「ソーシャルボンド検討会議」(第4回):議事録

1.日時:

令和3年6月30日(水曜日)15時00分~16時10分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館9階 905B会議室


ソーシャルボンド検討会議(第4回)

令和3年6月30日


 【北川座長】
 定刻前ではございますけれども、皆さんおそろいになりましたので、ただいまよりソーシャルボンド検討会議、第4回会合を開催いたします。
 皆様、御多忙のところ、誠にありがとうございます。
 
 本日の会合は、これまでの会議と同様、新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンラインでの開催とし、一般傍聴はなしとさせていただいております。また、メディアの関係者の方々は金融庁内の別室にて広聴していただいております。
 
 議事録は、通常どおり作成の上、金融庁ホームページにて公開させていただく予定でございますので、よろしくお願いいたします。

 議事に移る前に、毎回、同じになりますけれども、2点、注意事項がございます。
 まず、御発言されない間は必ずミュート設定にしていただきます。ビデオもオフにしてください。発言される際には、ミュートを解除いただき、画面の表示をオンにしていただき、御発言が終わられましたら、再びミュート設定で、ビデオもオフに設定していただくようお願いいたします。
 次に、御希望をされる際には、オンライン会議システムのチャット上にて、全員宛てに、お名前または協会名などの組織名を御入力ください。そちらを確認しまして、私が指名いたしますので、御自身のお名前を名乗っていただいた上で御発言ください。他の会議では、事務局のみにチャットを送られるケースもあると聞いておりますけれども、必ず全員宛てにお願いいたします。

 それでは、議事に移ろうと思います。
 議事次第を御覧ください。前回の会合では、事務局で作成したソーシャルボンドガイドラインの草案について皆様から御意見をいただきました。前回の会合でいただきました御意見、また、6月10日に開催されたICMAの総会におけるソーシャルボンド原則等の改訂内容も踏まえ、事務局にてソーシャルボンドガイドラインの草案を修正しております。事務局より、ICMA原則の改訂の概要と、ソーシャルボンドガイドラインの修正案につきまして、前回会合でお示ししました草案からの主な修正点を中心に御説明いただきたいと思います。その後、自由討議とさせていただきます。

 それでは、よろしくお願いいたします。

【中瀬ソーシャルボンド推進調整官】
 ありがとうございます。
 それでは、資料1を御覧ください。
 初めに、ICMAソーシャルボンド原則が6月10日に改訂されておりますので、そちらの主な改訂内容につきまして御説明をさせていただきます。
 
 まず、原則の全体の構成ですけれども、従来、4つの「核となる要素」、調達資金の使途からレポーティングまで規定されていましたが、今回の改訂に伴いまして重要な推奨項目(Key recommendations)が新設されております。ソーシャルボンドの透明性を向上させるため、従来ありました外部機関によるレビューに加えまして、こちらの重要な推奨項目にソーシャルボンドフレームワークが位置づけられるという改訂が行われております。
 加えまして、2つ目の丸ですけれども、原則の改訂に伴いましてICMAでは、原則の補足文書といたしましてPre issuance Checklistが新たに策定されております。また、グリーンボンドと共通のガイダンスハンドブック、こちらの更新もなされているというような修正も入っております。
 
 それから、4つの「核となる要素」のそれぞれの修正点でございますけれども、一番最初の調達資金の使途に関しましては、ソーシャルプロジェクトの定義はセクターや地域によって変わり得るということが追記されております。
 2つ目の核となる要素、プロジェクトの評価及び選定のプロセスのところですけれども、発行体は投資家に対し、従来、社会的な目標、プロセスを説明すべきとされていたところですけれども、これに加えまして、プロジェクトが付随的にもたらす環境・社会的リスクを特定し、制御するプロセスについての補足情報が説明すべき事項として追加されております。他方で、従来、規準につきまして説明すべき事項にされておりましたけれども、今回の改訂に伴って望ましい事項に変更がなされております。
 2つ目の丸ですけれども、プロジェクトが環境・社会へのネガティブなインパクトに係る重大なリスクを有する場合には、当該リスクへの緩和策、英語の原文ですとmitigantsという言葉になっておりますけれども、こちらを定めておくことが望ましいということが追記されております。
 3つ目の核となる要素、調達資金の管理です。調達資金の管理につきましては、債券ごと、またはプロジェクトごと、複数の債券をまとめての管理が可能であるということが追記されております。
 4つ目の核となる要素、レポーティングに関しましては、従来、ICMAのほうで原則の補足文書として策定されておりましたHarmonized Framework for Impact Reporting、こちらのガイダンス文書を参照し、可能な場合には採用すべきということが追記されております。
 
 次のページでございます。Key recommendations、2つの「重要な推奨項目」について2つの点を挙げております。
 1つ目ですけれども、ソーシャルボンドフレームワーク等を用いた説明という項目が新たに追加されております。発行体は、ソーシャルボンドが4つの「核となる要素」に適合していることをソーシャルボンドフレームワーク、または目論見書等の書面を用いて投資家に説明すべきとされております。
 2つ目の外部機関によるレビューのところでございますけれども、従来、ICMA原則の補足文書としてありましたExternal Reviewのガイドライン、こちらを原則の中で参照すべきという形で規定されております。また、可能な場合には、ICMAが提示している外部評価のテンプレートを使用すべきことが追記されたという改訂が入っております。
 改訂の主な内容は以上でございます。

 資料2を御覧ください。前回、6月3日の会合でお示ししました事務局のソーシャルボンドガイドラインの草案に、今回、ICMAで原則の改訂が行われましたので、そちらの内容を、それから6月3日の会合で御意見いただいた点に関する修正を行ったガイドラインの修正案をつくっております。
 こちらの文書、修正点を2つの色で表示しております。青字がICMA原則の改訂を踏まえた修正、赤字が前回の会合での御意見等を踏まえた修正という形で色づけをしております。
 
 それでは、目次を御覧ください。今、御説明したとおり、ICMA原則で構成の変更が行われておりますので、こちらのガイドライン案も第3章で構成の変更を行っております。A.といたしまして、ソーシャルボンドの「核となる要素」という形で構成をしておりまして、次のページですけれども、B.でソーシャルボンドの「重要な推奨項目」を掲げる形で変更を行っております。
 それでは、中身ですけれども、主な修正点だけ御説明させていただければと思います。
 
