金融審議会「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」(第6回)議事録

  • 1.日時:

    令和6年12月13日(金曜日)10時00分~11時20分

2.場所:

 中央合同庁舎第7号館 9階 905B共用会議室 ※オンライン併用

金融審議会「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」(第6回)


【洲崎座長】
 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ、第6回会合を開催いたします。
 
 本日の会合も、前回に引き続きオンライン会議を併用した開催とし、会議の模様はウェブ上でライブ中継をさせていただいております。
 
 また、議事録は、通常どおり作成の上、金融庁のホームページにて後日公開させていただく予定ですので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
 メディア関係者の方々はここで御退席をお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
 
(報道関係者退室)
 
【洲崎座長】
 それでは、議事に移らせていただきます。本日は、まず事務局より、前回皆様から頂いた御意見を踏まえた資料1「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」報告書(案)の修正点等について説明を聴取した後、取りまとめに向けて、メンバーの皆様に御討議いただく流れで進めさせていただきます。
 
 それでは、事務局説明資料について、事務局より説明をお願いいたします。
 
【赤井企画市場局調査室長兼保険企画室長】
 それでは、「損害保険料等に関する制度等ワーキング・グループ」報告書(案)について、お手元の資料1に沿って御説明をさせていただきます。
 
 まず、1ページの目次を御覧ください。大きな項目としては2つ、顧客本位の業務運営の徹底と健全な競争環境の実現、前者の中に大規模乗合代理店に対する体制整備や乗合代理店における比較推奨といった論点、後者の中に保険仲立人の活用促進、保険会社の便宜供与、火災保険の赤字構造といった論点を記載しております。
 
 まず、大規模乗合代理店に対する体制整備の強化ですが、5ページを御覧ください。どのような代理店をこの体制整備の強化の対象とするかですが、9行目におきまして、規模が大きい特定保険募集人の中で一定規模以上の特定保険募集人を対象とし、これを特定大規模乗合保険募集人とする。さらに13行目ですが、その代理店の規模の指標は手数料収入額を基準として用いることを記載しております。
 
 次に、その下の(2)ですが、兼業代理店への対応を記載しております。具体的な取組としましては次の6ページの7行目以降になりますが、特定大規模乗合保険募集人のうち、保険金関連事業を兼業する者は不当な修理費等を請求するインセンティブがあることを踏まえまして、このような取引を特定し、管理方針を策定・公表する、その他の体制整備を求めることとしております。
 
 また、14行目ですが、この兼業代理店に関しては前回、委員から大規模な代理店に対する対応だけでなく、全ての兼業代理店に対して顧客の利益等、不当に害することを防止する理念を監督指針等で明確化できないかといった御指摘も頂きましたので、それに対応する方向でここに記載をしております。
 
 次に、その下の(3)は特定大規模乗合保険募集人に求める体制整備です。
 
 次の7ページの1行目から具体的な取組を記載しておりますが、営業所または事務所ごとに法令等遵守責任者を設置する。本店または主たる事務所に統括責任者を設置する。これらの責任者には一定の資格要件を求め、そのための試験制度を新設する。このほかにも保険募集指針の策定、苦情処理体制の整備、内部監査体制の強化といった体制整備を求めていくことを記載しております。
 
 次に、乗合代理店における比較推奨になります。8ページの6行目になりますが、乗合代理店における適切な比較推奨を確保する観点から、顧客の意向に沿って保険商品を絞り込む。その絞り込みに当たっては、顧客が重視する項目を丁寧、かつ明確に把握した上で、意向に沿って保険商品を推奨することを求めていく。さらには、その際の留意事項は今後監督指針において可能な限り明確化が図られる必要があるとしております。
 
 さらに、その下ですが、前回、手数料開示の重要性についての御指摘も頂いております。25行目ですが、今後、乗合代理店における比較推奨の実態に関するモニタリングを深化させる。こういった実態と保険会社における募集手数料を含む収益コスト構造との関連についての理解をより深めることとしております。
 
 続いて9ページを御覧ください。今般の事案を踏まえますと、代理店の体制整備の強化をするだけではなく、保険会社による適切な管理、指導等の実効性を確保していくことも重要です。このため7行目ですが、兼業代理店からの不正な修理費等の請求に対して、保険会社のけん制機能が適切に発揮されるよう、支払管理部門と営業部門を分離する。委託先の代理店における顧客の利益等を害するおそれがある取引を特定して、適切に管理する。さらには、大規模乗合保険募集人へ業務を委託する際は、その代理店の法令等遵守態勢を検証するための管理責任者を設置するとしております。
 
 その次の10ページですが、損害保険分野における自主規制のあり方になります。損害保険分野は他の分野と違って、会員となることが想定されている代理店の数が非常に多く、それらが幅広く加入している団体、自主規制機関の母体となる団体はありません。そのため、21行目になりますが、現時点では自主規制機関を直ちに設置する状況にはないとしております。
 
 続きまして、11ページからが2つ目の項目、健全な競争環境の実現になります。まずは保険仲立人の活用促進ですが、12ページの11行目、保険仲立人の活用は販売チャネルをより多様化させ、販売面での競争をより促し、我が国の保険市場の健全な競争環境の実現につながるため、その活用を促進していく。さらには保険仲立人を十分に活用できるよう、企業側がリスクマネジメント体制および能力を高めることも重要だと記載しております。
 
 その下の①は、媒介手数料の受領方法の見直しになります。現在、保険仲立人は手数料を保険会社に請求することとされておりますが、24行目ですが、保険会社だけではなく顧客からも受領できるように見直すべきである。その際、手数料の受領先や金額については、その受領方法に応じて、保険仲立人と顧客、保険仲立人と保険会社、それぞれで調整した上で決定するとしております。
 
 また、手数料を顧客からも受領できるようになれば、顧客と保険会社の双方から手数料を受領できるようになりますが、その場合、顧客の保険調達コストが上がってしまう可能性もありますので、こういった顧客の利益が害されないよう一定の措置を講ずるべきであるとしております。
 
 具体的には31行目ですが、保険仲立人は、手数料を保険会社から全額受領するか、顧客から全額受領するか、保険会社と顧客の双方から受領するか、これを顧客にあらかじめ説明することを記載しております。また前回、複数の委員から、保険会社と顧客の双方から受領する場合、保険仲立人が顧客から受領する手数料を保険会社にも開示すべきではないかといった御意見も頂きましたので、追記をさせていただいております。
 
 その次の保険仲立人の保証金制度の見直し、保険代理店等との協業の見直し、海外直接付保における保険仲立人の活用は省略をさせていただきまして、次は15ページの保険会社の便宜供与の問題になります。
 
