第28回金融機能強化審査会 議事要旨

1.日時:

令和4年3月4日(金)10時30分~12時00分

2.議題:

〇変更後の経営強化計画(みちのく銀行)の審議
〇実施計画(青森銀行・みちのく銀行)の審議

3.議事内容

〇事務局より、みちのく銀行から提出された変更後の経営強化計画の概要について説明が行われた。
 また、青森銀行・みちのく銀行から提出された資金交付制度の活用申請に係る実施計画の概要について説明が行われた。

〇その後、みちのく銀行の藤澤頭取より、変更後の経営強化計画の概要について説明が行われた。
 また、青森銀行の成田頭取より、資金交付制度の活用申請に係る実施計画の概要について説明が行われた。主な質疑応答は以下のとおり。

・持株会社の名称が、非常に思いの込められた名称であることは理解しつつも、「プロクレア」という耳馴染みのない片仮名の造語となっている。地域顧客に寄り添うという顧客起点で考えた場合、分かり易いことが重要と考えるが、命名した思いや経緯を聞きたい。
 
⇒「プロクレア」に込めた意味合い(地域の可能性に挑戦し、ふるさとの豊かな未来を創っていくという強い使命感を表現)を一番高く評価したのは若手行員であり、この意味合いを様々なステークホルダーに説明することにより、プロクレアHDの存在意義や目指す方向性を理解してもらえるのではないかという強い思いを受け、経営として判断した。時間は掛かると思うが、地域の皆様に親しみを持って頂ける名前に育てていきたい。
 
・両行の円滑な経営統合・合併に向けて、異なる組織文化の融和をどのように図っていこうと考えているのか教えて欲しい。
 
⇒組織文化の違う銀行同士の合併になるため、色々と難しい面もあると考えているが、地域のために役に立つ銀行であり続けたいという志は両行一緒であり、人事交流や実務等を通じて全体の融和を図っていきたい。また、組織文化や業務運営の違いを逆にチャンスと捉えて、両行職員が存分に力を発揮できる多様性のある組織作りに取り組んでいきたい。
 
・両行の強みを活かしてトップラインを向上させていくとしているが、両行で掲げている取組みはシンジケートローンのアレンジやABLといった先駆的なものが多く、足許の収益貢献はそこまで大きくは見込めないのではないか。両行が協働することによりトップラインがどのように伸びていくのか具体的に教えて欲しい。
 
⇒両行と取引のある企業は青森県内に1万5千社あるが、重複先は3割で1万社程度が単独取引先という調査会社のデータもあり、クロスセル営業の拡大余地が相応にある。例えば、取引先情報を共有することで商流・技術・雇用等の相乗効果が生まれるほか、それぞれで強みを持つ金融商品販売や個人ローン等のノウハウを共有することで、より良いサービス提供が可能となるなど、収益向上が期待できると考えている。
 
・実質無利子・無担保融資等の政府による資金繰り支援等もあり、将来を見据えた資金が預金に滞留している企業も多いといった説明があったが、コロナ関連融資は長期で貸し出しされているものも多く、今後、中小企業向け貸出が拡大するという見通しを実現していくことは難しいのではないか。
 
⇒コロナ関連融資は将来の資金需要を取り込んでいる面もあり、今後、資金需要が減少するという大きな流れは止められないと考えている。他方で、単独の取引先も多く、両行の強みやノウハウを相互活用し、これまで取りこぼしてきた資金ニーズをしっかり拾っていくなど、顧客ニーズを踏まえて営業を強化していきたい。
 
・変更後の経営強化計画では、現計画と比べて店舗の統廃合計画が緩やかになっている。人口や企業数の減少見通しと比べると店舗統廃合の速度が少し緩やかな印象があるが、現計画から店舗統廃合計画を変更した経緯等を教えて欲しい。
 
