「ベンチャーキャピタルに関する有識者会議」(第2回)議事録

1.日時:令和6年5月28日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所:中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室 ※オンライン併用

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「ベンチャーキャピタルに関する有識者会議」(第2回)

令和6年5月28日

【幸田座長】
 それでは、定刻になりましたので、ただいまよりベンチャーキャピタルに関する有識者会議第2回会合を開催いたします。皆様、本日は御多忙のところ、御参加いただきまして誠にありがとうございます。

 まず、本日の出欠状況といたしましては、藤本メンバーが御欠席で、渡辺メンバーがオンラインでの御参加、それ以外のメンバーの皆様には会場より御参加いただいております。また、オブザーバーの日本ベンチャーキャピタル協会様にも会場にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入らせていただきます。本日は、まずFintech協会様より意見書を頂戴しておりますので、その内容について御説明をいただき、その後、事務局及び経産省より本有識者会議のアウトプットの位置づけ等やアウトライン案等について御説明いただき、その後、メンバー、オブザーバーの皆様から御意見を賜りたいと思います。それでは、Fintech協会様より御説明をお願いします。
 
【Fintech協会】
 ありがとうございます。Fintech協会の髙尾でございます。このたびは発言の機会をいただきましてありがとうございます。

 私どもFintech協会は、2014年よりフィンテックのミートアップを起源として活動を開始しております。我々のミッションは、フィンテックエコシステムの拡大というものでございまして、現在470社ほどの会員企業を擁しております。会員もフィンテックスタートアップから大手の金融機関まで幅広いメンバーで構成されておりまして、こういったバックグラウンドから今日は発言させていただければと思います。

 前回議論されましたベンチャーキャピタル向けプリンシプル、VCプリンシプルの基本的な考え方に関しまして、オブザーバーではありますけれども当協会として意見をまとめさせていただきましたので以下、表明させていただきます。

 まず、当協会としましては、スタートアップ政策においてはグローバルスタートアップの育成等も含めて、ユニコーンを輩出するようなエコシステムの整備、これが重要であると考えております。もちろんスタートアップの選択肢の多様化というものは尊重されるべきではありますが、あえて金融産業政策としてスタートアップに着目するのであれば、日本社会全体の経済成長にも資するグローバル企業を今後増加させるための仕組みを整備することが重要と考えております。

 そうした観点から、当協会としては長期運用に資するアセットクラスとしての魅力を高め、VC業界の発展を後押しするためグローバルな実務等を踏まえ、VCの運営に求められる基本的な考え方を示すプリンシプルを定める本有識者会議の目的に賛同している次第です。

 さて、我が国におけるVC実務においては本会議でも取り上げられているとおり、海外の機関投資家からのリスクマネーの流入を促進する上で検討を要する幾つかのプラクティスが存在すると認識しております。こうしたプラクティスがこれまでの契約慣行として当事者間の交渉において形成されてきたものであるとすれば、グローバルスタンダードと平仄を合わせるための一つの指標としてVCプリンシプルの存在意義は肯定されるべきと考えております。

 繰り返しになりますが、より広い見地から我が国の成長エンジンとなり得るスタートアップをいかに輩出していくか、そのために国内のスタートエコシステムを全体としてどのように底上げしていくか、この視点が重要と考えます。VCプリンシプルは、その一環として捉えられるべきであり、発行体であるスタートアップのガバナンス強化やLP側で改善すべき点はないか等の施策もトータルで考えるべきと存じます。この点については、本会議が金融庁と経済産業省の共催であることからも、この趣旨が踏まえられたものであると理解しております。

 当協会においてもスタートアップの投資活動について、諸外国のプラクティスと比較して適切な実務を形成し、事業成長を促進する観点から投資契約書等のひな形、無担保転換社債型新株予約権付社債の引受契約書のひな形を公表しておりまして、このたびの資料に添付させていただいております。こうした取組により、エコシステム全体の底上げに資する貢献を今後も微力ながら継続してまいりたいと考えております。ありがとうございます。映していただいているものですね。

 なお、VCプリンシプルの位置づけに関しては、前回御説明いただいたとおり、ルールベースではなくプリンシプルベースで機関投資家にとってのベストプラクティスを提示するものである位置づけに当協会から異論はありません。対象に関して、コーポレート・ベンチャーキャピタル等について適用を対象から外す考え方も当然あり得るところと思いますが、このVCプリンシプルが、あくまでルールベースではなくプリンシプルベースであることで、究極的には契約当事者であるところのLPが納得していれば、その辺りは柔軟に調整可能と考えられますので、とりわけコーポレート・ベンチャーキャピタル等について適用対象を外すような議論をする必要性は、現状、さほど高くないのではないかと考えております。

 もっとも、初期段階のVCにおいては、VC自体の育成的な観点で機関投資家の期待値を調整していくことの有用性は一定程度あるかと思いますので、この点についてプリンシプルの中で言及していくことが望ましいのかなと考えております。

 また、個別の論点については今日も含めて今後議論されるべき事柄であると考えておりますが、我が国における海外からのリスクマネー供給のボトルネックとなり得るプラクティスの見直しという検討軸で必要な事項については盛り込むという考え方をベースにすべきじゃないかと思います。その上でスタートアップ育成、スタートアップエコシステムの拡大という目的に資する項目については適切な合理的配慮は行いつつ、盛り込んでいくことが望ましいと考えます。

 前回、触れられた個別論点について、現段階で若干のコメントをさせていただければと思います。まず、前回御提示いただいた論点10、スタートアップへの投資実行、論点12、投資先への資本政策支援で触れられている上場努力義務やスモールIPOの誘発という課題については、ファンド期限との関連でLP持分のセカンダリー取引の増加に資する市場形成が重要であり、LP持分のセカンダリー仲介業、あるいはポートフォリオを構成する非上場株式の仲介業の活性化、育成及び発行体に過度な負担が生じない範囲での情報開示の促進が課題解決の鍵となり得るものと考えております。

 また論点14、ESG対応等について、ジェンダーダイバーシティに取り組むことによってスタートアップの生産性向上や、課題解決のアプローチへの好影響が見込まれる場合には、VCプリンシプルにおいて視点として取り入れられるべきものと考えます。

