第149回自動車損害賠償責任保険審議会議事録


1.日時:令和6年6月4日(火曜)12時00分~13時00分

2.場所:オンライン開催

3.議題:自賠責保険における経費の計算方法等について

【藤田会長】
 それでは、時間が参りましたので、ただいまより第149回自動車損害賠償責任保険審議会を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙のところ御参集いただきまして、御礼申し上げます。
 皆様には御案内のとおり、自賠責保険は、交通事故被害者の保護を目的として、自動車ユーザー等に加入が義務づけられる公共性の高い強制保険でございます。そのため、契約者が負担する自賠責保険料は、自動車損害賠償保障法において、「適正な原価を償う範囲内でできる限り低いものでなければならない」と規定されており、これはいわゆる「ノーロス・ノープロフィットの原則」と呼ばれているものです。
 「ノーロス・ノープロフィットの原則」は、保険金支払いに充てられる保険料である純保険料はもとより、保険会社の経費に充てられる保険料である社費や代理店の経費に充てられる保険料である代理店手数料にも適用されます。社費や代理店保険料を含めて、本審議会で自賠責保険料の改定の審議を行っておりますが、この元となる保険会社の経費の計算方法等については、2012年以降見直しが行われておりません。その一方で、この間にデジタル化の進展等による環境の変化も認められるところです。
 自動車ユーザー等が支払う自賠責保険料の水準に影響する経費の計算方法は、可能な限り実態に合ったものであることが極めて重要であるところ、本日は委員の皆様に、現在の計算方法を見直す必要があるか、見直すのであれば、どのように進めるのがよいかといった点などについて御議論いただきたく、定例のタイミングとは異なりますが、自賠責審議会を開催させていただきました。
 本件の詳細につきましては、事務局及び日本損害保険協会から御説明いたしますが、委員の皆様には忌憚のない御意見を頂戴したいと考えておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
 さて、本日は、なるべく多くの委員が参加いただけるよう、オンライン会議での開催とさせていただきました。会議の模様はウェブ上でライブ中継をさせていただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 議事録は通常どおり作成の上、金融庁ホームページで後日公開させていただく予定です。
 本日、長島委員、寺田委員、細川昭子委員、細川秀一委員におきましては、所用のため、御欠席となります。波多江委員におかれましては、所用により13時にて退出されることとなっております。
 また、長島委員におかれましては、代理として全国共済農業協同組合連合会常務理事の深井様にお越しいただいております。一言御挨拶をお願いいたします。

【長島委員代理(深井)】
 深井です。今日はよろしくお願いいたします。

【藤田会長】
 どうかよろしくお願いいたします。
 ここで、カメラ撮りの方は御退出いただきますようお願いいたします。

(プレス退室)

【藤田会長】
 それでは、事務局及び日本損害保険協会より御説明いただき、委員の皆様から御意見、御質疑をいただきたいと思います。まず、事務局の三浦保険課長、よろしくお願いいたします。

