「サステナブルファイナンス有識者会議」(第19回)議事録

日時:令和5年11月2日(木曜日)10時00分~12時00分
 
【水口座長】  それでは、ただいまよりサステナブルファイナンス有識者会議第19回の会合を開催したいと思います。御多用の中、御参集いただきまして、ありがとうございます。
 
 それでは、議事に入りたいと思います。本日は、Japan Weeksの御報告、それから今後の議論の方向性について、そして人材育成について議論をしていきたいと思います。
 
 Japan Weeksについては御参加いただいた方も多いかと思います。ぜひ、御感想などいただければと思います。
 
 それでは、最初に、前半と後半で議論を分けまして、Japan Weeksと今後の議論の方向性について、まず1時間ぐらい話をし、後半で人材育成の議論をしていきたいと思います。
 
 まず、Japan Weeksの御説明と今後の議論の方向性につきまして、西田さんから御説明いただければと思います。お願いします。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  資料の3ページがJapan Weeksの概要になっており、9月25日から10月6日に開催しました。Japan Weeks期間中には、こちらに記載しているイベントのほか、GX関連のイベントなど、表に記載しきれない程のイベントが開催され、委員の皆様も御登壇や御参加された方が多数おられたと思います。是非、先生からもありましたが、御感想などもいただければと思っております。
 
 資産運用立国や国際金融センターをテーマに掲げ、海外の投資家や資産運用会社などを集中的に日本に招致し、PRI in Personを中心にその他多数のイベントを開催いたしました。資産運用立国の実現に向けた新たな施策として、総理からも御表明がありましたし、日本における資産運用の課題、政府への期待についても、様々な御意見があったかと思っております。その中で特にサステナブルファイナンスについて、5ページと6ページですが、PRI in Personでの総理の御発言内容を引用させていただいています。
 
 前段として、事務局資料には直接引用がありませんが、「投資を通じて社会全体を変えていくことが持続的な成長や新しい資本主義にも資する」旨をお話しされた上で、具体的な施策を幾つか御紹介いただいています。
 
 1つは「GX投資」で、世界初の国が発行するトランジション・ボンドを「クライメート・トランジション・ボンド」と名付け、国際基準に適合する形で本年度から発行する旨と、その資金使途の概要についてです。
 
 また、GX経済移行債を皮切りにトランジション・ファイナンスを更に推進すること、その一環として、様々な投資家がGXのマーケットに魅力を感じて参加することが重要であること、そのために、個人投資家・機関投資家によるGX・ESG投資をさらに進めるための環境整備に向けて、金融庁に「サステナビリティ投資商品の充実に向けたダイアログ」を年内に設置すること。
 
 また、今後の議論でもあると思いますが、GXという意味では全世界での取組も重要で、アジアにおけるGXを推進していくための「アジアGXコンソーシアム」を来年前半に設立するという点。
 
 2つ目は、6ページのインパクト投資です。社会課題の解決に尽力するスタートアップの支援という文脈で、投資推進の1つの鍵がインパクト投資であると。課題解決への「インパクト」に着目し、この実現に必要な技術とビジネスモデルの革新を促す投資であり、投資家のコミットメントが欠かせないということ、官民協働のコンソーシアムを本年中に設立するなど、社会変革につながる資金調達の牽引役を果たしていく旨。
 
 3つ目は人的資本の開示です。開示のテーマとしても非常に重要であり、何度も発信をしているところですが、改めてお話をいただいております。
 
 最後の7ページは、資産運用業・アセットオーナーシップの改革ということです。年金基金などの大規模なユニバーサルオーナーの投資の役割について触れられた後、日本においてもGPIFをはじめ多くの機関がPRIに署名していますが、さらに多くの機関による署名を期待される旨と、政府として所要の整備を行いつつ、代表的な公的基金、少なくとも7基金90兆円規模が新たにPRIの署名に向けた作業を進めるという旨を表明されております。
 
 なお、このうちダイアログにつきましては、金融庁において、サステナビリティ投資商品の多様化・充実化ということで、リテールとホールセールのマーケット特性に留意をしつつ、投資商品の組成手法や販売手法について、幅広く認識共有いただけるような場として設定できないかと思っておりますが、具体的な内容は検討中の状況です。
 
 また、PRIへの署名については、総理からお話もいただいていますので、関係省庁ともよく連携をしながら、例えばPRIの署名の具体的な利点や課題、既に加盟されている機関のノウハウや経験の情報提供等に取り組んでいく必要があると思っております。
 
 9ページ、10ページ目は、有識者会議の進め方について、「前回の議論を踏まえた今後の議論の方向性」です。前回やオフ会でも御議論いただきましたところ、柱は変えないほうがいいのではないか、進捗状況の実態把握が重要で、更なる取組みが期待されることを定期的に確認していくことが有意義ではないか、といったご意見をいただいたと認識しております。特に、道筋や主体がはっきりしていない分野、動きが加速していく分野について、何ができるかを議論していくことがいいのではないか、ということであったかと思います。
 
 この整理に沿って、12ページでお示ししている4色の各区分・テーマについて確認していくということで、10ページ目に今後の議論テーマの案を示しております。12月下旬には投資基盤のインフラ整備と書いてありますが、これは12ページに記載している青の部分を意味しており、機関投資家、個人の投資機会、ESG評価機関、マーケットのインフラ整備について御議論いただくことを考えております。2月は、脱炭素、アジアGX、GX全体の進捗や課題といった、主として12ページの赤の部分について、3月は12ページの黄色のうち地域の取組みについて御議論いただくことを考えております。黄色は様々なテーマがありますので、専門人材については本日御議論いただき、生物多様性や人権等の様々なESG課題は5月に御議論いただく形にしております。緑のディスクロージャーについては、別途、ディスクロージャーワーキングなどで議論されていますので、時間の関係もあり10ページには記載しておりませんが、可能な限り、これまでご議論いただいた各テーマを包括的に進捗把握や課題を整理し、5月と6月で報告書を取りまとめるということを想定しております。
 
 私から資料の説明は以上です。
 
【水口座長】  ありがとうございました。10ページと12ページが連動しているというのは今の説明で、なるほどと思いましたが、今後のテーマについてもいろいろ御意見があろうかと思いますが、その前にまず、Japan Weeksに関連したところで、皆さんの御感想や御質問等あればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 
【二木メンバー】  質問ではありませんが、これに関して取引所で10月11日にカーボン・クレジット市場を開設していますので、その状況について御紹介したいと思います。
 
 カーボン・クレジット市場は東証で開設しています。これは昨年9月から本年1月にかけて、経産省の依頼で実証実験をやっているのですが、それを踏まえて、本格的なマーケットをつくりましょうということで開設をしているものであります。
 
 通常の株式市場との違いは、株市場は9時からマーケットを開いておりリアルタイムで約定するのですが、このマーケットは、注文はずっと受けるのですが、11時半と15時にそれぞれ1回ずつ突き合わせを行う、そういうマーケットになっております。
 
 それから参加者ですが、いわゆる証券会社が、通常は投資家の注文を受けて、マーケットに注文を出すということになるのですが、投資家の皆さん、これは今回208社がいらっしゃいまして、地公体とか含めて、非常に多岐にわたる参加者に参加いただいており、投資家の皆さんが直接取引所に、インターネットで注文をしていただくという仕組みになっています。そこが通常のマーケットとは大きく異なるところかと思いまして、今回、金融庁の認可を得まして、正式に市場を開設させていただきました。
 
 それから売買の状況ですが、11日に開設して、10日経って、累計で1万単位というレベルでございまして、J-クレジットが年間100万単位ぐらいの認証が行われていると伺っていますので、必ずしも多くはないという評価ではないかと思っています。もちろんクレジットは、オフセットされてどんどん消えていくものでしょうから、マーケットに出てくるものが、もともとそれほど多いわけではないだろうと思っています。ただ、売買としては決して多くはないですが、値段自体は、二、三日を除けば、ほぼ付いていますので、そういう意味では意義のある市場になっているだろうと思っています。
 
 ただし今後は、やはりJ-クレジットだけ売買することで所期の目的が達成されるということではきっとないだろうと思います。政府のGXリーグ構想の中では、2026年度あたりに本格的なマーケットということで伺っておりますが、やはりGXリーグの超過削減枠等の売買をどの辺りから始められるのか。そういうところが今後のポイントになってくるのではないかと考えております。引き続き、関係者の皆様と調整させていただいて、前向きに進めさせていただきたいと思います。御報告まで。
 
【水口座長】  ありがとうございます。貴重な御報告をいただきました。
 
 ほかに、ここまでの進捗などについても、もし報告があればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 
【佐藤メンバー】  PRI in Personの件に関しまして、私ども日本生命がリードスポンサーということで、開催させていただきました。約1,300名の方、52か国から参加いただいて、無事に大会を終えたということで、皆様方の御協力・サポートに感謝したいと思います。
 
 今年については、2030年のSDGsの目標の、ある意味、折り返し地点ぐらいのポジションの年かと思うのですが、進捗は、正直言ってそれほど捗々しい状況ではないという、危機感といいますか、そういう厳しい環境認識の中で行われたと考えております。また、サステナビリティの課題が気候変動だけではなくて、多様性や人権や様々なフィールドに広がっていく、こういった関心の広がりの中で開催された大会であったということだと思います。PRIの理事を手前どもの木村が務めてございます。木村から、その後の理事会の様子をレポートしてもらいましたが、PRIの理事会の場において、公の発言として、東京大会はこれまでの中で一番の成功の大会であったというふうに議長が総括されたと聞いております。これはひとえに、我々スポンサーというよりは、日本政府の力強いサポートがあって成功したものだと考えてございます。先程西田さんから御説明ありましたが、G7の首脳として初めてPRIの大会にリアルで出席をいただいて、力強いメッセージを発していただいたということは、非常にグローバルな投資家にインパクトを与えたと思っています。先々週、私もロサンゼルスに出張して、現地の会社のメンバーと話をしましたが、何人かの、同じような同業他社が、岸田さんが自らああいうことを言ったということは驚きであり、非常に大きなインパクトがあったというふうに言っていたよということを伝え聞いておりますし、そういう意味では、今回の成功の最大の要因は日本政府による大会のサポートであったと考えております。
 
 とりわけ、先程の資料の中で御説明ありましたが、サステナビリティ・アウトカムの重要性や、それから公的年金のPRI署名、こういったことに踏み込んで話していただきましたので、グローバルな投資家にかなり響いた内容であったと思いますし、先程お話ししましたように、会場に私もおりましたが、どよめいた感じの受け止め方がありましたので、これは正直、予想以上の御発言をされたと考えております。足下、アメリカで反ESGの動きがある中で、日本のトップが自らああいう発言をしていただいたということについては、投資家について、日本に対する信任も含めて、非常に大きな、ポジティブな影響を与えていただいたと感謝してございます。そういう意味では、今回の大会の成功につきましては、金融庁をはじめとした政府の皆様方のサポートについて大変感謝しておりますし、大きな影響力を残していただいたと考えております。
 
