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平成18年2月17日
金融庁
第122回自動車損害賠償責任保険審議会議事要旨について
第122回自動車損害賠償責任保険審議会(平成18年1月13日(金)開催)の議事要旨は、別紙のとおり。
金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
監督局保険課(内線3375、3772)
本議事要旨は暫定版であるため、今後修正があり得ます。
第122回自動車損害賠償責任保険審議会 議事要旨
1.日時
平成18年1月13日(金) 14時00分~16時20分
2.場所
中央合同庁舎第4号館 共用第二特別会議室
3.議題
(1)料率検証結果について
(2)報告事項
(a)保険料等充当交付金の再計算について
(b)特別会計の改革について
(c)自賠責保険診療報酬基準案について
(d)平成18年度自動車損害賠償保障事業特別会計の運用益の使途について
(e)平成18年度保険会社の運用益の使途について
(f)JA共済における自賠責共済事業について
(g)自賠責保険料のクレジットカード払いを可能とすることについて
(h)改正自賠法等の附帯決議にかかる対応について
4.議事概要
まず、事務局より、議事録の公開について、当審議会の運営の透明性を確保するため、議事要旨に加えて議事録についても原則公開する(ただし、公開することにより、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあるもの等については除く。)旨説明がなされ、了承された。
(1)料率検証結果について
事務局より、平成17年度料率検証結果について報告がなされた。
損害保険料率算出機構より報告のあった料率検証結果について、17年度の損害率は103.9%、18年度の予定損害率は104.1%で、17年4月の料率改定時における予定損害率106.9%との乖離幅は△2.8%、△2.6%となっている旨説明。
また、保険料等充当交付金(以下「交付金」という。)は17年度以降段階的に削減されることから、契約者負担額は20年度に向けて段階的に上昇していくことは前回の審議会で説明したとおりであり、後に国土交通省からの説明のとおり、18年度の交付金は17年度の半分程度となっている。
【本件について出された委員の主な意見は以下のとおり。】
14年4月の自賠法改正時に、施行令別表第1「介護を要する後遺障害」が設けられたが、当該者は非常に重度の後遺障害者で無視できない存在であり、社会の負担にもなっている。別表第1該当者の数を掲載すべきではないか。
自賠責取扱事業者間によって新しい契約者負担額の取扱開始時期が異なると新旧契約者負担額が混在することとなり、契約者に混乱を来たす恐れがあるため、システム等の準備を短期間で行い、新しい契約者負担額は自賠責取扱事業者間で連携を図ったうえ、1月24日を目途に取り扱いを開始する。
◎審議の結果、交付金の減少により契約者負担額が上昇することとなるが、料率検証結果において予定損害率との乖離幅が△2.8%、△2.6%に留まっていること、また、自賠責保険料は中期的に安定を求められていること、過去の改定経緯よりも予定損害率との乖離幅が少ないことから、基準料率について据え置くこととなった。
(2)報告事項
(a)保険料等充当交付金の再計算について
国土交通省より、交付金の創設経緯や交付金の交付方法の考え方、平成18年度の交付金の水準について説明がなされた。
規制緩和策の一環として13年度末に政府再保険制度を廃止。再保険廃止時の累積運用益約1兆9,400億円について、その20分の11、約1兆700億円をユーザー還元して保険料負担の軽減を図るために交付金制度を創設し、19年度末までの6年間の保険契約について予算の範囲内で交付することとされた。
交付金の交付方法の考え方としては、当初3年間は厚めに交付し、従来のユーザー負担額維持に必要な交付金を交付することにより、急激な保険料負担額の増加を防止するとしていた。
17年度末までに約7,300億円を交付金としてユーザーへ還元予定で、従前の赤字料率分に約1,300億円、また、14年度以降の再保険金支払総額は予想より増加していることに伴う費用が約1,300億円必要であるため、今後2年間で交付可能な総額は、約800億円と見込まれる。
18年度の交付金の水準は、昨年方針として後半の3年間も前半に厚めに交付することで、交付金廃止後のユーザーの負担感を出来る限り小さいものにするとされたところであり、18年度は総額約400億円を交付することとしたい。
なお、交付金交付最終年度である19年度は今後の再保険金及び交付金の支出状況に基づいて再度計算をして確定することとしたい。
【本件について出された委員の主な意見は以下のとおり。】
13年度末再保険制度廃止時点での累積運用益1兆700億円について、毎年更なる運用益は発生していないのか。