【三浦課長】
 金融庁の三浦でございます。資料に基づいて御説明させていただきます。スライド1を御覧ください。まず、自賠責保険料を構成する「社費」と「代理店手数料」につきまして、御説明をさせていただきます。
 先ほど藤田会長からもありましたとおり、自賠責保険は、被害者救済のための強制保険でありますから、法令上、自賠責保険事業から損失も利益も出さない、「ノーロス・ノープロフィットの原則」が定められております。資料の下部に自賠責保険料の内訳を図示しておりますが、この原則は純保険料だけではなく、赤枠で囲んでおります「社費」及び「代理店手数料」にも適用されます。純保険料につきましては、保険金支払額を実額で把握できるため、実際の支出額に基づく料率検証を毎年実施しているところです。
 一方、保険会社の経費に当たる保険料である「社費」につきましては、保険会社各社が自社でかかった経費を、後ほど御説明いたします「経費計算基準」という統一的な計算方法に従って算出し、料率機構に報告した上で、料率機構が各社からの報告に基づき、全社でかかった経費を集計し、社費の水準の検証を行っております。
 また、代理店の経費に充てられる保険料である「代理店手数料」につきましては、算出に必要な基礎数値としまして、自賠責契約1件当たりの所要分数と所要経費を定め、賃金や物価の増減率を勘案して算出しています。
 続いて、2ページ目を御覧ください。ここでは社費の算出に必要となる保険会社の経費の計算方法について御説明いたします。先ほど申し上げましたとおり、自賠責保険の社費は、「ノーロス・ノープロフィットの原則」を満たす必要があり、その算出の基礎となる経費は、各社の個別事情によらず、全社共通の基準により客観的・統一的に自賠責保険に要した経費を捉えるための基準である「経費計算基準」を用いて計算されております。
 この「経費計算基準」は、日本損害保険協会が作成したものであり、自賠責保険に要した費用の計算方法を、業務実態調査の結果に基づいた基礎数値等を用いて、現業部門の社員給与、借地借家料、減価償却費などの費目ごとに定め、この費目ごとの経費を足し上げることで、自賠責保険の経費を計算しています。
 ここでは、「営業部門の社員給与」を一例に挙げて御説明いたします。営業部門の社員給与は、「1人1分当たり給与額」に「1件当たり処理分数」を掛けて、さらに、「取扱件数」を掛けるという形で算出されます。「1人1分当たり給与額」及び「取扱件数」は、毎決算期の個社実績から算出されます。一方で、「1件当たり処理分数」は「18.3分」が全社統一の数字として適用されます。これが先ほど申し上げました業務実態調査の結果に基づいた基礎数値になります。
 次に、経費計算基準により算出される経費の仕組みについて御説明させていただきます。下の図を御覧ください。一番左側に記載しておりますのは、保険会社の収入となる社費です。こちらは、自賠責審議会で決定される基準料率の内数になります。全社平均の経費は、収入である社費との差額が生じる場合がありますが、この差額に関しては、保険会社の付加率積立金に全額計上されることになるため、保険会社全体では損益は発生いたしません。
 一方、保険会社が支出する経費は、図に記載のA社、B社のように、その水準は各社によって異なり、各社の経費と全社平均経費との間にも差分が発生しますが、ここで能率的な経営を行うための仕組みとして、保険会社各社が計上する経費は、全社平均水準までしか認めない仕組みとしています。
 各社の経費は全社平均を上回る場合もあれば、下回る場合もあります。全社平均までしか経費計上を認めないということは、仮に各社経費がそれを上回った場合、上回った分は各社が損失として自ら持たなければならないということになりますので、各社に対し、全社平均を上回り、損失を発生させないよう経費を抑制しようとするインセンティブが働くことになります。
 続いて、3ページ目を御覧ください。ここでは、代理店手数料の算出における基礎数値について御説明いたします。自賠責保険の契約1件当たりの代理店手数料は、代理店における人件費と物件費の積算で算出されます。人件費については、「契約1件当たり業務所要分数」に「公的賃金統計に基づく給与単価」を乗じた値に賃金増減率を加味して算出し、物件費については、「契約1件当たり業務所要経費」に「物価増減率」を加味して算出しています。この人件費の「業務所要分数」及び物件費の「業務所要経費」に関しては、代理店が実施する業務実態調査によって計測された数値の平均が用いられています。
 続いて、4ページ目を御覧ください。ここでは、経費計算基準等の見直しの必要性について御説明いたします。これまでに御説明しました社費の計算基礎となる経費計算基準及び代理店手数料の算出における基礎数値につきましては、2012年に自賠責審議会での報告の上で改定されましたが、それ以降は見直しが行われておりません。
 一方で、前回改定以後、自賠責保険契約情報の登録から自賠責保険証明書の発行まで行うシステムであるe-JIBAIの普及率上昇等のデジタル化が進展しています。下のグラフは、代理店がe-JIBAIを用いて計上した契約の割合の推移となります。前回改定時である2011年の代理店計上率は83%でしたが、直近では99%と上昇しており、処理の効率化が見込まれるところです。また、今後は、一部手続の非対面化やキャッシュレス決済を実現する共同システムが、一部の保険会社で、本年11月から先行して導入予定となっております。このように自賠責保険の経費に影響を与え得る環境は変化しているものと認識しています。
 続いて、5ページ目を御覧ください。こうした環境変化を踏まえますと、現在の経費計算基準等の妥当性を検証した上で、これらを必要に応じて改定するとともに、共同システム導入による経費削減等、今後発生する変化を適時適切に反映する必要があるため、将来基準等を見直すための手続を定める必要があると認識しております。
 したがいまして、事務局としましては、日本損害保険協会に対しまして、
①経費計算基準等が、現在の業務実態に合っているか検証し、必要に応じて見直しを行うこと、
②また、経費計算基準等を将来的に見直すための手続の導入
について検討を依頼することとしたいと考えております。
 また、この検討結果についても、2025年1月に開催予定の自賠責審議会において、日本損害保険協会から報告するよう要請したいと考えております。
 最後に、6ページ目を御覧ください。今後の進め方の案につきまして、御説明させていただきます。下の図に示しておりますとおり、本日の自賠責審議会の終了後に、日本損害保険協会において会議体を設け、当会議体で現在の経費計算基準等の妥当性の検証等をしていただく予定となっております。その結果につきまして、翌2025年1月予定の自賠責審議会で再度議論の上、了承されましたら、経費計算基準等を必要に応じて改定することとしたいと考えております。
 改定する場合には、保険会社各社において、この新基準に基づく経費を2024年度決算の数字として計算していただき、これを損害保険料算出機構において集計し、2026年1月に予定しております自賠責審議会において料率改定の審議を行い、2026年4月から新基準等に基づく保険料の適用を開始するスケジュールを考えております。なお、これは保険会社におけるシステム改修等がない場合の最速のスケジュールとして見込んでいるものになります。
 事務局からの説明は以上でございます。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、日本損害保険協会の荒川委員、よろしくお願いいたします。

