「ソーシャルボンド検討会議」(第3回):議事録

1.日時:

令和3年6月3日(木曜日)10時00分~11時10分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館9階 905B会議室


ソーシャルボンド検討会議(第3回)

令和3年6月3日


 【北川座長】
 おはようございます。それでは、定刻になりましたので、ただいまよりソーシャルボンド検討会議、第3回会合を開催いたします。
 皆様、御多忙のところ、誠にありがとうございます。

 まず、本検討会議の委員に関しまして、森委員が4月末でJICAを御退職されたとのことで、御本人から委員交代の申出がございまして、同じくJICAの平田委員に交代されております。つきましては、前回に続きまして、本日時点での本検討会委員リストを資料として用意いただいております。

 本日の会合は、これまでの会議と同様、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインでの開催とし、一般傍聴はなしとさせていただいております。また、メディアの関係者の方々は、金融庁内の別室にて傍聴いただいております。

 議事録は、通常どおり作成の上、金融庁ホームページで公開させていただく予定でございますので、よろしくお願いいたします。

 議事に移ります前に、2点、注意事項がございます。
 まず、御発言されない間は、必ずミュート設定にし、ビデオもオフにしていただくようお願いいたします。御発言が終わられましたら、再びミュート設定、ビデオオフ設定にしていただくようお願いいたします。
 次に、御発言を希望される際は、オンライン会議システムのチャット上にて、全員宛てにお名前、または協会名などの組織名を御入力ください。そちらを確認いたしまして、私が指名いたしますので、御自身のお名前を名乗っていただいた上で、御発言いただきたく思います。他の会議では、事務局のみにチャットを送られるということもあったと伺っておりますけれども、必ず全員宛てにお願いいたします。

 それでは、議事に移ろうと思います。
 議事次第を御覧ください。本日は、まず事務局より、これまでの議論を踏まえて作成いたしましたソーシャルボンドガイドラインの草案について御説明いただきます。その後、自由討議とさせていただきます。

 それでは、事務局の金融庁より、ソーシャルボンドガイドラインの草案について説明をお願いいたします。

【中瀬ソーシャルボンド推進調整官】
 それでは、御手元の資料2、ソーシャルボンドガイドラインに沿いまして御説明をさせていただきます。こちら、これまでの検討会議での御議論を踏まえまして、事務局にて作成したソーシャルボンドガイドラインの草案でございます。

 目次を御覧ください。ガイドラインの構成でございますが、第1章から第5章まで、それから付属書で構成をされております。
 第1章「はじめに」では、本ガイドラインの策定の経緯ですとか、目的、基本的な考え方などについて記載をしてございます。
 第2章「ソーシャルボンドの概要」では、ソーシャルボンドとは、ソーシャルボンドのメリットなどについて記載をしてございます。
 第3章では、ICMA原則でも示されておりますソーシャルボンドの5つの要素、1.調達資金の使途、2.プロジェクトの評価及び選定のプロセス、3.調達資金の管理、4.レポーティング、5.外部機関によるレビューといった点につきまして、期待される事項と具体的な方法を記載してございます。
 第4章「投資家に望まれる事項」、第5章「本ガイドラインの改訂」につきまして記載をしております。
 それから、付属書を3つつけておりまして、付属書1ではソーシャルプロジェクトの事業区分、事業細目、対象となる人々の例、付属書2では具体的な資金使途の例、付属書3では開示情報の例をおつけしてございます。

 それでは、3ページ目、御覧ください。ここから本文になっておりまして、上のヘッダーのところに入れておりますけれども、黒が環境省グリーンボンドガイドラインを踏まえた記載、青がICMAのソーシャルボンド原則ですとか関連文書を踏まえた記載、赤字が今回、金融庁事務局で策定した主な箇所というような形で、フォントの色を分けてさせていただいております。
 まず、第1章、はじめにでございますけれども、赤字の部分を中心に御説明させていただければと考えております。
 最初のところ、本ガイドラインの策定の経緯、目的ですが、第1段落では、SDGsですとか、パリ協定、こういったものによりまして、社会的課題、地球環境課題に係る世界的な目標が示されたということを記載しています。
 第2段落では、我が国では、2016年12月、SDGs実施指針を策定いたしまして、日本の文脈に沿った8分野の優先課題を掲げた上で、これら優先課題を踏まえた具体的な施策を、アクションプランに従って行ってきているということを記載しています。
 他方の段落ですけれども、新型コロナの拡大によりまして、SDGsにつきましては取組を一層推し進める必要があるといったことを記載しています。民間企業が果たす役割にも大きな期待が寄せられているということを記載してございます。

 4ページ目を御覧ください。4ページ目では、内外の債券市場におきましてソーシャルボンドの発行が拡大しているということについて記載をしています。国内でも拡大をしているということ、国内の民間企業では2019年に初めて起債が行われたといったことに関して記載をしてございます。
 最後の後ろから3行目ですけれども、債券市場におきまして、SDGsの達成、持続可能な経済・社会の実現に必要な資金の流れを確保するためにも、ソーシャルボンドの活用は有益であるとさせていただいております。

 その後、内外の発行の推移ですとか、国内のソーシャルボンドの発行、発行体別の割合を5ページ目にかけて入れておりまして、5ページ目の下のところ、赤字の部分ですけれども、国際資本市場協会(ICMA)におきまして、ソーシャルボンド原則を策定しておりますが、こちらが唯一の国際標準になっており、我が国の経済界から、ICMA原則との整合性を踏まえつつ、我が国の特性に即したソーシャルボンドに関する指針の策定を求める声があったという経緯について記載しています。
 
 その上で、6ページ目の「こうした経緯を踏まえ」というところですけれども、本ガイドラインの目的について記載をしてございます。ICMAソーシャルボンド原則との整合性に配慮しつつ、発行体、投資家、市場関係者の実務担当者がソーシャルボンドに関する具体的な対応を検討する際、参考となるよう、いわゆる先進国課題を多く抱える我が国の状況に即した具体的な対応の例ですとか、解釈を示すことで、ソーシャルボンドの社会的な効果に関する信頼性確保、それから発行体のコスト、事務負担の軽減の両立につなげて、我が国においてソーシャルボンドの普及を図ることを目的とする、といったガイドラインの目的についてここで記載をさせていただいております。

