「サステナブルファイナンス有識者会議」(第10回)議事録

1.日時:

令和4年1月28日(金曜日)10時00分~12時00分

【水口座長】  それでは、ただいまよりサステナブルファイナンス有識者会議第10回の会合を始めたいと思います。皆様、大変お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 最初に、金融庁の体制が変わりましたので、高田課長から一言御挨拶をいただければと思います。

【高田総合政策課長】  皆様、おはようございます。ただいま御紹介にあずかりました金融庁の高田英樹と申します。本年より金融庁の総合政策課長を拝命いたしました。水口座長をはじめ、委員の皆様の多くには以前から大変お世話になっております。2015年から18年までパリのOECDでグリーンファイナンスを担当しておりまして、その後、個人的に、このグリーン、サステナブルファイナンスのテーマに携わってまいりました。また、昨年には内閣官房の気候変動対策推進室において参事官を務めておりました。今般、金融庁の担当課長として、さらにこのサステナブルファイナンスの推進に尽力してまいりたいと思いますので、今後ともよろしく御指導お願いいたします。

【水口座長】  どうぞよろしくお願いいたします。
また、有識者会議の委員の交代がございました。日本証券業協会、前任の田代様に替わられて、鳥海様に交代されています。鳥海様、一言いただければと思います。

【鳥海メンバー】  野村證券の鳥海と申します。このたび、日本証券業協会を代表して、田代さんからの引継ぎということで、今回から参加させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

【水口座長】  ありがとうございます。
それでは、議事に入りたいと思います。今回も基本的にはオンラインという形になっております。御発言をされない間はミュート設定にしていただきまして、発言されるときにミュートを解除して御発言いただき、再びミュートに戻していただければと思います。

 本日の議事は2点ありまして、1つは、JPXにおいて取りまとめていただきました中間報告書について、もう一点は、今後、ESG評価・データ提供機関に関して議論を進めていきたいということで、こちらの御提案がございます。

 まず、JPXにおいてサステナブルファイナンス環境整備検討会という検討会を設置して議論していただいてきたところですが、今般、中間報告がまとまりましたということで、こちらについて御報告をいただきまして、皆様からの御意見をいただければと思っております。昨年の9月に本有識者会議で、JPXにおいて情報プラットフォーム等の議論をしていただいてはどうかという御意見をいただき、検討会を設置していただきました。検討会のほうはまだ続いていくわけですけれども、一旦中間報告という形で御報告をいただき、この後、実際に情報プラットフォームの設置に入っていただく、こういう形になっております。

 それでは、JPXのほうから簡単に御説明をいただければと思います。小沼様、よろしくお願いいたします。

【小沼メンバー】  水口先生、ありがとうございます。当検討会でございますけれども、昨年の10月から4回にわたりまして会合を開かせていただきました。また、その間にいろいろな方々の御示唆などいただいて、中間報告まとまってきたということで、これに至るまで……。

【西田サステナブルファイナンス推進室長】  すみません。現在接続のトラブルがあり、少々お待ちいただいてもよろしいでしょうか。

【小沼メンバー】  はい、承知いたしました。

【西田サステナブルファイナンス推進室長】  すみません、復旧いたしましたので、よろしくお願いいたします。大変失礼いたしました。

【小沼メンバー】  承知しました。とんでもございません。

おかげさまで4回にわたり会議が進みまして、ある程度の方向感が見えてまいりました。この有識者会合のメンバーでは、まず水口座長にも大変な御尽力をいただきまして、ありがとうございました。また、このメンバーの中では林様、吉高様にもこの検討会のほうに参加いただきまして、まとまってまいりました。改めて御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 全体の方向感としては、とにかく早くスタートするということで、後ほど詳しく御説明も申し上げますが、今年の年央を目途に、まずはJPXのほうでこの債券情報プラットフォームを関係者の皆様の協力をいただきながらスタートして、これが定着して、いろいろな方から御活用されるようなところになった段階で、よりサステナブルな形で継続するために関係者との共同体的な運営に移っていく方向で検討を進めていこうとなっております。まずスタート時点では、国内公募債からスタートさせ、どんどんそれを広げていく方向で前向きに検討していきたい。サステナビリティに関連するいろいろなタイプの債券についてまずは取り扱っていく方向感で、まずは賛同方式ということで、具体的には例えば主幹事証券会社様にディールごとに御協力いただいて情報を御提供いただくような形で進めていくというのをベースに議論を進めさせていただければなと思っている次第でございます。今後とも詳細も含めて詰めていくところでございまして、また引き続き委員の皆様の御協力を仰ぐということになると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 具体的な報告の中身につきましては、資料も用意しておりますので、JPXの事務局を代表して、三木さん、大丈夫ですかね、用意のほう。

【三木様】  はい。

【小沼メンバー】  ちょっと御説明をさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

【三木様】  では、私から御説明させていただきます。日本取引所グループサステナビリティ推進部の三木と申します。どうぞよろしくお願いします。

 本日、資料、概要は資料1で今配付させていただいております。こちらと、あとは、中間報告書を今取りまとめ中でございます。こちらは精査する必要がもう少しございまして、画面のみの投映となりますが、資料1と画面のみの報告書の2種類で説明させていただきたいと思います。

 では、報告書1枚おめくりいただいて、2ページ目でございますけれども、まず、このサステナブルファイナンスの環境整備検討会ですが、10月から4回に分けて議論させていただきました。第1回目は情報プラットフォームについて、第2回目は認証について、第3回目で、情報プラットフォームの事務局案をまとめまして、これについて御議論いただいたところでございます。

 2枚めくりまして、続きまして4ページ目をお願いします。第1回目の議論ですが、この「プラットフォームについて」の1番目のポチですが、「作りっぱなし」にはならず、サステナブルな仕組みを目指すべきではないかと。あとは、ポチの5番目ですが、一覧化するだけでも有益なため、理想を求め過ぎず早期リリースを目指すのがいいのではないかと、こういった御意見をいただきました。

 1枚めくってください。5ページ目です。第2回目でございますけれども、認証枠組みについて議論しましたが、まず認証枠組みに係る論点・議論を幅広に議論させていただいて、その上で、時間軸も含めて、この情報プラットフォームにおける認証枠組みについて重要となる点、これを第2回で議論しました。主な議論としては、この「ESG債券等に係る認証枠組みについて」のポチの1つ目の3行目後段ぐらいからですが、まずはプラットフォームの一覧性確保に注力していくことで、ESG債に係る情報が可視化され、選別される環境づくりをプラットフォームを通じて進めることが意義が大きいと、こういった意見をいただいたところでございます。

 1枚めくってください。もう一枚めくってください。こちらです。第3回目ですが、情報プラットフォームをどのように構築していくかということで、まず、その意義としては、ポチの2つ目の太字ですけれども、ESG投資の利便性向上、裾野拡大、これをまずは目指すべきではないかというところで、速やかに実現する事項と稼働後に検討する機能、これを大きく2つに分けて、まずは左側の部分、Day1でという言い方もしておりますが、なるべく早くにやれるところをやっていこうと、これを本年の年央までにまずは目指していきたいなと思っております。

 1枚めくってください。具体的に3回目で話した内容は、プラットフォームの目的について、運営方式について、9ページ目、あとは掲載項目について、あとはプラットフォームの運営の役割分担について、ないしはデータ更新頻度について、こういった論点について、分類について具体的な御意見をいただきました。

 これをまとめまして、次のスライド11ですが、こちら、中間報告書(案)の目次になりますけれども、第1章として、サステナブルファイナンス市場の現状と課題、こちらを整理させていただいて、まずは課題としては一元化が必要ではないかということとか、あとは主要な各国の取組なんかも記載しております。第2章については、課題解決の基本的な方向性と具体的な検討として、情報プラットフォームの構築やESG債の適格性の確保、情報プラットフォームの運営方式と情報集約について記載しております。3章については、今後の方針ということで、情報プラットフォームの立ち上げ・改善ないしはESG債の適格性確保の検討、金融商品等の拡充・データ集積、こういったことを記載させていただいております。本日、私の説明の後、御議論いただくとすると、この今後の方針のところが中心になるかなと思いますが、特に2章、3章については、具体的な報告書のドラフト、こちらでさらに説明させていただきます。

 報告書をお願いいたします。報告書7ページ目でございますけれども、映りましたでしょうか。7ページ目、第2章、ここからです。第2章、課題解決の基本的な方向性と具体的な検討ということで、こちら、2パラ目でございますけれども、2行目からですね。可能な限り集約的な情報源として整備し、情報を一元化していくことが重要となる。第1として、グリーンボンド、トランジションボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンド、サステナビリティ・リンク・ボンド、これを対象に、発行情報、評価情報、企業等の戦略情報などがプラットフォーム上に集約される環境を整備する、このようにまとめさせていただきました。4パラ目に行きます。もうちょっと下で、「とりわけ」のところですね。4パラ目の3行目からですが、「フレームワーク」の具体的内容が分かるような基盤整備が要るよと、こういった御指摘もございました。次、5パラ目ですが、1行目後半ですが、調達資金の実際の充当状況や、企業戦略の見直しの状況といった、ESG債発行後の情報(いわゆるレポーティング情報)も重要と、こういった御指摘もございました。あとは、次のページ、1パラ目の3行目後半からですが、市場参加者の裾野拡大につなげていくことが重要であると、これが共通認識でございました。その上で、第2パラですけれども、現在、JPXの「ESG Knowledge Hub」において、企業のESG開示を支援する観点から、様々な情報発信を行わせていただいております。これを企業のESG開示支援にとどまらず拡充し、プラットフォームとも適切に連携することで、広く金融分野の関係者が実践的な知見を得るための環境を整備していくことでどうかと、こういった御意見がございました。それを踏まえまして、下のほうに行きますが、情報プラットフォームでは、基礎的な情報、発行体情報、レポーティング情報、次のページに行きますが、評価情報、こちら4つの主要な軸、これについてプラットフォーム上で情報発信するとともに、その他コンテンツも用意させていただこうと思っております。次、1パラ目の2行目からですが、実際、私募債や、債券以外の広くローン、金融商品等についても、上記の考え方に沿って、情報整備が可能なタイミングを見極め、適切に対象を拡大していくことが望まれると、こういった意見も出たところでございます。また、このページの4パラ目ですけれども、「この点も踏まえて」という、ここでございますが、プラットフォーム立ち上げに際しては、まずは、発行体が公開する情報、公開している情報を活用し、リンク等で集約すると。なので、まず第1弾は、いろいろな情報がリンク集として整備される、クリックしたらその先で適切な情報があると、そういう状況にさせていただきたいと思っております。

