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第151回自動車損害賠償責任保険審議会議事録
1.日時:令和7年1月17日(金曜)15時00分~16時20分
2.場所:中央合同庁舎第7号館 12階 共用第2特別会議室 ※オンライン併用
【藤田会長】
それでは、時間が参りましたので、ただいまより第151回自動車損害賠償責任保険審議会を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙のところ御参集いただきまして、御礼申し上げます。
前回1月10日に引き続きまして、今回もオンライン併用の対面会議とさせていただきます。会議の模様はウェブ上でライブ中継させていただいております。
議事録は、通常どおり作成の上、金融庁ホームページで後日公開させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
本日、金子委員におかれましては、所用のため御欠席となります。代理として全日本自動車産業労働組合総連合会副事務局長の佐藤様にお越しいただいております。
【金子委員代理(佐藤)】
よろしくお願いします。
【藤田会長】
よろしくお願いいたします。
それでは、ここでカメラ撮りの方は御退室いただきますようにお願いいたします。
(プレス退室)
【藤田会長】
さて、本日の議題に入ります前に、前回第150回の審議会におきまして、日本損害保険協会より経費の計算方法の見直しに関する報告を受けたところですが、寺田委員からの御質問に対する回答につきまして、日本損害保険協会からより正確な補足説明があるとのことですので、御説明いただこうかと考えております。委員の皆様、そういう時間を取らせていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【藤田会長】
御了承いただけたということですので、損保協会から御説明をいただきたいと思います。
なお、寺田委員からの御質問というのは、第150回審議会における資料2の5ページ目に記載の件数割換算係数に関する質問でございました。影響額として想定される増加金額が大きいということで御質問いただいたところですが、具体的には、件数割換算係数について、今回、交通費及び通信費の利用実態を調査した結果、「10分の1」から「10分の2」に変更となったという説明があったわけですが、その根拠について詳細に御説明いただきたいと、そういう御質問をいただいておりまして、御回答はあったのですけれども、さらにそれについて詳細な御説明をいただけるということのようです。
それでは、損保協会の細島委員より御説明いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
【細島委員】
損保協会の細島でございます。
1月10日開催の第150回自賠責保険審議会において、経費計算方法等の見直し結果を御報告したところ、件数割換算件数の算出方法につきまして御質問いただきました。この点につきまして、お手元の資料1「件数割換算係数の算出方法」に基づき補足説明をいたします。
まず、改めてですが、件数割換算係数とは、保険種目共通の物件費を契約件数割合で配賦する際に、自賠責保険において営業推進活動が少ないことを考慮し、自賠責保険の経費を単純な件数割合で配賦するよりも小さく認識するために、自賠責保険の件数を圧縮する係数でございます。
この件数割換算係数につきまして、昭和52年に「10分の1」と定められて以降、見直しが行われていないことから、今回、実態調査を行いまして、「10分の2」に見直しをいたしました。調査におきましては、交通費・通信費を代表的な費目として、調査課支社の社員を対象に1日当たりの交通・通信利用時間における自賠責保険のために要した時間を調査いたしました。
まず、図1の交通費・通信費の調査結果を御覧ください。これは課支社ごとの調査結果を契約件数で加重平均して算出した分数の集計値であり、前回の自賠責保険審議会で御報告したものです。調査の結果、1日当たりの交通利用時間は、保険種目合計で平均76分のうち自賠責保険に要したものが6分、通信利用時間は、保険種目合計で平均119分のうち自賠責保険に要したものが7分という結果でございました。
次に、図2の交通費・通信費の合算を御覧ください。実際には、保険種目共通の交通費等の実額に件数割換算係数を適用した件数割合で配賦するため、交通・通信利用時間の保険会社別調査結果を契約件数ではなく交通費・通信費の金額で加重平均して算出したものを用いて、今日的な件数割換算係数を算出しております。金額による加重平均値としては、自賠責保険のために要した交通費・通信費の割合は9.3%でした。
続いて、図3の保険種目ごとの件数割合を御覧ください。これは業務実態調査対象課支社における保険種目別の件数割合であり、自賠責保険の件数割合は34.3%でした。件数割換算係数は、この34.3%に係数を乗じた結果が実態調査結果に基づく交通費・通信費割合9.3%と一致するように算出しております。
具体的には、資料右下に記載の算式に基づき、件数割換算係数xを求めており、この結果、件数割換算係数は20%、すなわち「10分の2」という結果になりました。
御説明は以上でございます。
【藤田会長】
ありがとうございました。寺田委員、ただいまの御説明でよろしいでしょうか。
【寺田委員】
他の項目とバランスのとれる具体的な御説明になったと思いますので、この場ではよろしいかと思います。ありがとうございます。
【藤田会長】
どうもありがとうございました。
他の委員の皆様も追加で御質問は特段ありませんでしょうか。今の点につきまして。よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
それでは、今から本日の議題に入ることにいたします。本日の議題としては、キャッシュレス決済導入等に係る自賠責共済規程の一部変更に関する審議、令和7年度の運用益の使途についての報告がございます。
それでは、キャッシュレス決済導入等に係る自賠責共済規程の一部変更について審議を開始したいと思います。本日、本件を御説明いただくに当たりまして、全国自動車共済協同組合連合会理事事務局長の大池様に御出席いただくこととさせていただければと考えておりますが、委員の皆様、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【藤田会長】
御了承がいただけましたので、キャッシュレス決済の導入等に関する自賠責共済規程の一部変更につきまして、まず、大池様から御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【大池事務局長】
全国自動車共済協同組合連合会の大池でございます。
まず、全国自動車共済協同組合連合会の概要を御説明させていただきます。全国自動車共済協同組合連合会は、中小企業者のために自動車共済事業及び自賠責共済事業を運営する北海道、東北、関東、中部、西日本の5地区の自動車共済協同組合と全日本火災共済協同組合連合会を会員とする全国団体で、中小企業等協同組合法に基づく共済事業者となります。
以降、全国自動車共済協同組合連合会は、「全自共」という略称とさせていただきます。
それでは、資料2に基づきまして、自動車損害賠償責任共済規程一部変更について御説明させていただきます。
なお、共済規程とは、全自共及び自動車共済協同組合が中小企業等協同組合法に基づき、共済事業の実施方法等を定めたものになります。その中で、自賠責共済に係る共済規程につきましては、その内容を変更する場合に、自賠法に基づきまして本審議会に諮問する必要がございます。