 その後の2.本ガイドラインの基本的な考え方でございますが、7ページ目を御覧ください。下の赤字の部分の中段のところからですが、グリーンボンドガイドラインが国内のグリーンボンドに係る実務指針として既に活用されているということに照らしまして、本ガイドラインはグリーンボンドガイドラインと基本的な構成を共通といたしまして、また、実務上、同様とすることが望ましいと思われる手続については、可能な限り同様となるよう定めております。こうすることによりまして、ソーシャルボンド、グリーンボンド、その両方の性質を兼ね備えるサステナビリティボンドといった債券に関しまして、一貫性のある対応を図ることができるよう配慮しているものでございます。

 8ページ目を御覧ください。8ページ目の上の赤字の部分でございますが、こちらは検討会議でのこれまでの御意見を踏まえまして、民間セクターによる社会的課題の解決への一層の取組、これが望まれているという状況、それから我が国の民間企業によるソーシャルボンドの発行はまだ始まったばかりという状況、こういったものを踏まえまして、今回のガイドラインでは、一般の民間事業者によるソーシャルボンドの発行を念頭に置きまして、資金使途となるソーシャルプロジェクトの例などを示しているということを記載させていただいております。
 ただし書のところでございますが、公的セクターがソーシャルボンドの発行を検討するに当たりましては、このガイドラインを参照することはもちろん可能でございますし、そのような活用は望ましいということを記載させていただいております。
 
 少し飛びまして、10ページ目を御覧ください。第2章「ソーシャルボンドの概要」でございます。
2.のところで、ソーシャルボンドのメリットについて記載をさせていただいております。ソーシャルボンドのメリットにつきまして、発行、投資、社会的なメリットに分けて記載をしています。赤字の部分でございますが、これらのメリットにつきましては、必ずしも広いコンセンサスがあるものばかりではないということ、それから十分な実証も必ずしも行われているものではないということで、発行歴、発行量において先行するグリーンボンドの整理を参考にして、ソーシャルボンドについて整理を試みたものであるということを記載させていただいております。
 
 まず、1ですけれども、ソーシャルボンドの発行のメリットといたしまして、1)サステナビリティ経営の高度化、11ページ目ですけれども、2)ソーシャルプロジェクトの推進を通じた広範なステークホルダーからの支持の獲得、3)投資家との関係構築による資金調達基盤の強化、4)より合理的な条件での資金調達の可能性を挙げさせていただいております。とりわけ、4)より合理的な条件での資金調達の可能性、この部分に関しましては、現在、様々な議論ですとか、検証が進んでいるところでございますので、その旨を踏まえた記載を赤字のところでさせていただき、引き続きその議論・検証の動向を注視する必要があるという形にさせていただいております。
 
 それから、次の12ページ目でございます。2ソーシャルボンドに対する投資のメリットといたしまして、1)ESG投資の一つとしての投資、2)投資を通じた投資利益と社会的なメリットの両立、3)効果的なエンゲージメントの実施が可能なESG投資であること、こういったことを掲げさせていただいております。
3では、ソーシャルボンドの社会的なメリットについて記載をしております。1)ソーシャルプロジェクトを通じた社会的課題の解決への貢献、2)ソーシャル投資に関する個人の啓発、こういったものを掲げさせていただいております。

 13ページ目でございます。こちらでは、まず、3.でソーシャルボンドの発行フローに関しまして、通常の発行手続との比較で追加的手続を記載させていただいております。
4.サステナビリティボンドのところではサステナビリティボンドの説明をさせていただいております。

 14ページ目でございますが、サステナビリティボンドにつきましては、グリーン、ソーシャル双方の性質を兼ね備えるものでありますけれども、赤字のところに書かせていただいておりますが、本ガイドラインの第3章で掲げる事項、これに関しましては、サステナビリティボンドにより調達される資金が、ソーシャルプロジェクトに充当される範囲において、サステナビリティボンドにも適用するものとし、サステナビリティボンドのソーシャル部分にも活用できるということを記載させていただいております。

 15ページ目を御覧ください。ここからが、第3章「ソーシャルボンドに期待される事項と具体的な対応方法」について記載をしています。
 1.調達資金の使途でございます。1のところでは、ソーシャルボンドにより調達される資金は、ソーシャルプロジェクトに充当されるべきとし、ソーシャルボンドの定義と、その後ろですけれども、青字でソーシャルプロジェクトの定義を置いております。ソーシャルプロジェクトの定義につきましては、青字でございますので、ICMA原則を踏まえた記載にさせていただいております。
 それから、3でございます。こちらでは社会的課題について記載をさせていただいております。ソーシャルプロジェクトが対処する社会的課題の定義を、まず青字で置いております。こちらも、先ほどと同様、ICMA原則を踏まえた定義とさせていただいております。
 その上で、本検討会議におきまして、社会的課題がどういったものであるのかとか、どういったものを参照できるのか、こういったところにつきまして、これまで御意見を頂戴していたところかと思います。それを踏まえた記載を赤字のところでさせていただいております。社会的課題は、その時々において変わり得るが、当該社会において客観的に認識されている課題であるべきである。その上で、社会的課題を把握するに当たっては、SDGsですとか、特に我が国の文脈においては、SDGsアクションプランなどを踏まえて検討することが考えられるとさせていただいております。
 4でございます。ソーシャルプロジェクトの例示ですが、ソーシャルプロジェクトの事業区分、及び各事業区分に対応する事業細目の例につきましては、付属書1に記載されるようなものが考えられるとして、付属書1で事業区分と細目を例示させていただいております。

 16ページ目を御覧ください。5でございます。ソーシャルボンドの具体的な資金使途の例としては、付属書2のようなソーシャルプロジェクトが考えられるとしまして、事業区分、事業細目よりもさらに具体的な資金使途の例につきまして、付属書2で例示をさせていただいております。
 
 付属書1と2を、少し御紹介させていただきたいと思います。35ページ目を御覧ください。こちらが付属書1でございます。こちらでは、ソーシャルプロジェクトの事業区分、事業区分に対応する事業細目、それからソーシャルプロジェクトが対象とする人々につきまして、ICMA原則で示されている例と、本ガイドラインの追加的な例を示したものでございます。柱書きに書いてあるとおり、あくまで例示でございまして、当然、これに限定されるものではないということでございます。
 ※印のところで書いておりますけれども、本ガイドラインの追加的な例の示し方でございますが、SDGsアクションプランなどを踏まえまして、社会的課題として想定されるものに対しまして、国内外の実際の民間企業によるソーシャルボンドの発行事例、これを勘案して追加的な例示を行っているというものでございます。
 表の見方ですけれども、左側の表ですが、一番左の列にICMAソーシャルボンド原則の事業区分を並べております。6つほど並べております。
 その右では、ICMAソーシャルボンド原則の事業区分の細目について、それぞれの事業区分ごとに並べています。
 さらに右ですけれども、青字のところは本ガイドラインの追加的な例示になります。例えば、1.手頃な価格の基本的インフラ設備であれば、本ガイドラインの追加的な例示としましては、防災・減災対策、老朽化対策、災害復興、ICTインフラ、こういったものを掲げさせていただいております。
 さらに、右の表でございますけれども、こちらはソーシャルボンドの対象となる人々の例示を示したものでございます。左側がICMAソーシャルボンド原則の対象となる人々の例示、青字で書いている右側が本ガイドラインの対象となる人々の追加でございます。

