「サステナブルファイナンス有識者会議」(第17回)議事録

1. 日時: 令和5年6月22日(木曜日)10時00分~12時00分
 
【水口座長】  それでは、ただいまよりサステナブルファイナンス有識者会議第17回の会合を開催したいと思います。
 
 皆様、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。今回も大変多くの方に対面で御出席いただいております。ありがとうございます。オンラインの方、だんだんマイノリティーになってしまいましたが、毎回の御注意ですけれども、オンラインで参加の方は、御発言されない間はミュート設定していただきまして、発言するときにミュートを解除し、発言が終わりましたら、再びミュート設定にしてください。マイノリティーとはいえ、遠慮せずに御発言いただければと思います。
 
 それでは、早速、議事に入りたいと思います。本日は、前回に続きまして、第3次報告書(案)について御議論いただきます。あわせて、2つの検討会の報告書もできてまいりましたので、こちらについても事務局から報告いただき、その上で議論したいと思います。
 
 それでは、まず、前回の議論や書面でのコメントを踏まえた第3次報告書の修正について御報告いただき、あわせて、検討会の2つの報告書についても、まとめて御報告いただきたいと思います。
 
 では、西田さん、よろしくお願いします。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  ありがとうございます。
 
 修正点を手短にご説明させていただければと思います。個別にいただいた点は全て反映したつもりでおりますが、足りない点などあれば、お話いただければと思います。
 
 まず、第3次報告書4ページ、5ページで、全体像を示したほうがいいとのお話がありました。また、この進捗状況を今後も定期的にフォローしていって、いいタイミングで議論していくことをより明確にしたほうがいいのではないかというお話がありました。この点は一番最後に、水口先生からお話がありますけれども、次のステップとして、御議論いただければと思っております。
 
また、多くの委員の方から、主語、時期、それから、主体、客体、この辺りを明確化したほうがいいというお話がありました。それぞれの個所で、できる限り記載させていただいたところがあります。
 
 17ページ以降に、今年、2つの分科会で議論いただいておりますが、その成果を別途資料でも配付させていただいておりますが、記載させて頂いています。前回も概要を資料で御説明させていただきましたけれども、最終版に近い報告書として配付させていただいておりますので、この2つの検討会の報告書についても、御議論いただければと思っております。
 
 あとは22ページ、アジアにおけるGXファイナンスの拡大について、日本だけでやっていても国際的な認知は得られない、日本とアジアというのは非常に近接した場所にもあり結びつきも強いので取り組むべきだが、他方日本でやっている取組をアジアに広げるんだということではなく、アジアの多様性をよく理解した上で、共同してやっていくことが必要、そういうご意見を頂き記載を改めておりますので、御確認いただければと思います。
 
 最後に28ページの人材育成です。前回、アンケートの立てつけなどについてもお話をいただきましたので、少し整理しておりまして、まず、ファクトとして、アンケートでどういう数字があったのかということを客観的に記載することを徹底しています。
 
 アンケートの含意を31ページ以降にまとめておりまして、同業他社の人材で期待が大きいのは、即戦力の人材が足りていない、業務的にも慣れた方であって、サステナビリティにお詳しい方というのをぜひ欲しいということではないかということで、例えば業界団体におけるネットワーキングが重要ではないかといった点を記載しています。
 
【水口座長】  ありがとうございました。
 
 それでは引き続き、有識者会議報告書の34ページを御覧ください。前回の議論で御指摘をいただきまして、終わり方として、コラムで終わっているのもどうかということで、「おわりに」とか、そういうものがあったほうがよいのではないか、こんな御指摘をいただきました。それも踏まえて、これは私の文章ですけれども、付け加えさせていただきました。タイトルを「おわりに」にすると終わってしまうみたいだという御意見があったので、英語にしたときに「Next Step」となるように、日本語でも「次のステップ」と書いてみました。
 
 内容ですけれども、まず、この有識者会議設立以来、様々、進展もありまして、確かに情報開示も充実してまいりましたし、行動規範をつくったということも大きな成果だったと思いますので、こういったいろいろ進んだ点がありましたということを書いた上で、しかし一方で、いろいろ議論も起きているところで、特にアメリカでは反ESG的な動きもありますし、逆に皆様も、昨日、おとといですかね、PRIのウェビナー、聞かれたかもしれませんけれども、IFSI(Investment for Sustainable Impact)という概念を非常に強く打ち出している。日本の大崎さんという若手の期待の星が淡々と御説明されていましたけれども、サステナビリティインパクトのための投資というのは、インパクト投資とかインパクトファイナンスよりも広い概念として、サステナブルファイナンスの大きな方向性ということで提起されていますし、それをきちんと定着させていくための制度的なといいましょうか、仕組み的な枠組みについても、いろいろ御提言されている。そして、先日のウェビナーでは、それが日本だけではなくて、世界的にも大きな流れなんだという御指摘もいただいておりますし、そういう意味で、今、改めてサステナブルファイナンスの大きな方向性を議論し直す、ちょうどいい時期なのではないか。そして、それはまさに、この有識者会議のすべき役割なのではないのか。そういう意味で、サステナブルファイナンスという考え方は、おかげさまをもちまして大分定着してきましたけれども、その第1ステージから、さらにその内容を深め、実質化をしていく第2ステージへと歩みを進める時期ではないのか、こういうことを書かせていただきまして、本有識者会議は、これまでもその動きを俯瞰的に捉える役割を果たしてきた。これは前回の高村先生の御指摘をそのまま使わせていただきましたが、そういうことをしてきましたけれども、来年度以降、アセットオーナーをはじめとする関係者の裾野の拡大ですとか、長期的な時間軸の中でのインパクトの捉え方、さらには、民間ですべきことと政府がすべきことの役割分担、これも柳川先生からも御指摘いただきまして、そうだなと思っているのですが、こういったこと、大きな視点から、サステナブルファイナンスの向かっていくべき方向性について、ぜひ、来年度以降、少し頻度も上げて議論していきたい、こういうことをここに書かせていただいた次第です。
 
 以上、報告書の御説明をさせていただきまして、検討会の報告書はこれでいいわけですね。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  はい。
 
【水口座長】  それでは、ここから議論に入りたいと思います。議論の御注意ですけど、前回は、皆様、久しぶりにお会いになったということで、お一人お一人の発言がとても長くなりましたけれども、今回は間を置かずの開催でもありますので、発言の際は、1人ワンテーマ、最も重要なことから一つずつ話して、また次の人に渡すという形で、重要なことを順番に言っていくという形で、次の人へと順番を渡していただくというやり方でお話をしていただければと思います。KPIではないんですけれども、お一人2分以内ぐらいと思っておりますので、よろしくお願いします。また、議論の順番ですけれども、この報告書の中で初出、皆様が初めて目にされたのは多分「次のステップ」の部分ですので、まず、これについて御意見、それから、この文書だけではなくて、それと関わって、次年度以降、では、本有識者会議としてどういうことをしていきましょうかということについて御意見があれば、まず、いただきたいと思います。その次に、全体の報告書本体の中身について、さらに御意見があればいただきたいと思います。最後に検討会の報告書についても、2つございますので、順番に御意見をいただく時間を取りたいと思います。残された時間は1時間45分ぐらいありますが、30分、30分、30分ぐらいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 
 それでは、まず最初に、報告書の最後の部分の「次のステップ」と、それから、これに絡めた今後の有識者会議としての方向性などについて、御意見等がございましたらいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。御意見がある場合は札を立てていただきますか、オンラインの方は手挙げボタンを使っていただければと思います。どなたからでも結構です。いかがでしょう。
 
 意外に誰も言わない。どうぞ、林さん。
 
【林メンバー】  中身について、何のコメントもないというか、そのとおりと思っていたので、多分、皆さん、手を挙げていらっしゃらないと思いますというコメントです。
 
【水口座長】  ありがとうございます。支持いただいたということで。
 
【林メンバー】  はい。
 
【水口座長】  ありがとうございます。
 
 よろしいですか。はい、では、吉高さん。
 
【吉高メンバー】  ありがとうございます。私も何の違和感もないですけど、気になるのは、「脱炭素だけではなく」という言葉はとてもいいと思いますが今、異常気象が増えてきているので、「気候変動」というのはきちんと明示して、脱炭素を含んだ、「気候変動」というのをきちんと入れていただきたいなというのが私の個人的な考え方でございまして、それが気づいたことと、あと、3段落目ですけど、おっしゃるとおり、新たなことを議論すべき時期に来ているというのは本当にそうですけど、本有識者会議の在り方自体も改めて考えるというのも一つあるのかなと思っていて、会議自体の方向性についても議論すべき時期に来ているということで、例えば本有識者会議の在り方とかも、今後に向けて書いてもいいのかなと思いました。これまでの検討・議論の仕方をずっと続けるのがいいのか、そういうステージに来ているのかもしれないということでして、単なる感想でございます。ありがとうございます。
 
【水口座長】  ありがとうございます。「会議の在り方も含め」と書いておきましょうかね。すぐは変えられないと思いますけれども、在り方自体をいろいろ時間をかけて検討していくべきだと思います。
 
 それから、前段の御指摘もありがとうございます。気候変動問題は全く終わっていなくて、むしろこれからますます大変になるので、気候変動問題は極めて重要であるが、それに加えてというニュアンスをきちんと書くようにしたいと。
 