 続きまして、2番、ESG債の適格性の確保のパートでございます。こちらは、ESGの観点から資金使途等が適格か、この辺がポイントになってくるわけですが、プラットフォームにおいては、こうした適格性に係る情報提供機能が重要となると、まずこういった議論がなされました。その上で、10ページ目の5パラ目でございますけれども、「一方で」のところですね。2行目ですが、ESG債の発行を積み重ねつつ、どのような発行事例がグリーンウオッシュ等として課題となるか、まずは相場観を形成していくことが重要だと、こういった意見が多くございました。その上で、6パラですが、現段階では、市場での発行・取引等の実績を積み上げつつ、市場全体の目線を形成していくことが重要であり、飛ばして3行目ですが、段階を追って実績の集積とともに整備していくことが望ましい、こういった指摘がございました。このため、7パラですが、このプラットフォームについては、まずは、発行体や評価機関がどのガイドラインを参照し、どのように適格性を判断したか、具体的な理由を明らかにしている評価書をプラットフォーム上にまずは集約して、市場関係者の判断の土台としていくことが重要と、こういったことでございました。11ページ目ですが、1パラ目の2行目からですが、比較可能性・透明性を向上させ、市場機能を通じた適格性の向上等につながることが期待されるとまとめたところでございます。

 続きまして、3番、情報プラットフォームの運営方式と情報集約でございます。こちら、2パラ目の1行目ですが、このためには、何よりも、プラットフォームの情報集約機能を高めるんだと、そこがまず議論としてございました。その中で、3パラ目ですけれども、1行目後半ですが、インターネットや証券情報端末等から事後に個別に情報を検索・集約するということが今一般的でございますが、今後市場の拡大が見込まれる中で、それぞれの発行の都度、関係者の理解と協力の下で既存の実務を踏まえて効率的に情報を集約する仕組み、これが望まれるとしております。例えば、公募債ESG債であれば、発行時に発行体が開示する情報、主幹事証券が保持する公開情報、これをプラットフォームに情報提供するフローがまずは考えられます。次、5パラ目ですけれども、「また」からですが、関係者による継続的な利用を促していくためには、網羅性の確保が欠かせないと、こういった議論もございました。発行に当たりプラットフォーム運営者へ情報提供を義務づけるというよりは、市場関係者全体の利便性向上を通じて発行体や証券会社の関係者に適切な動機づけを行うなどして、関係者の理解を得つつ機動的な拡張が可能な運営方式を採用しつつ、着手可能な分野から速やかに整備を進めていくことが望ましいということでございます。なお、最終パラグラフですが、本検討会では、プラットフォームの運営者と市場関係者との間で協議会を設置するなどし、一定の義務づけや費用負担をすることも考えられると指摘もございました。速やかなプラットフォームの立ち上げを実現した上で、機能拡張等をする際には、こうしたより安定的な運営方式、これも一緒に議論させていただきたいというところでございます。

 続きまして、13ページ目、今後の方針でございますけれども、まず情報プラットフォームの立ち上げ・改善のところでございますが、ここは、1パラ目1行目ですが、情報プラットフォームについては、当面、公募により発行されるESG債を念頭に情報発信をしていくと。2パラ目ですが、まずは本年の年央をめどに立ち上げを目指してやっていきたいなと思っております。5行目ぐらいからですが、継続的に本検討会で議論・検証を行って、必要な改善を行いたいなと思います。必要な改善に伴い、安定した運営を維持する観点から、運営方式の見直しについても議論を行っていきたいなと思っております。

 続きまして、ESG債の適格性確保の検討でございますけれども、こちら、「グリーン」、「トランジション」等のESG債の適格性を確保していくための取組として、3行目ですが、発行情報をプラットフォームに集約し、どのガイドラインに基づきどのように適格性を判断したかといった評価情報をプラットフォーム上で集約することで、市場規律を通じた質の向上をまずは図るべきではないか。その上で、今後、基準については、国際的な議論が進展することが見込まれております。その議論や市場の動向を鑑みて今後は動いていく。そして、金融庁のこちらのサステナブルファイナンス有識者会議とも連携して、継続的に議論、検討していくということとさせていただいております。
また、金融商品等の拡充・データ整備でございますけれども、こちら、まずはESG債からということですけれども、1行目後半ですが、国内公募債だけではなくて、様々な論点、これを整理する必要はありますが、私募債や海外発行のESG債、こういったものにも順次広げていくということが考えられるのではないか。あとは、3パラ目でございますけれども、企業のESG関連の情報・データについては、世界全体で脱炭素の取組が進む中で、開示の拡充の進展と併せて、株主等から急速にニーズが高まっているところでございます。情報・データをプラットフォームやその他の機能を通じて集約して分かりやすく提供していくということが今後の課題ではないかというような意見がございました。

 本検討会の今後については、次のページですが、1パラ目の後半ですが、最後の行ですが、こちらの検討会で継続的に議論を重ねていくということがよろしいのではないかと。例えば半年や四半期といった定期的に都度報告を受け、検討を進めていってはどうかということでございました。

 駆け足になりますが、私からの説明は以上となります。

【水口座長】  三木様、小沼様、大変ありがとうございました。短時間で手際よくまとめていただけたかと思います。ということで、JPXの検討会のほうで御検討いただきまして、年央をめどに情報プラットフォームを立ち上げる。まずは債券を中心に公募債で立ち上げ、その後、範囲をその先へと広げていこうと、こういうことであります。また、その範囲を広げていくに当たっては、運営方式についても少し見直していく必要があるのかなと、こういう議論をしてまいったところであります。

 ここから皆様からの御意見等いただきまして、こちらの運営に参考にしていただければということです。発言のルールは以前と同じでして、基本的には声を上げていただくという形で進めていきたいと思いますので、どなたからでも結構です。御意見、御質問等ある方はそのまま御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。井口さん、どうぞ。

【井口メンバー】  ありがとうございます。水口先生、よろしくお願いいたします。

【水口座長】  よろしくお願いします。

【井口メンバー】 小沼様、三木様、御説明ありがとうございました。最初に、環境整備検討会の今御説明いただいた内容と、あと、もう一つ資料があるESG評価機関、ESG評価機関は後でコメントした方がよろしいでしょうか、水口先生

【水口座長】ESG評価機関に対する対応の議論はこの後でやりますので。

【井口メンバー】では、環境整備検討会のほうでコメントさせていただければと思っています。この整備検討会で御説明していただいた内容ですが、まずは、御議論していただき、ありがとうございました。私も前回の会議で、この点についてはいろいろ申し上げましたが、この報告書には重要なポイントが多く盛り込まれておりまして、賛同したく思っております。特に、一元化を通じて可視化の確保というところには大いに賛同したく思っております。サステナブルファイナンス有識者会合の報告書では、ESG関連債の適格性を客観的に担保する仕組みの構築とありますが、私的には読み替えて、投資家がESG関連債の適格性を客観的に判断するために必要な書類を一元化し、透明性を担保するための仕組みの構築、ということでいいのではないかと思っています。これは昨今、御存じのように、EUのグリーンタクソノミーの議論を見ていますと、改めてこういったことが重要だと思っています。というのは、タクソノミーというのは、一目で白黒が分かるというので、投資家にとっては非常に便利な面もあると思いますが、一方、今回のように資本市場の観点ということではなくて、EU各国の環境政策と結びつけられて変更されるリスクもあると思っています。この場合、投資家は、グリーンタクソノミーに準じているかどうかをそのまま信じることはできなくて、結局、その内容を吟味するということが必要となります。ですから、この報告書にありますように、可視化というのは非常に大事だと思っております。

 もう一点ですが、最終報告書の取りまとめに向けた今後の方針のところですが、今後、御議論いただきたいところといたしましては、このデータベースに多くのESG債を呼び込む仕組みづくりのところです。報告書でも、上場ESG債だけではなくて、公募債を含むと議論されていると認識しておりますが、一つ一つの内容がよくても、例えば登録の債券数が少ないと、このデータベース自体の利用価値も低下すると思いますので、ここは非常に重要だと思っています。少なくとも、取引所に株式を上場している上場企業、それと、その企業グループの中にあるファイナンス子会社がある場合は、そういったところの発行した債券も網羅されるとなりますと、それだけでかなりデータベースの情報価値が高まるのではないかと思っております。

 以上でございます。ありがとうございました。

【水口座長】  ありがとうございます。基本的に御支持いただいたということで、ありがたいと思います。また、確かにデータの網羅性は非常に重要でして、公募債に関しては今、各所と御協力いただく形で、できるだけ広範に集めるという御尽力をJPXのほうでしていただく、こういう理解をしております。これを公募債から私募とかローンとかに広げていったときに、いかに情報を拡充するかというのは、おっしゃるように、課題かなと思っております。
ほかにも。では、林さん、お願いします。

【林メンバー】  すみません。一応メンバーだったので一言申し上げたいのですが、本当に熱い議論を短い期間で交わして、よくまとめていただいたと思っています。今日の報告書の中にもありましたけれども、やはりDay1はまずはできそうだなという感覚は持っているんですけれども、そこから、今日の後半の議論にも関わると思うんですが、どうやって市場機能を通じて市場関係者の目線を上げていくか、ここにいらっしゃる皆様や多くの市場関係者が協力していくか、その協力を盛り上げるのをどうやっていったらいいのかというのが本当に大きなテーマになるんじゃないかなと感じて参加していた次第です。

 以上です。

【水口座長】  ありがとうございます。そうですね。市場機能をきちんと発揮できるということは非常に重要で、情報があることと、それから市場関係者の意思があるということですかね。そして、リテラシーがあるということが重要なんだろうと思いますけれども、徐々にそういう条件がそろってきたのかなと思っておりますが、ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょう。声を上げていただいて構いませんので。今、手挙げていただいていましたけど、どなたでも結構ですが、いかがですか。