 以上です。
 
【水口座長】  ありがとうございました。私も会場にいて、岸田総理の公的年金のくだりは驚きました。こんなこと言うんだと思ったのですが、会場でも非常に大きな拍手がありましたし、よかったです。
 
 それから、社長の冒頭の御挨拶の中でも、フューチャーメーカーになろうということを力強く呼びかけていただいたのも、よかったのかなと思っております。ありがとうございます。
 
 他にいかがでしょうか。林さん、お願いします。
 
【林メンバー】  私もPRI in Personについては、部分的ですが参加して、PRIの森澤さんが日本での国際会議は本当にまだまだこれからなので、もっとやっていくべきだというお話をよく仰っていたのですが、今回のイベントは1つの成功例として、皆さんの記憶に大変とどまったと思います。2つコメントがありまして、1つは今の岸田さんのお話は本当にすばらしいと思っているので、これをどうやって実装していくのか、言うのは簡単ですが、やるのは大変なので、私はGXにも関わっていますので、これをどうやって現実のものにしていくかということについては、私自身も非常に関心もありますし、注目をしております。
 
 あともう一つ、PRI in Personで学んだことは、メインスポンサーの方を前に申し上げるのもなんですが、参加費が相応に高いなと思いました。もしかしたら公的な方は無料で参加できたかもしれないのですが、アセマネ会社の社員でもない私は、個人で行ったら多分40万ぐらいかかって、別にそれが高いと言っているのではなくて、その価値はあると思っています。ただ、私が言いたかったのは、ほかのいろいろなイベントはほぼみんな無料だったように思っていて、こういうイベントをサステナブルにやるために、お金はやはり取ったほうがいいのではないかと、むしろ学んだということです。40万は高過ぎると思いますが、円安、かつ3日間なので仕方ないかと思っています。でも、日本の会議の在り方というのも、今はブームなので皆さん参加してくださいますし、それはそれでいいと思うのですが、これからどうやってこういうものを根づかせていくかというのは、PRI in Personから学んだことでございます。
 
 あと、長くなって恐縮ですが、3ページと4ページに、これだけの数のイベントに一体延べどれぐらいの方が参加されたのか、もしデータが入手可能であれば、これだけやった、プラスどのぐらいの方が参加したのかというのもデータとして、もしまとめられるのだったら、相当かぶっていると思いますので、延べ人数とか、どういうセクターの方が参加したかということも、記録として残しておかれたら意味があるのではないかと思いました。
 
 以上です。
 
【水口座長】  ありがとうございます。人数は、後程、もしできればと思います。
 
 それでは、オンラインで小野塚さんから手が挙がっておりますので、小野塚さん、お願いします。
 
【小野塚メンバー】  ありがとうございます。PRI in PersonとJapan Weeksですが、私も幾つかのセミナーと、それからPRI in Personでは、最後のプレナリーに参加をさせていただきました。それと関連して2つほど、感じたこととコメントがあります。
 
 まず、1つは、やはり皆さん仰っているように今回の日本でのPRI、他の地域でも参加したことはありますが、かなりサクセスフルだったと感じていますので、これは公的セクターからのサポートも大きかったと思います。私のスピーチで期待されていたことは、PRIの今年のテーマがコミットメントからアクションというところにおいて、日本で起こしてきたリーダーシップと、それからイノベーションについて話をしてほしいということでしたので、何か会社一つの取組というよりは、コンソーシアム的な、皆さんとのコラボレーションがすごく世界的には注目をされて、いい動きだと感じ取られていたから、そういった依頼が来たと思っています。
 
 実際に話をすると、日本で、私は基本的には機関投資家側のコーポレーションの話と、それから今、こちらの会議にも出ている肩書の団体になっていますが、他業種、科学と金融業をつなぐという、そういったことについてすごく関心が高かったことと、そういったことが日本で起こせるという、その力に期待が寄せられたということを個別のコメントからも感じました。
 
 その直後に、マレーシアで、OECDのコーポレートガバナンスコードが今年改訂になったのですが、そのローンチのカンファレンスに出席したときに、やはりこれまで日本がコーポレートガバナンス改革で積み上げてきた、例えばスチュワードシップコードが一番最初に導入されたアジアでの地域だったとかということに対して、アジアの地域からの期待がすごくあるということを感じました。
 
 ですので、GXの動きの中で、アジアの中でコンソーシアム等を立てて、リーダーシップを取っていく、我々の知見を存分にシェアしていくというのは、皆さん大変期待されているところですし、我々も貢献できるところだと感じております。
 
 以上です。
 
【水口座長】  ありがとうございます。最後の最後に、お着物で登場されて、大変印象的だったと思いますし、インパクトが大きかったと思っております。ありがとうございました。
 
 それでは、河本さん、お願いします。
 
【河本メンバー】  全国銀行協会の河本です。Japan Weeksに関する紹介になります。 10月3日に、韓国銀行連合会と全国銀行協会のジョイントのセミナーを開催致しました。当日は日韓の金融当局にご参加いただき、栗田長官にもご挨拶を頂戴致しました。セミナーのテーマはGXとDXになります。元々、夫々の協会間でMOUを締結していましたが、今回GX、DXについて、追加的にMOUの附属文書を締結致しました。GXは地理的に近い日韓で連携していく場面もあるかと思います。今後、アジアGXについて議論が予定されていると思いますので、日韓での取組をご紹介させていただきました。
 
【水口座長】  ありがとうございます。
 
 ほかにいかがでしょうか。岸上さん。
 
【岸上メンバー】  PRIに関しましては、皆様と同意見ですので、1点だけ質問で、林さんの先程のコメントに追加する形ですが、何名の方がPRI以外のJapan Weeksのイベントに参加されたというだけではなく、感触的なところでも構いませんのでサステナブルファイナンスの視点から、どういったアウトカムをこのJapan Weeksを通じて感じられたのか、もし何か共有いただければと思いました。
 
【水口座長】  それは、参加者の皆様に。
 
【岸上メンバー】  そうですね。及び金融庁としても、こちらのJapan Weeksに、全体の企画といいますか、力を入れていらっしゃったかと思いますので、感想的なところでも構いませんので。
 
【水口座長】  西田さん、あるいは堀本さん、高田さん。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  まず、PRIだけでも登録者が千何百人いらっしゃったと聞いていますので、主催者の方が発表された数を合計しますと、全体の延べ人数としては、桁がもう1つ増える程の参加者がいらっしゃったと理解しています。
 
 また、様々なイベントで、国内外の投資家の方から直接お話を伺い、イベントの場はもちろん、コーヒーブレイクや、別途お時間をいただいてバイラテラルにお話しさせていただく等、様々な機会をいただきました。その際、特に後半になるにつれ、コミットメントが非常にはっきりと表われている会議だという声もお聞きしました。
 
 とりわけ、投資家の方から見ても、省庁間の縦割り的な状況は世界各国で共通に一般に感じるけれども、Japan Weeksでは政府全体としてのコミットメントがよく聞けた点はよかったという声をいくつかいただきました。
 
 内容面としても、グリーンやトランジションは産業分野の判断に関わることであり、非常に繊細な面もあるわけですが、この点に踏み込んだ議論というのを、エネルギー関連会社、産業を所管している政府、金融庁を含め様々な関係者が議論し、一定の感覚を得られたという意味で非常に意義があったのではないかという意見もありました。
 
 また、総理の御発言についても、本日いただいた皆様からいただいたコメントと同様の反応を多数いただいたかと思います。
 
【高田総合政策課長】  ありがとうございます。Japan Weeks、あるいはその中でもPRI in Personについて、委員の皆様がおっしゃいますように、大変大きな意義があったと思います。
 
 私自身も、この2週間の間に5回登壇させていただきましたが、やはり感じましたのは、今西田が言ったことにも加えまして、これだけの数のイベントが日本で開催される、そのこと自体、非常に感慨を覚えます。ここにいらっしゃる委員の皆様はなおさらだと思いますが、この数年前までは、この中の1つのイベントだけでも日本では年に1回機会があるかどうかでした。それがこれだけの数のイベント、特にサステナブルファイナンスを中心とするテーマのものが数多く集中的に開催され、西田が申し上げたように、単純に合算すれば恐らく1万を超える人が参加をされて、その多くが海外からいらっしゃいました。それだけ日本がサステナブルファイナンスについて、フォローする場ではなくて、発信をする場になってきたということは言えるのかと思います。それはとりもなおさず、サステナブルファイナンス有識者会議を中心とする皆様のこれまでの努力の成果そのものだと思います。今後大事なのは、やはり、先程林さんからもありましたが、ここでそういったモメンタムを失わないように、まさにこれから実行に向けていくということが非常に大事だと思いますので、また、そうした観点から引き続き、様々な御所見をいただければと思います。
 
【水口座長】  ありがとうございます。
 
 そろそろ後半の議論に行きたいと思いますが、私から一言だけ。私自身は資料の7ページの岸田総理の発言の下から2つ目が、個人的には大事だと思っております。投資を通じて社会課題に取り組むことは、経済社会の成長・持続可能性を高めることで、投資家、ひいては受益者にとっても、長期的な収益機会となるもので、まさに受託者責任に基づく責任ある投資の一環であるというふうに総理が仰っている。そのとおりだと思います。
 
 これは、この有識者会議では当初から、こういう見解でしたので、内容的に驚くことではないのですが、得てしてESG投資や責任投資が、ESGを考慮することでリスク・リターンの改善につながるものだと、こういう理解をする。それは間違いではないのですが、それだけではないということ、それを超えて、経済社会の持続性を高めることが、結局は投資の利益にもつながるし、社会の持続可能性にもつながっていく。そういう大きな仕組みなのだということを確認していただいたことが、非常によかったと思います。
 
 ここの部分のメッセージというのは、ちょうど受託者責任の議論と関わるので、前回、PRIの大崎さんにお越しいただいて、IFSIの議論をしていただきましたが、そういったものと併せて、有識者会議としても何らかコメントといいましょうかメッセージを発信してもよいのかなという感じはしました。具体的にどうするかは別にして、IFSIの議論と、多分、少なくとも岸田総理のこの御発言は、私の理解では、いわゆる手段的IFSIの考え方そのものだと思いますので、そういう点はきちんと世の中に、こういうことなのですよということを、分かりやすくお伝えすることが大事だなと思った次第であります。
 