 では、足達さん、お願いします。
 
【足達メンバー】  ありがとうございます。
 
 34ページの次のステップについては、私も支持したいと思います。その上で、最後のパラグラフ、「本有識者会議は」と、一文字下がっていませんが、ここでアセットオーナーをはじめとする関係者の裾野の拡大、時間軸の中でのインパクト、役割分担と3つが挙がっているんですが、もし可能であれば、私は「受託者責任の考え方の整理」というのも大変大きな問題ですけれども、追加をしたほうがいいのではないかと考えております。もし、「受託者責任」という言葉がやや重いということであれば、これはPRIの引用に近くなりますが、「サステナブルファイナンスに関連する法令や社会規範の実行、監督、施行において脆弱である点の抽出」というのを、「長期的な時間軸の中でのインパクトの考え方」の次に挿入いただくのはいかがだろうかと、ご提案申し上げておきたいと思います。
 
【水口座長】  ありがとうございます。ちょうどPRIの議論でもまさにそこのところが言われていて、IFSIの報告書によれば、現行の法制度の中でも、手段的IFSIが排除されていませんし、さらにそれを明示してファンドをつくっている場合には、目的的IFSIを実行することももちろん明示しているわけですから、義務ということになりますし、そのことは、こちらの監督指針もそういう趣旨になっているわけでして、そういう意味では、受託者責任の範囲内ということではあるのかもしれませんが、そこのところはまだまだ明確な議論が必要ということはそうだと思いますので、その種の、少なくとも有識者会議の検討課題として挙げておくことには違和感はないのかなと。個人的には、後段で言っていただいた文章は何だか、意外とよく分からないので、受託者責任を……。
 
【足達メンバー】  考え方の整理。
 
【水口座長】  考え方の整理ぐらいであれば、特段、考え方を整理するだけで、何かするかしないかは別に有識者会議がするわけではありませんので、政府として考えてくださいということですので、そういう文言でもよいのかなと思いますけれども、御相談もしたいと思います。ありがとうございました。
 
 ほかにいかがでしょうか。
 
 藤井さん、お願いします。
 
【藤井メンバー】  ありがとうございます。最後のページでご指摘いただいたところは、非常に同感でありまして、多様な状況というのが、この1年で動いてきていると思います。さらにその後段の、関係者の裾野の拡大ということも必要だと思うのですが、多様な意見が出てくるということは、いろいろな立場の違いからの意見がぶつかるような形が予想されます。そういう意味で、座長もおっしゃられましたけれども、来年度、この有識者会議で行うのかどうかにもよりますが、それなりの頻度でやらないと、多様な意見がぶつかり合うだけで終わってしまう可能性があると思いましたので、今後の運営としてコメントです。ありがとうございます。
 
【水口座長】  ありがとうございます。今後の運営について、多様な意見がある中、頻度を高くということで、御指摘のとおりだと思いますので、できるだけ努力してまいりたいと思います。
 
 岸上さん、お願いします。
 
【岸上メンバー】  ありがとうございます。私も全体的な方向性として異論はなく、当有識者会議が俯瞰した立場での役割を担うことに賛同します。一言追加ですが、これから議論します別の報告書と関連しますが、やや俯瞰して見ますと、コンソーシアムインフレになりそうという気がしております。また、一言で同じコンソーシアムと名づけられていますが、中身として、官主導なのか、民主導なのかという濃さも違うかと思います。例えばこれらのコンソーシアムがどのようにそれぞれが重複せずに活用されるのかなど、この有識者会議で俯瞰した立場で改めて整理するというのも一つの役割としてあるのではないかなと思います。
 
 それと関連して、インパクト投資も、今おっしゃっていただいたようなIFSIというより広義なところでみると、グローバルヘルスのところのインパクトなども入ってくるかと思います。現状のインパクト検討会はスタートアップなどを中心のよりフォーカスした形ということで、そういったところの視点の俯瞰性も有識者会議側であるとよいのかなと思いました。
 
 以上です。
 
【水口座長】  ありがとうございます。後段のインパクトのところはおっしゃるとおりで、インパクト投資検討会が対象にするインパクト投資というのが比較的ターゲットをきちんと絞って成果を出していこうというものであるのに対し、有識者会議としては、もう少し幅広に、いろいろな考え方を取り入れていくということで、両方必要なのかなと思います。
 
 それから、コンソーシアムインフレは御指摘のとおりかもしれませんが、ここにコンソーシアムインフレは書きにくいので、申し訳ないですけど、お気持ちは受け止めて、そういう長期的な議論もなくしていくようにということで。はい、ありがとうございます。
 
 ほかに、いかがでしょう。
 
 ほかに、よろしいでしょうかね。
 
 それでは、今いただいたような御意見を少し酌み取って、もうちょっと修文したいと思います。後ほど申し上げますが、最後は一任していただくという感じになります。
 
 それでは、ここ以外の、いろいろ個別に御指摘をいただいて修文していただいていると思いますけれども、報告書の個別、前段部分について、もし、まだここはちょっとというところとか、確認したい内容とかがございましたら、報告書について御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 
 では、まず、林さんからお願いします。
 
【林メンバー】  さっき申し上げようかどうか悩んでいたんですけれども、報告書の1ページの下のほうにGXについての言及があって、GX経済移行債、150兆円のGX投資を実現という、これは実は我が国にとってすごく大きなテーマで、最初に取り上げていただいているんですが、本文中でどこにも触れられず終わってしまっていいのか、サマリーの中にも、どこにもGX経済移行債のことが触れていなくてGX実行会議のメンバーだから言うわけではないんですけど、150兆円も含めたサステナブルファイナンスが日本のサステナブルやGXに貢献するためなので、本文中でもどこかで触れるべきではないかと思います。私だったらどこに入れるかなというのも一応考えてみたんですけど、あえて言えば19ページの、脱炭素等に向けた金融機関等の取組とc)のアジアにおけるGXファイナンスの拡大、この辺りのどこかに、GX経済移行債を一つの道しるべとして、金融機関が資金を投入できるようになるといいな的なことを1行でも2行でも入れてはと思います。国の政策の根幹だと思うので、入れたほうが落ち着きがいいのではないかとも思いましたので、御検討いただければと思います。
 
 以上です。
 
【水口座長】  GX経済移行債の入れ方については、皆さん、少し御議論いただきたいと思いますが、その前に、手が挙がっていますので、まず、長谷川さんからお願いします。
 
【長谷川メンバー】  ありがとうございます。どの部分で発言しようか迷っていたのですけれども、インパクト検討会の報告書に関する意見かもしれませんが、こちらで発言させていただきます。経団連の建設的対話ワーキンググループで、このインパクト投資について議論していますが、その中でも、以前も申し上げましたが、地域活性化、少子高齢化、ヘルスケアなどに関するデータは、なかなか民間企業ではアクセスできない面があって、地方自治体や府省庁が持っているものが多いということが指摘されています。今回のインパクト投資の検討会の報告書は、全てがコンソーシアムに委ねられている面があり、コンソーシアムで検討していきましょうということになっているので、官が主導すべきということではないですが、検討会の報告書では「官民多様なステークホルダーの参画、連携を得て」となっているので、有識者会議の報告書でもその点を強調していただきたいと思います。投資家と企業だけが集まって、事例の共有とか、一生懸命知恵を出し合うことももちろん重要ですが、政府及び地方自治体の参画、連携も非常に重要だと思っております。有識者会議の報告書での書きぶりが、ややその点が弱いように思うので、御検討いただければと思っております。
 
 その関連で言いますと、先ほど水口先生から御提案いただいた最後のページ、私も全然違和感なく、非常によくまとめていただいていると思うのですが、まさに「市場の自律的判断に委ねること」と「政府が政策的に支援すべきことについて議論を深めるべき」というところは、インパクト投資に関する検討についても同じことが言えると思います。投資家、企業が自律的にやっていく部分と、特にデータ基盤の共有、整備ですとか、もしくはコンソーシアムで、これが重要な指標だ、データだと民間で合意ができたとしても、では、誰がそのデータを整備するのか、インフラ整備の部分は誰が責任を負うのかといったことが課題になるのではないかと思っております。有識者会議で、それらの課題についても、少し俯瞰的な立場から検討してはどうかと思っております。
 
【水口座長】  ありがとうございます。今のは23ページ、24ページ辺りのインパクト投資のところ。
 
【長谷川メンバー】  はい、そうです。
 
【水口座長】  御指摘のように、確かにデータ基盤の整備などは官がやったほうが効率的なところとかもありますので、「官民連携して」ということをきちんと書き込むようにと思います。ありがとうございます。
 
 では、お願いします。
 
【藤井メンバー】  ありがとうございます。極めてシンプルな提案ですけれども、表紙のところで、第1回、第2回の報告書ではたしか副題があったと思うんですけれども、今回も何か副題があったほうがいいかなと思いました。と申しますのは、印刷して表紙を見ると、やや平板に見えるので。表題の下に副題があった方が目を引くように思いました。
 