【荒川委員】
 日本損害保険協会の荒川でございます。私からは、ただいまの事務局からの説明を受けまして、現在の経費計算基準等の概要、及び、見直しに向けた対応について、一部事務局説明と被る部分もありますが、資料2に基づいて説明をさせていただきます。
 2ページ目を御覧ください。ここでは経費計算基準の概要をまとめております。冒頭記載してありますとおり、経費計算基準は、ノーロス・ノープロフィットの原則を踏まえ、各社の個別事情によらず、客観的・統一的に自賠責保険に要した経費を算出する全社共通の基準であります。その内訳は下の図にありますように、営業費、損害調査費、一般管理費、その他事業費に分かれており、さらに営業費、損害調査費については、社員給与、厚生費、物件費とあり、それぞれ細かい費目ごとの計算をし、それを積み上げて算出をしております。
 計算方法については、例えば営業費の社員給与の場合、右側に記載しておりますとおり、「1人1分当たりの給与額」に「契約引受1件当たりの処理分数」と「取扱件数」を掛けることによって算出をしております。このうち、「給与額」と「取扱件数」は、各社毎年の決算を踏まえ、見直されますが、「契約引受1件当たりの処理分数」は、現在は、2011年度に実施した業務実態調査で把握した数値を全社共通で使用しております。
 また、営業費のうち、厚生費や物件費については、契約に紐づく経費ではありませんので、先ほど求めた自賠責の社員給与を営業部門全体の社員給与で割ることで、自賠責の営業社員給与割合を求め、これを乗じることによって算出をしております。損害調査費については、「契約引受1件当たり」ではなく、「保険金支払1件当たり」になりますが、営業費と同様の考え方に基づいて算出しております。
 また、右側の総括部門とは、主に本社事務等に係る経費になりまして、これらは実額を把握して加算しております。
 全体としましては、下に円グラフがございますが、「現業部門・社員給与」及び「全種目経費×現業部門社員給与割合」の、合わせて約8割の経費が、現業部門の社員給与、あるいは、それに連動して求められています。つまり、業務実態調査で把握した処理分数が影響する部分が約8割あるという構成になっております。
 続きまして、3ページです。こちらは代理店手数料算出の概要です。代理店手数料につきましては、人件費のうち、1件当たり所要時間、及び、物件費のうち1件当たり所要経費について、2011年に実施した業務実態調査で把握した数値を使用しております。実際の代理店手数料の算出に当たっては、人件費については、「1件当たり所要時間」に直近の公的統計から求めた「一分当たり給与」及び「賃金増減率等」を反映し、物件費については、「1件当たり所要経費」に「物価増減率」を反映して算出をしております。
 4ページです。ここから3ページは、前回2011年に実施しました業務実態調査の結果概要をまとめております。
 4ページは契約の引受けに関する実態調査です。左側に調査項目と記載しておりますのは、保険会社の営業店での事務の内容であり、それぞれどれくらいの時間がかかっているのかを計測した結果となっております。前回の調査では、新契約手続きの主な増減理由のところに記載してありますとおり、e-JIBAIが大きく普及したことにより、営業店での事務が効率化されております。その結果、契約引受け合計では、一番下にありますとおり18.3分となり、その前の調査から3.6分の短縮となっております。
 5ページは保険金支払いに関する調査です。一般払や一括払等、業務フローが異なる形態ごとに調査をしております。結果として効率化されている部分もありましたが、被害者保護強化の観点から、丁寧な対応を実施している関係で、こちらは処理分数が増加している部分があります。
 6ページは代理店業務に関する実態調査で、人件費のうち「所要時間」、物件費のうち「所要経費」について、それぞれの項目ごとに調査した結果となっております。結果として人件費はほぼ横ばい、物件費は、交通費やパソコン費、通信費の増加を受け、95.2円の増加となりました。ここまでが前回の実態調査の概要となります。