 ということを最後に申し上げて、あと30分ぐらいの時間を使いまして、今後の議論の方向性の部分についても、御議論いただきたいと思うのですが、先程西田さんから御説明いただきましたように、全体としての進捗状況をきちんと確認していくことは必要ですし、それをしながら、足りない部分は何かということを指摘していく。そういう意味では各回に全体像のそれぞれの項目を見ていくということは大事なことでありまして、一わたり見ていかないと、6月の報告書で、ここは何も手をつけなかったということになってもいけませんので、こういうことかな、と。一方で、課題が多いので、毎回1回ずつ検討するだけで、何か結論が出るのだろうかという気もするわけですが、何か特定の議論については、掘り下げて議論したほうがいいという部分もあるのか。なかなか有識者会議として何か、有識者会議は具体的に何か活動するわけではなくて、多分いろいろな提言をしながら、ほかの方、政府とかほかの民間の方に働きかけをするということだと思うのですが、ではどういう点に少し焦点を当てて、今年度、取り組んでいったらいいのか。特に議論のイメージのところにつきまして、皆様から御意見いただければと思います。
 
 いかがでしょうか。どなたからでも結構ですが。
 
 岸上さん、お願いします。
 
【岸上メンバー】  ありがとうございます。先程、西田様から10ページと12ページの関連を御紹介いただきまして、非常に分かりやすく思いました。御説明いただく前には、まさにその関連性をお伺いしたいと思っていたので、この有識者会議に参加していない方にも、その関連性が分かるような発信を後日して頂けたらと思いました。
 
 各回で違うテーマを扱っていくというところで、どうやってそれを集約していくかということでの確認ですが、9ページ目の一番下に書いてある①②③を、毎回のテーマに沿って、進捗状況を把握して、そのテーマの中で期待される新たなものというのをフリーディスカッションして、今後の取組の主体を具体的にということを軸にするのかどうかを確認させていただければと思いました。
 
 その上で、もしそうだとした場合、恐らくその場で結論は出ないと思いますので、次の回の最初の5分、10分で、前回の会を踏まえて、具体的に何を今後のアクションとするのか、毎回おさらいができると、6月の時点でいきなり報告書作成ではない形で進められるかと思いました。
 
 以上です。
 
【水口座長】  毎回、前回のおさらいをするのはいい感じですね。進め方のところ、もし、今の御質問について。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  9ページに記載していますのは、どのような取組みがされたか、どの分野が期待されるか、今後誰が何に取り組んでいくべきなのかというところが議論のテーマかと思い、まとめさせていただきました。今回も、例えば15ページに人材の点で御議論いただきたい点をまとめておりますが、各機関の取組みをどう評価いただくか、何が今後期待されるか、その主体とタイムラインはどうするかということで、時間の限りもありますので、全ての取組みについて結論を出すことは難しいかも知れませんが、特にこの分野、など重要な点は御指摘をいただければと思っています。
 
【水口座長】  なるほど、9ページと15ページもきちんと整合しているのですね。大変よくできた資料だということがよく分かりました。ありがとうございます。
 
 では、林さん、お願いします。
 
【林メンバー】  岸上さんと全く同じことを事前の御説明というか御質問の中で、10ページと12ページの関連を明確にしたほうがいいのではというコメントをさせていただいたのですが、本当に、12ページのリストはすごくよくできていると思って、今日、青と茶色と黄色で分けているのかと思ったのですが、その中にもたくさんあるので、本当に明確にしたほうがよくて、例えば市場機能の発揮というのでも大分進んだものもありますし、そうでないのもあると思います。したがって、10ページのまとめはすごくよくできていると思うのですが、12ページの該当する箇所で、これはもうどこまで行きました、これはまだですというのが分かるようにしていただいて、まだですというところを今仰っていただいた15ページのところに繋がると思うのですが、それをこの場でいきなり、どれが欠けているのだっけと議論するのは時間も無駄な気がするので、会議の前に、例えば12ページの青い表での進捗表みたいなものをいただければ、それを見て、みんなコメントして、それをこの場で、その次の回の5分でおさらいするよりは、最後の五分でどうするのかと議論したほうが、建設的なのではないかと思います。岸上さんのお勧めのやり方もいいと思うのですが、せっかくの場なので、ここで一から議論するよりは、もう少しフォーカスを当てて議論してもいいのではないかと思いました。それは、金融庁さんが進められやすい方法でと思いますが、せっかく作成した12ページの表をうまく活用していただいたらとも思っております。
 
 加えて、すみません、10ページの表で、これも事前にコメントさせていただいたのですが、脱炭素の加速ということで2月下旬に赤い部分をされるということですが、赤い部分のところになるのかどうか分からないですが、ちょうどこの頃予定では、日本のGXボンドも出るらしいと聞きますので、これもどこかで触れなくていいのかと考えます。発行の前なのか、発行の後になるのか、財務省さんに聞かないと分からないのですが、タイミングによって、1回目のGXボンドについて、この場で議論するというのもいいのではないかと思います。岸田首相もGXが大事でとその基本になるGX移行債についても、各省庁のいろいろなお役目があると思うのですが、ここで議論することを妨げるものではないのではと思いましたので、一応御提案申し上げたいと思います。
 
【水口座長】  ありがとうございます。後段のGXの話は、多分そうですね。こちらでも取り上げてよいのかと思います。
 
 前段のお話は、事前に資料をくれということですか。
 
【林メンバー】  このテーマで、今ここまでやっていますぐらいのことは分かる資料を。
 
【水口座長】  分かる範囲は。
 
【林メンバー】  はい、全員がどのステージに何があるか理解して、私は全然理解できてないと思うので、棚卸しをしていただければ。
 
【水口座長】  少し、そうですね、早めにその資料があれば、当日の議論がより建設的になりますという。
 
【林メンバー】  はい、そういうことです。
 
【水口座長】  おっしゃるとおりですよね。
 
 金融庁の皆さん、忙しいのは、大変だということは分かるのですが。
 
【林メンバー】  御負担にならない範囲で。
 
【水口座長】  でも、御指摘のとおりだと思います。
 
 ほかにいかがでしょうか。ぱっと出てこなければ、私から1つ御提案がありまして、ちょっと提案を用意してきたのですが、10ページの一番下のところに、「別途、若い世代にも議論に参画いただくセッションを企画」というのがありまして、なかなか皆さんお忙しくて具体的に考える時間がないということがあるので、私の私案をここで少し述べさせていただきたいのですが、これは全く私案なので、全然相談していないのですが、こういうことができたらいいなというのは、若手の、例えば各運用機関とかアセットオーナーとか、あるいはVCとかいうところの若手の方、例えば35歳以下ぐらいの方々をお招きして、有識者会議のメンバーとラウンドテーブルみたいなものが設定できたらいいなと思うのですね。そういう若手の方々に、具体的な日々の実務の相談をされてもなかなか大変なのですが、そうではなくて、サステナブルファイナンスがこれからどこを目指そうとしているのか、そして皆さんはどんな未来を描くのですかというようなことについて、比較的抽象度の高い意見交換をする会を、ラウンドテーブル形式でやる。それをすることによって有識者の、よく岸上さんがこの中で一番若手だけれども既にもう本当の若手ではないという話をされますが、それよりも年上の方々が、どんなことを思って今まで来られたのかということを若手の方にお伝えし、逆に若手の人がどういうことを思っているのかということを伺って、有識者会議の議論の参考にする。そういう会議なり、そして若手の人たちもコミュニティーができれば、それによって長期的にサステナブルファイナンスの世界が広がっていくのかなと思いまして、そんなラウンドテーブル的なものを設定できないかなと、個人的に思っております。
 
 イメージとしては、各社から二、三名ずつ集まって、ただ、普通に募集するだけなので、40人とか集まるかしらと思っているのですが、有識者会議のメンバーの方も、別に強制ではないので、日程の合う方に御参加いただいて、最初はメッセージ的なものを全体で発信し、あとはグループディスカッションのような形で、分かれて、5人とか10人とかの議論をするというような感じのものができたらいいなと。それを年に2回ぐらい開催していくと、数年で、サステナブルファイナンスを頑張ろうと思う若手の人たちの層ができて、そういうコミュニティーができると、大分違うのかなというようなことをちょっと思いましたということで、1つの御提案です。今日すぐに決まるわけではないのですが、次回におさらいをするのであれば、こういうやり方もありますよというので、御検討いただければと思います。いかがでしょうか。
 
 どうぞ。
 
【藤井メンバー】  よろしいですか。
 
【水口座長】  はい。
 
【藤井メンバー】  今の水口座長のお言葉に非常に賛成するのですが、先週たまたま、ある夜間大学院でサステナブルファイナンスの講義をやらせていただく機会があって、聴講生は食品メーカー等の事業会社の方々が中心だったのですが、御質問が極めて具体的で、実務と大きな世界の流れとのギャップに悩んでおられました。言葉を借りれば、このまま突き進んでいいのかといった御発言もいただいて、脱炭素に向けた大きな流れと日々実務で直面している課題との連関性が、現場ではなかなか肌で掴めないのではないかという印象を受けました。
 
 そういう意味では、今おっしゃられたラウンドテーブルで、例えば実務においてカーボンオフセットを購入するときに悩まれていることとか、そういったことを議論できると良いのではないかと、まず思いました。
 
 もう1点は今、林様からもありました、実態の棚卸しということ、これも全く賛成ですが、一方で、9ページの記載でいえば、動きが加速している分野という部分がありまして、実態の棚卸しというのは基本的にバックワード・ルッキングであることは認識して、ここから何が加速していくかということについても、ある程度頭に置いておかないといけないと思います。
 
 そういう意味で1つ具体例を挙げますと、12ページのトランジション・ファイナンスについては、この1年2年、日本の官民が力を入れてきて、議論が先行してきていると思うのですが、一方でこの秋以降、GFANZの協議文書や、NGFSのペーパー、それからシンガポールMASもガイドラインのペーパーを出しています。せっかくここまで日本が議論を先導してきている中で、動きが加速している分野という意味では、1つ例としてあるのではないかと思います。もちろん、ほかのトランジション・ファイナンスに係る会議の議論状況をこの有識者会議でアップデートしてもらうということでも結構だと思いますが、そこは1点、具体的な例として、申し上げたいと思います。
 
 以上です。
 
【水口座長】  ありがとうございます。
 
 それでは、すみません、お手が挙がっていた、まず、小野塚さん、林さん、吉高さんの順番で行きたいと思います。
 
 小野塚さん、お待たせしました。
 
【小野塚メンバー】  ありがとうございます。先生がおっしゃられた次世代との意見交換は私も賛成です。伺いたかったのが、多分この後の議論になるのかもしれないのですが、もっと若い世代、大学生など、先生、実際に御講義とかされて大学で接している中で、その辺りというのは、どうお考えになるかを少し伺いたかったということがあります。
 