【水口座長】  藤井さん、副題、何かください。
 
【藤井メンバー】  例えば、こちらの概要資料の1ページ目では、「サステナブルファイナンスの深化」となっていて、これでもいいかなと思いました。
 
【水口座長】  はい。では、仮置きで、副題はそのようにさせていただきたいと思います。
 
 では、河本さん。
 
【河本メンバー】  全銀協の河本でございます。
 
 前回、中小企業を含めたエンゲージメントの裾野拡大が重要であると申し上げ、全銀協の取組を少し御紹介しました。その観点で、今回まとめていただいた第3次の報告書で、次に何やっていくのか。先ほど西田さんから、主語のところはいろいろと難しいが、官民全体でやらなければいけない部分も多いというお話がありました。それに関連して、エンゲージメントを進めていく上で、そのツール自体の普及と、あとはアップデートということで、まだまだドアノックツールにとどまっているところがあります。初めの一歩から第二歩、第三歩と、今後、具体的に何をやっていくのかということになります。まずは、排出量の計測になっていくと思います。データ整備の標準化というのが非常に大事であると思っています。先ほど水口座長からも、いろいろ課題とか論点広がっているという話もありました。手前で急ぐのが計測のところだと思っています。計測を基に、みんなが行動を変えていくということだと思うので、これは急ぐ分野だと思っています。さらに、その大前提として標準化を図っていかないと、みんながばらばらのものを求めていくということになります。中小企業においても、欧州の企業と取引している企業はいろいろな報告を求められてきているという話もあります。このままだと、いろいろな金融機関、いろいろなサプライチェーンの中でばらばらのデータ提出が求められていくので、標準化のところは本当に急ぐ分野だと思います。これについては、官民しっかり連携して、入口のところで仕組みをつくっていく分野だと思います。この主語のところはそういうことだろうと認識しています。引き続き、連携をさせていただければと考えています。
 
 以上です。
 
【水口座長】  ありがとうございます。
 
 御指摘のとおりで、特にスコープ3も含めた排出量データの集計は、それぞれがばらばらにアンケートなどをし始めますと大変なことになってしまいますので、どこかで標準化をして決めていかないといけないだろうと。ちょうど10ページのところにNZDPU、フランスを中心にそういう動きもあるということも書かれていて、日本としても、ここはおっしゃるとおりで、民だけでできないことですよね。きちんと対応していく必要があるのかなと思っております。
 
 では、竹内さん、お願いします。
 
【竹内メンバー】  生命保険協会の竹内です。よろしくお願いします。
 
 報告書全体については、いずれも内容はごもっともだと考えていますので、特に何かここを変えてほしいという点はありませんが、関連するところで一言だけコメントさせていただきます。
 
 19ページ以降で、b)脱炭素等に向けた金融機関等の取組が、我々機関投資家である金融機関として特に関連すると考えております。
 
 20ページの下段から、今後の課題と対応の方向性が示されていますが、我々もネットゼロに向けては、金融機関と企業の対話のさらなる充実というのは本当に大事だと思っています。それに伴って、取組の実践のための様々な考え方等が幅広くなっていますので、その共有がますます重要だと実感しているところでございます。
 
 関連して申し上げますと、トランジション・ファイナンス全体の好循環という言葉がありますけれども、それを進めていく上では、各企業でやっていただいているようなネットゼロに向けた実行的な移行計画、これを金融機関も含めてしっかり共有されることがとても重要であると考えています。報告書にも記載していただいていますけれども、現状としては、企業単位での排出削減の経路等について定まった基準が存在するものでもありませんので、各企業の皆様も試行錯誤しながらやっているのだろうという現状認識を我々も強く持っています。この点については、別の検討会報告書に記載していただいていますが、例えば、GHGの多排出産業を中心に、経産省などのトランジション・ファイナンスに関する技術ロードマップが順次策定されているものと理解しています。これらのロードマップが各企業の移行計画の策定に参照されていくものと承知していますが、こういったロードマップの活用などにつきまして、各企業の移行計画がより実効的なものになるように関係者間での議論を今後さらに深めていくことが大事だと思っています。
 
 我が国が置かれている状況を踏まえまして、こういった取組について、国際的な理解もさらに促進していくことが、我々のような金融機関、機関投資家としての各企業の脱炭素に向けた取組を支援する後押しになっていくのだろうと考えています。
 
 我々、生命保険業界としましても、企業のより実効的な移行計画の策定や共有を促進して、引き続きしっかり取り組んでいきたいと思っておりますので、引き続き政府一体で各種取組も推進していただければと考えています。ありがとうございます。
 
【水口座長】  ありがとうございます。
 
 政府、いろいろな各省庁がそれぞれ取り組んでおりますので、連携してということでお願いいたします。
 
 1つだけ、林さんから御提起いただいたGX経済移行債の入れ方ですけれども、もし皆さんから、ここにこういうニュアンスで入れたらいいよという御意見があればいただきたいと思います。林さんからは、政府として移行債を出すのですから、それを呼び水にして、金融機関、きちんと20兆から150兆に行かなければいけないので、150兆の資金をきちんと出ていくようにというようなニュアンスのことが書ければいいというお話ですか。
 
【林メンバー】  そうですね。かつ、政府に対しても呼び水になるようなGX移行債を出してほしいし、それを民間は活用すべきということで、どっちかだけの問題ではないと思います。
 
【水口座長】  民間が出しやすいような、呼び水になるような使い道という。
 
【林メンバー】  使い道と、それを踏まえた民間の積極的な投資とつながるのが理想だと思うんですけど。
 
【水口座長】  その辺、もし何か御意見があれば。よろしいですか。
 
 では、手塚さん。
 
【手塚メンバー】  使う側の立場でしかできないのかもしれないので申し訳ありませんけど、実はそれって物すごく重要なポイントでして、20兆円の移行債のお金を政府が出したからといって、150兆円の官民の投資が起きるということは全く因果関係はつながっていないわけですね。過去にも日本では、研究開発は成功したけれども、設備投資は中国で行われたという類いの案件はいっぱいあるわけで、そうならないためにはどうするかということも含めて、これまだこれからの話なので、議論の余地がいっぱいあると思います。実際は、一発で20兆円を出すわけではなくて、10年かけてやるという話なので、最初は10分の1なのか8分の1なのか分かりませんけど、そういうふうに積み上げていく話だと思いますから、最初の制度設計と、それを途中で、PDCAでもないんですけれども、いろいろな経験や実績を踏まえて改善していくというようなプロセスも含めてやっていく必要があるんだろうと思います。そういう意味では、最後の水口先生が書かれた34ページの政府の役割、民間の役割というところにも、実際に政府が巨大な資金投入を行って呼び水にするものが最終的に民間の自律的な投資につながるような制度設計につなげるための方策についても、これは金融側だけの検討ではないと思うので、産業側の検討も必要だと思いますけれども、ここの場でも議論していく必要はあるのかなと思います。
 
【水口座長】  ありがとうございます。おっしゃるとおりですね。10年かけてやっていくんだから、少し様子を見て、きちんと受け入れられるもの、受け入れられないものとか、技術が本当に見えてきたら、では、もっと進めるかとか、そういうことをきちんと、おっしゃるようにPDCAを回しながらやっていかないといけないんですね。確かに将来が見えないこともいっぱいあるわけですから、そこのコントロールは非常に重要です。それは、それこそ官民連携してやっていただくしかないということですかね。はい。ということを……。
 
【林メンバー】  その観点で追加してもいいですか。
 
【水口座長】  はい。
 
【林メンバー】  本当どうしようかなと悩んでいたんですけど、国債を出しますということで、それから、民間の企業もそういう投資をするための資金をマーケットで調達しますとなると、今回のこの報告書の中にも個人投資家に対する機会の提供というのがあって、本当は個人のNISAとか、いろいろなことをやっているわけですから、そのお金も行かなくてはいけないということだと思うので、本当に大きなテーマがゆえに、どこにもはまらないなと思って悩んでいたので、本当にサマリーで軽く触れるか、ネクストステップのところで触れるか、当然、金融機関だけの取組でもないので、横断的課題なのかもしれませんし、それは当局のお考えもいろいろだと思うのですけれども、これは外してはいけない、本当にみんなで考えなくてはいけないテーマだと思うので、どこかに入れていただきたい。なので、答えはありません。すみません。
 
【水口座長】  答えはないんですね。
 
【林メンバー】  答えはない。
 
【水口座長】  ありがとうございます。
 
 でも、おっしゃるように、確かに国内の資金も2000兆円あるわけですから、このお金がきちんと回ること。それから、海外の投資家もきちんと喜んで投資してくれるとか、海外からもきちんと入ってくること、その両方必要で、そういうことの納得感といいましょうかね、納得感のある仕組みをつくっていかないといけないのかなと思いました。どういうふうに入れたらいいのかは、では、こんな大変な宿題を残しますけれども、金融庁の皆様に考えていただこうと思います。
 
 ほかにいかがでしょうか。
 
【吉高メンバー】  今の点ですか、ではなくて、今の点?
 