 今般の保険料調整行為事案では、保険会社による便宜供与の実績で保険契約やシェアが決まってしまう実態があることも分かっております。こういった便宜供与は、保険業法上の保険契約者に対する特別利益の提供を禁止する規定との関係でも好ましくなく、また、保険業の健全な発展を阻害することが指摘されております。このため、28行目ですが、特別利益の提供として禁止される行為の対象に保険契約者のサービスの利用や物品の購入、役務の提供といった便宜供与のうち、保険契約者間の公正性を害し、保険業の健全な発展を阻害するものを新たに追加すること、また、特別利益の受け手の対象に保険契約者のグループ企業を追加することとしております。
 
 その次、16ページからが企業内代理店の問題になります。まず(1)で、企業内代理店の実態把握の結果を整理して記載しております。27行目ですが、大手損保会社4社が企業内代理店として認識している代理店は全部で約9,500社と記載しております。
 
 また、その次の17ページの2行目になりますが、企業内代理店へのヒアリングによって、企業内代理店の間の中には一定の実務能力を有し、企業にとってなくてはならない保険リスクマネジメントの分野に貢献している代理店もあるとしております。
 
 その下の(2)で、特定契約比率規制の見直しの方向性を示しております。14行目ですが、保険代理店としての自立をより一層促す観点から、経過措置を早急に撤廃すべきであり、ただし、必要な準備期間として3年程度を置くとしております。
 
 また、その下、特定者の範囲は連結の範囲に拡大するとしております。また、企業内代理店には専門的な知見を有する代理店も存在することが分かっておりますが、そうした代理店を含めて、特定契約比率規制を全ての企業内代理店に対して画一的に適用することは適切ではないということで、そのため、次の18ページの6行目ですが、特定契約比率規制の適用除外の枠組みを設けることとしております。
 
 また、その下ですが、その適用除外の要件は2つの軸、一定の態勢整備の要件と手数料の適正化の要件を考慮して設けると記載しております。
 
 この2つの要件の設定をめぐりましては、多くの御意見を頂いております。20行目ですが、当局は、そういった委員からの御意見を踏まえまして、できる限り早いタイミングで真に適正と考えられる企業内代理店が適用除外の対象となるよう、今後要件の具体化を進めるべきとしております。また、これらの要件の該当性は、基本は保険会社が確認をすることを想定しておりますが、各保険会社間で判断にばらつきが生じないよう、これらの要件は可能な限り客観的、かつ具体的なものであるよう留意する必要があるとしております。
 
 次に19ページの(3)、保険仲立人への特定契約比率規制の適用です。保険仲立人は顧客の委託を受ける立場にありますので、原則として特定契約比率規制の適用除外とするべきといった指摘もあります。
 
 他方、28行目ですが、現在と同様、保険会社から手数料を受領する場合は引き続き特定契約比率規制を適用することが適切ではないかとしております。
 
 ただ、この点につきましても委員から多くの御意見を頂いておりますので、脚注45にも記載しておりますが、今後、保険仲立人をめぐる状況の変化や企業内代理店の特定契約比率規制の適用除外の具体化に向けた検討も踏まえまして、保険仲立人への特定契約比率規制の適用のあり方も検討を続けていくこととしております。
 
 次に(4)は、特別利益の提供の禁止の観点からの手数料の適正化です。20ページの11行目になりますが、保険会社から受け取る手数料が企業内代理店の提供する役務の内容に応じた額を超えるものについては、実質的な保険料の割引等に相当するものと考えられます。この点を関係者間で改めて共有をした上で、保険会社に対して企業内代理店の提供する役務に応じた手数料の支払いを求めていくことが重要であるとしております。
 
 その下の4は、火災保険の赤字構造の改善です。具体策は21ページですが、19行目、企業向け損害保険商品について、必要な補償が将来にわたって安定的に提供されることを確保する観点から、当局による保険会社の商品開発管理体制のモニタリングの高度化を図ると記載しております。
 
 続いて22ページですが、現在、火災保険の参考純率は損害保険料率算出機構が算出しておりますが、この算出方法を見直していく。具体的には9行目になりますが、気候変動が将来の参考純率の水準に与える影響を定量的に予測、反映するための手法について、さらなる検討を進めることを記載しております。
 
 最後は(3)の、参考純率及び標準約款作成の対象となる保険種目の拡大になります。現在、この対象種目は火災保険、自動車保険、傷害保険の3種目ですが、保険料率の算出や保険約款の作成に係るコストを低減することで中小規模の損害保険会社の商品開発、新規参入を促進する観点から、この種目を拡大するとしております。
 
 また、その次の23ページですが、この対象種目の拡大に伴って損害保険料率算出機構の下には多くのデータが集まってくることが見込まれますので、この機に機構のデータバンク機能を強化することも重要だとしております。
 
 以上になります。
 
【洲崎座長】
 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの事務局説明を踏まえて、委員の皆様方から御自由に御発言を頂ければと思います。
 
 全体の会議時間の制約もございますので、御発言のお時間といたしましては5分程度を目安にしていただければと思います。対面で御出席いただいている方々におかれましては、名前の札を立てていただき、オンラインで参加されている方々におかれましては、オンライン会議システムのチャット上にて全員宛てにお名前を御入力ください。
 
 それでは、御発言をお願いできればと思います。では、中出委員。
 
【中出委員】
 ありがとうございます。中出です。

 前回の委員会で委員から出された様々な意見をこの報告書にも織り込んでいただきまして、それをまとめられた事務局の御努力に本当に敬意を表します。
 
 この報告書は考え方もしっかりしていて、そして、いろいろな論点を織り込んで細部まで検討したことが伝わってきます。パラグラフ一つ一つに重要なメッセージが込められておりますし、また、脚注という形で示されている内容にも重要な考え方が盛り込まれていると思います。全体として違和感はございませんし、また、最後の「おわりに」でまとめられたメッセージも力強いもので、まさに重要な考え方が示されています。その上で何点か、私の意見を申し上げたいと思います。

 まず、我が国の損害保険業については、1995年の保険業法改正で大きな枠組みの変更を行ったわけですが、損害保険ビジネスにおける取引慣行というのはあまり変わらないで今日まで来たのだと思っております。その点では、グローバル化あるいは社会経済の環境というものが大きく変化していた中でも、損害保険の取引慣行は旧来からの伝統となって続いていたことが背景にあったと思います。

 今回の報告書は、こういった取引の実務やビジネスの慣行という、その中身自体を変えていこうというものですので、1995年の保険業法の大改正と並んで、実質的に極めて重要な改正になっていくのではないかと思います。今回の報告書は、そのための重要な提言になる点で極めて重要であると思います。

 この報告書の内容は、今後、法律や監督指針等で具体化していくことになると思うのですが、この報告書のいずれの部分も重要ですが、今回、特に特定大規模乗合保険募集人に対する上乗せ規制、企業内代理店の特定契約比率規制の見直し、あるいは保険仲立人の手数料の受領方式や代理店との協業といった、いろいろと実務処理に大きな変更が生じる部分がございます。