 36ページ目を御覧いただきますと、本ガイドラインの対象となる人々の追加例示、代表的なものとして3つほど掲げさせていただいています。地理的・社会経済的に困難な状況に置かれている地域の企業・住民、感染症の拡大等を受け、事業の影響を受けた中小企業等、仕事と子育て/介護等を両立する人々、こういったものを一般的な事例として挙げさせていただいているところでございます。

 37ページ目を御覧ください。こちらは付属書2でございます。具体的な資金使途を例示させていただいているものでございます。考え方は、付属書1と同様でございまして、SDGsアクションプランを踏まえて社会的課題として想定されるものに対しまして、国内外の実際の民間企業の発行事例を踏まえて例示しているものでございます。
 柱書きの2段落目に書いていますけれども、全体としては、国内におけるプロジェクトを想定しまして、参考となるものを例示しているというものでございますけれども、一部、国際協力に係る課題などに関しては、発展途上国における社会的弱者を支援するプロジェクトなど、国際的な社会的課題解決に貢献するプロジェクトも例示しているものでございます。
 表ですけれども、一番左側にSDGsアクションプランを踏まえた社会的課題の例を挙げております。その右側に対象となる人々、さらに右側にソーシャルプロジェクト(具体的な資金使途)の例を挙げさせていただいています。さらに右には、先ほど付属書1で御紹介した事業区分ですとか、事業区分の細目で対応するものを掲げさせていただいているというような形で構成されています。
 ソーシャルプロジェクト(具体的な資金使途)の例の、点線枠囲みで*を打っているところでございますけれども、ソーシャルプロジェクトにつきましては、当然、具体的な資金使途だけで判断されるものではなく、検討会議の場でも御意見いただきましたし、また、ICMAの関連文書でもこういった理念が入っていると認識していますけれども、社会的課題ですとか、対象となる人々、その人々に裨益する理由があるか、こういったものを組み合わせて、ソーシャルプロジェクトとしての個別の適格性が判断されるべきものと考えています。その点を*のところで注書きをさせていただいてございます。
 時間の関係で、内容の詳細は割愛させていただきます。繰り返しでございますけれども、こちらは国内外の発行事例を踏まえた例示でありまして、当然、これに限られるものではないというものでございます。

 16ページ目にお戻りいただければと思います。6でございます。対象となる人々について記載をしています。青字のところ、ICMA原則と同様、対象となる人々の定義、これは地域の文脈によって異なり得るということを記載しています。
 なお書きのところですけれども、ソーシャルプロジェクトが一定の社会全体が直面する課題を対象とする場合など、その性質によっては一般の大衆が対象となり得るということを書いています。その場合であっても、当該一般大衆のうち、プロジェクトによって裨益する人々のセグメントを特定することが考えられるとさせていただいております。
 注16のところでございますが、一定の社会全体が直面している課題につきましては、検討会議でも御意見いただきましたが、例えば新型コロナ感染症の拡大ですとか、大規模震災の発生、こういったものが考えられているということで例示をさせていただいております。
 9のところですが、調達資金の使途に関する投資家への事前説明事項を記載しております。ここでは、事前説明事項としまして、ソーシャルプロジェクトの事業区分に加えて、対象となる人々を示して行うべきということを書いています。さらに、事業区分の細目、事業の詳細、対象となる人々をターゲットとする理由、こういったものを説明することが望ましいという事項として追加をしてございます。

 少し飛ばしまして、19ページ目でございます。こちらは、プロジェクトの評価及び選定のプロセスについて記載をしております。
 1では、発行体は、発行体が当該ソーシャルボンドを通じて実現しようとする社会的な目標、ソーシャルプロジェクトが社会的な目標に合致すると判断するための規準、それから判断を行うプロセス、こういったものを投資家に説明すべきと規定してございます。
 その上で、4でございますけれども、社会的な目標とは、ソーシャルプロジェクトを通じて目指す最終的な効果とさせていただいた上で、社会的な目標の例を、先ほど社会的課題の把握に参照できるとしたSDGsアクションプランを踏まえて、幾つか例示をさせていただいております。ダイバーシティの推進、健康・長寿の達成、自然災害・感染症への対応、地方創生・地域活性化、こういったものを例示として挙げさせていただいております。
 5の規準のところですけれども、赤字の部分ですが、これまでの検討会議での御意見を踏まえまして、レポートティングにおいて用いられる社会的な効果に係る指標によって、規準が示されることが望ましいということを追記させていただいております。

 それから、20ページですけれども、ソーシャルプロジェクトを評価・選定するための規準の例を、こちらのほうで4つほど例示をさせていただいております。SDGsに定めるゴールやターゲットの達成に貢献すると見込まれること、事業区分、対象となる人々が適切であることなどを例示として掲げさせていただいております。
 注18のところでございますけれども、昨今、問題となっております人権への負の影響がないかということを評価しまして、当該評価を踏まえて適切な措置が講じられているか、こういったことも排除規準の一つとして考えられるということを注記させていただいております。
 
 21ページ目を御覧ください。21ページ目では、3つ目の要素の調達資金の管理について規定をしています。こちらでは、調達資金について適切な方法により追跡管理を行うべきことですとか、未充当資金の運用方法については投資家に説明すべきといったことを規定しておりますけれども、グリーンとソーシャルで基本的には取扱いが変わるものではないというこれまでの検討会議での御議論を踏まえまして、グリーンボンドガイドラインと同様に21ページ、22ページで記載をしてございます。
 
 23ページ目を御覧ください。4つ目の要素のレポーティングについて記載をしております。このページ、1から6までのところですけれども、一般的開示、発行のタイミング、開示事項、開示方法につきましては、グリーンボンドガイドラインと同様に記載をしてございます。

