第19回金融機能強化審査会 議事要旨

1.日時:

平成27年8月12日(水)13時00分~16時15分

2.議題:

経営強化計画(高知銀行、フィデアホールディングス・北都銀行、東和銀行及びじもとホールディングス・仙台銀行・きらやか銀行)の審議

3.議事内容

  • 高知銀行の森下頭取より新たな経営強化計画の概要について説明が行われた後、質疑応答が行われた。概要は以下のとおり。

    • 高知県の産業振興計画との協働について、どのように進めているのかを教えていただきたい。

      • 地域連携ビジネスサポート部が中心となって実施しており、県をはじめとして10の自治体とも協定を締結し、それも協定を結んだだけではいけないので、それに実がなるよう、連絡協議を定期的に開催し意見交換を行いながら、創生総合戦略の策定にも関わらせていただいている。

    • 営業態勢の再構築として掲げているブロック・エリア制の導入について、これまでの連合店形式との違いを教えていただきたい。

      • 連合店形式では、営業店予算や人員配置など非効率な面があったが、ブロック・エリア制では、地域に密着し、ブロック単位で予算措置など、営業体制の効率化を図ることを考えている。

    • 「資産の健全化」を施策として掲げているが、部分直接償却等のオフバランス化などの不良債権処理に公的資金を活用していくということなのかを教えていただきたい。

      • 当行の不良債権比率は、まだ高いという認識。(分子対策である)不良債権処理に公的資金を充てるというよりも、(分母対策である)中小企業向け貸出を推進していくため、公的資金を活用する認識である。不良債権先への対応は、単なる破綻処理ではなく、ランクアップなどの早期事業再生支援や事業承継支援を、地元の雇用維持も鑑み、取り組んでいく。

    • 経営改善支援先割合について、実績が計画を上回っているものの、2・3%台であり、他行ではもっと高い比率のところもある。26年4月に対象先数を絞り込んでいるが、その点をどのように考えているのかを教えていただきたい。

      • 以前は、店舗ごとに支援先数目標を決めていたが、実効性が上がらなかった。そのため、経営改善支援先を、当行がメイン行の取引先等に絞り込む見直しを行った。渉外活動の一環で、財務分析資料による提案活動等を行っているが、その水準の取組は計上しておらず、実効性のある取組ができる先で成果があった先を実績として計上している。

  • 高知銀行の森下頭取が退室した後、フィデアホールディングスの里村社長及び北都銀行の斉藤頭取より新たな経営強化計画の概要について説明が行われ、その後、質疑応答が行われた。概要は以下のとおり。

    • 新設した「あきた創生アドバイザリーボード」は、どのように運用していくのかを教えていただきたい。

      • 8つの戦略(地方創生北都プラン)を総花的に議論するのではなく、秋田の魅力を海外へ発信するプロジェクト等の具体的なプランをここで説明し、意見・アイデアを貰う場として運用していく。

    • 事業の将来性を評価して、プロジェクトファイナンスを行うことはハードルが高いという認識であるが、どのように取り組んできたのかを教えていただきたい。

      • 当行自らが動かないと、地方の雇用効果等を創出できないという危機感を持って臨んだ。この分野の外資系銀行やメガバンクから人材登用等により、フィデアホールディングスとも連携して組織的にノウハウを蓄積させた上で、ニューフロンティアビジネス推進室を設置し、エネルギー分野を中心に取り組んできた。

    • 再生可能エネルギー分野では、資本力を持った方が参入してきていると認識であるが、他の分野も含めプロジェクトファイナンスであっても、資本に応じて、事業の限界があると考えているのか、その点を教えていただきたい。

      • 資本の条件で成約に至らなかった事案もあり、資本は重要な部分。その上で、事業性を評価している。

    • 秋田県は高齢化や高い廃業率で厳しい環境であるにもかかわらず、事業承継支援の実績推移が半期ごとに1件ずつとなっている。ニーズがないのか、体制ができないのか、その点を教えていただきたい。

      • ニーズはかなり高い。当行のノウハウが途上段階であったため、信託銀行での研修等によりノウハウを蓄積し、ようやく体制を構築されてきたところ。今後は、着実に実績を上げられるように強化していく。

  • フィデアホールディングスの里村社長及び北都銀行の斉藤頭取が退室した後、東和銀行の吉永頭取より新たな経営強化計画の概要について説明が行われ、その後、質疑応答が行われた。概要は以下のとおり。