 こういった新たな規制は形だけ整えればいいとなると、あまり意味がなくむしろ逆効果になると思いますので、実効が上がるかどうかということを基本にして細部を詰めていただきたいと思います。新たな方式がうまく機能して、健全な市場をつくっていくことが極めて重要と思います。その点では、当局におかれましては今後も実務界等の意見や現状というものを踏まえながら、細部の検討を進めていただきたいと思います。

 続きまして、業界においては、問題の再発を防ぐことは当然ですが、この機会を利用して保険ビジネスの原点に立ち返って能動的に改革を進めてほしいと願います。その上では、第一線で実務を担う方々が、この報告書が示している考え方の意義をよく理解していただいて、国からの押しつけというような意識ではなくて、新たなビジネス慣行をつくっていく絶好の機会であると受け止めて、前向きに改革を進めてほしいと願います。

 また、業界団体や協会においては多種のガイドライン等を作成していただくことになっていくかと思いますが、最低限必要なことを記載するだけではなくて、ベストプラクティスといった実務が目指していくべき方向性というものもガイドライン等の中で示すことで、顧客本位の業務運営がさらに進んでいく、そういうような方向で取組を進めてほしいと思います。

 全体としまして、今まさにこれからの発展に向けて重要な岐路に立っており、この提言、報告書はその点から重要であると思います。各主体において前向きに捉えていいただき、保険業が社会経済の重要なインフラとして今後も社会の発展に貢献していくことを願っております。
 
 以上です。
 
【洲崎座長】
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、嶋寺委員、お願いします。
 
【嶋寺委員】
 ありがとうございます。前回のワーキング・グループでは予定の時間を過ぎてから発言の順番が回ってきましたので、時間の関係で話ができなかった点をまずコメントさせていただきたいと思います。
 
 報告書(案)5ページの26行目では、保険会社の保険金等支払管理態勢が適切に機能していなかったことによって、過大な保険金の支払いが防止できなかったことが記載されております。さらに9ページの7行目では、代理店からの不正な請求をけん制するために支払管理部門と営業部門を適切に分離することが記載されております。ただ本来、きちんと証跡を確認して適正に保険金を支払うのは、代理店からの請求の場面に限られるものではなく、全ての保険契約に求められる基本的な支払管理部門の姿勢であると思います。

 有識者会議の報告書でも損害事実に関する証跡の十分な検証や営業部門から支払管理部門に対する不当な介入の排除という問題に言及されておりました。実際の保険金支払いの事案を見ておりますと、一旦支払管理部門が払えないという判断をした事案において、その顧客の契約を扱った代理店が出てきて、支払管理部門に強いプレッシャーをかけて支払いを求めるような事案を多く目にします。中には、企業内代理店から、保険金を支払わないのであれば、来年から契約は他社に切り替えるという言い方をされることもあります。

 今回のワーキング・グループでは、主に契約締結の誘因となる便宜供与の禁止が議論されてきましたが、代理店に対する便宜供与は契約締結の場面だけでなく、保険金支払いの場面でも存在しており、一部の代理店の顧客をほかより有利に扱うことも便宜供与に当たると思います。払い渋りはもちろん問題ですが、逆に払い過ぎも問題になるという意味で、適正な支払いの重要性について何らかの形で報告書でも言及をしていただくのがよいのではないかと思いました。

 もう1点、前回から議論になっております特定契約比率規制の見直しの点でございます。ポイントは18ページの11行目の手数料の適正化の要件であると思います。今後、監督指針等において要件の具体化が進められると思いますが、金融庁においても、この適用除外はあくまで例外的なものと位置づけられておられるようですので、適用除外の対象が限定的なものとなるように、脚注39にもありますが、各社で判断に差異が生じないよう、一定の金額基準を入れることも検討すべきであると思います。

 また、脚注40にあるように、グループ内の経営資源に低コストでアクセス可能である立場の競争優位性も考えますと、生保の自己契約や特定契約では保険会社から募集手数料が支払われない仕組みがとられていることとの整合性から、手数料の水準というのは相当低い水準に抑えられていくことが必要になってくるのではないかと思いました。

 最後に、今回の報告書全体を通じてですが、有識者会議では様々な問題が提言されておりましたが、そのうち法律の改正に関わる点がこの保険ワーキング・グループで主に議論されたと理解をしております。ただ、今回の報告書でも監督指針や、業界の取組に委ねられている部分がございますので、その効果を検証する場を改めて設けることもぜひ検討いただければと思いますし、その際には、今回時間の関係で議論ができなかった企業保険の認可制度のあり方であるとか、保険業法第283条の所属保険会社の賠償責任の問題など、積み残しの課題についても併せて議論する場をつくっていただければと思います。
 
 私からのコメントは以上でございます。
 
【洲崎座長】
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、片山委員、お願いいたします。
 
【片山委員】
 片山です。発言の機会を頂きましてありがとうございます。今回の報告書ですが、これまでの様々な指摘を柔軟に取り入れていただき、短期間で簡潔にまとめられた事務局の御尽力に敬意を表したいと思います。どうもありがとうございます。
 
 その上で、私からは議論の方向性を踏まえて、今後対応がとられると思いますが、その際についてコメントを3点申し上げたいと思います。初めに、保険仲立人による媒介手数料の受領方法についてです。今回、顧客と保険会社の双方から手数料を受領する場合、保険仲立人は保険会社に対して顧客から受領する媒介手数料の額を開示すると、顧客が必要以上のコストを強いられるための方針を追記いただきました。
 
 一方で、保険仲立人を監督する立場にはない保険会社がどのような方法でコストを測ることができるのかは不透明であり、媒介手数料の額の開示をするのみでは、顧客が必要以上のコストを負わなくなる懸念は払拭できないと思われます。
 
 この点について、金融庁が顧客から媒介手数料を受領する際の手数料設定に一定の基準を設けることや、保険仲立人と保険会社の調整方法をより具体化するなど、顧客の利益が害されない方法をより明確にすることが必要と考えます。

 次に、特定契約比率規制の見直しに関する実務負荷の観点から申し上げたいと思います。現時点においても特定者の範囲の判定においては、代理店との資本関係、役職員の兼務関係をはじめとする人的関係など極めて広い範囲に規制がかかっており、実務レベルでは特定者の把握に相当な実務負荷が生じています。

 今回、特定者の範囲をグループ企業全体へ拡大する方向が示され、さらなる事務負荷の増加が予想されます。注記の部分に、特定契約比率の計算に当たっての企業の実務負担を軽減する観点から、その計算方法の簡素化を図ることが重要との旨を記載いただきました。この点は実務がしっかりと回るよう、簡素化にぜひとも取り組んでいただきたいと思いますので、御対応よろしくお願いします。

 最後に、金融庁のモニタリング体制の整備についてです。本ワーキング・グループでは、様々な点において監督官庁の関与を強める方向性が示されております。モニタリング等の実効性が確保できるように金融庁自身の体制整備も必要になってくると思いますので、ぜひともこの点、御対応をお願いしたいと思います。
 