 私からは以上です。
 
【幸田座長】
 Fintech協会様、御説明ありがとうございました。それでは、続いて事務局説明資料について、事務局より御説明をお願いいたします。
 
【齊藤企画市場局市場課長】
 それでは、お手元の資料1に沿って御説明させていただきます。まず、1ページ目の目次でございます。ローマ数字のⅠといたしまして、前回会議の議論を踏まえたアウトプットの位置づけ等についての整理を御説明させていただきます。その上でローマ数字のⅡでございますけれども、前回からアウトプットの位置づけを変更させていただいている推奨・期待される事項につきまして、アウトライン(案)を御説明させていただきたいと思っております。

 では、右下のページの3ページ目までおめくりいただけますでしょうか。アウトプットの位置づけについてでございます。前回の会議では、プリンシプルを定めることについて慎重な御意見もある一方で、プリンシプルを示すことについて意義があると、そういった御意見もございました。慎重な御意見といたしましては、例えば規制当局が行為規範を定めることで一律の規制にならないよう、機関投資家がVCファンドに出資する際の留意事項について議論いただきたい。あるいはプリンシプルを金融庁が策定する形式ではなく、機関投資家の目線でどのような視点が重視されるのかという留意事項という形も考えられるのではないかといった御指摘がございました。一方でプリンシプルはソフトロー的な考え方であり、VCに対して何らかの規制が設けられるとは認識しておらず、プリンシプルの策定に異論はないと、あるいは高い水準のプリンシプルがVC業界には必要ではないかと思っていると、そういった御指摘もあったと承知しております。

 本来、プリンシプルはソフトローでございまして、行動規範ではなく一律の規制には当たらないと考えておりますけれども、御懸念を踏まえまして位置づけを変えることとしてはどうかと考えております。対応案でございますが、広く内外機関投資家から資金調達を目指すVCについて、LP及びGPにおける推奨・期待される事項を定めるものとしてはどうかということでございます。

 また、当該推奨・期待される事項については、規制当局ではなく本有識者会議を作成主体としてはどうかということでございます。これによりまして規制当局が事実上のルールを定め、VCの多様性を阻害するとの懸念を払拭する一方で、広く内外機関投資家から資金調達を目指すVCにおいては、LPとGPによりファンドの資金調達・運用に係る実務において活用されるものとの位置づけとしてはどうかということでございます。そして政府によってこの推奨・期待される事項について、受入状況を集計・公表してフォローアップするものではないということとしてはどうかということでございます。ただし、本「推奨・期待される事項」のアップデートをしていくためにも、LPからVCへの出資状況等の実態調査等を行うことは考えられるものと思っております。

 次の4ページ目でございます。アウトプットのスコープについてでございます。これはCVCや初期段階のVC等の扱いについてでございます。前回の事務局説明資料では、CVCや初期段階のVC等については基本的には対象外としてはどうかとさせていただいておりました。この点につきましては、前回の御議論で事業会社からのVCへの資金流入や新興VCの設立が阻害されないよう対象範囲には配慮いただきたいといった御指摘がある一方で、CVCであっても根底に横たわるものとして高いディシプリンを求めることは正当化されるのではないか、また、初号ファンドを一度立ち上げてしまうと、後続ファンドの段階で変更することの難易度が高いため、初期段階からそうした事項の重要性を理解いただく必要があるといった御指摘もございました。このため、対応案といたしましては、このページの下に記載のように修正させていただいているところでございます。

 まず、広く内外機関投資家から資金調達を目指すVCについてでございますが、これは前回とほぼ同じでございますが、VCの実態に応じ、LPが投資判断するに当たって推奨・期待される事項が考慮され、またGPにより推奨・期待される事項の活用が判断されるべき。VCの規模や特性等により実施しない合理的な理由や将来展望について、LP及びGPの間で意思疎通することも考えられるのではないかとさせていただいております。
 一方で、CVCや金融系、大学系のVCでございますけれども、ガバナンスの在り方などについて当事者の合意に基づく特殊性がある場合があり得ることに留意する必要があるとする一方で、LPの意向等に応じて必要に応じて参照されることが望ましいのではないかとさせていただいております。また、初期段階のVCについても規模や資金調達状況に応じた運営体制をとることが想定されるとしつつ、将来的に広く内外機関投資家からの資金調達を視野に入れている場合には、必要に応じて参照されることが望ましいのではないかとさせていただいております。

 次の5ページ目でございます。アウトプットに記載すべき事項でございます。前回の事務局説明資料では、各論点につきまして単純に併記した形にしておりましたけれども、前回の御議論の中では、VCのアセットクラスとしての魅力を考える上でVCが本来守るべき事項と個別の投資対象としてVCが選ばれるために対応すべき事項、これは分類すべきではないかと、そういった御指摘がございました。

 また、スタートアップの成長の果実をVCとスタートアップとで享受することが重要であって、スタートアップのアップサイドを実現するためにVCとしてどのようにして寄与できるかという観点を加味すべきといった御指摘もございました。これらを踏まえまして対応案といたしましては受託者責任・ガバナンス、利益相反管理等、情報提供といった機関投資家の視点から基本的に備えるべきと考えられる事項と、投資先企業の価値向上といったVCの戦略に応じた対応が考えられる事項とは位置づけを分けてはどうかと示させていただいております。

 前者につきましては、広く内外機関投資家から資金調達を目指すVCとして基本的に備えるべき推奨される事項として、後者につきましては、スタートアップエコシステムの発展に寄与し、その結果としてリターン向上にもつながる事項としてLP及びGPに期待される事項という位置づけとしてはどうかとさせていただいているところでございます。

 次のページ、6ページ目から推奨・期待される事項のアウトライン(案)についてでございます。

 7ページ目でございます。7ページと次の8ページは、最終的な取りまとめを意識しまして前のページまでで整理した内容を改めて書き下ろしたものとなります。まず、本「推奨・期待される事項」の目的についてでございますけれども、アセットクラスとしてのベンチャーキャピタルの魅力を高め、VC業界の発展を後押しすべく、広く内外機関投資家から資金調達を目指すVCについて、LP、GPにおける推奨・期待される事項を定めるものであると。また、次の四角の真ん中でございますけれども、本「推奨・期待される事項」が国際的なプラクティスや日本の商慣習・市場特性、各VCの特性等を踏まえつつ、VCにおける資金調達・運用に係る実務において必要に応じて柔軟に参照されることにより、VCのガバナンス等が向上することで、VCの新設や多様性を阻害することなく、国内外の機関投資家の資金がさらにVCに円滑に供給される、また、VCにおけるファンドサイズの拡大等を通じたレイター・ステージを含む全般的な出資機能の強化に寄与する、そしてまた、スタートアップシステムがより発展していく、そうしたことが期待されるとさせていただいております。その次の本「推奨・期待される事項」の採用するアプローチでございますが、画一的に遵守を義務づけるルールベース・アプローチではなく、LP及びGPにおいてファンドの資金調達・運営に係る実務において活用されることが期待されるものとさせていただいております。