 続いて、7ページは前回調査時点からの環境変化と、それが経費計算基準や代理店手数料の算出における基礎数値に影響し得ると考えられる内容をまとめております。主なところを触れさせてもらいますと、デジタル化の進展は、e-JIBAIの普及を指しておりますが、前回、83%ところ、足元では99%まで普及しておりますので、その増加した部分については、営業店での事務が効率化されると考えられます。また、新たにe-JIBAIを導入する代理店も少なくなっているため、e-JIBAI導入に伴う営業店の代理店指導や照会業務も効率化されるのではないかと考えております。
 続いて、法改正の対応です。このうち、2点目、3点目は、保険金支払いの事務になりますが、これらの法改正に伴う対応については、保険金支払いの処理分数が増加する可能性があると考えております。また、新型コロナウイルスの影響としまして、感染拡大に伴う外出自粛により対面募集が難しくなる中で、郵送手続が活用されておりました。コロナが明けた後も一定活用されておりますので、これに関する営業店、代理店の業務が効率化されているのではないかと考えております。
 8ページ以降で、今後の対応を記載しております。まず、8ページは、先ほどの環境変化も踏まえると、損保協会としても経費計算基準が今日的に妥当であるかどうかをしっかりと検証した上で、必要に応じて見直すべきであると考えております。ついては、本自賠責審議会終了後、損保協会内に第三者委員会を設置し、具体的な論議を行い、その結果を来年の1月の自賠責審議会に報告させていただきたいと考えております。
 また、第三者委員会の運営に当たっては、今日的に、より客観性・透明性を確保する必要があると考えております。下に体制図を記載しております。右側に前回、2011年見直し時の体制図がありますが、当時は損保協会の下に合同委員会と称して、第三者委員会のほかに、損保協会、損害保険料率算出機構も委員として参加し、議論をしておりました。
 今回は、より客観性を確保する観点から、左のように第三者委員のみで構成する第三者委員会で論議をしていただこうと考えております。損保協会は、第三者委員会で適切な論議ができるよう、情報提供等の必要なサポートをする事務局として参加し、当局につきましても、前回は直接的に議論に参加する立場ではございませんでしたが、今回はオブザーバーとしてしっかりと見ていただき、御意見を頂戴できればと考えております。また、会議体の透明性を確保する観点から、損保協会のホームページ上に委員会の設立趣旨や構成員とともに、委員会資料や議事録も公表していきたいと考えております。
 最後、9ページに第三者委員会の議論のスコープをまとめております。経費計算基準等の見直しについては、現行基準等の検証や問題点の精査として、経費計算基準の基礎数値や代理店手数料の算出における基礎数値の見直しだけでなく、計算式についても、今日的に妥当なのか検討していただきたい。そして、それらの検証や問題点の精査を踏まえ、基準を見直すべきかどうか、見直すのであれば、どこをどう見直すのかといった点。また、業務実態調査についても、今日的な業務フローを踏まえた調査項目や方法となっているかについて、議論いただきたいと考えております。また、将来、基準等を見直すための手続については、定期的な改定がいいのか、何か指標を定め、それに基づいて判断していくほうがいいのかも含め、将来基準を見直すためのルールについて議論していただきたいと考えております。
 損保協会からの御説明は以上となります。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、ここから委員の皆様に御議論いただきたいと思います。
 まず、本日残念ながら御欠席となっております、細川昭子委員から御意見を頂戴しておりますので、事務局から読み上げさせていただきます。よろしくお願いします。