 私からは以上です。
 
【洲崎座長】
 どうもありがとうございました。それでは続きまして、大村委員、お願いいたします。
 
【大村委員】
 御指名いただき、ありがとうございます。まずは事務局の皆様、この短い期間に多岐にわたる論点についてこのような形で報告書をまとめていただいたことについて心から感謝申し上げます。
 
 今回の報告書(案)は、これまでのワーキング・グループでなされた議論が丁寧にまとめられており、全体を通して修文に関わるようなコメントはございません。この報告書をベースに今後、法改正、監督指針の改正、そしてモニタリング体制の構築等がなされるものと認識しておりますが、それらの施策全体を通して、構造的な課題の解決に向けた実効性の高い規制枠組みが実現されることを切に願っております。
 
 何点か具体的な施策について言及させていただきますと、今回報告書の中に盛り込まれた施策は、いずれの施策も意義深いものではございますが、私自身はその中でも、比較推奨販売のあり方が顧客の最善の利益を勘案して、誠実かつ公正に実施することを徹底する形に変更されたことの意味は非常に大きいと考えております。

 この点に関連して1点、念のために付言させていただきますと、保険業法施行規則第227条の2第3項第4号の比較推奨販売に係る規制は、保険業法第294条に定める情報提供義務の一部であり、行為規制となります。そして規模に応じて配慮がなされるのは体制整備義務についてであり、行為規制については規模にかかわらず一律の規制が課されるものと理解しております。

 したがって、例えば比較推奨販売の実施状況の適切性を確認、検証するために求められる体制について、規模に応じた軽重が認められることになったとしても、顕在化していない顧客意向の顕在化に向けた働きかけや代理店側が絞り込みを行う場合の絞り込み理由について、規模に応じた義務の軽減が認められることはないと認識しております。中堅中小規模であるからといって代理店都合の絞り込みが認められることが決してないように、監督指針等で手当ていただければと考えております。

 また、便宜供与の禁止についても重要性が非常に高い論点であると考えております。ワーキング・グループで議論された契約者に対する便宜供与、そして有識者会議で議論された代理店に対する便宜供与、いずれにおいても不適切な便宜供与が廃止されることが、その他の規制の大前提となっておりますので、この点に関して実効性のある枠組みを構築することは極めて重要であると考えております。

 なお、特に契約者との関係では公正な商取引との境界が不明確な事例が多数出てきておりますので、この点は監督指針や業界ガイドラインにおいて明確化が図られることが強く望まれていると考えております。

 さらに、企業内代理店に関する規制の再構築については、こちらは今後の議論がまたれるところであり、今回細かな言及は避けますが、この機会に標準手数料及び代理店手数料ポイントのいずれについても、あるべき手数料体系は何なのか、水準感は何なのかということについて議論が進み、適正な方向に是正されることを願っております。

 私自身は有識者会議から参加させていただいており、失礼な物言いになることを承知で厳しい発言も多々させていただきましたが、それは損害保険市場に対する期待のあらわれであることを御理解いただいた上で、御容赦いただければ幸いです。

 損害保険が有するリスク転嫁機能は、経済の発展にとってはなくてはならない重要なインフラの一つであり、その市場がきちんと機能し、リスクのヘッジが適切になされ得る状態が確保されていればこそ、事業会社がリスクをとって果敢に新規ビジネスに挑戦することができるものと理解しております。

 また、海外からのまたは海外への投資案件に関与している中で、きちんとした損害保険市場が存在するか否かが投資対象地域、事業を選定する際の重要な判断要素になり得ることを実感したケースが多数ございます。損害保険市場の国際競争力の強化は喫緊の課題であり、アンダーライティング力の強化や新たな商品の開発、販売、そして再保険市場の開拓等々が急がれるのではないかと考えております。

 今回の一連の不祥事、特に改善計画が一旦提出され、その遂行中に情報漏えい問題が発見されたことの意味は非常に大きいと思っており、この点は各保険会社において真摯に捉えていただく必要があるものと思っております。そのため改善計画の着実な遂行に加えて、長年の慣習の中で若干違和感がありつつも放置されてきたものは総ざらいいただいて、法的に問題がないのか、社として全体を通じて整合性がとれた形で事業を行っているのかをきちんと検証いただきたいと考えております。

 その意味で、再発防止を含めた形での反省は不可欠かと思いますが、他方で萎縮をすることだけはぜひ、ないようにしていただきたいと思っております。私自身、今回の問題が発生して以降、一般の従業員から役員に至るまで様々なレベルの方と接する機会がございましたが、その中で、反省期間ですから新しいことはちょっとといったような発言が多方面で聞かれることが非常に気になっております。個人的には、萎縮するぐらいであれば、また、世間に御迷惑をかけたと思うのであれば、違った形で今まで以上にストレッチをして、今まで以上に付加価値のあるものを市場に提供して、日本経済に貢献いただく方向で努力をすることこそが求められているのではないかと考えております。

 上述のとおり、損害保険市場の国際競争力の強化は喫緊の課題ですし、また、損害保険市場に真摯に向き合ってきた方々であれば、リスクに対する分析能力やコンサルティング能力の点で圧倒的に秀でているものと認識しております。そのため、リスクマネジメントに対するディレクターとして、トータルな形で保険の周辺事業においても価値を提供できる可能性は十二分にあると考えておりまして、その点で、いかんなく力を発揮し、日本経済に貢献いただけることを切に願っております。
 
 損害保険市場に関わる全てのプレーヤーがプロフェッショナルとしての誇りと気概を持って日本経済の発展に貢献していただけることを期待して、終わりとさせていただきます。
 
【洲崎座長】
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、小畑委員、お願いいたします。
 
【小畑委員】
 御指名いただきましてありがとうございます。まずもって、これまでの大変込み入った議論を、洲崎座長および金融庁の皆様がここまできれいにまとめていただいて、大変その御尽力に感謝するところでございます。ありがとうございます。その上で、今回の報告書については、全く異議のないところでございまして、これに賛同するところでございます。
 
 この報告書に書かれているとおり、様々な制度改正や要件、あるいは適用除外の要件、こういったものを設定し、また、その判断基準を明確化していくという、今後の作業が非常に大変であろうと思っております。また、今回の報告書に続く、その後の実現に向けた作業において、当局の皆様に、ぜひとも現場の実情もよく踏まえながら、不合理な結果が生じないように適切な基準設定をお願いしたいと思っております。

 それからまた、そうした制度が出来上がった暁には、この報告書にも多々挙げておりますが、当局のモニタリングをしっかりやっていただくことが今回のこの報告書の意義なのだろうと思っております。そちらの御尽力も、ぜひともお願いしたいと思っております。
 
