「サステナブルファイナンス有識者会議」(第11回)議事録

1.日時:

令和4年4月25日(月曜日)16時00分~18時00分

【水口座長】  皆さん、こんにちは。サステナブルファイナンス有識者会議(第11回)を開催したいと思います。本日もお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 この間、ロシアの問題などがあり、エネルギー安全保障、そして、食料の安全保障、さらには人権の問題など、非常に多くの問題が次々に出てきました。いずれもESGに関わる議論だと思いますので、これからますますESGやサステナビリティということに対する市場の対応が問われることになるのかなと思っております。ぜひ今後とも引き続きこの議論を注視して、皆さんと一緒に考えていければと思います。

 本日はその話をいきなりするわけではなくて、予定された内容で進めていきたいと思います。毎回同様の注意ですけれども、発言されない間はミュートにしていただきまして、発言する際にミュートを解除していただき、再びミュートに戻していただければと思います。

 今日は予定しているものが非常に多いのですけれども、大きくは3つのパートに分けて議論したいと思います。まず、金融庁からの御報告ということで、有識者会議におけるサステナブルファイナンスの議論の全体像、それから、
ESG投資信託に関するモニタリング、金融機関向けのガイダンスというテーマで最初にお時間をいただきます。その次に、3メガバンクの皆さんにお越しいただきまして、ネットゼロに向けた取組について御報告をいただき、そこで一旦少し議論しまして、最後に、PRIの木村理事にお越しいただいておりますので、アセットオーナーにおけるサステナビリティの取組ということで議論をしていきたいと思います。全体に非常にテーマが多く、議論する時間が限られてしまいますけれども、てきぱきと進めていければと思います。

 それでは、まず最初のパートといたしまして、サステナブルファイナンスの取組の全体像と、それから、金融庁の取組の進捗につきまして議論をしたいと思います。では、事務局から御説明をお願いいたします。

【西田サステナブルファイナンス推進室長】  事務局を務めております、金融庁の総合政策課の西田でございます。本日は事務局のほうから3点、全体像についてということと、それから、投資信託のモニタリングについて、それから、ガイダンスについてということで3点申し述べます。私から、全体像についてということで簡単に御説明させていただきます。

 資料の1番目でありますけれども、「サステナブルファイナンスの取組みの全体像」という絵の資料が載っておりますので、画面共有もさせていただきますけれども、御覧いただければと存じます。画面がもうすぐ出ると思いますけれども、昨年の6月にこの有識者会議で御議論をいただきまして、報告書を取りまとめていただいたという、一昨年以来御議論いただきまして、報告書を昨年6月に取りまとめていただいたところです。

 その報告書の中におかれましては、大きく個別の施策として、企業開示の充実、それから、市場の機能発揮、そして、金融機関の機能発揮ということで大きく3点ございました。また、横断的課題ということで、トランジション、それから、インパクトというようなことも掲げられていたところです。そのそれぞれにつきまして、進んだ施策もあると思いますし、まだまだこれからというのも様々かと思いますけれども、現在の進捗状況と、また今後のある程度一定の見通しを2枚にまとめさせていただきました。

 まず、企業開示の充実、緑の右上のところですけれども、こちらはこの1年でISSBが設立されたとか、また、SSBJということで日本における議論の場も出来た。また、金融庁においてもディスクロージャーワーキングということで制度上の手当ての検討もしておりますので、こちらについては、また6月にこの有識者会議を開かせていただくということで今調整させていただいていますけれども、その場でも事務局から御報告させていただきたいと思いますけれども、進捗が進んでいるところです。

 また、市場機能の発揮というのが青に対応しているところでございます。一番上のところを見ていただきますと、JPXさんの情報プラットフォーム、これに向けて本年の1月までJPXさんの検討会議で議論されて22年1月に中間取りまとめをまとめていただけたわけですけれども、今年の年央をめどにこのプラットフォームを実際に立ち上げるということで今、実務的に準備をしておるというような状況でございます。

 また、プラットフォームの中で議論をする際に、吹き出しで書かせていただいていますけれども、多くの委員の方から、取引先に係る排出量など気候変動に関するデータというものが今後開示も充実されてくるけれども、データの集約が重要になってくるのではないかと、こんなような御意見もございましたので特記しております。

 また、その下、ソーシャルボンドについてですけれども、ソーシャルボンドの社会的インパクトを測定する指標案ということについて関係省庁で準備をしておりまして、こちらについても本会議に6月に御報告できるかと思っておりますけれども、一定の進捗があるところです。

 左下、評価機関・投資信託ということがありますけれども、投資信託については後ほど述べさせていただきますし、評価機関につきましても、行動規範を策定できないかということで、別途、専門分科会を立ち上げて、現在のところ5回開催させていただいて議論を進めているところでございます。

 また、左上にアセットオーナーの取組強化とあります。こちらについては有識者会議の報告書でも記載があったわけですけれども、問題提起を受けて、より具体的に何をし得るかということについてはさらに議論の余地があるかということで、今回は吹き出しで記載させていただいております。また、本日の最後にPRIの木村さんからアセットオーナーの取組についてお話しいただくことになっています。

 また、最後、3点目ですけれども、金融機関の機能発揮ということが柱としてございます。こちらについては、金融庁として金融機関に何を期待するかということでガイダンスをまとめるということに報告書でご提言いただいておりまして、本日金融庁としてガイダンスをパブリックメントに付させていただいておりますけれども、これを後ほど事務局より別途ご説明させていただきます。

 また、金融機関の方から、今回3メガの方にお話しいただきますけれども、右下のところですが、国際的にもネットゼロに向けた取組ということで議論が進んでいます。国際的なイニシアティブに参加する金融機関についてはネットゼロに向けた中間目標を掲げることとされており議論・準備が進んでいるものと承知しています。また、国内においても、次のところ、GXリーグということで脱炭素に挑戦する企業が協働する場として構想されており、3月末にまで賛同する企業を募集しておりましたけれども、400社超から賛同を頂いていると、そして、詳細は今後議論されるものではありますが、このリーグに参加する企業は脱炭素に関する目標、とりわけ2030年の中間目標を掲げながら、サプライチェーン等を含め議論を進めていくものとされています。こうした取組みが国の内外で進む中で、トランジションに向けた金融機関と産業の対話の重要性が高まっているというふうに考えてございます。

 その他、専門人材、インパクト、それから、テック企業の支援、そして、トランジションなど横断的課題も黄色で示させていただいております。

次のページを御覧いただきますと、全体像として、ディスクロージャー、それから、マーケットの機能発揮、そして、金融機関の機能発揮、また、これと重なるものとしまして、トランジションを含む横断的課題、他省庁に関わる事業も灰色で記載しながらまとめているところであります。例えばトランジションについてですと、分野別のロードマップということで策定が進んでいるところですが、今後さらに、例えば目標設定に活用し得るロードマップを定量化した計量モデルなどについて議論されているところです。

 こうした取組の全体像を改めて本日の場で御議論いただきまして、進捗した課題、さらに深掘りする課題、それから、新たな課題としてよりこういうものに取り組んでいくべきだというようなこと、気づく範囲で事務局において記載させていただきましたけれども、落ちているものがあるかを含め幅広く御意見をいただければというふうに存じます。

 では、すみません、早口になって恐縮ですけれども、次に、事務局からの報告の2つ目ということで、桑田からご説明します。

【桑田資産運用高度化室長】  資産運用高度化室長の桑田でございます。お手元の資料2に沿って御説明いたします。

 環境配慮をうたいながら実態を伴っていないESG関連投資信託、いわゆるグリーンウォッシュの問題について、金融庁は資産運用会社に対するモニタリングを進めることが適当であるとの御提言を昨年6月に本有識者会議におきまして頂戴いたしました。

 表紙めくって、右下1ページ目を御覧ください。その提言を受けまして、金融庁において37社・225本のESG関連投資信託を調査いたしました。左側の図表1にありますとおり、2021年の実績を見ますと、新たなESG投信が大幅に増加しております。また、1点興味深いのは、右側の図表4でございます。こちらは各投信の償還期限を示したものですが、中長期的な視点が必要となるESG投信であるにもかかわらず、5年以下のものが全体の10%、10年以下のものを合わせると約4割が償還期限の短いものとなっております。資産運用会社としては償還期限の到来とともに延長するということも視野に入れていることが想定されますが、顧客に対しては、なぜ短い償還期限を設定しているのかを合理的に説明することが必要であると考えております。

 2ページ目を御覧ください。ここから、各資産運用会社の取組状況について御紹介いたします。まず総論としてですが、多くの資産運用会社が、ESGの考慮はこれまで評価してこなかった事業機会やリスクを評価するものであり、長期的には有意なパフォーマンスにつながり得るものだとして積極的に取り組んでおります。そうであるならば、ESG投資に関する運用プロセスの継続的な評価、また、顧客に対して運用実態に沿って一貫性のある形での説明や開示を進めていくことが、いわゆるグリーンウォッシュへの対応において必要となってまいります。

 左下の組織体制ですが、各社ともESG投資に必要な体制の整備に努めているわけですけれども、ESG専門家が不在または僅かであるなど、改善・向上の余地が見てとれます。

 右下の3ポツはESGインテグレーションについてです。これは投資銘柄の選定においてESG要素を統合する、ないしは考慮するという意味でありますが、各社のファンドの目的はあくまで信託財産の成長であり、企業価値の向上としております。したがって、ESG投資の入り口として投資先企業の潜在的な事業機会やリスクにつながるESG要素を分析・把握する必要があるわけですけれども、個別のファンドマネジャーの判断のみに委ねるのではなく、組織としての体系的な評価枠組みの構築などによりインテグレーションの質の向上を図っていくべきだと考えております。

 3ページ目を御覧ください。左側の4ポツがESG評価・データ提供機関についてです。当庁の専門分科会でも御議論いただいているところですが、こうしたESG評価については、評価手法等の違いから評価結果の相関が低い、あるいはばらつきがあるとの指摘もございます。ばらつきがあること自体を問題視しているわけではございませんが、資産運用会社としては、これらの評価をうのみにするのではなく、自社としてESG評価機関の評価に関して質問したり、他の評価機関と比較したりするなど検証することが重要です。さらに、自社のエンゲージメントにおいて把握した投資先企業の情報や評価もあるはずですから、それらを交えながら緻密な企業分析を行う必要があると考えています。

 右側の5ポツはスチュワードシップ活動についてです。投資先企業のESG要素に着目して、企業価値の向上を目指すのであれば、投資戦略にもよりますけれども、投資家としてエンゲージメントや議決権行使を行い、事業機会の向上やリスクの低減を図っていくことが重要となります。特に気候変動分野においては、脱炭素化に向けた移行、トランジションの重要性も広く指摘されておりますので、このスチュワードシップ活動を積極的に進めることが期待されます。

 4ページ目を御覧ください。左側の6ポツは開示になります。顧客が適切な投資判断を行えるよう、運用プロセスの実態に即して一貫性のある形で開示を進めていくことが重要であると考えております。具体的には、第1に、組織としてのレポートなどにおいて自社のESGポリシーや取組状況を開示すること。第2に、個別商品ごとの開示として、目論見書において運用プロセスにおけるESG要素の考慮方法を詳細に説明すること。また、第3に、投資後の運用報告書やマンスリーレポートにおいて、注目しているESG要素が投資先企業の価値向上にどのように影響し、現状どのように評価しているかなどについて開示することが期待されます。特に最後の運用状況の開示についてですが、現状は投資商品の組入れ上位10銘柄の名称やそのESG関連の取組を簡単に記載する程度にとどまっている状況にあり、我々が期待する水準の開示事例は皆無でした。

 最後に、右側は外部委託についてです。全体の約7割が全部または一部に外部委託を活用しています。この点、顧客の立場からは、自社運用か外部委託かは関係なく、受託者責任を果たす観点から、外部委託先の運用戦略や実績などについて適切に確認し把握すべきであると考えております。しかしながら、今回の我々の調査において、「外部委託先の運用実態については具体的に把握しておりません。」や「エンゲージメントは適宜実行されていると思われます」と回答した資産運用会社も一部に存在しており、外部委託先の状況を全く把握していない実態が浮き彫りになりました。