 次の8ページ目でございます。本「推奨・期待される事項」の対象でございます。1つ目の四角でございますけれども、VCの実態に応じ、LP、GPにより推奨・期待される事項が活用されることが想定される。VC自らの規模・特性等に照らして一部の事項を実施しないことも考えられる。その際には合理的な理由や将来展望等について、LP、GPの間で意思疎通されることが期待されるとさせていただいております。

 また、2つ目の四角につきましては、CVCや初期段階のVC等について、先ほど申し述べた点についての記載をしているところでございます。そして、そのページの下でございます。本「推奨・期待される事項」の構成でございますけれども、広く内外機関投資家から資金調達を目指すVCとして基本的に備えるべき推奨される事項と、機関投資家から投資対象と選定されるとともにスタートアップエコシステムの発展に寄与し、その結果としてリターンの向上にもつながる事項としてLP、GPに期待される事項、この二段構成とするとさせていただいております。

 次のページから具体的な推奨される事項、期待される事項についてでございます。10ページ目でございます。まず、推奨される事項についてでございます。前回の事務局説明資料で説明した各論点につきまして、文末を推奨される、あるいは期待されると変更しているほか、主な修正点を説明させていただければと思っております。

 まず、1ポツの受託者責任についてでございますけれども、2つ目の四角についてでございます。LPACにつきまして、LPAC以外の方法でLPの意見を反映させることも排除されるものではないと考えるため、「LPACを設置する等」と、「等」を加えさせていただいております。また、2ポツの持続可能な経営体制の構築につきましては、1つ目の四角の2行目の最後のところでございますが、短期間でのキーパーソンの離反は、基本的には起きてはならない事象といった形で「基本的には」を加えさせていただいております。これは、例えば病気など、やむを得ない離反もあり得るため、加えさせていただいているものでございます。

 次の11ページ目でございます。3ポツのコンプライアンス管理についてでございます。1行目でございますが、「LPの要求水準に応じた適切な範囲において」というものを加えさせていただいております。これは、特に新興VCなど体制整備についての負担もあり得るため、こうした規定を追加させていただいているところでございます。4ポツのLPの権限の透明性確保についてでございます。こちら、2行目の「特定のLPに対し、他のLPに重大な影響を及ぼし得る個別権利の付与を行う場合には」という形で、「他のLPに重大な影響を及ぼし得る個別権利」に限定させていただいております。また、その後のまた書きのところでございますが、「ファンドサイズやLPの属性に応じ」ということも記載させていただいております。これは、この4ポツについてはサイドレターの取扱いを念頭に置いたものでございますけれども、様々なケースのサイドレターがあり得て、全てのサイドレターの透明性を確保するとともに、出資コミットメント額に応じて対応するための体制をGPが整備することについては、負担が過大なものになるのではないかとの指摘があり得ることを考慮したものでございます。

 続きまして、12ページでございます。5ポツの利益相反管理につきまして、1つ目の四角におきまして、またこちらも「LPACに諮問を求める等」ということで「等」を追加させていただいております。6ポツのGPとLPの利害の一致に向けた対応でございますけれども、これは前回の事務局説明資料の中ではGPとLPのエコノミクスといった整理をさせていただいておりましたが、「利益相反管理等」へ再構成させていただいております。これは、エコノミクスということであれば民民間で決めるべきものとの印象があり、この規定の趣旨としましては、利益相反に対応するための利害一致に関するものであるため、再構成したところでございます。その上で1つ目の四角でございますけれども、いわゆるセイムボート出資については、これ以外の方策を排除するものではないため、「GPによるファンドに対する適切な出資コミットメントが行われる等」と、「等」を加えさせていただいているところでございます。

 次の13ページ目の情報提供につきましては、特に修正をしておりません。

 続きまして、14ページ以降が期待される事項になります。15ページまでおめくりいただければと思います。9ポツ、スタートアップとの投資契約については、特に修正しておりません。10ポツの投資先の経営支援につきましては、1つ目の四角の2行目でございますが、VCの戦略に加えて「投資先企業の意向に応じて」という形にさせていただいております。これは投資先の経営支援につきまして、投資先企業においてはハンズオン支援を希望しない場合もあり得るかと思いますので、そういった点を踏まえたものでございます。

 続きまして、16ページでございます。11ポツの投資先の資本政策支援につきましてでございます。こちらの1つ目の四角の2行目でございますけれども、「投資先企業の意向に応じ」ということを加えさせていただいております。また、その後でございますけれども、フォローオン投資などにつきまして「必要性・合理性が認められる場面においては」ということで、「合理性」も加えさせていただいております。これは投資先企業の資金調達の必要性に加えまして、VCのファンドとして、またはその他の事情から合理性が認められることも当然必要であろうとの観点から加えているところでございます。

 続きまして、12ポツの投資先の上場後の対応につきましては、特に修正をしておりません。

 最後になりますが、17ページでございます。その他の事項としまして、13ポツのESG対応・ダイバーシティの尊重等ということでございます。前回ダイバーシティ尊重の重要性の指摘があったことを踏まえて、ESGから特出しした形でダイバーシティを明記させていただいております。タイトルとしても「ESG対応・ダイバーシティの尊重等」という形にさせていただき、四角でございますけれども、「ESG・ダイバーシティの尊重等への関心の高まりを踏まえ、VCの戦略に応じて」という形で記載を書かせていただいているところでございます。

 私からは以上になります。
 
【幸田座長】
 事務局からありがとうございました。それでは、続いて経済産業省から御発言をいただきます。よろしくお願いいたします。
 
【経済産業省 亀山産業資金課長】
 経済産業省産業資金課長の亀山でございます。今回経産省では資料は準備しておりませんが、前回の議論を踏まえまして我々としての考え方を一言申し上げたいと思います。