 私からは以上でございます。ありがとうございます。
 
【洲崎座長】
 どうもありがとうございました。それでは続きまして、柳瀬委員、お願いいたします。
 
【柳瀬委員】
 御指名いただき、ありがとうございます。本ワーキング・グループを通じて、企業保険市場の健全な競争環境の実現のためには、損害保険業界の抱える様々な構造的問題を解決するだけでなく、保険の利用者である企業自らが自立的、持続的に発展していくためのリスクマネジメント体制・能力、これが高度化されることが極めて重要であることが、各所で確認されたと感じております。
 
 この点、最終報告書(案)において、例えば12ページ目の14行目から16行目にございます、保険仲立人を十分活用できるよう、企業側がリスクマネジメント体制及び能力を向上させていくことも重要という記述を本文に記載していただくなど、各所で企業側のリスクマネジメント意識の向上が極めて重要である点を盛り込んでいただいた点、感謝申し上げます。

 最終的には、企業保険の利用者である企業自らが、保険仲立人や企業代理店等、多様な仲介チャネルを自らの責任の下、企業価値向上の観点から適切に使いこなせることができるようになれば、本ワーキング・グループにおける論点の多くも自然に解決されるのではないかと感じております。

 したがいまして、例えば、プロ保険契約者として一定の規制を適用除外対象にする取組みを通じて企業がリスクマネジャーを設置するインセンティブづけをしてはどうかという点について、脚注の22で記述していただきましたが、この点は今後の論点として大変重要ではないかと思います。多様で専門性の高い保険仲介チャネルを使いこなせるだけのリスクマネジメント体制と能力が整備されたプロ保険契約者の育成を促進するような制度の実現可能性についても、引き続き重要な論点として議論を続けていただくことを強く期待します。

 また今回、保険仲立人の活用を促すべく、可能な限りの努力がなされたと理解しております。他方で、企業内代理店の取扱いの論点は、実質的に保険仲立人の活用促進とセットで議論される内容であり、これらはコインの裏表の関係にあると思います。その意味において、例えば19ページ、7行目から10行目にございます手数料適正化の要件、こちらは極めて重要です。その実効性確保の観点から今後の技術的な詰めの作業については、慎重な対応をお願いしたいと思います。特に19ページ、12行目から13行目にございます代理店手数料ポイント制度の見直しの内容の議論については、現行の議論の枠組みにとどまらず、その実効性の確保の観点から丁寧な議論を強く求めたいと思います。

 また、この論点に関しては、もちろん制度上は保険会社がその代理店に支払う手数料が役務に見合ったものであるかということにはなるわけですが、保険料が実質的な割引に当たるか否かをどのように判断するかという点、すなわち適正な手数料とは何かという点に関しては、最終的には顧客である企業の立場から見て、企業内代理店が提供する付加価値が適正な対価として見合っているかどうかが極めて重要であると考えます。この点は、有識者会議報告書でも記述されている企業リスクマネジメント意識の向上という観点からも非常に重要です。

 したがいまして、この適用除外の判定については、制度的、業界横断的な取組みや損保会社自身が適正な手数料の設定を行うことも重要ですが、同時に保険契約を行う契約者自身も企業内代理店を含む保険仲介チャネルに対する適正な手数料をモニタリングする、そういった努力も必要かと考えます。そして、繰り返しになりますが、こうしたモニタリングが実効性を持つための前提としては、企業のリスクマネジメント体制・能力の高度化が極めて重要であり、これが促進されることが中長期的、本質的な問題の解決につながると考えます。

 この点、今回19ページ、脚注41において、保険会社が企業内代理店に支払う手数料の適正化を進めるほか、保険契約者である親会社等が企業内代理店に支払われる手数料の適正性を判断することも重要であるという指摘について記述していただいた点、高く評価しております。

 以上、短期間にもかかわらず、大変な作業につき当局の皆様が御尽力されたことに大変な敬意を表します。今回の議論を契機とし、日本企業のリスクマネジメント力が強化され、もって、企業保険市場の健全な競争環境が実現されることを強く期待しております。日本企業は、グローバル化と巨大自然災害の頻発という極めて深刻なエクスポージャーに直面しているわけですが、今後、そのリスクマネジメント力という意味の足腰が強化され、健全な日本経済の発展に寄与することを強く期待します。
 
 以上でございます。ありがとうございました。
 
【洲崎座長】
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして山下委員、お願いいたします。
 
【山下委員】
 山下でございます。発言の機会を頂きありがとうございます。報告書(案)は、短期間にもかかわらず、これまでの議論を踏まえて適切にまとめていただいたと考えております。事務局の御努力に敬意を表したいと思います。ありがとうございます。
 
 この報告書においては、様々な提言がされておりまして、その提言をさらに具体化していくことが今後必要になるかと思います。その際には、この報告書は、全体として顧客本位の業務運営の実現が求められることを示し、それを担保するために、様々な取組みが提案されたものと私は理解しております。そのため、報告書の提言内容の具体化に当たっては、顧客本位の業務運営を目指すという大きな目標に即して、そこから外れることないように検討を進めていただきたいと考えております。

 また、この報告書の提言では、当局の監督上の対応やモニタリングに期待する部分が相当程度盛り込まれております。その実効性を確保するためには、当局において必要十分なリソースの確保が必須と考えますので、ぜひ、そこにつきまして十分な措置がとられることを期待したいと考えております。

 また、報告書の中でも、何か所かで明記されておりますが、企業保険分野の競争促進や市場の健全性確保のためには、保険を購入する企業側のリスクマネジメント能力の向上が必須であると私は考えております。報告書の中でも、そのことが必須である旨は記載されておりますが、さらに今後はそれを促進するような取組みが具体化されていくことが必要だと思いますので、今後の検討において是非期待したいと考えております。

 私は、有識者会議から、この保険ワーキングまで検討に関わらせていただきました。有識者会議から本ワーキング・グループを通じた議論の中で何をすべきかということの議論は深まったように感じております。

 他方で、求償権行使のあり方や、乗合代理店と保険仲立人の間で立場が異なる点と同じ点があるところ、そういったことを踏まえて保険仲介者の規制を全体としてどう考えるかといった問題や、比較推奨販売における説明義務の内容が今回かなり変わりましたので、それを理論的にどう評価するかという問題など、引き続き検討および研究を深めるべき点が様々に出てきたかなとも考えております。

 これについては研究者が学界において研究を深めることも重要ですし、当局においても、このような点についても引き続き検討を深めていただくとともに、それを規制として具体化するような場を引き続き設けていただければありがたいと考えております。
 
 私から以上です。ありがとうございました。
 
【洲崎座長】
 どうもありがとうございました。それでは続きまして、オンラインで御発言の希望をいただいております、上杉委員、お願いいたします。
 
【上杉委員】
 上杉です。今回、発言の機会をありがとうございます。また、今回からこちらのワーキング・グループに参加しまして、いろいろと勉強しながらであったため、至らぬ発言もありましたが、それにもかかわらずいろいろ拾っていただき、このような形で報告書をまとめていただいたことにつき感謝申し上げます。
 