本日は、自動車損害賠償責任共済規程の一部変更に当たり、変更理由及び変更内容を御説明させていただきますが、その内容は、平成31年1月に開催された第139回自賠責保険審議会の全国共済農業協同組合連合会様及び農業協同組合様における「e-JIBAI」の導入、令和6年1月に開催された第148回自賠責保険審議会の全国共済農業協同組合連合会様及び農業協同組合様並びに全国労働者共済生活協同組合連合会様における「共同システム」の導入の際に説明された自動車損害賠償責任共済規程の一部変更の内容と同趣旨のものとなっております。
それでは、資料の1ページ目を御覧ください。まず、(1)の「変更理由」でございますが、自動車損害賠償責任共済を取り扱う全自共、自動車共済協同組合及び共済代理店に「e-JIBAI」を導入すること、あわせて自動車損害賠償責任共済・保険の引受・契約管理における業界共通の共同システムを導入することに伴い、情報処理の用に供する機器による共済契約の申込み及びキャッシュレス決済手段を通じた共済掛金の収受が可能となるため、全自共及び自動車共済協同組合の自動車損害賠償責任共済規程の変更が必要となります。
なお、「e-JIBAI」及び「共同システム」の概要については、14ページ目、15ページ目で補足説明させていただいております。
次に、具体的な変更内容につきましては、(2)の「変更内容」を御覧ください。
まず、1点目といたしまして、e-JIBAI導入に係る変更となります。e-JIBAIを導入するに当たり、自動車損害賠償責任共済契約申込書の提出を前提としている全自共及び自動車共済協同組合の共済規程について、情報処理の用に供する機器による共済契約の申込みが可能となるよう規定を変更いたします。
2点目は、共済掛金の収受方法の追加になります。現在は申込時に現金で共済掛金を収受することを前提に規定しておりますが、キャッシュレス決済手段を通じた共済掛金の収受が可能となるように規定を変更いたします。
3点目は、「共済掛金払込に関する特約」の新設となります。現在は共済契約に特約を付すことができないと規定しておりますが、全自共及び自動車共済協同組合の共済規程に別紙を新設し、キャッシュレス決済に係る「共済掛金払込に関する特約」を規定するとともに、この特約を共済契約に付すよう規定を変更いたします。
主な変更内容はこの3点でございまして、これらの変更による所要の規定の変更を行う必要がございます。全自共の共済規程の変更に係る新旧対照表につきましては、2ページ以降に記載し、8ページ以降には自動車共済協同組合の同内容を記載しております。
記載内容は、平成31年1月、令和6年1月に開催された自賠責保険審議会において全国共済農業協同組合連合会様が説明した内容と同趣旨です。
なお、5ページ目、11ページ目の付則になりますが、今回御説明した事項に係る共済規程の変更時期につきましては、全自共及び自動車共済協同組合における共同システム等のシステム稼働を令和7年12月1日に予定していることを考慮いたしまして、令和7年12月1日を予定しているところでございます。
弊会からの説明については以上でございます。
【藤田会長】
ありがとうございました。
続きまして、下井保険課長、よろしくお願いいたします。
【下井課長】
それでは、引き続き、諮問内容について御説明させていただきます。お手元の諮問事項を御覧ください。
ただいま大池様から御説明いただきましたとおり、全国自動車共済協同組合連合会及びその会員たる自動車共済協同組合において、共済規程の一部変更を予定しております。
共済規程の変更に当たっては、自動車損害賠償保障法上、各所管官庁が認可・承認を与える際に、当審議会での議論を経て、金融庁長官が同意する必要がございます。そうした観点から諮問いたします。
事務局からは以上でございます。
【藤田会長】
ありがとうございました。
ただいま説明のあった共済規程の一部変更に関する説明及び諮問事項に関しまして、御質問、御意見はございますでしょうか。特段御質問等はないようですけれども、議論は特に必要ないでしょうか。ありがとうございました。
それでは、金融庁長官からの諮問事項についての答申についての審議に移りたいと思います。金融庁長官からの諮問を受けた事項におきましては、審議会として、ただいま特に御意見等はなかったということから、異議はないという判断であり、異議なくお認めいただいたと存じますが、それでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【藤田会長】
どうもありがとうございました。それでは、特に御異議がないようですので、御了承いただいたということにさせていただきます。
また、答申書については、表現ぶりなど技術的な修正があった場合は、最終的に私に一任していただきたいと存じますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【藤田会長】
どうもありがとうございました。それでは、御異議がないということですので、そのようにさせていただきたいと存じます。
それでは、引き続きまして、令和7年度の運用益の使途等について御報告いただきたいと思います。国土交通省、日本損害保険協会、JA共済連の順に御説明いただき、その後、一括して御議論いただきたいと思います。
なお、前回10日の審議会におきまして、麦倉委員より、運用益事業の拠出金はどのように算定されているのか、年々減少しているのはなぜかという趣旨の御質問がございました。この点につきましても御報告いただきますようにお願いいたします。
それでは、まず、令和7年度自動車安全特別会計の運用益の使途等について、国土交通省の忍海邊保障制度参事官より御報告いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【忍海邊保障制度参事官】
国土交通省の忍海邊ございます。それでは、資料3、令和7年度被害者保護増進等事業等について御説明させていただきます。
表紙を1枚おめくりいただきまして、被害者保護増進等事業についてでございます。国土交通省では、自動車事故被害者の方々の救済のために、重度後遺障害者の方々などに対しまして被害者救済対策を実施しております。また、新たな自動車事故被害者を生まないための事故発生の防止対策というものも実施しております。
これらの事業のうち一部は、独立行政法人の自動車事故対策機構、通称ナスバと呼んでおりますが、ナスバにて実施しているところでございます。2本柱である1つ目の被害者救済対策、赤字で記載しておりますが、主なものをこちらに記載してございます。
先ほど申し上げた重度後遺障害者の方々への支援につきましては、専門病院である療護施設の設置・運営や介護料の支給、訪問支援、短期入院・入所協力事業等の実施、また、介護者なき後の生活の場確保に向けた支援、高次脳機能障害の方々の社会復帰などを促進するための環境整備といった事業などを行っているところでございます。
事故の相談・解決につきましては、日弁連の交通事故相談センターによる法律相談を行っており、交通事故被害者ノートの作成配布や相談支援の実施等、遺族の方々への支援、また、交通遺児への支援を行っております。
右側の事故防止対策、青字で記載しておりますが、安全総合対策事業といたしまして、ASV(Advanced Safety Vehicle:先進安全自動車)と呼んでおりますが、衝突被害軽減ブレーキなどを搭載した自動車の普及などを進めているほか、自動車安全性能の評価、自動車アセスメントと呼んでおりますが、実車を用いた衝突試験等の結果の公表などを行うことで、車両の安全性能を向上させる等の事業を行っているところでございます。次のページに移っていただきまして、具体的に令和6年度、また、令和7年度で実施予定であるものにつきまして、主な事業を記載させていただいております。まずは、千葉療護センターの機能強化でございます。昭和59年の開設以降、約40年が経過しており、老朽化が進んでいるところ、現在リニューアルに向けて、令和6年度では基本設計を実施しております。令和7年度は、基本設計を踏まえまして、詳細設計を実施していく予定でございます。
