お話を聞かせていただきながら、何点かお話しさせていただきたいと思います。被害者給付のほうも力を入れていただいて、ありがとうございます。 まず、先ほど加藤委員も広報のことをおっしゃったんですけれども、その旨なんですが、なかなかこの自賠責をどのように利用されているかということを一般の方々に、自分たちが支払いをしていて知られていないということがとても大きいなと思っています。そういう意味では、自動車メーカーさんとタイアップして、自動車を購入された方たちに、どのように自賠責が使われているかという、そういう広報の仕方も一つではないかと感じております。その中でまた、皆さん、ユーザーがちゃんと納得して出していただくということも考えていくのが必要なのかなと思っております。 あと、「介護者なき」のところで、ソーシャルワーカーさんとの連携ということにも今後もう少し力を入れていただければと思っています。ここで今いろいろ社会で話になっているヤングケアラーさんの件もありますし、必ずしも大人が介護するとは限らないということ。大人でも介護していてとても大変で、いろいろなことをまた社会福祉士さんとソーシャルワーカーさんと話をしていけるということの利点があるので、その辺も入れていただきたいなと思っています。
 あと、民間のほうで、民間保険会社とか、その使途のほうで、救急医療体制のほうが全部、両方とも減額になっております。今、コロナ禍によって救急の医療体制というのが、そちらのほうで救急車のほうとか救急体制のほうがされていて、本当に医療関係は今緊迫されていると思います。私もたまたま友人が看護師だったりとかするので、そういうのを見ていて、では交通事故が起きた場合は交通事故の被害者の方はどうなるのだろうと思っているので、この辺の減額はもう少し今の社会情勢を見ながら考えていただければと思っております。 あともう一つだけ最後に、すみません。交通遺児のところが小さく、これは資料2の1ページのところで、交通遺児への支援とあります。交通遺児への支援は、本当に今は拡充されて、だんだん広がっておりますが、親が亡くなって、大人が亡くなって交通遺児になる方ばかりではないので、兄弟支援というところにももう少し今後力を入れていただければと思っております。 以上です。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。幾つも御意見をいただきましたけれども、国土交通省、損保協会、JA共済連、いずれからでも結構ですので、もしコメントあるいはレスポンスがありましたらお願いいたします。

【長谷参事官】
 よろしければ、国土交通省のほうからさせていただきます。 広報の関係は、大変いろいろ難しい、私どもは不得手なところでございます。ぜひ京井委員のほうにも御指導いただきながら、この自賠責制度をユーザーの皆さんにいかに知っていただくか、連携させていただいて、ぜひとも隅々の皆様に御理解いただけるようにやっていきたいと思っております。 また、その中でソーシャルワーカーさんとの連携というお話がございました。私どもの独立行政法人NASVA(自動車事故対策機構)がございますけれども、御承知のとおり、まさに自治体の方々、また社会福祉協議会とか、また被害者団体の皆様、そういう方々との連携というところをさらに深めていくということをやっていただくように、今まさに連携させていただいているところでございます。 また、交通遺児への支援ということで、育成給付金の関係につきましても、また無利子貸付け、それから基金の関係につきましても、私どもは、NASVAさんであったりとか、育成基金という団体を通じてやらせていただいておりますけれども、京井委員の御指摘も踏まえた形で、多分、今もさせていただいているんだとは思うんですけれども、しっかりと肝に銘じながら支援を進めさせていただいて、親が亡くなられた、またそういうお子様に対して、しっかりと支援をさせていただきたいと思っております。どうか御指導のほどよろしくお願いいたします。

【京井委員】
 ありがとうございます。

【大知委員】
 議長、よろしいでしょうか。

【藤田会長】
 はい。よろしくお願いします。

【大知委員】
 損保協会の大知でございます。京井さん、いつもありがとうございます。

【京井委員】
 お世話になっております。

【大知委員】
 御指摘について、少し補足をさせていただきます。 減額のものが、病院の機器等、こういうものが目立っていますが、救急体制のために、従来のように救急車等のモノを寄贈していれば支援になっていると考えるのはやめようという方向で検討していますので、より役に立つ形で使っていく方向で考えております。 さらに、救命救急センターを設置している病院への救急医療機器の購入補助事業への拠出も行っておりますので、こういうものを今の新型コロナウイルスの影響下で今後ウエイトを高めていくかというのが、次年度以降の課題になると考えております。こういう状況があっても、交通事故被害者の救済または医療体制が後退しないように配慮して運営してまいります。 私からは以上でございます。