 スタートアップをめぐる資金調達環境、この10年間で大きく飛躍を遂げておりまして、その中でもVCの位置づけ、重要な役割を果たしてきたと認識をしております。特に欧米とは異なりまして、日本のVCの出資には事業会社、金融機関が大きな役割を果たしているということ、それから比較的早期から上場できるグロース市場が存在すると、加えて契約のプラクティス含めて日本特有の商慣習が存在するなど、我が国独自の特徴を持ちながらVC業界は発展してきたと思っております。

 そうした中で、スタートアップ育成5か年計画も踏まえまして我が国のスタートアップエコシステムを次のステージに進化させることが重要な局面になっておりまして、VCの役割、ますます重要な役割が期待されると考えております。特に問題意識としては、そのスタートアップの裾野は少しずつ広がりつつはありますが、大きな成長したメガスタートアップの創出、ここがまだまだ不十分ではあると思っていまして、そういう意味でレイター期の大規模な成長投資、事業拡大をしっかり支えるプレーヤーを増やしていく必要があると思っております。という意味で、国内外の機関投資家からの大型出資も含めましたLP出資を受けられるVCを増やしていくことが重要であると考えております。

 同時に、これまで先ほど申し上げた日本のVC業界が独自の特徴を持ちながら発展してきた経緯も踏まえまして、VCの設立や多様性の広がりを阻害しないようにすることも重要であると思っております。という中で、この推奨・期待する事項、そうした政策目的の達成に向けて重要な要素になると考えておりまして、この事項がVCの実務で必要に応じて適切に参照されることによって、VCの多様性は確保しつつも、内外の機関投資家からの資金調達を目指すVCの成長拡大を通じて、世界で戦えるメガスタートアップが生まれ育つエコシステムへの進化が実現されることを強く願っているところでございます。こうした点も踏まえまして、ぜひ本会議で引き続き活発に御議論いただければと思っております。

 以上でございます。
 
【幸田座長】
 経済産業省からの御発言ありがとうございました。それでは、本日の事務局説明等を踏まえた討議に移らせていただきます。前回の1回目の会議におきまして、メンバーの皆様からいろいろと御意見等も出ましたので、それらも踏まえて、事務局にて一定程度の方向感で、本位置づけや枠組み、さらには各論の論点ということで整理をさせていただいております。そうしたことも踏まえながら、先ほどの事務局説明における御意見等をお願いできればと思います。

 御発言時間といたしましては、メンバーお1人当たり5、6分をそれぞれ目安に御発言をお願いしたいと思います。一通り御意見をお伺いいたしましたところで再度メンバーの皆様から追加で御発言いただく時間も本日は設けたいと思っております。御発言の順番に関しましては、前後する可能性がございますので、あらかじめ御了承いただきますようお願いいたします。

 それでは、まずは、オンラインからお入りいただいておりますので、渡辺メンバー、差し支えなければ最初に御発言いただけますでしょうか。
 
【渡辺メンバー】
 デライト・ベンチャーズの渡辺です。ありがとうございます。前回の議論を踏まえて、アウトプットの位置づけやスコープについて柔軟な検討がされていることはよく分かり、大変ありがたく思います。特にこのアウトプットの主体が規制当局ではなく民間とするのはどうかという点や、また行動規範ではなく推奨される、期待される事項とするなどの提案は前向きに受け止めております。

 ベンチャーキャピタルを含むプライベートキャピタルの特徴と、その強みとして、その時々の資本の要求によってプラクティスがダイナミックに進化する点があると考えています。今後、日本のスタートアップエコシステムが拡大して、また、国際化するにつれてベンチャーキャピタルが海外のファミリーオフィスや年金、エンダウメントといった機関投資家から資金調達するニーズが急激に、かつ、おのずと高まってくると期待しています。

 そのときには、ここで議論されているような項目は多くのVCにとって短い期間の間に広く採用され、一般化すると想像します。つまり、資本の要求によって大きな変化が起こるわけですけれども、それが起こるまでの間、推奨される事項や期待される事項が将来の参考情報というか、準備のため議論されて、民間を通じて世の中に出ることに一定の意味があるように思います。

 一方で、この項目や内容によっては、資本の要求に基づかずに画一的に変化を起こそうとするのは若干難しいだけではなくて、かえって生産性を下げる可能性があるんではないかという懸念もあります。理由として、まず一つ。各論点に挙げられています項目の何点かについては、特に私がおります米国においては重要なニュアンス、二面性がありまして、その二面性を勘案せずに普及を試みますと逆に日本のベンチャーキャピタルの魅力を下げてしまったり、不必要な負担をVCに強いる危険性があるのではないかという懸念を持っています。

 2つ目としまして、市場環境の変化によってベンチャーキャピタルの行動のスタンダードは動的に実は変わり続けている点です。少し具体例を2点ほど挙げさせていただきたいです。例えば、ベンチャーキャピタルにおける公正価値評価は、米国ではもちろん、主要先進国でも既にスタンダードとなっています。しかしながら米国では、その運用はベンチャーキャピタル、監査法人とも現在、日本で期待されているものに比べるとかなり柔軟に、かつ簡略化して行われていると理解しています。

 例えば、私が懇意にしているAUMがビリオン規模のとある米国のVCでは、CFOお一人で評価替えから監査対応で処理していますし、同じ投資先が違うベンチャーキャピタルによって大きく異なる評価額で評価されることはよくあると聞いています。日本のVCに対する公正価値評価の導入は重要である点というのは疑いないんですけれども、必要以上に厳格な運用が標準化しないように注意して、機関投資家の全体的な期待値を正確に反映した運営を目指すべきではないかと考えます。

 あと、もう一つの例としてESGやダイバーシティについて、米国では根源の精神については表向き、幅広い支持が続いている一方で、フレームワークやキーワードとしてのESGについては、これは米国や日本と対比すると、ある意味バブルがはじけたと言っていいと思います。これは、つい最近の変化です。ESGのフレームワークに反対する機関投資家は少なくなく、DE&Iと併せて必要以上に政治色を帯びたキーワードと見られる傾向もありまして、少なくとも様々な姿勢を持った投資家が存在する米国では、機関投資家を惹きつける必須のキーワードとして大きく掲げることが必ずしも有利な要素になるかというと、そうではないことも留意すべきです。