【水口座長】  何でもいいです、今の点でなくても全然。
 
【吉高メンバー】  今の点、さっき林さんはどこに。
 
【林メンバー】  最初は3のb)かなと思ったけど、3のb)だけではないよねという話を今、しました。
 
【吉高メンバー】  でも、b)にも一応入れておかないと、最初と終わりだけでも何か変な話。今の点は金融庁にお任せします。
 
【水口座長】  報告書について、もし、ほかに御意見があればと思いますが、いかがでしょう。
 
【吉高メンバー】  では、報告書について。
 
【水口座長】  はい、どうぞ。
 
【吉高メンバー】  基本的に異存はないので、この概要は結構重要だと思って、入れていただいて本当にありがとうございます。確認ですけど、太字と線の引き方にばらつきがあるのかなと思っています。例えば1枚目に関しては、左上の(2)市場機能の発揮の2ポツ目で「アセットオーナー」、「アセットマネジャー」だけが太字と下線が入っていて、何をするのということまでが示されていないので、ほかの箇所は何とかの推進とかまで太字と斜線が入っているんですけど、「アセットオーナー」の「マネジャー」だけが強調されると何のことだと思ってしまいます。その左下の(4)その他の横断的課題の2ポツ目で「地域の」となっているんですけど、「地域の」なのか「地域金融」なのか「地域機関」なのか、またそれに対する金融庁のサステナブルファイナンスの役割というのが見にくかったりとか、右下の(3)金融機関の投融資先支援とリスク管理の1ポツ目にはいきなり「シナリオ分析」と入っているんですけど、下は「ネットゼロを目指す」とあったりとか、前も申し上げたように、皆さん、概要って結構御覧になると思うので、特に太字、下線は、そこだけ見ても分かるように工夫を凝らしていただければなと、まず思いました。
 
 次の進捗と課題というのも、整理していただいてありがとうございます。このときに、下線と、それから、進捗と課題の整理がよく分からなくて、検討とか議論というのがついている場合が課題なのか、進捗はどこまでして、どこが課題なのかというのが、この文章だけで、私自身分かりにくかったので、御説明いただければいいなと思いました。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  1ページの下線のところは、今お話をいただいて改めて思いましたが、例えば(1)の企業開示の充実ですと、サステナブルの記載欄をつくったという過去のアクションであって、かつ、テーマとして重要と思われるところに線が引いてあって、ただ、ここは多分むしろ、過去のアクションよりも、今後この記載欄が充実されるように、日本での国内基準とか、事例集約とか、様々なアクションが重要で、そうすると、アクションのところに下線を引くということで統一すれば分かりやすいかと感じまして、もしそれでよろしければその方針で修正を致します。
 
【吉高メンバー】  全体的に。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  全体的にですね。今のは例示ですけど、他のところについても。
 
 2ページ目は、例えば、オレンジ色の一番上のシナリオ分析ですと、シナリオ分析というのを1年間かけて行い、その結果を8月に公表した、その結果の中に、課題が、例えばシナリオ分析の手法、バックアップに使っているデータの充実、そういった次の課題が指摘されており、過去の取組みと次のアクションが捉えやすいに思います。他方、案件が継続してしまっているようなもの、具体的なアウトプット途上でこの時期には見えづらいものについては、継続的に議論が続いているので、今後更に進めていくというニュアンスをできるだけ具体的に書かせて頂く、そういうことでご趣旨に合っていましたでしょうか。
 
【吉高メンバー】  どうもありがとうございます。
 
【水口座長】  では、精査していただいて。
 
【吉高メンバー】  すみません。
 
【水口座長】  そうかと思いました。1枚目は「アセットオーナー」、「アセットマネジャー」というところだけ黒字になっていて、ほかは何か、確かに「提供」とか「活用」とかと書いてあるのにということですよね。うん、なかなか、動詞が離れているから難しいですよね。全部黒塗りにしてしまうということでよいのか。
 
 あと、2枚目は、きっと6月までのものは一応進捗で、その先のものは課題だけど、おっしゃるように、生物多様性みたいにつながっている部分は進捗と課題が混ざっていますねということかもしれませんけど、見直していただいて、できる範囲で直していただければと思います。
 
 ほかにいかがでしょうか。
 
 はい、岸上さん。
 
【岸上メンバー】  細かい点で、関連してですが、私も2ページ目を読んでいて、課題はどこなのかと正直分かりづらいと思いまして、課題というよりも課題を踏まえて次の進捗を書いていらっしゃるのかなと思いました。なので、題名で「課題」と入れないほうが読みやすいのではないかなと個人的には思いましたが、皆様、異なる御意見があれば、ぜひ伺いたいと思います。
 
【水口座長】  「全体像」だけで、括弧はなくてもいいということですかね。「進捗」だけ書きます? なくてもいいのかな、そんな気もしますけど。「進捗」と「アクション」にしましょうか。今後の取組? アクション? お任せします。
 
 では、林さん、お願いします。
 
【林メンバー】  2枚目の資料で、さっき、GXのことを考えるときに、本文とこの表を見ながら、うーんと思いながら読んでいて、ふと気がついてしまったんですけど、「金融機関」と「投融資先支援」と「リスク管理」っていうのがあって、右側のアジアGXの下に「地域金融機関や中堅中小企業への支援、拡充の浸透」とあるんですが、本文中には投融資先支援のことが一切触れられていないんですね。なので、本文と整合していなくて、地域の話は横断的課題のところに触れられているので、これと文書を読み合わせながら読むと、ここのパートだけ抜け落ちているようにも思いましたので、中身としては全然間違っていないと思うんですけれども、本文とそろえたほうがいいかなという、物すごい、つまらないコメントですみませんが、一応、念のためと思いました。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  おっしゃるとおりです。
 
【水口座長】  おっしゃるとおりということで、ありがとうございます。
 
 ほかにいかがでしょう。
 
 よろしいでしょうか。
 
 それでは一旦、本体の報告書の議論はここまでにさせていただきまして、今、少しずつ出ておりましたけれども、検討会の報告書についても御意見をいただきたいと思います。有識者会議の下に2つの検討会をつくって、検討会で検討していただきました。しかし、この検討会は有識者会議のメンバーの方にも入っていただいていますが、そうではない方にもお入りいただいて、検討会として、知見を持った方にお集まりいただいて、御議論いただいて、検討会としての報告書をつくっていただいたものです。なかなか有識者会議との関係性、明確ではないのですけれども、有識者会議の下に設置しているものですので、検討会からの御報告をいただいた上で、コメントがあればいただきたい。もし、非常にクリティカルな問題があれば一旦差し戻すということもあるのかもしれませんが、基本的には、以前、行動規範のときにも北川先生に御説明いただいて、皆さん、御納得いただいたということですので、ああいう形になるのかなと思ってはおりますが、まずは、それぞれの報告書について御意見をいただきたいと思うんですが、順番に行きたいと思いますので、まず、脱炭素等に向けた金融機関等の取組に関する検討会報告書、こちらの中身について、もし、御意見とかコメントとか御感想とかがあればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 
 これは少しぐらい説明……、まずは林さん。
 
【林メンバー】  岸上さんが。
 
【水口座長】  岸上さん。
 
【林メンバー】  いやいや、どうぞ。
 
【水口座長】  では、早い順で岸上さんからどうぞ。
 
【岸上メンバー】  ありがとうございます。
 
 当検討会に関わっていない素人目線で報告書を読んだ上で何点かコメントします。まず、4ページ目に「融資など」と書かれていて、主に銀行や保険会社ということですが、投資以外ということで、これは保険引受けもカバーしているという認識でよろしかったでしょうか。それが分かりづらかったので教えていただければと思いました。
 
 先ほどの有識者会議の報告書でも言及がありますが、23ページ辺りのGHG排出量データの整備が非常に大事だと思います。当然、これは融資目線だけではなく、投資においても共通するかと思いますので、そこで、どうやって連携してプラットフォームを情報整理するような言及があってもよいのではないかなと思いました。
 
 あと、この有識者会議の報告書の初稿もそうですが、コラム1で終わっていらっしゃるので、こちらも何かしら次のステップがあったほうが、読み手としては次が分かりやすいと思いました。
 
 最後に、個人的に重要と思った点ですが、29ページで、リスクマネーの供給に言及があったかと思います。GX、トランジションを行う際におきましては、必ずしも融資が的確ではなく、投資の方が向いていると書いてあるかと思います。その書きぶりの印象ですが、ともすれば金融機関向けの報告書でありながら、投資のほうが向いていると読み捉えてしまいましたので、それが、こちらの認識違いでしたら、少し書きぶりは違うほうがいいのではないかと思いました。
 
 それに関連して、貸し倒しがないようにリスクマネーとしての投資という目線の中で、でNISAの活用に言及があります。この流れで言うと、個人投資家にリスクを負わせるような印象を与えかねないと思いました。以前人気があった、かつ、個人投資家のリスクが削減されるような形の商品としまして、国際機関が担保するようなワクチン債等があったと思います。国内におきましてもブレンデッドファイナンスのような形で、個人投資家のリスクをある程度削減するような形で、その個人投資家も巻き込んでいくような形のものが必要なのではないかと感じました。
 
【水口座長】  ありがとうございます。まず最初のところは簡単な話で、確認ですけども、これは融資と保険引受け的なものも射程に入っているんですか。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  排除するものではないと思うのですが、投融資がメインでして、多くが投融資について書かれています。

 例えばファイナンスド・エミッションについては非常に文面を割いているんですけれども、ファイナンスド・エミッションは、保険引受けの部分というのは今は別計算になっていて、その部分は今後議論が進んでいくことになると思います。このため、保険会社であって投融資のご担当ではない方にももちろん読んでいただければとは思うものの、すぐにその部分が主の対象であるかというと、そうではないと思います。
 