次に、介護者なき後も安心して生活できる環境整備につきまして、令和6年度では、グループホーム等の施設や訪問系介護サービスを行う事業者に対しまして新設を支援するほか、介護人材の確保等を行ってまいりました。令和7年度では、引き続き同事業を行うとともに、令和6年度の被害者保護増進等事業に関する検討会での効果検証を踏まえた運用として、より一層の利用促進を図る予定でございます。
3つ目の事故被害者へのアウトリーチ強化・ユーザー理解増進事業につきましては、令和4年の自賠法改正時の附帯決議や被害者のアウトリーチ強化が求められていることを踏まえまして、令和6年度では、自動車ユーザーに対する自賠制度の周知・広報事業に取り組んでまいりました。令和7年度では、ナスバの認知度向上や自賠責の加入促進等について、引き続き積極的な広報事業に取り組む予定でございます。
事故防止対策としては、自動車アセスメント事業の充実ということで、交差点における対二輪車等の衝突軽減ブレーキ等の新たな評価項目の設定に向けた取組を実施しており、令和7年度も引き続き、新たな評価項目の設定に向けた取組を推進する予定でございます。
予算の推移といたしましては、令和6年度は222億7,100万円でしたが、令和7年度は222億9,100万円と、プラス2,000万円の増額となっております。
ページをおめくりいただきまして、一般会計から自動車安全特会への繰戻しについてでございます。概要のところにございますが、平成6年度、7年度に自動車安全特別会計から一般会計に繰り入れられた1兆1,200億円につきまして、いまだ5,729億円が繰り戻されていないという状況でございます。
今回の予算要求過程におきまして、令和6年度補正で35億円繰り戻されることとなり、令和6年の当初予算と合わせまして100億円の繰戻しとなりました。また、令和7年当初予算では65億円が繰り戻されることとなっております。
引き続き、早期かつ着実な全額の繰戻しに向けまして、大臣間合意を踏まえつつ、しっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。
次のページ以降は参考資料でございますので、また御覧いただければと思います。
国土交通省からの説明は以上でございます。
【藤田会長】
どうもありがとうございました。
それでは、引き続きまして、令和7年度民間保険会社の運用益の使途について、日本損害保険協会の細島委員より御報告いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【細島委員】
日本損害保険協会の細島でございます。
私からは、令和7年度の民間保険会社の運用益の使途につきまして御報告を申し上げます。お手元の資料4を御覧ください。
この運用益拠出事業案は、第三者委員で構成される協会長の諮問機関である自賠責運用益使途選定委員会にて審議・了承をいただいているものであり、2月20日開催の日本損害保険協会理事会で最終決定する予定です。
令和7年度事業案の策定に当たりまして、まず保険審議会の答申等を踏まえ、自動車事故の被害者対策を中心に取り組むとともに、昨今の環境変化を踏まえ、交通事故被害者を生まないための自動車事故防止対策にもより一層注力することを基本方針としております。
それでは、運用益拠出事業案のポイントを御説明させていただきます。
資料の1ページを御覧ください。令和7年度の拠出予定合計額は、資料右上に記載のとおり、17億7,466万円、前年度対比で1,486万円の増額となっております。拠出額の考え方につきまして、前回1月10日の審議会でも御質問いただいておりますので、御説明をいたします。
拠出総額は、自動車事故被害者の関係者の皆様のお声をお聞きするとともに、使途選定委員会や拠出先の各団体からの意見等を踏まえながら、各事業の精査を行って算定した必要な拠出額を積み上げた結果でございます。
事業選定においては、運用益拠出事業の目的を踏まえ、自動車ユーザーが支払った保険料による運用益を支出することが適切かという財源論や必要性、効率性の3つの事業選定における視点にも十分留意し、拠出する資金の使途等を含めて、事業の内容・計画を確認の上、金額ありきではなく、必要な事業に必要な額を支出するスタンスにて実施しております。
その結果、令和7年度の拠出予定合計額は、先ほど申し上げましたとおり、17億7,466万円となります。
また、前回の御質問を踏まえ、次年度の拠出案ではございませんが、平成26年度から令和5年度まで拠出額が全体として減額となっている理由についても御説明をいたします。
資料14ページを御覧ください。民間損保としては、平成26年度、約20億円を拠出委託していたところ、令和5年度拠出は約17億円となっております。
平成26年度対比で減額となった主因は、主に2つです。1つ目が、公的病院や消防庁・警察庁への寄贈事業で約1.5億円の減額となっていることです。2つ目が、交通事故紛争処理センターへの拠出で、約1.5億円の減額となっていることです。
公的病院や消防庁・警察庁への寄贈事業については、平成24年度の今後の自動車損害賠償保障制度の在り方に係る懇談会で検討され、同年度の本審議会で運用益事業の見直しとして報告されたとおり、必要性は高いものの、本来一般会計で賄うべきとの考え方もあることなどを踏まえ、事業への拠出は継続するが、金額については精査していく、あるいは減額する方針としたものです。
交通事故紛争処理センターへの拠出につきましては、平成24年度の事務局移転や業務改善策の実施による経費節減など、効率的な運営に努めていただいているため、減額となっております。
なお、拠出総額は、令和6年度、令和7年度予算については、いずれも前年対比で増額となっております。
令和7年度の拠出案についての説明に戻らせていただきます。資料1ページを御覧ください。まず、拡充する主な事業について御説明いたします。先ほど申し上げた拠出の考え方に基づき精査した結果、自動車事故防止対策の分野では3つの新規事業があります。
具体的には、運転免許保有しない歩行者対象の安全教育と効果の持続性に関する研究、自動車事故の抑止を目的としたマルチモーダル認知症セルフチェックシステムに関する研究、歩車分離式信号機の効果と歩行者の信号待機時間への影響に関する研究に対して助成をします。
次に、自動車事故被害者対策の分野では、頸髄損傷者に対するセルフヘルプ事業、MRIにおける頸椎加齢変化の縦断的研究など、こちらのページに記載した事業以外も7つの新規事業に対して助成をします。
また、緊急医療体制の整備の分野でも2つの新規事業があり、具体的には、外傷外科医と外傷外科手術チームの養成事業、日本病院前救急診療医学会ドクターカー研修会事業に対して助成をします。
今後も引き続き、各団体の事業・研究の取組状況を精査しつつ、適切な被害者支援等の在り方を検討してまいりたいと考えています。
次に、減額する主な事業について御説明をいたします。事業の見直しにおける減額方針に基づき、自動車事故防止対策における交通事故防止用機器の寄贈と救急医療体制の整備における公的病院への救急医療機器購入費補助を減額しております。
令和7年度の事業案の概要は以上のとおりです。総額としては前年度対比で微増となっておりますが、これは必要な事業を充実させる一方、個々の事業内容の精査、見直しも行うなどして各事業を積み上げた結果でございます。
