第152回自動車損害賠償責任保険審議会議事要旨

1.日時:

令和8年4月17日(金)16時00分~18時05分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館 12階 共用第2特別会議室 ※オンライン併用

3.議題:

  • (1)料率検証結果について
  • (2)報告事項について
    • 一般会計から自動車安全特別会計への繰戻しについて
  • (3)料率適用開始日の変更について

4.議事内容:

  • (1)料率検証結果について
    •  損害保険料率算出機構および事務局より、令和7年度料率検証結果について説明がなされた。
      • 社費水準の検証結果について、令和6年度に実施された経費計算基準の見直しによる削減効果を踏まえても、物価・賃金上昇等を背景に、依然として支出が収入を上回る状態が続き、累計収支残の赤字が増加している。また代理店手数料についても同様に、賃金・物価上昇の影響を受けて収入の不足が見込まれる。
      • 純保険料率については、令和7年度、令和8年度の損害率はそれぞれ128.7%、127.3%であり、令和5年4月の基準料率改定における予定損害率133.5%を下回り、当初の見込みよりも良好に推移している。一方で、現在の純保険料率は、収支均衡のために料率改定時までに蓄積された収支の余剰額等である滞留資金が活用される赤字料率(予定損害率133.5%)が設定されているが、現行料率の算出時に使用した滞留資金残高7,239億円と比べると、2025年度末時点で滞留資金は5,215億円と約2,000億円少ない金額となっている。このため、収支均衡を図るためには純保険料率は平均で3%程度の引上げが必要となる見込み。
      • 試算を行ったところ、2026年度に改定を実施する場合、基準料率全体では全車種平均で6%程度の引上げが見込まれる。2027年度に改定を実施する場合、損害率、適用利率、物価・賃金上昇率について3パターンの前提を置くと、いずれも現在の水準が継続するケースでは9%程度、楽観的なケースで7%程度、悲観的なケースでは12%程度の引上げが必要となる結果となった(損害保険料率算出機構)。
      • 自賠責保険料は2013年度以降引下げ改定を続けてきたが、損害保険料率算出機構による今年度の検証によると、診療費の増加や賃金・物価の上昇を背景に、純保険料、付加保険料率のいずれにおいても収入が不足する状況が判明した。また、来年度に改定を先送りした場合には今年度の不足分が上乗せされ、ユーザー負担の増加につながる蓋然性が高いとの試算結果の報告もあった。以上より、早期の改定が望ましいと考え、法令に定めるノーロス・ノープロフィット原則に基づいて、今年度、引上げ改定を行うことを提案する(事務局)。
    •  本件について出された委員の主な意見は以下のとおり。
      • 事務局案のとおり進めることが適当。適用時期に関しても、周知活動を含めてなるべく早期にしていただきたい。
      • 料率は、ユーザーの負担が今後大きくなるので引上げも仕方ない。しかし、交通事故が減っている状況での引上げは国民が理解しづらいと思うので、丁寧な周知が必要。
      • 改定を先送りすると引上げ幅が大きくなることが懸念されるとのことなので、急激な変化をなくす観点からは、引上げを行うことが適当。
      • 周知・広報について、交通運輸産業ではユーザーのみならず、荷主や利用者の理解が必要であり、国土交通省や公正取引委員会等との連携を図っていただきたい。
      • 引上げの検討に賛成する。ただし、説明の観点からは、ユーザーの視点に立ち、公共料金のような透明性のある説明を行っていただくことが長期的には好ましい。
      • 新たな滞留資金があるとしても、滞留資金の多くを使い切る2028年度に一挙に保険料が上がることを避けるため、現時点で見直すことは合理的。
      • 事故率が下げ止まっていること、改定を来年に延ばすとインパクトが大きくなることから、今年度改定することに異論はない。ただし、繰戻しがあったのに保険料率が上がることについて、プッシュ的に消費者に説明する工夫が必要と思われる。
      • 引上げの必要性は理解が得られたと思うので提案に賛成する。ただし、ノーロス・ノープロフィット原則の下で、一般国民に対して、社費が多くなっているのもやむを得ないと思える納得感のある説明を保険の引受者が行い、信頼を構築していただきたい。