 その質問の背景は、今年の7月に、当団体でカンファレンスをしたときに、大学、大学院生、文系理系も含めて、何人かを集めて実際にサステナブルファイナンスについてどう思うかといったディスカッションセッションを1つやったら、意外と、サプライズというか、意見も出てきました。次世代、SDGsネイティブと言われているから、とても考えているのかなと思ったら、そういう人ばかりではなかったりとか、むしろ、それが先行していてクライメートテックで起業している人がいたりとか、結構、今もう働いている人以外の次の層ぐらいとも対話をすることというのは有効かなと思ったので、その辺りはどうお考えでしょうか、お聞かせください。
 
【水口座長】  ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。当面、私が思ったのは、まず、ESGとか、実務で少し接していて多少分かる人たちとの対話が一番喫緊かなと思いましたが、仰るように、その先の世代というのもあると思いますので、それも考えられるのかとは思います。
 
 問題は、私はこう言うだけですが、誰がアレンジするのか的なことを考えると、簡単には言えないということですが、少し自分も手を動かしたりしようかとは思いますが。御指摘の点、そのとおりだと思います。
 
【小野塚メンバー】  ありがとうございました。
 
【水口座長】  それでは、林さん。
 
【林メンバー】  コメントが多過ぎてすみません。今の小野塚さんのコメントに本当に大賛成で、私もまずは、事務局の負担を考えれば、各社の社員を出すところからスタートすると思うのですが、今、藤井さんがおっしゃった学生さんだとか、あとスタートアップの方とか、あと今日たまたま朝話していた人はグロービスさんで、ちょうどサステナビリティの話をして、ものすごくたくさん質問が来て、やっぱりみんな若者が、上の人が何かやっているのは分かるんだけど、自分が何をやっていいのか分からないという質問がすごく多かったという話を延々と聞かされたので、そうなんだと思っていたのですが、そんな急にいっぱい広げたら、手に負えなくなるかと思いますが、回を重ねて、ある程度プラットフォームができたら、オンラインでやるとか、どこかと協賛で大きいイベントをやるとか、夢は広がるなと思いました。すみません。
 
【水口座長】  ありがとうございます。
 
 では、吉高さん、お願いします。
 
【吉高メンバー】  ありがとうございます。まず、こちらの進め方に関しましては、藤井さんがおっしゃるように、非常に世界の動きが速くなっていて、この分類はいいのですが、やはり近々なものをフォーカスしていく必要があろうかと思って、特にNGFSの動きというのは、十分我々も、この中でインプットしていくことが重要だと思っています。
 
 ただ、やはり民間の動きも進んでおりまして、この前、3メガを中心にISSBに向けて、情報開示のプラットフォームもつくられましたし、やはり我々とそういった民間の動きとどうコラボしていくかみたいなところも、実は重要な論点かと思います。
 
 では、もう既に色々と動き始めている中、どこでそういうことを話すのかというのと、もしかして12月の会議で議論するのかもしれないですが、その都度出る色々な動きについて、我々は迅速に対応するという姿勢を見せるべきかと思っています。
 
 そういった点では、もちろん12ページの赤いところに合わせて、2月下旬の、アジアを含むという題名で全然問題ないのですが、林さんがおっしゃったように、GXのボンドに関しましては、首相のPRIでの発言後、メディアで、グリーン・トランスフォーメーション・ボンドと英語で言われていたりする一方で、政府が発信したクライメート・トランジション・ボンドという言葉はあまり出てなかったりします。この委員会でもどのように本件を考えるかをきちんと押さえるべきだと思います。一方で、来年、米国の選挙に向かって、先程藤井さんから御指摘があったとおり、悩みを抱えていらっしゃる企業もあるということでは、例え来年どちらが勝とうが、日本の進むべき方向というのを、先程水口先生が仰ったような、首相があのように言ったのだからということを、もっとこの委員会、会議でも、発信するということは、米国の選挙の結果が出る前にあってよいかなと思います。せっかく菅元首相が世界に向けて、早めにカーボンニュートラル宣言をしたからこそ、今我々、世界についていけているというのがあるので、やはりタイミングは結構重要だと思っています。その辺りを報告書の中に入れられるような形の進め方を、ぜひ検討していただきたいと思っております。特にパリ協定6条が動き出しますが、カーボン・クレジット市場です。国内でも動き出しましたが、海外のクレジットというのも今後、日本企業としては重要だと思いますので、その市場の進み方をどこで議論するのか、これだと12月なのでしょうか。私が申し上げたいのは、各回のテーマと世界の動きが合致するのかというところを少し御検討いただければと思っております。
 
 それがまず1点と、もう1点は、先程の先生のアイデア、私は大変よいと思っています。まずは、若手の、実際に動いている方々に対して、どういうふうに我々は対応していくのか。なぜかと申しますと、多分、各社でこういうことを話せる上司も部署もないのだと思います、申し訳ないですが。ですので、彼らがやりたいと言ったときに、受皿をやはり我々でスタートするということが大変重要なのかと思います。
 
 それから、金融庁もコンソーシアムに参加している「Team Sapporo-Hokkaido」という国際金融センターの創設を進める取組みをされているかと思うのですが、それの一環で私、大学生・若手社会人向けに、今週、北海道GXの可能性と金融・エネルギーの将来というシンポジウムで登壇させていただき、札幌市様、環境省様と参加したのですが、300名、リアルで200名、さらに100名のオンラインでの参加があり、たくさんの方々がGXに関するファイナンスに関して御関心を持っていただきました。その中では、もう既にポジションを持って運用しているような学生ですとか、私が今東大で教えている学生は、趣味で企業分析しているという人材もおりますので、まずは、もちろん実際に働いている企業の若手ですが、そういった学生もサステナブルファイナンスに関心を持っていただけるような、次の人材育成として、ぜひ進めていただければと思っております。
 
 以上でございます。
 
【水口座長】  ありがとうございます。
 
 いろいろ御意見いただきました。特にGXボンドという、クライメート・トランジション・ボンドが正式名称ですよね。その名前が出てないというのはちょっとあれですが、そのボンドの話、それから、NGFSやGFANZをはじめ、そういうところのトランジションの議論、そこはきちんと追いかける必要がある。これをやるのは、やっぱり2月下旬では遅いですかね。このアジアの回ですかね。何かテーマが多過ぎ、大丈夫ですか。
 
【堀本政策立案総括審議官】  GXボンドの件ですが、もちろん御議論いただいたらいいのですが、情報によっては、コンフィデンシャル情報になってしまう、マーケット情報になってしまいます。皆さんのコンフィデンシャリティの問題が出てきますので、やり方はまた検討を、しかも金融庁だけでやる話ではないので、それはまた御相談させていただきたいと思います。
 
【水口座長】  そういう意味では、時期も問題ですね。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  そうですね、特に発行のタイミングの前後は誤解のないように発信を行うということもあろうかと思い、なかなか難しい面もあるようにも。
 
【水口座長】  そうですね。ありがとうございます。
 
【二木メンバー】  いつも思うのは、サステナブルファイナンスという項目はESGを進める上で極めて重要な項目の1つだと思うのですが、これはある意味、全体の中での一つのパーツでもあるので、全体感を俯瞰するときに、例えば経産省がやっていること、環境省がやっていることというのが、全体で何をやっていって、何でサステナブルファイナンスをこういうことで位置づけていかなければいけないのかが、どういう資料を見れば分かるのかといつも思っているのですが、なかなかそれにフィットするようなものが、あるようでないと思っています。省庁横断的になってしまって、そこは難しいのだろうなとは思うのですが、何となく全体、日本のESGみたいなものがどういうふうに進んでいるのかがまず大きな絵としてあって、その中で、サステナブルファイナンスは金融庁としてこういうふうに位置づけていくのだという図柄があると、我々ももちろんですし、その次の若い世代においても、こういうことになっているのかということが大変分かりやすいのではないかと思います。ですので、そういう全体の絵がつくれるものかなというのは、もしできるのであればお願いできないかと思います。私事のお願いで恐縮です。
 
【水口座長】  この有識者会議でも毎回その議論はあって、12ページの図の中に少しずつ、例えば環境省のグリーンボンドというかグリーンファイナンス検討会の議論も入れていましたし、経産省のトランジションの議論というのも入ってくるとか。
 
 ただ、どんどんいろいろなところで、いろいろなことが起こっていまして、インパクトの関係ですと、内閣府のほうでもいろいろ出てくるとか、いろいろあるので、全部を全て俯瞰することはなかなか難しいところがありますが、ただ、趣旨としては、この会がそういう意味でいうと一番、いろいろな情報を集めて、全体を俯瞰する場であることは事実でして、できるだけこういう資料にも、他省庁の動きを入れていければと思います。よろしくお願いします。
 
 すみません、河本様、お手が。お願いします。
 
【河本メンバー】  二木さんのご発言と少し似ているのですが、サステナブルファイナンスは、全体の中の1パーツであり、ファイナンスは調達側と両輪で進めていくものだと思います。サステナブルファイナンスは、取り巻く環境が変化していくので、それに応じて柔軟に議論するべきだと思います。先生が仰るように、漏れがないようにというのも大事なのですが、それも見ながら、適切なタイミングで議論していくことも重要であると思います。
 
 事務局に質問ですが、12ページにある論点の中で、インパクト投資は大きなテーマの一つだと思います。これが10ページには入っていない。昨事務年度のストラクチャーだと「インパクト投資に関する検討会」と、「脱炭素等に向けた金融機関等の取組みに関する検討会」を設置し、最後議論の内容を統合したと思います。今事務年度は基本的には「1年間の議論テーマ」をベースとして考えているのか。インパクト投資は、別途コンソーシアムができるので、そこで議論していくということになるのか。全体の枠組みについて、ご説明をお願い致したい。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  細かい議論については、コンソーシアムや、有識者会議の下の検討会で議論いただけるということかと思います。他方で、全体像は12月あるいはどこかの段階で御議論いただければと思います。
 
【河本メンバー】  そうですか。分かりました。ありがとうございます。
 
【水口座長】  そうですね。
 
 岸上さん。
 
【岸上メンバー】  皆さんに追加する形になると思いますが、例えば、次回が「投資の基盤となるインフラ整備」と書いてあって、それ自体に異議はないと思いますが、それが何を意味するかというのが、12ページだけでは収まりきらないと思います。オフ会でも議論したような、より広いものがあると思いますので、林さんの意見にも近い形になると思いますが、最終資料の段階というよりも、こういった内容をカバーする予定というのを、本当にシンプルなものを事前に共有いただきまして、事務局だけの負担にならずに、有識者会議メンバー全員から、このお題の中で入るべきものが何かというインプットした上で、当日の議論に持っていくことができたらよいかと思いました。
 