【水口座長】  ありがとうございます。それと、終わり方に関連して、ネクストステップ的なことを書いていいのかどうかは、この検討会のこの先にも関わると思うんですが、実はインパクト投資に関する検討会はまだ終わらないで、この先、基本的指針の案を最終化するということもありまして、インパクト投資に関する検討会は続くということで一応合意をされているんですが、こちらの検討会はどうなるのでしょうか。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  こちらは5月末に最終回を開催しまして、基本的には提言を出しまして一旦は会としては閉じて、ということにはなっています。
 
 今後更にどういう対応が必要かといった点は、このサステナブルファイナンス有識者会議の全体の中でも御議論いただけることだと思いますので、ネクストステップなどについては、我々のこの会議で議論・記述をいただくということは考えられるかと思います。
 
【水口座長】  なるほど、分かりました。では、検討会自体は一旦は終わるという。必要があればまた新たに考えるということのようであります。
 
 それと、このリスクマネーの部分について、これはもちろん地域金融機関等ということになっていますから、リスクマネーの供給主体も対象に入っているということかなと思いますし、地域金融機関も近年では出資等もできるようになっておりますので、そういうことも含めてとは理解しておりますが、もし何かコメントがあれば。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  ここは私の理解ですと、この報告書では、銀行や保険会社の投融資の話をずっとその前段でしてきて、ただ、金融機関だけでなく、多様な主体による参加が資金全体として厚みを増すことにもなるし、社会全体としての取組みへの参画ということにもつながっていくので、一番最後の提言に入っている、ですので、金融機関のエクイティ出資というものもあり得るのだと思いますけれども、どちらかというと金融機関以外の、個人も含めた幅広い方の参画を意識した趣旨と理解しています。
 
【水口座長】  なるほど、分かりました。
 
 では林さん、お願いします。
 
【林メンバー】  まず、2点言ってもいいですか。3分でしゃべりますので。
 
【水口座長】  どうぞ、2点で。
 
【林メンバー】  最初は細かい点ですが、7ページ目の一番下から2行目ですけれども、ファシリテーテッド・エミッションのところに「株式の引受けやM&Aアドバイザリー等」とあるのですが、債券のほうが多分、今はマーケットとして大きいと思うので、「債券」という言葉を入れていただいたほうがいいか、あるいは「証券」とするか、ここはお任せしますけど、株よりはボンドの引受けどうするの、みたいなのが結構ありますので、「債券」という言葉を入れていただいたらと思います。
 
 大きな話として、この報告書を読んでいて、皆さんの苦労が透けて見える報告書だなと、正直言うと思っていて、物すごく今起きていることを包括的にまとめていただいていると思うんですが、副題として「提言(ガイド)」というふうにあって、「提言」と書いてあって、どこが提言なんだろうと思って一生懸命読むと、さっき事前に藤井さんにも御意見をお伺いしたのですが、この目次で見るところの6番の、論点の中のポートフォリオ、ネットゼロに向けた事項の中にガイド1から5とあって、ガイドだけを読むと、提言というよりは課題を整理したとしか、正直言うとあんまり読めなくて、何となく、私も金融機関としてこれを読むと何か実践できるかなと思って読むと、まだ課題がたくさんありました、みんなで考えよう、という中身なので、提言とかガイドという表現で、もう今さら変えられないかもしれないんですけど、若干、提言というかガイドというか、現状の取りまとめというか、というふうに読めてしまったので、言葉を選ばず言うと少しミスリーディングだなと。
 
 でもこれはきっと皆さん、まとめられる中で相当議論があったと伺っていますので、ひっくり返すつもりはないんですが、そういうふうに読んだ人が、そしてガイドと提言はどこ、というのが読みにくいなというのが正直な気持ちでございました。
 
 以上です。
 
【水口座長】  ありがとうございます。このガイドの部分だけ提言なので。多分。
 
【林メンバー】  例えば、排出量の整備というので金融機関に対する提言で、さっきの話じゃないですけど共通プラットフォーム、民間だけでやるのとか、いろんな話があるので、何となく金融機関に整備してねと言っているわけでも多分ないと思うので、そこが微妙だなあと思いました。
 
【水口座長】  ありがとうございます。御検討いただいて。
 
 河本さん。
 
【河本メンバー】  全銀協の河本でございます。金融機関等の取組に関する報告書になりますので、発言をさせていただきます。
 
 内容は、本体の報告書で議論されている各項目のブレークダウンし、より具体的に示していただいているものということですので、大きな記載のところは違和感がないと考えております。先ほども出ました、要はリスクに応じたファイナンスです。リスクを正しく認識して、計測して、その上でリスクを分散していくということです。先ほど出ました官民でGXに関連して投資していく必要がある150兆円のうち20兆はGX債。残り130兆円を官と民がうまく協調し、調達の方策を考えている必要があります。これをブレンデッドファイナンスと言われているものも含めて、どう調達していくかの議論につなげていく礎になるものだと思いますので、非常に重要な記載だと考えています。
 
 もう1つは、西田さんもおっしゃっていたファイナンスド・エミッションのところが、ファイナンスを供給するにしても、それを正しく国際的にも認知してもらわないと、資金供給して逆行しているのかとなってしまいます。今こういう議論をしていて、このように継続してやっていこうということですけど、国際的な認知の議論をしていく中で、また変わり得るものだと思います。その辺が、この報告書の終わり方というのが大変気になっています。
 
 検討会はもうこれで終わりということだとすると、これをどこで引き継いで議論をしていくのか。本体で議論していくのだったらそのように引き継いでいかなきゃいけないと思います。ファイナンスド・エミッションのところは大変重要な論点だと金融機関としても思います。ここで議論が終わるわけではないので、その辺りをぜひ考えていく必要があるかと思います。
 
 以上です。
 
【水口座長】  これを引き継いでいくのは本体ということになりますかね。
 
【河本メンバー】  そうですね。
 
【水口座長】  はい。引き続き一緒によろしくお願いいたしますということかと思いますが、御指摘ごもっともです。
 
 せっかくですから、藤井さんと吉高さんにはそもそも議論にも参加をしていただいたということで、もしコメントなどいただけましたらと思いますが、いかがでしょうか。
 
【藤井メンバー】  ありがとうございます。2点コメントさせていただきます。
 
 先ほどの林さんのコメントにつきましては検討会でも議論になったところですが、これは報告書案の4ページの「本報告書の位置づけ」の3段目になりますが、まず、「本報告書は昨年のガイダンスを基礎としつつ、金融機関が企業支援を図っていくに当たって具体的にどのような実務的課題と論点が現時点で存在するか」について、色々な論点をずっとまとめてみて、その上でこれらにどのような対応が考えられるかというのを「実務的な提言(「ガイド」)」、として後で5つ出てくるということで、この報告書の位置づけを明確にしようという議論がございました。そうした「位置づけ」を、このページで読み取れるかというところは、確かに御指摘のところはあるんですけども、検討会としては例えば、GFANZであったり、中小企業の話であったり、いろいろな意見を聞きながら、課題を一旦棚卸しした上で、現実的に何ができるかという構成の議論をさせていただいたということでございます。
 
 それから、先ほどの岸上さんのリスクマネーのところについては、これは検討会で私から議論させていただいたところなのですが、150兆円もの資金を全部デットで調達してしまうと、これは事業会社さんの格付にも影響いたしますし、そもそもそれは正しい姿ではなかろうと。そのためにはエクイティとデットの適切なバランスがあってしかるべきという問題意識もございまして、リスクマネーの供給を呼び込むといった問題意識も含めてバランスを取っていくべきだという議論がございましたので、報告書の記載の背景ということでコメントさせていただきます。ありがとうございました。
 
【水口座長】  ありがとうございます。
 
 吉高さん、もし何かコメントがあればいただけますか。
 
【吉高メンバー】  今もう藤井さんが全部言ってくださったので。この検討会としては、このサステナブルファイナンス有識者会議で、とてもGXですとか脱炭素について議論があったので、それをとにかく深掘りしたというもので、本当に皆さん、すごい作業をしていただいたと思っています。今回終わりということですけど、今日出たように、まだリスクの面とか、それから、いかに資金を回していくかという、ファイナンスド・エミッション以上にやらなくちゃいけないことなどまだ検討することがたくさんあると思うので、引き続きこれを当局で深化させていっていただければというふうに期待しているというところでございます。ありがとうございます。
 
【水口座長】  ありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。
 
 どうぞ。
 
【手塚メンバー】  1つだけコメントいいですか。私、これあまり全体をよく読んでいるわけじゃないんですけども、この24ページから後ろに、<ガイド3>というところで、パスウェイに照らした排出経路の適格性とありますが、ここに書かれていること自体は特にどうこう言うつもりはないんですけれども、27ページの一番最後のパラグラフの1つ前に、金融機関においてはパスウェイのフレームワークを参照しつつ、企業と対話をしながら野心的云々、これはこういうことで、ぜひやっていただければいいと思いますし、パスウェイについては日本政府、経産省がつくっているようなものも含めていろんなものがあるので、そういうことを参照しながら対話してやりましょうというところで、サポーティブであると同時に無害な話になっていると思うんですけども、最後の部分は、これ私、ここにこういうふうに書くと大変なんじゃないのかなと思うんですね。
 