    • 海外進出支援等を含む本業支援の取組が、どのように業績に結びついたのかを教えていただきたい。

      • 貸出金において、量的な面では、新規開拓先等への貸出しによる増、金利面では、リレーション強化による金利の低下抑制効果があった。

    • 地方創生への取組について教えていただきたい。

      • 「しごと」の創生において銀行に求められているのは、リレーションシップバンキングそのものであり、「お客様応援活動」により、取引先の本業を支援して売上増加や経営改善に貢献し、事業再生で困難な状況であった先が再生することであると認識している。「まち」の創生では、温泉地の活性化に寄与した事例もあり、今後も地元大学との議論や支店で開催している「お客様との集い」での街づくりに向けた講演等を通じて地方創生に寄与していきたい。

    • 本業支援の取組が持続的可能なものになるように取り組んだこと、また、それによる行員の姿勢の変化等があれば、教えていただきたい。

      • 本業支援の取組は行内で浸透しており、行員が提案型営業にやりがいを持って活動している。メンタル面では、当該活動を個人表彰の対象とし、モチベーションの維持・向上に努めている。体制面では、渉外担当が本業支援に専念できるように、投信プロモーターの配置を行っている。今後は、目利き能力の向上のため、行員の外部研修のみならず、食品系バイヤーや製造業の実務経験者等の直接雇用も検討していく。

    • 本業支援に係る業績評価を定性評価で行うこととしているが、現場の行員はどのように受け止めているのかを教えていただきたい。

      • 以前は、顧客への提案数などの定量的な部分で評価を実施していたが、それのみでは目利き能力の向上にはならないので、例えば商談不成立となった場合の要因分析を評価できるように定性的評価を実施することとした。この評価方法の変更について、現場の行員は改善されたと受け止めている。

  • 東和銀行の吉永頭取が退室した後、じもとホールディングス・仙台銀行の鈴木頭取及びきらやか銀行の粟野頭取より新たな経営強化計画の概要について説明が行われ、その後、質疑応答が行われた。概要は以下のとおり。

    • 本業支援に取り組んでいくことで、金利や貸出量などに、どのような影響があったのかを教えていただきたい。

      • 毎年実施している顧客満足度調査の結果では、本業支援の成約先は、取引金融機関を決定する際に金利水準を重要視する割合も低い。統計的に比較しても、顧客全体の利回りの低下幅と比べて、本業支援の成約先は、低下が抑制される。貸出量についても、全体と比較して伸び率が高い。したがって、本業支援の取組には一定の効果はあると考えている。

    • 本業支援を取り組んでいく中での課題について教えていただきたい。

      • 山形と仙台をつなぐ経済圏(仙山圏)でのビジネスマッチングのニーズは高く、双方のニーズを的確に把握することが大きな課題である。そのためには、やはり行員の研修が必要。今後、より深度のある支援を行うために、専門家や行員の派遣も課題となってくる。

    • 本業支援は、時間のかかる取組になると思われるが、行員のモチベーションをどのように維持・向上させているのかを教えていただきたい。

      • 本業支援を長期的戦略の一つとし、各営業店の業績査定の中に組み込んでいる。ニーズを正確に把握して対応した件数や、新たに成約した件数を評価し、営業店を表彰している。行員レベルでは、顧客に感謝していただけるということがやりがいとなっており、本業支援を通して顧客の喜びを得ていくということがモチベーションにつながっている。

  • じもとホールディングス・仙台銀行の鈴木頭取及びきらやか銀行の粟野頭取が退室した後、高知銀行、フィデアホールディングス・北都銀行、東和銀行及びじもとホールディングス・仙台銀行・きらやか銀行の新たな経営強化計画について討議が行われた。主な意見は以下のとおり。

    • 5行とも新計画では、地元企業への本業支援や地域創生、面的な事業再生の取組など、本来、地域金融機関の果たすべき役割を踏まえた施策を掲げており、評価できるものとなっているが、実際に実行できるか、金融庁において、今後、モニタリング等で確認していただきたい。

    • 地元企業への本業支援について、人事評価へ反映させることや、PDCAサイクルを回して持続的に取り組むことにより、行員の意識・姿勢にも変化が現れるとともに、貸出しの量的な面と金利面での結果に繋がっていくことが証明され、各行の組織カルチャーが少しずつ変わってきたという印象を受けた。

    • エネルギー分野へのプロジェクトファイナンスのみならず、農業分野などでも事業性を評価して資金供給できるか、また、プロジェクトファイナンスに注力しすぎて、地元企業への持続的な本業支援など、本来、地域金融機関が果たすべき役割が失われることがないか、金融庁として、各行の取組をモニタリングしていただきたい。

  • 以上の討議の後、審査会として高知銀行、フィデアホールディングス・北都銀行、東和銀行及びじもとホールディングス・仙台銀行・きらやか銀行の新たな経営強化計画について了承することとされた。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

監督局 総務課・銀行第二課

(内線3391・3222)本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

サイトマップ

ページの先頭に戻る