【藤田会長】
 JA共済連様からはよろしいですか。もしなにかあれば、お願いします。

【鹿嶋委員】
 JA共済連、鹿嶋でございます。いろいろ御意見をいただいて、ありがとうございます。 まず、救急医療関係の機器購入費の助成、補助ですけれども、減額ということでお示しさせていただいております。これにつきましては、過去、このあり方懇談会や当審議会において、実施規模が大きい、また厚生連が対象であることで、身内への支援ではないかと、そのような御意見をいただいております。これは全体的な占率も考えながら、少しずつ計画を減額してきた経緯がございます。我々は、農村地帯を主体に、この厚生病院はJAが経営している病院でございますので、そこを重点に、その役割につきましては、国からもそういう役割分担ということで、民間が行う事業と地方における事業ということで、JA共済が実施するものと役割を一応整理いただいたと考えております。一定程度機器が整ってきたというのも理由としてはございますけれども、将来的には、いただいた御意見を実態等を踏まえながら検討させていただきたいと考えております。 それから、交通遺児の関係でございます。これにつきましては、資料の3ページの被害者救済のところの3の(6)、(7)辺りに、私どもが今取り組んでおります内容を掲載しております。これにつきましてもしっかり取り組んでいきたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。 以上でございます。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。 それでは、よろしいでしょうか。

【京井委員】
 はい。ありがとうございます、御説明。

【藤田会長】
 それでは次に、自動車総連、安部様、お願いいたします。

【安部副事務局長】
 自動車総連の安部でございます。運用益の使途に関わる報告につきましても、会長の金子より意見を預かっておりますので、代読をさせていただきたいと思います。 自賠責保険制度は、車社会のセーフティーネットであり、自動車ユーザーはもちろん、自動車を使わない交通参加者にとっても、安心して移動するために必要不可欠な制度であります。自動運転などの自動車技術が進展する中、より安心で持続可能な制度とするため、引き続き我々としても知恵を出してまいりたいと思っています。 運用事業は、自動車ユーザーが支払った保険料の運用益によるものであり、その使途は、これまで同様、関係者の意見を踏まえ、被害者救済対策と自動車事故防止対策とも充実させつつ、このような審議会を通じて精査していく必要がある。自動車安全特別会計から一般会計へ繰り入れられた資金は、共助社会の実現に向け、自動車ユーザーが支払った保険料により積み立てられたものであることをいま一度御認識いただきたいと思います。 一般会計からの繰戻しにつきましては、令和4年度において54億円を繰り戻すとされたことは、5年連続の繰戻しとなり、特別会計からの取崩額の縮減が図られたものである。また、大臣間合意期間である今後5年間、今回の繰戻額である54億円を最低ラインとし、継続して繰戻しを実施することが確認できたことについては、関係省庁をはじめ関係者の皆様に感謝申し上げます。 しかしながら、現在の繰戻額では、積立金を取り崩しての運用を余儀なくされたこと、また、いまだ約6,000億にも及ぶ未返済金がある中、返済完済に向けた具体的な支援返済計画さえ明示されなかったことは、被害者や家族の方々への持続可能な支援に関する量的・質的向上、介護者なき後を見据えた、先行き不安の払拭までには至らず、大変遺憾であります。新たな大臣間合意が確実に履行されることはもちろんのこと、早期に一般会計から特別会計への繰戻しを完済するよう強く求める。 自動車事故対策勘定のあり方に関する検討会にて、安定財源の確保策について論議がされている中最中、今後の返済に関する新たな大臣間合意文書の中に賦課金制度の検討と早期結論と記載されたことは、拙速過ぎるものと受け止めざるを得ない。被害者支援事業については、より多くの自動車ユーザーの理解の下、持続可能性を高めていく必要があると考える。 先ほど中間取りまとめの報告がされた自動車事故対策勘定のあり方に関する検討会では、受益者と負担の関係から、自動車ユーザーの納得感を醸成したことが極めて肝要である、その観点から、論議のポイントや中間取りまとめ案にも記載されているとおり、具体的な賦課金を活用した制度設計、自動車事故対策事業として取り組むべき施策とその必要性の精査に当たっては、十分な検証、論議の時間確保、併せて国土交通省などによる財源を含めた被害者支援対策、事故防止対策についての丁寧な説明など、自動車ユーザーの理解を得るための努力を求める。 以上でございます。

【藤田会長】
 御意見、どうもありがとうございました。ただいまの御意見につきまして、主として国土交通省でしょうか、何かコメント、レスポンスがあれば、いただければと思います。