【手塚メンバー】  JFEの手塚ですけれども、よろしいでしょうか。

【水口座長】  お願いします。

【手塚メンバー】  御案内のとおり、私ども先週、トランジションボンドを製造業で最初に発行するということをやらせていただくことになっているんですけれども、そういう意味で、この2番目の項目のESG債適格性の確保というところですが、これは相場観がない中で1号としてやるというのは非常にチャレンジングな話だったわけですね。その点についてちょっとコメントさせていただきますと、特に製造業の中でも鉄鋼のようにhard-to-abeteと言われている産業でトランジションボンドを出すということは、ある意味、前人未到の分野に踏み出さなきゃいけないというチャレンジだったわけです。つまり、通常で考えれば、SBTなんかのトランジションのシナリオというのは今から2050年に向けて排出量を直線的に下げていくというようなことがトラジェクトリーとして想定されているわけですけれども、残念ながら鉄の場合はそうはいかないんです。最初のうちは持っている武器を全部使い尽くすところまで省エネのような対策を取りながら並行して革新技術開発をやっていって、その武器が30年、40年に出てきたところで急激にこれを実装していくというような2段構えのトランジションをやっていかなきゃいけないということにならざるを得ません。今回は私どもは幸いにして経産省さんがやられているトランジションファイナンスのモデル事業で採択いただいたということで、ある意味、公的なお墨つきをいただくことができている。つまり、お示ししているファイナンスの計画が、まさに政府が考えている日本全体のカーボンニュートラルに向けたトラジェクトリーに沿っているということを経産省の審議会のほうで御議論いただいて、大丈夫ですと、こういう評価をいただいたから出せているという形になっています。実際出すのは22年度の上期で、これからなので、チャレンジはあるんですけれども、適格性は御評価いただけたというのがあるかと思います。これは、産業界の立場からしますと、鉄の場合は昨年の秋に経産省さん自身がカーボンニュートラルに向けた技術のロードマップというものを作成いただきまして、そこに盛り込まれている技術項目が資金使途対象になってくれば、基本的にこれはトランジションのファイナンスに適格になるという、ある種の公的な相場観をおつくりいただいていたというのがすごく大きな助けになっております。ほかのセクター、鉄だけではなくて、当然これは、hard-to-abete産業というのは、化学もあれば、セメントもあれば、素材もあればという中で、同様のある種のトランジション技術の指標のようなものが出てこないと、なかなか最初の一歩を踏み出すというのは難しいんじゃないのかなと思います。個別の企業が個別に、自分たちがやっていること、これから出てくる技術あるいは今開発している技術がその方向に沿っているということを立証していくというのは、個社の努力だけではできないような部分がやはりあると思うんです。そういう意味では、せっかく今政府がグリーンイノベーションのための様々な取組を、経産省さん、環境省さん、国土交通省さん等がやられていますので、そういうものの中に入っている技術メニューと、企業にとってファイナンスが今後必要とされてくるトランジションの技術というのがうまくリンクするような、そういうことをぜひどこか、こういうプラットフォームの中で整理いただくとよいかと思います。技術のシナリオを能動的に整理するのはこの研究会の役割ではない、あるいはプラットフォームの役割ではないかもしれませんけれども、そういう観点から整理していっていただき、うまくこうやって先行事例が積み上がってくれば、それがある種の相場観の形成につながり、あるいはそれがさらに政府の政策とリンクしているということになると、発行体として安心してそういうものを出せるような環境が出てくるということにつながるんじゃないかと考える次第でございます。結論的に申し上げますと、異なる産業セクターごとにトランジションファイナンスにどういう相場観があるかということを、実際に使われる技術とか対策とかのメニューを見ながら整理していくということが大事かなと思う次第でございます。

 どうもありがとうございました。

【水口座長】  ありがとうございました。まずは、トランジションボンド、おめでとうございますということですが、そうですよね。この辺の相場観というのは、技術の面もあるし、市場参加者が判断するということもあるでしょうし、時間とともに相場観が移り変わるということもあるでしょうし、いろいろな側面があるんだろうなと思っております。できるだけ多くの声を集めて、適切な評価がなされるような仕組みができていくといいなと思いますけれども、皆様いかがでしょうか。

【藤井メンバー】  すみません。よろしいでしょうか。藤井です。

【水口座長】  お願いします。

【藤井メンバー】  ありがとうございます。御説明ありがとうございます。プラットフォームの早期な立ち上げと、それを言わばアジャイルに立ち上げていくというアプローチについては、非常に賛同いたしますし、現実的だと思っております。一方で、かなり意欲的な内容をカバーすることが期待されていると思っています。ご説明にもあったとおりDay1で全てカバーすることは難しいですし、そういうことは考えていないということだと思います。アジャイルな開発をする場合の最大のポイントというのはプロジェクトマネジメントでありまして、どういうタイミングでどういうものを入れていくかということだと思います。その場合に、私のほうからコメントしたいのは、プラットフォームに対する相場観というものを醸成していく努力をぜひお願いしたいということであります。と申しますのは、非常に意欲的な内容でありますから、今回の場合、市場参加者、投資家も、このプラットフォームを見る方が皆ステークホルダーであるということだと思います。このプラットフォームに皆さんが期待するものは大きいですし、そういった期待感を的確に醸成していく、かつ、そのタイミングについての予見性を確保していく。今ここから始めているけれども、これぐらいのスケジュール感でこういったものを入れていきたいとか、こういったものを増やしていきたい。それがどういうタイミングで広がっていくのか、いやいや、ここまでは期待しちゃいけないんだという、期待感の醸成あるいは予見性の確保、最終的には透明性の確保といったことを、個人から、機関投資家から、あるいは発行会社さんまで含めた、市場を見る皆さんの相場観の醸成、正しい期待感としていくことを御検討いただければ、よりいい形に進むんじゃないかと思います。

ありがとうございます。

【水口座長】  ありがとうございます。おっしゃるとおりですよね。まずはDay1で立ち上げようということですが、そこで高まった期待感がしぼむ前にちゃんと次の手を、また次の手をと打っていかないと、せっかく立ち上がったものが見られなくなってしまいますので、きちんと、おっしゃるように、どのタイミングで何が出てくるのかという期待感を維持していくことは必要だろうと思いました。ありがとうございます。こちらのJPXの検討会も続くわけですけれども、ぜひ、このタイミングでこれをやれよということはその都度言っていただいて、皆様からの叱咤激励をいただきながら進めていくということが必要かなと思いました。大変ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。

【鳥海メンバー】  証券業協会、鳥海でございます。よろしいでしょうか。

【水口座長】  はい、お願いします。

【鳥海メンバー】  ありがとうございます。まず、今回検討を主導していただきましたJPXさんにお礼を申し上げたいと思います。この過程においては、各証券会社、特に引受証券にヒアリング等もやっていただき、御調整いただいたと思います。今の御意見をお伺いしていても、私ども、発行会社様、それから投資家様、両方に私ども相対しているわけですから、そうした市場参加者としての意思ですとかということが非常に問われているのだなということを、今御意見をお伺いして改めて思った次第でございます。それと、実務的にサステナブルなプラットフォームをつくらなきゃいけないという実務の要請というところもございますので、ここも含めてJPXさんとはまた今後とも、各証券会社担当も含めまして、議論を深めて、より有用なものにしていきたいと改めて思った次第でございます。よろしくお願いいたします。

【水口座長】  ありがとうございます。証券業協会さんと密接に連携していただいているということで心強く思っていますし、これからもよろしくお願いいたします。
ほかによろしいでしょうか。

【岸上メンバー】  岸上ですけれども、よろしいでしょうか。

【水口座長】  はい、お願いします。

【岸上メンバー】  皆様、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 私も、まずDay1で少しずつ導入していくという全体像に関しましては賛同いたします。その上で、もしかするとDay1.5ぐらいに期待することに関してコメントします。恐らく最初のESG関連債券が発行された時点からかなり議論も、グリーンウオッシュに対する認識も高まっておりますので、適格性をどのように判断したかですとか、そういった考え方の開示も進んできているかと思います。一方で、既に発行されて、まだレポーティング期間が続いている初期のものに関しましては、そこまでまだ議論がされていなかったものもあるかと思いますので、その頃の発行されたものの適格性をどのように説明するかというところの追加的な開示も今後検討する余地はあると思いました。

 あと一つ細かい点ですが、特にまだ詳細の開示規定のないレポーティングやフレームワークの部分に関してですが、レポート全体へのリンクだけですと、正しく該当する情報を見つけることに読者側の能力が問われてくると思います。リンク先の何ページ目や何段落目と言った、特に該当するところの記載も場合によっては読者にとっては助けになるのではないかと思いました。

 以上です。

【水口座長】  ありがとうございます。なるほどと思いました。確かに初期の頃のものについては、議論はあるのかなと思います。また、このプラットフォームを見る人は、恐らく当面はプロ同士で見るのかなと思いますけど、おっしゃるようなインストラクション的なものも、今後、JPXさんのほうで検討いただければと思います。Day1.5ですか、御検討いただければと思います。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 では、一旦この議論はここまでにさせていただきまして、またもしお気づきの点があれば戻っていただいて構いませんので、次に、今手塚さんの話にもちょっと出てきましたが、相場観を形成していく上でも、適格性の評価というのはなかなか難しゅうございます。これも含めて、またそれだけではなくて、もうちょっと幅広に、サステナブルファイナンスに関しては今、ESG評価機関とかデータプロバイダーですとか、こういったところの論点が非常に大きくなっておりますので、こちらについて1つ検討を進める場づくりも必要ではないかということで御提案いただいておりますので、まずは金融庁さんのほうから御説明いただければと思います。では、よろしくお願いいたします。

【西田サステナブルファイナンス推進室長】  それでは事務局から、資料に基づき、簡単ですけれども、御説明させていただきます。

 1枚おめくりいただきまして、昨年の6月の本有識者会議の報告書の概要を記載させていただいております。その中で、2章、企業開示、3章、市場機能とありますけれども、市場機能の下から2つ目のところでありますけれども、ESG評価・データ機関について、ESG評価・データ提供機関に期待される行動規範の在り方について議論を進めるということで、本文の中にも記載がありますけれども、透明性や比較可能性、評価の独立性や客観性というものが、ESG評価機関の利用が進む中、より課題になってきているということを踏まえて、御提言をいただいたものということです。