 その中で、消費者の視点から一つ、二つほど申し上げたいと思います。比較推奨について、これまで顧客の意向に沿った選別をすることなく、特定の経営方針でもって推奨する場合にも、基本的にはその旨を伝えればよかったところが、今回はそれが中立公正と言っておきながら、実際はそうでなかったことが発覚したために、そこの部分を見直す形の方向性について、非常によい形での方向になったと思っております。

 ただ、そういった経緯を踏まえ思ったのは、これまで選別提案の理由をきちんと知らせることによって、消費者に選択肢が与えられていれば、自由意思に基づいて合理的に商品選択を行うことができる発想の下、そういった条文がつくられていたのではないかということです。

 消費者法の分野の中でも、消費者は十分に情報提供がされれば、きちんと判断できるのかというところに、保険以外、金融以外の部分でも着目されておりますので、そういう消費者の特性・脆弱性というものについても今後、考えていただいた上で、実務でも消費者というのは流されやすい、そういった存在だというところを意識していただいた上で、顧客本位の業務運営を行っていただければと思っております。

 もう1点だけ、4ページと24ページのところで、まだ調査中であるにもかかわらず個人情報漏えい事案について触れていただきましたが、どういう形でこのトラブルが起きたのかという背景を検討していただき、ガイドライン等があっても駄目なのか、それとも、そもそも対応できるガイドライン等がなかったのかという点を検討していただけることを願います。

 なお、個人情報が漏えいしてしまうことについて、消費者には明確な損害や被害というものは生じない可能性のほうが高いとは思いますが、生身の個人ということですので、不安であるとか心配とか、そういう損害として評価できない部分について悩まされるという状況に置かれてしまうことを御理解いただきたいと思っております。

 これは今回、損保ということですが、生保でもこういった情報漏えい事案というものが発覚しています。生保はとりわけ、要配慮個人情報というものもかなり含まれてくると思いますので、その辺りをきっちりと、今後検討していただければと思います。

 体制整備の強化によって、厳しい評価基準が課され、それを遵守するためのコストが価格に反映されて、消費者側にもその負担を被るといったように影響を与えることになるという発言があったと思いますが、そもそも消費者に被害や不利益が生じていることを踏まえれば、これまでの営業活動は顧客に向き合ったものではなかったと言えるのではないかと思います。今回のこの報告書を受けた上で再度、保険会社であるとか、代理店や募集人の方々などについては、顧客本位ということにつき、いま一度立ち戻って考えていただき営業活動を行っていただければと思っております。
 
 私からは以上です。ありがとうございました。
 
【洲崎座長】
 どうもありがとうございました。それでは、続きましてオンラインで御発言の希望をいただいております、神作委員、お願いいたします。
 
【神作委員】
 学習院大学の神作でございます。御指名ありがとうございます。損害保険の分野において、第1に顧客本位の業務運営を徹底すること、第2に健全な競争関係を確保し、実現すること、この2つを柱に据えて現在の損害保険に係る実務慣行の大幅な見直しに結びつき得るような、そういった広範かつ難しい論点について、事実関係の調査を踏まえ、本ワーキング・グループの議論を適切に取りまとめていただき、洲崎座長及び事務局に対し心から敬意を表します。
 
 本報告書の内容につきましては、本ワーキング・グループにおける議論のコンセンサスを適切に反映していただいたものと考えております。また、少数の意見につきましても脚注等で御配慮をいただいており、内容に全く異存はございません。

 特に8ページのところで、乗合代理店に関するⅡの2でございますが、本文において募集手数料の改正について問題提起をいただいたことは大変ありがたく、とりわけ感謝申し上げます。手数料の開示は透明性の向上に資するだけでなく、手数料の適正性というのは非常に判断が難しいと思いますが、開示をすることが手数料の適正性の確保にも有効と思われるからでございます。

 いずれにいたしましても、この報告書の提言に沿って必要かつ適切なルールの具体化がなされ、実務において新しいルールの下で様々な工夫をしていただき、ベストプラクティスを発展させていただくとともに、当局もしっかりそれについて監督をしていただくことを期待いたします。
 
 私からは以上でございます。どうもありがとうございました。
 
【洲崎座長】
 どうもありがとうございました。では、滝沢委員、御発言をお願いします。
 
【滝沢委員】
 ありがとうございます。大変多種多様な御意見が委員の皆様から出ましたところ、短期間でこのような形でまとめてくださって大変ありがとうございました。本文あるいは脚注のところに軽重をつけて、可能な限り御反映いただいたことを大変ありがたく存じます。
 
 一方で、時間の関係から今後の監督指針ですとか、協会によるガイドライン等の具体基準、運用方法、こういったところに委ねられた部分も一定あるかなと認識しております。特に特定契約比率規制の適用除外要件というところについては、保険会社に判断を委ねることに対する潜在的な懸念というのを御理解いただき、業界としての判断基準を御検討いただける旨を盛り込んでいただいておりますが、この判断基準いかんで適用外対象、大きく変わるということ等ありますため、元来の特定契約比率規制の趣旨に沿ったものになることを切に願っております。

 また、代理店チャネル偏重の市場において、保険仲立人というリスクアセスメント、リスクマネジメントのプロの活躍をより強く促すための検討が、今回多くなされたと思っております。手数料開示の考え方ですとか、先の特定契約比率規制の適用除外とする範囲等、今後の継続検討となったところもあると思いますが、必要な措置が具体的に今回盛り込まれたことは、健全な競争環境の整備という観点から非常に大きな一歩であったと考えております。

 出発点は業界の信頼そのものを大きく揺るがす不祥事案というところではありましたが、一方で、火災保険の参考純率の算出方法をよりトレンドに合う形で深化させることの検討ですとか、参考純率、標準約款の対象種目の拡大といった、業界全体の基礎力を底上げするためのデータ基盤の整備につながる前向きな検討がなされたことも、大変意義深いことであったと思っております。

 今回、規制面での手当てを検討するワーキング・グループでございましたが、データ活用ですとかデジタル化ですとか、そういったことによって今回、噴出してきたような問題のけん制ですとか、モニタリングといったことをより強化できるところもあると思いますので、そういった現実的なソリューションも、今後御検討いただきたいと思っております。

 保険会社様のチャネル重視の資源配分というところから、今回の検討を通じて本来の競争の土俵である商品やサービスの差別化、こういったところにより資源が配分できるようになると思っておりますので、このワーキング・グループを通じて業界の構造変革が大きく起こることを期待しております。
 