なお、資料2ページ以降に、令和7年度の各事業内容、直近5か年の拠出額の推移、令和5年度の運用益拠出事業の実施状況報告を記載しておりますが、説明は割愛させていただきます。
民間損保としましては、本拠出が自動車事故の被害者の皆様への支援並びに事故防止対策に資するよう、今後とも、自賠責保険運用益の有効かつ適切な拠出に努めてまいりたいと考えております。
以上、御報告申し上げます。
【藤田会長】
どうもありがとうございました。
それでは、引き続きまして、令和7年度JA共済の運用益の使途について、JA共済連の角野委員より御報告いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【角野委員】
JA共済連の角野でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、お手元の資料5に基づきまして、令和7年度のJA共済の運用益の使途について御報告申し上げます。
運用益拠出事業の計画策定に当たりましては、外部調査機関における各施策の実施状況や効果、課題などの検証とともに、交通事故発生状況等の環境認識を踏まえて方向性を整備し、損保協会様と同様に、外部有識者様などから構成される使途選定委員会にて御審議をいただいた上で決定しております。なお、検討に当たっては、これまでの自賠責保険審議会における御意見も参考としております。
では、早速ではございますが、資料の1ページ目を御覧ください。上段に記載しておりますとおり、令和7年度の計画額の合計は10億8,877万円を予定しております。
令和7年度の施策における主な変更点について御説明いたします。
まず、自動車事故防止対策について新規で実施する取組でございます。自転車の交通安全教育の充実化に向けた啓発コンテンツの展開になります。これは令和8年度の春を目途に、自転車の交通違反時に反則金を納付させるいわゆる青切符による取締りが導入されることを踏まえ、高校生を中心に自転車利用時の交通ルール啓発に向けた動画等を作成・展開する取組を予定しており、3,000万円の計画額を予定しております。
次に、自動車事故防止対策について拡充となる取組でございます。シルバー世代向け自動車安全運転診断の実施になります。これは高齢者を中心とした自動車運転時の交通安全シミュレーターであり、次年度のリースの更新に合わせて、より実際の運転に近づけることを目的とした、体験時の椅子の機能改善やシミュレーターソフトのリニューアル、こういったものを行うために、計画額を1,140万円増額いたします。
続いて、見直しを行う取組が3点ございます。
まず、1点目は、シルバー世代向け交通安全教室の実施になります。こちらの取組につきましては、高齢者向けに落語等のコンテンツを交えて交通安全教室を実施するものでございますが、新型コロナが5類移行した後も、コロナ禍以前と比較しまして開催回数が回復していないことを勘案いたしまして、1,300万円減額いたします。
2点目は、歩行者向け交通安全啓発活動の実施となります。薄暮時間帯・夜間の歩行中事故削減を目的としたコンテンツでございますが、この参加者に対する結果通知、着ている服装が見やすい見づらいという見えチェックというものを実施しているわけでございますが、ウェブ通知、オンラインでの通知が完了いたしましたので、1,000万円減額いたします。
3点目は、救急医療機器等購入費補助となります。こちらの取組につきましては、救急医療機器の整備が一定進んでいることから、全体計画額における占率等を勘案いたしまして、1,000万円減額いたします。
予算の推移について、ページの下段に記載しておりますが、令和6年度と比較しますと、新規施策並びに既存施策に対する機能改善の実施や物価高騰の影響等を踏まえ、金額で2,170万円、割合にして約2%の増額となっております。
過去10年分の自賠責共済運用益拠出額の推移については、5ページ目を御覧いただきたいと思います。拠出事業については、各施策の支出実績また運用益積立金の残高推移等を踏まえ、施策の実施内容及び実施規模について検討しております。
10年間での拠出額が減少傾向にございますが、こちらは公共性の高い資金の性格を踏まえ、第三者意見も参考にしつつ、実施の必要性や実現可能性の高い施策を優先的に実施する一方で、費用対効果の低い施策等を廃止・減額してきたことが理由に挙げられます。
2ページ目から4ページ目は、令和7年度の本運用益拠出事業の計画詳細、そして、6ページ以降は、令和5年度の実施結果を記載しておりますので、後ほど御覧いただければと存じます。
これからも、この運用益事業の有効活用に向けて取り組んでいきたいと思っております。
弊会からの報告については、以上でございます。
【藤田会長】
どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの3者の報告に関しまして、御質問や御意見はございますでしょうか。加藤委員、お願いいたします。
【加藤委員】
日本自動車会議所の加藤でございます。詳細な説明をいただきまして、誠にありがとうございます。私からは2点ほど意見ということで述べさせていただきたいと思います。
まず1点目は、資料の3でございますけれども、国土交通省からの報告に関しまして、自動車損害賠償保障制度を考える会を代表いたしまして、一言申し上げさせていただきたいと思います。
自賠責保険料の積立金が特別会計から一般会計に繰り入れられ、いまだ約5,800億円が返済されないままになっている問題について、繰戻し額のさらなる増額、並びに今後の全額返済に向けての道筋、いわゆるロードマップを求めまして、昨年末に、考える会として中野国土交通大臣また加藤財務大臣に面会し、要望をさせていただいたところであります。
その中で、考える会のメンバーであります全国遷延性意識障害・家族の会代表であります桑山様から、交通事故被害者の実情、特にヘルパー不足の問題、あるいは子を介護する親の高齢化の問題であるとか、思いについて率直にお話をいただいたところであります。お二人の大臣にはしっかりとお話を聞いていただけたと思っております。
こういった活動の結果もあり、昨年12月27日に、令和7年度当初予算における繰戻し額65億円が閣議決定をされました。これで8年連続での繰戻しとなったところであります。この間、国土交通省をはじめ関係者の皆様の御尽力に感謝申し上げたいと思います。
しかしながら、令和7年度末見込みで5,729億円が繰り戻されていないこと、また、資料の3にもございますとおり、この5,729億円のうち利子相当額が881億円にも上っております。日銀によるさらなる利上げの動きもある中、早期に返済が進まなければさらにこの利息相当分が増えていくことも想定されます。いずれにしろ、このことについてはしっかり認識して取り組んでいただきたいと思っております。
それから、2点目ですけれども、資料の4、5に関してでございます。それぞれ民間保険会社の運用益あるいはJA共済の運用益について、効果的な使途ということで御説明いただいたところでありますけれども、例えば、自動車事故防止対策で、民間保険会社につきましては、運転免許を有しない歩行者対象の安全教育、並びにJA共済におかれましては、同じ自動車事故防止対策として、自転車の交通安全教育の充実といったことが項目として掲げられておりますが、この中に電動キックボードというのを意識して取組をされたほうがよろしいのかというふうに考えております。
新聞報道等を見ますと、電動キックボードによる事故、あるいは高速道路への誤進入等が度々報道されているところでございます。電動キックボードについても早急な対応が必要かと存じますので、これについてもぜひ参考にいただければと思います。よろしくお願いします。
私からは以上であります。
【藤田会長】
