第130回自動車損害賠償責任保険審議会議事要旨

1.日時:

平成24年1月31日(火)16時30分~18時30分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館西館13階 共用第1特別会議室

3.議題:

  • (1)料率検証結果について

  • (2)報告事項

    • 自賠責保険 付加率見直しに関する報告

    • 平成24年度民間保険会社の運用益の使途について

    • 平成24年度JA共済の運用益の使途について

    • 平成24年度自動車安全特別会計の運用益の使途について

    • 自賠責診療報酬基準案について

    • 自動車損害賠償保障制度にかかる最近の取組について

4.議事内容:

  • (1)料率検証結果について

    • 損害保険料率算出機構および事務局より、平成23年度料率検証結果について報告がなされた。

      • 純保険料率の損害率は、23年度120.4%、24年度120.2%となり、23年4月の基準料率改定の際に想定していた予定損害率119.4%を若干上回った。この要因は、傷害の事故率が昨年度の予想を若干上回ったことによるもの。(損害保険料率算出機構)
      • 収入純保険料と支払保険金の差額である収支残の累計見込みと運用益積立金残高を勘案したところ、現行料率のもとで24年度末までの収支は維持できる見通し。(事務局)
    • 本件について出された委員の主な意見は以下のとおり。

      • 物損事故の場合には、通常、自賠責保険から治療費等は出ない。医師の診断を受け、人身事故扱いとなった後に自賠責保険が稼動し始めるというのが一般の常識。物損事故でありながら、後日症状が出たとして、医師の診断なく自賠責保険が支払われ、それが全体の3割も占めているということは問題。医師の診断を受け、対人賠償事例として自賠責の実数に上げるべき。これは不正請求や長期間の治療が漫然と続けられる土壌にもなる可能性がある。
      • 物損事故証明による自賠責保険の支払いについては、不正請求がないように、損害保険業界並びに損害保険料率算出機構において、きちんと医師の診断をいただくという取り組みを徹底しているところ。(損害保険料率算出機構)
    • 今回の料率検証における損害率は、昨年度の審議会において議論した際に想定していた予定損害率と比べて乖離が小さいこと、自賠責保険料は中期的な安定を求められていること、さらに、2年連続で改定を行うと契約者間で不公平が生ずること、また、累計収支残及び運用益残高の水準を見ると、直ちに料率改定が必要な状況ではないということを踏まえ、今回は基準料率を据え置くことが適当であるということで了承された。

  • (2)報告事項

    • ○自賠責保険 付加率見直しに関する報告

    • 日本損害保険協会より、自賠責保険の付加率の見直し結果について報告がなされた。

      • 昨年1月の自賠審において、基準料率の段階的値上げに際しては、付加率部分についても削減努力を図るべきという意見を頂戴したことから、学識経験者等の第三者委員を交えた合同委員会を立ち上げて検討を実施した。損保各社が自賠責保険に係る業務実態を調査した結果、代理店手数料については、ほぼ横ばいとなったものの、損保会社の経費については、約73億円減少することとなった。(日本損害保険協会)
    • 本件について出された委員の主な意見は以下のとおり。