 以上です。ありがとうございます。
 
【洲崎座長】
 どうもありがとうございました。委員の方全員から御意見頂きました。オブザーバーの方から御発言の希望がございましたら御発言頂きたいと思います。

 日本損害保険協会様より御発言の希望がございます。御発言をお願いいたします。
 
【日本損害保険協会】
 日本損害保険協会でございます。御発言の機会を頂戴し、ありがとうございます。まず、洲崎座長はじめ委員の皆様におかれましては、これまで全6回にわたり大変貴重な御意見を頂戴し、厚く御礼申し上げます。業界全体で健全な競争環境の実現に向けた取組みを進めていく上で、多くの御示唆を頂いたものと感謝しております。
 
 報告書の取りまとめに至るまでの委員の皆様の御意見の御趣旨、思いをしっかりと受け止め、業界が主体となって制度に魂を込め、今後二度と同様の問題を再発させないように業界の構造的な課題を改め、仕組みとして定着させていくことを肝に銘じて取り組んでまいりたいと思います。

 報告書の「おわりに」の部分では、当業界に対する厳しい御指摘とともに本日も複数の委員の皆様から御意見頂戴しましたが、損害保険が果たすべき役割について大きな期待も賜ったものと受け止めております。社会インフラの機能の一部を担う者としての覚悟と責任を持って、お客様や社会からの信頼を早急に回復するとともに、今後とも損害保険が社会から必要とされ、国民生活の安定と経済の発展に貢献できますよう、金融庁様の御指導も仰ぎながらしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 改めまして、このたびは大変ありがとうございました。以上です。
 
【洲崎座長】
 ありがとうございました。それでは続きまして、生命保険協会様より御発言希望がございます。よろしくお願いいたします。
 
【生命保険協会】
 発言の機会を頂きましてありがとうございます。生命保険協会の中村でございます。本ワーキング・グループ報告書(案)に記載された内容につきまして、大きな方向性について違和感はないと受け止めております。その上で、お願いと当協会の取組みについてコメントをさせていただきます。

 今後、本報告書を受けまして法令や監督指針の改正といった制度的な見直しが行われると存じますが、今般把握した課題に対して適切な対応となるよう引き続き十分な検討を行っていただき、先ほど各委員からもございましたが、実効性と実現性を両立した見直しが実行されるよう、引き続き丁寧な対話をお願いできればと考えておりますのでよろしくお願いいたします。

 また、生命保険協会としましても先般の有識者会議の報告書を踏まえまして、生命保険と損害保険の特性の違い等も勘案した上で、必要な検討を着実に進めているところでございます。本ワーキング・グループの議論を踏まえまして、さらに取組みを高度化させまして、顧客視点で業務品質を高めるPDCAサイクルを着実に回していくことが重要だと考えております。

 引き続き協会として会員各社の取組みを後押ししながら、顧客本位の業務運営や健全な競争環境の実現に向け、積極的に取り組んでまいる所存でございます。引き続き御指導、御鞭撻のほどよろしくお願いします。
 
【洲崎座長】
 どうもありがとうございました。それでは続きまして、日本自動車販売協会連合会様より御発言希望がございます。よろしくお願いいたします。
 
【日本自動車販売協会連合会】
 日本自動車販売協会連合会でございます。御発言の機会を頂きましてありがとうございます。
 
 まず1点、各論で恐縮でございますが、前回の報告書(案)にはなかった募集手数料の開示について本文に追加されておりますので、本件について1点コメントをさせていただきます。代理店としての収入のほとんどを占めている手数料について、今後、開示の検討をということでありますが、その内訳のようなものを保険会社別に開示していくとすると、通常のビジネスの慣行としては大変異例だと認識をしていまして、通常であれば秘匿すべき重要な情報であると考えております。

 そういったものの開示を求めていくとすれば、相当重要で差し迫ったリスクの存在が立法事実として必要ではないかと考えておりまして、手数料の多寡を原因として不適切な比較推奨販売が行われている実態というのは、ぜひ慎重に判断すべきだと思います。今回のビッグモーターの事案についても、便宜供与との関係では比較推奨のあり方が問題であったと承知をしておりますが、必ずしも手数料の多寡を原因として不適切な比較推奨販売が行われている事案ではないと認識しておりますので、仮に開示を進めていくとすると、法律改正になるのではないかと理解しておりますので、それに見合った立法事実があるかどうかということを、ぜひ今後厳格に御検討いただければと思います。

 もう一つは、仮に手数料開示になっても、顧客からすると手数料というのは一体どういうものなのかという、そういった辺りから始まるのではないかと思っております。勧められている、推奨を受けている商品を扱う保険会社の手数料が多いことを顧客が御覧になって、代理店がもうかるからそれを勧めているのか、あるいは売れ筋であるから勧めているのか、顧客がどういう反応になるか不明でもありますし、そういった、むしろ誤解とか混乱を招きかねない情報である可能性もあります。本当に顧客が求めておられる情報なのかどうかということを今後、慎重に考えていくべきなのではないかと思っております。

 あと、全体を通じまして、今回のワーキング・グループの議論に私どももオブザーバーとして参加をさせていただきまして大変感謝をしております。今回の報告書の方向性も踏まえて、引き続き私どもとしても顧客本位の業務運営を進めていく所存でもありますし、最終報告書につきましても私どもの委員会の中で御紹介をして、会員企業に展開をしてまいりたいと考えております。

 その上で2つほど申し上げさせていただくと、1つ目は今回の報告書を踏まえて、代理店に対する規制がこれまで以上に厳しいものになっていくことになるわけですが、実は私どもの会員企業の7割以上が中小企業になっております。全国的な保険代理店のネットワークにはなっておりますが、決してこれ、強靱なインフラではなくて、むしろ、とりわけ地方部では現下の人手不足ですとか、いろいろなコストアップに苦しんでいる、全く普通の中堅中小企業であります。

 したがいまして、一定以上の負荷がかかってくると、あちこちにひずみが出てくるのではないかというような懸念もございますので、具体的な規制等の導入あるいは運用に当たっては、ぜひともこういった現状を踏まえて御対応を御検討いただきたいと考えております。

 もう1点は、今回の金融審議会の御議論、あるいは有識者会議の御議論は比較的、保険のサプライサイドに係る議論が中心といいますか、保険を売る側の保険会社であったり、代理店の体制整備であったりとか、あるいは比較推奨するプロセスの議論が中心になってきたと理解をしております。

 一方で、顧客本位になっているか、最終的に顧客の最善利益になっているか、これを最後に判断するのは顧客であるべきだと考えておりますので、顧客自体にもっとアプローチしたりとか、あるいは顧客の生の声を聞いたりするような、そういった工夫もしていただきながら、そういった顧客の声をぜひ政策判断や政策運営にフィードバックいただくような、そういった工夫も大事なのではないかと考えております。