 24ページ目でございます。社会的な効果に係る指標、算定方法について記載を7から10でさせていただいております。
 8のところですが、社会的な効果の開示に当たっては、可能な場合には定量的な指標が用いられ、その算定方法や前提条件とともに示されることが望ましいとした上で、定量化が難しい場合ですとか、検討会議でも御意見いただきましたが、定量的な指標のみで十分な社会的効果を示すことが難しい場合には、定性的な表現も用いて当該効果を説明することが望ましいとさせていただいております。
 10でございます。社会的な効果の開示に当たりましては、ソーシャルプロジェクトがどのような過程により社会的な効果を生み出すと期待されるか、その過程を適切な指標を用いて示すことが考えられるとした上で、具体的にはというところでございますが、第2回の検討会議で御議論いただきましたアウトプット、アウトカム、インパクトという形で、ソーシャルプロジェクトがインパクトに至る過程を段階的に示すことが考えられる、というところを取り込んでおります。
 それから、時間の関係でちょっと割愛しますが、付属書3で開示の様式の一例をつけさせていただいております。

 26ページ目を御覧ください。こちらでは、外部機関によるレビューについて記載をさせていただいています。外部機関のレビューに関する全般的事項、レビューを付与する外部機関が則るべき事項に分けまして、規定をしてございます。基本的に、グリーンボンドガイドラインの外部機関によるレビューの規定と同様に記載をしておりますけれども、少し分量が多いので、そこから追加しているような事項を中心に御紹介させていただければと思います。

 28ページ目を御覧ください。こちらでは、外部機関のプロフェッショナルとしての倫理規範的事項について記載をさせていただいています。1では誠実性、2では公正性について記載をしています。2の公正性の箇所では、発行体との第三者性を確保すべき、第三者性については資本関係、人的関係によって判断されることが望ましいといったことを、本文中、記載しています。
 その上で、注30、赤字の部分でございます。これらの場合以外にも、外部機関のレビューの公正性を確保する観点から、外部レビューの付与と、当該外部機関、また、そのグループ企業が行う他の業務、コンサルティングですとか、アドバイザリーサービスなどを含みますけれども、これに限らずということになりますが、この間で利害関係に留意が必要な場合があり得る。このような場合、外部機関は公正性を確保できるよう、必要に応じて適切な措置を行うことが望ましいといったことを追記させていただいております。

 次は、30ページ目を御覧ください。6のところでございます。外部機関の組織としての要件の箇所です。ここでは、外部機関は、外部レビューを適切に実施するための十分な組織体制を有し、外部レビューを実施する方法論(評価の軸となる考え方を含む)や手続をあらかじめ定めているべきということを、グリーンボンドガイドラインと同様に記載をしております。その上で、第2回の検討会議での御意見なども踏まえまして、外部レビューの透明性ですとか、比較可能性の向上を図るため、方法論や手続に関する情報をあらかじめ開示することが望ましいということを1つ追加させていただいております。
外部機関のところで、追加などさせていただいた主な点は以上でございます。
 
 33ページ目、第4章「投資家に望まれる事項」を御覧ください。中段の赤字の部分、国内外の発行事例を踏まえた例示でございまして、その時々の社会状況も踏まえまして、企業の創造性ですとか、イノベーションにより、多様なソーシャルプロジェクトが、今後、実施されるものと考えております。発行体により、ソーシャルプロジェクトが目指す社会的な効果が適切になされることを前提に、最終的な判断につきましては投資家に委ねられるべきと考えております。したがって、ソーシャルボンド市場が健全に発展するためには、投資家の役割は極めて重要といったことについて記載をしてございます。

 最後の34ページ目、第5章「本ガイドラインの改訂」のところでございます。まず、最初の段落では、本ガイドラインは、我が国の市場の成熟度ですとか、国際的な議論の動向、それからICMAのソーシャルボンド原則をはじめとします関連文書の改定、その他状況に応じまして改定していくことを予定しているということを記載しています。
 それから、なお書きの部分ですけれども、ソーシャルプロジェクトの社会的な効果に係る指標につきましては、引き続き具体的な例示に向けまして、関係者間で議論が進められることを期待されるとしております。また、第2回の検討会議におきまして好事例の共有といった話もありました。ソーシャルボンドのさらなる普及に向け、金融業界・関係機関などとも連携し、国内外のソーシャルボンドの発行の好事例の共有、こういったことも進められることが期待されるということを記載させていただいております。
 
 すみません、少し長くなりましたけれども、事務局からの説明は以上でございます。

【北川座長】
 ありがとうございました。
 それでは、これより皆様から御意見等をお伺いする討議の時間とさせていただきます。多くの委員に御発言いただく機会を確保する観点から、御発言のお時間といたしましては5分を目安にしていただければと思います。4分を過ぎますと、事務局から発言時間の残りが1分である旨のチャットが発言されている委員のみに送付されますので、発言時間の参考にしていただければと思います。

 それでは、いかがでございましょうか。熊谷様、よろしくお願いいたします。

【熊谷委員】
 熊谷でございます。どうもありがとうございます。
 初めに、短期間でこれまでの意見を取りまとめ、まさに世界の先進国に先駆けて、すばらしいソーシャルボンドガイドラインの草案を作成していただきまして、金融庁には大変感謝申し上げます。
 国際的な動向においては、6月10日にグリーンボンド原則の改訂が予定されており、改訂内容の本草案への必要に応じた取り込みなど、ガイドライン策定に向けた作業はまだ継続中であると認識しておりますが、その点を念頭に置きつつ、現時点の草案について簡単に意見を申し述べさせていただきます。

 10ページ、第1パラグラフ、「1.ソーシャルボンドとは」で、「ソーシャルボンドとは発行体(民間企業、金融機関、独立行政法人等)が」とございますが、EUのような政府機関もソーシャルボンドを起債しており、今後、発行ニーズは高まる可能性もございますので、「民間企業、金融機関、独立行政法人」に加えて、「地方公共団体」も例示していただいてはいかがでしょうか。

 20ページ中段、「ソーシャルプロジェクトを評価・選定するための規準の例」の一つに、「ソーシャルプロジェクトが、SDGsに定めるゴールやターゲットの達成に貢献すると見込まれること」とありますが、15ページの「社会的課題及びソーシャルプロジェクトの特定」の記載で、社会的課題について、「当該社会において客観的に認識されている課題であるべきである」としてローカルの文脈についても言及していることから、本表記においても、ローカルの文脈での社会的課題の解決への貢献という点との平仄を明確にするために、「ソーシャルプロジェクトが、SDGsに定めるゴールやターゲットの達成、もしくは当該社会(日本)において、客観的に認識されている社会的課題の解決に貢献すると見込まれること」とする表記を検討してはいかがでしょうか。