 次のページ、これを受けまして、去年の8月に金融庁として出させていただいた行政方針でも、同趣旨の記載をさせていただいております。企業と投資家の橋渡し役を担うESG評価機関・データ提供機関の役割が重要になっているということで、評価やデータが信頼される形で利用されるエコシステムに向けて、評価の透明性、比較可能性、独立性・客観性に関するガバナンスなど、行動規範について、有識者を交えた検討の場で議論を進める、としています。

 本日は、来月上旬にも本有識者会議における専門の分科会という形で、ESG評価・データ提供機関について議論する会を立ち上げさせていただいて、この中で、先ほど申し上げた論点等についてまさに専門的に御議論いただく、このことを想定しながら、こうした専門分科会を進めていくに当たって、ポイントといいますか、どのような点が重要となるか、幅広く本有識者会議の委員の皆様に御議論いただきたく、お時間をいただいたところです。

 具体的な中身ですけれども、3ページ目を御覧いただきまして、これまでの有識者会議の資料ともやや重なりますけれども、ESG評価機関の重要性について、1つは、アセットオーナーや運用機関において、日本の内外で、ESGインテグレーションということで、ESGの課題を投資判断に織り込む動きというのが非常に多くなってきている。また、これを、個々の企業への投資に止まらず、インデックス化しまして、指数に連動させる金融商品を組成・販売する、または指数を見ながら、ベンチマークとして参照しつつ自ら投資を行う、こうした利用が増えている。また、四角の2つ目のところですけれども、指数に加えまして、個別の債券などの発行に当たっても、外部評価機関の利用が進展しており、ICMAによるグリーンボンド原則などでも基本的に外部機関の評価を得るように、ということになっていますし、環境省の事業等でも評価機関を利用することを基本的には前提として発行等が進んできていると理解しています。さらに、3ページの下に記載させていただいていますけれども、エンゲージメントに際しても、エンゲージメントをどの企業とどういうふうに進めていくかという戦略策定などでもESG評価が利用されていると。真中のところには、幾つか評価機関の例を記載させていただいています。非常にカバレッジも多く、サービスの内容も様々でありまして、グローバルに、また日本の国内でも活動がなされているところです。

 こうした背景の中で、4ページですけれども、国際的にも、金融庁も積極的に参加させていただいているわけですけれども、証券監督当局の国際的な集まりであるIOSCOにおいて、ESG格付やデータ提供に関する調査の結果、それから、規制当局や評価機関に対する提言というものが公表されておりまして、10のハイレベルな提言ということで資料上も記載させていただいていますけれども、当局向け、それから評価機関・データ提供機関向け、そして評価等を利用する投資家、そして、データを提供されたり評価を受けるに当たってもいろいろやり取りがある企業向けにそれぞれ提言を出しています。独立性の確保や潜在的な利益相反に適切に対応する方針・手順の採用、ESG格付及びデータ商品の手法やプロセスに関する十分な開示、それから秘密保持などの広範な内容となっていますが、こうした内容も参考としていく必要があるかなと思っております。

 5ページは足元のサービスの状況ですけれども、先ほども申し上げたとおり、関連するものとしては、かなり幅広いものがあるかなと理解しております。表中、上の3つですが、企業についてのデータの収集、これを踏まえた評価、さらに評価を指数にするということで、公開情報や企業への個別の質問票などからデータを収集し、独自のそれぞれの手法で評価機関が評価される、そして、その評価の結果を利用して指数にし、投資商品などの組成とかその他投資以外も含めて活用されていくというもの。また、下の2つ、債券の評価、ローンの評価と記載がありますけれども、これは個別にグリーンボンドやソーシャルボンド等々の金融商品を発行される際に、発行に当たって、ESGの観点からグリーンボンドとして適格かといったことを様々なガイドラインなどに照らして評価されるというもの。真ん中は、これら2つに関連する様々なサービスを幅広く記載させて頂いており、例えば一番上のところですと、投資家にとって、自らが投資している企業の全体の温室効果ガスであったりESGの取組を全体としてどう評価できるかということをポートフォリオレベル全体で算出したり試算したりするというものになりますし、下のほうになりますと、エンゲージメントや議決権行使、その他規制状況とかへの対応など、調査とかコンサルティングのようなものも、広範に関連するものを捉えるとESG評価に係る関連のサービスということで入ってき得るものかなと。このように様々なものがありますけれども、費用負担という面に着目しますと、上のほうは企業のデータとか評価を、基本的には利用される方が費用をお支払いするような構造。対して、下のところは債券などの評価で、債券を発行される企業であったり、その関係の方が費用を負担されるということで違いがある。IOSCOの報告書でもこのあたりについては、いわゆるサブルスクライバーペイとイシュア―ペイという両面があり、これによってビジネスに係るコンフリクトのあり方なども変わってくるのではないか、というような指摘をしています。

 6ページ目は、こうしたサービスのうち、ESGレーティングの代表的・国際的な例をまとめさせていただいたところですが、それぞれ、一番右になりますけれども、8段階であったり、スコアを100点満点でつけたり、また評価の項目についても、E、S、G、それぞれにテーマを設けながら、テーマごとにより細かい質問・調査項目があってこれに沿って評価されているものの、その区分や内容は様々と理解しております。

 7ページは、論点をまとめておりまして、サステナブルファイナンスの拡大を背景に、企業と投資家の橋渡し役を担うESG評価・データ提供機関の重要性が高まっている。こうした中で、評価手法の透明性や比較可能性、評価の独立性・客観性に関わるガバナンスの確保、またESG評価・データ提供機関に期待される行動規範等を検討する。その際、評価機関のデータを利用される投資家の方とか、評価の対象となる企業の方も、こうした関係者が有機的に連携していくように、相互関係の中でそれぞれにどういう役割を果たし得るのか、議論していくことが考えられるかと思っています。その意味で、資料上も、真ん中のところですけれども、ESG評価・データ提供機関について記載をしつつ、投資家・企業についても併せてその横に記載しています。評価機関については、評価の透明性、信頼性、また、先ほど申し上げましたとおり、サービスの違いに応じてどのような留意点があるか。企業については、評価機関を利用されるに当たってメリット・課題実際上色々感じておられると思いますけれども、より双方がメリットを得られるために何が考えられるか。また、投資家も同様に、どのような貢献ができるか。

 本日御議論いただきたい点として、以上を踏まえまして、4点記載しております。1点目は、ESG評価・データ提供機関の信頼性向上ということで、今後こうした行動規範について議論を進めていくに当たって、評価の透明性の向上や公平性の確保、利益相反の防止のためのガバナンスといった論点があろうかと思いますけれども、これらを含めて、どのような論点が重要となるか。また、ESG評価・データ提供機関と企業とのコミュニケーションについて、相互のコミュニケーションとして、どのような点に留意して議論を進めていく必要があるか。また、投資家に期待される役割としまして、インベストメントチェーン全体で評価やデータが信頼性ある形で利用されていくために、評価を利用する投資家の役割も重要となると思いますけれども、どのような論点が重要となるか。また、サービスの違いによる留意点としまして、ESG評価・データ提供機関によるサービスには、例えば、企業に対する評価と債券などの有価証券に対する評価、また、評価を受ける方の依頼に基づく評価とこれに基づかない評価など様々なものがあると思いますけれども、こうしたサービスの違いに関し、今後議論を進めていく上で特段の留意点があるかとさせていただいております。

 こうした点を踏まえて、御議論をいただけますと幸いでございます。

【水口座長】  ありがとうございました。というわけで、今日の後半の議論はESG評価・データ提供機関です。このESG評価機関というのは実は長い歴史を持っておりまして、私は、今から30年ぐらい前の、ちょうど1991年頃にアメリカに行きまして、当時、KLDという組織を訪ねました。Kinder, Lydenberg and Dominiの略で、KLD400というESGのインデックスをつくっていました。まだESGという言葉ではなくて、SRIと呼ばれていた時代からこの種の評価機関というのはあったわけです。あるいはイギリスのEIRISなんていう組織はもっと前からあるんですよね。70年代から多分あったんだと思うんですけど、こういう組織が少しずつ発展してきて、ESG投資の世界が広がっていくのと軌を一にして、評価機関の役割もすごく高まってきて、ついにこうして金融庁で議論しなければならない時代になってきた。それだけESG投資とかサステナブルファイナンスが発展してきたということでもあるでしょうし、その重要性も高まってきたのだと思います。

 本日いただいた御提案というのは、このESG評価・データ提供機関に関して行動規範等をつくる、検討する専門分科会を立ち上げますということで、その専門分科会を立ち上げるに当たって、それに先立って皆様から御意見をいただこうと。その今日いただいた御意見も踏まえて専門分科会でさらに議論していただくことで、言わば今後の議論の糧にしていただこうということですので、ここで何か結論が出るということではなくて、皆様から、どういう視点でどんなふうに議論していただいたらいいのかという、専門分科会への宿題というんでしょうか、御提案をいろいろいただければと、こういうことであります。御説明いただきましたように、論点を4つ挙げていただきました。1つは、行動規範等をつくるに当たって、透明性の確保ですとか利益相反ですとか、様々な論点がありますね。どういう論点が重要だと思いますかということ。それから2つ目は、特に評価機関と企業との間の関係をどう考えるか。3つ目は、逆に投資家側の役割というのは何なのか。そして、最後にサービスの違い。ESG評価も、企業のレーティング的なものから債券の評価まで様々あります。そのサービスの違いによって何か留意すべき点があるでしょうか、こういう御質問でありました。それぞれ別の論点とはいうものの、お互いに関係していますし、皆様のそれぞれのお立場から特に関心のある論点も違うかもしれませんので、特段どこから始めるということではなくて、この4つの論点を念頭に、皆様から自由に御意見をいただきたいと思います。あと1時間ほどありますので、ぜひ活発に御意見をいただければと思います。どなたからでも結構です。いかがでしょうか。渋澤さん、お願いします。