 7ページ目を御覧ください。7ページ目の下から8ページ目の頭にかけまして、本文を修正しております。8ページ目の頭のところですけれども、今、申し上げた原則の構成の変更に伴う修正でございます。4つの「核となる要素」に関して「べきである」と記載されている事項の全てに対応した債券は、ICMAソーシャルボンド原則とも整合し、国際的にもソーシャルボンドとして認められ得るものと考えているとした上で、また、本ガイドライン第3章において、1ソーシャルボンド発行のためのフレームワーク、2外部機関によるレビューの2つの「重要な推奨項目」に関して「べきである」と記載された事項に対応することは、ICMA原則が重視するソーシャルボンドの透明性の向上に資すると考えている、という形で修文を行っております。こちらの考え方につきましては、ICMAのガイダンスハンドブックに記載されている考え方と同様の整理にさせていただいております。
 
 続きまして、11ページ目を御覧ください。こちらの後半部分ですけれども、ソーシャルボンドのメリットについて記載をさせていただいておりました。1ソーシャルボンドの発行のメリット、1)としてサステナビリティ経営の高度化を挙げさせていただいておりました。12ページ目にかけましてですが、サステナビリティ経営の高度化の箇所、ソーシャルボンドへの取組を通じて、サステナビリティ経営の高度化につながる可能性があると書いていたところですけれども、その後に又書きを追加させていただいております。こちら、御意見としていただいた点を追加したところでございますけれども、ソーシャルボンドに関する企業等の情報開示を踏まえて、投資家のエンゲージメントが実施されることがサステナビリティ経営の高度化に好影響を与えることも考えられる、ということを追記させていただいております。
 それから、このページの4)より合理的な条件での資金調達の可能性のところですけれども、こちらも御意見を踏まえまして、まず注書きを追加させていただいております。ソーシャルボンドに関しましては、発行条件のみならずソーシャルボンドといたしまして、調達資金の管理ですとかレポーティング、それから外部機関によるレビューといった追加コストがかかることも留意事項かと思いますので、その点を注書きに追加させていただきたいと思います。
 その上で、本文も修正を行っております。もともとの文章では、ESGリスク耐性の向上、ステークホルダーからの支持の獲得によりプラスの効果をもたらし、資金調達での好影響を及ぼすというようなことを記載しておりましたけれども、こちら御意見といたしまして、もともと書いてあったプラスの効果がやや曖昧ではないかといった御指摘いただいたところでございます。御意見を踏まえまして修文をしております。企業等のESGリスク耐性の向上や、ステークホルダーからの支持の獲得につながる可能性があり、これによって当該企業等の信用力を含む市場評価が向上し、そのような市場評価を踏まえた資金調達が可能になることが想定されるという形で修文をさせていただいております。
 
 続きまして、17ページ目を御覧ください。こちらから、第3章、ソーシャルボンドに期待される事項と具体的対応方法について記載をしているところでございます。
 まず、1番目の調達資金の使途のところでございますけれども、2調達資金の充当先となる適格なプロジェクトは、特定の社会的課題に対し、明確な社会的な効果を有するべきであると本文で記載していました。この「明確な社会的な効果」に関しまして、前回会合におきまして御意見を頂戴いたしました。通常の事業や債券であっても社会的な効果をもたらすと考えられるところ、ここの部分に関しましては追加性を追求する姿勢が重要ではないかという御意見でございました。この点を踏まえまして注17を追加しております。明確な社会的効果の考え方の一つということで、ソーシャルプロジェクトの追加性を考慮することが考えられるといった内容の注を、例示として追加させていただいております。
 それから、このページの4のところでございますけれども、次のページにかけまして修文をさせていただいております。発行体自らの包括的な目標、戦略、方針などを踏まえた上で、対処する社会的課題及び具体的なソーシャルプロジェクトを特定することが考えられると書いていたところですけれども、ここの部分、「考えられる」を「望ましい」という形で修正させていただいております。
 
 続きまして、18ページ目でございます。まず、ソーシャルプロジェクトの例示のところでございます。5でございますけれども、ICMA原則の改訂を踏まえまして、ソーシャルプロジェクトの定義は、セクター、地域によって異なり得るということを追記させていただいております。
 次に、このページの7のところです。ソーシャルプロジェクトの対象となる人々について記載をしている箇所でございます。こちらの後段のところでございますが、一般の大衆を対象とする場合について記載をしております。後ろから3行目のところですけれども、当該プロジェクトによって裨益する人々のセグメントを特定することが考えられると記載していたところですけれども、この部分、前回の会合におきまして、考え方として非常に重要であるという御意見を頂戴したところでございますので、「考えられる」を「望ましい」という形で修正させていただいております。
 また、ここの部分の注書きでございますけれども、注21に青字の部分を少し追加させていただいております。ICMA原則の補足文書の考え方を踏まえた追記でございます。プロジェクトが一般の大衆を対象とする場合においては、社会経済的に困難な人々などが排除されないよう、当該プロジェクトの製品やサービスがあらゆる人々にとってアクセス可能、かつ手頃な価格で提供されていること等に留意することが考えられるということを追記させていただいております。
 
 それから、19ページ目のところですけれども、注書きを2つ追加させていただいております。ここは10に対応する注でございます。10では、「事業区分」及び「対象となる人々」を示して行うべきと本文で記載しておりました。ここの部分の注といたしまして、プロジェクトや発行体がSDGsの特定のゴール、ターゲットと適合していることを示すことが望ましいということを注23で追加させていただいております。ここの部分は、ICMA原則の補足文書の考え方を踏まえた追記でございます。また、多くの発行体で既になさっているプラクティスかと考えております。
 それから、本文で、「対象となる人々」をターゲットとする理由を説明することが望ましいと書いていたところですけれども、ここも注24を追加しております。こちらもICMAの補足文書の考え方を踏まえた注記でございますけれども、「対象となる人々」をターゲットとする理由の例示として、例えば当該対象となる人々が社会経済的に困難な状況に置かれていることなどを示して説明することが考えられる、という例示をさせていただいております。

 続きまして、21ページ目です。こちら、2つ目の核となるプロジェクトの評価及び選定のプロセスについて記載をしているところでございます。
 1に関しましては、ICMA原則の改訂に伴いまして修正をしているところでございます。社会的な目標とプロジェクトが合致するプロセスを投資家に説明すべきとした上で、発行体は、ソーシャルプロジェクトを評価・選定する際の規準を事前に投資家に説明することが望ましいということを記載させていただいております。