 最後の5ページ目は、以上の観点を「ESG投信を取り扱う資産運用会社への期待」として整理したものになります。本日頂戴する御意見や議論も踏まえ、当庁が期待する事項の詳細をブラッシュアップしてまいりたいと考えております。その上で、来月公表予定の資産運用業高度化プログレスレポートにおける柱の一つとして改めて公表し、今後の資産運用会社との対話やモニタリングに活用していきたいと考えております。

 私からは以上です。

【水口座長】  ありがとうございました。それでは、村木さん、お願いします。

【村木データ分析統括室長】  データ分析室長の村木でございます。私のほうからは、気候変動のガイダンスについて、「金融機関の気候変動への対応についての基本的考え方(案)のポイント」という1枚紙に沿って御説明させていただきたいと思います。

 昨年6月に本有識者会議の報告書におきまして、金融機関の気候変動に関するリスク管理と投融資先支援に関する金融機関向けガイダンスを策定すべきとの御提言を頂戴しました。これを受けまして、今回我々のほうで検討を進めまして、本日、金融機関の気候変動への対応についての金融庁の基本的な考え方をディスカッション・ペーパーとして整理しまして、本日4月25日よりパブリックコメントを開始いたしましたので、御報告させていただきます。

 本ガイダンスにつきましては、主として銀行及び保険会社を念頭に置きまして、顧客企業の気候変動の支援や気候関連リスクの管理に関する金融庁と金融機関との対話の着眼点や金融機関による顧客企業の気候変動対応の支援の進め方などを示しております。また、本ガイダンスは、各金融機関におけるよりよい実務の構築に向けた金融庁と金融機関の対応の材料でございまして、金融機関に対し一律の対応を義務づけるといった性質のものではございません。また、気候変動に関する手法や実務は発展途上にあり、また、国際的な議論も継続中でございますので、今後、気候変動対応に関する実務や手法が確立していくにつれて本ガイダンスも改定していく方針でございます。

 では、内容につきまして御説明をさせていただきたいと思います。左下の緑のボックスを御覧ください。まず本ガイダンスの基本的な考え方でございますけれども、これは気候変動に関する様々な環境変化に企業が直面していく中で、金融機関においては顧客企業の気候変動対応を支援することで、変化に強靱な事業基盤を構築し、自身の持続可能な経営につなげることが重要だという考え方でございます。

 つまり、下の図にもありますとおり、顧客企業の気候変動の対応の遅れは金融機関にとってもリスクでありますし、顧客企業が変化に対応できれば、金融機関にとっても収益機会の獲得につながります。したがいまして、金融機関としては、顧客企業支援を通じて、顧客企業の変化への対応を促すことで、金融機関自身にとっての機会の獲得やリスクの低減につながると、そういった考え方でございます。

 そして、本ガイダンスにおきましては、こうした取組を金融機関が進める上で必要な体制整備についても示してございます。ボックスの下段にありますけれども、例えば気候変動対応に係る戦略の策定やガバナンスの構築、それから、気候変動が顧客企業や自らの経営にもたらす機会及びリスクの認識や評価、トランジションを含む顧客企業の気候変動対応の支援、気候変動に関連するリスクへの対応、開示等を通じたステークホルダーへの情報の提供といったような体制整備が期待されるところでございます。

 こうした考え方や着眼点につきましては、昨年11月に公表されましたバーゼル銀行監督委員会の「気候関連金融リスク管理の実効的な管理と監督のための諸原則」と題する市中協議文書とも整合的なものとなっておりますけれども、より顧客企業の支援というところに焦点を当てたものとなっている点で特色があると考えてございます。

 では、右のボックスを御覧ください。金融機関による顧客企業の支援の進め方については、一義的には顧客のニーズとか金融機関の経営判断によるものではございますけれども、本ガイダンスにおいては、金融機関がこうした顧客企業支援の取組を進める上で参考となるような具体的な事例についても盛り込んでございます。例えば顧客支援の具体的な例としまして、ここに書かせていただいているとおり、温室効果ガス排出量の「見える化」や顧客間のマッチングといったコンサルテーションやソリューションの提供、トランジション・ローンやグリーン・ローン、ファンドを通じた成長資金の提供、気候変動については、地域やサプライチェーン全体としての支援が重要になりますので、面的支援や関係者間の連携強化の取組といったものについて記載させていただいているところでございます。

 今後の対応でございますけれども、パブリックコメントは5月26日までを予定しておりまして、それを踏まえ、金融庁としては、本ディスカッション・ペーパーを6月末をめどに最終化してまいりたいと考えております。また、その後、本ガイダンスを活用した対話を通じて、金融機関による顧客企業の気候変動対応の支援を促してまいりたいと考えてございます。

 私のほうからは以上でございます。

【水口座長】  ありがとうございました。それでは、ここから皆様の御意見をいただきたいと思いますが、最初に、本日御欠席の鳥海様からコメントをいただいておりますので、事務局から簡単に御紹介いただければと思います。

【西田サステナブルファイナンス推進室長】 いただいた御意見につきましては、文書でも配付させていただいていますので、ごく簡単にご紹介いたします。大きく3点頂戴しております。

 日本証券業協会、証券界として、全体像①の資料にもありますように様々な関わりがありますので、ぜひ積極的に貢献していきたいということでございます。具体的には、1点目として、トランジション・ファイナンスについて、関係省庁や事業者の方から直接取組について御説明いただく場として、日本証券業協会さんでアレンジをされて、ロードマップに関する勉強会を開催されておられるということの御紹介。

 それから、2点目、ソーシャルボンドガイドラインにつきまして、今後策定される指標集について、改善効果の指標設定に係る十分な共有がない中で、今後これが具体化されていくということは市場関係者にとっても有益ではないかという点。

 それから、3点目としまして、ISSB、それから、TNFD、自然関連財務情報開示タスクフォースについて注視しているということ、特にTNFDにつきましては、来年9月に開示の枠組みが固まる予定となっているということですけれども、証券界としてどのように顧客支援や自らの対応を行うかというところについてはいまだ悩ましい課題だと考えているということ。こうした御意見を鳥海さんから頂戴いたしました。

 以上でございます。

【水口座長】  ありがとうございました。それでは、皆様から御意見をいただく時間としたいと思います。今、サステナブルファイナンスの全体像、公募ESG投信を巡る状況、そして、金融機関向けのディスカッション・ペーパーと、3つのお話をいただきました。これから、大変恐縮ですが、15分だけ時間を取りたいと思います。15分しかありませんので、お一人1分以内で、マテリアリティーを考えて一番大事なことから話していただければと思います。いつものとおり、声を上げていただければと思いますが、今お手が挙がったのは小野塚さんですね。お願いします。

【小野塚メンバー】  よろしくお願いいたします。プレゼンありがとうございました。私が現在参加させていただいていますジャパン・スチュワードシップ・イニシアティブというスチュワードシップ活動に関する団体に関することもありますので、全体像のところと、それから、投資信託のESGに関して御意見申し上げます。

 まず、全体像のところでアセットオーナーのさらなる巻き込みという点については大変同意いたします。こちらはやはりこの後さらにESG、それから、サステナブル投資を進めていく上で、アセットオーナーのさらなる御理解とかコミットメント、そして、サポートというのは大変重要です。

 また、こちら、投信のほうにつながるところでもありますけれども、先ほどお話のあった、最終顧客が理解できる開示、こういうところを通じて、最終受益者がやはりESGとかサステナブルファイナンスに対して声を上げていける、そういった情報開示と、それから、啓発をしていくべきだと思いましたので、以上2点を申し上げました。ありがとうございます。

【水口座長】  ありがとうございました。次々にお手が挙がっていますので、順番に、渋澤さん、井口さん、岸上さんの順番で行きたいと思います。渋澤さん、お願いします。

【渋澤メンバー】  ありがとうございます。御説明感謝いたします。

 先ほど金融機関のディスカッション・ペーパー、気候変動ですが、これがISSBの3月末に気候変動及び一般報告の案が出たと思うんですけれども、そことどう接続しているかというところをもうちょっと明確に道筋を見せていただけると助かるなと思ったんです。

 あと、そこで、ISSBのは7月末までパブリックコメントを求めておりまして、当有識者会議からそれに対して何か出すことはお考えでしょうか。私としては、やはりこれ、日本がグローバルのルールメークに声を上げることが大切だと思っていまして、そこで、少なくともこういう有識者会議が日本にあるよということを先方に示すことが大事なんじゃないかなと思いますので、もしお考えがあれば教えてください。

 ありがとうございます。

【水口座長】  ありがとうございました。では、後でまとめてお答えいただくことにして、次に井口さん、お願いします。

【井口メンバー】  ありがとうございます。簡潔にコメントと意見させていただきます。

 まず、これまでの報告書を具現化させた取組、ありがとうございます。最初は、全体像の西田室長に御説明いただいたところですが、図の左の上の方の企業の炭素排出量のデータベース化というのは非常に大事だと思っています。投資家がポートフォリオの炭素排出量を計測するときには欠かせませんので、この取組を進めていただければと思っています。

 2つ目は、桑田室長に御説明いただいたESG関連公募投信のところです。こちらも報告書を具現化していただき、ありがとうございます。2ページ目の項目3のESGインテグレーションのところですが、組織的な取組を行うというところは非常に重要と思っています。一方、その左にあります、組織体制のところ、ここも重要とは思っているのですが、ここで挙げられている運用会社は40社近くと多くて、かなり小さな運用会社まで入ってくると思っております。例えば、優秀で、ESGの素養もある運用者が、大手機関投資家をスピンオフして、ブティック型の運用を始めたとすると、しっかりしたESG運用を行う蓋然性が高いと思っております。あくまで、総合的に判断され、これは一つの材料とは思いますが、指針を出されるときは、総合的に判断している中のひとつの重要な要素などのご説明を説明付加していただけければと思っております。

 その次の項目4のESG評価機関の活用のところですが、ここも、そういうふうに御説明されたとは理解しているのですが、ESG評価がエンゲージメントや投資プロセスに組み込まれている場合は、受益者の利益に影響する可能性があるので、運用者もESG評価機関を評価する必要があるとは思うんですが、例えば、全然使ってないとか、プロセスに関係ないということでしたら、評価する必要はないのではないかと思っております。この辺、私の理解が違っていましたら、後でコメントをいただければと思っております。

 最後になりますが、5月中に指針が出されるということなのですが、委員会の報告書ではESG関連公募投資信託の対象となります、ESG等の名称をつけたファンド、あるいは今後増えるであろうインパクト投資に対する期待とかも記載されておりますので、そういったことも記載していただくのもよいのではないかと思っております。

 以上でございます。ありがとうございました。

【水口座長】  ありがとうございます。では、私が見た範囲で手の挙がった順番ということで、岸上さん、足達さん、長谷川さん、藤井さん、吉高さん、林さんという順番かなと思っていますが、岸上さん、お願いします。

【岸上メンバー】  ありがとうございます。本日も皆様どうぞよろしくお願いいたします。

 私から3点です。1点目は資料1に関してですが、まずは全体像をまとめていただきありがとうございます。その中でスタートアップ支援のところですけれども、この分野においてはプライベートエクイティの存在が大きいかと思いますが、現状ですと、なかなか日本初のGPでESGを検討している、また、理解しているところも少ないかと思いますので、そういったところでの包括的なエグジットに向かうような研修や啓蒙活動も検討できるのではないかと思いました。

 2点目は、資料3-1のところで、金融機関によるコンサルティング業に関してです。気候変動の視点では排出量の測定にも関係してくると思いますが、ほかのESG課題においても非常に重要となる、具体的なサプライチェーンの判明は、現場で皆さま苦労されている非常に難しい課題だと思います。そうしたサプライチェーン判明での技術的な支援、資金的な支援も考えられるのではないかと思いました。