これまで政府再保険の再保険料は財政融資資金へ預託して長期運用していたが、政府再保険の廃止に伴う交付金の交付時に途中解約しなければならない関係で満期期限前解約に伴う払戻しが発生するため、解約時までに発生した利息から差し引くと、実収入受取額は、16年度はゼロ、17年度でも僅か何十万円しか発生していない。(国土交通省)
今後2年間の交付金交付可能総額は約800億円で、18年度の交付は約400億円ということであれば、19年度の交付可能額は約400億円となるのに、図を見ると19年度は18年度の半減となっている。19年度が交付金最終年度となるので、交付金勘定残高が極力ゼロになるよう、再保険金の支払見込み等を厳密に精査し、本来のユーザー還元という趣旨での使い方を追求して頂きたい。
(b)特別会計の改革について
国土交通省より、昨年12月24日に閣議決定された「行政改革の重要方針」に基づき、特別会計改革の方向性、個別の特別会計の見直しについて、並びに自動車損害賠償保障事業特別会計(以下「自賠特会」という。)の17年度予算等について説明がなされた。
自賠特会と自動車検査登録特別会計(以下「車検特会」という。)は20年度に統合して無駄の排除を行うものとされ、その後業務の性質に応じ、一般会計への統合や独立行政法人化を検討するとされる方針が決まっている。
【本件について出された委員の主な意見は以下のとおり。】
特別会計の改革を行う政府方針については、大変好ましい方向。
自賠特会の原資は、ドライバーのもの。過去に一般会計へ繰り入れた分を運用収入相当額も含めて返済することが国会で議論されたが、実際にどのように返済がされたかについて、きちんと開示すべき。
閣議決定では、自賠特会と車検特会とあまり親和性が無いものを統合することとなっているが、今後の議論の過程の際、自賠責事業の重要性についてきちんとした形で主張して頂きたい。
(c)自賠責保険診療報酬基準案について
(社)日本損害保険協会より、自賠責保険診療報酬基準案の実施状況について、現在45都道府県で実施されており、残る2県(山梨・岡山)に対し、早期実施に向けて引き続き協議を行っていく旨の説明がなされた。
【本件について出された委員の主な意見は以下のとおり。】
自賠責保険は、医療機関が得するためのものではなく、被害者救済のための保険であるのに、一般の診療報酬が1点10円に対し、2倍・3倍も取っている医療機関があり、どうして理解してもらえないのか疑問。
(d)平成18年度自動車損害賠償保障事業特別会計の運用益の使途について
国土交通省より、平成18年度自賠特会の運用益の使途について説明がなされた。
独立行政法人自動車事故対策機構に対する助成については、介護料の支給、短期入院費の助成、療護センターの整備・運営、資金の貸し付け、運行管理者の指導講習等の事業へ補助を行っている。
自動車事故対策費補助金としては、被害者保護増進対策と自動車事故発生防止対策があり、被害者保護増進対策としては、日弁連交通事故相談センター、救急医療設備等に関連する医療機関への補助、短期入院体制の整備に対する補助、交通遺児育成基金に対する補助、自賠責保険・共済紛争処理機構への補助、日本交通福祉協会等への補助を行っている。
自動車事故発生防止対策として、バス等の公共交通機関の利用促進、自動車安全運転センター、交通事故総合分析センター、タクシーセンター、全日本交通安全協会、日本道路交通情報センター等に補助を行っている。
なお、14年の自賠法改正時の附帯決議において、運用益活用事業については、その内容の適正化と効率化を図るために自動車事故対策計画策定の際に自賠責審議会等の場で十分議論するとともに、その結果についても意見を求めるとされていたことから、これまでも審議会等の場に報告等していたが、これまでの資料の出し方に対する委員からの批判を踏まえ、保険会社の実績報告にあわせる形で詳細に記載した。
【本件について出された委員の主な意見は以下のとおり。】
国土交通省においては、諸団体に対する運用益の支出が効率的に使われているかなどのチェックをお願いしたい。
交付金制度や運用益拠出事業の使われ方について、ユーザーは認知していないことから、周知に努めていただきたい。
運用益拠出事業について、自賠責保険とは直接関係ないと思われる地方都市のバス利用促進対策、タクシーの行列解消、交通公園の赤字補填に拠出したとの新聞報道があったが、18年度予算案でどうなったのか。
18年度予算案を決定する際には、新聞報道等で指摘があったことを踏まえ、財政当局と議論し、効率化しているところ。(国土交通省)
自賠特会廃止に伴って一般会計へ統合された場合、当該運用益拠出事業について、一般会計で決定されるのか。
政府方針として20年度に自賠特会と車検特会が統合することとされており、直ちに一般会計となるわけではないので、今後も引き続き拠出事業を行っていく。(国土交通省)
(e)平成18年度保険会社の運用益の使途について
(社)日本損害保険協会より、平成18年度の保険会社の運用益拠出事業案について、これまでの自賠責審議会答申や審議会における意見、自賠法改正時の附帯決議を踏まえ、自動車事故被害者対策を中心に充実することを基本方針として既存事業の見直しや新規事業の選定を行った旨の説明がなされた。