 次のページでございます。規準の5のところも、ICMA原則の改訂を踏まえて、整理し直して修正をさせていただいております。こちらの修正ですけれども、実質的な内容の変更ではございませんが、前段の部分では適格なプロジェクトであるかの評価・選定を行う規準について記載させていただいた上で、後段は排除規準について記載をするという修正をさせていただいております。
 このページの後半のところでございますけれども、ソーシャルプロジェクトを評価・選定するための規準の例を記載しておりました。ここの部分、前回の会議におきまして、ソーシャルプロジェクトが発行体の包括的な目標、戦略、方針などと整合的であるという点が非常に重視されてきているというところで、追加してはどうかという御意見いただきましたので、赤字のほうで追加をさせていただいております。

 23ページ目を御覧ください。11と12を追加させていただいております。こちらはICMA原則の改訂に伴う追加でございます。
 11におきましては、発行体は、環境・社会に対して付随的にネガティブな効果をもたらすおそれのあるソーシャルプロジェクトの環境・社会的リスクを特定し、制御する方法を事前に投資家に説明すべき、という点を追加いたしております。
 12では、発行体は、ソーシャルプロジェクトが重大な環境・社会的リスクを有する場合、当該リスクの緩和策を定めておくことが望ましいという点を追加させていただいております。

 24ページでございます。こちらから、3つ目の核となる調達資金の管理に関しまして記載しているところでございます。3と4を、ICMA原則の改訂に伴いまして追加させていただいております。
 3は、従来より原則に入っていた事項でございますけれども、今回、外部機関によるレビューのところにも追加された項目でございます。こちら、我々のガイドラインでも追加をさせていただいております。調達資金の管理やソーシャルプロジェクトの資金の充当が、発行体が事前に定めた方法で適切に行われているか、監査法人等を活用して検証することが望ましいという点を追加しております。
 4も、ICMA原則の改訂に伴う追加でございます。調達資金の追跡管理は、ボンド1件ごとに行う方法のほか、プロジェクトごとに対応する複数のソーシャルボンドを集約して行う方法も考えられるという点を追加させていただいております。

 26ページ目です。4つ目の要素となるレポーティングについて記載をしております。こちらは、注28を追加させていただいております。ICMA原則の改訂に伴いまして、ICMAのガイドラインを参照し、可能な場合には採用すべきとされたことに関する注の追加をさせていただいております。
 
 続きまして、29ページ目を御覧ください。こちらから、ソーシャルボンドの「重要な推奨項目」について記載をしております。
 1番目として、ソーシャルボンド発行のためのフレームワークについて記載をさせていただいております。
 1では、ソーシャルボンド発行のためのフレームワークを作成して、目論見書などの法定書類、その他書類によって、ソーシャルボンドが4つの「核となる要素」に適合していることを投資家に説明すべきであるとしております。発行体は、このようなフレームワーク等の書類を一般に開示すべきと記載させていただいております。
 2ですけれども、ソーシャルポンド発行のためのフレームワークにおいて、自らの包括的なサステナビリティ戦略の文脈に沿って投資家に説明することが望ましい、という点を追加させていただいております。
 また、この部分、注32と33を追加しておりますけれども、今回、ICMAで新たにフレームワーク作成のガイダンス文書が作成されておりますので、そちらを御紹介する注を32で追加させていただいております。注33ですけれども、こちらは当然の事項でございますけれども、目論見書等の記載事項につきましては、フレームワークの開示をもって代替することはできないということを注記させていただいております。
 このページの後半部分ですけれども、外部機関によるレビューに関しまして記載させていただいております。実質的に大きな修正は行っておりませんが、注34を追加しております。こちらも、ICMAのソーシャルボンド原則の改訂を踏まえまして、原則の補足文書でありましたExternal Reviewガイドラインを参照すべきですとか、ICMAの外部評価テンプレートを可能な限り使用すべきということが追加されたことを、注記で追加させていただいております。

 次、31ページ目でございます。こちらでは、ソーシャルボンドの発行前のレビューに関しまして記載をしているところでございますけれども、レビューを活用できる事項の例といたしまして、ソーシャルプロジェクトの適格性の例示の部分に1つ追加をさせていただいております。プロジェクトと発行体の包括的な目標、戦略、方針などとの整合性という点を追加させていただきます。
 また、このページの4のところでございますけれども、ICMA原則の改訂を踏まえまして、レビューの結果に係る文書に関しまして、発行体のウェブサイト等に掲載することが考えられるという例示を追加させていただいております。

 37ページ目でございます。第4章、投資家に望まれる事項について記載をしていたところでございます。こちら、スチュワードシップ・コードの改訂の内容について記載をした注を設けておりました。前回の会合におけます御意見を踏まえまして、ここの部分でございますけれども、注の内容を本文に持ってくるという修正を行った上で、本文の後段でございますけれども、ソーシャルボンドへの投資を行う機関投資家は、必要に応じ、投資先である企業との建設的なエンゲージメントを行うことが望まれる、ということを追加させていただいております。
 本文の修正は以上でございます。

 それから、付属書のほうも少し修正をしていますので、御紹介させていただければと思います。
 42ページ目、御覧ください。付属書2で、ソーシャルプロジェクトの具体的な資金使途の例に関しましては挙げてございます。
 幾つか修正をしておりまして、まず、表のところでございますけれども、ソーシャルプロジェクトの例というところに*を打って注書きをしていた点でございます。この点、前回の会合におきまして、考え方として非常に重要ということと、ソーシャルプロジェクトの例の部分だけ切り取られて、適格性の判断がなされるような誤解を避けるべきといった御意見をいただきましたので、この注書きの部分ですけれども、本文の柱書きに持ってくる修正を行っております。ソーシャルプロジェクトを検討する場合、対応する「社会的課題」や「対象となる人々」が適切か、これらを組み合わせて判断することが重要である、という点を柱書きに追加させていただいております。
 また、こちらの表は幾つか修正を行っておりますけれども、基本的には言葉を補うなどしまして、プロジェクトの例ですとか、対象となる人々の内容の明確化を図るというような修正を行わせていただいております。
 