 ちなみに、比較的リベラルなシリコンバレーのあるカリフォルニアでは、ダイバーシティや環境配慮についての社会的期待値は依然、非常に高いままです。ただ、ESGというキーワード、フレームワークをそのままベンチャーキャピタルやスタートアップが導入するのはあまり多くないのが実態です。

 これらの例を挙げてお伝えしたいのは、機関投資家からの実際の要求によらずして、ニュアンスや継続的な市場の変化をベンチャーキャピタルのオペレーションに落とすのは内容によっては非常に難易度が高いし、効率も悪くなる可能性がある点です。こういった要素も含めて議論を続けて、最終的にはニュアンスや動的な変化も吸収し得る内容、及び、そういった打ち出し方になるのがよいかと思いました。

 以上、私の意見です。ありがとうございます。
 
【幸田座長】
 渡辺メンバー、ありがとうございました。それでは、対面で御出席されておりますメンバーの方々から御発言をお願いしたいと思います。御発言を希望されるメンバーの方々、挙手等をお願いいたします。

 村田メンバー、お願いします。
 
【村田メンバー】
 村田でございます。今回のアウトプットの位置づけを、プリンシプルから推奨・期待される事項という形に位置づけを変えられることを賛成いたします。一方、この内容、推奨・期待される事項、幾つか見ていったときに、GPとLPと出資先の発行体と、それぞれ当事者が入り組んでいる状況ゆえに、GP・LPそれぞれの推奨されるべき事項という今回のアウトプットの位置づけからすると、一部コンフリクトする、または分かりづらくなるような部分があると思いました。

 具体的に申し上げると、まず11ページにあります受託者責任・ガバナンスと記載されている部分、サイドレターの透明性というところに関して申し上げます。ファンド組成のプロセスにおいてクロージングする際に、GPが複数のLPと並行してLPAの内容調整を進めているのですが、特定のLPの要望をLPA全体に反映するのが非常に煩雑になるシチュエーションのときにサイドレターに落とし込む形で調整するケースもあれば、あるいはLPの皆さんが個別の御事情で確保されたい権利、例えば個別の出資先にLPが直接投資する機会を要求されることもあります。このようなケースを踏まえ、透明性を持つこと自体にLPの都合上、それが意に反する可能性があると思います。

 それから15ページ、期待される事項の投資先の経営支援の2つ目の部分、取締役の派遣というところに関して申し上げます。投資先企業の価値向上、株主の価値の最大化に向けて行動すべしと書いてある部分は、これはもうそのとおりということでもあるんですが、発行体の経営状況によっては特定の種類株主の利害だけに終始するような資本政策のシチュエーションというのはどうしても出てきてしまうことがあります。

 特定の一番シニアな権利を持っている種類株主が派遣している取締役で、スーパーマジョリティーを持っているケース、この株主との取締役構成をもって早期に出口を生み出そうとしているようなシチュエーションというのがあったときに、LPサイドからすれば、これによるドラッグアロングで回収していく行動自体はLPとしてはリターンが最大化していくことになると思うんですが、発行体の株主全体の価値向上という意味では、あくまでその種類株主だけの価値向上という形になってしまうシチュエーションもあり得るということです。LPのリターンを増やす部分と個別の株主のみリターンが増える構造と、ほかの株主と利害がそこに分かれてしまうということが、こちらでは考慮されるべきだと思います。

 それから16ページの資本政策支援と書いている部分について申し上げます。まずフォローオン投資の実施が期待されると書いてしまうと、発行体からすれば追加投資をしてもらうことがウエルカムということになるケースもあれば、そうでないケースも当然あります。また、リターンの観点で、低いバリエーションで投資をした先が高いバリエーションで追加投資をしていくことが、LPの価値の最大化、リターンの最大化に必ずしもつながらないケースがあります。この辺のジャッジというのが、GPのセンスが問われるところなのかなと思っておりますが、ここにこれを書いてしまうことがLPの価値の最大化というところとコンフリクトする可能性があると思います。

 それから投資契約の修正について、投資契約、一旦まいたものを修正しにかかることが、どちらの顔を向いているのか、発行体の顔を向いているのか、GPとしてLPの顔を向きながらそれをやっているのか、この辺も場合によってはコンフリクトしかねないところもあるかなと思っています。

 それから、そこの文末にありますファンド期間の延長について、こちらもファンド期間の延長を自らLPの皆様が推奨されるケースというのは、ファンドのパフォーマンスが良いときに限定されると思っていまして、全てのファンドについて期間延長が望ましいと期待することがここに書かれてしまうと、LPの皆様からするとコンフリクトしてしまう事案にもなりかねないと思っています。

 それから12の2つ目に書いてある、株式を保有し続けること、クロスオーバー投資をしていくことについて、こちらも期待事項として記載がなされていますが、LPの皆様、特に機関投資家の皆様からすると上場株式の市場リスクを自分たちが取りたくないので、すぐに現金に変えてくれというLPの皆様が国内においては非常に多いのが実際です。海外の一部の機関投資家の方々は現物分配を希望されて市場のリスクは自分で取るとおっしゃるところもありますが、国内の機関投資家の方々は恐らく、このクロスオーバー投資の推奨を自らされるタイプの機関投資家の方というのはあまりいらっしゃらないと思います。また、発行体からしてもVCに長く持ってもらうことが是とされるケースもあれば、逆にオーバーハングになるので、早期に流動化してほしい需要もあります。個別事情によって、このLPの価値最大化と発行体の株主の価値の最大化というものが、どうしてもコンフリクトしてしまうポイントというのが幾つかあるのかなと、その点だけが私は気になりました。

 以上です。

【幸田座長】
 村田メンバー、ありがとうございました。それでは、引き続いてほかのメンバーの方々、片田江メンバー、お願いします。

【片田江メンバー】
 御説明ありがとうございました。前回の議論の内容を踏まえて非常に柔軟な対応をしていただいたと思います。

 1つ目の項目である前回会議の議論を踏まえたアウトプットの位置づけについては、対応案として規制当局が示すプリンシプルではなくて推奨・期待される事項を定めるものとするということより、その位置づけが明確化されていると思いますので、引き続きVCの多様性を限定的にするものではないということで、この方針で検討いただければと思います。また、アウトプットのスコープについて3つのカテゴリーに明確に分けられており、それぞれの置かれている状況や実行可能性を考慮した対応を御提案いただいていると思いました。