 というのは、カーボンバジェットという概念があって、2050年までにこれから出していいという、これはIPCCの一番新しい報告書だと1.5℃目標達成のためには500ギガトンと書いてあるわけです。これを政府に求めるということが書いてあります。グローバルなカーボンバジェットの状況において、政府がしっかり管理をしていく。
 
 これって、国連の気候変動枠組み条約の交渉とかの中でも、カーボンバジェットを各国・地域にどう割り振るかという交渉は一切行われていないというのが私の認識で、それを始めると解がなくなるわけです。2050年までに日本は何ギガトン出していいとか、アメリカは何ギガトン出していいとか、インドは何ギガトン、もしかしたらインドは500ギガトン全部出す権利があると主張するに違いない、そういう状況で、交渉するということすら合意できていない話を、「政府がしっかりと管理していく」ということを書いておくというのは、どこにもそんなことは合意もされていなければマンデートにもなっていないんじゃないのかなと思います。
 
 カーボンバジェットというのは、割り振りの議論は触れてはいけないタブーのような気が、私はしています。そこだけ違和感があったのでコメントをさせていただきます。
 
【水口座長】  カーボンバジェットがあること自体は事実ですよね。これは科学的な事実として1.5℃目標を実現しようと思えば、どこかに、グローバル全体でカーボンバジェットがあることは事実だけど、御指摘のようにそれをどう割り振るのかの議論というのは物すごくシビアな難しい問題で、そこは結局、解はないということなんだと思いますけども、ここでは多分、カーボンバジェットの重要性を指摘した……。
 
【手塚メンバー】  それはいいと思うんです。
 
【水口座長】  ですよね。ですけど、書きぶりということですかね。
 
 もしコメントがあれば、どなたか。
 
【手塚メンバー】  「管理」という言葉が、何を管理するかも含めて問題かなと・・。
 
【藤井メンバー】  ここのところは、事務局さんとも御相談したところですが、13ページの下から5行目の、「加えてカーボンバジェットの観点にも留意が必要である」という記載が出発点だと思います。
 
 そういう意味でいいますと、今御指摘のとおり、確かに「管理」というのは、解釈の幅が広いので、13ページとの整合性でいうと、ここで言っている「管理」とは、「モニタリング」というような感じで書かれているんじゃないかなと私は理解しています。
 
【水口座長】  モニタリングという意味ですね。それはそうですよね。
 
【手塚メンバー】  であれば別に違和感はないです。
 
【水口座長】  根本先生が座長でいらっしゃいますので、ここで勝手にどうこうということではありませんけども、一旦根本先生にも御相談いただいて、いや、この表現でいいですということであればそれでいいと思いますが、御指摘のような誤解もあってはいけませんので。英語にしたときにこれが、コントロールになるのか何なのかというのはとても気になりますので、御相談いただければと思います。ありがとうございます。
 
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 
 それでは、引き続きましてインパクト投資等に関する検討会の報告書につきまして、御意見、御質問等、あればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 
 いかがでしょうか。こちらは私と渋澤さんにお入りいただいているということですよね。
 
【足達メンバー】  あえてというぐらいの気持ちで伺うのですが、この4つの要件というのを定められたということで、4のところの新規性の支援という部分について、1、2、3に比べてどういうニュアンスが強調されているのかと質問させてください。これは議論に参加していないがゆえに、水口先生から御説明を受ければ分かるのかもしれませんが、投資ですから投資する側が評価をするという時に、新しさの判断とか優位性の判断って、相対的な側面も相当あると思いました。そこの部分をあえてこの4番目に挙げられたことの意図みたいなところを、もしお伺いできれば理解が促進されるというふうに思いました。
 
 1、2、3はある意味では客観的で、Aという投資家とBという投資家の、それほど大きな差異は出てこないのかなと思うんですが、4のところ、いかがでございましょうか。
 
【水口座長】  ありがとうございます。私が答えていいんですかね。
 
 御指摘のように、この1、2、3と4は少し毛色が違う感じがいたします。国際的なインパクト投資の定義というのは、環境的・社会的にポジティブなインパクトを、測定可能なポジティブなインパクトを意図して追求するということを、金融的なリターンと併せて追求するもの、これをインパクト投資と呼ぶのでありまして、意図があること、追加性があること、そして測定管理をするということ、それが金銭的リターンと両立する、こういうことをインパクト投資の基本的な要件というふうに国際的には捉えています。
 
 議論の中で、特に日本では、このインパクト投資なるものが収益と両立しないのではないかという非常にネガティブな議論もある中で、確かにビジネス・アズ・ユージュアルなままではなかなか、現状がこういう状況である中で課題が残っているものですから、全く従来と同じ活動でインパクトとリターンが両立するということはないはずなので、何らか新しい考え方とか、新しいアイデアとか、技術革新ですとか、ビジネスモデルの変革とか、何かがないとインパクトの追求とリターンの両立は難しいのではないか。
 
 そういうことをあえて強調する意味で「新規性」というふうになっておりますけども、もともとはアクセレレーションとかトランスフォーメーションということを英語でもよく言われていた。あとスケーラビリティーとかですね。そういうことを意図した記述であります。
 
 ですので、何らかのインパクトがちょっとでもあればいいということではなくて、このインパクトが大きく広がっていって社会の課題を解決していく。そこには何か画期的なアイデアとか技術革新とか、そういうものが必要ではないかということをあえて書いているというところだと思います。
 
【足達メンバー】  ありがとうございます。
 
【水口座長】  という意図です。ただ、御指摘のとおりの面もありまして、この基本的指針はここで決定ということでなくて、これを案というふうにいたしましてパブリックコンサルテーションにかけようということで、海外の投資家さんにも英訳をした上で広く見ていただいて、海外の目線でどういうふうな印象を受けるのかという御意見もいただいた上で最終化をしていこうというふうに考えておりますので、また御意見をいただければと思います。
 
 林さん、お願いします。
 
【林メンバー】  水口先生の本を持ってくればよかったと今思っていたんですけど。この報告書の一番最初のところで、「はじめに」のところで、「サステナブルファイナンスが世界的に拡大してきた」とあって、第2パラグラフですが、その次に「2020年の世界のESG投資」というふうに、いきなり入ってきていて、41ページのところに「サステナブルファイナンスの様々な手法」ということで書いてあって、この表の中だと一般的なESG投資とインパクト投資と書いてあって、サステナブルファイナンスとESG投資とインパクト投資、それからその中のインテグレーションがどうしたとかいろいろ、これ、何か全体が、ここにいらっしゃる方はみんな分かっていると思うんですが、多分、一般的な人はサステナブルファイナンスとESG投資って何が違うんだっけとか、多分そこで思考停止すると思っているので、中身は大変いいんですけど、例えばESG投資の定義とか、サステナブルファイナンスの定義とか、ここにサステナブルファイナンスの定義はあると思うんですけど、ESG投資の定義がないと思ったので、整理していただくと、より多くの皆様に御理解がいただけるのではと思いましたので。
 
【水口座長】  はい、御指摘のとおりでございます。私が全部最初から書いていいのであれば、私の定義で書かせていただいたんですけれど。
 
 ただ正直な話、ESG投資に対する理解も、時間とともに大分変わってきたという感じもしまして、私は違う意見を持っているんですけど、一般的に通用しているESG投資の考え方が少しずつ変わってきている。その時に「それは違う」と言うのもなかなか。
 
 ある種の言語なので、私はそういう意味で使っていませんという時に、最近の若い者は日本語がなっていない的なことを言い出してもどうかと思いつつ、ESG投資という考え方とサステナブルファイナンスの整理は必要だと思います。
 
 いろんな整理の仕方があると思うのですけども、特に投資とファイナンスという、その違いをどう考えるのか。それから「サステナブル」というのは、ある目指すべき姿です。サステナブルデベロップメントという、ある姿を目指しているのに対して、ESGはその構成要素ですから、その辺の整理も恐らく必要でしょうし、実は手法論に関しても、何か資金の出し方だけが手法論のように見えますけども、エンゲージメントとかそういうことも含めて実は幅広い活動があり、その資金の出し方とエンゲージメントについても、投資だけじゃなくて融資もありますし、もちろん保険の活動もある、そういう非常に幅広い概念なので、どこかできちんと整理する必要はあるなと思っています。
 
 それを、私は私の理解で整理しているんですけども、でも国際的にはいろんな人がいろんなことを言っている中で、どうしたらいいのかなとは思っているのですが。
 
【林メンバー】  多分正解はないので、少なくともこの報告書においてはこういう整理だというのをどこかに入れておかないと、みんな、「これは違う」とか、みんないろいろ思って、そこで終わっちゃうような気がするので、整理はされたほうがいいと思います。
 
【水口座長】  なるほど。検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
 
 河本さん。
 
【河本メンバー】  全銀協の河本でございます。報告書の中で、今後の具体的な検討はコンソーシアムを組成していくということなので、その位置づけは、今後具体化を図っていくことだと思います。その中での確認になります。この報告書の8ページで整理しているインパクト投資の区分でいうと赤いところが、主に議論して推進していくところになる。この青いところは、必ずしもバンカブルでない、インベスタブルでない。この右下のところも同様ということで、ここは射程から外していますということになっているので、このコンソーシアムで推進するのも、この赤いところのさらなる推進という位置づけということでいいのか。
 
 青いところとか緑色のところは、別な考え方の主体の方々がおられると思います。この方々との連携を図るコンソーシアムではなくて、赤いところの推進を図るコンソーシアムということでよいのでしょうか。
 