 内容に関わるものといたしまして、44ページ目でございます。左側の、責任ある企業行動の促進という社会的課題に対するソーシャルプロジェクトの例でございますが、こちらのほうで1つ追加をさせていただいておりまして、ビジネスと人権に関する国際的な規範等を踏まえたフェアトレードのためのプログラムの実施というものを追加させていただいております。こちらは、会合後にいただいた御意見、それから事務局のほうで発行事例などをもう一度洗いまして、追加をさせていただいた例でございます。

 それから、47ページ目です。下のところですけれども、国際協力(発展途上国の食糧安全保障と栄養改善の達成)、持続可能な生産・消費の促進、食品廃棄物・食品ロスの削減と活用という課題に対するプロジェクトの例を1つ追加させていただいております。こちら、ICMAの事業の細目のフードロスと廃棄物の削減に対応する事例ということで追加をさせていただいております。食料の生産から流通までの過程での食品ロス・廃棄問題への取組に係るプロジェクトといった内容を追加しております。こちらも、会合後にいただいた御意見を踏まえて追加させていただいた例でございます。
 それから、このページの下で注を2つ追加しておりますけれども、こちらは本文で書いていた留意事項を追加するという修正でございます。付属書2だけ御覧になっている方でも、本文で記載をしている留意事項に関しまして、こちらで確認できるようにという観点で追加したところでございます。

 最後、57ページ目でございます。こちら、付属書3ということで開示情報の例を示しておりました。前回、お示ししたフォーマットから若干の修正を行っておりますので、御紹介させていただければと思います。
 まず、対象となる人々という項目をこちらのフォーマットに追加させていただいております。それから、右のところに指標を書く欄を設けておりました。アウトプット、アウトカム、インパクトという形で書く欄を設けていたところでございますけれども、前回の会合におきまして、必ずしもこの3段階で示すことが難しいものもあるので、記載することを必須にしないように示してほしいという御意見をいただきまして、指標1、2、3という形に修正を行わせていただきます。

 その上で、59ページ目でございますが、(注1)で、指標につきましてアウトプット、アウトカム、インパクトとして段階的に示すことが考えられるという旨を注記させていただいております。
 また、(注2)では、ICMA原則の改訂に伴いまして、同原則の補足文書の参照、可能な場合には適用すべきとされたことを注記させていただいております。
 (注3)でございますけれども、付属書3の様式はグリーンボンドガイドラインの様式を踏まえて作成したものでございまして、ICMA原則の補足文書で示されている開示テンプレート案との差分がございます。この差分に関しまして、(注3)で差となっている項目を挙げさせていただいております。
 資料2の説明は以上でございます。
 
 参考といたしまして、資料3をお付けしております。成長戦略フォローアップの文書をつけさせていただいております。こちらで、ソーシャルボンドについてもガイドラインを策定するとともに、社会的課題解決に関する具体的な指標等の例示についても検討するということが記載されておりますので、この資料を参考として入れさせていただいております。
 
 すみません、私からの説明は以上でございます。

【北川座長】
 ありがとうございました。
 それでは、これより皆様から御意見等をお伺いする討議の時間とさせていただきます。多くの委員に御発言いただく機会を確保する観点から、毎回のことではございますけれども、御発言のお時間としましては5分を目安にしていただければと思います。4分を過ぎますと、事務局から発言時間の残りが1分である旨のチャットが発言されている委員のみに送付されますので、発言時間の参考にしていただければと思います。
 それでは、いかがでございましょうか。熊谷様、よろしくお願いいたします。

【熊谷委員】
 ありがとうございます。
 初めに、6月10日に公表されたICMAのソーシャルボンド原則の改訂内容等に加え、前回の会合における意見を踏まえて、短期間でこのような形で修正案を作成していただいたことについて、金融庁に大変感謝申し上げます。
 まず、修正案について簡単にコメントいたします。
 
 今回、大幅な修正を避けながらも、ICMA原則の今回の改訂に伴う構成の変更や、新たにICMAで策定されたソーシャルボンド、ソーシャルボンドプログラムの発行前チェックリストにおける実務的なチェック項目の追加など、うまくエッセンスを取り込んでいただいている点を評価いたします。また、ICMA原則の今回の改訂において、インパクトレポーティングについては、ICMAのガイダンス文書やテンプレートを可能な範囲で参照、採用すべきとする規定が入りましたが、ソーシャルボンドに関するICMAの同ガイダンス文書は策定途上であり、現状の国内市場における実務を踏まえれば、フィージビリティーが必ずしもあるとは言えないレポートティング項目やレポーティングの内容も、相当程度含まれていると認識しております。したがって、付属書3の開示様式について、フィージビリティーのある項目にとどめ、その他の項目に関しては注として列挙する形式を取っていただいている点について、バランスのよい修正だと感じました。
 
 最後に、本ガイドライン作成の意義について、改めてコメントさせていただければと思います。
 2050年カーボンニュートラルの実現に向け、グリーンの議論が先行していることは当然のことかと思います。しかしながら、サステナブルな社会を構築するには、グリーンとソーシャルは不可分なものです。ソーシャルの分野では、ICMA原則がこれまで唯一の指針でございました。そのような中、国際的な潮流を踏まえつつ、地域の特性に合った形で本ガイドラインを作成したことにより、世界に対し、ソーシャルの分野で日本がリードする姿勢を示せるとともに、本ガイドラインはソーシャルの分野における貴重な羅針盤になるものと考えられます。当然、本ガイドラインが他国において理解されるためには、英語による発信や説明が重要となります。本会合終了後、英語によるパブリックコメントも行われると聞いておりますが、ぜひとも積極的に他国に対するメッセージの発信を継続していただければと思います。証券業界としても、様々な場面において、できる限りの協力を行っていく所存であると聞いております。
 
 以上、改めて今回のガイドライン策定に謝意を表しまして、私からの発言とさせていただきます。ありがとうございました。

【北川座長】
 ありがとうございました。
 英語については。

【中瀬ソーシャルボンド推進調整官】
 ありがとうございます。事務局でございます。
 英語のガイドラインの策定も行ってまいりたいと思っております。日本語でのパブリックコメントの募集の開始には、ちょっと間に合わないかと考えているところでございますけれども、なるべく早く英語でガイドライン案をお示しして、英語によるコメントもいただきたいと考えているところでございます。ありがとうございます。