 2つ目の項目である推奨・期待される事項のアウトラインについては受託者責任、利益相反管理、情報提供はLPの持分価値を最大化する受託者責任を負っているという重要な点や、またLPとの円滑なコミュニケーションを通じた定期的な目線合わせをするために非常に重要な内容であるので、この推奨される事項に記されることには全く異論はございません。

 一方で、村田メンバーからもありました点で、私も投資先の企業価値向上のところに指摘されている内容については、今回改めて合理性という言葉を追記いただいて前回の議論内容を配慮はいただいていると思いますが、事例としてフォローオン投資の実行や投資契約の修正ということが言葉として明記されており、これは本来スタートアップの事業推進の状況や、市場環境の変化に応じて、スタートアップとGPとの交渉で決まるべき内容が含まれていますので、LPの持分価値の最大化という受託者責任の視点がやや欠如している印象を受けますので、推奨される事項に記載されている内容と期待される事項に記載されている内容に齟齬がないように、引き続き検討をお願いできればと思います。

 最後は1点お伺いしたい御質問ですが、10ページに記載されている受託者責任の項目で、LPによる諮問委員会を設置するなど、LPの意見が自由に反映されることが推奨されるという記載がございますが、こちらについて、この夏を目途に先行して策定される予定のアセットオーナー・プリンシプルにおいては、この事項についてどのような検討がなされているのかという点を教えていただければと思います。

 以上です。
 
【幸田座長】
 片田江メンバー、ありがとうございました。

【齊藤企画市場局市場課長】
 最後、御質問いただきましたLPACの設置とアセットオーナー・プリンシプルとの関係ということでございますけれども、今、内閣官房で検討しているアセットオーナー・プリンシプルの策定に関する議論でございますけれども、アセットオーナーとして運用の高度化を図っていくということや、受益者等のために見える化を図っていくこと等々の議論が行われているものと承知しております。そうした運用の高度化等に関する議論の中で、LPACといったLPの意見が反映される仕組み等に関する個別具体的な議論は特にされていないものと承知しております。
 
【片田江メンバー】
 ありがとうございます。

【幸田座長】
 ありがとうございました。それでは、ほかのメンバーの方々、増田メンバー、お願いします。
 
【増田メンバー】
 大きな方針として推奨されることと期待されること、こういう形で分けていただくということについて、極めて分かりやすいことだと思っております。その中で期待されることというのは、どの程度までを一般的な業界のプラクティスの中に任せるか、あるいはこういう形で明記するかということは、また議論があってもいいのかなとは考えております。

 その上でございますけれども、少し個別の項目についてコメントを申し上げたいところでございまして、まずLPACでございますけど、一般的な金融投資家の立場から見ますとLPACがあることは望ましいと。例えばこれがCVCの場合は、LPACという形のガバナンスよりは事業戦略の遂行という観点での議論のほうが正しいかもしれませんので、もしかしたら例えばCVCに適用することが正しいのかどうかというのは、やや投資家にとって見た場合に、そのメリットになるかどうかというのは疑問があったりいたしますので、この辺りはどういう形で柔軟に対応するかという、スコープにおける柔軟な対応みたいなことは考えたほうがいいんじゃないかと、こういうふうに考えます。

 それから次に2番の持続的な経営体制の構築の中で、恐らくこれはこう読み込んだらいいのかなと思うんですけど、比較的組織が小さなVCさんですと事務管理体制をアウトソースするのが極めて一般的でございますので、例えばここで、「ミドルバック担当者を備えるなど」の「など」のところでアウトソースを読み込めると考えていいのかどうかというところが、これは確認事項でございます。

 同じく、コンプライアンス管理の体制ですね。3点目でございますけど、こちらに関しましても正直申し上げます。市場でコンプライアンス関係の担当者、かつオルタナに詳しい方を起用するのは、今の市場関係で非常に難しいです。これはもう、どの運用機関もみんな欲しいと、こういうことでございますので、仮にこれを備えなければならないとした場合には、かなり難易度が上がります。例えばの話です。コンプライアンスの責任者の明確化ということでございますので、例えば兼務をされる方もありなんだと、こういう形で読み込めるかどうか、みたいなところがポイントでございまして、実際に実行可能な推奨事項なのかというところは、一つ、業界の方とも御意見を頂きながら進めていくような事項なのかなと考えております。

 それから次に期待される事項の中で、少しここは私ども自身が最近いろいろ直面する事態として申し上げたいんですけど、投資先の資本政策支援の中のファンド期間の延長でございますけど、これは主に機関投資家様でございますけど、結構社内的な稟議としては何年プラス延長期間何年みたいな形でお取りになるので、これを超えた柔軟な対応はほとんど難しいと思います。ファンド期間を延長する場合には、例えば、非常に高位の意思決定機関まで稟議を上げなければいけないので嫌だというケースもございますので、ここで柔軟に対応することを期待されると言ってしまっていいのかどうかというところは、やや私としては気になるところでございまして。投資先の企業様の立場から見ると、これは極めて分かりやすいことなんでございますけれども、投資家の立場から見ると、延長をさらに延長を重ねていくと困るケースは出てくるかと思います。

 同じお話なんですけれどもクロスオーバー投資でございますが、これについてはちょっと議論をさせていただきたいところですけど、私ども、ベンチャーキャピタル様に投資をする理由でございますが、恐らく有望であり得る企業様を発掘し、育成し、そこから投資リターンを取りに行くと、こういうことでございまして、上場株式市場における運用を期待して出資しているわけではございません。仮にここでクロスオーバーを期待する場合には、同時に投資家としてはベンチャーキャピタルさんにマーケットリスクを管理し、上場株式の運用が十分にできるという能力も見せてくださいと、こう申し上げることになります。したがって現状、今、日本にあるベンチャーキャピタル様の中で上場後も長期の運用を通じて資本の増殖ができると判断できるような方がどれだけいらっしゃるかということを問うことになると思います。

