第144回自動車損害賠償責任保険審議会議事要旨

1.日時:

令和4年1月24日(月曜)16時00分~18時00分

2.場所:

オンライン開催

3.議題:

  • (1)料率検証結果について
  • (2)運用益の使途について
○令和4年度自動車安全特別会計の運用益の使途等について
○令和4年度民間保険会社の運用益の使途について
○令和4年度JA共済の運用益の使途について

4.議事内容:

(1)料率検証結果について
◎ 損害保険料率算出機構および事務局より、令和3年度料率検証結果について説明がなされた。
・本年度料率検証結果である令和3年度、4年度の損害率は、それぞれ118.0%、116.6%であり、令和3年4月の基準料率改定における予定損害率122.3%と比較すると、若干の余剰が見込まれる状況。(損害保険料率算出機構)
・令和4年度の損害率は116.6%になる見込みとなっており、令和3年4月に基準料率改定を行った際に予定していた損害率(122.3%)と比較すると、乖離率は約4.7%程度となる見込みである。過去に料率改定を行わなかった年度の予定損害率と検証結果の乖離率の平均は約4.6%となっており、今般の検証結果は、この乖離率の平均と同程度の乖離と見ることができる。(事務局)
 
◎ 本件について出された委員の主な意見は以下のとおり。
・乖離率が小幅に留まるとの料率検証結果、ノーロス・ノープロフィットの原則、改定に伴うコスト等を踏まえると、料率据置きとの判断が妥当と考える。
・保険料は安定的に推移することが望ましく、中長期的な収支などにも十分配慮した料率設定に努めていただきたい。また、より一層の効率化や消費者の利便性向上実現に向けて、契約手続きの簡素化や損害調査への警察情報の活用や医療機関等とのネットワークの構築、自賠責保険証明書のペーパーレス化など、行政と業界が連携した効率的な取り組みを検討いただきたい。
・警察庁の統計による負傷者数と、自賠責による傷害の支払件数の乖離が年々拡大しており、実態が反映されずに必要な対応・対策が反映されない可能性があるため、損保会社から事故被害者に適切な人身事故の届出を促すよう徹底していただきたい。

◎ 審議の結果、次の2点を踏まえて、基準料率を据え置くことが適当であるとの方向性が示された。
・収支が当初の想定より若干良化しているものの、予定損害率と現状の損害率の乖離が小幅に留まっており、制度の安定的な運営も必要であること。
・累計収支残及び運用益積立金の水準を見ると、今回直ちに料率改定が必要なほどの状況にはないこと。
 

(2)運用益の使途について
○令和4年度自動車安全特別会計の運用益の使途等について
○令和4年度民間保険会社の運用益の使途について
○令和4年度JA共済の運用益の使途について

◎ 国土交通省、日本損害保険協会、全国共済農業協同組合連合会より、それぞれ説明がなされた。

◎ 本件について出された委員の主な意見は以下のとおり。
・自動車安全特別会計から一般会計へ繰り入れられた資金は、共助社会の実現に向け自動車ユーザーが支払った保険料により積み立てられたものであることを今一度、ご認識いただきたい。
・一般会計からの繰戻しが、増額の上、5年連続で実現し、新たに国土交通大臣と財務大臣との合意文書において、今回の繰戻額を最低ラインとしつつ、合意期間である今後5年間、継続的に繰戻しを実施する旨などが記載されたことは、大いに評価できる。他方でいまだ約6,000億円が繰り戻されてない状況にあり、完済に向けた具体的な返済計画さえ明示されなかったことは、被害者や家族の先行き不安の払しょくまでには至らず大変遺憾である。「自動車事故対策勘定のあり方に関する検討会」にて安定財源の確保策について論議がされている最中、今後の返済に関する新たな大臣間合意文書の中に「賦課金制度の検討と早期結論」と記載されたことは拙速すぎるものと受け止めざるを得ない。
・「介護者なき後」の問題に関連して、ソーシャルワーカーとの連携にも今後力を入れていただきたい。また、救急医療体制分野が減額されていることについて、コロナの影響もあって医療関係はひっ迫している状況であるので、こういった減額は社会情勢を踏まえてよく考えていただきたい。
・被害者支援事業については、より多くの自動車ユーザーの理解の下、持続可能性を高めていく必要がある。具体的な賦課金を活用した制度設計、自動車事故対策事業として取り組むべき施策とその必要性の精査に当たっては、十分な検証、論議の時間確保、併せて国土交通省などによる財源を含めた被害者支援対策、事故防止対策についての丁寧な説明など、自動車ユーザーの理解を得るための努力を求める。
・今後の自動車事故対策事業に関しては、今後の事業がどうあるべきか、どれぐらいの財源が必要か、安定・持続するためにはどのような在り方があるかということが重要なので、まずしっかりと今後の事業の在り方ということを検討する、その中で財源も検討するということが重要と考える。
・自動車事故対策に関するこれまでの(国交省での)論議の場で被害者団体や有識者の方々と共有した最大の危機感は、被害者の方々が直面している課題に、時間的な余裕がないことにある。例えば事故に遭われた方の介護の面では、人手が圧倒的に足りない。特に医療的なケアに対応した方を確保することは非常に難しいという課題がある。このように支援の充実が急務であると同時に、現行の積立金の運用益を基にする枠組みの維持も非常に困難であり、被害者やご家族の安心のために、早期の繰り戻しの実現に加え、賦課金を含む新たな財源の道を探るべきである、ということが共有された問題意識である。
以上
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金融庁監督局保険課

Tel 03-3506-6000(代表)(内線3375、3342)

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