⇒両行とも単独ベースでは将来の店舗の在り方を検討してきたが、合併に向けて、ゼロベースで店舗網を見直すこととした。銀行の収支だけを考えると削減した方が良いが、顧客の利便性確保との関係もあり、拙速には進められないことから、従来の経営強化計画では、みちのく銀行単独で2年間・17店舗の統廃合を計画していたところ、今回は2年間で5店舗程度に変更し、経営統合後に店舗網の最適化を図っていく方針とした。
今後、スピード感を持って協議していくが、1km以内に両行の店舗がある箇所は50箇所前後あり、そのうち500m以内が大宗を占めていることから、顧客への影響は最小限に止めることができると考えている。また、移動店舗車の活用やバンキングアプリの利便性向上など、顧客の利便性等も十分に考慮していきたい。
 
・両行のシステムを統合するに当たり、顧客にどのようなデジタルソリューションを提供していくのか、顧客との接点強化に向けてどのようにデジタル化を進めていくのかなど、今後の顧客向けデジタル戦略を教えて欲しい。
 
⇒両行とも様々な分野でデジタルサービスを提供しているが道半ばであり、高齢者も含めて顧客が気軽に使用できるデジタルサービスを考えていく必要がある。経営統合・合併を進める上で、店舗の効率化を進めていく必要があるが、顧客の利便性を確保するためにもデジタル化は大きな柱と考えており、今まで以上に議論しながら具現化していきたい。
 
・トランジションファイナンスなど気候変動の分野で、どのような収益性を考えているのか教えて欲しい。
 
⇒気候変動対応については、しっかりと取り組んでいく必要があると考えているが、収益化を含めて具体的な検討には至っていないことから、今後、プロクレアHDにおいてサステナビリティ方針を策定した上で、取組みを進展させていきたい。なお、気候変動リスクやそれに対する対応を地域全体に広めていくことも銀行の役割と考えており、足許ではそうしたことをしっかりと取り組んでいきたい。
 
・人口減少や高齢化、事業者数の減少など厳しい経営環境が続く中で、経営統合・合併をすれば、行員は非常に不安になると思う。このため、両頭取が、プロクレアHDや銀行をどのように育てていきたいのかという夢を、行員や地域の顧客に対してしっかり伝えていただきたい。
 
⇒地域金融機関には地域の産業を育てるという大きな役割があると考えており、県内の銀行同士で競合をするよりも、経営統合・合併によって地域産業の育成や地域経済の底上げを行うなど、地域に貢献する銀行を作りたいと考えている。両行で一緒に汗をかいて、金融仲介だけでなく、地域のプロデュースをしっかりできるような銀行を目指していきたい。
 
⇒人口減少や高齢化の進展を打破するには、若い人達に魅力を感じてもらう街づくりが欠かせず、地元での創業や起業につながるネットワークやコミュニティを作っていくことが必要と考えており、経営統合を機にそうした裾野を更に拡大し、地元で活躍できる若い人達を生み出していけるような気概のある街にしていきたい。また、青森銀行は大・中堅企業や老舗企業のほか地方公共団体との取引が、みちのく銀行は中小・零細企業や個人との取引が厚い。両行のポートフォリオを重ねることで、青森県の真の姿が浮かび上がってくると考えており、そこで認識された課題をしっかり解決できる銀行にしていきたい。
 

〇その後、みちのく銀行の変更後の経営強化計画及び青森銀行・みちのく銀行の実施計画について討議が行われた。主な意見は以下のとおり。

・30億円の資金交付はあるが、銀行や青森県経済の持続的な成長に向けて、銀行としてもリスクを取って273億円という多額の投資を行うという大きな決断をした訳であり、起業家精神として高く評価できる。金融庁においては、細かな指摘をするのではなく、大きな目線でモニタリングしていただきたい。

・デジタル戦略や気候変動対応など、現在、検討・協議中の施策については、今後、しっかりと具体化し、取組みを進展させていっていただきたい。

・青森県経済が厳しい中において、基盤的金融サービスを維持していくために経営統合・合併という決断をされたものと考えており、地元を活性化していきたい、良くしていきたい、という両行の思いがどのような形で具体化していくのかはしっかり見ていく必要があり、金融庁においてフォローアップしていただきたい。
 

〇討議の結果、今回提出を受けた、みちのく銀行の変更後の経営強化計画、及び青森銀行・みちのく銀行の資金交付制度の活用申請に向けた実施計画について、審査会として了承することとされた。

 

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

監督局 銀行第二課

(内線3393・3759)本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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