【北川座長】
 それでは、竹林様、お願いいたします。

【竹林委員】
 ありがとうございます。Sustainalytics、竹林でございます。
 ガイドライン案の御説明をいただき、大変ありがとうございました。前回のバージョンに対してコメントさせていただいた点については難しい調整作業だったと思いますけれども、その多くを反映していただき大変ありがとうございました。それらについては特段の追加コメントはございませんので、今後のパブリックコメントのプロセスにおいて、新たな視点が加えていただけることを期待しております。

 今回、コメントさせていただきたい点は、特にICMAのソーシャルボンド原則の改訂において強調された点の一つである「環境・社会的リスクを特定、制御する方法」についてです。
 御承知のとおり、近年の傾向として、やはりサステナブルファイナンスにおける効果測定がますますホリスティックな視点が求められるようになってきていますし、ポジティブなインパクト創出を資金使途とするソーシャルボンドのような金融商品においても、ネガティブなインパクトとそのリスクの特定だけにとどまらず、それらへの対応まで明示的に求められるようになったという点は、本ガイドラインにおいても明確に反映されるべきかと思います。

 ガイドラインの具体的箇所で申し上げますと、23ページに文言として反映いただいていますけれども、実際に「こういったプロジェクトだったら、こういうネガティブインパクト・リスクを気にする必要がありますよ」というような具体例の提示も、2021年度版ソーシャルボンド原則に準拠するガイドラインですとうたうのであれば、盛り込んでいくことを検討していただくのもいいかなと思いました。
 例えば、本ガイドラインの付属書2、ソーシャルプロジェクトの事例の一覧が書かれているところに、検討すべき環境・社会ネガティブインパクトの例というものが入っていくと、発行体の方々においてここは非常に悩まれる点だと思いますので、参考になるだろうと考えております。今、このタイミングで、新たにこういった情報を付け加えると、今回の策定のプロセスの中ではなかなか難しいところもあるかと思いますが、今回、または次回、このガイドラインが改訂されるようなタイミングがあれば、そういったものを事例の中に反映させていくということも検討していただけたらいいかと思いました。

 もう1点、パブコメ期間を経て、このガイドラインが確定した後の話になるんですけれども、39ページ「本ガイドラインの改訂」について、今後、社会的な効果に係る指標については、引き続き具体的例示を検討することが期待されるとございます。我々のこのガイドライン検討も、第2段階の効果測定指標の検討があるというところを前提として議論させていただいてきたところもありますので、この会議、本日の最後でも結構ですけれども、今後、第2段階の指標の検討の進め方や方向性みたいなところで、何か共有いただける内容みたいなものが事務局でおありであれば、それもちょっとお伺いしたいと思っているところでございます。
 
 以上です。

【北川座長】
 ありがとうございました。
 それでは、梶原様、お願いいたします。

【梶原委員】
 JCRの梶原でございます。
 このたびは、直前にありましたソーシャルボンド原則の改訂を非常によく反映しておられまして、世界に先駆けた取組ではないかと私も感じているところでございます。
 今、竹林様からの御発言にございましたが、やはり環境・社会的リスクを特定、制御する観点は、今後、付属書のほうでマッピングする形で発展していけるといいなと私も思っているところでございます。また、この件に関しましては、ソーシャルボンドのワーキンググループのほうでもマッピングをつくっていると聞いておりますので、そちらの動向も横目で見ながら、継続的に検討をしていただけるとありがたいかと思っています。

 あと、私から申し上げたいこととしては、すみません、ちょっと今さらながらなところはあるんですが、改めて付属書2の分類についてもう少し御検討いただきたいところ、3点ほどお話をしたいと思います。
 
 まず、42ページのダイバーシティの推進、女性の活躍推進のところでございます。こちらは、基本的にはICMA原則に例示されています「対象となる人々」の例を挙げていただいておりまして、そこにちょっと女性のところを追加いただいているんですが、ここに書いていないもので日本が抱えている問題としては、社会経済的に弱い立場にある外国人労働者という面もダイバーシティの観点からは重要と考えております。今後、パブコメ等を経る中で、こういったことも御検討いただければと思っております。
 
 2点目としましては、44ページ目でございます。子どもの貧困対策推進・あらゆる人々の教育機会の確保と1つのコラムに収めていただいておりますが、日本の内部から出ている子供の貧困、子供の未来応援国民運動みたいなものを見ていると、やはり子供の貧困対策は教育に限られないと思っております。経済支援、食の提供、そして就労機会の提供といった包括的なアプローチが必要であると思っておりますので、可能であれば教育とは別立てで子供の貧困対策を考えていただきたい。その場合の事業区分は、もしかすると社会経済的向上とエンパワーメントのほうに入るのではないかというようなことも思いました。
 また、あらゆる人々の教育機会の確保も重要ですが、もう1つ、Society5.0も強力に進めるという観点からは、次世代の教育振興、あるいはSDGs達成のための科学技術・イノベーションの推進、こういったこともSDGsアクションプラン2021には含まれておりますので、併せて今後、御検討いただければと思いました。

 最後に、47ページ、発展途上国の食糧安全保障と栄養改善の達成というところで期待されているソーシャルプロジェクトに関してでございます。こちらは非常に重要な観点だと思っておりまして、発展途上国に限らず、我が国においても非常に重要なポイントであろうと思っておりますので、発展途上国に限らず、我が国の問題としてもこういったプロジェクトを取り上げていけるような形にしていただけるとありがたいと思います。
 
 私からは以上です。

【北川座長】
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして反田様、お願いいたします。

【反田委員】
 反田です。
 今回についても、非常に限られた時間の中、本会議における広範な意見を取り入れつつも、ICMAのソーシャルボンド原則の改訂を反映していただき、事務局の皆さんを中心に、まさに世界に先駆けてソーシャルボンドガイドライン案を策定されたことに感謝申し上げます。
 今回の案の内容については、特段、意見はございません。以前の会議でも申し上げたところではございますが、現段階の国内のソーシャルボンド市場、特に一般事業会社によるソーシャルボンド市場はまだ黎明期と認識しております。今回のガイドラインによって、ソーシャルボンドと銘打った債券を発行しやすい環境が整って、発行量が増えることで社会的認知度が高まり、ソーシャルボンド市場が少しでも拡大していくことを期待しております。
 投資家の立場としても、今回のソーシャルボンドをはじめ、今後も社会課題の解決に資するESG投資を積極化して、経済、企業の持続性を高める動きを後押ししていきたいと考えております。