【渋澤メンバー】  いつも「投資家」と一言と言われますが、投資家の中でも色々な投資家がいます。幾ら透明性を高めて、すばらしい評価をしても、そんなの関係ないという人たちはいます。ですから、そういう限界も知りながらも、きちんと情報開示に努めるべきだと思います。また、投資家の役割だけではなく、企業側の役割も大事だと思います。企業が、いろいろな投資家がいる中で、どのような投資家が自分たちの株主になってほしいかというナラティブをつくって、対話をするということが大事です。もちろん、情報開示は、公平でなければなりませんが、企業側からしてみたときに、一緒に価値をつくってくれるような投資家ともっと議論して深めたいということがあっても当然です。

 ただ、新たな評価制度があると、自分たちはまだできていないから、評価されると低いから嫌ですという現実があると思います。しかし、会社があるべき姿と自分たちの今の現時点のところにギャップを可視化することが実は大切じゃないかなと思います。そして、そのギャップを埋めるということができれば、そこに価値が創造しますから、投資家にとっては利益のチャンスになります。

 現在、新しい資本主義の実現会議の末席を温めている自分としては、岸田総理が実施されようとしていることに賛同できることがたくさんあります。今までの外部性を無視していた経済学あるいは企業の価値の考え方、資本市場に対して、きちんとそれも考えなきゃいけませんよねというところです。ただメッセージングの問題で、市場とか競争を否定しているみたいにとられてしまうと、せっかくいいことをやろうと思われているのに、評価されていない。外部性の可視化とはまさにESG評価だと思っていまして、新しい資本主義の一番重要なところだと思います。そして、新しい資本主義であれば、新しい企業価値の定義があってもいいという話もあります。私もそのとおりだと思いますが、ちょっと安易に考えると、三方良しで良いんだという話になってしまう恐れがあります。三方良しはすばらしい概念ですが、そこにはメジャーメントが欠けていると思います。

 売手良しはすぐメジャーメントできるかもしれません。ただ、買手良しも可能かもしれない。けれども世間良しは全くメジャーメントできていない。だから、会社が環境、社会にどのようにインパクトを与えているかということをきちんとメジャーメントして、それを目標設定しますかという流れが、ポストESGとして現れていると思います。
全ての資本市場が、このような考えを求めている訳では決してないけれども、新しい資本主義的な時代の流れに沿っていると思います。

 ちなみに、国内では、ハーバードのIWAIと連携してIWAIジャパンを立ち上げようという流れがちょっと出てきています。IWAIはE(環境)とS(社会)と区分けされ、また、そのSの中では雇用のインパクトと製品のインパクトと分かれています。その製品のインパクトをグローバルヘルス(国際保健)という分野は比較的数値化とか評価しやすいという考えがあります。民間ベースのワーキンググループをつくって、そのインパクト・メジャーメントのフレームワークを考えましょうという動きが今年の春に始まる道筋ができています。

 このサステナブルファイナンス委員会はどちらかというとEのところに焦点を当てていて、そこから始まるというのは当然だと思います。ただ、Eの評価基準は欧州が既にしっかりと決めちゃっている感じですが、Sのところはまだこれからだと思います。Sは何を測ればいいんですか、何を情報開示すればいいんですか、という「はてな」が長年続いていた。ということは、Sのところに関しては、日本の企業が、日本の投資家が、いろいろなステークホルダーが、三方良しを含めて、このようにSは測るべきだと提示する余地がまだありそうです。

 新しい資本主義を日本発で世界をリードという大きな願望もそこにありますので、Sについては、この委員会の議論ではちょっと先の話になるかもしれませんが、水口先生も初回でおっしゃったように、EだけではなくてSもあります。いずれそちらのほうにこの委員会もいい形で進化できればなと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

【水口座長】  ありがとうございます。新しい資本主義のやはり中心の一つはサステナブルファイナンスなのだと思います。それと、企業側の役割が重要だというのは、そのとおりですよね。評価というのを、「評価」という言葉はよくないのかもしれませんけど、どういうふうに受け止めるべきなのか。そして、企業としてはどういう株主を求めているのか、企業のパーパスは何なのかという対話のきっかけにしてくださいというのもそのとおりだなと思いました。ありがとうございます。

 ほかにも御意見いただきたいと思いますが。はい、どうぞ。

【長谷川メンバー】  よろしいでしょうか。第3回の会議の際に、ESG評価機関について、会員企業、主に事業会社から、アンケートを取りました。その際に取った意見を基に、この検討会に期待したいことを述べたいと思います。アンケート結果を全般で見ますと、全体的に事業会社がこのESG評価機関のデータや評価を活用する目的は主に2つあり、1つは、その評価に基づいて自社の取組を改善するということ、第2は、その評価が投資家からの投資につながるということへの期待でございました。

 1つ目のESG評価機関による評価を自社の取組の改善につなげるためには、資料に書いていただいておりますが、評価機関の評価基準やメソドロジー、評価理由などに関する情報開示、説明の充実が不可欠だと思います。評価機関によって現在、評価のばらつきが見られますが、そうしますと、企業側の評価結果への信頼が低下し、納得感も得にくいということがございます。ただ、異なる視点による評価ということによって評価結果が異なるということ自体は、投資家が企業に対して多面的な情報が得られるという意味で、価値があると思っておりますので、評価基準そのものを全て画一的にするとか、比較可能である必要はないと考えております。業種ごとの特性や各会社が重視する点を反映する柔軟なものであってよいと思っておりますので、標準化と柔軟性のバランスを取るということが重要かと思います。

 2つ目です。取組の改善につなげるためには、やはり評価機関と個々の企業のコミュニケーションの改善が必要だと思っております。現在、企業の中でも、投資家とのエンゲージメントだけではなくて、評価機関とのエンゲージメントを通じてさらなる企業の価値向上を目指したいと思っていらっしゃるところも多くございます。アンケートでは、エンゲージメントを要請しても、人手が足りないといった理由でなかなか受けていただけないというような回答もございましたので、ぜひコミュニケーションの向上に向けた体制の整備に関しては、こちらの検討会議でも検討いただければと思います。

 最後に、ESG評価が投資家による投資につながるのではないかという点については、現在投資家がこういったESG評価機関のデータをどのように利用しているのかという、利用状況の見える化とその情報開示が必要ではないかと思っております。企業としては、高いESG評価を受けると、それが投資家による高い評価につながって投資につながるということであれば、年々増加するESG開示や対話に向けた要望にも前向きに取り組むことができるのではないかと思われます。ですので、投資家が評価結果を投資判断にどのように活用したのかということについても、情報提供を促進するための検討を行っていただければと思っております。
それから、最後、この検討会のテーマではないかもしれませんが、アンケートなどで聞かれた回答として、どうしてもネガティブスクリーニングがまだまだ多いということで、企業が行っているSDGsやESGへの取組について、より社会に対するプラスのインパクトのほうを積極的に評価していただきたいという意見もございましたので、申し添えさせていただきます。

 以上です。

【水口座長】  いろいろ御意見、ありがとうございました。投資家とだけでなく、企業とESG評価機関との対話も非常に重要だと思いますし、それを要請しても受けてもらえないということがあるというのは、ちょっとびっくりいたしました。

 それでは、高村先生からまず手が挙がっているということなので、高村先生、それから手塚さんの順番でお願いしたいと思います。高村先生、お願いします。

【高村メンバー】  ありがとうございます。資料2について、まず、専門的に評価、評価機関について検討する分科会を立ち上げられるということについて、歓迎いたします。この間、事務局の資料にも書いてくださっていますけれども、この分野のいろいろな作業、業務を拝見させていただいて、やはりESG評価の利用が拡大しているのとともに、評価を担う評価機関の重要性が極めて重要になってきていると思います。これはもう委員の皆さんの前で本当に釈迦に説法ですけれども、やはりその中で、企業が設定する目標や、それからその進捗について、これは情報開示のところでも科学的根拠に基づいてしっかりそれを説明するということが求められてくるようになっていると思いますし、トランジションファイナンスの基本指針、つくっていただいておりますけれども、そこでもやはり、発行体がしっかり市場に対して科学的根拠に基づく移行の経路というものを示すということ、非常に重要な点になっていると思います。今、気候変動でお話ししましたけど、これがさらに生物多様性、生態系ですとか、あるいは資源循環等々に広がってくることを考えると、恐らく従来の評価機関が行っていらっしゃる評価の作業というものがより専門的、特にサステナビリティ分野の知見や、あるいは技術に対する知識をしっかり理解して評価する、あるいはそういう評価基準を設定するといった、そうした専門性が必要になってきているように思います。幾つかの金融機関では既にそういう分野の専門家のチームを中に立てていらっしゃるとも聞いていまして、そういう意味で、専門分科会にぜひ議論していただきたいのは、事務局が示していただいている行動規範、これはもちろんなんですけれども、評価の中立性・客観性をどう担保するかといったような行動規範の点もそうなんですが、こうしたより専門化していくサービスが求められている評価機関、それから評価者の能力をいかに上げていくか、あるいは、ちょっと言い方はあれですけど、品質保証していくかという、むしろそのための政策・施策についてしっかり議論して、結果を出していただきたいと希望いたします。同時に、この評価の質という意味でいくと、やはりこれまでの議論にもありましたように、情報開示ですとか評価の基準・手法の透明性、あるいは標準化・統合化といったような、必ずしも評価機関の問題だけではない、関連する問題が相互に改善していくといいましょうか、水準が上がっていくということが必要だと思っていまして、ですから、評価の観点から情報開示など、ほかのイシューに対してのインプットをいただきたいと思っております。

 すみません、これが1点目で、2点目は全体通して、スライドの2枚目のところで、まさに昨年の有識者会議の報告書に基づいて具体的に対応が進んだところを御報告いただいていると思うんですけれども、サステナブルファイナンスの分野、この間見ても、国内外、動きが大変急速で、こうした動きも踏まえつつ、まだ具体的な対応がなかなか出ていないところも含めて、ある程度定期的に全体の進捗などの状況をまとめて共有し、今設定している課題の進捗を見て、場合によっては新たな課題設定をするということが必要ではないかと思っております。今日JPXさんにお話聞いたのは大変よかったと思うんですけれども、政府の中の他省庁の取組も進んでいると思いますし、あるいは政府の外のJPXさんのような取組もあると思いますので、こうした情報もインプットいただいて、まさにこの有識者会議の場が一種サステナブルファイナンスの統合的な日本の政策課題を明らかにする、そういう場にしていただきたいと要望いたします。