【本件について出された委員の主な意見は以下のとおり。】
支出先団体の有効性及び支出予算の使われ方について、自動車交通事故被害者のためきちんと使用されているのかどうか、十分な確認・チェックを行っているのか。
支出先団体の活動状況ついては、毎事業年度終了後、事業報告書、決算書類等などにより把握している。
運用益拠出事業ついては、毎年同程度の額を前提に支出しているのか。
一応の目安は持っている。これまで基本的にあまり増減はなく、今回はじめて減少した訳であるが、拠出額の維持を目的に何かをするというのではなく、真に事業の有効性を判断のうえ拠出事業を決定しており、ある程度自然体でいくと今後も横ばいで推移する見込み。
(f)JA共済における自賠責共済事業について
まず、事務局より、JA共済における自賠責共済事業について今回報告に至る経緯を説明し、次に、全国共済農業協同組合連合会からJA共済について、自賠責共済制度の経緯、運用益積立金及び累積収支残について説明がなされた。
昭和41年8月の自賠法改正により、組合員の保有する軽・原付及び農協法人が保有している保有契約車両について自賠責共済の実施が認められた。この際には、共同プールへの参入が認められなかったため、JA共済は保険会社とは別の形で自賠責共済事業を実施することとなった。また、協同組合の共済制度として実施されたことから、当初から割戻制度が導入された。
昭和44年11月の自賠法改正により、JA共済における車種制限が撤廃され、対象が全車種に拡大。
8年12月の自賠法改正により、全ての自賠責事業主体に、共同プール事務に参加することが義務付けされ、経過措置として10年間の適用猶予を経て、18年12月1日契約より共同プール事務に参入することとされた。
運用益積立金は16年度末449億900万円。その使途は行政庁通知等により、保険会社と同様に、自動車事故防止対策、緊急医療体制の整備等被害者救済等に限定している。また、毎年度の運用益の活用にあたっては、外部の学識経験者、契約者代表、被害者遺族代表による自賠責共済の運用益使途選定委員会の審議を経て決定しているところ。
16年度末までの累積収支残高は708億9,600万円。収支残の使途についても、法令諸規則、行政庁通知等により13項目に使用制限されている。非常に大きな額となっているが、今後も使途選定委員会の検証を含めながら、13項目に基づき活用することとしている。
【本件について出された委員の主な意見は以下のとおり。】
積立金残高はかなり高額になっているが、10年間経過後の18年12月以降の積立金の行方はどうなるのか。
法改正では18年12月1日以降の契約分から共同プールに入ることになっているので、それ以前にかかる契約と別々に収支勘定していくことが義務付けられている。したがって、18年12月以前契約にかかる収支残高についてはプールされずに、JA共済において管理を適正に行っていく。
リハビリテーションセンターなどの施設について、18年12月以降はJA共済以外の自賠責保険による自動車事故被害者も利用対象になるのか。
公共施設であり、これまでも農家組合契約者に限定していない。また、幅広く社会復帰してもらう観点から、社会に貢献していきたい。
長い伝統をもつJA共済も自賠法の対象となるので、当審議会委員も関心をもっており、累積収支残及び累積運用益等の活用に際しては、審議会委員の考えを参考にして頂きたい。
(g)自賠責保険料のクレジットカード払いを可能とすることについて
事務局より、自賠責保険料のクレジットカード払いを可能とすることについて、契約者の利便性を高めるために、契約者保護の観点や契約締結時点で保険料を確実に収受する仕組みの構築及び現状の事務処理に大きな影響が無いこと等を検討し、保険料支払に関しては、昨年のインターネット通販契約と同様に、契約時にオーソリゼーションを行い、確実に保険料が収受できる仕組みとした旨説明がなされた。
【本件について出された委員の主な意見は以下のとおり。】
自賠責保険に関する苦情の中で二重加入というものが意外にもあるので、こうしたこと防止することを何とか担保できる手法について配慮して頂きたい。
(h)改正自賠法等の附帯決議にかかる対応について
国土交通省より、14年4月の自賠法改正時に衆・参両議院の附帯決議において、自動車事故の被害者の救済及び自動車事故の防止に関し、法施行後5年以内に社会経済の状況の推移等を勘案し、賦課金制度の導入の可能性を含めて検討を加えることとされていることから、被害者対策及び自動車事故防止対策について懇談会で集中的に議論を行い、本年6月末までに見直しをしていきたい旨の説明がなされた。
【本件について出された委員の主な意見は以下のとおり。】
最近、懇談会ばやりで審議会のほかに懇談会が増えているが、非公開で透明性が確保できていないことが問題になっている。非常に重要な事項であるので、是非公開にして頂きたい。
自賠特会の事故対策勘定について、賦課金制度による運用も含め、議論に際しては幅広い検討をお願いしたい。
以上