      • 今回、合同委員会の中で様々な精査がなされ、具体的な結果があらわれつつあるということについては評価する。合同委員会の中で様々な論点が整理された経過があったと思うが、その辺の議事録について、今後の自賠審等、何らかの形で公表していただきたい。
      • 社費の削減について、73億円という数字を出したことは立派であるが、また今後保険料率を上げる予定であることからも、可能な限りユーザーに負担がかからないようにすべき。約8,000億円の支払保険金が正確に支払われているか、不正請求はないか等について今後さらに検討して、できる限り正確な支払いをすることが求められている。
      • 処理時間を測り、短縮を図った結果、社費が73億円削減されたということであるが、単価×時間で算出される社費については、単価のほうも前回の見直し時と比べてどのように推移しているのか示すべき。
      • 付加率の計算に関するプロセス及び結果が今回初めて国民に明らかにされたということの意味は大きく、削減の効果が2013年度から反映されるということについても妥当なものと考える。
      • 前回業務実態調査が行われたのは2000年であり、これまでの間、2004年にはe-JIBAIの導入もあったのに、何もされていなかったのは問題。これに関しては、定期的に見直す、あるいは大きな変化があったときに見直すなど何らかのルールづくりが必要。
      • 自賠責に関する業務は、定型化された業務であり、大きな環境変化がないと業務生産性が大きく変わることはない。今後は、大きな環境変化があれば、その時点でできるだけタイミングを見て、必要に応じて見直しをやっていきたい。(日本損害保険協会)
      • 交通事故の件数が減ってきているという現状から、減るべき支払保険金が減っていないのはなぜかということについて、新たに委員会を立ち上げる必要は十分ある。
    • ○平成24年度民間保険会社の運用益の使途について

    • ○平成24年度JA共済の運用益の使途について

    • ○平成24年度自動車安全特別会計の運用益の使途について

    • ○自動車損害賠償保障制度にかかる最近の取組について

    • 日本損害保険協会、全国共済農業協同組合連合会、国土交通省より、それぞれ説明がなされた。

    • 本件について出された委員の主な意見は以下のとおり。

      • 運用益で行うべき事業ではないと思われるものや、国の一般会計予算で措置すべき事業なのではないかと思われる事業内容がある。また、被害者救済以外の事業については、前年踏襲とも言えるような予算立てとなっている。貴重な運用益の中での事業ということからも、今回改めてそれらを見直すべき。
      • 今後行う運用益事業の見直しに向けた精査については、徹底的に重複を排除して、十分な効率化を図り、ユーザーが納得できる見直しを行っていただきたい。また、自動車安全特別会計からの一般会計繰り入れが返済されないまま保険料が値上げされることは、自動車ユーザーとしては納得しがたいことであり、毎年、少しずつでも返済していく具体的な計画を示していただきたい。
      • 民間保険会社、JA、国の3つの事業の重複を避け、効率的、効果的に運用益を使っていくという観点からも、報告書のフォーマットをできる限りそろえて、無駄がもっと見やすくなるようにすべき。
      • 一般会計に貸し付けている約6,000億円は、被害者対策事業を行うための基金から出されていることからも、それが戻ってきた際には、現在の被害者救済の水準を後退させることなく、さらに効率的な被害者救済を行うための財源として使うということの検討をすべき。
      • 被害者救済ということを考えるならば、保険会社及び共済組合全体としてどのぐらいの規模の支援をどこにしていくのか、両者合わせて適正な支援を行っていく仕組みが必要。
      • 一般会計への貸付金が戻ってきたときのことについては、すべてのユーザーが被害者になる予備軍ということからも、その予備軍に対して保険料が足らなければ、その保険料の穴埋めに使うということも考慮し、使途をあまり絞らないほうがいい。
      • 新しい自転車、あるいはモビリティについての分類整理をきちんとして、これに関する法律の整備やインフラの優先順位づけ、規制や保険等を含む、いわゆる保障制度の問題のあるべき姿を導くような土俵をつくる必要がある。今のようにいろんな行政にまたがって整理のつかないようなモビリティを整理するため、自賠責運用益事業にある、外部研究機関等に研究委託をして、それをもとに行政の道しるべにしていただきたい。
    • ○自賠責診療報酬基準案について

    • 日本損害保険協会より、自賠責診療報酬基準案の実施状況について説明がなされた。

    • 本件について出された委員の主な意見は以下のとおり。

      • 日本医師会として、残りの山梨県とも交渉している。3月までに自賠責審議会の報告と日本医師会の中の労災・自賠責委員会の答申等を踏まえて、説明に行って、基準案の採用に向けて前向きに検討していただくようにお願いしたいと考えている。

以上

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金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
監督局保険課(内線3375、3772)

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