どうもありがとうございました。2点御意見をいただきました。1つは繰戻しの件、もう一つは、運営益の使途でございます。御意見であって御質問ではないのですけれども、もしこの際何かコメントがあれば、いただければと思います。
まず、繰戻しの件について、国土交通省からもし何かあればお願いいたします。
【忍海邊保障制度参事官】
加藤委員、大変貴重な御意見ありがとうございます。
昨年12月の考える会の御活動もございまして、令和6年補正予算では、35億円という平成30年度の繰戻し以降最大の補正予算となり、令和6年度では、合計100億円の繰戻しになりました。
引き続き、いただいた御意見はごもっともかと思いますので、繰戻しにつきましては、早期かつ着実な全額の繰戻しに向けまして、さらなる増額について財務省に対して要求をしてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
【藤田会長】
ありがとうございました。
続きまして、運用益のほうについても御意見いただいておりますが、この点につきましても、もし可能でしたら、国土交通省、損保協会、JA共済連の3者から、もしあれば御意見、コメントいただければと思います。
【忍海邊保障制度参事官】
電動キックボードの関係でございます。国交省でも、自賠責の加入については、普通二輪等に比べて電動キックボードの加入割合が低いというアンケート調査も把握しているところでございます。
令和6年度においては、電動キックボード、また、いわゆるモペットと言われるものに対する自賠責の加入促進を重点的に行いました。具体的には、昨年9月から、若者が集まるような渋谷・原宿において、大々的にポスター掲示等を実施したところでございます。
引き続き、電動キックボードの自賠責保険への加入促進については、しっかりと進めたいと考えてございます。
以上でございます。
【藤田会長】
ありがとうございました。損保協会からもコメントございますでしょうか。
【細島委員】
損保協会、細島でございます。
損保協会といたしましても、電動キックボードに限らず、交通事故防止のための各種啓蒙活動を行っております。特にこの電動キックボード等の特定小型原動機付自転車につきましては、道路交通法の改正により16歳以上であれば運転免許不要で運転ができるようになったことなどを踏まえまして、ユーザー向けに交通ルールや自賠責保険への加入義務について個別にホームページに掲載するなど、周知に取り組んでおります。
いただいた御意見も踏まえまして、運用益拠出事業の目的に加えまして、自動車ユーザーが支払った保険料による運用益を支出することが適切かという財源論や必要性、効率性の3つの事業選定における視点にも十分留意をしまして、拠出する資金の使途等を含めまして事業の内容・計画を確認の上、必要な事業に必要な額を支出するスタンスにて今後の事業選定を行ってまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
【藤田会長】
ありがとうございました。JA共済連からももし何かありましたら、コメントいただければと思います。
【角野委員】
JA共済連の角野でございます。大変貴重な御意見ありがとうございます。
電動キックボードの関係につきましては、私どもも大変大きな関心を寄せております。これは私ども独自の取組でございますけれども、令和5年度に、電動キックボードに係る交通安全啓発といたしまして、交通安全の理解促進に係る動画だとかチラシを作成し、できるだけ多くの人にルールを守っていただくような、そんな活動を進めてきているところでございます。
今後、関係団体の皆様方と連携いたしまして、この運用益の活用につきましても、実効性のある取組ができるかどうかも含めて、今後も前向きに取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
【藤田会長】
ありがとうございました。加藤委員、よろしいでしょうか。
【加藤委員】
ありがとうございました。
【藤田会長】
それでは、そのほか御意見、御質問等ございますでしょうか。佐藤副事務局長、お願いいたします。
【金子委員代理(佐藤)】
自動車総連の佐藤と申します。本日は金子の代理で参加させていただいています。2点ほど意見をさせていただきたいというふうに思います。
先ほど加藤委員からもありましたとおり、繰戻しのところの要望ということで、私からもさせていただければと思います。先ほどあったように、昨年度は過去最高の100億円ということと、あと、今年度は当初予算で65億円ということで、昨年に引き続きという、同額が示され、これについては改めて感謝のほう申し上げたいと思いますけれども、まだ、残りの金額を見ますと、このままのペースで行っても60年程度かかりますので、早期の全額繰戻し、ここに向けては時期の明確化だとか返済の道筋を示すというところ、改めて私のほうからもお願いをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。こちらが1点目でございます。
もう一つは、全体的な意見ということで、運用益の使途の資料3の部分についてですが、特別会計の費用というのは、税金ではなくて、恒久的な被害者保護などの事業により直結するものに使っていくべき有限なお金だと認識しておりますので、事業を計画するに当たっては、効果的・効率的な事業運営となるようにぜひお願いしたいというところがお願いになります。
加えて、もう一点言えば、今回御説明いただいた民間保険や共済の費用も同じだと思っておりますので、研究を極めるためだとか調査としてデータをそろえたい等の本来の目的から外れた資金提供になっていないかという観点で、引き続き精査のほうはお願いをしたいと思います。
以上です。
【藤田会長】
どうもありがとうございました。2点御意見というか御要望をいただいたと思いますが、まず、繰戻しの件につきましては、国土交通省からお願いいたします。
【忍海邊保障制度参事官】
佐藤様、ありがとうございます。
繰戻しにつきましては、おっしゃるとおり、今のペースではまだ年数がかかってしまいますので、早期かつ着実な全額の繰戻しに向けて、しっかりと財務省に要求をしてまいりたいと考えてございます。
【藤田会長】
ありがとうございました。
運用益につきましては、3者から御意見があればいただければと思いますので、まず、国土交通省からお願いいたします。
【忍海邊保障制度参事官】
運用益につきましても、貴重な御意見ありがとうございました。
恒久的な被害者保護に直結するものであるべきというところ、おっしゃるとおりかと存じます。被害者保護増進等事業に関する検討会につきましては、年に2回実施しておりまして、そちらでも委員の皆様から様々意見をいただいているところでございます。
事業の内容につきましては、しっかりと効果検証を行い、御議論いただくことが大切かと認識しておりますので、引き続き、御意見いただいたことを踏まえながら取り組んでまいりたいと思っております。
以上でございます。
【藤田会長】
ありがとうございました。損保協会からもお願いいたします。
【細島委員】
損保協会、細島でございます。
この拠出した金額への効果という観点かと思いますが、拠出を決定するタイミングで、限られた財源により最大限の効果を図るべきという観点から、当該事業は効率性が高いものであるかどうか、拠出する資金の使途等を含めて、事業の内容・計画を精査することで確認をしております。その上で、第三者委員で構成されている損保協会長の諮問機関である自賠責運用益使途選定委員会の審議を経て選定をしているということでございます。