 47ページ、ICMA事業区分の例である「6.社会経済的向上とエンパワーメント」に関する事業区分の細目の追加的な例示として、ダイバーシティ推進と女性活躍推進が併記されておりますが、SDGsアクションプラン等を踏まえた社会的課題の例では、女性活躍推進等はダイバーシティ推進の一つとして位置づけられています。事業区分の細目の例示も、女性活躍推進は本来のダイバーシティ推進の位置づけと同じ表記、すなわち「ダイバーシティ推進(女性の活躍推進を含む)」と記載されるのがよいのではないでしょうか。

 49ページの「付属書3 開示情報の例」ですが、ICMAの例でもアウトプット、アウトカム及びインパクトの全てを埋めて開示していないものも含まれておりますので、ICMA規準対比で厳し過ぎることにならないように、記載可能な範囲での記載が許容されるように注記等で明確化していただいたほうがよろしいかと考えます。

 なお、ほかの委員の皆様も含め、様々な御意見があろうかと思いますが、こちらの草案で記載された付属書の内容は参考事例という位置づけであり、まずはこちらの記載で前に進めていくことがよいのではないかということを申し添えます。

 以上、簡単ではございますが、意見を申し述べさせていただきました。ありがとうございました。

【北川座長】
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして竹林様、お願いいたします。

【竹林委員】
  ありがとうございます。竹林です。
 まず、事務局の皆様におかれましては、ガイドラインの草案作成、大変お疲れさまでございました。環境省様のグリーンボンドガイドラインをベースに作成されているということで、今回、金融庁様のほうで追記された部分、特に第3章以降に絞ってコメントさせていただこうと思っております。

 事務局の方に確認ですけれども、こういった場で発言するには細か過ぎるかなというような内容のものもあったりするのですが、そういった点に関しては、別途お伝えするようなやり方というのは許容いただけるものでしょうか。

【中瀬ソーシャルボンド推進調整官】
 本日、御発言いただけなかった点については、メール等でいただければ、それをまた検討させていただければと思いますので、メール等でいただければと思います。

【竹林委員】
 はい、分かりました。ありがとうございます。
 まず、15ページ以降の「調達資金の使途」についてでございますけれども、15ページの2、「特定の社会的課題に対し、明確な社会的効果を有するべきである」と追記いただいていて、そのとおりだと承知しております。他方で、通常の債券で資金が充当される事業においても何らかの社会的効果というところは発生するものでございまして、少し踏み込んだ発言になるのかもしれないですけれども、ソーシャルというラベルをつけて市場にシグナルを出す以上、通常の債券によってもたらされるもの以上の社会的効果、いわゆる追加性とか、アディショナリティと言われるものを追求していこうという姿勢がソーシャルボンドにおけるプロジェクトでは重要でございますので、その点、何らかの形で言及をいただくということができないか、提案したいと思います。

 同じく、15ページ目の3です。ソーシャルプロジェクトの特定において、自社の目標、戦略、政策等を踏まえることの重要性、言及をいただいております。この点、前回の検討会でもコメントさせていただいたかと思いますけれども、ソーシャルプロジェクトと自社目標、戦略等との整合性の確認というのは、ある程度、第三者レビューでもスタンダードになってきていると言っていい状況ですので、これは皆さんの御意見もお伺いしたいところではありますけれども、個人的には、「考えられる」と結んでおられるところは、「望ましい」と位置付けてもいいのではないかと思いました。
 16ページの6のところも同じです。当該プロジェクトによって特に裨益する人々のセグメントを特定することが「考えられる」となっていますが、ここも踏み込んで「望ましい」という表現を提案したいと思います。

 次に19ページ以降の「2.プロジェクト評価及び選定プロセス」についてですが、20ページの7で、ソーシャルプロジェクトを評価・選定するための規準の例を挙げてくださっております。先ほども申し上げました本ガイドラインの草案の多くの箇所によって、この選定規準を自社の包括的な目標、戦略等の文脈に位置づけることの重要性を言及いただいているところですので、ここでの例示においても、「自社のサステナビリティ管理の戦略、方針で特定された重要課題と整合的であること」というような記載を含めてもいいかと思いました。

 最後に、37ページ以降の付属書2で書かれている「SDGsアクションプラン等を踏まえた具体的な資金使途の例」にコメントさせていただきます。先ほどご説明を頂いたとおり、ここで記載されている事業区分や対象人口、対象となる人々の事例は、実際に発行実績があるものから引っぱってきておられるということですので、例えば「ICMA原則に沿ったソーシャルボンドと名乗るための資金使途のイメージ」をざっと理解する上では非常に有用な情報をまとめていただいているかと思います。
 他方で、前提として御承知いただきたいのが、弊社を含むいわゆる外部レビュー機関では、ICMA原則との整合性確認という観点に追加する形で、それぞれ独自の評価枠組みを有している点です。要はICMA原則に沿ったソーシャルボンドであるということを前提として認めつつも、各レビュー機関はそれぞれの評価において、市場のベストプラクティス対比で「こういう課題がある」という指摘とともに低評価にするケースですとか、場合によっては、「その資金使途では評価レポートを出す対象に合致しない」というような判断を下すケースがあるということです。
 その意味で、もちろんこのままでも有用な情報を取りまとめていただいていると思いますが、あえてグローバルで行われているマーケットプラクティスを基準としていただけるのであれば、発行実績があるかという視点に加えて冒頭で申し上げたような「社会インパクトの追加性を追求していく姿勢」にも言及いただくことをご提案いたします。例えば「対象となる人々の例」で記載されている地域企業、住民などはやはり資金使途によっては、対象として広すぎると判断されるうるものですし、併せてここでも「可能な限り特に裨益する人々のセグメントを特定することが望ましい」旨を追記していただきたいと思います。それによって、例えば付属書2しか見ないような方々でも、ガイドラインの意図を明確に理解していただけるのではないかと考える次第です。

 最後にもう1点、付属書2に関して重要だと思っておりますところは、※マークで記載いただいている「ソーシャルプロジェクトは社会的課題と対象となる人々の組合せで判断することが重要」との点、まさにそのとおりだと思います。ただ、ここで列挙いただいているプロジェクトの例の中には対象となる人々への言及がなく、単に「介護サービス、施設の提供」のような例示になっているようなものもございます。これらについても例えば「“経済的・社会的に困難な状況にある人々を対象とした“介護サービス」というように対象となる人々と、プロジェクト区分を組み合わせるような形で例示していくが望ましいと思いますのでご検討いただければ幸いです。

 大きなところとしては以上でございます。ありがとうございました。

【北川座長】
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、ニッセイアセットの反田様、お願いいたします。