 以上です。

【水口座長】  大変貴重な御意見、ありがとうございました。後者の点ですけれども、この有識者会議の役割として、全体状況の把握とその整理、そして情報の発信など、次の有識者会議の大きな課題だと思いました。それと前段の話も非常に面白く、なるほど、行動規範だけではなくて、いわゆる能力基準だったり品質保証だったりという論点があるということが分かりました。ありがとうございました。

 それでは、お手が挙がっておりますので順番に、手塚さん、小野塚さん、そして林さんという順番ですかね。では、手塚さん、お願いいたします。

【手塚メンバー】  ありがとうございます。2点コメントさせてください。

 1点目は、今の高村先生の話に大分かぶるんですけれども、やはり評価機関、特に国内の評価機関のキャパシティービルディングみたいなことが非常に重要になってくるんだろうなと思います。財務の情報から企業を評価するというのは、もうノウハウも教科書も全部出来上がった、確立された世界なんだろうと思うんですけれども、このグリーンの世界あるいはトランジションの世界というのは、いろいろな意味で暗中模索している世界なわけですね。なので、前例があまりない世界の中でこれをどういうふうに評価していくかという部分に関われる人材、あるいは評価機関の組織としての能力みたいなものをいかに担保していくかということは非常に重要な視点になってくると思います。こういう分野の評価というのはどうしても中身が技術とか効率性とかオペレーションとか、こういうことに絡んできちゃうんですね。例えばですけれども、私どもの経験でも、ある評価機関さんが日本の鉄鋼産業について相対的にほかの国と比べて低いというような評価をされたケースがありまして、何でそうなっているのという議論をしますと、要するに、設備のビンテージだけを見ているんです。財務諸表等から取れるデータから見ると、日本の鉄鋼が持っている設備というのは1970年代、60年代に投資されたものがいっぱい使われていて、やはり古いから非効率じゃないですかと、こういうふうに来るわけです。でも、そんなことは全くなくて、CAPEXでどこまでやっているかという問題はともかく、OPEXも含めて考えると、膨大な保守点検投資をしていますし、あるいは改良とか改善投資もしているわけですね。その中で、実際の効率性は世界で最も高い効率性を、個々の機器で見ても達成できているというのもあったりするわけです。なかなかこれは公開されている財務情報からだけでは出てこないもので、やはり技術とかの別な指標をいろいろ参考にしていただかないと取れない話なわけです。今回のこのトランジションとかグリーンの世界になってくると、こういうことに気がついて、ちゃんと調べられる人材が、評価機関の中に育てるといったことを含めたキャパシティービルディングみたいなことがやはりどうしても必要になってくるんだろうなと思います。その点が2つ目のポチにあるコミュニケーションにも大きく関わってきて、評価いただく側も、従来の評価機関さんとの付き合い方に比べると丁寧なコミュニケーションをしなければいけないし、お互い何が分かっているかということをアプリオリの前提として議論はしちゃいけないんだろうなと感じています。違うことを暗黙的に想定した上で議論しているようなちくはぐなケースも出てきてしまいますので、丁寧なコミュニケーションが必要ですし、場合によっては、評価される方に対して、工場とか研究所の見学のような、物理的にそういうものに触れていただくといったようなことも展開していかなきゃいけないのかなと思っています。従来のコミュニケーションのような会議室に座って議論するとかデータを見せて議論するというようなことを超えたコミュニケーションも必要になってくるのかなと思います。これが1点目です。

 それと関わるんですけれども、2点目に、これはサービスの4点目に書かれている点と多少関わる話なんですけれども、発行体の立場からすると、こういう非常に手間とかコストのかかるコミュニケーションをしながら評価をいただいていく上で、例えば先ほどのトランジションボンドのようなものを出していくということをやっていくときに、毎回毎回これやるのかという議論がやはり出ているんです。取組は、特定のプロジェクトとかで資金を調達するというわけではなくて、例えば3年とか4年とか5年の中期の機関の中で、いろいろ組み合わせた投資、それには研究開発も含み、設備投資も含み、商品開発も含むような中期の投資計画の中で、例えばトランジションボンドを出させていただくというようなコミュニケーションをするときに、1回評価を受けて、それを進捗に合わせて定期的なフォローアップを受けていけば、複数回の起債ができるというような形で、評価のコストを、あるいは、金銭的なだけではなくて、手間を含めたコストを下げられるような仕組みを考えていただけないだろうかということです。これは、取組が長期にわたって、なおかつ巨額の資金が必要になってくるということになると、これを小刻みにして、毎回毎回記載タイミングごとに評価いただくというのが本当に効率的なんだろうかということは、事業会社の立場からちょっと問題提起をさせていただきたいと思います。

 以上です。

【水口座長】  ありがとうございました。評価機関の重要性が高まったがゆえに、評価方法もこれからイノベーションが必要なのかと思いました。

 それでは、小野塚様、そして林様、そして鳥海様の順番でいきたいと思います。小野塚さん、よろしくお願いします。

【小野塚メンバー】  よろしくお願いいたします。先ほどから挙がっている開示に対する御期待というところが、対企業でも、機関投資家向けにもあったかと思います。これに関して一般的な意見を述べたいとまず思います。私のスタンスとしては、例えば岸田政権が目指す更なる開示に関してメディア等で賛同の意を表しているということを前置きしつつ、開示を促進し過ぎることの危険性というのもどこかに明記する必要があるのではないかと思います。開示は対象団体における投資を促進する力になるのは間違いないですが、最近、周りのファンドマネジャーと話をしていますと、日本ではセクターによっては、かなり海外に比べて開示の量が多くなってきているという話を耳にします。それが、会社の競争力を逆にそいでしまっているのではないかというような懸念も聞こえてきています。あともう一つ、機関投資家に関しては、運用手法に関する、例えば今日のESGのデータの使い方みたいな開示を促進したいという御意見あったかと思いますけれども、インデックス等を使っている場合には、それは明らかに御説明ができると思うんですけれども、なかなかそこが、いわゆる技量の部分と密接に絡み合っていますので、開示という形よりは、意見交換ですとか対話のような形で御説明を丁寧にしていくというようなメッセージングのほうがいいのではないかと思います。

 あとは、今回の評価機関と、それから今後の提言をつくるグループに対しての御意見ということで3点ほどございます。まず1つ目、企業への期待ということで、E、S、Gと並んでいますと、それぞれが同ウエートのような形でフォーカスが当たると思うんですけれども、やはりEとSの課題というのはGの枠組みをもって正しく遂行されるものでありますので、やはりここでサステナビリティガバナンスに対する重要性というものを認識しながら、我々投資家からの期待としては、諸外国で起こっていますように、取締役会でのガバナンス、そして取締役の報酬にサステナビリティの指標を絡めるといった取組みをやっていただけたらと思っています。一方で、最近のブラックロックのラリー・フィンクさんからのレターにもありますように、そういった指標が意味のあるものでないといけないということもあるかと思います。

 もう一つ、関連してなんですけれども、企業様への期待としては、やはりE、Sの開示、それからそこでの取組みというものが、きちっと企業価値への貢献と、そのバランスとして、あるいは時間軸としてどのように取り組まれているのかというところを、評価対象機関も含めて、広く説明をしていく必要があるのではないかと思います。これは去年のダノンの取締役会議長の解任ですとか、最近のユニリーバへの、業績低迷の中でESGをやり過ぎじゃないかといった批判に対して正しい理解を促していくべきだと思います。これらの会社は、ESGの世界ではむしろリーダーだったわけですが、今SNS等で上がっている色々な意見を見ると、せっかくESGやっても、そういった形で投資家にプレッシャーかけられるんだったら何のためにやるんだというような、少しやる気をそぐようなコメントもあります。このあたりはやはり企業のほうから、サステナビリティへの取り組みがどのように企業価値に貢献するのか、それからどういった時間軸を想定しているのかといったものを併せて利害関係者、特に株主に理解を促すということに注力していただきたいと思います。

 あと、3つ目ですけれども、これはESGのデータを投資の判断に使うのはもちろんのこと、恐らくスチュワードシップ活動の中でもこういったものが使われていて、今後はやはり、機関投資家といいますか、インベストチェーン全体に対して、このあたりのESGと議決権行使のリンクですとか、あるいはそのあたりのレビューというものを何かしら、開示の形なのか、あるいは説明の形なのか、このあたりを、ESGの指標等とスチュワードシップ活動というものをつなげる、こういったことに活かしていけないかを考えていけるといいと思います。それは業界全体に対して期待したいと思いますし、来年はスチュワードシップ・コードの改訂もありますので、そういったところと絡めて御検討いただけたらと思います。

 以上です。

【水口座長】  ありがとうございます。開示だけじゃなくて、コミュニケーションということですね。

 それでは、林さん、鳥海さん、そして伊藤さんの順番でいきたいと思います。林さん、お願いします。

【林メンバー】  ありがとうございます。議論が多岐にわたっているので、何を話していいかだんだん分からなくなってきたんですが、これから始まるワーキンググループに期待することということだけに焦点を当てたいと思いますけれども、何をやるんだということについてはIOSCOの最終報告書である程度もう方向性が見えているので、追加的にじゃあ日本として何をやるんだというところについて御議論を、追加で日本独自で何かをやる必要があるのか、あるいはこのワーキンググループの主な目的として、IOSCOで決まったことを日本の市場参加者の方により理解を深めていただくようなメッセージを発信する提言の場、提言書をつくる場ということなのかなと解釈しています。そこでも、今、発行体さんの手間暇の話だったり投資家の手間暇ということとかいろいろありましたけれども、これは本当に乗り越えていかなくてはいけないものだと思いますので、そういう中ではやはり、先ほどの手塚さんのお話もありましたけれども、こういったことをちゃんと議論してコミュニケーションできる人材が足りないが足りないというところに行き着いてしまうような気がしているんですが、それはワーキンググループでやる話なのかどうかちょっと分かりませんけれども、そういったところについても御議論が深められるんだったらそうしていただきたいと思います。また、今スチュワードシップ・コードという話も出ましたけれども、あまりがちがちに規制をやっていくとか品質管理のためのペナルティーをつくるとか、そういうことではなくて、やはり市場のレベルを上げていくためにみんなで何を、どういうことに気をつけてやっていったらいいのかということを議論していただくというのがまずは大事なんじゃないかなと思っている次第です。