 3点目ですが、資料3-2のところで、24ページ目に機会とリスクをまとめていただいているかと思います。気候変動によって地政学的な影響も出てくるかと思いますので、そういった視点での変化やリスクも考慮していくという点も盛り込んでもよいのではないかと感じました。

 以上です。

【水口座長】  ありがとうございます。では、足達さん、長谷川さん、藤井さんと行きたいと思います。足達さん、お願いします。

【足達メンバー】  ありがとうございます。私はディスカッション・ペーパーに限って3点申し上げます。

 まず1点は、これは非常に緩いニュアンスのディスカッション・ペーパーになっているとの印象を受けました。ユーザーは金融機関だと想定しますが、リスクに言及する部分のウエートが非常に小さいのではないかという意見を申し上げたいと思います。先ほどの御紹介で、投融資先の企業がリスクを回避して、そして、うまくいけば金融機関も機会に通じるという表現がありましたが、こうした金融機関と顧客企業との関係性以外に、気候変動の問題を中心に経済全体の負の外部性、例えば経済全体の生産性が低くなるとか、そういう大事な視点が抜けているように思います。ユニバーサルオーナー的な表現を採用いただくかどうかは別にして、そうした大きなリスクの観点をもう少し強調して書いていただきたいと思います。

 そして、第2点は、今のこととも関連しますが、「機会とリスク」という言葉が各所に出てきます。これは「リスクと機会」と置き換えていただきたいところがたくさんあります。昨年の有識者会議報告書でも「リスクと機会」と書いたところのほうが登場箇所としては多いはずです。サステナブルファイナンスの基本は、リスクをどう管理するか、システミックリスクを回避するかということですから、そこは誤解のないようにしなければいけないと思います。

 最後3番目は、細かな点ですが、このディスカッション・ペーパー案11ページに、「こうした「グリーン」か否かという二元論ではなく」という言葉がまた出てきますが、ここは「二元論だけではなく」というふうに書いていただきたいというのが私からのお願いです。

 以上です。ありがとうございました。
 
【水口座長】  ありがとうございます。では、長谷川様、お願いします。

【長谷川メンバー】  ありがとうございます。まず、資料第2のESG関連投信に関する資料について、企業側からESG投資に関してよく聞かれる不満というのが、前も申し上げましたが、ESG評価機関による評価の理由、また、投資家がどのようにESG評価を企業価値の評価に使っているのかが分からないということでございます。こうしたことから、ESG投信を扱う資産運用会社においても、この提言にまとめていただきましたように、ESG評価・データ提供機関の取組について、IOSCOの提言の7にも含まれているとおり、データの透明性や適切さについての適切な検証や、専門人材の育成や確保も行っていただくことを期待しております。

 それから、資料第3の金融機関向けの気候変動のガイダンスについて、気候変動の対応には、リスク管理と収益機会の拡大の両方の組合せが重要だと考えております。特に収益機会の拡大は、事業会社と、投融資を行う金融機関がしっかりとエンゲージメントを行っていくということが必要でございます。この点、今回まとめていただきました基本的考え方では、気候変動対応について、金融機関のリスク管理の側面と、顧客企業の脱炭素化を支援するという側面の両方をバランスよく書いていただいていると評価しております。特に事業会社へのファイナンスの事例がたくさん掲載されていることは、投融資を受ける事業会社にとっても非常に参考になるものだと思います。地方銀行や事業会社も含めて、このガイダンスを幅広く展開していただくことを期待しています。

 以上です。

【水口座長】  藤井さん、吉高さん、林さん、手塚さんという順番で行きたいと思います。藤井さん、お願いします。

【藤井メンバー】  ありがとうございます。ガイダンスの作成、お疲れさまでした。また、その間に出てきた意見を非常に幅広く取り入れていただき、こちらのほうもありがとうございます。

 お聞きしていて足達様の御意見と長谷川様の御意見というのは対照しているような部分が若干ありますけれども、その辺も含めてコメントさせていただきたいと思います。村木様の御説明にもありましたように、通常のいわゆる監督ガイダンスとか、あるいは海外の当局や国際機関のガイダンスにおきましては、リスク管理とかガバナンスといった管理・監督に関わるところが中心となっております。その点で本ガイダンスは、取引先の支援というところに力点を置いている点がユニークであると思いますし、これはサステナブルファイナンスを推進するという本会議で強調してきた点とも符合しているということで私は評価したいと思います。

 一方で、その辺の記載のバランスにつきましては、事務局も相当に御苦労といいますか、工夫をされたところでございますので、このバランス感をどのように伝えていくかが重要になると思います。すなわち、通常の管理に重点を置いたようなガイダンスと異なるものであるということを、このガイダンスを利用する財務局も含めた金融庁の御担当、あるいは読み手になります地域金融機関を含めた金融機関によく理解していただくということで、全体のリスクと機会をバランスが取れた形で前に進める、早くしていくということが大切だと思いますので、その辺りの深耕、深く進めていくこと、あるいは情宣や布教活動のようなことが必要だと思います。

 先ほどの鳥海様のレターの中で、日証協さんが主催され、経産省さんや国交省さんがご説明に当たられたロードマップの説明会というのがありまして、私も先日の第1回に出席、参加させていただきました。先ほど申し上げた布教活動、情宣活動という意味で、非常に参加者にとって有益だったと思います。そういった活動も含めまして、本ガイダンスをしっかりと読み手、使い手に使っていただくということを期待したいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 以上です。

【水口座長】  ありがとうございます。それでは、吉高さん、林さん、手塚さんのところで一旦終わりにしたいと思いますが、吉高さん、お願いします。

【吉高メンバー】  ありがとうございます。まとめていただきまして、ありがとうございます。

 手短に、まず、最初の概要の資料ですが、1枚目の右下の金融機関のエンゲージメントのところの記載がメガや大金融会社、GXリーグ企業が強調して見えていて、2枚目に地域金融が入ってきていますが、1枚目を見たときにも、日本は99%が中小企業と言われ地域金融の役割が重要であることの見え方があってもいいのではとは思っております。

 それに関連して、ペーパーガイダンスのほうですが、はじめの、金融機関の顧客に関する記載には、投融資先などの仲介機能、保険会社にあっては保障・補償機能とありますが、例えば損保会社は地域の中小の企業様にコンサルティングをするようなこともありましょうし、先ほど藤井様がおっしゃったように、読み手が自分事として読めるような形で今後ブラッシュアップをしていく必要があるのではないかとは思っています。今回誰が読んでも分かるようにしている点で少し分かりにくくなっているのではないかと思っておりまして、そこはぜひ今後御検討いただければ思います。ありがとうございます。

【水口座長】  ありがとうございます。では、林さん、お願いします。

【林メンバー】  ありがとうございました。すごく簡潔にまとめていただいてありがたく思います。

 それで、資料1-1のところで、これも時系列も含めてとてもよくまとまっていていいと思うんですけれども、これからということでの御説明があったと思うんですが、いろいろな会議に出ていて、必ず専門人材の枯渇ということがいろいろなところでネックになっていて、事業会社もそうですし、金融機関もそうですし、それから、投資する側もそうだという中で、専門人材の育成というのは金融庁さんだけの仕事でもなく、本当に横断的な、日本にとっての大きなテーマだというふうに思っていますけれども、ぜひここをどうやって具体的に進めていくのかということについてもさらに議論が進められればと思っております。

 同じく、時系列がまだ書けない段階にあってこれからの議論ということで、後ほどアセットオーナーさんのお話もあるんでしょうし、あとはテックとか新しいベンチャー的なところをどうやって進めていくのかというのは他省庁も含めての議論になると思いますけれども、ぜひこの具体化を進めていくようなことをお願いしたいし、一緒に考えていければと思っております。

 以上です。

【水口座長】  ありがとうございます。では、手塚さん、お願いします。

【手塚メンバー】  どうも御説明ありがとうございました。2点だけ簡潔にコメントさせてください。

 3番の資料に金融機関の役割とありました。先日ちょっと縁があって、埼玉県庁に頼まれて埼玉県の中小企業の方々の前で鉄鋼業のカーボンニュートラルについての取組の講演をしたんですけれども、終わってから中小企業の方々から、「東京の大企業の方はこんな立派な計画を立てて進められているんだけれども、自分たちは正直言ってどこから手つけていいか分からないんですよね」というようなお話がありました。

 先ほど吉高さんからもそういうコメントがありましたけれども、確かに実際にこういう中小企業の中にはエネルギー管理の専門家が必ずしもいるわけでもないですし、電力あるいは化石燃料等を使ってエネルギーをいろいろ使っているという中でも、どういう取組をするとどれぐらいの費用対効果があるのかとか、あるいは政府がどういう支援策を用意してくれているのか、プログラムがあるのかということも含めてあまり情報がないということなんですね。そうしますとやはり、特に地域の間接金融に根づいている金融機関さんと、場合によっては地域の商工会あるいは県庁なんかも含めて協力いただき、さらに最近は環境省さんもいろいろ補助金を出されていると聞いていますので、何かパッケージで中小企業を支援するようなプログラムをやっていくということが底上げという意味でも非常に重要なんじゃないかと思います。

 2点目は、資料2にありましたESGの評価に関するところです。人材がいないというお話に関しては先ほどから何人かの先生方もコメントされていますけれども、実際にこの話はやっぱり発展途上にあるわけで、内容的にも非常に多岐にわたっていると同時に、実は技術の評価というのが一番難しいんです。我々のように実際に技術開発に取り組んでいる立場から見ても、やればやるほど様々な技術的な障害というのは出てまいります。そういう意味で、表面的に見ると、やれEVだとか、やれ再エネだとかでこうやればできるみたいな話はいっぱいあるんですけれども、実際には様々な障害があって、それをみんなどうやって乗り越える工夫をするかということで取組をしているわけです。そういう意味では、評価をする側も、技術の難しさの実態というのはちゃんと分かった上で様々な問題を判断していただかないと評価が難しいだろうと思います。そういう意味で、できるだけ現場の実態を知り、それに携わっている人たちとの直接対話みたいなことも含めた上での評価者のキャパシティービルディングみたいなことが必要になるだろうなと思います。

 加えて、冒頭に水口先生がおっしゃいましたウクライナ情勢なんかも含めた非常に大きな情勢変化が世界で起きている中で、サステナビリティの定義みたいなものもやっぱりムービングターゲットでいろいろ変わってきているだろうと思います。我々の目から見ると、やはりエネルギーコストが物すごく上がってきているわけですし、あるいは様々な資源の安定供給にいろいろな支障をきたしている中で、果たして気候変動対策の進捗とサステナビリティの間のトレードオフみたいなものをどういうふうに評価していくのかということが実はサステナブルファイナンスの基準に大きく影響してくると思います。そういう意味で、状況変化にいかに対応して新たな視点を加えていくかという意味でのキャパシティービルディングも非常に必要だと思いますので、ぜひそういった体制も考慮していただければと思います。

 私からは以上です。

【水口座長】  ありがとうございました。本当はこの議論だけで1時間でも2時間でも議論したいところですが、今日はたっぷりいろいろテーマがあって、これ以上時間を取ることができません。もし村木さん、何かコメントがあれば簡単にお願いします。全部答えなくていいです。重要なところだけコメントいただければと思います。

【村木データ分析統括室長】 御意見頂戴しましてありがとうございました。頂いたご意見につきましては検討させていただきたいと思います。

 2点だけ、簡単にコメントをさせていただきます。最初の渋澤様からいただいたISSBとの関係でございますけれども、このガイダンスにおいては、「国内外の開示の枠組みを参照しながら、有益かつ正確な情報を提供していくのが重要である」という一般的な開示を推奨する文言が記述されているだけで、そういう意味ではガイダンスはあくまでベースとなる考え方を示したものであり、これからTCFDの後継となるISSBで開示のあり方が決まってくれば、金融機関それぞれが、それを参照としながら具体的な開示について検討を進めていただくことになろうかと思います。

