第30回金融機能強化審査会 議事要旨

1.日時:

令和5年5月11日(木曜)10時00分~11時40分

2.議題:

◯ 会長及び会長代理の選任

◯ 資金交付制度の活用申請に係る実施計画(八十二銀行・長野銀行、はばたき信用組合・三條信用組合・新潟鉄道信用組合)の審議

3.議事内容


◯ 会長及び会長代理の選任手続きが行われ、新たに松下淳一委員を会長に、前田博委員を会長代理に選任した。

◯ 八十二銀行の松下頭取、長野銀行の西澤頭取より、資金交付制度の活用申請に係る実施計画の概要について説明が行われた。主な質疑応答は以下のとおり。

・ 低金利の中で長短の金利の差で稼ぐというビジネスモデルがもう成り立たないのではないかという指摘があるが、今後、力を入れたい業務分野は何か。
 
⇒ コンサルティング業務についてはこれまでもいろいろな形で強化をしてきたが、事業承継の問題にはさらに力を入れていきたい。少子高齢化等の中、県内の会社を大きくしながら、そこに人も寄ってくるような形のコンサルティングができればと考えている。
また、個々の取引先に対する本業支援のみならず、県内のネットワークやサプライチェーンを繋げ、その中で最適な提案を進めていきたい。
 
・ 経営統合に当たり、重複している店舗のみならず、そうではない店舗の統廃合を選択する決め手は何か。

⇒ 長野市、松本市辺りはかなり密な店舗配置となっており、そのような店舗もさらに効率化を図っていく。また、削減するのはフルバンキング店舗であり、相続コンサルプラザ等の個人向けプラザは実験的に増やしている。高齢者の方等への対応を含め、店舗の削減に伴う顧客サービスの低下については、極力不足がないようにデジタルを利用した補完的な対応等を行っていきたい。
また、地域銀行が強いのは対面で顧客と話せるところであり、店舗での対応に加え、顧客を訪問していろいろなことをお伺いする等、それらを合わせながら店舗について考えていきたい。
 
・ 人員の再配置に当たってのリスキリング等の方針如何。
 
⇒ 例えば、事務を担当している行員が顧客の事務のデジタル化に向けた相談に応じたり、個人向けの営業員が高齢者の方に向けた信託や相続ビジネスを行うといった形への転換は図りやすいと考えている。それぞれの経験した分野の中で新しいところへシフトすることを考えており、そのために研修体制を両行一緒に構築するなど、より高度な人材を創出できる形を考えていきたい。
 
◯ はばたき信用組合の宇野理事長、三條信用組合の佐藤理事長より、資金交付制度の活用申請に係る実施計画の概要について説明が行われた。主な質疑応答は以下のとおり。

・ 営業地区の重なり合いがない中で、コストシナジーをどのように創出するのか。また、ビジネスマッチングとしてはどのようなものを考えているのか。
 
⇒ 営業地区は重複していないが、本部機能を一つに統合することによって各部署を強化でき、また、人員の効率化もできるものと考える。合わせて、営業店に渉外担当者を再投入し、融資に特化した推進体制を確立することで、融資を維持・増強していきたい。
ビジネスマッチングについては、例えば遊休不動産の紹介等、身近な課題に対するマッチングから確りと取り組んでいきたい。
 
・ 合併後、中小企業向けの貸出に比して個人向けが伸びる計画となっているが、考え方如何。
 
⇒ 事業向けの融資は、事業所数の減少や他の金融機関との金利競争の中、非常に厳しい状況であるが、その中でも課題解決に向けた取組みを進めながら維持していきたいと考えている。個人向けについては、住宅ローンやおまとめローン等に取り組んでいる中で、そのような計画となっている。
 
◯ その後、実施計画(八十二銀行・長野銀行、はばたき信用組合・三條信用組合・新潟鉄道信用組合)について討議が行われた。主な意見は以下のとおり。

(実施計画(八十二銀行・長野銀行))

・ 大胆な店舗戦略とともに、基幹システムを八十二銀行に合わせていくというシステム面での戦略もクリアであり、規模的にも違和感はない。
 
・ 伝統的なバンクビジネスモデルの維持が困難となる中、コンサルティング等自体で本当に収益が上がるのか。それとも、これを梃子として融資の維持・拡大や金利の維持・引き上げを狙っているのか、モニタリングしてもらいたい。

(実施計画(はばたき信用組合・三條信用組合・新潟鉄道信用組合))

・ 人口や事業所数が大きく減少する中、融資残高や利益を維持しつつ、些少ながら経費の削減も行っていくことは大変であるとは考えるが、地域の活性化等の観点からも理解できるものである。
 
・ はばたき信用組合が取り組んできた融資モデルを三條信用組合に展開することにより融資残高を維持していくという戦略自体は実務的であり、正しいフォーカスになっているものと考える。
 
・ どのくらい時間をかければ融資専担者が増やせて、どの程度収益が改善するのか、モニタリングしてもらいたい。
 
・ 協同組織金融機関の合併に当たっては、連合会によるサポートと合わせて考えることが重要である。

(その他)

・ 本日の2件は構図が違えども日本のどこでも起きていることであり、手をこまねくのみならず何とかしなければならないとして統合を選択したとの印象。当局においては引き続き確りウォッチしてもらいたい。
 
◯ 討議の結果、今回提出を受けた、実施計画(八十二銀行・長野銀行、はばたき信用組合・三條信用組合・新潟鉄道信用組合)について、審査会として了承することとされた。
 

お問い合わせ先

金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)

監督局 銀行第二課

(内線3759・3393)本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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