第29回金融機能強化審査会 議事要旨

1.日時:

令和4年9月1日(木)9時20分~12時40分

2.議題:

〇実施計画(愛知銀行・中京銀行)の審議
〇経営強化計画(東北銀行、筑波銀行、豊和銀行)の審議

3.議事内容

◯愛知銀行の伊藤頭取、中京銀行の小林頭取より、資金交付制度の活用申請に係る実施計画の概要について説明が行われた。主な質疑応答は以下のとおり。  
 
・システム統合により改善を進めたい点はどのようなものか。
 
⇒今般の合併において、システム統合は一番大きな事業であるところ、原則として、両行のシステムを愛知銀行のシステムに統合することを基本方針としている。移行に係るリスクやコストを最小限に抑えながら、統合後も速やかにシステムを活用することができる。そのようにして抑制したコストを、次のステップであるIT化やDXへの対応、非対面チャネルの強化等に振り向けていくことを考えている。
 
・人材の育成に対してどのように考えるか。
 
⇒人材育成は最も大事であると考えている。店舗の統廃合やシステムの統合により生み出された人材を、コンサルティングやソリューションビジネス、内部効率化等に充てるべくスキルを向上させていきたい。そして、顧客に対する高度な金融サービスの提供に繋げることで地域の発展に貢献するとともに、新銀行の収益力の向上にも繋げていきたい。  

◯東北銀行の佐藤頭取より、新たな経営強化計画の概要について説明が行われた。主な質疑応答は以下のとおり。
 
・新たなビジネスモデル(「地域活性型ビジネスモデル」)の必要性及びアグリビジネスの具体的内容を教えて欲しい。
 
⇒当行のコアバリュー(経営理念)やパーパス(存在意義)に基づき、成長予備軍に対する取組みを継続するとともに、収益力を補完するものとして新たなビジネスモデルに取り組むもの。
 特にアグリビジネスに関しては、岩手県は生産が中心であり、そこに付加価値を付けて展開できていない点が課題。付加価値を付けて利益を上げるべく、県の第三セクターとの商品開発やファンドを活用した設備資金等の資金繰り支援に加え、農業の大規模化に取り組むといったことが考えられる。
 
・被災地の復興に向けて取り組む中、新型コロナウイルスの感染拡大やウクライナ・ロシア情勢の影響等、外部環境による下方リスクについてどのように考えているか。
 
⇒下方リスクは相応にあると理解しており、突発的に顕在化しないように引当等も検討せざるを得ないと認識している。なお、個人的には沿岸の被災地の方々を心配している。事業の状況や見通し等について1対1で向き合いながら話をして、本業支援に取り組んでいきたい。
 
◯筑波銀行の生田頭取より、新たな経営強化計画の概要について説明が行われた。主な質疑応答は以下のとおり。
 
・外部知見の活用に関し、顧客との間のナレッジギャップや行員のスキル育成をどのように考えるか。
 
⇒SBIとの業務提携により提案できる商品が増えたことで、顧客に対するサービスの向上が図られており、顧客からも評価を頂いている。また、特にDX支援に係る商品提供については、当行行員の出向や資格取得を通じてスキルアップを行うとともに、最終的には内製化を図っていきたい。
 
・第5次中期経営計画のコンセプトに掲げられている「サステナブル経営」の内容について教えて欲しい。
 
⇒顧客本位の良質なサービスを提供することにより、顧客の生産性の向上あるいは資産形成を支援し、結果として当行の経営基盤・顧客基盤を確保していくことをビジネスモデルとして確立していくもの。顧客と当行がwin-winの関係となるよう、更なる発展を目指したい。
 
◯豊和銀行の権藤頭取より、新たな経営強化計画の概要について説明が行われた。主な質疑応答は以下のとおり。
 
・「Vサポート」によるマッチングは県内が中心となるのか、あるいは需要によっては域外にも広げていくのか。さらには今後の展開についても教えて欲しい。
 
⇒売り手・買い手ともに当行の顧客となる。買い手顧客の財務データや経営課題に相応しい商品を提供するとともに、売り手顧客の業績を改善することで当行も引当を軽減することができるものであり、域外の第三者への展開は考えていない。
 また「Vサポート」は、当行が顧客のために汗を流すことによって、その結果が当行にも還流されるものであり、カルチャーの変革に繋げる位置付けの取組みである。「経営改善応援ファンド」「資金繰り安定化ファンド」とともに、銀行全体として、顧客志向のカルチャーを創るべく取組みを進めたい。
 
・信用リスク、市場リスクについての考えを教えて欲しい。
 
⇒「Vサポート」の大きな効果として、定量的のみではなく定性的な事業評価に繋がっており、企業の実態に即したところで判断することができるようになってきている。他の経営改善支援のスキームと合わせ、顧客の実態に見合った融資が実行できていることで、積極的に信用リスクを取りにいっているとは考えていない。また、市場リスクについては、当行の体力や陣容に応じて必要最小限しか取らないこととしている。
 
◯その後、実施計画(愛知銀行・中京銀行)及び経営強化計画(東北銀行、筑波銀行、豊和銀行)について討議が行われた。主な意見は以下のとおり。
 
(実施計画(愛知銀行・中京銀行))
・愛知銀行のシステムに統合した上で如何に活用していくかについては、当局において十分にモニタリングしてもらいたい。

・何を重点項目にしてトップラインを伸ばしていくのかという点についても、モニタリングしてもらいたい。

・実施計画の具体化や合併による効果を引き続き注視する必要がある。
 
(経営強化計画(東北銀行))
・佐藤頭取の理解やマネジメント力を感じた一方、新しいビジネスモデルに対する取組みやPDCAの状況については注視する必要がある。

・無理のない計画であると思うが、外部環境による下方リスクには留意する必要。
 
(経営強化計画(筑波銀行))
・設定したKPIが収益に結び付いている点に成熟性が見受けられ、評価できる。
 
(経営強化計画(豊和銀行))
・これまでの実績及び施策の方向性は良いと思うが、そのような施策が財務の健全性に繋がるかがポイントであると考える。
 
(その他)
・有価証券運用については、評価額が上下している部分も見られるので、当局においてフォローをお願いしたい。

・新型コロナウイルスの影響に加え、ウクライナ・ロシア情勢やコスト高といった問題も生じている中、当局においては計画の達成に向けてしっかりとモニタリングをしてもらいたい。
 
◯討議の結果、今回提出を受けた、実施計画(愛知銀行・中京銀行)及び経営強化計画(東北銀行、筑波銀行、豊和銀行)について、審査会として了承することとされた。
 

お問い合わせ先

金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)

監督局 銀行第二課

(内線3759・3393)本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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