【長谷参事官】
 ありがとうございます。繰戻しの関係につきましては、この大臣間合意におきましては、令和5年度以降の継続、また毎年度の目安ということの提示をさせていただきまして、従来の合意よりも一歩踏み込んだ内容とさせていただいたところでございます。 他方で、繰り返しではございますけれども、一般会計からの繰戻し全額を求めていくということは、大変重要でございますので、早期に引き続き返していただくように努力をしてまいりたいと思っております。 また、安定的な財源の関係につきましては、自動車総連様にも御参画いただきまして、検討会で御議論させていただきました。さらに、今後の事業の全体の在り方、検証の在り方、また自動車ユーザーの皆様に対して丁寧な説明をしていくなど、広報の在り方、そういうことも含めまして、今後、最終取りまとめに向けて引き続き丁寧に御議論をさせていただきたいと考えております。どうか引き続きよろしくお願いいたします。

【藤田会長】
 よろしいでしょうか。

【安部副事務局長】
 よろしくお願いします。ありがとうございます。

【藤田会長】
 それでは続きまして、長島委員、お願いいたします。

【長島委員】
 日本医師会の長島です。運用益の使途、特に医療分野においては、先ほど救急の問題の御指摘もありましたが、ここはやはり、医学的あるいは臨床現場の観点からの有用性、安全性、必要性をきちんと検討する必要がありますので、初期の段階からぜひ医療の専門家団体等の意見も参考にされて、またその後の検証にもそのような専門家をしっかりと関わらせて進めていただきたいと思います。 次に、今後の自動車事故対策事業に関しては、もちろん財源の問題も重要ですが、それよりも今後の事故防止及び被害者支援の事業がどうあるべきか、どのような事業をどのような形ですべきか、それにはどれぐらいの財源が必要かという観点から、そしてそれが安定・持続するためにはどのような在り方があるかということが重要なので、まずしっかりと今後の事業の在り方ということを検討する、その中で財源も検討するということが重要かと思います。 以上です。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。ただいまいただきました意見について、まず国土交通省から何か御返答がございますでしょうか。

【長谷参事官】
 長島委員、大変ありがとうございます。御指摘のとおり、事業につきまして、今やっている事業の精査も含めまして、今後やっていくべき事業はどのようなものをやっていくのか、そしてその効果検証の在り方も含めまして、しっかりと事故対策事業、事故防止、被害者救済の事業が皆様にしっかりと届いて役に立つ形でできるように検討を進めてまいりたいと思っております。この事故対策勘定における検討会の議論を引き続き秋に向かってやってまいりますので、その中でしっかりと受け止めてやってまいりたいと思っております。どうもありがとうございます。

【藤田会長】
 ありがとうございました。運用益の使途についても御意見がありましたので、損保協会、JA共済連からもし何かございましたら、お願いいたします。

【大知委員】
 損保協会の大知でございます。よろしいですか。

【藤田会長】
 どうぞ。

【大知委員】
 長島先生からの御指摘は理解できるところです。実は医療系の事業に関する拠出というのは大変難しく、私どもも医療系の知識が十分にあるわけではございませんので、使途選定委員会の委員の中にも、医療系の方、委員1名に入っていただいていますが、その方が全てをカバーできるわけではございません。これにつきましては、専門家の方の御意見も聞きながら今後も進めてまいりたいと思いますので、引き続き御指導のほどよろしくお願いいたします。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。 長島委員、よろしいでしょうか。 では、鹿嶋委員、どうぞ、お願いします。

【鹿嶋委員】
 JA共済連の鹿嶋でございます。御意見をいただきまして、ありがとうございます。今、損保協会さんも申されましたけれども、私どもも、その専門的な知識というところでは専門家の方の御意見をお伺いしたいということで、使途選定委員会の委員の中に医療分野の専門家に入っていただいております。いただいた御意見を踏まえて、今後もいろいろ検討させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【藤田会長】
 ありがとうございました。 長島委員、以上でよろしいでしょうか。

【長島委員】
 日本医師会としても、専門家の団体として協力させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