研究事業や、研修事業等の効果の実現には時間がかかるものもあると思いますが、計画段階で可能な限り定量的に、将来的な効果の発現につながると思われるKPIを設けております。KPIの進捗や事業の状況につきましては、各事業年度で2回の報告を求めることで確認を行っておりまして、進捗状況が芳しくないものについては、状況をヒアリングし、対話を行うことで改善を促す、次年度の拠出方針を見直す等により対応を行っております。
今後も、自動車ユーザーからいただいている保険料を財源にしているということに十分留意をしまして、効率性、費用対効果を重要な観点の1つとして確認をしていきたいと存じます。
以上でございます。
【藤田会長】
ありがとうございました。JA共済連からもお願いいたします。
【角野委員】
JA共済連、角野でございます。貴重な御意見、誠にありがとうございます。
私どもJA共済でも、まず、効果評価・検証といたしましては、外部研究機関へ委託しまして、第三者的な立場から実施効果の調査及び評価をいただいているところでございます。
そういった評価結果等を踏まえて、こちらも客観性を確保するために、第三者委員でございます使途選定委員、こちらで審議いただき、そして、常に施策の見直しを図りつつ、さらに有効活用できるように取り組んでいるところでございます。
御意見の趣旨は大変そのとおりだと思っておりますので、今後もさらに有効活用できるように取り組んでまいりたいと思います。
以上でございます。
【藤田会長】
どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。
【金子委員代理(佐藤)】
結構です。ありがとうございます。
【藤田会長】
どうもありがとうございました。
それでは、そのほかどの点でも、御意見あるいは御質問ございますでしょうか。オンライン参加の慶島委員、お願いいたします。
【慶島委員】
ありがとうございます。
1点質問なのですが、資料4と5の運用益事業についてですが、それぞれ1ページですが、例えば、自動車事故防止対策で、民間保険会社さん、JA共済さん、それぞれ内容を講じるということになっていますが、ぱっと見ると、それぞれこの内容について重複しているところはないと思うので、この事業を講ずるに当たって、それぞれ民間保険会社とJA共済さんの双方で事前にすり合わせとかしている結果がこういう内容なのかということを1点質問したいと思います。
以上です。
【藤田会長】
どうもありがとうございました。
それでは、損保協会とJA共済連の双方から、御返答いただければと思いますので、よろしくお願いします。損保協会のほうからお願いいたします。
【細島委員】
損保協会の細島でございます。
現在、損保とJA共済の双方が拠出している事業、4つございます。
ヘリコプターを活用した救急医療システム構築のための事業補助、それから交通遺児への奨学金支給補助、この両者につきましては、拠出先の必要額を踏まえまして、事前に損保協会とJA共済で情報連携の上、拠出額を分担して決定しております。
それから、交通事故無料相談事業支援、これにつきましては、1年間の相談件数割合によって拠出額を分担しております。
もう一つは、損害賠償金による交通遺児育成基金事業支援でございますが、これにつきましては団体発足時から、国、損保、JA共済、自工会等における拠出分担割合が決まっております。
このような形で、事業を重複することではなくて、協議等に基づいて分担を行っておりまして、両者が拠出することによる無駄は生じていない。生じないように実務を行っております。
私からは以上でございます。
【藤田会長】
ありがとうございました。JA共済連のほうから何か補足等ございますでしょうか。
【角野委員】
JA共済連の角野でございます。
今、損保協会様から御説明のあったとおりでございますけれども、まさしく効率的な運営を図るべく、例えば、都市部においては民間保険会社様、そして、農山漁村部、地方部につきましてはJA共済と、こういう役割分担を図りつつ、効率的な運営を心がけておりますし、今後もそのように取り進めていきたいと考えております。
以上でございます。
【藤田会長】
どうもありがとうございました。慶島委員、よろしいでしょうか。
【慶島委員】
はい、結構です。ありがとうございました。
【藤田会長】
そのほかどの点でも、御意見、御質問等ございますでしょうか。オンラインの参加の京井委員、お願いいたします。
【京井委員】
ありがとうございます。いのちのミュージアムの京井です。よろしくお願いいたします。
1つは、国土交通省様のほうから事故防止へのアウトリーチ強化・ユーザー理解増進事業とありまして、この辺がなかなか、ユーザーの方に、自動車事故、自賠責のほうでどのように活用されているかというのを御存じない方が多いので、こちらのほう、例えば、ディーラーのほうで、ディーラーや中古車会社とかそういう会社で、自動車会社のほうで車を購入される方、あと車検を受けられる方たちに、ペーパーか何かでこういう広報というのをしていただけるような形は今後できないかなと思っています。
例えば、ナスバさんの認知度も、本当にナスバさんのほうで相談事業とか様々な事業をしてくださっているので、それが知られていなくて、事故の被害者の方が相談先をどこにしようかとか探されることも多くありますので、広報の事業ということをもう少し考えていただいて、広くいろいろなユーザーの方に知っていただくような形をしていただければと思います。
それと、あと、これは全体的に、国土交通省、日頃から被害者救済対策や事故防止対策にお力をいただいて、私たち当事者の家族は助かっております。
その中で、例えば、交通遺児への支援というのは、本当にこういうふうに力を入れていただいているのですが、交通遺児だけではなくて、子供たちを亡くした場合のその御家庭、子供たちを亡くして精神的に両親が、親御さんの保護者のほうが働けなくなったりとか経済的に落ちてしまったりという御家庭が結構見られます。それと、あとシングルになって、シングルになりましたら被害者のほうでまたサポートがあったりはするのですけれども、両親が、保護者がそろっていて、そして子供を亡くして生活的にとても困窮してしまうという御家庭も多く見られます。
そういうときに、子供たち、御家庭に少し支援がしていただけるような形が今後増えてきて、少しずつでもサポートしていただけるようなことができたらいいなと思っております。
そして、先ほどJA共済様のほうが、シルバー世代に向けた自動車運転の診断ということで、体験型、シルバー世代の方が体験をされるというのはとてもいいなとは思っております。でも、体験だけではなくて、それをサポートしている家族と言ったらおかしいのですけれども、高齢者になって私のように地方におりますと、やはり車はとても必要なのです。
その中で、運転はしないと生活ができないという高齢者の、シルバーの世代の方たちも多く、だけれども、家族から見たらとっても危ないのだと。家族のほうもどうやって免許を返済させようかとすごく考えられて、御相談も私のほうで受けたりはするのですけれども。
そのような困っていらっしゃるシルバー世代の御家庭で、同居されていたりとかそういう御家庭が、どうにかして、今見ていて危ないのだよなと、もちろんこういう体験で自分が実感するということも大切なんでしょうけれども、そうではなくて、家族サポートという形で、医療とかいろいろなところとつながって、高齢者を抱えている、そして、どうしても車がないと生活していけないという方たちのためにも、社会での交通システムを考えていただいたり、そういう研究とかも今後していただければと思っています。
意見として何点かさせていただきました。
以上です。
【藤田会長】
どうもありがとうございました。
主として3点ぐらい御意見あるいは御要望をいただいたかと思いますが、基本的には国土交通省のほうでお答えいただけると思います。よろしくお願いいたします。