 短いですが、以上になります。ありがとうございました。

【北川座長】
 ありがとうございました。
 それでは、水口先生、お願いいたします。

【水口委員】
 水口です。
 皆様と同様、短い期間で修正をしていただきまして、大変ありがとうございました。
 内容につきまして、まず梶原さんの御意見に大変賛成です。
 それから、熊谷さんから御指摘いただきました英語でのパブリックコメント、私も重要だと思っております。この点で1点、どういう形でパブコメをするのかということが少し気になりました。ぜひ、海外の主立った関係者にはうまく連絡をしていただいて、金融庁として、今、こういうガイドラインをつくっているんだということが周知されるようにお願いしたいと思います。当然、ICMAには連絡されるかと思いますけれども、それ以外にも金融庁さんの関係で海外と非常に関係の深いところがあろうかと思いますので、単にホームページに載せるだけではなくて、ぜひ積極的にパブコメをしておりますということを海外にも発信するといいなと感じました。
 
 私からは以上です。

【北川座長】
 ありがとうございました。
 それでは、林様、お願いいたします。

【林委員】
 ありがとうございます。
 皆さんがおっしゃったとおり、本当に短い期間にいろいろとありがとうございました。
 
 私は2つありまして、1つは、今、水口先生もおっしゃったり、熊谷さんもおっしゃっていただいたことですけれども、海外への発信ということと、ICMAからもICMA原則に沿っているということを確認していただくようなプロセスを、ぜひお願いできればと思っております。

 もう1つ、先ほどどなたかおっしゃっていたか、ちょっと忘れてしまいましたけれども、過去において、ICMA原則を日本語に、私の記憶が正しければ日証協さんが訳していたと思っているんですけれども、今回、ICMAの原則がかなり更新されていて、もちろん日本のガイダンスについてもかなり反映をしていただいていますけれども、その原文も可能であれば日本語にアップデートしていただいたらいいのではないかと思っております。先ほど、ICMAのホームページを改めて見ておりましたら、日本語に訳したり、中国語に訳したり、各国がいろいろな言語に訳していますが、2018年バージョンぐらいで止まっているところが多くて、日本だけ2020年度分を真面目に訳していると思って、素晴らしいと思ったんですけれども、可能であれば2021年のものでありましたり、あるいはチェックリストのところまで、原文というか、原本のほうも日本語で用意されると、皆さんがICMAそのものはどうなっているのかと見るときに非常に有効なのではないかと思っています。どこがやるのかという議論はありますけれども、ぜひ御検討いただいたらいいのではないかと思った次第です。
 
 以上です。

【北川座長】
 ありがとうございます。
 それでは、川北先生、お願いいたします。

【川北委員】
 川北です。よろしくお願いします。
 私も皆さんの御意見と一緒で、ここまでの作業を短期間にやられ、かつ先進的なものがこのプロジェクトで出来上がりつつあると認識しています。
 その上で、前回、ほかの抜けられない用事があって欠席したので、周回遅れかも分かりませんが、多少、細かな点も含めてのコメントがありまして、申し訳ないと思っています。
 
 17ページ、「社会的課題及びソーシャルプロジェクトの特定」の3の2行目「脅かす」とあるのには、引っかかりまして、かなり強い表現かなと。「阻害している」とか、「阻害し、ひいては脅かす」というような日本語のほうがいいのかなと思いました。ぜひ変えてほしいというわけではなくて感想です。
 
 それから、同じような感想ですけれども、19ページの「社会的な効果の評価」の8の最後から2行目です。「ポジティブな社会的な効果に比べて過大にならない」と書いてありますけれども、何となくよく分からないなと。ネガティブな効果を考慮したとしても、ポジティブな効果の効用が社会的に評価できるとか、もう少し表現を加えていただければ分かりやすいのかなと思いました。これも単なる感想です。
 それから、同じページの13のリファイナンスの部分ですけれども、投資家の目線で気になったのは、初期の資金調達と、それに基づく投資の効果、もしくは投資の課題みたいなものは、リファイナンスする段階には相当程度明らかになってきているのではないかと思われますので、その開示ですね。課題とか、効果とか、そういうようなものを示していただけると、リファイナンスもスムーズにいくかと思いました。

 以上が出遅れていた部分ですけれども、今回、付け加えられたというか、書き直された部分で、22ページの「規準」の部分です。5の一番最後の行に「排除」とあります。もう1か所、7の一番最後の行にも規準の例として排除という言葉が出てきます。それと、今回、付け加えられた、次の23ページの11に「制御」とあります。この排除と制御の関係がいま一つよく分からないと思いました。多分、制御はコントロールだと思うんですけれども、コントロールしようとした結果、排除できるとか、そういう関係にあるのかなと思いまして、この書き加えられた部分の表現もしくは言葉の定義を少し考えていただければと思いました。
 
 細かな点になりましたけれども、私からは以上です。

【北川座長】
 ありがとうございました。
 続きまして、森澤様、お願いいたします。

【森澤委員】
 こんにちは。
 今回、ガイドラインとしては、前回から丁寧な加筆がなされまして、明確になりましたので、皆様に活用していただけるようになったと、よりよくなったと思っております。また、ICMA原則の改訂をこの短期間に取り入れていただきましたので、環境・社会的リスクを特定するというところであったりとか、ICMAがおっしゃっているように、ソーシャルプロジェクトの定義はセクターや地域により変わり得ると、ICMAも改訂の中で入れてこられたという中では、日本がこれだけのことができたということを世界的にもやはり知っていただきたいということも含め、世界の声を反映させるために、今までも熊谷さんや水口先生、林さんのほうからもお言葉がありましたが、早くにパブコメ、英語でのパブコメですね。PRIの中でも回したいと思っておりますので、ぜひ出していただければと思います。全ての部分ということでなくても、一部なりとも、本文なりとも、概要でも結構ですし、そちらのほうを出していただければ回していきたい。
 
 世界が進んでいるように思っていらっしゃる方々も多いかと思いますけれども、そうでもないと。ソーシャルプロジェクト、ソーシャルボンドに関しましては、反対に日本が先行できるのではないかと思っておりますので、そこの部分もコメントをぜひ海外からも取りたいと思っております。
簡単ですが、以上です。