      • 審議会の開催前に、数値とともに料率引上げの報道が出たことについて、決定事項と誤解されることを危惧している。強い抗議と再発防止を発していただきたい。
      • 被害者保護事業と料率の議論が制度上全く別物であることは承知しているが、制度(料率・繰戻金・賦課金)の関係は一般ユーザーには分かりにくい。このタイミングで料率引上げが必要であることの、より丁寧な分かりやすい説明が不可欠である。
    •  審議の結果、今後の料率のあり方については、次の3点を踏まえて、令和8年度より、自賠責保険の収入と支出が見合う料率水準とすることが適当であるとの方向性が示された。
      • 純保険料について、これまで数年間は、自動車の性能向上等による事故率の低下を背景とした保険料の引下げを続けており、また、コロナ禍における事故減少で発生した収支の余剰について、2022年度の改定において保険料の引下げの原資として活用してきた。しかし、今年度の純保険料率の検証においては、コロナ禍が終わって収支の余剰は縮小しつつあること、事故率の低下が下げ止まりつつあること、診療費の増加などを背景として保険金支払い単価が足元で増加していることから、現行の純保険料率では収支相当となる収入を賄えないこと。
      • 社費についても、2022年度以降、賃金・物価の上昇、システム費用の増加により、自賠責にかかる経費が増加した。これに対して、自賠責保険の経費の計算方法の見直しにより、一定の経費削減効果はあったものの、依然として収入が不足する状況であること。
      • 代理店手数料についても、賃金・物価の上昇の影響を受け、収入が不足していること。
    •  また会長より、金融庁、国土交通省、損害保険料率算出機構、日本損害保険協会、各委員に対して、正確な情報の周知や理解の向上に資するような取組、働きかけを行うよう依頼があった。
  • (2)報告事項について
    • 一般会計から自動車安全特別会計への繰戻しについて
    •  国土交通省より、一般会計から自動車安全特別会計への繰戻しについて説明がなされた。
    •  本件について出された委員の主な意見は以下のとおり。
      • 繰戻された額が被害者支援にしか使えないというのは、被害者当事者団体としてはありがたい。被害者保護増進等事業に関する検討会のメンバーに遺族団体をもう1団体追加いただくことを検討いただきたい。
      • 繰戻しが行われたことは歓迎すべきことだが、賦課金は安定財源として導入されたものであり、賦課金の金額の変更を促す根拠として受け止められることのないよう理解の周知を徹底いただきたい。
      • 賦課金について、被害者保護支援事業の充実・安定的継続を前提としつつ、全額繰戻しという大きな環境変化を踏まえ、見直し(引下げ・廃止を含む)を前提に検討するよう強く要望したい。
  • (3)料率適用開始日の変更について
      • 11月は年度や四半期の区切りとして中途半端であり、法人経理やユーザーの見通しに影響する。12月はボーナス支給月であり、自動車購入の頭金に充てるユーザーも多いため、その直前の11月改定はユーザーにとって受け止めにくい可能性があるため、少なくとも1月への延期を提案する。もし延期できないのであれば、ユーザーの理解を得るための十分かつ丁寧な説明が必要。
      • ノーロス・ノープロフィットの原則に基づいた提案ということは理解する。企業の多くが4月始まりで予算や経営計画を組んでいる実態を踏まえ、期中の改定は現場の混乱や実務的な負担感が増す。今回はともかく、企業運営や影響に配慮し、可能な限り年度開始(4月)に合わせた適用の検討(審議会の前倒しなど)をお願いしたい。
      • 今回は激変緩和のために早めに保険料を見直すものであり、適用時期が遅れれば遅れるほど、改定の趣旨に反することになると思うので、可能な限り早く新しい料率を適用するのがよい。
      • 11月引上げについて、ボーナス直前や期中改定による消費者行動・実務上の混乱への指摘には説得力があるが、自賠責保険は自動車事故被害者救済を目的とする強制加入の公的保険であり、ノーロス・ノープロフィット原則に照らして料率変更が必要と判断した以上、適用可能となり次第適用することが法の趣旨に沿う。
      • 自賠責審議会に新車販売を促進するというミッションはないと思うので、その点は考慮しないことが好ましい。
    •  審議の結果、損害保険料率算出機構において、令和8年11月から適用する前提で新料率の算定を行うこととなった。

以上

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