【反田委員】
  反田です。
 今回は限られた時間の中、事務局の皆様を中心に、ガイドラインの草案を策定いただき、ありがとうございました。基本的には、ICMAのソーシャルボンド原則、環境省のグリーンボンドガイドラインに沿った形となっており、またこれまでの議論が広範に反映されており、内容に問題はないかと思います。

 私のほうからは、1点コメントを述べさせていただきます。11ページ目、「4)より合理的な条件での資金調達の可能性」に関してでございます。
 1段落目で、「当該企業などに対してプラスの効果をもたらし、ひいては資金調達面でも好影響を及ぼすことが想定される」とありますけれども、「資金調達面で好影響」とまで書いてしまうと、「低金利の調達が可能になる」ということを暗に示しているような印象を受けます。その後に続く文章では、「通常の債券発行に比して有利な条件での資金調達が可能か否かについては、統一的な見解が存在するとは言い難く」となっており、流れが少し分かりにくい気がいたしました。
 また、「プラスの効果」の意味合いがやや漠然としているのと、やはり発行条件はあくまで市場判断ということを鑑みますと、例えば「当該企業などの信用力を含めた評価向上につながり、その市場評価を踏まえた上で資金調達が可能になることも想定される」など、少しトーンを抑えた書き方も一案かと思います。
 これらを踏まえると、表題についても、「より合理的な条件での資金調達」というよりも、「より市場評価を踏まえた資金調達」などの書き方も一案なのかなと思います。
 また、全体として「発行時」にややスポットが当たり過ぎているような印象を持ちました。2段落目で記載されています議論・検証については、例えばグリーンボンドでしたら「発行条件、すなわち発行市場」だけではなく、「流通市場」でも行われているかと思います。流通市場の取引状況が発行市場の条件設定につながることも多く、両市場は密接に結びついております。「発行条件に関する様々な議論・検証」はなく、例えば「発行条件(もしくは発行市場)や流通市場に関する様々な議論・検証」などと書いたほうが実態に近いのかなという印象です。

 私からは以上になります。ありがとうございます。

【北川座長】
 ありがとうございました。
 それでは、有江様、お願いいたします。

【有江委員】
 有江でございます。
 今回は、本当に短期間でこのような文案をまとめていただきまして、ありがとうございます。
 
 私も、全体的には、特に反対といいますか意見はないのですが、今まさに触れられた11ページの4)より合理的な条件での資金調達の可能性の部分に、一番最後に「ソーシャルプロジェクト債等について」と書かれています。ここで発行のメリットと掲げられているところに例としてソーシャルプロジェクト債等が挙げられているのですが、ここで想定されている債券の種類、恐らくここではソーシャルレベニューボンドであるとか、ソーシャルプロジェクトボンド、あるいはセキュリタイズド、カバードを想定されているのかなと思いますが、本文ではなく注釈でも構わないので、もう少し具体的に言及されたほうがイメージとしては湧きやすいのかなと思った次第です。
 ただ、ここにつきましてもあまり踏み込んでしまうと具体的な発行事例を探すのもなかなか難しいとは思いますが、ちょっと御検討いただければと思った次第です。

 私からは以上です。

【北川座長】
 ありがとうございました。
 それでは、礒根様、お願いいたします。

【礒根委員】
 ありがとうございます。
 今回のガイドライン作成に当たりましては、民間企業によるソーシャルボンドの発行の促進に着目して、具体的な使い道の例を示していただいておりまして、本当にありがとうございます。発行体としての観点から、簡単に発言させていただきます。

 当社は、ソーシャルボンドを発行しておりますが、ユニバーサル対応等を資金使途とした発行ではありましたが、今回、追加的に例示されたものとして、ダイバーシティ推進だとか、女性活躍推進、働き方改革、子育て支援、介護支援等、記載いただいておりますが、これらのテーマで投資を伴うプロジェクトがどこまであるか、投資がどれだけ積み上がるかという部分は、多少難しい部分もあるのではないかと思っております。
 そのほか、地方創生や地域活性化につきましては、今回、我々もそうですけれども、様々な取組をしておりますので、そういった分野でどこまで投資があるか、今後も検討を続けていきたいと思っております。
 先ほど、ダイバーシティ推進や働き方改革と申し上げましたが、ソーシャルボンドだけではなく、資金使途に一部、こうしたソーシャルプロジェクトを含んだサステナビリティボンドの発行の増加につながることにも期待をしたいと思っております。

 あと、発行体としてではないのですが、ICMAのソーシャルボンド原則の事業区分の例示の5番目に「食糧の安全保障」があります。日本の食料自給率は低下を続けており、少しデータは古いかもしれませんが、食料のカロリーベースで約6割は海外からの輸入に依存しています。自給率の改善目標はあるものの、改善傾向はまだ見られていないのが現状だと認識しております。ここで言うソーシャルプロジェクトは、主に発展途上国を対象とした記載なのかもしれませんので、見当違いなのかもしれないのですが、今回の機会を通じて、小規模生産者の生産性向上だけでなく、農業法人の参入や大規模化も促進しながら生産性を上げて、我が国の食糧の安全保障にもっと注目が集まってもいいのではないかと、個人的には思っております。

 すみません、短いですが、以上です。

【北川座長】
 ありがとうございました。
 それでは、森澤様、お願いいたします。

【森澤委員】
 こんにちは。よろしくお願いいたします。
皆様と同様に、金融庁がこの短期間に、これだけすばらしいものをまとめられましたことを、本当にすごいなと思いますし、うれしく思います。
 その中で、2点ございますけれども、1点目は、このソーシャルボンドのガイドラインができることによりまして、ソーシャルボンド、また、サステナビリティボンドのソーシャルなプロジェクトに対応できると。これは、日本においてスチュワードシップ・コードが策定されて、2017年に改訂、また昨年の再改訂で、サステナビリティも入り、規範が整備されて、今後、発行する、そういった素地が整ってきたと思います。その中では、発行に当たりましては、当然のことながらそういう機関投資家、スチュワードシップ・コードを受け入れていらっしゃるということが、また、その中でも報告いただくことが重要かと思うんですが、これは事前説明で少しお伺いしたときに入っているとおっしゃっていただきましたが、私自身が見つけられないものですから、それがどこに記載されているかをちょっと教えていただきたいということです。
 