 2点目、リスクと機会の関係について御指摘いただきました。ここは金融庁のそもそもの監督・検査の基本的な考え方としまして、金融機関のリスク管理の側面だけに着目するのではなく、持続的な収益性を確保することが持続的可能なビジネスモデルを構築する上で重要だというような考え方がございます。これは気候変動に限ったものではございませんが、今回の気候変動のガイダンスについても、こうした考え方にのっとってリスクへの対応のみならず収益機会の獲得が重要である点を書かせていただいています。気候変動への対応において、この機会とリスクのバランスというのは考えていく必要があると思いますし、これから金融機関とコミュニケーションを取っていくときには、丁寧にリスクの部分も機会の部分も説明していくことが重要だと思いますが、いずれにせよ、本ガイダンスは、そうした金融庁の基本的な検査・監督の考え方に沿って書かれているということを御理解いただければありがたいと思っています。

 すみません、私からは簡単ですが、以上でございます。

【水口座長】  (このお答に対しても)きっと議論もあると思いますけれども、なかなか議論の時間が取れなくて申し訳ないんですが、桑田さん、もし何かコメントがあれば、簡単にお願いします。

【桑田資産運用高度化室長】  では、簡単に。井口さんの御質問に対するコメントです。組織体制が小さいところもあることを考慮すべきではないかという点については、おっしゃるとおり、各組織で事情は異なると思いますが、いずれにしても受託者責任を果たすという観点から、やはりESG投資を進めるうえで必要な体制整備とは何かということを、自社として説明していく必要があり、整備する必要もあると思っています。

 ESG評価機関の検証について、受益者に影響がある場合だけでしょうかという御質問がありましたけれども、そのときはもとよりなのですが、先ほど手塚さんがキャパシティービルディングに触れておられていましたけれども、やはりESG評価機関との双方向の対話などを検証プロセスで行うことによって、資産運用会社としての緻密な企業分析や知見の高まりも期待されますので、ベタープラクティス、あるいはベストプラクティスを追求するうえで、この検証が必要であると考えていただいたほうが良いのではないかと思います。

 以上です。

【水口座長】  ありがとうございます。では、西田さん、少しお願いします。

【西田サステナブルファイナンス推進室長】  地域金融機関や地域企業への支援ということについて、せんだって国による補助事業について、地域金融機関の皆様に経産省・環境省等の関係省庁から直接お話して浸透を図るという趣旨の機会を設け様々にご質問・ご議論頂きました。また、中小企業の方は取組に困っておられるところがあるというご指摘もおっしゃるとおりだと思いますので、様々な情報提供等の工夫は重ねていきたいと思いますし、吉高さんのお話にもありましたように、資料の点でも工夫させていただきたいと思います。

 また、ISSBにコメントという話もございました。6月の本会合でも、こうした点については時間を設けて議論させていただく予定としておりますので、また、7月までISSBの意見期間もございますので、次回のこうした点の説明・議論も踏まえてぜひ御議論いただければなと思ってございます。

 その他いろいろコメントを頂戴しましたけれども、全体として進捗していること、さらに取り組んでいくことについて今日お話もいただきましたので、ぜひ次回の6月のときに、より具体的に取りまとめをさせていただいて、何らかの形で御議論いただけるように検討したいというふうに考えておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

【水口座長】  ありがとうございました。早速ちょっと時間が押しておりますが、それでは、大変申し訳ありませんが、ここで次のパートに移りまして、金融機関に要請されるネットゼロに向けた国際情勢、具体的な取組についてということでお話を進めていきたいと思います。

 まず、事務局の金融庁から簡単に1分ほどお話しいただいた上で、三井住友フィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャルグループ、そして、みずほフィナンシャルグループという順番でお話をいただければと思います。では、西田さん、お願いします。

【西田サステナブルファイナンス推進室長】  ごく手短に、資料4ですけれども、今日3メガさんからお話いただくに当たりまして、3メガバンクの皆様、それから、日本の他の主要な金融機関の方も含めまして、国際的なネットゼロのアライアンスに御参加される動きが見られていますので、ご参考に資料としてまとめております。

 資料、上にありますとおり、ネットゼロのアライアンスとしてNZBA、それから、インシュランスのアライアンス、それから、アセットオーナーのアライアンス、それから、アセットマネジャーのアライアンスということで業態別にあるわけなんですけれども、GFANZということで、Glasgow Finance Alliance for Net Zeroというものが立ち上がっているということでございます。いずれのアライアンスも、加入してから18か月以内に自らのいわゆるファイナンスド・エミッション、金融機関として保有するポートフォリオ、投融資先の排出量についての削減の目標を出していくということが、加入に当たっての要件となっておりまして、参加を表明された日本の金融機関におかれてもそれぞれに具体的な御検討が進められているものというふうに承知してございます。

 こうしたものも念頭に置きながらお話を聞いていただければ幸いです。

【水口座長】  ありがとうございました。3メガバンクの皆様には、今回御参加いただきましてありがとうございます。それでは早速、三井住友フィナンシャルグループ様からお願いいたします。

【伊藤様】  三井住友フィナンシャルグループの伊藤です。本日は全銀協ではなく、個社の立場で私どもの取組を御説明させていただきます。

 1ページでございますが、私ども金融機関は、今、話がございましたとおり、お客さまとのエンゲージメントを通じまして、右下のとおり、まずはしっかりと信用リスクを適切にモニタリングしながら潜在的なリスクの増加を抑制しつつ、右上にございますように、お客様のトランジションを促してビジネス機会を創出し、結果として、社会全体の資金フローが脱炭素化へ向かう流れをつくるということが私どもの使命だと考えております。

 これを踏まえまして、2ページでは、私どもSMBCグループは昨年5月に策定した2050年までの気候変動対策ロードマップをお示ししております。先ほど話がございましたとおり、2050年には、Scope3、すなわち、お客さまの投融資ポートフォリオ全体も含めましてネットゼロをコミットいたしまして、GFANZやNZBAの議論にも参画しているところでございます。また、2030年には、私ども自身のScope1、2のネットゼロを、2040年には石炭火力の残高ゼロをコミットしており、段階的にネットゼロに向けて進めているところでございます。

 こうした考え方の下、3ページでございますが、SMBCグループでは、まずもってこういった気候変動も含むESGの対応につきまして、しっかりとしたガバナンス、経営管理体制を構築することが重要だと思っています。「21年4月新設」と書いておりますが、執行サイドのいわゆるCxOの一つとして、グループ・チーフ・サステナビリティ・オフィサー、CSuOを設置しまして、私が一元的にSMBCグループのESG対応のアカウンタビリティーの責任を負っているという形になっております。

 一方で監督サイド、取締役会サイドでは、左上のとおり、取締役会の内部委員会としてサステナビリティ委員会を新たに設置しまして、様々な有識者や社外取締役を交えながら議論いただき、執行サイドの監督をいただいているということでございます。

 今年の4月からは、左下のとおり、新たにサステナビリティ本部を執行サイドに設立しまして、総勢100人超でございますが、グループ・グローバルベースで兼務も発令しながら、戦略企画からお客さまのソリューションまで一気通貫で対応できる体制を構築しております。

 また、右にございますとおり、グループCROの傘下にリスク管理に関する新たな部署を設置して、気候変動問題を中心としたリスク管理の対応もしっかりと対応しているところでございます。

 続きまして、4ページでございます。GHG排出量削減に向けた取組といたしまして、左側が私どものScope1、2に関する取組でございます。2030年の実質ゼロに向けまして、左下に書いておりますような、本店を太陽光発電、再エネで全て賄うとか、私どもの空き地をメガソーラープレイスするといった取組をしています。また、右側にありますようにScope3につきましても、右下に書いておりますとおり、今年度の取組として、まずはNZBAを踏まえまして、電力セクターやエネルギーセクターの投融資ポートフォリオのGHG削減目標を設定して、アクションプランを作成するということを考えております。

 次、5ページでございます。続きまして、お客さまへのサポートという意味で、まずもってパリ協定の実現には巨額の投資が必要であり、サステナブルファイナンスのメニューを多様化して、裾野を広げるということが大事だと考えております。具体的にはまずトランジション・ファイナンス、左に記載のような個別の事例も出てきておりますが、これが大変重要な役割を持つとの認識の下、私どもも積極的に取り組んでおりまして、経産省さんのトランジションロードマップの活用も進めているところでございます。

 また、融資以外でも、右下に、本年4月にサステナビリティ本部の設置に伴いまして、200億円ほどのサステナブル投資枠を設定しまして、サステナブルな社会の構築に向けた中長期的な投資にも積極的に対応していきたいと考えております。

 次に6ページでございます。もう一つの切り口としまして、いわゆるデジタルソリューションを活用して、お客様のニーズに一気通貫で対応していくということもやっております。例えば一番左下、先ほどありましたGHG排出量のデータ収集、その上で、排出量をどうやって算定するのか、見える化した上で、それをどのように情報開示していくのか、あるいはそれに伴って財務影響をどのように分析していくのか、こういった結果が出た部分でどのような解決があるのかといったことを、これは異業種の方も交えながら、様々な段階に合わせてソリューションを提供して、お客さまのニーズに提供していくということを行っております。

 次に7ページでございます。こうした私どもの取組を通じて感じております論点を3点挙げさせていただいております。1点目が、トランジション・ファイナンスに係る国際的なコンセンサスの醸成です。トランジション・ファイナンスにおいて、各種ステークホルダーへのアカウンタビリティーのよりどころになるようなトランジションの定義や適格性に係る国際的なルールメイキングやコンセンサスが重要だと思っています。

 それから、2点目が、気候変動関連情報の開示の充実です。足元いろいろ動いておりますが、やはりお客さまの気候変動に係る戦略や目標、リスク管理を理解して、エンゲージメントを通じて支援していく上での重要な基礎となるということだと思いますし、私どものファイナンスド・エミッションの算定にも不可欠な部分だと感じております。

 3点目が、カーボンニュートラルに資する事業や脱炭素技術への投資マネーの呼び込みです。非常に新たな技術もある中、従来のファイナンスの手法では俎上にのらない部分に私どもとして対応していく上では、官民一体での連携といったことも必要ではないかと考えております。

 最後の10ページで、全銀協の会長行として進めてまいりました全銀協カーボンニュートラル・イニシアティブの概要もお示ししております。この点、引き続き、皆様の御支援、御助言を賜りながら進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 私からの説明は以上です。

【水口座長】  ありがとうございました。それでは続きまして、三菱UFJ銀行様、お願いいたします。

【宮下様】  こんにちは、三菱UFJ銀行の宮下でございます。グループの戦略担当と、それから、サステナブルを担当しております。今日はこの場を頂戴いたしまして、大変ありがとうございます。

 では、資料の共有をしていただいている間に、今、画面出ましたね、3ページ左下ですが、進みください。私ども、昨年の5月に、御覧の内容でカーボンニュートラル宣言を実施いたしました。2050年まで投融資ポートフォリオのGHG排出量のネットゼロと、2030年までの当社自らの排出量ネットゼロということで、この時点でNZBAへの参加の表明など下半分の取組をやっていこうということでお話をいたしました。

 次ページにお進みください。足元、この4月1日付でMUFG Progress Reportを公表しております。私ども、統合報告書の中、あるいは2年ほど前から、サステナビリティレポートということでほかの部分の非財務情報も含めた開示を進めてまいりましたが、やはり気候変動は引き続き議論が集中いたしますので、そこに特化したプログレスレポートを4月1日付で発刊したということです。このページがその内容のエグゼクティブサマリー的なページでございます。

 足元どこまで進めているかということですが、右上、「NEW」というラベルが4つほどあります。まず、一つが電力、それから、上流の生産領域の石油・ガスセクター、ここで2030年度中間目標を公表しています。それと、右の真ん中辺りで、石炭火力発電所向けのコーポレートファイナンスの残高、それから、それが2040年にゼロになるであろうという見通し。それから、自社排出のネットゼロのところでは、昨年までに既に銀信証の屋内、自社契約電力の100%再エネ化は完了していましたが、国内の全社の自社契約電力の100%再エネ化を今年度中に行いますという話を宣言しております。