 あと、若手との議論も全面的に賛成ですが、皆様からの意見と一緒ですが、やはり若手といっても実務に就かれている若手と、これから就職される若手で、大分、視点や期待値も違い、ギャップも違う視点からのギャップがあると思うので、特に後半の議論ともつながる形でどちらも重要かと思いますので、先程水口座長が、2回できたらよいということで、もし2回が可能なのであれば、実務者向けの若手バージョンと、より学生という立場、しかも社会人ではない学生という立場の若手バージョンの2タイプが、もし可能であれば有効かと思いました。
 
 以上です。
 
【水口座長】  ありがとうございます。後段のほうはおっしゃるとおりだと思います。できるだけ検討はしたいと思いますが、できるかどうかはまた、やってみないとと思いますが、前段のお話、林さんからもありましたが、次回、例えば12月下旬にこういうテーマですよということのときに、結局、この場だけでいつも集まって議論しているけれども、少し前に例えばアジェンダとしては、こういうアジェンダがありますということだけでも投げていただく。そうすると有識者の皆様からも、この分野でこんな進捗があるとか、こういうのは取上げてほしいという情報提供などもいただいて、それも例えば事前に共有をした上で、当日臨むと、少し話は早いかなという感じはしますよね。それは、言わばこの有識者会議の運営の仕方そのものの御提案ということで、これを、ふと思うのは、あまり手間暇かけずにやるならば、例えばメーリングリスト的なものが1個あって、そこに今度の議題はこれですというのを金融庁で投げていただいて、事前に思うことがあれば言ってくださいというのをメーリングリストで皆さんがお答えいただいて、その上で当日の議論を迎えるというような形でもあり得るかなと、今ふと思いました。資料を全部準備されるのはなかなか大変ですし、先程、例えば、3メガがISSBのこういうプラットフォームをつくりましたという話とか、あるいは東証さんのカーボン・クレジットの市場の話とか、それは当事者がいるケースもありますし、詳しい方がいるケースもありますから、それをむしろ、使うというのも、いいのかもしれないと思いました。いつも有識者の皆さんがお客様として来るだけではなくて、むしろ一緒に議論する感じでもいいのかもしれませんねと思いました。その辺、やり方も検討できればと思います。
 
【林メンバー】  中身によるのですが、御当局の方が事前説明といって個々の、今回はそういうものはありませんでしたが、資料の説明はありがたいのですが、やめたほうがいいと私は思っていて、やはり皆さんも働き方改革をしなくてはいけないと思っているので、せめてオンラインで、録画して一斉に、勝手に見るとか、経産省が今そうやっていらっしゃるのですが、とにかく皆さんにとっての時間を大切にしていただきたいという強い思いがございます。
 
【水口座長】  ありがとうございます。ありがたいお話です。(あの事前の説明は)審議会方式ですね。審議会で事前に御説明されるケースがあると思いますが、少しそういう点も考えられたらと思います。
 
 それでは、一旦この議論はこの辺にして、特に、こういうテーマもある、ああいうテーマもあるという話をいろいろいただきましたが、そこは記録をとっていただいて、御検討いただければと思います。
 
 引き続き、人材育成の御相談という議論をしていきたいと思いますが、資料について、西田さんから御説明をお願いできればと思います。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  12ページの一番下にあります横断的な課題ということで、専門人材について本日御議論いただければと思います。
 
 どこをフォーカスして議論していくかという点は非常に難しいかと思いますが、中身としてどのようなスキルを習得すべきかという点については、昨年12月にスキルマップを作らせていただきました。ESGの各分野の内容に関する知識と、ディスクロージャーも含むファイナンスの知識、これらを統合する能力が求められるということで、分野によっても様々でありますが、スキルマップとして一覧化いたしました。
 
 資料13ページ、14ページでは、人材の層に区分し、全体図ということで記載させていただいています。
 
 13ページの上段が、より専門度が高く、金融機関などでサステナブルファイナンスの実務に従事される方を念頭に置いています。下段の方は、金融機関に初めて就職された、初めて関連部署に配属された、あるいは関連部署ではないものの自ら学びたいという方の層です。
 
 14ページの若手人材は、例えば20代で職に就かれて、これから専門分野をどのように選択するかということで、ヤングプロフェッショナルとして、今後のキャリアの方向性を考えていこうとされるような方をイメージしています。それから、大学生、一般家計と層を分けております。
 
 今、足元で人員数の不足が指摘されているのは、多分我々の理解では、サステナブルファイナンスに従事する担当の職員の方かなと思います。6月にアンケートを議論いただいた際も、サステナビリティの業務が非常に増えていて、担当をされる職員の方が少ないと。このため、実践的な知見を得られるように、業界団体での企業横断的な勉強の場であるとか、資格習得であるとか、研修会のようなものがニーズが高いという結果であったと思います。業界団体の取組として、後ろにそれぞれ全銀協、生保協、日証協の取組みをご紹介させていただいています。御覧いただければと思いますが、様々な取組が行われています。
 
 また、それから組織横断部署と、これは推進でもあるのですが、教育という面もあるかと思いまして、組織横断の部署を立ち上げられて、どういうふうに人材育成も含めて事業の展開をサステナビリティについて図っていくかを検討される。
 
 サステナブルファイナンスについての大学院での講義も、6月にも資料を出させていただきましたが、国立大学、私立大学双方で、大学院向けの講義、主にはオムニバス形式での講義というのは大分増えてきているのではないかと思います。
 
 政府では、環境省で「脱炭素アドバイザー」認証をつくりまして、これは環境省でテストをつくるのではなく、民間の事業者が資格試験をつくる際に、地域の金融機関や事業者に対する脱炭素のアドバイスの観点からバランスが取れた内容だという場合にその認証を行っていくというものです。
 
 次のページは若手人材ですが、例えば20代後半などのキャリアを今後積み上げていこうという方をイメージして記載しておりますが、ここにフォーカスした取組みは必ずしも多くは見られないのではないかと思われます。例えば、事前に御指摘をいただきましたが、海外の大学院ですと、1回きりの講座というよりはまとまった形で、プログラムやコースを設けて、人材を充てて育てていくというものがありますが、そこまではまだ現段階では、本邦では見られていないかと思います。
 
 囲みの中、緑のところは、例えばどういう対応が考えられるかという一例として、大学での専門講座、業界団体での研修、関係省庁にある補助事業を見えやすく、又は強化していくとか、また、アンケートでニーズ指摘があったような、海外に金融関連の職員の方を派遣するとか、スタートアップ等との協業とか、より突っ込んだ経験を持てるような機会というものを設けていくということもあるかもしれません。
 
 大学との連携では、マスでいろいろな方にアプローチするというやり方もあろうかと思いますが、先程も吉高さんからも話がありましたが、特に環境問題や資産運用に関心を持って取り組んでいる層により深く連携・訴求していく。そういうアプローチもあるかと思います。
 
 私からは以上です。
 
【水口座長】  ありがとうございました。
 
 これに関連しまして、今日御欠席の井口さんから、事前に意見書をいただいておりますので、私のほうで主要部分だけ代読させていただきます。
 
 事務局御提案のとおり、サステナブルファイナンスの円滑かつ持続的な運営には、人材の育成は重要な課題と考えております。ということで、大きく、人材育成への視座ということと、求められる教育ということで、2つに分けて御意見をいただいています。
 
 まず、人材育成の視座ですが、サステナブルファイナンスの論点が多岐にわたる中、人材育成については、まずは、どのような視座でこれを俯瞰するのかということを固めることが重要ということで、この点、当委員会では、サステナブルファイナンスのインベストメントチェーンの円滑な運営の観点から重要な主体、つまり、一般投資家、機関投資家、企業、ESG評価機関を含むサービス提供者を特定し、その機能向上に向けた取組への提言をしてきたと理解しています。
 
 人材育成についても同様のアプローチが有効と考えており、インベストメントチェーンの機能向上の観点から、どのような主体に、どのような人材育成プログラムが有効かということを考えることが有効と考えます。企業なのか、機関投資家なのか、評価機関なのかということだと思います。
 
 もう一つの軸として、前回、藤井委員から御意見がありましたように、人材育成における基礎、応用、実践のどの段階に相当する育成プログラムなのかという観点も重要と考えています。例えば、財務情報に関しても、財務情報に関する投資家育成教育でも、基礎的な段階として財務諸表、応用的な段階として財務諸表の分析、実践段階としては投資判断というふうに3段階で構成されている。このように、段階を踏まえた教育は、本当の意味で、各主体が実力をつけるという点で重要だ、このような御意見であります。
 
 これに基づいて、「求められる教育」というタイトルで、次のように、御指摘いただいています。
 
 このような視座で考えたとき、サステナブルファイナンスのインベストメントチェーンの運営においては、まずはインベストメントチェーン上で情報が適切に流れることを確保することが最も重要だと考えています。具体的には、まず、企業ですが、企業において重要なサステナビリティ情報が策定され、次に、投資家、機関投資家と一般投資家が、その情報を適切に活用する。そして、サービス提供者が情報の内容を保証するといったことが重要であると思います。これまでの当委員会では、サービス提供者においてはESG評価機関が中心となってきましたが、この分野における教育に関しては、監査人、保証提供業者への教育が重要と考えるということです。
 
 そして、このような基本的なリテラシーを固めた上で、さらに、各々の業務・業界で必要とされる人材育成が行われ、インベストメントチェーン全体を評価するという形で俯瞰するのがよいのではないかということです。これはサステナブルファイナンス以前から実践されていた人材育成手法であり、この手法がサステナブルファイナンスの分野においても有効と考えている。というふうに書かれています。
 
 最後に、日本証券アナリスト協会と日本公認会計士協会が教育プログラムを持っているので、こちらも参照してはどうかということで御提案をいただいております。
 
 以上が、井口さんからのコメントであります。
 
 それでは、ここから、人材育成について御議論いただきたいと思いますが、特に15ページにもありますが、結局のところ、誰を対象にして、誰が教育を行うのかということだろうと思っておりまして、前半で私が御提案したのは、有識者会議として若手とのラウンドテーブルを持って、それは若手への教育にもなるけれども、逆に、有識者会議へのインプットもあるということだと思っておりますが、それとは別に、サステナブルファイナンスの人材育成というのは、いろいろな主体が、いろいろな形で関わるものでしょうから、どういう人を対象にして、誰が何をすべきなのか、こういう形で御議論いただいて、本会議としての提言という形につなげていくのかと考えております。
 
 それでは、皆様から忌憚のない御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 
 足達さん、お願いします。
 