 あと、もし可能であれば、発行する企業側も、コーポレートガバナンス・コードに対応していること、どのように対応していらっしゃるかということも報告いただくほうがいいのかなと思います。
 あと、これは例示があること、拡大につながると思われます。すばらしい例示がたくさんありまして、何を考えるべきかということが出されているかと思います。これは、どのような課題があるかということが社会的な課題の把握、これはこうした事業会社だけでなく、多くのステークホルダーの認識及び理解が深まると思います。こういった例示をしていただくことによりまして、何が課題なのかということも皆さんに知っていただくことができるかと思いますし、こういったソーシャルボンドのガイドラインの策定自体に社会的な効果があると思っております。

 最後に、パブコメの期間があるかと思いますが、大変だと思いますけれども、英語版も早急に提示いただきまして、国内外から、日本としてこういうソーシャルボンドのガイドラインをつくることを知っていただくということもそうですけれども、コメントを得ることで、さらにグローバルに通用する、グローバルに出せるようなものができるかと思いますので、そこの部分、大変かと思いますけれども、早めに英語版をお願いします。

 以上です。

【中瀬ソーシャルボンド推進調整官】
 すみません、最初に御質問あったスチュワードシップ・コードの部分でございますけれども、33ページ目の注釈におきまして、2020年3月に改訂されたスチュワードシップ・コードでは、運用戦略に応じたサステナビリティの考慮が求められることになったということを、注書きで追記をさせていただいている状況でございます。

【北川座長】
 森澤様、よろしゅうございますか。

【森澤委員】
 注釈で添えてあるということで、別にそれに対応していることを求めていることではないということですね、受入れを。はい、分かりました。ありがとうございます。

【北川座長】
 よろしいですか。
 それでは、続きまして相原様、お願いします。

【相原委員】
 ありがとうございます。
 今般、事務局の皆様には、非常に短期間にガイドラインを作成いただきまして、非常に御苦労いただいたのではないかと思います。誠にありがとうございます。

 内容を拝見いたしますと、ICMAのソーシャルボンドプリンシプルへの準拠も明確でございますし、グリーンボンドガイドラインと表現を合わせていただいているということで、起債の実務担当者がグリーンボンドガイドラインと併せて読みやすい構成になっているのではないかと感じております。

 現在、ICMAにおきましても、御紹介ありましたように、ケーススタディーの紹介ですとか、インパクトレポーティングの手引、発行におけるチェックリストの作成が進められているところでございます。昨年、ソーシャルボンドの市場が急拡大いたしましたので、発行への関心も高まっているのではないかと考えております。
グリーンボンドガイドラインと同様に、ガイドラインにおきまして、「べきである」、「望ましい」、「考えられる」ということで、発行体に対しましても要請項目ということで段階づけされていますが、これはチェックリストの形態等でお示しいただけると、発行体も確認が非常に容易なのではないかと考えております。

 付属書1、2につきまして、細かい点が幾つかございますけれども、こちらは後ほどメールで送らせていただければと考えております。
 
 先ほどSustainalyticsの竹林様からも御指摘がありましたが、付属書1、2のみしか見ない場合もあるのではないかということで、本文にございます社会的、環境的なネガティブインパクトですね。こちらのリスクを特定して、整理するような要請がなされていますので、そういった内容が付属書1、2のほうにも記述いただければいいのではないかと考えております。

 以上でございます。ありがとうございます。

【北川座長】
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして梶原様、お願いいたします。

【梶原委員】
 ありがとうございます。JCRの梶原でございます。
 本日は、ソーシャルボンドガイドラインの草案を御提示いただきまして、誠にありがとうございます。

 私も、皆様と意見は同じでして、特にすばらしいと思ったのは、第3章のソーシャルボンドに期待される事項の調達資金の使途のところに、使途はさることながら、社会的課題ということでしっかり明示をしていただいておりまして、ここにグローバルな視点と、そしてSDGsアクションプランというグローバルな視点をズームインして、我が国の問題に取り込んでいく姿勢が明確であるというロジックがすばらしいと感じました。ありがとうございます。

 あとは、非常に細かい点かもしれないですけれども、今後、ガイドラインが出来上がると、KPIの設定というようなところに進んでいかれるかと思います。そうなってきたときに御検討いただければいいことかもしれないですけれども、38ページ以降の具体的な資金使途の例のテーマのところで、これは既に出ている債券を対象として御検討いただいていることかとは思いますが、今後、追加的に御検討いただいてはいかがかというようなところを、3点ほどお話をさせていただきたいと思います。

 まず、38ページ目の子どもの貧困対策推進のところでございます。ここは、教育に関して非常に特化して書いていただいておりまして、その後に健康・長寿であったり、食糧安全の問題があるんですけれども、一方で、やはり子供の貧困と栄養問題は切っても切り離せないところがあって、ここを商業ベースでどうやっていくのかというところは別途あるのかもしれないですけれども、社会的課題の要請としては、子供の貧困について教育以外の視点からも御検討いただけるといいのかなと思いました。

 あと、40ページの地方創生・地域活性化、こちらも非常に重要な論点だと思っておりますが、この中のプロジェクトにおいて、地域の中小企業への投融資というところを入れていただいております。この書きぶりですと非常に大きな捉え方になってしまいますので、例えばKPIを設定される際に、中小企業への投融資において、どのような地方創生・地域活性化を目指していきたいのかというところを、ぜひ今後の検討課題として思っていただければありがたいかと思います。例えば、雇用創出というのが一つ共通点としてありますが、業種の特定やエリアの特定というところも考えられるのではないかと思いました。

 最後、食品問題、食糧安全の問題でございますが、こちらはANAの礒根様からも御案内がありました。この問題は、日本においては次に重要な課題になってくるのではないかと思っておりまして、自給率もそうですし、これはグリーンボンドと相関関係があるとも思っておりますが、気候変動の問題、地球の温暖化に伴って、やはり品質改良というようなところで、より生産性を高めていくということは、今後、求められるところだと思っておりまして、企業でそういったイノベーションが加速することが期待される分野だと思っておりますので、そういった観点も、今後、御検討いただきたいと思っているところです。
 あとは、今。食品ロス、あるいは廃棄物の削減というところに取り組んでいる企業もたくさんおられますので、食糧安全の観点からはそういった観点は重要なのではないかと思いました。

 私からは以上でございます。

【北川座長】
 ありがとうございました。
 それでは、林様、よろしくお願いいたします。

【林委員】
  ありがとうございました。
 今日、皆様がおっしゃっていただいたとおりのことばかりで、全てなるほどと思って伺っていたんですけれども、全体として本当に非常によくできたものだと理解をしております。