 ここの部分に関しましては、必ずしもしたがって、先ほど村田さんからもございましたけど、例えば現物で分配した上で上場する、例えば、何でしょう、上場株を受託して運用するマネージャーさんに引き渡すとか、いろんな方法はあるのかもしれませんけれども、ここで期待すると言うほど、VCさんも期待に応えるだけの能力を持っていることを証明しなければならないことになってまいりますので、この部分については同じく議論があるんじゃないかと考えております。決してこれ、否定するものではございません。ただ、こう期待する以上は、逆にその能力も発揮していただくような備えをしていただかないといけないと、こういうことになっていることだけは明記していただけないと、なかなかつらいかなと考えております。

 私から以上でございます。
 
【幸田座長】
 増田メンバー、ありがとうございました。それでは引き続いて山口メンバー、お願いします。
 
【山口メンバー】
 まず、私からは本件の位置づけを前回の議論を踏まえ、推奨・期待される事項と位置づけられたことについてはよろしいんじゃないかと思っております。加えてスコープにおいて対象への配慮ですとか、そういったことによって、これを画一的に当てはめた場合の弊害を記載いただいていることも、よろしいんじゃないかと考えております。

 記載事項ですけれども、まず推奨される事項と期待される事項と分類された点は評価されるべきかなと思っていますし、この中の推奨される事項の各論には特段異論はございませんが、期待される事項につきましては、今、御意見も幾つかありましたけれども、クロスオーバー投資とか経営支援の有無とかというところについては各企業の意向とか、各VCの戦略に応じて考慮されるべきところについて留意されればよいのではないかなと思っております。

 以上です。
 
【幸田座長】
 山口メンバー、ありがとうございました。ほかの委員の方々、玉木メンバー、お願いします。
 
【玉木メンバー】
 玉木です。まず皆さん、おっしゃられていますけど、前回の議論のメインであった位置づけのところに関しては、私もとてもいい整理をしていただいたなと感じております。

 具体的な内容について順番に申し上げさせていただきますと、まず、推奨される事項の1番の受託者責任と、あと8番の情報提供のところにまたがる話なのかもしれないんですけど、何か推奨される事項に記載いただいている経営体制の構築であったり、コンプライアンス管理だったり、利益相反管理というところですかね。あまり議論の余地がない部分だと思うんですけど、こういうものがちゃんとなされていますよねというような説明責任を果たすかどうかというところが一つ大きなポイントかなと思っていますので、8のところに書くのか、1のところに書くのかという話はあるんですけど、そういったLPに対する説明責任がありますよねというところは、明記していただいたほうがクリアになるのかなと感じております。

 次の期待される事項の各項目についてなんですけど、まず10番の投資先の経営支援の2つ目の項目についてですと、取締役派遣する場合においては、ということが記載されているんですけど、これ、ガバナンスの向上等に資する行動を行うと記載いただいているんですけど、そもそもガバナンスの向上をなぜ行うのかというと、投資先企業の成長に寄与するためというところが目的であると思いますので、投資先企業の成長を支えるためにというところを言葉として添えていただくと、ガバナンスを整えること自体が何か目的化しないというか、ちゃんとそこは手段ですよねというところを明記できるのかなと思っております。

 というのも、この取締役の派遣という権利は、投資家側が持つ発行体から見ると結構強い権利だと認識しておりますと。その一方で結構、何ていうんですかね、VCの方からこの権利がつくと、担当のキャピタリストの方が派遣取締役として来ていらっしゃってということが通例となっているのかなと思うんですけど、結構いろんな会社さんで、それがちょっと形骸化しているんじゃないかという話をお伺いすることもあったりするので、何のためにこれを派遣するのかというところをちゃんと意識していただく点では、会社の成長のためというところを改めて記載いただくのがいいのかなと感じております。

 もう一つは、11番の投資先の資本政策支援の中の、先ほどもいろいろと御指摘あった1個目のポチの投資契約の修正という項目についてなんですけど、ここはどちらかというと9番のスタートアップとの投資契約のところに記載いただいている事業拡大・挑戦に向けたインセンティブ・意欲を適切に引き出すものとなっているかというところとリンクしているのかなと考えておりますので、単に何か修正の相談、乗ってくださいねというよりかは、その会社のフェーズに合わせて、こういったインセンティブであったりとか、意欲を適切に引き出すようなものになっているのかというところを、そのフェーズ、フェーズにおいて投資先企業と御相談いただいて修正していただくと解釈いただくのがよいのかなと感じております。

 もう一つが投資先の上場後の対応、12番のところについてですと。ここは先ほども村田さんからも御指摘あったと思うんですけど、必ずしも何かLPの方への価値最大化というところと、スタートアップ側から見たときの価値最大化というところが一致しないケースもあるんじゃないかというお話あったと思うんですけど、まさにそこは気にすべきポイントかなと思っておりまして。もちろんLPからお金を預かっているGPとしては、自分たちの売却価値が最大になるかどうかというところが大事だと思うんですけど、そこを個別最適化させてしまうと投資先の企業からすると1社だけが売り抜けて、株価が一気に下がっていることはよくある話かなと思っておりますので、投資先企業とのコミュニケーションをちゃんと尽くすようにというところを申し添えていただけるとありがたいなと思っております。

 同様の理由から、2つ目の株式を保有し続けることと記載いただいているんですけど、これも場合によってはオーバーハング懸念につながるケースというのが多々あるかなと感じておりますので、ここにおいても投資先企業のスタートアップとのコミュニケーションをちゃんと取った上で、その両者がウィンウィンになるような形でエグジットしましょうねというところを、留意いただけるような記載にしていただけるとよいのかなと考えております。

 最後のESG対応のところなんですけど、ここについても前回のペーパーにもダイバーシティの尊重というところを記載いただいているかなと感じておりますと。何ですかね、これも最初に渡辺さんからも米国でのこのESGの扱いみたいな御指摘があったと思うんですけど、どちらかというと投資家から見たときの対応状況を示すのも大事なんですけど、この何というんですかね、例えばダイバーシティであったりとか、ガバナンスであったりとか、そういった面でどういうふうに自分たちの価値を向上させているのかというところを自分たちでちゃんと整理して、それをステークホルダーに届けるところがESGの開示を中心とした本来的にあるべきポイントかなと思いますので。ただ単に何かそれに即していますよねというよりかは、こういった項目をどういうふうに活用して、自分たちの事業運営に生かしているかというところを考えていただくようなポイントで記載いただくのがよいのかなと感じております。