 以上です。

【水口座長】  ありがとうございます。

 それでは、鳥海様、お願いします。

【鳥海メンバー】  ありがとうございます。皆さんが既におっしゃられていることと重なってしまう部分も多いかも分からないですけれども、そもそも各評価機関における例えばグリーン性ですとかソーシャル性判断のよりどころとか閾値とか、こういうところがばらけるというのは、それはそれで仕方のないことだと思います。皆さん共通でおっしゃられていましたけれども、やはり透明性、公平性というところが重要だと思います。ですから、各評価機関の判断基準というところをあらかじめ、あるいはオピニオンなどと同時に開示していただきたいと思います。あるいは実務の立場から申し上げますと、評価機関が結構頻繁に定義を変更するんです。これによって時系列の分析ができないということで、バックテストもできないというような声も現場からは上がっております。そうしますと、やはりお使いになられる投資家の立場から見ても使いづらいものになってしまうんじゃないかなとも思っております。つまり、これはもう2番目、3番目、それぞれの論点とも関係してくると思いますけれども、やはり何の目的で、利用者の何のニーズに応えるための評価なのかということを踏まえた、違いを踏まえた上での仕組みの整備ということが重要だなと思っております。

 また、この場の論点とは少し趣旨が違うかもしれないんですけれども、現場で起きていることということで申し上げますと、先ほど資料の中にもESGデータ(ローデータ)というような記載もございましたが、足元でESGデータのお値段というのが大変に高騰しております。3割、4割近くお値段が上がっておりまして、発行体や債券を評価する一方で、その情報を販売するというビジネスモデルについて、何か論点があるのではないかとも思っているところでございます。また、過去、例えばサブプライムローン問題が起きたときに信用格付の世界で何が起きたか、信用格付が急激に低下したというときに、なぜこういうことが起きたのだという振り返りのレポートなんかを見ますと、例えば格付機関側の問題として、業務量の増加に見合う人員が不足していたとか、プロセスの文書化が不足していたとか、クライテリアの遵守が不徹底であったというようなこともあったと記憶しております。先ほどから人員の不足というのは、人員というよりは多分人材、クオリティーのほうの不足という御指摘を皆さんされていたかと思いますが、クオリティーもさることながら、そもそもこれだけ業務量が増えてきたときに、十分なリソースが手当てされているのかと、こんなところも過去を踏まえた評価機関に対するルールづくりが必要なのかなと思っております。ただ一方で、先ほど林さんも御指摘されていましたけれども、あまり早い段階で厳格な監督体制というようなものが導入されてしまいますと、やはり様々なコストが上がる、結果的に市場参加者に転嫁されるというようなことになりますと、そもそものサステナブルファイナンスのマーケットが広がらないということもあろうかと思いますので、やはりそこは利用者の得るべき価値、それとコストというところのバランスを取る必要もあるのかなと思っておりました。

 以上でございます。

【水口座長】  ありがとうございました。

 それでは、伊藤様、藤井様の順番でいきたいと思います。伊藤様、お願いいたします。

【伊藤メンバー】  全銀協の伊藤でございます。どうもありがとうございます。

 それでは、論点に沿って簡単にコメントさせていただきたいと思います。まず、どのような論点が重要かという点につきましては、これは皆様方もおっしゃっておりましたが、評価を受ける立場から申し上げまして、やはり評価の透明性の向上や公平性の確保、これをまずもって、この専門分科会で議論を深めていただければと思っています。私どももESG評価機関と接する機会が大変多いですが、正直、皆さんもおっしゃっていましたように、たとえ同じ事業会社であっても、また、私どもが適切な情報発信をしているにもかかわらず、同じような切り口の評価項目でも、やはり評価機関によって評価に差異が生じているということは事実としてあるかと思います。このような現状を是非しっかり踏まえていただきながら議論を深めていただきたいというのが1点目です。

 2点目はコミュニケーションにつきまして、やはり、まずもって評価を受ける企業がしっかりと開示するということが大前提としてあると思っています。この基本前提の下に、コミュニケーションも足元ではそれほど行われていないと認識しておりますので、行動規範の中で、例えば、事業会社とのより密なコミュニケーションを奨励するといったところも織り込んでいただくというのも一案ではないかと考えています。

 最後に、サービスの違いによる留意点ということですが、様々な評価機関や、評価の使い方によってサービスは異なるかと思いますが、1つ基本として考えられるのは、いずれにしても、グローバルなプラクティスをよく見ながら、グローバルスタンダードとの整合性を確保しながら評価していくということが大事ではないかと考えています。その意味では、例えば、これは行動規範かどうか分かりませんが、評価機関が、そうそうしたグローバルな動きをフォローアップしながら、日々アップデートしていくこと、また、標準的な目線というのが確立した場合には、速やかに評価手法に反映することなどが、今後評価機関に求められるのではないかと考えておりますので、このあたりもぜひ議論していただければと思います。

 私からは以上です。

【水口座長】  ありがとうございました。

 この後、藤井様、岸上様、吉高様、そして井口さんの順番でいきたいと思いますので、よろしくお願いします。では、まず藤井様、お願いします。

【藤井メンバー】  ありがとうございます。かなり広い議論になっていると理解しておりまして、6月の本委員会の報告書に戻って今確認したんですけれども、ここで議論されていたのは、ESG評価・データ提供機関に期待される行動規範の役割等について議論を進めることが期待されるという表現になっています。そこで、7ページの下のほうですけれども、「企業、ESG評価・データ提供機関に期待される行動規範等」となっていて、企業さんへの行動規範までここでカバーするのかどうかという点について、新しい分科会の中ではスコープセッティングを確認していただきたいと思います。

 その上で、私のほうからは、ESG評価機関、格付機関に対する専門分科会での対応についてのコメントとさせていただきたいと思いますが、私もIOSCOのペーパーをよく読んでみました。ここでもやはり企業とステークホルダーの意見ということがまとめられていまして、その内容につきましては、経団連様からあったコメントとかなり共通しています。データの質とか、あるいは評価能力の話とか、あるいは利益相反といった点です。今回の「期待される行動規範」が対象にするところは内外の格付機関、評価機関になって、グローバルな企業も多いと思っていますので、そういう意味では、議論におきまして、グローバルなスタンダードといいますか、ガイダンスといいますか、それを意識していただきたいと思いますし、そうすると最終的には、IOSCOの10の提言、ここに戻っていくのではないかというような予想はあります。まとめますと、グローバルな動き、方向性、あるいはレベル感といったものを意識しながら議論を進めていただきたいと思っております。

 ありがとうございます。以上です。

【水口座長】  ありがとうございました。分科会のスコープについては後ほど金融庁からコメントがあるかもしれませんが、それでは、岸上さん、吉高さん、井口さんの順番でいきたいと思います。岸上さん、お願いします。

【岸上メンバー】  ありがとうございます。皆様の御議論の内容、大変興味深く聞いておりました。高村先生はじめ、賛同する内容も多くございましたので、重複しないところで追加させていただければと思います。先ほどビジネスモデルへの言及があったと思いますが、評価側から見たビジネスモデルの課題も共有いたします。もちろん例外もあると思いますが、マクロ的な視点として、どうしても調査費用を少しでも下げることによって最終的な受益者へのコストを下げるということで、調査機関に対するコスト効率の高い調査を求める傾向があります。それがパッシブ運用への移行のきっかけにもなっているかと思います。そうした中で、付加価値を提供するESG評価、専門性の高い人材がますます必要となり、そのバランスをどうやって取るかが課題となります。先ほど渋澤様から、新しい資本主義、新しい企業価値ということが挙げられましたが、調査がもたらす価値を評価する仕組みも新たにしなければ、市場全体として求める人材や評価が実現できなくなってしまうのではないかという点を追加できればと思います。

 また、恐らく現状と将来でも状況が異なってくるかと思いますが、ESG調査を実施している機関が属するグループ会社によって、算出される結果の性質が異なる可能性もあると思います。例えば投資判断の一助となる情報を提供している指数会社でのESGレーティングですと、理想的には企業の将来価値に貢献するような視点でESG情報をキャッチすることが期待されると思われます。また、信用格付に内在される場合は、デフォルトリスクと相関性の高といと思われるESG情報をキャッチすることが期待されると思われます。同じESGレーティングと呼ぶものであっても、それぞれがどのような機関の下で算出されるかが異なり得るため、それを認識した上で、利用者としてその視点でESG評価結果データを活用したいと思っているのか、それとも別の視点で情報収集をしてほしいのかというところを双方で整備していく必要があるのではないかと思います。

 以上です。

【水口座長】  ありがとうございます。

 では、吉高様、お願いします。
 
【吉高メンバー】  ありがとうございます。私も林様、藤井様がおっしゃっているIOSCOをベースに考えていかれることが重要かと思っております。現状、主要な評価機関は、グローバルな評価機関がほとんどでございますから、日本企業や日本の投資家様が感じているフラストレーションがダイレクトに伝わらないという問題があると思っております。日本の格付機関や評価機関を育てるという観点は重要でございますが、グローバルスタンダードで動いているESG投資の現状におきましては、いかにグローバルな評価機関に今回検討される行動規範なるものが浸透させるのか手法が重要だと思っております。分科会での検討に期待するところとしまして、どのようなスコープになるかというのは重要かと思います。欧州のようなスタンダードドリブンでもなければ、米国のようなマーケットドリブンでもない、この日本の市場におきまして、行動規範をつくっても、それが伝わらなければ意味もないのでそこまでも含めてご検討いただきたい。また、現在、環境省でグリーンボンドガイドラインを、ICMAの改訂に合わせてどのようにガイドラインを変更するか検討していますが、危惧するのは、世界の動向の後追いで日本のガイドラインをつくったところで間に合わないことで、先々に見越して今このガイドラインの位置づけを考えていってくださいと委員会で申し上げました。同様のことが危惧されます。例えば、「Climate Action 100+」に加えて「Nature Action 100」ができてエンゲージメントが進んでいます。SDGsで著名なユニリーバ社が業績とのバランスで評価が低下したとご指摘がありましたが、商品の健康、ヘルス度合いの観点でも評価が低くなっています。また、ウォルト・ディズニーが人権の関係の情報開示の株主提案を批判したら、米国証券取引委員会からその行動に対して否定的なコメントが出たり、と総合的に評価するための指標が日進月歩的で出現してくるので、この行動規範が変化に合わせてグローバル評価機関に当てはまるのか、一方、日本の企業の評価をする上で視点や強みなども踏まえた、行動規範となるのか、そして、その先には、規範にとどまることだけではなく日本の金融庁としての将来に向けた指針が出ることも期待するところでございます。ありがとうございました。