 また、このページの下半分のところに6つぐらいの象限にわたって施策のプログレスを簡潔にまとめております。①のところで投融資ポートフォリオネットゼロの進捗、それから、②のところはビジネスでありますが、ファイナンスを通じた脱炭素化、それから、③が自社排出の部分。左下が責任投資の分野。主に私どもの信託銀行グループで対応しております。また、真ん中の下のところが、先ほど金融庁様からもグローバルイニシアチブの話がございましたが、そういうものへの参画。右下がそのほかという形になっております。

 次ページへお進みください。中間目標ということで、電力と石油ガスの上流領域、このような形で開示をしております。セクターの特性を踏まえた目標をレンジの形で開示いたしました。下限の目標については、NDC、我が国であればエネ基でございますが、そういうものなどを公表されている計画をベースに設定し、また、上限については、お客様とともに削減努力を積み重ねる目標として、1.5度水準のシナリオをベースに設定をしております。

 この間を具体的にどのように詰めていくのかというところが、若干その左半分の文中に少し記載がございますが、電力であれば、グローバルな再エネの推進等にプロジェクトファイナンスを通じながら貢献をしていく。あるいは、石油ガスのところは、脱炭素化に向けたより一層の前進に貢献していくということで、当業界の中で先進的な取組を進めている企業様がございますので、それを増やしていくようなエンゲージメントをしっかりやっていくというような算段を社内では立てております。

 次ページお進みください。このページがタイトルにありますとおりビジネスということです。もう既にいろいろな方々がお話をされていますので、詳細には入りませんが、左の縦列の見える化の支援から、最終カーボンクレジットを活用したオフセットまで、できるだけソリューションのメニューを増やそうと思っております。ここの部分を成長領域と捉えながら、大手企業、あるいはスタートアップの企業様との協働も活用しながらビジネスをつくっていきたいということでございます。

 次ページお進みください。左半分がグローバルイニシアチブでの貢献ということで、私どもネットゼロ・バンキング・アライアンスの左下、1つのワーキング・グループの議長を仰せつかっております。ここの中でトランジション・ファイナンスについてのグローバルな目線の擦り合わせ、何とかできないかなということで対応しておりますし、右側の下辺りのイラスト図の中では、私どもの取締役会以下、御覧のような体制、9つのPTを立ち上げながら、まさに全社的な取組になっているということでございます。

 次ページお進みください。とりわけ、本日、一番、下のところで赤い文字になっておりますが、アジアグリーン成長パートナーシップのここに掲げている会合の中で中間報告がなされていると聞いていますが、アジア・トランジションファイナンス・スタディーグループのリードメンバーとしまして、アジアの中での現実的かつ段階的なエネルギートランジション、この辺りの実現に必要な共通原則、基準の設定について議論をさせていただいているところであります。

 では、2ページ進んでいただきまして、最後に、トランジションについて少しお話を差し上げます。私どもとしても、トランジション、脱炭素化の社会の実現に向けて巨額の投資が本当に必要なってくるなということは、いろいろな統計の認識だけではなく、お客様の動きを拝見していても感じます。

 次ページお進みいただくと、トランジション・ファイナンスの現状ということで、いろいろな基準を参照にしながら、私どもなりにも、右の下に幾つか日本企業を代表するお客様の事例がありますが、トランジション・ファイナンスについて対応してきているところでございます。

 ただ、最後のページ、まとめのところで御覧いただきますと、まず、脱炭素全体といたしましては、本当に全体を高覧するグランドデザイン、それから、需要サイドの行動変容を含む民間の努力を強力に後押しいただくような政策パッケージの打ち出しが必要ではないかなというふうに思っております。中でもファイナンスの部分ではトランジションへの取組が重要でございます。国際的な理解の下で着実に進展するように、トランジション・ファイナンスの統一的なフレームワーク等策定に向けた官民一体での取組がまさに本年非常に大事なタイミングではないかということで考えております。

 以上、三菱UFJからの報告でございます。終了いたします。

【水口座長】  ありがとうございました。

 それでは、続きまして、みずほフィナンシャルグループ様、お願いいたします。

【角田様】  みずほのサステナブルビジネス推進室の角田でございます。今日はこのような機会をいただきまして、どうもありがとうございます。

 そうしましたら、私のほうから、みずほとして脱炭素に関するお客様の取組についての我々の対応や、どういったことをやっているのかなどを中心に御案内できればと思います。次のページに進んでいただいて、例えば、最近ですと、電力業界に捉まえれば、安定供給と、一方で、石炭火力の早期フェードアウト、これはややもすると矛盾するわけですけれども、いかにこういったことを両立させるかというのがみずほ全体の中で最大の課題になっているということです。冒頭にございますとおり、社会全体、あるいは、日本産業の発展とこれをどういうふうに両立させていくか。その中にみずほの安定成長があるということでやっております。

 次のページを見ていただくと、御参考まででございますが、去年、(弊行の)産業調査部というところで出した試算でございますけれども、46%、2030年ということで、非常に野心的な目標と理解しております。右にございますとおり、「目標不足分」とございますけれども、炭素に値段をつける、あるいは、飴と鞭ではないのですが、規制と支援策、こういったものを追加的にやっていかないと、なかなか達成し得ないのじゃないか。そういう状況のもと、お客様が、今、脱炭素に取り組んでいるということかと思います。

 そういった中で、次のページにございますが、いかにその経営の中に脱炭素を組み入れていくか。先ほど中堅・中小企業までというお話もございましたけれども、産業全体でどういった形で組み込むかというのは非常に大事だと思っています。

 下に書いてございますが、我々は金融グループではございますが、一方で、非金融の部分、これをお客様のニーズに合わせて、ソリューションも含め、きちっと提供していくか。ここが我々としてのチャレンジだと考えております。

 言い換えれば、次のページにございますとおり、これは我々が一昨年以来使わせていただいておりますが、調達サイドは言わずもがなという中で、このバランスシートの左側です。ここにいかに我々として対応していくかということに、今、フォーカスをして、いろいろな施策等々を考えています。

 次のページにございますとおり、我々の場合は、右にございますが、業界知見、経営及び財務の知見に加えて、環境技術知見というのをきちっと御提供していく。RTというふうに略してございますが、次のページにイメージ図を書いてございます。みずほリサーチ&テクノロジーズというシンクタンクが我々グループの中にございまして、20年来、環境技術知見関連のいろいろな活動をしてまいりました。今、130名を超える環境コンサルタントを抱えておりますが、こういったものをいかにベストミックス、あるいは、金融とのパッケージとしてお客様に提供していくか、こういうことを、今、一生懸命取り組んでいるということでございます。

 最後に、2ページ飛んでいただいて、課題ということで、9ページです。キーワードだけ並べておりますけれども、4つ挙げさせていただいております。1つは、需要サイドも含めた脱炭素戦略ということで、1つは、マーケッ
トの予見性というのを高めていかなければいけない。例えば水素、これはつくるところから始まります。がけれども、2030年、2040年にかけて、需要サイドのマーケットがどういったようになるか。こういった予見性があると投資も呼び込みやすいと思いますので、これは政策が非常に重要な役割を果たす領域だと思います。また、需要サイド、もう一つはコスト負担です。やはりコスト負担の非常に高いお客様とお話ししていると、このコスト負担というのをしっかり、ある意味、公正あるいは平等にやっていくということが非常に重要だと痛感しておりまして、こういったことを考えていく必要があると考えております。

 2番と3番は、前段でいろいろな方が御指摘されているので、かいつまんでお話致しますが、我々はPCAFの日本の議長もやらせていただいており、特に金融サイド及びお取引先で統一した計測基準というのを、確立しておかなければいけません。それから、先ほどから話に挙がっておりますトランジション・ファイナンス、我々も非常に重要だと思っていますが、お取引先に寄って立ってというコンセプトをしっかりつくっていくということが非常に重要だというふうに考えております。

 最後に、冒頭、前段のものに通じますけれども、間接金融及び直接金融、これ等も同じ目線で、言わばトランジションとは何か、どういったものだったら対応できるのか、こういうことはきちっと目線を合わせていかなければいけないということでございますので、大きなGFANZの枠組みの中で、いろいろなイニシアティブが立ち上がっていますけれども、今後、横の連携をしっかり密にしながらやっていかなければいけないというふうに考えております。

 みずほから以上でございます。

【水口座長】  ありがとうございました。

 それでは、ここから御意見、御質問いただきたいと思います。あまり時間が取れなくて本当に申し訳ないんですけれども、10分ぐらい時間があるかと思いますが、いかがでしょうか。もし何かあればお声を上げていただければと思いますが。どなたからでも結構です。藤井さん、お願いします。

【藤井メンバー】  ありがとうございます。各銀行様、御説明ありがとうございました。

 メガバンクの皆様とはいろいろな形で意見交換をさせていただいていますけれども、非常にギアが上がってきていて心強く思っております。今後、国際的な議論も含めて、さらなる役割を期待したいと思います。

 一方で、お話をお聞きしていて、メガバンクのギアアップに対して、地域金融機関の方々に、どうさらにスピードアップしていただくかというところが課題かなと思いました。特に地域金融機関につきましては、産業構造が地域によって偏る、イコール、炭素排出のパターンも異なるということで、より手作りといいますか、きめ細かい対応が必要になると思います。先ほど手塚様のお話にも、どこから手をつけていいかというようなことがありましたが、今のプレゼンテーションを拝聴しながら、事務局を含めて、地域金融機関についての問題意識をどう進めていくかということに注力いただきたいと思いました。ありがとうございます。

【水口座長】  ありがとうございます。では、井口様、お願いします。

【井口メンバー】  ありがとうございます。簡単になんですけれども、先ほどコメントしなかったのですが、金融機関向けのガイダンスの中に、こういう3社様のお取組を活用されてはどうかと思っております。お取組みは、具体的かつ詳細で、現状のできないことを明確にして解決に向けたロードマップを示していらっしゃるということで、グローバルのレベルのお取り組みと思っております。もちろん、全ての金融機関や地域金融機関が、すぐにこのような取り組みができるとは思っていないんですが、具体的にどういうふうにしたらいいかということが分かると思いますので、最近、有報でも開示の好事例集などを作られていますが、そのような形で活用されてはいかがかと思っております。

 以上です。

【水口座長】  ありがとうございます。村木さん、何かコメントありますか。

【村木データ分析統括室長】  ありがとうございました。事例については、これからもいろいろと新しいものが出てくると思いますので、パブコメ・最終化のタイミングを踏まえながら検討させていただきたいと思います。

【水口座長】  検討ということですかね。

【村木データ分析統括室長】  はい。

【水口座長】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

【高村メンバー】  すいません。高村ですけれども。

【水口座長】  どうぞ、高村先生。

【高村メンバー】  申し訳ありません。遅れて入って申し訳ございませんでした。

 3つの銀行様からの御報告、どうもありがとうございました。大きく2点申し上げたいと思うんですけれども、特に日本の場合、間接金融の果たす役割は現実的に非常に大きい中で、この3つの銀行、フィナンシャルグループの皆さんの取組というのは、本当にここ一、二年のところでも、飛躍的に水準を上げられたというふうに私も思っております。

 さらにこの取組をしっかり進めていただくための課題についても、本日御紹介があったと思いますけれども、1点目は、金融だけではできない、あるいは、こうした金融の取組を支える国の政策課題というものが幾つかあるのではないかというふうに思います。これは冒頭の議題のところにむしろ関わる話かもしれませんけれども、例えば、ファイナンスド・エミッションの削減1つを取っても、金融だけではなくて、投融資先の経済主体、企業の取組をいかに強力に進めるかという政策の裏づけこそがこうした金融の取組を支えますし、日本の金融機関への評価を上げるというふうに思います。