【三浦課長】  
 それでは、事務局より細川昭子委員からの御意見を代読させていただきます。
 前回見直し時から既に12年が経過し、その間の環境変化を踏まえますと、御提案のとおり、現在の経費計算基準等の適切性・妥当性を検証した上で必要に応じ改定すること、今回の見直し後も将来的に環境変化を踏まえた経費計算基準等の検証を適切に行い続けるための手続の導入について、日本損害保険協会に会議体を設け、検討いただくことに賛成いたします。
 また、かかる検討プロセスについて、自動車ユーザー、国民に納得いただけるよう、客観的かつ透明性を確保することが大切と考えます。この点、会議体を第三者委員会として設置し、委員会資料や議事録を損保協会のホームページで公表いただくという御提案について、ぜひ、適時・十分・的確な資料の公表を含め、客観性・透明性の確保について実効性のある運用により進めていただくことをお願い申し上げます。
 細川委員の御意見は以上となります。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。ただいまの細川委員の御意見につきまして、損保協会から何か御発言ございますでしょうか。

【荒川委員】
 荒川でございます。客観性・透明性の確保を含めまして、いただいた御意見を踏まえ、第三者委員会でしっかりと議論をしてまいりたいと思います。以上でございます。

【藤田会長】
 ありがとうございました。次に、波多江委員におかれましては、本日13時に所用のため御退席なされると伺っておりますので、波多江委員、もし御意見・御質問等がございましたら、まず、最初に御発言お願いできますでしょうか。

【波多江委員】
 ありがとうございます。明治学院大学の波多江でございます。誠に勝手ながら、13時で退出をさせていただきますことにつきまして、御配慮くださりどうもありがとうございます。私からは2点ほど述べさせていただきます。
 まず、1点目は質問です。代理店手数料のうち、人件費の算出根拠となっている給与単価、これは公的賃金統計に基づくものとのことでございますが、具体的にはどのような公的統計を指すのでしょうか。御教示いただけますと幸いです。
 2点目は、意見でございます。前回の経費計算基準等の見直しから現在に至るまでの年数、また、その間の状況の変化から、経費計算基準等の見直しが必要であること、また、今後その基準等を見直すための手続を定める必要があるということにつきまして、よく分かりました。そこで、これらについて、日本損害保険協会に対して検討を依頼するということにつきまして、賛同いたしたいと思います。
 ただ、その関係でちょっと気になりますのは、この間の状況の変化として、経費に与える要因としましては、キャッシュレス化、ウェブ手続を実現する共同システムの導入というものが大きいのではないかと推測されるのですけれども、そのリリースが今年の11月ということですので、影響を検討して報告していただくとなりますと、来年度1月の自賠責審議会というのでは、期間として難しいのではないかということが懸念されます。この点はいかがなものでしょうか。
 以上、どうぞよろしくお願いいたします。

【藤田会長】
 波多江委員どうもありがとうございました。2点ほど御質問いただいておりますが、最初の代理店手数料の人件費に関する御質問につきましては、損害保険料率算出機構の川口特別委員から、共同システム導入に係る影響、時間的に間に合うかということを含めてですけども、この反映の問題につきましては、損保協会の荒川委員からそれぞれ御回答をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

【川口委員】
 それでは、最初の御質問に関しまして、損保料率機構の川口からお答えいたします。
 協会作成の資料の3ページにあります、「1分当たり給与」を求めている直近の公的統計でございますけれども、こちらは厚生労働省が調査を行っております毎月勤労統計、これを基に「1分当たり給与」を求めております。よろしいでしょうか。

【波多江委員】
 ありがとうございます。

【荒川委員】
 2つ目、損保協会、荒川からお答えさせていただきます。
 まず、御指摘のとおり、共同システムの導入のタイミングを考えますと、キャッシュレス化や非対面手続といった業務フローの変化については、一定の時間を要する可能性がありますので、今回の検討の中で報告をしていくことはスケジュール的には厳しい状況でございます。そのため、今回は、前回2012年の改定時からの環境変化を踏まえて、まずは現時点での妥当性の検証が中心になると考えております。
 なお、今回は、将来の経費計算基準等を見直すための手続についても併せて検討することとしておりますので、共同システム普及時に再度見直しを行える仕組みも整備をしていく予定でございます。
 以上でございます。

【藤田会長】
 よろしいでしょうか。

【波多江委員】
 どうもありがとうございます。承知いたしました。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、このほか、事務局及び日本損害保険協会の御説明に関しまして、御質問、あるいは御意見のある方はいらっしゃいますでしょうか。御発言のある方は挙手ボタンを押してお知らせいただければと思います。金子委員、お願いいたします。

【金子委員】
 発言の機会をいただきありがとうございます。自動車総連の金子でございます。
 今日、提案いただいた経費計算基準等の見直しについては、特に異論があるところではありません。昨今、適正取引や適正価格といったものが強く求められている状況の中で、この対応についても非常に重要なことだと思っておりますので、ぜひ進めていただければと思っております。その上で、若干の質問と要望を申し上げたいと思います。
 1点目の質問は、今後、将来的な見直しをしていく、経費計算基準等を将来的に見直すといった際に、改めてのKPIを検討していくということなのか、または、今回のように12年ぶりのような不定期的なものから、ある程度定期的にしていくのか、もしくは、毎年チェックした上で必要なときにこのように起案を上げていくのか、そういうタイミング的なところも含めての検討なのかということだけ確認をさせていただきたいと思います。
 2点目は要望ですが、前回もこの場で申し上げたところではありますが、デジタル化、そして自賠責保険のペーパーレス化、これをさらなる推進を改めてお願いをしたいと思っております。今回の見直しに通じるような保険の代理店業務の方々の業務削減、そして効率化の観点からは、やはり必要と思っていますし、デジタル化がかなり急速に進んでいる中にあって、手続書類の削減だとか、非対面手続に対するユーザーの要望というものも年々高まってきているのではないかと思っております。
 これも前回あったように、キャッシュレス化等から始めているということは十分承知をしているのですけれども、ペーパーレス化に関しても、今、電動キックボードなどを物理的に設置ができないといった、サブ的な理由にとどまっていると思っているのですけれども、自賠法の本則第8条には、自賠保険証明書の備付けが義務化されているということは言うまでもないところであります。
 こういったところも踏まえて、ぜひ全体としてこういったことが適用できるようなところを目指して、さらに推進、取組を進めていただければと思っております。よろしくお願いします。以上です。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。若干の御質問と御要望がございましたが、日本損害保険協会の荒川委員から御回答いただければと思います。