【水口座長】  ありがとうございます。

 では、井口様、お願いします。

【井口メンバー】 ありがとうございます。最初に、投資家がESG評価・データをどのように使っているのかという、長谷川委員や何人かの方からお話があった件ですが、私も非常に重要な点と思っています。現状、議決権行使助言会社を使ったときは、これはスチュワードシップ・コードにも明記されておりますが、ISSやグラス・ルイスなど、どこの助言を使ったのか、それをどういうふうに使ったか、そして、どの銘柄に使ったかということの開示が求められています。これだけサステナビリティが重要になってくると、もし外部評価機関やデータを使っていれば、こちらの方の開示も重要になってくると思っています。ただ、これも、以前、申し上げましたがスチュワードシップ・コードでそう記載場所がないかというと、それも間違いで、実は原則8に、どういうサービス会社を使ったかということを開示する箇所があります。私は、自分の会社で、我々は当社独自のESG評価手法を活用しているため、活用しているのは議決権行使助言会社のみ、と、現状、書いています。つまり、申し訳ないですが、ESG評価機関を使っていないということを書いています。ただ、今年になって投資ポートフォリオの炭素排出量の算出を求められ、使い出していますので、次回、今年の例えば7月とか8月に改訂するときには、そういうことも開示していかなければならないなと思っています。ですので、投資家が全く開示しないていないのではなくて、開示している会社もあるということになります。よく「投資家は企業の開示を読んでいない」と怒られることがありますが、企業の方もこういう投資家の開示というのを見ていただいて、お互い理解するということは大事だと思っています。ただ、おっしゃるように、記載場所はあるのですが、コードにそこまで厳密に定められているかというと明確にすべき余地もあると思いますので、次回の改訂のときに、投資家の開示について入れていくというのは一つの方法かなと思っております。
それで、もう一つのESG評価・データ機関のところですが、もう皆さん既に多くおっしゃっていますが、ESG評価・データ機関の重要性を考えますと、私は、理想的には、財務格付機関と同程度のプロセスの透明化、公認会計士に課せられているような利益相反管理、それから、時期尚早というお話もありましたが、私はやはり当局の適切な監督というのが求められているのではないか、と思っています。こういった点は今までも随分発言させていただきましたので、本日は深く申し上げませんが、ただ1点だけ留意点を申し上げますと、この資料の中にもIOSCOの報告書が掲載されておりましたが、これは藤井さんのほうからも御指摘ありましたように、このESG評価機関の活動というのはグローバルで生じておりますので、指針などを策定する際には、こういう国際的に求められる規範との整合性というのが非常に重要になってくるのではないかなと思います。実際、IOSCOのこの提言に基づきまして、最近ニュースで流れていましたが、インドではESG評価機関に対し、高村先生もおっしゃっていました、十分なリソースがあるかや、評価プロセスの適切性などの観点について、2年に一度、当局に認定されるという制度案が公表されておりましたし、英国もEUも、こういった流れに続く可能性が高い、ということ理解しています。このワーキンググループの議論でも、海外での規制当局の動きとか、あるいは、こういうことに関して一家言あるグローバル投資家もいると思いますので、そういう人の議論とか意見を盛り込んだほうがよいのではないかと思いました。

 以上でございます。ありがとうございました。

【水口座長】  ありがとうございます。大変多くの御意見をいただきました。

ほかに御意見のある方はおられますか。

【足達メンバー】  足達ですが、よろしゅうございますでしょうか。

【水口座長】  はい、お願いします。

【足達メンバー】  今回のこの会議のメンバーの中で、評価機関に一番当事者として近いのは私ではないかと思います。二十数年のいろいろな経験が今、皆さんから御意見を伺いながら、よみがえってまいりました。1998年頃に企業の調査を開始したときには、日本企業の環境報告書の発行数というのは50なかったと思います。ですから、皆さんのところをお訪ねしてヒアリングをさせていただいたり、アンケート調査をさせていただいたりするなかでスコアを作りました。その過程で、企業の皆さんからフラストレーションを随分頂きましたし、運用機関の皆さんからも、もっとこうならないかという要望も頂きました。ありていに申し上げてしまうと、ESG評価は、実に労働集約的な作業で、運用機関の皆さんにリソースがない状況で、外注先として作業を承っていたというのが正直なところだと思います。この二十数年間の世界の評価機関の流れを見ても、純粋な評価でビジネスモデルが成立したところはなくて、インデックスプロバイダーや金融情報サービス、情報端末サービスの組織、あるいは金融商品の評価をする組織などに次々と、買収されていった歴史があることを、ご紹介しておきたいと思います。

 その上で、評価機関に関する検討会について2つ、ポイントを申し上げたいと思います。1つは、これから評価機関というのはますます影響度が大きくなるのか否かというところの見極めを検討のスタートですることが有効だと思います。今後、開示情報は増えていきます。ISSBのような標準化も進みます。そして、これだけマーケットが大きくなれば、運用機関さん自身が御自身の競争力のために、インハウスでよそと違う分析を打ち出されてくるのだろうと思います。このESG評価機関というのは、サステナブルファイナンスが成熟化していく中でのあだ花だったという見方もできるわけで、このあたりの見極めを議論の冒頭にしていただくことが建設的になるのではないかと思います。

 それから2つ目は、透明性が大事だという次に、評価結果が違うことがどこまで問題になるのかということであります。マーケットベースに各評価機関が存在しているのだから見方が違って当然だという意見もあれば、2つの評価会社の結果を相関分析するとこんなに違うと問題視する意見もあります。信頼性のためには、政府のお墨つきというものが重要だと考えられる方もおられれば、ESG評価の基盤にタクソノミーみたいなものを置くのは駄目だと考えられる方もおられる。このあたりをまず整理して、ガイドラインをつくるのであれば、我々はこういう見方に立っているという点を明らかにして議論をスタートすることが、一見手間のように見えて、その後のアウトプット、成果物が建設的なものになると私は思っておりまして、御提案を申し上げておきたいと思います。

【水口座長】  ありがとうございます。

 大変いろいろな論点をいただきましたが、ほかに御議論ありますか。今、あだ花なのかというお話もありましたけど、一方で、これだけESGが広がってきたときに、むしろ一層重要な役割を果たす可能性もあるかと思います。高村先生の、科学的な根拠のある議論を評価していく必要があるという、その役割をどこがどう担うのかという仕組みの問題もあるんだろうなというようなことを思いました。

 では、ここまでの点で金融庁さんから、先ほどスコープの話もありましたし、それ以外でも、もしコメントがあればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【西田サステナブルファイナンス推進室長】  先ほどいただいたスコープの点ですが、7ページの冒頭の上の箱のところに記載させていただいていますとおり、基本的には分科会では、ESG評価・データ提供機関に期待される行動規範というものを検討するとともに、それに併せて、投資家の方にどういうことが期待できるのか、また企業の方にどういうことが期待できるのかということも、今日も意見多数いただきましたけれども、評価機関の行動規範を中心にしつつ、企業の方にも投資家の方にも市場全体をより良くしていくためどういうことが考えられるかということを検討していくということで考えています。その意味で、すみません、矢印の下のところの「企業、」という文字は重複になりまして、大変失礼いたしましたけれども、行動規範については評価機関について考えていくけれども、それは単独でなく、企業と投資家との相互関係全体を見据えた中で議論していくということを事務局としてはベースでまず考えたいと思っております。ただもちろん、いずれにしても、専門分科会での議論次第かなと思っています。

【水口座長】  ありがとうございました。まだまだ御議論があろうかと思いますが、ここは結論を出す場ではなくて、このような御議論を踏まえて、この後、専門分科会のほうで御議論いただき、また中間段階で御報告もいただけると考えておりますので、専門分科会の議論の進捗に合わせて、また皆様から御意見をいただくという機会があろうかと思います。また、それとは別に、高村先生からいただきましたが、このサステナブルファイナンス周辺の様々な動きをきちんと把握して、全体として何がどこまで進捗しているのか、そして何が足りないのか、こういうことを検討する場を一度持たなければとも考えた次第であります。

 ということで、そろそろ終了の時間が近づいてまいりました。もし最後に何かこれを言っておきたいという方があれば伺いたいと思いますが。では、高田さん、お願いします。

【高田総合政策課長】  本日も大変活発な御議論をありがとうございました。私どもとして、参考にさせていただいて、専門分科会、またこの有識者会議もさらに進めていきたいと考えております。本日、多くの方々から、やはりグローバルなスタンダードを意識していく必要があるという御意見をいただきまして、全くそのとおりだと思っております。また、大変進展が速い分野であり、行動規範をせっかくつくっても、つくったときにはもうアウト・オブ・デートなものになっていたというのでは困るわけですので、ぜひ委員の皆様方からも世界の動きについて随時インプットいただきまして、世界の動きを先回りできるような議論を我々としてもしていけたらと考えておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

【水口座長】  ありがとうございました。

 それでは、今のお言葉をまとめの言葉といたしまして、本日の有識者会議はここまでにしたいと思いますが、最後に事務局にマイクをお戻ししたほうがいいですよね。

【西田サステナブルファイナンス推進室長】  次回の有識者会議が決まりましたら日程等々について御連絡させていただきますので、引き続きよろしくお願いいたします。

【水口座長】  それでは、本日も大変活発に御議論いただきまして、ありがとうございました。本日の有識者会議はここまでにさせていただきたいと思います。大変お疲れさまでした。ありがとうございました。

 
―― 了 ――

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

総合政策局総合政策課

(内線3515、2770、2893、5404)

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