 これは金融庁さんだけではもちろんできないということは了解していますけれども、恐らくオブザーバーでも入っていらっしゃる経産省、環境省、関係省庁と、こうした取組をいかに支えるための政策が可能かという点については、一度議論をいただきたいと思いますし、この有識者会議でも議論をしてはどうかと思います。

 他方、金融分野でもできることがあるというふうに思っておりまして、典型的なのがディスクロージャーに関わるところかと思います。今、金融庁さんでも議論されているのは了解しておりますけれども、このディスクロージャーの水準をどう上げていくか。これは御指摘のあった排出量の測定等の技術的な支援も含めて、国の政策課題を改めて、より一段と取組を引き上げていただくために検討すべきではないかというふうに思いますし、お願いをしたいと思います。

 2点目ですけれども、資料の3のところで、まさに機構変動対応に対する基本的な考え方を今回示していただいております。検査・監督の観点から示していただいた、ある意味で、当面の基本的なまさに最低限見るべき、考えるべき考え方を示していただいておると思いますけれども、1つには、金融機関を取り巻くサステナブルファイナンスをめぐる状況の変化が非常に大きいという観点からすると、かなり頻度を上げて進捗状況の確認と、場合によっては追加的な考え方、ガイダンスが必要ではないか。

 そして、今、資料3に掲げてくださっている内容というのは、恐らく、本日御報告をされた銀行さんにとってみると、ある意味ではもう既にやっていらっしゃること。そういう意味で、井口委員がおっしゃったように、その事例をしっかり取り込んでいただくとともに、この一定の例えば銀行の事業の規模等々含めて、丁寧なガイダンスの作り方が必要ではないかというふうに思います。その意味でも、ぜひ頻度を上げて進捗の御報告をいただくとともに、必要に応じて追加的なガイダンスについても検討いただきたいというふうに思います。

 以上です。

【水口座長】  ありがとうございます。ほかによろしいでしょうか。

 ありがとうございました。特段、個々の金融機関さんに御質問ということではないですので、今いただいた御意見も含めて、今後の有識者会議の検討にも入れていきたいと思っております。

 それでは、先を急ぐようですけれども、今日は、もう一つ、PRIの木村理事に御準備いただいておりますので、木村さんからお話をいただいて、さらに議論ができればと思います。木村様、お待たせをいたしました。本日、御参加いただきましてありがとうございます。それでは、よろしくお願いいたします。

【木村様】  木村です。どうぞよろしくお願いします。

 昨年夏からPRIの活動に参加しております。そこで仕入れましたインベストメント・チェーンに関するグローバル情報の中から、日本の新しい資本主義やステークホルダー資本に対してインプリケーションがあると思われる話題――新しい動き――について御紹介できればと思います。

 本題に入る前に、最初に、日本の責任投資の現状について簡単にレビューしておきたいと思います。

 次のページをお願いします。ここ数年、ESG投資(責任投資)は大いに盛り上がっていますが、それを裏づけるように、PRIへ署名する機関投資家が大幅に増加しています。左図で御覧になりますとおり、今年3月末には、署名機関数は4,800を超えました。ただ、右図で署名機関数の地域別内訳を御覧いただきますと、日本はほかの先進国に比べてかなり見劣りしています。米国の署名機関が1,000を超えまして、イギリス、アイルランドも800超えと大きくリードしています。日本は100を幾分上回る程度ですので、独、仏と比較しても見劣りしているということです。

 この間、新興国の署名機関数も急速に増加していまして、日本は昨年末にブラジルに追い抜かれました。それから、中国が前年比6割、7割のペースで署名機関を増やしていますので、前年比1割、2割ペースの日本は、早晩、中国にも追い抜かれる可能性が大きいです。

 次のページお願いします。グローバル目線でESGに取り組む投資家の裾野の広がりに関して、日本が見劣りしているというのはやはり気がかりなことであります。左図にお示ししましたとおり、近年、ESG課題への取組が企業の財務パフォーマンスや投資家の投資リターンの改善に寄与するという研究結果が増えているということを踏まえますと、日本の責任投資家の層の薄さというのは、日本の金融資本市場の活力低下、これを経由して、最終的には日本経済の競争力にも影響する可能性があるのではないかと思っています。

 参考までに、右図でESGスコアを御覧いただきますと、日本企業は欧米企業に比べて全体としてESGスコアが低くなっています。その背景には、企業自身の問題ももちろんあるんでしょうけれども、日本の投資家が企業とのエンゲージメントにおいて、グローバル基準でESG課題の対応を促し切れてないということも何某か影響している可能性があるのではと思います。

 次のページお願いします。グローバル目線でESGに取り組む投資家の裾野が日本において広がらない背景について、主体別に見ると、年金基金のPRI署名が限定的であるということが分かります。公的年金については、GPIFが2015年にPRI署名しましたが、その後が続いていません。それから、右側に示した通り、企業年金基金の署名も進んでいません。PRIの署名は僅か3先にとどまっています。

 日本の企業は、大企業を中心に多くの先がグローバルコンパクトに署名しています。グローバルコンパクトに署名した企業は、SDGsなど国連が掲げる目標達成を意識しながら、持続可能な成長の実現に向けて取組を進めているわけですが、そうした母体企業のサステナビリティへのコミットメントは、傘下の年金基金とは必ずしも共有化・一体化されてないように見えます。母体企業のサステナビリティに対する方針が傘下の企業年金基金とも共有されていれば、本来、グローバルコンパクトへの賛同、スチュワードシップ・コードの受入れ、PRIの署名(という関係)は、太い円柱の形状になることが理想なわけですが、実際には逆円錐の形状になっています。

 次のページお願いします。年金基金のシステムは、新しい資本主義やステークホルダー資本主義を考える上で、重要な役割を担っていると思います。企業年金基金の加入者(受益者)を考えれば明らかですが、彼らは投資先企業の間接株主であるだけではなくて、企業の従業員であり、また、消費者や地域住民の顔を併せ持っていますので、本来、投資先企業のステークホルダーの代表としてコーポレートガバナンスに関与することが理想だと思います。

 責任投資に関して、一般にエンゲージメントと言うと、(この右側の)投資家による企業との対話がすぐに思い浮かびますけれども、本来、機関投資家が行うエンゲージメントには、投資先企業との対話だけではなくて、(左側の)最終受益者との対話も含まれるはずです。受益者との対話は、インベストメント・チェーンのスタート地点であって、ここでアセットオーナーが受益者のサステナビリティやESGに関する選好、価値観を把握しませんと、インベストメント・チェーンのリレーがそもそも始まりません。

 責任投資において、アセットオーナーは受益者の魂を踏まえて行動する必要があって、その魂を込めた自らの投資方針をアセットマネジャーにしっかり伝達して初めて、インベストベンチャーのリレーが実現すると思います。アセットマネジャーがESG投資の受皿を用意しても、魂のリレーがなければ、ここに書いていますとおり、「仏つくって魂入れず」であって、これが日本の責任投資の(残念ながら)現状であるように思います。

 では、海外では――ヨーロッパを中心に――どうなっているのか、以下、見ていきたいと思います。
次お願いします。欧州では、最終受益者のアセットオーナーシップに対する関心がとても高まっています。例えば、イギリスでは、Make My Money Matterという市民主導のキャンペーンがあります。これは企業年金基金とその母体企業に対して、基金加入者の選好や価値観をどの程度考慮して資産運用を行っているのか、透明性を高めるよう要求するキャンペーンです。My Moneyと言っていることから明らかですが、アセットオーナーシップが加入者個々人にあるということが強く意識されています。

 次、お願いします。Make My Money Matterのホームページに行きますと、自分の加入している企業年金基金をクリックすることができて、そうするとeメールを送るためのテンプレートが出てきます。こちらに内容をお示ししていますが、①基金の運用資産――つまり、基金加入者のMy Money――にどういった投資先企業が含まれているのか、②ESG要素や実社会に対するポジティブインパクトをどの程度考慮して運用しているのか、③ネットゼロの達成計画をどう考えているのか明らかにするよう求めているわけです。

 年金とは従業員に対する後払い賃金です。従業員が暮らす実社会がサステナブルでなければ年金の運用資産はリターンを上げることができませんので、従業員は所得リスクに直面することになってしまいます。このため、そうしたリスクを払拭するよう努めるのは、年金基金とその母体企業の責任ということがこのキャンペーンの根本にある考えかと思います。

 Make My Money Matterのグリーン憲章(グリーン・チャーター)に署名する企業は着実に増加していまして、マーク・カーニーさんなどの著名人もこのキャンペーンをサポートしています。

 次お願いします。年金基金のESG投資に受益者の魂を反映するようニーズが高まる中で、ヨーロッパでは、主要な企業年金が受益者のエンゲージメントを強化しています。具体例を御覧いただきますと、まず、BT(昔のブリティッシュ・テレコム)の年金基金は英国最大のDB型基金であり、受益者エンゲージメントに強くコミットしています。御覧いただいているようなアンケート調査を毎年行って、受益者のサステナビリティ選好や価値観を調査・把握するなど、受益者とのコミュニケーションを強化しています。

 もう一つ、次のページ、こちらはオランダのユニリーバの年金基金ですが、こちらも加入者に対して、どういった企業に投資してほしいのか、投資すべきでないのか、アンケートを行っています。それによると、左側のとおり、医薬や農業、新エネルギー企業に対するサポートが多い一方で、右側のとおり、たばこや軍事関連の投資には反対、そして、真ん中の原子力関連については意見が分かれるといった結果になっています。ユニリーバ年金基金は、ホームページ上、こうした加入者の選好を踏まえて投資戦略を設定していることを明記しています。

 次のページお願いします。年金基金などアセットオーナーが受益者のサステナビリティに対する選好・価値観を調査・把握して責任投資のプロセスに反映することにどういったメリットがあるのか。PRIの資料から抜粋です。まず、受益者の満足度の向上であります。受益者はMy Moneyがどういった企業に投資されているのか、これを知ることによって満足度を高めるとともに、母体企業のサステナビリティ経営の方針が基金の運営方針――つまり、My Moneyの運用方針――と一体化・共有化されることで、母体企業と従業員の信頼関係がより強固になるものと期待されています。特にサステナビリティやESGに敏感な若い世代のニーズに年金基金が対応することは、母体企業のブランド向上や従業員の定着率の改善に寄与するということも期待されているようです。要するに、企業年金の運営は長期的に母体企業の企業価値にも影響するという考えが根本にあるかと思います。

 それから、3行目ですけれども、サステナビリティに関する変化やトレンドを把握できるというメリットもあります。さっき申し上げましたとおり、受益者は消費者(企業の顧客)としての顔も併せ持っていますので、彼らのサステナビリティ選好を把握するということは、消費者選好を把握することにもなり、これは投資先企業と対話する上で重要な情報源になります。受益者の選好、消費者の選好を把握することで、アセットオーナーは消費者の関心のあるサステナビリティに関する新しいテーマやトレンドの(変化の)気づきを得られるわけです。これはステークホルダー資本主義を具現化する上で重要なステップであると思います。

 次お願いします。年金基金の受益者エンゲージメント(特に受益者ニーズの調査)、そして、投資プロセスの反映については、イギリスのスチュワードシップ・コードに明記されています。日本のスチュワードシップ・コードにも同様の精神はもちろん既に含まれていると思いますが、プリンシプル(原則)としては明示されてはいないように思います。おそらく、受益者や顧客のサステナビリティ選好の把握と投資プロセスの反映については、今後、サステナブルファイナンスの政策・規制の面で焦点になっていくものと思います。実際、欧州の規制当局はこの問題について前向きであるように思います。

 次お願いします。以上、新しい動きの1つ目をご紹介しました。以下、2つ目の動きを御紹介させていただきますと、受益者の選好を年金基金などのアセットオーナーが把握できたとして、それでめでたし、めでたしかというと、必ずしもそうではありません。受益者の選好を踏まえたスチュワードシップ活動をアセットマネジャーができるかというと、実は必ずしも簡単ではないように思います。