【荒川委員】
 御質問ありがとうございます。
 1つ目の御質問です。KPIの検討なのか、定期的に見直していくのかという御質問だと理解しましたが、まず、自賠責保険に係る業務は、一定程度は定型化されておりまして、毎年のように業務生産性が大きく変化するものではないと考えています。一方で、環境は様々変化していくものですので、自賠責業務に関する環境変化が認められるタイミングは出てくると思います。そのときに必要に応じて業務実態調査等を通じた見直しが実施できるようにしていきたいと考えております。
 そのため、定期的な改定がいいのか、何かしらの指標を定めてそれに基づいて判断するのがいいのか、この辺りも含めて第三者委員会で議論していきたいと考えております。1点目、以上でございます。
 2点目については、しっかりとキャッシュレスは進めていきたいと考えております。協会からもホームページ上にその案内を出させていただいております。ペーパーレスにつきましても、考え方は、今、御指摘いただいたとおりと思っております。しかしながら、諸問題がまだまだ内包されておりますので、その辺りをしっかり公的な制度として解決をしていくこと、ここを踏まえながら準備を進めていきたいと考えております。
 以上でございます。

【藤田会長】
 金子委員、よろしいでしょうか。

【金子委員】
 承知しました。ありがとうございます。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。続きまして、慶島委員、お願いいたします。

【慶島委員】
 慶島です。よろしくお願いします。
 ぜひ今後の見直し作業に当たっては、ノーロス・ノープロフィットの原則、これは担保されるようによろしくお願いしたいと思います。その一番の肝は、基礎経費、これの客観性、透明性がいかに担保されるかということだと思うのですが、それで、一つは資料1の2ページ、これは保険会社の経費の計算方法、ここでは「1件当たり処理分数」ということで、基礎数値18.3分という数値が明示されています。一方、次の3ページの代理店手数料の基礎数値については、人件費のところで「契約1件当たり業務所要分数」、これ、数値が明示されておりません。なぜなのかということで、質問で、もしかしたら資料2の6ページに人件費ということで、28.3分という数値が資料2に記載されていますが、28.3分というのは代理店手数料の基礎数値と、業務所要分数ということに該当するのか否かということについて、質問させていただきます。以上です。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。代理店手数料の問題ですので、損保料率機構のほうからお答えいただければと思います。川口委員、お願いします。

【川口委員】
 損保料率機構の川口でございます。御質問ありがとうございます。
 今の御指摘のとおり、代理店の業務に関する所要時間というのは、損保協会の資料の6ページにあります、28.3分というものをベースにしております。前回、2011年度の調査のときに、契約締結、証明書交付、あるいは保険料精算計上といった区分ごとに所要分数を測定いたしまして、その積み上げた結果を現在でも使っている、こういう状況でございます。

【藤田会長】
 よろしいでしょうか。

【慶島委員】
 承知しました。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。続きまして、唯根委員、お願いいたします。

【唯根委員】
 ありがとうございます。消費者機構日本の唯根と申します。
 質問ですが、基礎数値ですけれども、2012年に改定が行われて、これまで12年間のブランクがあったということなのですが、その前の機会というのは何年だったのか、それからこの12年間、見直しがされなかったのは、自賠責の料率変更というか、ここ何回かの審議会で毎年のように見直しをしてきたと思うのですが、その際にどうしてこの部分は見直しがされてこなかったのかというところの、何か事情や経過が分かれば教えていただければと思います。
 意見としては見直しに関してはぜひ、早急にやっていただきたいと思いますし、第三者委員会で透明性を図っていただけるのもありがたいと思っております。以上です。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。御質問につきまして、まず、損保協会のほうからお答えいただいて、場合によっては金融庁のほうから補足いただければと思います。それでは荒川委員よろしくお願いいたします。
【荒川委員】
 荒川でございます。まず、前々回の改定につきましては、2001年での改定となっております。2つ目の御質問につきましては、先ほども申し上げましたが、ベースとしましては、業務フローに大きな変化がないということが、見直しを実施してこなかった一つの理由でございます。一方で、ここの手続の段取りが明確に定められていなかったことも踏まえますと、今後業務フローに大きな変化がなかったとしましても、業務環境の変化を検証し、適切に反映させることが望ましいと考えております。
 先ほどと同様の回答でございますが、その辺りも含めまして、しっかりと第三者委員会で論議をし、自賠責審議会につなげていきたいと考えております。私からは以上でございます。