【足達メンバー】  ありがとうございます。今日はビデオで失礼します。人材育成のところに関しては、サステナブルファイナンスの能力、推進していくためのケーパビリティというのは、何か正解なり、こういう知識を身につければできるというものだけではないということを痛感しています。では、「だけではない」の残りは何かというと、シナリオや技術に関して、この考え方にベットするかベットしないかということを自分の頭で考える能力だと思っています。前回、ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの方からお話を伺い、水素というものに対して相当ネガティブな見解、意見でありました。一方で、日本では、概ね水素というものがポジティブに捉えられている。そういう2つの異なった意見があるのだと知った上で、自分は何にベットするのだと考えていかなければいけない。ここがサステナブルファイナンス検定に代表されるような、これを学習しました、オーケーというところにならない部分だろうと確信しています。これはどちらだと思いますか、どちらに組すればいいのですか、どうネガティブを判断したらいいのですかというような部分で、皆さん迷っておられる。ここには正解はなくて、最後は自分の言葉で発しないといけない。したがって、人材育成では、こういう意見とこういう意見がありますということを提供しなければならない。ここがポイントになるのではないかと思います。
 
 この部分を、行政がやるというのはなかなか難しければ、この有識者会議という、民間の人間が集まった組織の中で、提言なり教材づくりをやって、2つの異なった考え方があるのだと提起すればよいと思います。例えば、気候変動を憂慮する勢力がEVを広げているのだという意見の方もいれば、EVが最終的に普及することが脱炭素の道筋と考えている方もいる。こういうことを分け隔てなく教材の中に入れていくこと、学びたい方に提供していくことが有効です。そんな工夫ができないのかなということをぜひ提言をしたいと思います。以上です。
 
【水口座長】  ありがとうございます。すぐに正解を求めたがるというのは、サステナブルファイナンスに限らず日本の教育界全体の問題でして、今まさに、そういう正解を求めるような人材では、これからの社会はやっていけない、そこをどう教育改革していくかというのは、私たち大学人の課題でもあるのですが、御指摘のとおりだと思います。
 
 問題は、どうやってそれを教育するのか。まさに御指摘のとおりで、何とか検定というのは、正解があって丸をつけるという仕組みだから検定がしやすいのですが、自分の頭で考える能力をつけるための方法論は、言わば、欧米の大学のように、熱い授業をするみたいなやり方なのか、なかなか教科書で簡単にできそうもないなと思っているのですが、足達さん、もし、もう少し突っ込んで、こういうことをしたらよいよというのがあれば教えていただきたいのですが、いかがですか。
 
【足達メンバー】  ありがとうございます。私にも名案があるわけではないのですが、まず、基礎編は別にして、応用編のところでは、「サステナブルファイナンスを考えるときの正解はないのだ」ということを最初にハッキリ言ってしまうこと、そして、異なった意見を並列でもいいから、きちんと両論併記で資料にするということから始まるのではないかと考えているところです。
 
【水口座長】  ありがとうございます。まずはメッセージとして、正解が1つに決まっている話ばかりではない、そういうことをきちんと伝えるということでしょうか。
 
 ありがとうございます。えてしてこの種の議論というのは、それぞれの立場の人が、それぞれ1つの正解に固執しがちということがあり、難しいですがご指摘のとおりだと思います。
 
 林さん、お願いします。
 
【林メンバー】  足達さんの考え方には100パーセント合意なのですが、現実的な対応というものを考えなくてはいけなくて、多分、物事に正解は1つしかないということはない、いろいろな見方があるというのは、多分、サステナブルファイナンスに限ったことではなくて、全ての事象についてそうなので、この委員会でそれを全て請け負うのは無理だろう。はっきりいって日本の教育そのものの問題、先生がおっしゃったように、自分も含めてなので、日本だけではなくて、人間全てだと思うので、あまり大風呂敷は広げないほうが現実的だなという、私はすぐ効率的なことを考えてしまうのですが、13ページ、14ページのものを見ても、上のほうは政府とか金融機関とか教育とか多少分かれていますが、よくよく見るとみんな横串になっていて、結局誰がやるのだかよく分からないということが課題で、文科省でもこれやっています、生保業界さんでもやっています、それはそれで別々にやってもいいのですが、ここに「一覧化・発信すること等が考えられるか」とありますが、どういう教育の機会があるのかを、まずみんなで把握する、かつ公的な機関でも色々なことをばらばらやるのではなくてまとめる。たしか金融経済教育推進機構というのができると聞いていますが、その活用がどうなるのか。やはり、色々なところでばらばらと同じようなものを一からやるよりは、出来るだけまとめることで、効率的にかつインパクトのあることができるのではないかと、そのように感じております。
 
 専門人材のところは、本当に資格試験をやったからって別にすぐにできるというよりは、どんどん世の中も進んでいますので、学び続けるということだと思っています。私は全銀協のコースとか、証券業協会のコースとか、どれもすごくよくできて、特に、全銀協の最近の充実ぶりはすごいなと、別にヨイショするわけではないのですが、すごい勢いで来たなとかと思っていて、せっかくこれだけいい教材があるので、それをうまく活用してやっていけばよくて、それをどうやって、こんなにすばらしい教材があるということを周知させるかというところから始まるかと思います。とは言え、どんなに教えても最後は人間の判断力は自分で身につけるものだと私は思っているので、幅広い見方があるんだよということをベースに、色々な教材を提供していけばいいのではないかと、あまりきちんとした答えではないのですが、足達さんの哲学を念頭に置きつつ、現実的な手法を考えるほうがいいのではないかと思います。
 
【水口座長】  ありがとうございます。
 
 では、河本さん、お願いします。
 
【河本メンバー】  全銀協の河本です。お褒めいただきまして、ありがとうございます。
 
 ちょうどコメントいただきましたので、全銀協の取り組みについて説明させていただきます。全銀協CNI Compass Programは研修の名前です。22年の4月が初回で、これまで21回開催しております。月1回のペースで、全銀協が掲げている重点取組分野を意識しながら、様々なテーマを取り上げています。例えば、最初の頃は産業別のロードマップについて、専門家の方にご登壇をいただきました。
 
 1人担当者が全てのサステナビリティに関する知識を取得することを目指しているわけでもなく、組織全体で必要な知識が備えていくことを目指しています。銀行業界は構成員も多く、お客さまと向き合ってサステナについて話す機会が多いので、裾野を広げていくことは大変重要になります。様々なテーマを会員行向けにインプットして、それを各行で、いろいろな層の人に必要な知識として広げてもらうことを目指しています。足達さんも仰っていましたが、この知識があれば全て対応できるというわけではなく、それぞれの仕事の中で、サステナの知識を吸収して自分の仕事の中で生かしてもらうことが重要です。銀行内は専門性の高いサステナ関連部署もあれば、企画部や営業店もあります。このような中で、いかに裾野を広げるかというのが我々今、悩みながらやっているところです。取り巻く環境も日々変化していきますので、習得しなければならない知識もどんどん変わっていきます。世の中の動きを見ながら、引き続き裾野を広げる取組はやっていきたいと思いますので、ご意見があれば頂戴できればと思います。
 
【水口座長】  ありがとうございます。
 
 では、佐藤様、お願いします。
 
【佐藤メンバー】  生命保険業界の取組、17ページ、18ページに書かせていただいております。まず、我々生命保険会社というのは、私もそうですが、資産運用の仕事をしている人間とそれ以外、大きく2つに分けられて、資産運用の人間において、サステナブルファイナンスは、今は避けて通れないテーマで、誰もが必ず、何らかのレベルで持っていなければいけない知識や判断力となってきています。業界としては、まずは、運用で仕事をしている、つまりサステナブルファイナンスを扱う仕事をする人たちのレベルを上げなければいけない。先程井口さんから、基礎、応用、実践という観点の話がありましたが、基礎と応用のところぐらいまでは、ある程度のレベル、何らか知識教育も含めてやらなければいけないだろうと思っています。実践は仕事でやればいいので、少なくともそういう意味で、17ページに書いているように、業界では、担当者向けにハンドブックをつくっており、こちらを使ってまずは勉強してもらえるようにしています。もしくは18ページに書いているような勉強会を用意しているので、勉強会に参加してくださいということで、運用に携わっている方のレベルを上げていって、一定のレベルまで、まずはしましょうと。
 
 もっとも、これだけでは十分ではありません。17ページの下、「今後の方向性」に書かせていただいていますが、いわゆる運用をやっていない方たちについても理解を深めて、生命保険事業全体としてサステナビリティ、サステナブルファイナンスについての底上げを図りたいと思っております。そのために、従業員の理解度に応じて、このハンドブックの基礎編と応用編ということをもう少し能力分けをするように、使い分けできるような形での作成を協会として取り組んでおり、これは、運用の仕事以外の方たちも、この領域について知見を深めてほしいと、それを後押しするような力になってほしいということを意図しております。このハンドブックについては、一般の方も利用できるように協会のホームページで公表しますので、一般の方にも御活用いただければと考えています。
 
 また、先程の事務局資料13ページ、14ページで、縦軸で専門人材、若手人材、大学生、一般家計とされています。我々自身は一般家計のところについては、18ページの下に日本生命個社の取組として様々な、中学生・高校生の出前授業とかということをやって、9万人ぐらいの学生にこれまでいろいろ金融リテラシー教育を行ってきているということはあるのですが、この区分以外でいうと一般家計ではなくて一般企業、いわゆる企業で働いている方たちの受託者責任のようなことについて、我々、年金を受託したりとか、団体保険ということで企業と様々な取引が業界として、個社としてもありますので、その企業の中の働いている方たちに対してどうサステナブルファイナンスの知識を、受託者責任のストーリーの中で理解していただくか、我々業界としてどうアプローチして働きかけていくかということについては、きちんとしたテーマとして、先程の岸田首相のメッセージではないですが、我々としてこの分野についてできる、新たな分野かと考えております。これについては、今後業界として取り組んでまいりたいと考えております。
 
 以上です。
 
【水口座長】  ありがとうございます。確かに、一般企業という枠が抜けていますね。
 
 それはそれとして、こういう教育のことを考えるときに、私なんかよく思うのは、教育のメニューを提供しても、必要な人が受けるかどうかという問題がある。必要な人が必ず受ける仕組みというのも世の中にありまして、例えば学習指導要領というものに書き込めば、小中高は必ずその授業を受けます。ただし、やはりほかにもいろいろ勉強する項目がある中で、1つ項目が入っても、あまり、実は印象に残らないというようなこともあり、実は日本公認会計士協会のほうに私少し関わっておりまして、こちらでもESGの教育プログラムということでシラバスをつくって、このシラバスに基づいた教育をしようということを考えています。会計士協会はCPD制度といいまして、Continuing Professional Developmentという教育の制度があるので、年間40単位は必ず取らなければいけないという制度になっています。その中に組み込めば、年間に1コマぐらいは必ず授業を取るかもしれない。しかし、それも全体の中の一部なので、なかなか深まっていかないのかなという危惧はあります。
 