【北川座長】
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして大石様。

【大石委員】
 R&Iの大石です。
 短い時間で、ICMA原則の改訂、及び各委員の御意見が細かく反映されていて、非常に大変な作業だったかと思います。御苦労さまでした。ありがとうございます。
 私からは、全体としてはあまり言うことはないんですけれども、1点だけです。17ページ目のところでして、注書きという形になっているので、大きな問題ではないかもしれませんが、ここで言うところの追加性ですね。アディショナリティーと書かれてはいるんですけれども、やはりソーシャルプロジェクトに関しては、対象とする人々の数が特に増えるわけでもないけれども、継続して続けていくことによって社会的な意義があるようなプロジェクトとか、そういった課題がありますので、そこら辺も踏まえた部分を少し考慮していただければと思う次第です。
 あとは、例示のところはいろいろこれから出てくると思いますので、また、そういった部分に関して我々も真摯に取り組んでいけたらと思っております。
 
 以上です。

【北川座長】
 ありがとうございました。
 続きまして、相原様、お願いいたします。

【相原委員】
 野村證券の相原でございます。
 皆様、既におっしゃっている点ではございますけれども、事務局の皆様におかれましては、第3回の検討会議以降のICMAの年次総会の内容等を、短時間でこちらに組み入れられたということで、ありがとうございます。ICMAの年次総会では、グリーンボンド原則も、ソーシャルボンド原則についても変更はございませんでしたけれども、Key recommendationsが新たに加わり、外部評価及び発行体のファーストオピニオンでもありますフレームワークの開示が求められたということで、市場の信頼性、または透明性を高める対応ということで評価されていると考えています。今般のガイドラインにも盛り込まれておりますので、このガイドラインを読めば網羅的にソーシャルボンドを把握できる手引になったのではないかと考えております。
 
 欧州におきまして、サステナブルファイナンスにおける投資家の開示、SFDRが2021年3月にスタートしておりまして、投資家サイドから発行体への非財務情報の開示の要請が、今後、より強まっていくだろうと想定しております。非財務情報の開示の議論といたしまして、EUは社会的トピックの分野に取り組むために、7月にサステナブルファイナンスの新戦略を発表する予定と聞いております。そこで、ソーシャルタクソノミーの策定が手がけられると聞いております。
 今般のガイドラインについては、日本のソーシャルボンドを先導する動きということで、海外でのパブリックコメントを求めるために英語のガイドラインを作成いただき、パブリックコメントをお求めいただくということですけれども、非常に意義のあることだと考えておりますので、ぜひ英語での開示で日本のプレゼンスの向上をお願いしたいと考えております。
 
 以上でございます。ありがとうございます。

【北川座長】
 ありがとうございました。
 まだ若干、御発言いただいていない方がいらっしゃるんですが、私のほうで漏れているかもしれません。いかがでございましょうか。礒根様、よろしゅうございますか。

【礒根委員】
 すみません。
 特に追加のコメントはないのですが、あえて言わせていただきますと、先ほど梶原さんからも御指摘いただいた47ページの食糧の安全保障のところで、発展途上国に限らず、我が国の問題としても対応できるようにしていただけたらありがたいと思いました。
 
 以上です。

【北川座長】
 ありがとうございました。
 次に、有江様、いかがでしょうか。

【有江委員】
 ありがとうございます。
 私も、皆さんがご発言くださった内容のとおりと思っております。これだけ短期間でおまとめくださいまして、本当にありがとうございました。私からは特にございません。

【北川座長】
 ありがとうございます。
 それでは、JICAの平田様、いかがでしょうか。

【平田委員】
 私からも御礼申し上げたいと思います。この短期間で、非常に効率的にまとめていただき、ありがとうございます。
 先ほど竹林さんからも触れられていましたけれども、社会的課題解決に関する具体的な指標の例示文書の策定につきまして、今後の策定方針等について、もし御説明いただけたら幸いです。よろしくお願いいたします。

【北川座長】
 ありがとうございました。
 一通り委員の方から御意見をいただいたかと思いますので、次にオブザーバーの方で御意見ございましたら御発言いただければと思います。いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
 
 どうもありがとうございました。今回も、本当に多数の貴重な御意見をいただきました。
 
 では、油布審議官、お願いいたします。

【油布企画市場局審議官】
 事務局の金融庁審議官の油布でございます。
 今、いろいろ御意見を賜りまして、梶原さんをはじめ中身の修正に係る分につきましては、座長と御相談した上で、よくよく反映できるところを探していきたいと思っておりますが、それと別に、プロセスその他について幾つか御意見いただきましたので、その部分について、私のお答えできる範囲で少しお答えしようかと思っております。
 
 まず、竹林さんからいただきました、いわゆるネガティブなインパクト、副作用というのでしょうか、これについてはグリーンボンドに続きソーシャルボンドのほうもホリスティックに考えて、このネガティブインパクトというものが、今回、明示されたということでございます。この点については、おっしゃるように、どういうものがネガティブのインパクトとして想定されるのか、事業者さんも確かに悩まれるところだと思います。現に、先行しましたICMAグリーンボンド原則と、それを踏まえた環境省さんのグリーンボンドガイドラインには、想定されるネガティブなインパクトの例が別表の2に掲げられているということですので、そこを踏まえての御指摘だったかと思います。ただ、おっしゃっていただきましたように、これを今回のパブコメに間に合わせるようにつくるのは恐らく難しいだろうと思いますけれども、必ずこれを改訂する機会が来ると思いますので、次回のときにはそういったものも織り込むようなスタイルで考えられるのではないかと思います。

 もう1点、あわせて御指摘いただいたところとも関係しますけれども、それから、ほかの委員の方からも「分かっていることがあれば」ということで御指摘がありましたけれども、具体的な測定指標の策定作業に関するお話でございます。成長戦略においても、策定についてコミットメントする形で記載が行われております。ただ、具体的な進め方などは、実はまだよくよく相談し切れていないところがあります。
 そういう意味で、現時点であまりはっきりしたことは申し上げられないんですけれども、実はこの会議は今日で4回目になりますが、オンラインの会議だったんですけれども、この会場には毎回、内閣官房の内閣官房副長官補付の参事官に参加していただいております。成長戦略にも記載しましたように、具体的な効果測定指標をつくるという第2ステップがあるので、毎回、お越しいただいているということで、そちらと我々、よくよくすり合わせを進めているところですので、その中でどういうプロセスでやっていくか、ちょっと知恵を絞っていくのかなと思っております。
 ただ、今後具体的なKPIをつくっていく中で、もし今、おっしゃったような副作用で盛り込めるようなものがあれば、入れてしまってもいいかとも思います。ちょっと難しいようであれば、やはり次回の改訂のときということになるかもしれませんが、もし間に合うようであれば、トライしてみる価値はあるかと思います。