 私どもからは以上でございます。ありがとうございました。
 
【洲崎座長】
 それでは続きまして、日本保険仲立人協会様から御発言希望がございます。よろしくお願いいたします
 
【日本保険仲立人協会】
 一般社団法人日本保険仲立人協会の平賀でございます。発言の機会をいただきまして誠にありがとうございます。

 今回のワーキング・グループの会合におきまして、保険仲立人の活用促進に向けた多くの御意見や議論をいただきましたことに感謝申し上げます。1995年の保険業法改正以降、30年近く経っておりますが、先ほど報告書の中にもありましたとおり、私どもの利用頻度は決して高くありません。これは私ども自身が顧客に対して御利用いただくメリットを充分に伝えきれていないことも反省しなければなりません。柳瀬委員はじめ、委員の方々からも御発言がありました、リスクあるいはリスクマネジメントに対する企業の取組みに関して支援・サポートをしていかなければなりません。

 そのためには、企業に対するリスクならびにリスクマネジメントに関してよきアドバイザーとして今後とも注力をしていきたいと考えております。

 報告書に関しましては、手数料の受領方法や特定契約比率規制の問題等々、本文には書き切れないことを脚注に細かな説明も加えていただきましたことに感謝申し上げます。細目につきましては今後、監督指針の改定も視野に入れて検討をしていくと思いますが、金融庁様はじめ、皆様との対話を今後も続けて参る所存ですので、引き続きよろしくお願いいたします。

 現在、リスクというものは多様化しておりまして、サイバーリスクや地政学リスクの高まり、そして環境リスクが甚大化していることが懸念視されています。それらのリスクへの対応策につきまして、企業や保険会社の方々と共に、最善のものを作り上げていく必要がありますので、対話を通して、リスクオーナーのアドバイザーとして、ベストプラクティスの提供をして参ります。

 今回はいろいろな機会を頂戴しまして誠にありがとうございました。感謝申し上げます。

【洲崎座長】
 どうもありがとうございました。それでは続きまして、日本損害保険代理業協会様より御発言希望が出ております。よろしくお願いいたします。
 
【日本損害保険代理業協会】
 ありがとうございます。日本損害保険代理業協会の金澤でございます。まず、今回のワーキング・グループにオブサーバーとして参加させていただきまして、本当にありがとうございました。いろいろ意見も述べさせていただきました。そこも、いろいろ反映いただいていることが分かる箇所、今回の報告書にありまして改めて御礼を申し上げます。

 私どもは中小規模のプロ代理店が会員の多くを占めておりまして、今回起きたような問題とは全くの別世界にいて真面目に仕事をしているという、そういった会員が多いわけですが、それはそれとして今回起きた問題、また、「おわりに」に書かれているような内容を私どもとしても主体的に受け止めて、体制整備の高度化、または顧客本位の業務運営、お客様と直接接点を持っている者としてしっかりやっていきたいと思います。

 細部につきましては、これからもいろいろと議論を重ねるところがあると思います。当局の皆様におかれましては、引き続き対話の機会を頂ければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【洲崎座長】
 どうもありがとうございました。それでは続きまして、外国損害保険協会様より御発言希望が出ておりますので、御発言をお願いいたします。
 
【外国損害保険協会】
 外国損害保険協会の種村と申します。オブザーバーとして参加させていただき、誠にありがとうございました。

 小さいながらも保険会社として日本で活動しております会員保険会社に代わりまして一言御礼申し上げさせていただくとともに、委員の方のコメントにもありましたように、この示していただいた方向性の下での実務における実効性というのが、これから一番の肝であろうかと思います。当協会会員は、日本では小さい保険会社ではありますがグローバルプレーヤーの出先として活動しておりますので、今後実効性のある法律等の検討に向けて御協力させていただければ幸いだと思います。今回はいろいろ勉強させていただきました。本当にありがとうございました。

【洲崎座長】
 どうもありがとうございました。以上で、御発言希望があったオブザーバーの方々からも全て御意見を伺うことができたと思います。

今回のワーキング・グループは9月の終わりから始まり、3か月弱という非常にタイトなスケジュールの中で、事務局の御尽力と踏ん張りもあって、ようやくゴールが近づいてきたところかと思います。まずは事務局の御尽力に敬意を表したいと思います。また、委員の皆様方も大変熱心に真摯に御議論をいただきまして、やや手前みそになるのかもしれませんけど、座長の目から見ても大変すばらしい報告書(案)ができたと思っております。

 委員の方々からも御発言がございましたが、いろいろな少数意見も報告書(案)には取り上げられておりますが、それらを見ましても、特定の立場に立った党派的主張というような意見ではなくて、いずれも耳を傾けるべき、そういった少数意見であったのではないかと思っております。どうもありがとうございました。

 最初に中出委員からの御発言であったかと思いますが、今回の報告書(案)で書かれている提言がもし実現できれば、損保実務や慣行を大きく是正することができる、エポックメーキングと言える報告書になるのではないかという御発言がございました。まさにそのとおりだと思います。長年の、恐らくよろしくない実務慣行、ひょっとしたら当事者もよろしくないと思っておった実務慣行に、ついにメスを入れることができる貴重な機会だと思います。何とか実現していただきたいと思います。当局をはじめ、損害保険会社、それから代理店の方々、そしてその背後にいる企業の方々におかれましては、この報告書に書かれていることが実現できるよう御協力をいただきたいなと思っております。

 それでは、皆様からの御意見の聴取は以上とさせていただきたいと思います。本日も多数の意見を頂き、ありがとうございました。

 このあたりで報告書については取りまとめをさせていただければと思います。本日提示いたしました報告書(案)について、大筋では皆様から御賛同いただけたものと思っておりますが、本日いただいた御意見や表現の平仄を合わせるといった精査につきましては私に御一任をいただき、取りまとめとしたいと思います。

 また、報告書の公表の取扱いにつきましても、私に御一任いただきたく存じますが、御異議ございませんでしょうか。

 (「異議なし」の声あり)

【洲崎座長】
 どうもありがとうございます。では、御異議がございませんでしたので、そのようにさせていただきます。
最後に、油布企画市場局長より、一言お願いいたします。
 
【油布企画市場局長】
 企画市場局長の油布でございます。本ワーキング・グループにおきましては、これまで6回にわたりまして、座長をはじめ、メンバーの皆様方には精力的に御検討いただきましたことを厚く御礼申し上げます。また、メンバーの皆様方の中には、本年3月に監督局に設置されました有識者会議から継続して御参加いただいた方もいらっしゃいます。重ねて御礼を申し上げたいと思います。

 事務局といたしましては今後、報告書に示された内容に沿って法律改正を含めた制度整備等に取り組んでまいりたいと思います。先ほど座長やメンバーの方からも御発言ありましたけれども、法律、政令、内閣府令、監督指針、それから自主ガイドラインや協会の取組みまでを含めますと、総体として非常に大きな改正になるだろうと思っております。こうした一連のプロセスの中で今後、場合によってはまた御助言を賜るようなこともあるかもございませんけれども、そのときにはよろしくお願いいたしたいと思います。

 本日は誠にありがとうございました。

【洲崎座長】
 それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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