 一般には、年金基金の投資資金は、複数の年金基金と資金を一緒にしてアセットマネジャーのファンドにプールされ、合同運用されますので、議決権行使に際して各年金基金の意見が異なる場合、アセットマネジャーに対して各議案の賛否を一任せざるを得ません。アセットマネジャーにとっても、ファンドを構成する多くの投資先企業の株主総会の各議案について、全ての年金基金の要望をきめ細かく反映するとなりますと、複雑で手間がかかって困難と思われます。しかし、これでは基金の加入者の選好を調査・把握しても意味がないことになってしまいます。この問題解決に一石を投じたのが、フィンテックを活用したsplit voting、議決権の不統一行使サービスです。

 次のページをお願いします。split votingというのは、合同運用ファンドに投資する複数の年金基金において、議決権行使のスタンスが賛否分かれた場合、その割合に応じてアセットマネジャーが分割投票するという仕組みです。ヨーロッパでは、AMXというフィンテック企業が年金基金とアセットマネジャーをつなぐデジタルプラットフォームを構築し、split votingサービスを提供する事例が既に見られます。

 もちろん、現実には、各年金基金が各投資先企業の各議案について全て判断するだけの情報を持ち合わせていませんので、実際には、各基金はデフォルト設定されたアセットマネジャーの投資指針のほかに、複数のサードパーティーへの投資方針の中から、基金加入者の選好・価値観に最もフィットする方針を選択するという仕組みになっています。年金基金に対するsplit votingサービスについては、ブラックロックも今年開始する予定と聞いています。

 次お願いします。さらに、確定拠出型企業年金(DC)の個々の加入者に対しても、新たなスチュワードシップサービスが始まっています。英米では、加入者個々人の声(選好・価値観)をアセットマネジャーのスチュワードシップ活動に取り入れるためのデジタルプラットフォームをフィンテック企業が構築する動きが既に見られます。DC基金加入者はプラットフォームを通してファンド内の投資先企業のリストを入手して、自分にとってマテリアルなESG課題が何なのか、アセットマネジャーに伝達します。アセットマネジャーはそうした基金加入者の声も集計の上、株主総会で議決権を行使して、その結果をDC加入者に報告するというものであります。

 次お願いします。個々人に対するこうしたsplit votingサービスは、スマートフォン1つで操作が完結するようになっていますので、ミレニアル世代やZ世代の加入者には受け入れられやすいと思われます。既に複数の保険会社などの年金提供機関がこのサービスを導入しています。

 最後、次のページですけれども、以上の海外事例を踏まえますと、日本のインベストメント・チェーンの課題が少し見えてくると思います。日本のアセットオーナーにおきまして、最終受益者や顧客のサステナビリティに関する選好・価値観を調査・把握し、これを責任投資に取り込む事例というのはまだないように思います。

 繰り返しになりますが、年金の最終受益者は、間接株主としての顔に加え、従業員、消費者、地域住民としての顔を併せ待っています。したがって、インベストメント・チェーンにおける受益者の価値観や選好(つまり、魂)の円滑なリレーは、ステークホルダー資本主義を具現化する上で重要なステップであると思います。これは「国民の声を聴く新しい資本主義」、あるいは、「国民主役のESG投資」と言い換えることもできるかと思います。

 その実現には、まず、アセットオーナーである企業年金基金による受益者エンゲージメントの強化。これには受益者のサステナビリティ選好の調査・把握のほか、投資教育による金融リテラシーの改善ももちろん含まれると思います。同時に、母体企業のサステナビリティ経営の基本方針と年金基金の運営方針の一体化・共有化も必要かと思います。

 その上で、日本でも、split votingのサービス提供などアセットマネジメント業界におけるデジタルイノベーション――インベストメント・チェーンの高度化・効率化――をどう図っていくか、今後、検討に値するテーマであるように思います。

 以上です。ありがとうございました。

【水口座長】  ありがとうございました。受益者のサステナビリティ選好をきちんと把握すべきという大変根本的な御指摘をいただいたと思います。地共連などの公的年金については、新しい資本主義の枠の中でちゃんとやってもらいたいと思う一方、おっしゃるようなMake My Money Matterの運動を日本でもしてはというようなことも思いました。

 それでは、ここから皆様との意見交換をしたいと思います。早速小野塚さんから手が挙がりました。

【小野塚メンバー】  ありがとうございます。木村さん、ありがとうございます。この間のジャパンタイムズへの寄稿のところについても、私、ツイッターでリアクションさせていただいたんですけれども、今日の話も大変興味深く聞かせていただきました。

 私のほうでは3つほど。1つは、おっしゃったように、最終受益者の声をヒアリングするというのは大変重要なことで、そこに加えて、啓発とともにというお言葉があったと思いますけれども、ここはかなりポイントだと思います。これまで、ESGに対する感応度みたいなものを証券会社さんほかサーベイを行っていると思いますが、今現在、証券会社に口座が開いている方へサーベイすると、それよりもリターンだという話になったり、短期的なトレーディングのやりやすさだということになりますので、ESGというもの、社会のサステナビリティと投資がどう絡んでいくのかというのを啓発しながらヒアリングをするという、このポイントをぜひ議事に残していただきたいなと思いました。

 2つ目ですけれども、議決権行使のところですが、こちらについては、議決権交渉する実際の行動もそうですが、その後の結果、この辺りもやはり透明性を高めたほうがいいんじゃないかというのが、このジャパン・スチュワードシップ・イニシアティブという私の関わっております、現在、機関投資家、アセットオーナーを含めた60団体が参加するところで話に上がっています。

 アイデアとしては、例えば、企業年金さんとアセットマネジャーだけのレポートイングの枠組みもそうですけれども、そうではない、いわゆる開示のところで、例えば、企業様の株主総会の結果と、それから各社の議決権行使判断の結果というのがサイド・バイ・サイドで見られたらいいんじゃないか。そうすると、最終受益者としては、実際にどの会社がどんな暴騰をしていて、結果、その声が実際に企業の変革に伝わったのか。例えば、3年ぐらい同じようにトップに反対していても変わってないということは何なのかという、そのエスカレーションに使えるのではないかというところで重要なんじゃないかという議論を今現在しております。

 そして、3点目。こういったお話をぜひ、金融庁さんでもありますので、スチュワードシップ・コードの改定の議論と併せて、サステナブルファイナンスの在り方の議論をしていただけたらというふうに強く要望いたします。

 以上3点です。木村さん、ありがとうございます。

【水口座長】  ありがとうございました。それでは、井口さん、林さん、角さんの順番で行きたいと思います。井口さん、お願いします。

【井口メンバー】  ありがとうございます。木村様、どうも御説明ありがとうございました。御説明がありましたように、海外の状況を把握した上で日本のあるべき姿というのを考えるということは非常に重要だと思っておりまして、このような情報のご連携というのは非常に有用と思っております。

 それで、幾つかのポイントについてコメントと、あと、1つ質問をさせていただければと思っています。まず、最初のタイトルのステークホルダー主義というところですが、日本では欧州のように社会課題の解決に向かうという段階ではなく、企業の収益水準の課題から、まずは、企業価値向上を主眼に置いて、ガバナンス・コード、スチュワードシップ・コードが策定されていると認識しています。また、前回の当委員会の報告書でも、この軸の中でどうサステナビリティ要因を取り入れていくかということであったと思っております。ですので、私流の解釈では、企業活動などにおいてステークホルダーが重要となる中、ステークホルダーに配慮しながらどのようにして企業価値を向上させるかというのが日本における責任投資の位置づけではないかと考えております。また、IFRS財団内のISSBも基本的にはこのような方向で基準を策定するとしていますので、グローバルでも一定程度認められた考え方ではないかというふうに理解しております。

 あと、各論のところで、小野塚さんからもコメントがありました12ページのところですが、考え方としてはあると思うのですが、私の理解では、日本では、少なくとも、公的年金基金はルールの関係で企業に直接的な影響を与えてはならないということで、議決権行使に関しては直接的な行使ができないというふうに理解しています。また、企業年金基金の行使ということにつきましては、御存じのように、日本企業の場合、株式の持ち合いというのがありますので、利益相反管理が大きな課題になると思っておりまして、どのように実現していくかということについては大きな課題があるのではないかと思っております。ただ、一方、資料にありましたような、年金基金が受益者に対する啓蒙活動や対話をするということは大事と思います。

 木村様に対する御質問というのが1つありまして、ESGを考慮した中長期的なリターンの獲得は受益者にとって望ましいという前提で策定されてきましたスチュワードシップ・コードの下、年金基金あるいは運用会社が議決行使や対話を行ってきたわけですが、この12ページ以降の海外事例にありますように、スチュワードシップ活動を一種直接民主主義化、今はそういう意味では議会制民主主義かもしれませんが、このような多様な個人の意見を直接的に活用するということは、日本の資本市場、あるいは日本企業の価値向上にとってどのように貢献すると思われているか、もし御意見等ありましたら後で伺えればと思っております。

 以上でございます。ありがとうございました。

【水口座長】  ありがとうございます。木村さんにお答えをいただく前に、まず御意見、御質問をまとめていただきたいと思いますので、林さん、角さんという順番で行きたいと思います。林さん、お願いします。

【林メンバー】  ありがとうございます。私も不勉強で、こんなに日本の年金基金はPRIに署名されてないんだというのは実はちょっと驚いたというところで。ただ、一方で、今、井口さんのお話を聞いていますと、いろいろな理由で多分賛同されてないんだなというのも一方で分かったんですが、今、新しい資本主義ということで国として、政府としても議論されていて、スチュワードシップ・コードの問題ですとか、あるいは、本当にサステナブルファイナンスを拡大していくんだという中でこのままでいいのかなという気持ちもあって、何が正解かというのは、日本の年金運用のあるべき姿というのをここで一度サステナブルファイナンスという新しいテーマ、それから新しい資本主義というテーマ、それから、個人個人が、日本の金融教育はすごく残念ながら遅れてきたんだと思いますけれども、自立してきちっと運用していくんだということを考えると、事業会社の企業の年金基金ですとか、あるいは公的な年金も、改めて意思を持った運用というのが大事なんじゃないかなと思ったときに、どうあるべき姿、あるべき姿は何なのかということは、恐らく今までも議論されてきたんだと思いますけれども、ここでいま一度整理が必要なのではないかというふうに考えました。

 以上です。

【水口座長】  木村さんにはちょっとお待ちいただいて、角さん、岸上さん、渋澤さんまで行ったら、そこで一旦木村さんにお返しをして、お答えいただければと思います。角さん、いかがですか。

【角メンバー】  大変興味深いお話をどうもありがとうございました。

 生命保険の場合も、ちょうどこの話題にぴったり当てはまるようなことがあるかと思っています。非常に長期間の生命保険契約に基づき、多くの保険料をお預かりしていまして、アセットオーナーとして、収益性、安全性、流動性とともに公共性にも十分配慮していく必要があると考えております。そうした中で、この責任投資とは大変親和性が高いので、各社とも積極的に取り組もうとしているところであります。

 各社の責任投資の在り方につきましては、積極的に開示するという動きが出てきておりまして、今後もこうしたコミュニケーションというのはますます重要になってくると考えておりますが、今日のお話にありましたように、開示の中身がどういうものにつながって、何をもたらすのか、あるいは、どういう役に立つのかということを再考させられるお話であったと感じております。

 また、議決権の不統一行使につきましては、現状は国内で一般的ではないものと理解しておりますけれども、海外でこうした動きが出ているということは大変注目に値すると思いますので、今後も動向を注視していきたいと考えております。

 私からは以上でございます。

【水口座長】  ありがとうございます。では、岸上さん、お願いします。

【岸上メンバー】  ありがとうございます。木村様、非常に興味深い御説明ありがとうございました。

 PRI署名に対する課題はいろいろあると思いますが、各機関において国際コミュニケーションが取れるかどうかという点が1つ大きなハードルとなっていることは無視出来ないと思われます。これは当然ながらに金融庁だけで改善できることではないと思いますが、その課題は念頭に置いた上で、今後の政策等を検討する必要があると思います。