【藤田会長】
 よろしくお願いいたします。 そのほか、御意見、御質問はございますでしょうか。麦倉委員、お願いいたします。

【麦倉委員】
 関東学院大学の麦倉です。私は、昨年から今年にかけて、国土交通省で既に報告がありましたけれども、2つの検討会、今後の自動車事故被害者救済対策のあり方に関する検討会と事故対策勘定のあり方に関する検討会に障害者福祉の専門家という立場で出席させていただいておりましたが、いずれの検討会においても、被害者団体の皆様、それからそのほかの有識者の方々と共有した最大の危機感というのは、被害者の方々が直面している課題が、時間的な余裕がないという直近の喫緊の課題であるという、こうした課題でした。 事故に遭われた被害者の方を介護しているのは、多くの場合、親御さんとか配偶者といった御家族の方たちです。今最も懸念されているのは、既に御報告があったとおり、介護者なき後の問題ですが、事故被害者の方が年を重ねていくと同時に介護者の高齢化も進んでいるという現状があります。そもそも日本では、医療的なケアを必要とする人が地域で生活をする上で必要な支援が十分ではないという現状があります。最も深刻な課題としては、人材不足という形で表れてくるわけですが、人手が圧倒的に足りない。特に医療的ケアに対応した職員の方を確保するのが非常に難しいという課題があります。 また、事故によって生じる後遺障害というのは非常に多様であって、それぞれの障害に応じてきめ細かな支援を組み上げていく必要があります。また、それぞれの地域で使えるサービスというものにも違いがあって、こうした地域間の格差を埋めていくための取組というのも非常に重要になってくると考えています。 先ほど京井委員からも御指摘がありましたとおり、こうしたきめ細かな支援というところでは、例えば今回、高次脳機能障害の方の社会復帰を促進するための環境整備ということで、特に病院から地域の障害者支援施設との連携を強化するためということで対策が拡充されたのは非常に重要な一歩であったと思いますし、その中で医療ソーシャルワーカーとの連携というのも当然のことながら期待されることであります。 ですが、今回、モデル事業ということで、一定の地域においての実施ということになるでしょうから、今後全国的な展開ということを考えていくと、必要な額というのはさらに上がってくるのではないかと予想されます。
 また、介護者なき後ということで、グループホームの新規開業・増設についても、広報に力を入れて周知が進んで、この制度を利用していく事業所が増えていくということが望ましいわけですけれども、そうなってくると、より多く、制度の拡充の必要性というのが高まってくることが容易に想定されるわけです。その際に、当然のことながら費用対効果を意識することは重要であります。介護者なき後を考える前の段階として、在宅での地域生活の充実を図っていくということも非常に大事で、施設ではなく地域での暮らしを実現していくというのが、現在の障害者支援においては大前提になっています。医療的なニーズを伴うことの多い自動車事故被害者に対しても、同じような生活の形態を用意していくことというのは、社会的な責任だと考えております。 このように、検討会で支援の充実が急務であるということが確認されると同時に、現行の積立金の運用益を基にする枠組みの維持が非常に困難であるという現状も、危機感として共有されました。可能な限り早期に安定的な財源を確保するということが、委員の共通した認識であったと思います。その支援の原資となっている積立金の現状が非常に厳しいと、持続的な制度の維持が危ぶまれる状況にあるということが現状であるのであれば、被害者や御家族の安心のために、速やかに、そしてその手段として、賦課金を含む可能性を検討することも致し方ないという結論に達したわけです。新たな財源確保の道を探るべき、それも早急にというのが、今回の共有された問題意識であったと考えます。 以上です。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。今後の自動車事故対策勘定のあり方に関する検討会の中間取りまとめに関する御意見でしたので、国土交通省から、もし何かございましたらお答えいただければと思います。

【長谷参事官】
 麦倉委員、大変ありがとうございます。私が申し上げるべきところを全て言っていただいて、大変ありがとうございました。 先生から御指摘がありましたとおり、今日は御紹介できませんでしたけれども、昨年の7月には被害者救済対策の検討会の報告をまとめさせていただきまして、被害者の皆様に対する救済を充実させていかなければいけないということもいただいたところでございます。そういう皆様の声を踏まえて、今後、救済につきましてもしっかりと充実させていただくとともに、また事故防止のほうもしっかりと取り組ませていただき、そちらに併せて、今後の勘定の検討会におきまして今後の在り方をしっかりと議論させていただきまして、被害者の皆様、そして被害者になる前に、そういう方が出ないように、事故防止をしっかりやっていく。そして、ユーザーの皆さんにしっかり御理解をいただいていく。しっかりバランスを取りながら、議論を進めさせていただきたいと思っております。ありがとうございました。

【藤田会長】
 ありがとうございました。 そのほか、御意見、御質問はございますでしょうか。手を挙げておられる方は、私のほうで把握しております以上ですけれども、よろしいでしょうか。 それでは、議論はこの辺までにさせていただければと思います。 本日は、様々な御意見をいただきましたけれども、これらの御意見は今後の運用益の使途等に十分に参考とさせていただければと存じます。
 これで本日予定しておりました議事は全て終了いたしました。 全体につきまして、何か特段の御意見、御発言があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。特にないでしょうか。 ありがとうございました。 それでは、これで本日の会議を終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

以上

 

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