 皆様が既におっしゃられたことの繰り返しになりますけれども、特に今、ICMAでつくっている様々なハンドブックとか、原則については、今月、またいろいろと新しいものが出てくるとは思うのですが、竹林さんがおっしゃった通り、やはり発行体の包括的な目標や戦略との整合性というところ、それから投資家にとって分かりやすいものということ、透明性、信頼性が大事だと思っておりますので、今、いただいているもので十分だとは思いますが、これを本当に形だけのものではないものにして頂きたい。例えば付属書のところ、今日、いろいろな御議論ありましたけれども、件数をただ書けばいいということではなくて、どういうインパクトがあるのか、どういう方々へのサービスなのか、できるだけ投資する人たちにとって分かりやすいものが期待されるということを改めて感じております。
 どこまで詳しく書くのかというところは、最終的には金融庁さんの御判断にお任せしますが、ケーススタディーというコメントもありました通り、できるだけ分かりやすい、納得感のあるプロジェクトを、発行体、それから、引き受ける我々証券会社、あるいは金融機関、そしてオピニオンを出される方々の間で、そういった高い目線で取り組んでいくということが大事なのではないかと、改めて感じているところでございます。

 以上です。ありがとうございました。

【北川座長】
 ありがとうございました。
 続きまして、大石様、お願いいたします。

【大石委員】
 R&Iの大石です。非常に短期間で、よくこれだけのものをおまとめになったなというのが率直な印象でして、事務局の皆様には感謝申し上げます。

 全体的によくまとまっているなという印象でして、ここがどうのという部分はほとんどないですけれども、1点だけです。ソーシャルプロジェクトですけれども、やはり社会的課題の解決に資するという文脈、その延長線上にSDGsへの貢献、こういったストーリーなのかなと考えているのですが、その文脈でいくと、例えば12ページ目にもあるのですが、「SDGsの達成や社会的課題の解決に貢献し」となっているのですが、これは順番が逆なのかなとちょっと思います。この辺、20ページ、27ページ、31ページ目のところにも若干影響してくるかなとは思うのですが、その部分が少し気になったという点です。

 付属書についてはいろいろ新しく加わってきましたけれども、あくまでも例示ということでありますし、これからいろいろな案件が出てくるとは思いますが、ここは取りあえずこの例示でよいと思っております。

 私からは以上です。

【北川座長】
 ありがとうございました。
 それでは、水口先生、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。

【水口委員】
 ありがとうございます。
 皆さんおっしゃられたとおりで、私、基本的には、グリーンボンドガイドラインとも平仄が合っておりますし、こういう内容で結構なのかなと思ってございます。ありがとうございます。

【北川座長】
 今日、初めて参加されましたけれども、平田様、いかがでございましょうか。

【平田委員】
 ありがとうございます。
 私からも、まず、1回目、2回目の議論をきちんと踏まえて、非常にすばらしい草案をつくっていただきました事務局の皆様に御礼申し上げたいと思います。

 今回、拝見をして、「べきである」、「望ましい」と書いていただいたところを、私どもも発行体として改めて、情報開示のやり方とか、調達資金管理のやり方について見直して、きちんとこのガイドラインどおりになっているかということを見直さなければと、思いを新たにいたしました。大変参考になる議論でもありました。ありがとうございました。

 それから、すみません、ずっとリモートでこういった機会でございますけれども、どこかのタイミングで、リアルにお会いして議論する機会ができたら大変ありがたいと思っております。私ども、竹橋に事務所がありますので、もし何でしたら、その会議場をお使いいただくということもできますので、御提案でございます。

 ありがとうございました。

【北川座長】
 ありがとうございます。
 それでは、委員の方から一通り御意見いただいたかと思います。そこで、オブザーバーの方から御意見ございましたら御発言いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

 それでは、日本証券業協会様、お願いいたします。

【日本証券業協会】
 すみません、日本証券業協会の森川と申します。

 意見ではなくて恐縮ですけれども、私ども日本証券業協会としましては、昨年末に、日本の特性に即したソーシャルボンドに関する指針を示していただきたく、金融庁御指導の下、実務的なガイドラインを御検討いただくよう、要望書によりお願いしたところでございます。そこから半年間という短期間で策定いただいたことに改めて感謝を申し述べるとともに、今後、インパクト指標の具体的な検討に進まれると思いますが、その検討はもちろん、本ガイドラインの本則が完成後、証券業界においても協力できることは積極的に協力してまいりたいと存じますので、引き続き御指導のほどよろしくお願いいたします。

【北川座長】
 ありがとうございました。
 ほかのオブザーバーの方、いかがでございましょうか。それでは、公認会計士協会様、よろしくお願いいたします。

【日本公認会計士協会】
 日本公認会計士協会の藤本と申します。

 今日は、オブザーバーとして参加させていただきまして、大変ありがとうございます。皆様の貴重な議論、大変勉強になる部分が多く、当協会といたしましても参考にしたいと思います。私ども会計士協会もこうした分野に関係しております。私どもにも、何かしら貢献するところがあれば貢献させていただきたいと思っております。私からは以上でございます。

 以上です。

【北川座長】
 ありがとうございました。
 ほかには、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。時間も非常に余裕がございますので、一通り御意見いただきましたが、改めて御感想等、御発言いただければと思いますけれども、いかがでございましょうか。

 ありがとうございました。まだ御意見がある方もいらっしゃると思いますけれども、ちょっと早いですけれども、そろそろ議事、討議を終わらせていただきます。御発言いただけなかった部分で、お気づきの点がありましたら、御意見等を事務局にお寄せいただければと思います。

 最後に、事務局から御連絡がございましたらお願いいたします。

【中瀬ソーシャルボンド推進調整官】
 本日も御議論いただきまして、ありがとうございました。
 本日、いただきました御意見、それから、先ほど触れている委員の方もいらっしゃいましたけれども、6月10日にICMAのほうで、グリーンボンド原則/ソーシャルボンド原則の年次総会が開催される予定と聞いておりまして、そちらでソーシャルボンド原則関連の改訂が行われる可能性もあると聞いております。そちらの改訂状況を踏まえまして、北川座長と相談の上、こちらのガイドラインの草案の修正案を作成してまいりたいと考えております。修正の作業に当たりまして、もし本日、御発言いただけなかった御意見などございましたら、お早めに事務局にお寄せいただけますと大変幸いに存じます。

 次回の検討会の日程でございますけれども、正式に決定しましたら、改めて事務局より御案内をさせていただければと思います。
事務局からは以上でございます。

【北川座長】
 どうもありがとうございました。
 次回会合におきましては、本日の議論を踏まえましたガイドラインの修正案につきまして、御議論をいただければと考えております。
 それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。ありがとうございました。
 

―― 了 ――

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