- ホーム
- 審議会・研究会等
- 自動車損害賠償責任保険審議会
- 第127回自動車損害賠償責任保険審議会議事要旨
第127回自動車損害賠償責任保険審議会議事要旨
1. 日時:
平成22年1月19日(火)10時00分~12時00分
2. 場所:
中央合同庁舎第7号館西館12階 共用第2特別会議室
3. 議題:
(1)諮問事項
(a)自賠責保険事業にかかる認可について
(b)自賠責保険普通保険約款の一部変更について
(c)自賠責共済規程の一部変更について
(2)料率検証結果について
(3)報告事項
(a)自賠責診療報酬基準案について
(b)平成22年度民間保険会社の運用益の使途について
(c)平成22年度JA共済の運用益の使途について
(d)平成22年度自動車安全特別会計の運用益の使途について
4. 議事内容:
(1)諮問事項
◎事務局より、以下の諮問事項について説明がなされた。
(a)自賠責保険普通保険約款の一部変更について
イーデザイン損害保険株式会社が、自動車損害賠償責任保険事業を行うことに関する認可。
(b)自賠責保険普通保険約款の一部変更について
損害保険会社が、自動車損害賠償責任保険普通保険約款を保険法や改正自賠法に対応して変更することに関する認可。
(c)自賠責共済規程の一部変更について
全国共済農業協同組合連合会(全共連)及び農業協同組合(農協)、全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済)及び日本再共済生活協同組合連合会(日本再共済連)、全国自動車共済協同組合連合会(全自共)及び自動車共済協同組合、全国トラック交通共済協同組合連合会(交協連)及び交通共済協同組合が、共済規程または共済事業規約(事業の実施方法及び共済約款)を保険法や改正自賠法に対応して変更することに関する認可・同意。
◎審議の結果、諮問事項について異議がない旨、答申がなされた。
(2)料率検証結果について
◎損害保険料率算出機構および事務局より、平成21年度料率検証結果について報告がなされた。
◎本件について出された委員の主な意見は以下のとおり。
20年の料率改定時に、累計収支残等を5年間で大体ゼロにする方向で赤字料率を組んだわけだが、5年で大丈夫なのか、現時点での見込みはどうか。
今回の料率検証結果をもとに非常にラフな試算をすると、累計収支残と累積運用益を合わせた残高は、22年度末で約2,500億円強、23年度末においてもプラスの水準になると見込まれる。24年度末以降になるとなかなか厳しいと考えているが、さまざまな要因が勘案されるので、現時点で明確な見込みは持ち合わせていない。(事務局)
後遺障害の事故件数、事故率の上昇の合理的な理由について、この1年をかけてぜひ解明していただきたい。
後遺障害を残した被害者が東洋医学を頼る傾向があり、支払に関してトラブルになっている例も聞いている。実態の検証をきちんと行うとともに、支払の対象になるかどうかの基準を被害者が理解できるような形にしてほしい。
医業類似行為の施術の必要性については、最終的にはメディカルチェックによって検証されていくべきではないか。
自賠責特別会計から一般会計に繰り入れている金額の返還期限が23年度末に迫っているが、今後の見通しはどうか。これは保険料がたまったもので交通事故のために使われるお金だが、特会だからということで切り込まれたときに、きちんと守れるのか。
保険料収入は単年度ではもう赤字になっており、このトレンドが続くとすれば、早晩、料率を上げるという事態も想定される。ユーザーとしては、自賠責特会への繰り戻しの問題をはっきりしないと、大きな感情問題が残るだろうと思われるので、23年度には約束どおり戻していただきたい。最終段階でだめでしたとならないように、具体的なアクションを考える時期に来ているのではないか。
日本の自賠責保険制度は優れたものだと被害者の立場から常に思っているが、被害者救済というのは政権が変わったから、景気が悪いからとかいうことで変わるべきものであってはいけない。この制度を維持するために、ベースである特別会計を守る、繰り入れてあるものを戻すということをアピールするためにも、具体的な行動を起こしていただきたい。
特別会計への繰り戻しの問題については、22年度予算編成の過程において、財務当局に対して繰り返し要求してきたが、財政状況が厳しいことから、実現できなかった。期限が23年度であることから、来年度に向けてさらに一生懸命要望してまいりたい。(国土交通省)
地域医療も、国民・患者に不利益が出る恐れがある状況であり、社会のセーフティネットとして、広い合意の上で守ってほしい。
交通事故自体は減少しているが、高齢者やこどもといった交通弱者の被害者が少なくないので、決して安閑としていられるわけではない。
子供の保育や介護をやっている方々がいずれ働き出すということが家庭や社会において期待されている中で、家事従事者に関する逸失利益の考え方等は見直しの議論になり得ると思われる。
◎今回の料率検証結果については、収支が当初の想定より若干悪化しているものの、
前回の改定からまだ2年であり、制度の安定的な運営や複数年の契約を行っている契約者の間の負担の公平性という観点から、料率については中期的な安定が求められること
累計収支残及び運用益残高の水準を見ると、今回直ちに料率改定が必要な状況にはないこと
ただし、後遺障害の事故率が増加傾向で推移していること等について、引き続き動向を注視していく必要があること
を勘案すると、今回は基準料率を据え置くことが適当であるということで了承された。
(3)報告事項
(a)自賠責診療報酬基準案について
◎日本損害保険協会より、自賠責診療報酬基準案の実施状況について説明がなされた。
◎本件について出された委員の主な意見は以下のとおり。
日本医師会でもこの基準案の普及については、この1年努力したつもりではあるが、2県についての合意は得られず残念である。合意に向けて引き続き側面から努力したいと思っている。
また、むしろ普及率が大きなテーマであると思っており、普及率の上昇に向けて引き続き努力したいと考えている。
(b)平成22年度民間保険会社の運用益の使途について
(c)平成22年度JA共済の運用益の使途について
(d)平成22年度自動車安全特別会計の運用益の使途について
◎日本損害保険協会、全国共済農業協同組合連合会、国土交通省より、それぞれ説明がなされた。
◎本件について出された委員の主な意見は以下のとおり。
重度障害者で先が長いような場合は、家族だけに負担をかけるのではなく、社会としてそれを受け止めるために成年後見制度や信託を活用することが必要だと思う。成年後見に関する法的問題の調査・研究について、今後も支援を続けていただきたい。
むち打ち損傷や頸椎疾患の調査研究について、賠償実務に携わる弁護士としても頭を抱えている問題であるので、JAの研究報告は自由にアクセスできるよう検討いただきたい。
重度障害者は多種多様であり、親亡き後だけでなく、介護者と介護を受ける人が一生涯抱える問題。目先の事件解決ということではなく一生涯という視点で見ていただき、力を入れていただきたい。また、介護者の心のケアという側面からも力を注いでいただきたい。
紛争処理センターに多額の支援をすることによって、被害者は無料で相談を受けられる状況にあるが、紛争処理センターを利用しない被害者との負担の公平性を考えると、あり方を見直してほしい。
相談業務の縮小という点については、個別の問題だけでなく、交通事故の防止や被害者のセーフティネットを十分に整備するという議論から入るべきであり、慎重に議論すべき。
JA、民間、国が行っている事業で重複している事業がないか、資金拠出先の財務状況や運用状況をきちんとチェックしているのか気になる。
交通事故は国の施策が車社会に追いつかないために発生したと考えれば、交通事故の犠牲者を悼む慰霊碑のようなものを日本のどこかにつくるということを、国の方で検討していただいてもいい時期ではないか。
以上
お問い合わせ先
金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
監督局保険課(内線3375、3772)