【忍海邊保障制度参事官】
京井委員、大変貴重な御意見いただきまして、ありがとうございました。
まず、1点目のアウトリーチ強化のところでございます。自賠制度・加入促進につきましては、実際に、例えば、車を購入したとき等に、ディーラーさん等を通じまして自賠制度・加入促進のリーフレットの配布をしているところでございます。
また、モペットと言われているペダル付原動機付自転車に関しましても、自賠責の加入が必要なのですけれども、販売会社さんに対しましても、モペットを販売したときに、併せて自賠制度・加入促進を促すようなリーフレットを一緒にお渡ししていただくといったことも、令和6年度に実施したところでございます。
引き続き、自賠責加入が行き届きづらいところには、重点的に取組をしてまいりたいと考えてございます。
2点目の交通遺児の支援に関しまして、交通遺児だけではなくて、子供たちを亡くした方々、両親への御支援というところのお話がございました。現時点では、遺族の方向けの支援として相談窓口というものを新たに実施しているところでございますが、それにプラスアルファでどういったことができるのかといったことも踏まえまして、また、検討会等を通じて検討してまいりたいと考えてございます。
3点目、家族、特にシルバー世代の方の車の利用のお話もございました。こちらは大きく2つ実施しております。まず、事故防止対策につきましては、高齢者の事故防止対策という観点では、高齢者の方の免許返納促進施策というものを実施しているところでございます。
他方で、京井委員もおっしゃったとおり、免許を返納した場合に、地域交通、社会での交通システムの中で、十分な受皿がないと返納になかなかつながらないという御意見もございます。国交省では令和6年度に、「交通空白」解消本部を立ち上げまして、地方部での足の確保といった地域公共交通の取組を進めておりますので、そちらとも連携の上で対応してまいりたいと考えてございます。
国交省からは以上でございます。
【藤田会長】
どうもありがとうございました。京井委員、よろしいでしょうか。
【京井委員】
ありがとうございます。御丁寧な説明いただきまして。また今後もよろしくお願いいたします。
【忍海邊保障制度参事官】
よろしくお願いいたします。
【藤田会長】
ありがとうございました。
それでは、そのほか。佐藤副事務局長、お願いします。
【金子委員代理(佐藤)】
すいません。先ほどの自賠責制度の広報のところについて、関連してになりますけれども、自動車総連として、ディーラーを我々は抱えているということで、ちょっと補足というか、意見させていただきたいと思います。
我々ディーラー現場の話を聞いて、自賠責制度のPRや広報の話を聞いておりますけれども、残念ながら、現場のメンバーのほとんどが自賠の更新時に広報が行われていることに対して、なかなかその辺の周知が及んでいないというのが実態としてはあり、実際に現場で紙の配布のものがほぼなくなっているという実態も聞いております。
チラシが配布されていない分、保険証の裏にホームページに飛べるようなQRコードがあるということも承知はしているんですけれども、それによって自動車ユーザーがそれを見に行くのかというと、なかなかそういったのも難しさもあるのかなと思いますので、今後、電子化が進んでいく中でどのようにPRをしていくのか、こういったところも引き続き検討のほうをお願いしたいと思います。
以上です。
【藤田会長】
どうもありがとうございました。
国土交通省からお願いします。
【忍海邊保障制度参事官】
佐藤様、ありがとうございました。
リーフレットの配布については、周知が進んでないという現状があるとのこと、国交省としても自賠責のポータルサイトは立ち上げておりますが、どういった形でアクセスしていただくかについて、どのような手法があるのかというところも踏まえまして、いただいた御意見をしっかり検討してまいりたいと思います。
【金子委員代理(佐藤)】
よろしくお願いします。
【藤田会長】
ありがとうございました。
そのほかどの点でも、御意見、御質問等ございますでしょうか。麦倉委員、お願いいたします。
【麦倉委員】
関東学院大学の麦倉です。前回の審議会での質問に対しまして丁寧な御回答いただきまして、ありがとうございます。
内容といたしましては、拠出金の金額が減額となっているところが、必要性というものをきちんと考慮に入れた上で、透明性のある選定理由で検討した結果であるということで了解をいたしました。
また、説明の中で、費用対効果の低い事業に関しては、よくよく検討して助成の対象から外していくというようなことで御説明をいただきまして、その理由については分かったのですが、なかなか被害者救済のための事業というのは、効果が短期的に見えるのかというと非常に難しいところもありますので、そうした部分に関しましては、できるだけ長期的な視点からの御検討をお願いできればというふうに思っております。
そのほか、損保協会様、それから国土交通省のほうから御説明のありました事業につきまして、若干コメントをさせていただければと思います。
まず、民間保険会社の運用益につきまして、特にピアサポート事業が非常に充実をしているというところで印象を持っております。頸髄損傷者であるとか高次脳機能障害の方へのピアサポート事業に積極的に助成を行っているということが特徴的でありまして、こうした事業が、空白のない、全ての地域において利用可能な形で展開されていくことで、孤立の防止であるとかその後の社会復帰への支援というもの、就職等も含めて進んでいくと思いますので、特に就職等に関しましては、企業との連携等も含めて、インセンティブ等を含めて雇用が実現をされるような、そうした形での支援というのも期待されるところであります。
また、再生医療の推進につきましても取り組まれているということで、脊髄損傷に関する研究への助成ということで、将来の治療法の可能性を広げるということで、実践的な施策としては期待されるところであります。同時に、脳損傷の領域においても再生医療の研究というのは進んでおりますので、こうした部分で、ぜひ広い視野で助成対象等を検討いただけるとよろしいかなと思いました。
国土交通省のほうの被害者保護増進等事業については、いろいろな場面でお話を伺っておりまして、非常に充実をしているというふうに思っております。特に療護施設の設置運営ですとか在宅介護者の支援というところで、こうした施策は引き続き大事なものでありますから、今後も進めていただければと思います。
また同時に、前々から指摘されているところでありますが、介護者が不在となった後の生活を見据えたグループホームの整備というところでは、長期的な安心感を提供する上で非常に重要な取組でありますので、こうした取組を、受皿を増やすという取組をぜひ積極的に継続していただければというふうに思っております。
以上です。
【藤田会長】
どうもありがとうございました。多様な意見をいただきましたが、国土交通省から何かございましたら、まずお願いいたします。
【忍海邊保障制度参事官】
麦倉委員、大変貴重な御意見ありがとうございました。
まず、1点目の被害者救済対策の効果検証につきましては、長期的な視点からの検証ということで、被害者保護増進等事業に関する検討会では、毎年1回、各事業に対して効果検証を行っておりますが、長期的な視点からの検証も視野に入れて整理をしてまいりたいと考えております。
また、2点目のピアサポート事業のところは、脊髄損傷、高次脳機能障害の方向けの支援といたしまして、国交省では令和4年度、5年度からスタートしているところでございます。麦倉委員おっしゃっていた切れ目のない支援というところは非常に大事だと認識しております。