 また、その状況はすぐに解決できない中、とり得る行動として一つコメントします。特に企業年金におきましては、母体となる発行体の方で、特に大手の場合は国際的なESGの取組に既に関わっていらっしゃるところが多いと思います。そうしたところでのノウハウや人材を活用して、企業年金のほうにそれを直接的に貢献、または、発行体のほうで年金に関する教育、啓蒙を従業員(つまり、受給者)に行うことがそもそものESG活動の一環として評価されるような仕組みがインセンティブとしてありましたら、より円滑に進めることができるのではないかと感じております。

 それ以外におきましては、既存の日本国内のフレームワークとして、スチュワードシップ・コードが中心になると思います。そこで木村様にお伺いいたします。現状のスチュワードシップ・コードで、ESG視点を考慮した行動をより実効的にしやすくするための改定、または、既に文言としては入りつつも活用しやすくするための助言などあれば教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【水口座長】  ありがとうございます。では、渋澤さん、お願いします。

【渋澤メンバー】  ありがとうございました。本日のお話でアセットオーナーの議決権行使がいかにサステナビリティファイナンスに重要であるということを改めて確認させていただきました。感謝いたします。

 その中で日本の最大なそこの議決権行使、アセットオーナーの議決権行使の課題というのは、実は、日本の企業の最大の株主が年金基金じゃなくて日本銀行であるんだと思うんです。ETFを経由して、間接的に最大な株主になっている。ただ、じゃあ、日本銀行がそれで議決権交渉の方針を出しますかというと、それはそれで全然異なる、違う次元の話になりますので、ここが今、日本の資本市場の本当に一番大きな課題じゃないかなと思いますので、これは本当にコメントといいますか、質問ではなくてコメントなんですけれども、これは本当に中央銀行のバランスシートからオフバラして、別の基金を設け、そこでスワップして現物化して、きちんとそこで議決権行使とかそういうところも、ガバナンスもきちんと管理しながらも、ここで別枠で運用することがすごく重要じゃないかなと思いますので、ここで解決できるような問題ではないと思いますが、コメントさせていただきました。

 ありがとうございます。

【水口座長】  ありがとうございます。

 それでは、木村さんお待たせしました。いろいろ御意見も出ましたが、コメントいただければと思うんですが、いかがですか。

【木村様】  いろいろ貴重なコメントを本当にありがとうございます。十分説明し切れなかった部分も、不明な点もあったかと思います。

 井口さんから御質問いただいたので、それに答える形で――リフレーズするような形になるかもしれませんけれども――、お話しさせていただきますと、前半のアセットオーナーによる受益者の価値観・選好の把握については、顧客本位の業務という視点で言うと、これはやったほうがよくて、やらなくてよいということにはまずならないと思います。それを申し上げた上で言いますと、「やったほうがよいけれども、リソース不足などから何かの理由があってできない」というのであれば、その障害をどう取り除いていくのか検討していくということが重要であると思います。

 一方で、井口さんからお話いただいたsplit votingサービスの是非については、(お話があったように)間接民主主義と直接民主主義のどちらが望ましいのかという問題提起に似ているように思います。それぞれ一長一短があると思います。受益者個々人に十分な金融リテラシーがない場合に、議決権行使を任せるのは望ましくないという考えは当然あると思います。一方で、リスクキャピタルの提供者が受益者個々人なのだから、彼らが議決権行使を行うのはある意味当然という考え方もあると思います。

 現在、海外で見られるsplit votingのサービスについて言いますと、私は直接民主主義と間接民主主義のハイブリッドタイプのようなものと理解しています。どういうことかというと、受益者個々人、あるいは企業年金というアセットオーナーにしても、個々の投資先企業の実情を十分に理解・把握できるかといえば、とてもじゃないけどできないと思います。それだけ情報の非対称性の問題は大きいと思います。したがって、直接民主主義型のsplit votingサービスを導入するというのは、私は適当ではないと思いますし、機能するとも思っていません。

 だから、split votingサービスと言っても、実際にヨーロッパでみられるのは、個々の投資先企業の議案に対して個別に票を入れるというのではなくて、デフォルト設定されたアセットマネジャーの投資方針のほかに、複数のサードパーティーの投資方針の中から基金加入者の選好・価値観に最もフィットする先を選択できるという仕組みになっているんだと思います。受益者に対して選択肢を増やすということが重要で、それぞれの選択肢は、価値観の異なるプロのアドバイスがそれぞれベースになっているということです。

 つまり、アセットマネジャーやサードパーティーの専門知識を活用しつつ、年金基金の加入者の価値観をインベストメント・チェーンに反映するという仕組みです。直接民主主義と間接民主主義のハイブリッドタイプと申し上げたのは、そういう趣旨です。こういった世界になってきますと、恐らくは、アセットマネジャー間で、あるいはサードパーティーとの間で、いかにしてサステナビリティやESGに対する国民の声を聴いていくべきか、取り入れていくべきか、そうした健全な競争が働いていくものと思います。新しい資本主義やステークホルダー資本主義には、そういった要素が必要になってくるのかなと思っています。

 それから、岸上様からスチュワードシップ・コードについて御質問いただきました。これは、小野塚さんの3番目の質問と関係するポイントかと思います。今の日本のスチュワードシップ・コードにも、受益者の意思を尊重する――受益者の最善利益を追求する――ということは当然あるべき姿として、その精神は入っていると思います。ただ、さきほど、イギリスのスチュワードシップ・コードで御紹介したような形で――エクスプリシットな形で、プリンシプル(原則)という形で――はまだ入っていないように思いますので、この点に関して、(日本でも)付け加えたほうがいいのかどうか、これから議論があっていいのかなと思います。

 すみません。少し時間も過ぎましたので、私のほうからはこれで。ありがとうございます。

【水口座長】  ありがとうございました。ステークホルダー資本主義というのも、まずは、年金加入者の受益者の声をきちんと聞いて、受益者の選好をきちんと把握するというところから出発していくのであって、企業価値もステークホルダー資本主義も、受益者の選好というものをきちんと考えていく必要があるのかなというのは大変重要な御指摘だったと思いますし、岸上さんからお話がありましたように、単に選好を聞くだけではなくて、その前提として、きちんとした情報を受益者の皆さんにも伝えていく、よく考えていただくということも大事なんだろうなというふうに感じました。

 大変貴重な御示唆をたくさんいただいたなと思っております。もし最後にコメントされたい方がおられたらぜひ伺います。高田さん、お願いします。

【高田総合政策課長】  総合政策課長の高田でございます。本日は大変、示唆に富む御議論をいただき、ありがとうございました。

 1点、今の木村様のプレゼンに関して、コメントをさせていただきます。私は前職で財務省の給与共済課長を務めており、木村様からPRI未署名の公的年金として紹介されたものの一つである、国家公務員共済組合連合会を所管しておりました。私がその担当のポジションになってすぐに取りかかったのが、国共済におけるESG投資の取組の強化ということでした。この国共済と、同じく今日の公的年金のリストに上がっている地共済、それから私学共済とGPIFの4つの機関が合同で公的年金を運用しております。ただ、その中でGPIFはPRIに署名していますが、ほかの3つの機関はまだであります。

 そのときにGPIFやほかの省庁にも御協力をいただいて、共同勉強会などを開いたりして、国共済にもいろいろと検討をいただきまして、かなりESGの取組を進めていただいております。詳しくは財政制度等審議会の、国共済分科会の議事録に載っているんですけれども、例えば、TCFDの署名などもなされたんですが、PRIの署名はまだ検討事項ということで積み残しになっております。そこで、年金基金の側から挙げられたハードルの一つに、キャパシティーの制約があって、岸上さんからも御指摘がありましたけれども、英語でレポーティングをしなければいけないし、かつ、レポーティングが評価を受けるわけです。それで変な評価を受けてしまうと、かえってレピュテーションが下がってしまうんじゃないかといった懸念もありました。ですから、今日いろいろ御意見もありましたけれども、そういったところのキャパシティービルディングをどうやってサポートしていくかというのも大きな課題であろうと思います。

 それと、まさに受益者の声をどう届けるかという話で、例えば、国共済連合会に関して言うと、最終受益者というのは国家公務員及びその被扶養者なわけです。一応、国全体としては、ESG投資は進めるべきであると政府としてもはっきり言っているんですが、その受益者となる国家公務員の声というのは国共済の運用にどう伝えればいいのか。自分が以前所管していて言うのも何なんですけれども、様々な検討課題をいただいたというふうに思っています。ありがとうございます。

【木村様】  ありがとうございます。座長、今の高田課長様(のご意見)にレスポンドしてもよろしいですか。

【水口座長】  お願いします。

【木村様】  ありがとうございます、高田課長。キャパシティーの制約については、日本の潜在的な署名機関からも多く聞かれるところであります。実は今、PRIは、レポーティングフレームワークの大幅な刷新・見直しを行っていまして、来年から、刷新した新たなレポーティングでスタートします。年金基金などのアセットオーナーのレポーティングは、大幅に負担感を和らげた上で――レポーティングのボリュームを大幅に圧縮した上で――署名ができるようになりますので、キャパシティー制約に関するハードルは大分下がるものと思っています。その点を踏まえて、改めて御検討いただければと思います。

 それから、PRIからのアセスメントについて、成績表を勝手につけられて、レピュテーションが悪くなるのは困ったものだというお話がありましたが、(署名機関は)アセスメントを外に公表する必要は全くありません。PRIから外に公表することも一切ないんです。個々の署名機関に対してこっそりプライベートにお伝えしますので、そのアセスメントを踏まえて何らかの気づきを得ていただけば、翌年度の取組強化につなげられる、というわけです。今、アセスメントを積極的に外に出している署名機関は、成績がよかったので、「こんなすごい評価をいただいていますよ」ということをPRのために使われているわけであって、成績がよくても悪くても、自分だけの使い道(プライベートユース)ということでできますので、その点をお含みおきいただければと思います。

 ありがとうございました。

【水口座長】  ありがとうございます。日本の公的年金もだんだん署名しやすい環境になってきたということですし、PRIも全体の底上げを狙っている、目指しているわけですから、ぜひ協力できればと思うところであります。

 さて、と言っている間にちょうど時間となりました。今回、大変詰込みで、アジェンダが多くて、皆様には消化不良だったと思います。おわびをしたいと思います。ただ、アジェンダが多いというのは、サステナブルファイナンスの課題が多いということの裏返しですから、世の中がそういう状況なのだということだろうと思っております。

 一応、次回は、ディスクロージャーワーキング・グループでの議論、ソーシャルボンドのKPIの検討状況について、それから、ESG評価・データ提供機関の検討状況、コードをつくるという議論について御報告をいただくとともに、今事務年度の総括、そして来事務年度の方向性についても議論させていただくという予定なんですが、これを見ると次回も大変詰込み型になりそうです。そこで、ちょっと時間を延ばせないかなと思ったり、もしかしたら、やはり1つ1つの議論が非常に重要ですので、時間をかけて議論するためには少し回数を分けるという可能性もあるのかなと思っております。委員の皆さんはお忙しい方ばかりなので、なかなか時間の制約もあろうかと思いますけれども、少しきちんと議論できる体制を取っていきたいなというふうには思っております。

 ということで、本日も貴重な御意見等いただきまして、大変ありがとうございました。

 最後に、事務局のほうから御連絡があればお願いします。

【西田サステナブルファイナンス推進室長】  今日も大変時間がなくて、事務局としても大変恐縮でした。もし時間の関係で御発言できなかったということがありましたら、事務局のほうにぜひ頂戴できればと思います。次回については、できるだけ早く御連絡させていただきたいと思います。

【水口座長】  ということで、本日は予定の時間となりましたので、これで終了したいと思います。どうも御協力いただきましてありがとうございました。お疲れさまでした。
 
―― 了 ――

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

総合政策局総合政策課

(内線3515、2770、2893、5404)

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