 これは設計の話だと思いますが、今、考え方がおありであればご教示いただけないでしょうか。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  8ページのところは、インパクト投の考え方・定義は非常に幅が広いので、この検討会で議論する、射程に入れるインパクト投資というのはこういうもので、例えば、この緑の部分、全体としてリターンが明らかに取れないと分かり切っているものについては、投資というよりはかなり寄附に近いだろうという制をしまして、今回の報告書としてはインパクト投資として赤の部分について集中して議論した。
 
 ただ、コンソーシアムは、勿論この検討会で議論したところのインパクト投資が主たる念頭ではあるものの、インパクト投資にこれまで関与され、また今後関与をしていただけそうな方に幅広く入っていただくという趣旨だと思います。人によっては、緑の部分と赤の部分というのを一緒に進められる方もいらっしゃるかもしれませんし、幅広い方の知見は赤の部分のみを進めるという投資家の方にとっても有用かと思われますし、コンソーシアムは、基本的には御関心をいただく幅広い方に入っていただけるものにしていくことが重要なのではないか、と理解しております。
 
【水口座長】  ありがとうございます。

 それでは、オンラインで御参加の鳥海様、お待たせしました。よろしくお願いいたします。
 
【鳥海メンバー】  ありがとうございます。「インパクト投資」と言ったときにいろいろな概念があり、またそれぞれの方が違う思いを持っている中で、こういうふうにまとめていただいたというのは大変だったのではないかなと思っております。
 
 その中で、このコンソーシアムで具体的にこの後、進めていくというのがすごく大きな成果かなというふうに思っておりますが、一つ、そのコンソーシアムのところで確認をさせていただきたいと思いました。
 
 報告書の中では、今後預かっていくトピックといいますか、テーマとして7つ、27ページのところでしょうか、「コンソーシアムにおいて、以下の施策について検討していくことが考えられる」ということで、①から⑦までというふうになっているのですけれども、概要の、まとめられたほうのスライド、こちらの2ページを見ますと、コンソーシアムの設置というのを入れていらっしゃるのが①、②というふうになっているのですが、これは、ここに特化した形でのコンソーシアムを立ち上げられて、ほかは特にコンソーシアムという形にならないという理解になりますでしょうか。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  本文の27ページと概要のこの2ページは対応しておりまして、それぞれ、番号はずれているんですけれども、はい、いずれも、投資基盤の整備ということで基本的指針を策定し、その上で、評価の手法の共有や人材の育成等を進めていこうということ趣旨で記載しておりまして。ただ、概要ではコンソーシアムを立ち上げるということもこのワーキングの施策の1つになっていることもありますし、番号の振り方もそうですし、分かりづらいなという御印象を与えていると理解しまして、先ほど申し上げました趣旨を分かりやすく記載するよう精査させていただければと思います。
 
 なお、コンソーシアムについては、こういうことを議論したほうがよいというアジェンダが非常にたくさん出てきまして、それらを幅広く記載をさせていただいています。実際には順番関係や優先、ニーズ等をよく見ながらやっていく必要があるのかと考えています。
 
【鳥海メンバー】  ありがとうございます。
 
【水口座長】  ありがとうございます。
 
 それでは岸上様、長谷川様の順番で行きたいと思います。
 
 岸上さん、お願いします。
 
【岸上メンバー】  ありがとうございます。1点目は、林さんが先ほど御指摘されていらっしゃいました用語の整理というところは私も賛同していまして、よく日英の両言語で発する場合の私の整理を、参考までに後で事務局に共有させていただければと思いました。
 
 あともう1点ですけれども、有識者会議の次のステップというところで、IFSIへの言及をしていただいているかと思いましたので、こちらはこのインパクトの検討会におきましても、そういった広義の考え方もあるというところに言及をすることで整合性を取ってもいいのではないかと思いました。以上です。
 
【水口座長】  IFSIについては、どこかに一応、注で入れてはいただいているんですけれども……。
 
【岸上メンバー】  見落としていたかもしれません。
 
【水口座長】  33ページだそうです。この議論はいろいろありまして、それは幅広な概念もあるんですよという議論はしたのですけれども、33ページのところの本文に少しPRIの報告書について言及して、注でIFSIの説明をさせていただいております。このくらいしか入らなかった。
 
【岸上メンバー】  ありがとうございます。そうですね、前半のところで、主な対象というところと関連して、この範囲の話と関連したものかなと思いましたので、そういった注があったとしても、こちらについていると流れとして分かりやすいかと思います。
 
 また、既に入れて頂いている脚注に関してはこちらは見落としていました。
 
【水口座長】  ありがとうございます。
 
 では長谷川様、お願いします。
 
【長谷川メンバー】  ありがとうございます。意見ということではなく、この二つの検討会には経団連からも参加させていただいており、議論は聞いておりますので、感想ですが、まず定義については、皆様から意見が出ている通り、狭義のインパクト投資と、事業会社の事業のインパクト測定の話と、いろいろなところで混乱が見られるのは確かですので、それらをコンソーシアムで検討されると聞いておりますが、整理と定義が必要ではないかと思っています。
 
 また、報告書でも、アセットオーナー、アセットマネジャーの両者において、インパクト投資を推進する必要があると書いていただいているのですけれども、そこについては、例えばGPIFのようなユニバーサルオーナーがインパクト投資を推進するといったことも今後、検討していくべきではないかなと感じております。
 
 またこれは経団連の中の議論ですけれども、企業側がインパクトを意識して、投資家とエンゲージメントしようとしても、なかなか投資家側が関心を持ってくれない。中長期的にこういうインパクトがあります、というようなことを説明しようとしても、投資家側が関心を持ってくれないという課題も指摘されておりましたので、インパクト投資に関する投資家側の意識の向上も必要ではないかと思っています。
 
【水口座長】  ありがとうございます。そのとおりですよね。投資家にもいろんな投資家がいるので、関心を広げていかないといけないと思っています。
 
 ほかにいかがでしょうか。吉高さん。
 
【吉高メンバー】  簡単な質問でございます。ありがとうございます。
 
 37ページに、コンソーシアムの中に地域金融のことが入っているのは大変評価させていただきたいと思うんですけど、この37の一番下の「更に」のパラグラフで、知財・無形資産がここでいきなり出てきているんですけど、これは地域に限ったことではないのでは?――この前段で、地域は間接金融が中心だからと記載があるため、ここだけしか無形資産の話が出ていません。インパクトの関係は、無形資産というのは間接金融だけに入るということでここに入れていらっしゃるのか確認でございます。
 
【水口座長】  そうですね。無形資産が間接金融だけということではないですよね、当然。ですから……。
 
【吉高メンバー】  地域金融だけでもない。
 
【水口座長】  地域金融だけでもないですよね、もちろん。
 
【吉高メンバー】  でも全体で、検索したらここしか出てこなかったので、そこになぜ入ってきたのかなという質問でございました。
 
【水口座長】  恐らく、地域金融の議論の中で特に重要だというのでぱっと出てきたんだと思いますけども、逆に、それ以外のところでこれが重視されていないということではないので。
 
【吉高メンバー】  そうですね。投資銀行での案件でも、無形資産の評価というのは出てきていますし、特に脱炭素なんかもそうですけど、結構無形資産的の話もありますし。少し整理が必要かと、確認したかっただけです。
 
【水口座長】  確かに、この「更に」からの1パラグラフがここにある……。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  そうですね。これは、経過としては、地域銀行の方から、この無形資産というのはすごく我々にとっても重要ですというお話があってここに載ったという理解でおるんですけれども。確かに……。
 
【水口座長】  そういう経緯でここにあるということですね。なるほど。
 
 それも検討して、柳川先生と御相談をさせていただければと思います。
 
 ほかにいかがでしょうか。大体出尽くしたようでしたら、最後に報告書を離れて、有識者会議全体について、もし。最初にも、今後頻度を上げてやっていきましょうという御意見をいただいておりますけれども、この機会ですので、どんなことでも結構ですので、全体を通じて何か御意見とか、あるいは言い残したこととかがあればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 
【吉高メンバー】  私、今、大学1・2年生の教養とかで、サステナブルファイナンスですとか企業のサステナビリティの授業をするんですけども、ファイナンスに対する基礎力がほぼないと感じるので、今、高校で金融教育を入れていらっしゃいますが、大学の教養学部の教養科目に入れるという議論はあるんでしょうかという御確認でございます。
 
 これから高校向けにも大事ですけど、大学を卒業して、別に金融機関に入らなくても、自治体に入っても、政府に入っても、それから事業会社に入っても、お金の動きのことが分からずして社会に出ること自体に危惧を感じております。そういった、もし議論なんかがあるのかどうかだけお伺いしたいと思ったところでございます。
 
 昨日の講義をしたばかりだったので、生々しく感じておりまして。よろしくお願いいたします。
 
【堀本政策立案統括官】  まさしくそういう問題意識が金融庁の中にありまして、今回、実際に法案を提出させていただきまして、その中で資産所得倍増プランですね、それからその政策の中の重要な柱の1つが金融経済教育の推進ということです。
 
 前提としては、日銀が事務局でやっています金融広報中央委員会のアンケートによりますと、金融経済教育を実際に受けたことがあるという経験を持っていらっしゃるのが、御本人の記憶ですけど7%しかいないということですので、まさしくおっしゃるような状況です。
 