 そういう意味で、今、佐藤さんが、運用に関わる人にとっては基礎、応用までは必須なのだというか、それは仕事として必要なのだというお話でしたが、であるとすると、彼らは必要に迫られて既に大体みんな行き渡っていると理解してよいのか、あるいは、なかなか難しいのですかねということです。
 
 同じことを河本さんにも伺いたいのですが、銀行ですと、例えば法務とか財務分析とか、必ず取らなければいけない資格があるではないですか。そういうものと今回のこの仕組みは多分違うのだと思うのですが、どのくらいの広がりがあるのかという、その辺の広がり方をもし教えていただけばと思うのですが。
 
【佐藤メンバー】  今日、先程触れなかったのですが、我々、私もそうでしたが、総合職で新入社員になって各社に入ると、生命保険講座という、生命保険全体のことを勉強するような試験、年間4回、2年間受けることになります。そのテーマの1つにサステナブルファイナンスというのが、どの項目に入っているかははっきり覚えていませんが、明確に入っておりまして、生命保険会社に入っている総合職もしくは意欲のある事務担当者も含めた方たちが受講しており、サステナブルファイナンスを学ぶということはやっているのですが、これは今、十分ではないので、もっとさらにやっていこうと考えています。一通り、生命保険業界で働く人については、この知識は持った上で、先程のような話を組み、上に乗せていこうとは考えています。
 
【水口座長】  ありがとうございます。
 
 河本さん、いかがですか。
 
【河本メンバー】  個別行のご紹介になりますが、先程申し上げたRM、お客様に向き合う職員についてです。営業部のように大企業を担当している部署はサステナの知識がないとお客さまと向き合うことが難しいので、必要に迫られて必要な知識を身に着けています。支店にいるRMの教育については、我々はサステナファイナンスに関する社内資格制度を設けています。全RMの90%程度が本資格取得しており、総数は2,000名ぐらいです。基礎的な知識を身につけた上で、お客さまと向き合いながら、必要なファイナンスを提供しています。
 
 一方で、本部の専門部署には例えばサステナビリティ経営エキスパートのような外部資格の取得を推奨しています。25年度までに何名という数値目標を示し、組織としての専門性を高めています。
 
【水口座長】  ありがとうございました。
 
 それでは、岸上さん、小野塚さん、鳥海さんの順番でいきたいと思います。
 
 それでは、岸上さん、お願いします。
 
【岸上メンバー】  ありがとうございます。13、14ページに、誰がというところは、なかなかはっきりしづらいところはあると思うのですが、色々といいアイデアはあると思います。金融庁としてできること、またはこの有識者会議としてできることというのは限りがあると思うのですが、一方で、金融庁なり有識者会議として、そもそも全体像としてこういったニーズがあるということを整理して発信することで、その他のアクターを後押しする意義があるかと思いますので、本日の議論を踏まえた上の発展版を、この有識者会議の資料という形ではない形で発信することが、まず、1つ意義があるかと思いました。
 
 その上で、金融庁もしくは各省庁としての役割の1つとして考えられるところですが、日本だけではなく、各国において、実は今、結構人材が危機的な状況にあると思っていまして、なぜかといいますと、各国において規制が非常に加速して、導入されることによって、どの評価機関にしても運用にしても、それぞれ規制対応に追われ過ぎて、バーンアウトに近いような状況になっていく現実があると思います。ですので、人材育成といいますか、人材をサポートするという意味で、各規制がどのように発展しているかを整備するという役割を関係省庁で協力いただく形で、いわゆる公的文書というよりも実務者の方が活用できるような、そういった整備があると、全ての機関でまた重複したそういった整備をしなくて済むというところがあるかと思います。
 
 それに関連してですが、やはりこの過渡期を乗り越えた先に対する、先程の井口さんの視座というところもあると思うのですが、長期的な目線を各アクターにおいて、経営者の方々が理解して発信するということで、現状の過渡期を乗り越える実務者へのサポートになるかと思いますので、そういったところの経営者の理解をサポートするような、何らかの仕組みというのは重要ではないかと思います。
 
 経営者ではないのですが、個人的な体験として非常に有効だと感じたものとしましては、留学生が来ているようなコースに対して、自社なり日本の取組を紹介するということで、そうするとアジア、アフリカ、欧州の学生の方にも伝わるかどうかということで、よりグローバルマインドセットの中で自社の取組を紹介せざるを得ないということで、考える力というのが、自発的、自動的に育成されるかということで、1つの案として御紹介いたします。
 
 また教育とのところで、先程足達さんから2つの異なる意見の紹介、という発言に関連してのコメントです。寄附講座や出前講座も価値があると思うのですが、これはどちらかというと実務者目線での情報提供になるかと思います。それに加えて、より客観的にアカデミックに分析する、そこへの予算的なところも含めてのサポートが必要ではないかと思います。以前、データ会社に所属している立場でも常々痛感していたのですが、研究費が少ない中で、特に日本において、そういった学術的な視点で冷静にデータを分析して傾向を見るということが少ない状況かと思います。ですので、そういった自由な、中立的な立場の研究をサポートする仕組みも必要ではないかと思いました。
 
 あと、客観的に今いただいている資料の中での各機関での取組を拝見しておりますと、皆様の意見から出ている俯瞰した視点を育む教育機会というよりも、今対応しなければいけないというところが優先的になっていると思うので、改めて俯瞰視をサポートできるような仕組みがあるといいのではないかと思います。
 
 すみません、少し多めに発言しました。
 
【水口座長】  ありがとうございました。一番最初に言われた、全体の中で何が必要かというのを、有識者会議の報告書ではない形でとおっしゃられましたよね。それは何か、早めに出したほうがいいということですか。
 
【岸上メンバー】  今回のような各有識者会議の資料と議事録という形ではなくという意味です。
 
【水口座長】  なるほど。何か社会に発信すると。
 
【岸上メンバー】  そうですね。恐らくこの会議に関心がある方というのは相当意識がある特定の方だと思うので、より広い方々にアクセスできる形で。
 
【水口座長】  分かりました。
 
 では、小野塚さん、鳥海さんの順番で行きたいと思います。小野塚さん、お待たせしました。
 
【小野塚メンバー】  ありがとうございます。私からは3つ、意見とコメントがございます。
 
 まず、1つは、やはり当会議は政府の有識者会議でもあるので、ぜひ正式な、お願いというか対話のような形で、文科省にサステナブルファイナンスに関する教育の意義みたいなものを、ぜひ、お話しいただけたらと思います。
 
 これは、先程の寄附講座とかそういったものは、もちろん粛々と続けるにしても、1つ、7月のFDSF(科学と金融による未来創造イニシアティブ)のカンファレンスで聞こえてきた声としては、やはり今、自然科学と人文系の融合ということが叫ばれる中で、科学系の学生がファイナンスの授業は一切ない。その先にあるサステナブルファイナンスという話は一切聞かないという話をしていました。いきなり彼らが、例えばクライメートテックに興味を持っても、ファイナンスという言葉をそこで新しく知るというのはかなりハードルが高くなってしまうと思いますので、そういった、大学レベルでいいと思います。それ以前のところはもう少し地球のサステナビリティ的な話でいいと思うのですが、大学生になったら、一般教養課程の中に、自然科学の学生も対象にサステナブルファイナンスも含むファイナンスに関連する講座というか講義を入れるというのを、正式に文科省に要望してはどうかということが1つ意見です。
 
 もう一つは、協会を通じての動きというのは、やはり金融庁ならでは、できることだと思っていまして、先程、井口さんが仰っていたインベストメントチェーンというところにフォーカスすると、今日お話に上がらなかったのは、恐らく投資顧問業協会とか、投信協会のお話だったと思うのですが、やはり欧米、他の地域で、こういったサステナブルな議論が金融界でも進んでいるのは、最終受益者の声がやはり大きいと思っています。そこに関しては、やはり日本はまだこれからということに関して、例えば今後、新NISA等で、新しい投資家が入っていく中で、投資信託、あるいはDCとかを通じたところで、もっとどういう啓発ができるのかを、協会を通じて考えていくというのは1つ、できることではないかと思います。
 
 3つ目は、これはお願いもあるのですが、引き続き、こういった資料を提供するのと、あと、先程もお話が出ましたが、いろいろなカンファレンス等で金融庁が後押しをしてくださるというのは大変ありがたく、今後も継続をお願いしたいと思います。我々もそういった民間での動きを金融庁の例えば資料に連動させる形で、特に人材に関しては、人材スキルマップが大変有効でした。それに関して、1つ御報告ですが、10月23日に浜松でFDSFの地域とのコラボレーションというセミナーを開催した際に、約80名の方が参加している前で、人材育成マップと、それから当団体が今提供しようとしている奨学金の御紹介というのを併せてさせていただくことで、かなり現実性というか、やったほうがいいというコンセプトと、やりたいけれども、どうしようということに対してのソリューションというセットで御紹介することができましたので、民間とのコラボレーションというのも引き続きぜひお願いしたと思います。
 
 以上3つです。ありがとうございます。
 
【水口座長】  ありがとうございます。
 
 では、鳥海さん、お待たせしました。お願いいたします。
 
【鳥海メンバー】  ありがとうございます。日証協の鳥海でございます。オンラインで失礼します。
 
 先程全銀協、生保協のお話がありながら、ちょっと日証協出遅れておりましたので、1点補足をさせていただきます。
 
 資料の中でも、20ページにかなり細かくいろいろ書いてございますが、この中で、コンパルソリーなところで申し上げますと7番ですね。先程の資格等々、真ん中のところに「外務員資格」と書いてございますが、これは一部、必要のない人は取ってないケースもありますが、ほぼ証券会社に勤務する全員が取得する資格でございます。現在この外務員資格の中に、こういったサステナビリティの項目、サステナブルファイナンスに関する知識が含まれております。
 
 この外務員資格は更新をしなければいけないということで、定期的に更新試験を受けるのですが、更新試験の中でも一定の知識の習得をしているということで、証券協会の社員としては、こういう形でのレベルを保つという取組をしておりますという紹介が1点でございます。
 