 あと、複数の委員の方から、英語の翻訳とパブリックコメントについて御意見を賜りました。私ども金融庁でサステナブルファイナンスを担当しているチーフ・サステナブルファイナンス・オフィサーにも、毎回、この会場に来ていただいておりまして、今日も来ていただいておりますので、そのルートも使って、ICMAは当然ですけれども、こういった作業を日本がやっているのだということで、パブコメ、その他に意見を求めるプロセスをやっていきたいと思っております。
 他方、森澤さんがおっしゃっていただきましたように、PRIの方にお知らせいただくとか、そういうルートも非常に助かるところでございます。森澤さんに限らず、委員の方々には海外のネットワークをお持ちの方もいらっしゃると思いますので、パブリックコメントの英語版が出来上がったときには御連絡を申し上げますので、委員の方々のネットワークのつてでも海外に発信していただければ、二重に効果があるのではないかと思います。
 それから、林さんから御指摘いただきましたICMA原則自体の日本語訳についても、恐らく日本証券業協会のほうで取り組まれると思いますけれども、例えばこのガイドラインとの翻訳の平仄合わせみたいな話もありますので、我々もよくすり合わせして、新たなICMA原則についても日本語版が出来上がるようにしたいと思っております。

 漏れがあるかもしれませんけれども、テイクノートした範囲で、プロセス面のところだけお答えさせていただきました。

【北川座長】
 油布審議官、ありがとうございました。
 以上、今回も大変貴重な意見をいただきまして、ありがとうございました。基本的な方向観については、皆様に御賛同いただいていると思います。
 
 では、竹林さん、もう一度。

【竹林委員】
 すみません、竹林です。ありがとうございます。
 御説明、ありがとうございます。趣旨に賛同いたします。時間的制約というところももちろんあると思いますので、パブコメまでにという話はちょっと現実的ではないと思いますので、次回の改訂、可能であればKPIの検討のプロセスの中でというところに賛同させていただきます。ありがとうございます。
 重々御承知いただいていることの繰り返しとなり恐縮ですが、インパクトを測る上でのホリスティックなアプローチの重要性は、金融庁様のサステナブルファイナンス有識者会議の報告書においても横断的論点「インパクトの考え方」の中でも「少なくとも重大なネガティブインパクトを適切に緩和・管理していく必要」として記載いただいているところです。
 かつ、相原さんからもお話しありましたけれども、SFDRの中でもネガティブなインパクトをきちんと特定していくということの重要性は、投資家側でも明確に求められている点ですよね。ソーシャルボンドのKPIとしてだけの用途にとどまらず、いろいろなインパクトファイナンスの側面で、社会的面におけるネガティブインパクトとリスクの例示は活用できる場面もあると思いますので、引き続きご検討をよろしくお願いいたします。

【北川座長】
 いかがでしょうか。皆さん、何か追加コメントございますか。よろしゅうございますか。
 
 ありがとうございました。基本的な方向観は、先ほど言いましたように御賛同いただいていると思いますので、もう一度、皆さんにお集まりいただく必要はなく、今後は、私と事務局で必要な修正を行った上、パブリックコメントの募集手続に入りたいと思います。その方向で、今後の作業については、大変恐縮でございますが、私に御一任いただきたいと思いますが、御承認いただけますでしょうか。よろしゅうございますか。
 (「異議なし」の声あり)

【北川座長】
 では、そのように御承認いただいたと思います。ありがとうございました。
 最後に、事務局から御連絡等がございましたらお願いいたします。

【中瀬ソーシャルボンド推進調整官】
 本日も御議論いただきまして、ありがとうございました。
 先ほど委員の皆様より御承認いただきましたとおり、ガイドライン案につきましては、本日の御意見を踏まえまして修正を行いまして、北川座長の御了解を得た上で、パブリックコメントの募集をさせていただきます。同手続の終了後、必要な修正を行って、今夏をめどに正式なガイドラインとして確定させていただく予定でございます。
 パブリックコメントの結果を踏まえたガイドライン案の修正でございますけれども、軽微な修正にとどまれば事務局で必要な対応を行わせていただきまして、北川座長と修正内容を決定し、委員の皆様に個別に連絡の上、ガイドラインの内容を確定させていただきます。同手続の結果、ガイドラインに大幅な修正が生じる場合には、必要に応じて本会議をもう一度開催して、検討会議へ修正内容の御報告をさせていただこうと考えております。
 
 以上でございます。

【北川座長】
 ありがとうございます。
 本日をもちまして、今回のソーシャルボンド検討会議は一段落ということになります。最後になりましたが、座長として一言、述べさせていただきたいと思います。
 
 皆様の英知と御協力によりまして、タイミングよく、先進的な、すばらしいガイドラインができました。ありがとうございました。
 私自身は、仲間と最近、『Principles and Practice of Impact Investing』というベロニカ・ベッチ先生の書籍を、『社会を変えるインパクト投資』という日本語タイトルで翻訳本を先般、出版しました。大変な苦労をしたものですけれども、その翻訳作業を進めているうちにソーシャルボンドのことを勉強してきたわけですが、当然、その中に盛られているのは海外のものでございます。しかし、今回のガイドラインと、それによるこれからの実践例の蓄積により、恐らく我が国から世界の実務、アカデミアに大変注目されるような動向になるだろうと思っております。そういう意味で、私自身も大変勉強になりました。
 この本の英語のサブタイトルは、原文において「A Catalytic Revolution」となっておりまして、そのまま訳しますと触媒作用をもたらすということでございますけれども、本ガイドラインの忠実な遂行そのものが、まさしく我が国の社会、金融市場を大きく動かす原動力になるものと確信しております。ありがとうございました。

 それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。ありがとうございました。
 
―― 了 ――

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