例えば、高次脳機能障害の方に対する社会復帰事業では、自立訓練の実施とその後の社会復帰に向けた地域連携支援、事業者さん等との情報連携といった支援に加え、ネットワーク構築支援という形で病院との連携も行っているところですので、引き続き、そういった切れ目のない支援というところを行ってまいりたいと考えております。
3つ目の再生医療に関しましては、ナスバでも、療護センターにおいて再生医療については検討しているところでございます。御意見として、広い視野での助成対象をというお話がございましたので、検討してまいりたいと考えてございます。
4点目の被害者保護増進等事業について、充実しているというお声をいただきまして、大変ありがとうございます。麦倉委員には検討会でも委員として御参加いただいておりまして、引き続き、特に介護者なき後の問題、グループホームの整備につきましては、受皿を増やすというところで、令和6年度、調査事業を行っているところでございます。調査事業を踏まえまして、どういった形が施策として有効なのかについてしっかりと検討してまいりたいと考えております。
国交省からは以上でございます。
【藤田会長】
ありがとうございました。
御意見の中には、運用益の使途に関係するかもしれない点もあったと思いますので、もし可能でしたら、損保協会及びJA共済連からももし何かあれば御意見いただければと思います。損保協会から何かコメント等ございますでしょうか。
【細島委員】
損保協会、細島でございます。幅広い観点から貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
被害者対策につきましては、短期的な成果はなかなか難しいという御意見をいただきましたが、ぜひ中長期的な観点も踏まえた検討を引き続き検討してまいりたいというふうに存じます。
損保協会の支援事業でも、既に様々な領域にわたって支援をさせていただいておりますが、被害者本人、家族のニーズや現状を踏まえまして、支援が十分にできているかという点につきましては常に課題だというふうに認識をしておりまして、いただいた御意見も踏まえまして、引き続き、幅広く情報収集や関係者の皆様との連携を深めるとともに、民間損保としてできること、すべきことを検討、実行してまいりたいと存じます。
以上でございます。
【藤田会長】
ありがとうございました。JA共済連のほうからも何かコメントございますでしょうか。
【角野委員】
JA共済連の角野でございます。大変貴重な御意見ありがとうございます。
先ほど御意見いただきました、短期的な視点だけでなく、やはり中長期的な視点での取組もあると考えておりますので、短絡的な評価を与えることなく、多角的な、多面的な視点で評価をしていきたいと思っております。
それから、医療研究の動向は、先進医療等、技術進歩も加速度的に進んでおりますので、そういったところを注視しつつ、JA共済として実施できるものは何かないか、こういったものを常に考えながら取り組んでまいりたいと思っております。
それから、その前に、地方では自動車の運転免許がないと生活できない、これは生活ということになりますと買物弱者ということも出てくるわけでございますが、そういった中で、御本人様への対策だけでなく、やはり御家族の方、この支えなくして生活は営めませんので、こういった点も踏まえて、私どもできることは何かないか関係団体の皆様方とも相談させていただきながら、取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
【藤田会長】
どうもありがとうございました。麦倉委員、よろしいでしょうか。
【麦倉委員】
ありがとうございます。
【藤田会長】
そのほかどの点でも、御意見、御質問ございますでしょうか。オンラインで参加の宮木特別委員からお願いいたします。
【宮木委員】
第一生命経済研究所の宮木と申します。本日、御説明ありがとうございました。
私、国交省さんのASVの普及促進のお手伝いもしているんですけれども、ぜひ自賠責の観点からも、事故の未然防止というところでASVの正しい普及促進について発信をいただければというふうに思っております。
先ほど来お話が出ていますように、交通空白地と、あと高齢者ですね。自家用車がないとどうしても生活ができないという方たちの運転寿命を延伸していくという観点からも、車の安全性を高めていくという意味で、ASVというのは非常に期待が高いと思っています。
ただ、このASV、認知度の高さに課題があるというところと、それに基づく利用の促進が必要というところと、さらに、正しい認識に基づく活用というところの推進がまだまだ不十分だと思っております。特に自動運転とASVの区別があまりなされていないような消費者の方も多いので、そういったところ、正しい認識に基づく利用というところを含めて、国交省さんにお力を入れていただければというふうに考えております。
以上です。
【藤田会長】
ありがとうございました。
それでは、国土交通省からお願いいたします。
【忍海邊保障制度参事官】
宮木委員、大変貴重な御意見ありがとうございました。
ASVの普及促進につきましては、国交省でもまさに進めているところでございまして、令和7年度からASV補助金の対象装置要件を見直しいたしまして、交通標識認識システムの普及を促進する予定でございます。
あとは、逆走防止システムの開発に向けた議論というものもスタートしているところでございますので、いただいた御意見も踏まえまして、しっかりと普及促進に努めてまいりたいと存じます。
以上でございます。
【藤田会長】
よろしいでしょうか。
【宮木委員】
ありがとうございます。
【藤田会長】
そのほかどの点でも、御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
どうもありがとうございました。ほかに御意見が特にないようでしたら、これで本日予定しておりました議事は全て終了いたしました。
それでは、最後に、金融庁、尾﨑審議官より一言ございましたらお願いいたします。
【尾﨑審議官】
金融庁、尾﨑です。
委員の皆様方におかれましては、1月10日と本日の2回にわたりまして、自賠責保険の基準料率や運用益の使途に関しまして様々な御意見をいただきまして、事務局としても感謝申し上げたいというふうに思っております。
今回の審議会におきましては、日本損害保険協会から自賠責保険の経費の計算方法に関しまして、第三者委員会での検討結果を御報告いただいたところです。
損保協会におかれましては、御報告いただきました見直し方針や当会での審議会での委員の皆様方の意見を踏まえて経費計算基準を改定し、今年度から新基準のっとった適正な経理処理を行うとともに、御報告いただいた将来の検討課題への対応にもしっかりと取り組んでいただきたいと思っています。
自賠責保険は公共性の高い保険でありまして、適正な運用となることが重要と考えております。事務局の金融庁といたしましても、経費の計算方法がよりよい適切なものとなることも含め、透明性を確保した形で本審議会を運営してまいりたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
本日はどうもありがとうございました。
【藤田会長】
ありがとうございました。
これで本日予定しておりました議事は全て終了いたしましたので、本日の会議を終了させていただきたいと思います。皆様、御多忙の中、2回にわたり御参加いただきまして、ありがとうございました。
以上
(参考)開催実績
- お問い合わせ先
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金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
監督局保険課(内線:3859、3496、2816)