 そのために、個人の投資を拡充させるためには、併せて金融経済教育が必要だということで、そのために、今回の法案の中には民間の方々の金融教育を、今いろんなことを積極的に取り組まれているんですけれども、中立性の観点から疑われることもあるので、その後、商売につながるんじゃないかとか、そういうふうな皆さんの取組を全部一つにしていくための、金融経済教育推進機構というのを設立しようかというふうに、実は法案の中に入っています。
 
 併せて、金融経済教育に関する基本方針というのをこの法律の中で定めろと。これは金融庁だけじゃなくて、文科省であったり、あるいは厚労省なんかもそうだと思うんですけど、そういう各省庁が一体となって金融経済教育を進めるということです。
 
 文科省が入っている関係は、今は高校教育ですけど、いろんな意味での教育プロセスに金融教育というのを入れていただくと。そういうふうなことをどうやっていくかということを検討するという意味で、方針としてはそういうものが入っているということになっています。
 
 まさしく問題意識はおっしゃるとおりでありまして、日本政府としては、政府全体として、今のような状況が十分ではないということは、もう理解しております。
 
【吉高メンバー】  どうもありがとうございます。寄附講座とか、一個人の講座とか、やっているだけでは追いつかない気がしております。サステナビリティに関心がある人と、経済に関心ある人のギャップが大きいんですよね。この間を埋めるには、サステナビリティが常識的にならないと、サステナビリティ専門人材教育という提案だけでは基本的に十分ではないかなと感じておりましたので、ぜひ、進めていただければと思います。ありがとうございます。
 
【高田総合政策課長】  補足よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 
 今まさに御指摘いただいたように、今、気候変動であるとかSDGsであるとかに関心を持っていらっしゃる若い世代の方々というのはたくさんいらっしゃって、自ら行動されている方々も多いんです。恐らく教育の場でもいろいろと取り上げられていると思います。
 
 もう一方で、金融経済教育一般に関しては、今、堀本が申し上げたように、これも国としても充実させていこうと取り組んでいますし、様々な取組が進んでいますが、ただ、それらをつなぐ、まさにサステナブルファイナンスということになると、なかなかまだ若い世代、あるいは教育の場に十分浸透していないというふうな問題意識を持っております。
 
 私自身、まさに若い世代の中で気候変動であるとかSDGsに関心を持たれる方は多いんですが、ただ、ファイナンスの話になってくると、なかなか、本当に若い方々って本当に少ないというのが実感でありまして、ただ、そう多くはなくても、そういった方々も出てきておられるのも確かであります。
 
 なので、この報告書案の33ページの一番最後のところにも書いてあるんですけども、まさにこの33ページの一番最後の段落、この持続可能性にまつわる課題から影響を受ける次世代の声は非常に重要であるということでありますので、これは私の問題意識ですけど、この有識者会議のような検討の場にその若い世代の方々の声を反映させる、そういった在り方も、まさにこの有識者会議の在り方ということで、また御議論いただければと思います。
 
【水口座長】  ありがとうございます。貴重な御指摘だったと思いますし、おっしゃるように、本当にサステナビリティの議論とファイナンスの議論をつなげて議論するのはとても大事ですよね。
 
 でも、ファイナンスって難しいんですよね、学生さんに伝えるのには。なので、本当にうまく伝えていくことが必要だと思いますし、あと御指摘のとおり、この有識者会議でも第1回のときには外部の方をお招きして、大分外部の人とも議論をしたりということをしましたが、若い世代で頑張っている人たちも多いので、そういった人たちとも意見交換をするような場が持てたらいいなというふうに思います。今後の在り方としても検討していければと思います。
 
 ほかにいかがでしょうか。
 
【足達メンバー】  ありがとうございます。先週、実はISOのTC322というサステナブルファイナンスの技術委員会の年次会合がロンドンでありまして、4年ぶりに対面で参加をしてまいりました。金融庁の皆さんにもいろいろ資料を御提供いただいてありがとうございます。
 
 そこで一番私が印象に残ったといいますか、強い衝撃を受けましたのは、欧州の連中が引っ張っている最も熱いテーマが「サステナブルファイナンス×フィンテック」だったんです。
 
 この有識者会議はどちらかというと文科系というんでしょうか、制度論的な関心でずっと議論をしてきているわけですけれども、欧州には、先ほどのCO2の測定みたいなところでもいろんなスタートアップが出て、コンサルティングも盛んですし、プラットフォームをつくったりしている。それから人権の問題なんかでも、ブロックチェーンを使ったサプライチェーン管理の話もありますし、サテライトを使って、どういうふうに例えば森林の容量を計算するみたいな、それがもうファイナンスに直結しているという、そういう状況を目の当たりにしてまいりました。
 
 もちろん、日本にもそういうスタートアップも出現してきておりますし、それ以上に、日本の大手の通信会社さんとかIT関連メーカーさんとか、そういう技術を持っている方もたくさんいらっしゃるので、日本もキャッチアップすべきと思いました。これは来年すぐにということかどうか分かりませんけども、「サステナブルファイナンスと技術を組み合わせたらこんな可能性があるじゃないか」というような、「サステナブルファイナンス×フィンテック」でもいいんですけども、そういうしつらえの会議体なり議論もできればと思います。
 
【水口座長】  ありがとうございます。全くそのとおりですよね。
 
 従来、文系的なというか、手法で、例えばサプライチェーンの把握も、プラクティカルになかなか難しいというようなことが多々ありましたけども、そういったこともこの技術の力で解消できる部分が非常に多くて、そうしますと、今まで実務的に不可能だったことがかなり技術で解決されていく。そうすると非常に市場の効率も高まっていくという可能性もありますし、そういう議論もしていく必要がありますよね。
 
 大学でも今ちょうど「文理融合」というふうに言っておりまして、文科系と理科系の考え方を融合してつなげていく必要があるということですので、先ほど若い方のというお話がありましたが、若手とともに、技術の分かる人とか理科系の人たちとか、そういう人たちとも、特に日本のそういう技術が分かる人たちをきちんとお招きして、サステナブルファイナンスの可能性も広げていくということが必要かなと思いました。ありがとうございます。
 
 ちょうど今、小野塚さんから手が挙がっていますので、小野塚さん、お願いします。
 
【小野塚メンバー】  ありがとうございます。移動中で電波が悪くて、なかなか発言が難しかったのですが、今、最後のところの、出たポイント3つに関連して、私のやっています科学と金融による未来創造イニシアティブというところで、ちょうどその議論を始めようということでしたので、若干情報提供ということでお話しさせていただきます。
 
 まず1点目、先ほど吉高さんからあった知財に関連するところですけれども、これに関しても上場企業の投資というところ、それからベンチャー企業でのIPの扱い、それから地域金融におけるところの議論を、7月21日にあるFDSFグローバルの中で1セッションのテーマとして取り上げたいと思っています。
 
 併せて次世代についても、そういった同じような課題意識が私どももありましたので、実際に聞いてみようということで、次世代パネルという形で、学生さんでサステナブルに興味のある方、あるいはファイナンスと掛け算で既に起業されている方、この辺りをお呼びしてお話をしていただきます。
 
 3つ目の科学の部分については、まさに日本における、世界でも資金調達ができるような気候変動テック関連スタートアップを同カンファレンスでもご紹介しようというふうに思っております。サステナブルファイナンスを活用する前段階の動きとして、ここのところも情報提供できればと思いました。よろしくお願いいたします。
 
【水口座長】  はい、ありがとうございました。ちょうど関心も重なっているということですので、引き続きよろしくお願いいたします。
 
 ほかにいかがでしょうか。大丈夫そうでしょうか。それでは、今日はこの辺で終わりでよろしいでしょうかね。
 
 皆様、大変活発に御議論いただきましてありがとうございました。今年度の有識者会議は一旦これで終了の時期になってきたと思いますが、今いろいろいただいた御意見を踏まえまして、3次報告書については必要なところは可能な範囲で修正をしていきたいというふうに思いますが、最後は座長に一任していただくということでよろしいでしょうか。
 
 ありがとうございます。また、検討会の報告書は、いただいた御意見を踏まえて両座長に御相談を申し上げて、座長の判断にお任せしたいと思いますので、最後は両座長の御判断にお任せをしたいというふうに思います。
 
 それでは、ここで事務局からもし御連絡があればと思います。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  特段ございません。開催頻度の御指摘もいただきましたので、また翌年以降もぜひよろしくお願いいたします。
 
【水口座長】  それでは、というわけで、今年度というんでしょうかね、この6月が年度という感じのようですけども、一旦この第3次報告書をまとめたというところで一段落というふうに考えておりますが、来年度以降、引き続き議論してまいりますし、来年度以降、こうしたらよいという御意見もたくさんいただきましたので、そういったことも含めて、できるだけ来年度は早めの時期から動き出しができればというふうに思っておりますので、引き続き御協力をいただければと思います。
 
 それでは、本日は以上をもちまして終わりとさせていただきたいと思います。御協力いただきましてありがとうございました。お疲れさまでした。オンラインの方もありがとうございました。
 
―― 了 ――
 
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総合政策課サステナブルファイナンス推進室

03-3506-6000(代表)(内線 2918、2893、2770)

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