【三浦課長】
 金融庁のほうからも1点だけ補足させていただきますと、今、荒川委員がおっしゃっていただいたことと大分重なってしまうと思いますが、12年間変わってこなかったということ自体につきましては、今後、業務フローだけではなくて、デジタル化を含めた業務環境の変化というのは適切に反映させなくてはいけないと思っておりまして、その反映させるものとして、先ほど金子委員からおっしゃっていただきました、一定程度何か基準を設けるのか、もしくは数年に一度定期的に見直すのかというようなところも含めて、改めてしっかりと議論して、適時適切に見直すという手続も含めて、今回しっかりと決める必要があると私ども認識しております。そのため、今、唯根委員からいただいた問題意識については、全くおっしゃるとおりだというように我々も感じておりますので、今後、そのタイミング、見直しについても、損保協会の第三者委員会で議論していただくことになります。金融庁としても、当局の立場から適切にそういったものが決まるようフォローアップをしていきたいと考えてございます。以上でございます。

【藤田会長】
 唯根委員、よろしいでしょうか。

【唯根委員】
 ありがとうございました。繰り返しの質問で失礼いたしました。

【藤田会長】
 それでは、続きまして、麦倉委員、お願いいたします。
【麦倉委員】
 麦倉です。今回の御提案につきまして、基本的に賛同いたします。
 質問ですけれども、損害保険協会から資料の中で、5ページで御提示いただいた部分ですけれども、被害者保護の強化の観点から、支払適正化対応とありまして、御説明の中で、そのために必要な時間が増えているということがあったと思います。この点、必要な、丁寧な説明が行われるということは大変に重要なことであるかと思います。質問としては、どのような内容がプラスで説明として行われているのか。簡単にでも構わないのですけれども、お伺いしたいと思います。
 また、もう1点、要望ですけれども、ここ数年で、被害者保護のための施策が新たにたくさん実施されておりますけれども、こうした情報を積極的にお知らせするようなことを、こうした説明の中でも行っていただくことが可能かどうかということを要望、あるいは、御質問ということでお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。今、2点ほど御質問いただきましたけれども、この点につきまして、損保協会のほうから御回答いただければと思います。
【荒川委員】
 荒川でございます。御質問ありがとうございます。
 まず、1つ目の支払適正化の内容ということでございますけれども、自賠法の改正に伴って、保険金請求の受付や支払い、あるいは結果的に責任がなくなったときの書面交付の義務化、このような改正がございまして、その辺りの説明責任が強化されたこと、それと支払いの可能額や支払い可能な損害項目について、被害者の方への請求の勧奨を強化したこと、それと、支払基準の法定化に伴って正確な支払いを徹底するための書類点検業務の徹底、この辺りが支払適正化に向けて、結果的には業務負荷につながった、こういう理解でおります。
 2つ目が、その辺りを世間への開示というアドバイスだと思いますので、ここは協会のホームページ等々を活用しながら、しっかりと知らせていきたいと考えております。
 私から以上でございます。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、京井委員、お願いいたします。
【京井委員】
 失礼いたします。いのちのミュージアムの京井です。よろしくお願いいたします。
 先ほど麦倉委員もおっしゃってくださったのですが、被害者支援のほうが手厚くなっているということで、時間が増加しているということをお聞きしまして、また、今、損保協会様からのお話も聞かせていただき、ありがとうございます。
 私のほうからは、今回は自賠責保険の経費に関してなんですが、私たち被害者側のほうからで、今回、またお願いしたいのが、この見直しだけではなく、被害者への支払い額、限度額や補償内容というのを、傷害のほうが120万です。これをまた今後、見直していただけたらいいなと思っていますので、また、そのような検討をしていただきたいということと、あと、第三者委員会のほうに損保協会が今後は事務局で入るというお話が今ありました。情報提供を今後、現場サイドからしっかりしていただいて、そして、第三者委員会の方々には、より客観性・透明性を確保していただいて運営をしていただきたいというお願いでございました。以上です。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。1点目の御質問につきまして、国土交通省のほうから、2点目につきまして、損害保険協会のほうから御回答いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【出口参事官】
 国土交通省でございます。
 1点目、支払限度額ということでいただきました。自賠責の支払限度額でございますけれども、その性質ですとか保険金支払いの状況、さらに保険料率への影響、そういったものを総合的に勘案して定められているというところでございます。限度額につきましては、委員御指摘のとおり、120万円ということで、ずっと来ている状況でございます。
 ただ、障害に対する自賠責保険のカバー率、どの程度カバーできているかということなのですが、以前から大体85%程度ということで推移しているというような状況でして、ここが大きな変動がないというのが現状でございます。
 限度額の見直しにつきましては、保険料の増、ユーザーの方の負担の増ということにつながり得るということもございまして、現時点ですぐ見直しということは、今は考えていない状況ではございますが、今後も社会経済上の状況といったものを踏まえて、慎重に検討してまいりたいと考えております。以上でございます。

