第142回自動車損害賠償責任保険審議会議事要旨

1.日時:

令和3年1月13日(水)10時00分~12時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館西館9階 905B共用会議室

3.議題:

  • (1)料率検証結果について
  • (2)諮問事項
○ 自賠責保険普通保険約款および自賠責共済約款の一部変更について
○ 日本再共済生活協同組合連合会の定める自動車損害賠償責任共済及び自動車損害賠償責任共済再共済事業規約の一部変更について
  • (3)報告事項について
○令和3年度自動車安全特別会計の運用益の使途等について
○令和3年度民間保険会社の運用益の使途について
○令和3年度JA共済の運用益の使途について

4.議事内容:

(1)料率検証結果について
◎損害保険料率算出機構および事務局より、令和2年度料率検証結果について説明がなされた。
・本年度料率検証結果である令和2年度、令和3年度の損害率はそれぞれ110.3%、110.2%であり、令和2年4月の基準料率改定における予定損害率118.3%と比較すると、改善がみられる。(損害保険料率算出機構)
・運用益積立金残高等を考慮した滞留資金については、令和2年度末の残高が5,965億円を見込んでおり、増加傾向にある。(事務局)
 
◎ 本件について出された委員の主な意見は以下のとおり。
・最新の予測損害率は予定損害率に満たない状況であるため、改定が妥当ではないか。
・現在の120万円という上限は、現在の物価、人件費、医療費の増大に見合っていないと思われるため、自賠責本来の目的である被害者救済を拡充させる観点から、この120万円という上限を上げるということについて、その実現の可能性やメリット・デメリットなどについての検討を始めるべきではないか。
・人身事故ではなく物件事故の扱いで自賠責による治療を受ける被害者の数が非常に多いが、物件事故では実況見分が行われず、事故原因や状況の分析が行われないため、事故発生予防や賠償軽減化に繋げることができず、社会的不利益となり得る。長期治療・入院事案や、後遺障害が残るような事案が実際にはどれほど生じているのか、関係省庁が実態を正しく把握できるように、保険会社にデータの提供を依頼したうえで、社会が不利益を被らないための対策を検討するべきではないか。
・自賠責のデジタル化を進めるべきではないか。オンライン化のためにはデータの標準化が必須となるため、その基盤となる新基準の診療報酬請求の制度化を検討すべきではないか。
・ノーロス・ノープロフィットの原則や、自動車ユーザーへの過度な負担増加が生じないよう保険料は安定的に推移することが望ましく、中長期的な収支などに配慮した料率改定に努めていただきたい。
・社費削減に向けては、コロナ禍の新しい生活様式を踏まえた、より一層の効率化や消費者の利便性向上実現の観点も含め、契約手続の簡素化や損害調査への警察情報の活用、クレジットカード払いなどの振込方法の選択肢拡充など、行政と業界が連携した効率化の取組を検討いただきたい。

◎ 審議の結果、今後の料率のあり方については、次の2点を踏まえて、令和3年度より、自賠責保険の収入と支出が見合う料率水準とすることが適当であるとの方向性が示された。
・保険収支の状況を見た場合、交通事故の減少等により、損害率については110%程度と、前回の基準料率改定時の想定以上の黒字となっていること
・保険契約者への還元に活用される滞留資金の残高は、増加傾向にあること
・新型コロナの影響により、今年度上半期において事故が減少し、その分滞留資金が増加したことにあること
 

(2)諮問事項
○自賠責保険普通保険約款および自賠責共済約款の一部変更について
○日本再共済生活協同組合連合会の定める自動車損害賠償責任共済及び自動車損害賠償責任共済再共済事業規約の一部変更について
 
◎ 事務局、日本損害保険協会、日本再共済生活協同組合連合会より、それぞれ説明がなされた。

◎ 本件について出された委員の主な意見は以下のとおり。
・事故当時の自動車運転装置の作動状況の報告義務や、保険金請求時の調査協力を明確にした約款の改定は、事故状況の適切な把握につながることから、今後、自動運転車の普及が加速する中での責任問題といった課題解決の一助になる。
・実際の事故発生後の対応においては、より具体的な作動状況を把握することが、結果として早期の事故発生原因の解明や、迅速、適正な保険料の支払いにつながる。
・ドライブレコーダー等の活用により事故状況の把握が容易になることが想定されるため、自動運転車両へのドライブレコーダー等の運転記録装置の装着を義務づけるなど、調査期間の短縮につながる仕組みを検討いただきたい。
 

(3)報告事項
○令和3年度自動車安全特別会計の運用益の使途等について
○令和3年度民間保険会社の運用益の使途について
○令和3年度JA共済の運用益の使途について

◎ 国土交通省、日本損害保険協会、全国共済農業協同組合連合会より、それぞれ説明がなされた。

◎ 本件について出された委員の主な意見は以下のとおり。
・ 令和3年度予算では、一般会計から自動車安全特別会計に4年連続増額にて、47億円が繰戻しされることになり、令和2年度第三次補正予算では8億円余りの追加の繰戻しがなされ、本年度は新型コロナウイルス感染が拡大する中にあっても、交通事故被害者が十分な介護サービスを受けられるよう、介護者の待遇改善や人材確保に関わる支援が盛り込まれており、自動車事故対策勘定の積立金取戻しの縮減が図られたものとして評価している
・交通事故相談事業支援が減額されているが、自助グループへのサポートをどうするのか考えていくべきではないか。また、交通事故で障害を持たれた方の雇用の問題について、障害の度合いに応じて就労の可否が変わるため、事業者の理解や協力を求める観点から、就労支援のシステム化を希望する。
・運用益事業は、自動車ユーザーが支払った保険料の運用益によるものであり、その使途はこのような審議会を通じて精査していく必要がある。検討に当たっては、確実な効果検証を行うとともに、昨年8月より発足された今後の自動車事故被害者救済対策のあり方に関する検討会での論議を踏まえ、国と連携し、自賠責保険制度によって運用されるべき事業を適切に精査した上で、自動車事故被害者対策及び自動車事故防止対策の拡充、充実を図ることを求めていきたい
以上
お問い合わせ先

金融庁監督局保険課

Tel 03-3506-6000(代表)(内線3375、3342)

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