 あと、2つ、思ったところが、特に日証協としてということではなく、私個人の意見になるかも分からないですが、1つ、こういった取組をどこがどういうことをやっているとか、そういうことが分からないという御意見も先程あったかと思います。あとは全体に俯瞰するという御意見も何度も出ていると思うのですが、例えば、現実的に難しいということもあるのかもしれないですが、インベストメントチェーンという図をもとにして、ここの部分について知りたければこういうサイトがあるとか、こういう協会がこういうものをやっているとかということがわかるようにしてはどうでしょうか。今ですと、グリーンファイナンスといって、環境省さんのサイトへ行きますとか、なかなか、ファイナンスのことを知りたいのに環境省さんのサイトを見るというふうにはならなくて、普通に探しに行ったら分からないと思うので、我々だったらインベストメントチェーンと1つ軸を置いて、この中で調達するのだったらこちらだし、投資するのだったらこちらだしみたいな形で、見えるようなマップが何かできるといいのではないかと思いました。
 
 あと、人材育成のところで、どこをターゲットにするのかというお話がありました。、また、企業というところが表の中からも抜けているというお話も先程ありました。それも思っていたところですが、もう一つは、どの層に、というところで、やはり経営人材のところは重要ではないかと思っております。これは金融機関もそうですし、企業もそうだと思うのですが、やはり今の状態、正直申し上げると、担当している人たちが一生懸命やっているという状況にあるのは、恐らく各社そういう状況があるのではないかと思っておりまして、必ずしも経営陣が全員同じような理解度で考えている、ということではないと思います。先程足達さんですか、御意見あったとおり、正解がないことを頭で考えるというのは、まさに経営が普段やっていることで、右の意見あり左の意見あり、グローバルで色々なことが起きているということも含めて経営判断をするというのは、経営の役割だと思いますので、そういったことを経営が認識するような、具体的な提案ではなくて恐縮ですが、経営陣に対してのアップデートする仕組みが何かあると、若い人からというのもありますし、上と下と両方から変えていけるのではないかと思いました。
 
【水口座長】  ありがとうございます。経営人材の教育、大事ですよね。仰るとおりです。
 
 では、吉高さん、林さんの順番で行きたいと思います。
 
【吉高メンバー】  ありがとうございます。皆さんの御意見、私も賛成でございます。私の経験として少し追加で申し上げます。
 
 まず、13ページにございます政府の取組みの「脱炭素アドバイザー」認証は環境省がやっていますが、これを例えばサステナブルファイナンスで金融庁が、お墨つきみたいな制度をやりますと、金融機関としては、取り入れやすいと思います。学生に対しても、例えば、生保に行こうとしたときに、この資格を勉強するといいとかあるとよいと思います。鳥海さんの御意見等もありましたが、そのような認証制度があるといいと思います。
 
 この前、大学生向けのGXシンポジウムで、GXファイナンスをやりたければ、何をまずやればいいですかという学生の問いに、参加していた銀行の方が、この環境省のアドバイザー資格をと言っていましたので、やはりそういう具体的なプログラムがあったらいいと思いますので、提言の中にあればよいと思いました。
 
 それから、先程サステナブルは一部、パーツというふうにも仰っていただきましたが、もちろん金融の本業というのはあるのですが、地銀などにとっては、サステナビリティというのは、地域の経済活性化のためにマストだと思っています。一部やパーツではないと思っておりまして、地銀の人事部から社内研修を頼まれるのですが、人事部がサステナビリティに関してどういう研修をしていいか分からないという状況です。そこで、地域の経済を支える地域金融機関として、どういうことをすればいいのかというワークショップをさせていただきました。人事部のエンパワメントも、金融庁がメッセージを発信できるのであれば、していただくことがありがたいかと思います。社内でサステナビリティ人材をつくっていくためのプログラムの組成は必要があると思います。
 
 そういった観点では、私の古い話で申し訳ないのですが、私がなぜ今慶應義塾大学でサステナブルなビジネスの講義を10年以上続けられたかと申しますと、最初に、環境省が環境人材育成のプログラムの公募を出したのです。全国の大学からプログラムの提案があった。それは3年間の補助金だったのですが、結局、慶應ではずっとそれが続いています。金融庁ができるかどうかは予算もありますのでわかりませんが、最初にそういうプログラムを大学に提案してもらうと、それが1つのプロトタイプになって授業ができていくのだと思います。海外では大学院などでサステナビリティに関するプログラムがあります。国内の大学で行われている、寄附でするゲストスピーカー主体のオムニバス的な講義ではなく、大学でも正規の講義としてサステナブルファイナンスを組み込んでいくのがよいと思っています。
 
 タイムラインとしては、先程申し上げたように、金融機関にいる人材を育てるということがまず第一歩かと思ってはおります。
 
 以上でございます。
 
【水口座長】  ありがとうございます。
 
 では、林さん、お願いします。
 
【林メンバー】  経営陣、実は私も我が社にいて本当に思うのですが、我が社が比較的頑張っているグループで、トップから言われているからというのがすごく大きくて、御担当の方がどんなに熱心でも、上の方の御理解がないとなかなか前に進まないというのがあるので、地銀さんなんかはまさにそうかと思うのですが、やはりこの専門人材の上に経営層というのを入れていただいて、どう進めるかというのは分からないですが、金融庁の検査項目に入れるのかどうか分かりませんが、何かいい方法がないかと。経営陣の理解なくして本当に進まないと思いますので、それは鳥海さんの意見に大賛成です。
 
 あと、さっき全銀協を大分持ち上げたのですが、JPXもKnowledge Hubですごくいいものがありますので、それも入れていただいたらいいと思います。
 
 以上です。
 
【水口座長】  お願いします。
 
【二木メンバー】  
 
 この分け方を見ると、要は、日本人1億2,000万いる中で、圧倒的多数を占める一般家計のおじさん、おばさんたち、彼ら彼女らの中には一般企業の中にいる人もいるでしょうし、経営層に入る人たちもいると思うのですが、そういう人たちが最初から対象にしていないように見えます。対象にはしにくいのだろうとは思うのですが、少なくともこの表上、そこはもう全く無視していますよということでいいのだろうかと思います。ESG投資も、実際に個人投資家レベルで投資するという人たちは、きっとそういう一般家計の中にいらっしゃる家計を握る親世代の人たちなので、そういう人たちに対する、人材育成というよりもリテラシーの普及ということで少し観点が違うのかもしれないですが、そういう観点からしても、ここをこのままではいいのかなと思いました。
 
 では、具体的にどうするのかというのは、なかなか難しいだろうと思います。積極的に情報を取りに行くというのは、多分、本人の関心度合いによるところでしょうから、具体的にどのようなことができるのか、各社が色々やられている以上のことは分かりませんが、少なくとも、そうした人たちが対象として最初から抜けているというのは若干の違和感を覚えます。
 
 
 
【水口座長】  ありがとうございました。
 
 そろそろ予定の時間になってまいりましたが、私から一言。いろいろな御意見の中で、なるほどと思ったのは、1つは文科省との関係でして、実は今、私たちの業界が、文科系の学生も、デジタル、AIをきちんと使いこなせるようになれということで文理融合ということは非常に言われていて、文科省のプログラムとしてデータサイエンスを実現できる、大学の認定制度的なものもできています。なるほどと思ったのは、それは文科系から科学のほうへの接近ですが、小野塚さんからは逆に、科学の分野の人たちが、投資とか文科系の知識をつける必要がありますよというのは、なるほどという思いでした。文科省として、どこまでそのプログラムができるかは別にして、文理融合の議論は非常に大きなインパクトを持っていますので、それは1つの視点かと思いました。
 
 それから、経営人材にきちんとアプローチする仕組みが必要で、それこそ金融庁が一番しやすいところかもしれませんので、経営人材という議論はある。
 
 それから、鳥海さんからもありましたし、吉高さんからもありましたが、どこに行けばどういう教材があるのか、どこにどういう認証制度があるのか、そういうことが一覧できる、何かウェブサイトでもあったら非常に便利ですし、既にいろいろな業界、いろいろなことをしているということを、これだけ調べていただいて情報もあるのですから、分かりやすく伝えるということもあり得る。
 
 それから最後に、社内での人材育成のプログラムは大事ですよね。今ちょうど、金融庁といいますか有価証券報告書でも、人材育成プログラムというのを必ず有報に書くということになっていて、この人材育成という議論も、少しエンカレッジする可能性あるのかなということを感じました。
 
 というぐらいですが、もし最後に何かこれだけは言っておきたいということがあれば伺いますが、よろしいでしょうか。今日、この人材の話をここで言いっ放しにするのではなくて、せめて次回の冒頭に、少しまとめていただいて、一歩進んだ形のものをまとめていただいて、5分なり10分なり、御紹介いただけるといいのかなと。言いっ放しで終わらないようにして、まとめをしていただいて、振り返りを、ちょうど前回の授業はこんなことをやりましたねというのと同じ感じのことを、できればと思っています。
 
 それとあと、進め方のところで、次回は、そういう意味でいうと、青の部分ですよね。青の部分に焦点が当たるということですが、御検討いただければと思いますが、可能ならば少し早めにアジェンダ設定をしていただいて、皆さんの準備をしていただく。あるいは皆さんからもコメントを先にいただくという形で、進め方についても、今日いただいた御意見を少し御検討いただければと思います。
 
 ということで、予定の時間となりました。本日は大変貴重な、建設的な御意見をいただきました。ありがとうございました。最後にもし、堀本さん、何かございますか。
 
【堀本政策立案総括審議官】  本日はどうもありがとうございました。人材育成のところで1点だけ、金融経済教育推進機構の話がありましたが、これはもう既に国会で、衆議院は議論が終わっていまして、現在、参議院で継続審議をこれからやるのですが、ここでは、実際に機構がどんな教育をするのだということで、かんかんがくがくの議論が起こっています。それは、こちらはサステナブルかもしれないですが、スタートアップだとか、これも入れろとか、あれも入れろと、それもそういうことになっていくわけです。
 
 結論を申し上げますと、金融リテラシーマップというのが、従来から、金融広報中央委員会にございまして、これをやるのだということになっております。ですから、いろいろな分野の方が、いろいろなことでやってほしいということになるのだろうと思うのですが、それは機構全体の運営としては、国会との関係でもそれをやっていくと思っています。
 
 ただ、一方で、金融教育といっても広いですから、機構が教育全てをやれるというわけではないので、そこはいろいろなニーズが、それぞれの現場から上がってくれば、これは連携をして、なるべくいろいろなところにサポートができるようなことで、いろいろな取り組んでいらっしゃる方々との連携は、機構はしっかりやっていって、そこをつないでいくようなことはしていきたい、そういう状況でございます。これは、申し訳ないです。国会の議論も既に、もうある程度始まってしまっていまして、そういうことでございます。
 
【水口座長】  ありがとうございます。
 
 それでは、本日は御議論いただきまして、大変ありがとうございました。次回の有識者会議は12月21日木曜日の開催を予定しております。
 
 それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了したいと思います。御協力いただきまして、ありがとうございました。

 
―― 了 ――
 
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