【京井委員】
 ありがとうございます。

【藤田会長】
 2点目の質問につきましては、損保協会からお願いいたします。

【荒川委員】
 ありがとうございます。まず、第三者委員会における損保協会の事務局としての役割は、効率よく活発に議論が行われるように、しかるべき環境変化の資料や、今日的観点での課題、問題点の整理等をしっかりと御報告させていただきたいと思っております。そして、その上で、内容についての開示につきましても適宜、しっかりと世間に知らしめていきたいと考えております。大変大事な指摘だと思っておりますので、しっかり対応していきたいと思っております。以上でございます。

【京井委員】
 ありがとうございました。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。そのほか、御意見、御質問等ございますでしょうか。ほかに、特に御意見のある方がいらっしゃらないとすれば、議論はこの辺りまでにさせていただきたいと思います。事務局及び日本損害保険協会におきましては、委員の皆様の様々な御意見を踏まえて今後の検討を進めていくようにお願いいたします。
 皆様の御意見を伺っておりますと、事務局及び損害保険協会からの提案につきまして、方向性としては異論がなかったと理解しております。むしろ積極的に進めてほしいという強い要望が、幾人かの委員から表明されたと理解しております。したがって、御提案のとおり、前回2012年の改定時からの環境変化等を踏まえ、日本損害保険協会において客観性・透明性を十分に確保した形で、第三者委員会を設置した上で、その中で、経費計算基準及び代理店手数料の算出における基礎数値について、経費計算基準の計算式が実態に即しているかという観点も含めて、業務実態に合っているかを検証した上で、必要に応じ見直しを行うこと、及び将来的に基準等を見直す場合の手続を導入すること、この2点について、検討を行うこと、また、第三者委員会の検討事項について、2025年1月に開催予定の自賠責審議会において、日本損害保険協会から報告を行うこと、これらについて御対応を進めていただくということでよろしいでしょうか。
 御異議がある方がいらっしゃいましたら挙手ボタンでお知らせいただければと思います。特に挙手はないようですけれども、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【藤田会長】
 それでは、御異議がないようですので、事務局及び日本損害保険協会の提案が了承されたものとして取り扱わせていただきます。
 日本損害保険協会におきましては、今後、第三者委員会を設置の上、本日挙げられた論点について検討を進めた上で、来年の本審議会において御報告をお願いいたします。

【荒川委員】
 ありがとうございます。来年の自賠責審議会において御報告できるよう、第三者委員会での検討をしっかりと進めてまいります。

【藤田会長】
 これで、本日予定しておりました議事は全て終了いたしました。多くの貴重な御意見をいただき、ありがとうございました。
 最後に事務局の尾﨑審議官から御発言がございましたらお願いいたします。

【尾﨑審議官】
 金融庁の尾﨑でございます。委員の皆様方におかれましては、本日は、自賠責保険における経費の計算方法等の見直しについて、活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。
 金融庁におきましては、保険金不正請求事案や価格調整事案などの問題を受けまして、損害保険業界における制度、監督の在り方や商習慣を含め、見直すべきところはないか点検してきておりまして、そうした論点につきましては、現在行われている「損害保険業の構造的課題と競争の在り方に関する有識者会議」におきまして、具体的な議論が進められております。自賠責保険についても、本日の経費計算基準等に係る御議論を踏まえ、見直すべきところはしっかりと見直す必要があると考えております。
 今後、損害保険協会を中心に、具体的な作業を進めるということになりますけれども、金融庁としてもしっかりと取り組んでまいりたいと考えておりますので、委員の皆様方におかれましては、引き続き御指導、御鞭撻のほどよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。

【藤田会長】
 それでは、これで本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
 

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

監督局保険課(内線3859、3496、2816)

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