 ちょっとバーッと話してしまいましたが、私からは以上です。
 
【幸田座長】  
 玉木メンバー、ありがとうございました。それでは田中メンバー、お願いします。
 
【田中メンバー】  
 森・濱田松本法律事務所の弁護士の田中でございます。まず総論としてアウトラインの位置づけが前回から変更されて、プリンシプルではなく推奨・期待される事項となったことについては大変よかったと考えています。このようなアウトプットによって広く機関投資家から調達を行うVC全体のガバナンス等の水準の向上が図られることに大きな意義があると考えます。

 他方で、現在の日本においてVC投資を担う人材の層は、米国のそれに比べて薄いとも考えられ、今後VCの成り手を増やして人材を重層化していくことにより、VC投資実務、ひいてはVC投資のリターンの水準を向上する必要があると認識しています。よって今般のアウトプットの実際の運用によってVCの成り手が少なくならないよう、配慮する必要があると考えますし、また、アウトプットの運用により初期段階のVCや多様なVCへの資金供給が妨げられないように配慮することも重要と考えます。

 以上を踏まえて、具体的な記載内容についてコメントしたいと思います。まず、資料3ページにおいて、「政府による受入状況を集計・公表してフォローアップする位置づけではない」と明記されているところについてですが、これに追加して政府が業者を監督するに当たって、このアウトプットの記載内容を監督の指針として参照することが想定されていない点を明記していただくのがよいと考えます。

 次に推奨される事項の位置づけについてですが、資料4ページによれば「推奨される事項はGP及びLPが自己の判断により考慮する事項である」との御説明があり、考慮することが一律に義務づけられるものではないと理解されます。また、「推奨」という日本語は薦めるという意味であって、強制するという意味合いはないと理解しています。

 しかし8ページにおいて、推奨される事項は「広く内外機関投資家から資金調達を目指すVCとして基本的に備えるべき事項」として記載されており、「基本的に備えるべき」とは「基本的に備えるのがよい」、または「備える義務」があるような意味合いを持つ言葉であると思われ、義務の意味合いが含まれ得る表現となっていて、「薦める」とはやや異なる意味合いを持っているように思われます。

 よって4ページの整理と平仄をとるため、8ページにおける「基本的に備えるべき」という文言や、その他、資料における義務的な意味合いを有する文言というのは、削除するのが適切であると考えます。アウトプットを考慮することが義務的なものでなく、GP及びLPの自己判断に委ねられる点について疑義がない、生じないようにしていただければと思います。

 それから同じく資料8ページにおいて、「機関投資家から投資対象と選定されるとともにスタートアップエコシステムの発展に寄与し、その結果としてリターンの向上にもつながる事項として、LP及びGPに期待される事項」と記載されているところについてですが、「期待される事項」と記載されるからには、何が「期待」されるのかを読み取ることが可能である必要があり、「期待」に応じた対応がされたかどうかということが判断、評価できることが可能である必要があると思われます。

 この点、9から12の投資手法について述べたところについては、投資先企業の事業の状況や市場の状況、投資割合、ファンドの状況等を踏まえてGPが高度な裁量に基づいて判断すべき事項であって、具体的な状況に何をすれば、期待された投資家の最大の利益を確保できるのかというようなことについての当てはめ・評価が難しい場合もあり得ると思われます。よって9から12について、一律に「期待される事項」と位置づけるのは難しいのではないかと考えます。

 また、個別の内容になりますが、10ページの持続可能な経営体制の構築のところでキーパーソンがファンド運営に専念する体制を整備することが推奨されるものの、やむを得ない事由がある場合を除くとされている点についてですが、GP自体が兼業を行うことも可能とされているところであり、投資先の価値向上や投資先の発掘に資するような兼業について、そのキーパーソンが従事することも許容されてよいのではないかと考えます。

 それから13番のESGやダイバーシティについてですが、これらが重要なポイントであることについては異論ないとは思いますけれども、これは高いリターンとは別の価値であって、ESGやダイバーシティへの配慮というものがリターンの向上につながる可能性があるかもしれないものの、確実にそうなる保証があるとも限られないとは思います。よって13番を「スタートアップエコシステムが寄与し、その結果としてリターン向上にもつながる事項」として位置づけるのは正確ではないと考えます。

 以上を踏まえまして、論点9から13については位置づけや内容を再考いただいて、例えば投資に当たっての考慮の対象となるポイントなどと位置づけてはどうかと考えます。

 以上です。
 
【幸田座長】  
 田中メンバー、ありがとうございました。それでは佐村メンバー、お願いします。
 
【佐村メンバー】  
 佐村でございます。まず最初に位置づけですけれども、第三者的な有識者会議が策定するということで、この方向性等も賛同いたします。資料3ページに記載されているように、策定後どうフォローアップしていくかというところは重要であると思っています。有識者会議がモニタリングするわけにもいかないので、第三者的なモニタリングする機関というのはあっていいかなと思います。

 日本には海外のようにILPAみたいな組織がないので、例えば日本ベンチャーキャピタル協会さんが少し関与するとか、そういうアイデアもあってもいいかなと思います。少なくとも策定後実態調査というか、フォローアップをしていく必要があるかなと思います。

 なぜフォローアップしていく必要があるかというと、最初に渡辺メンバーから、その時々の資本の要求度によっていろんな期待が変わってくるとおっしゃっていましたし、これまで日本のベンチャーキャピタルについては、最初亀山さんもおっしゃっていましたけれども、投資家として事業会社や金融機関の役割が非常に大きくて、そういう意味でまだ本来の機関投資家の資金は内外ともに入ってこなかった事実がございます。現状、資本の要求度が変化しつつあります。

 その変化する過程で今回提示されている推奨事項については、ベンチャーキャピタルさんのほうから見ると、ちょっとやり過ぎじゃないかと、いろいろ今、細かい御指摘とかもありますけれども、目指すべきところとして最終的に資本の要求度が変わっていく過程で、ある程度の目指すべき方向性を示していくことが必要だと思います。それがちゃんとできているのか、さらに追加したほうがいいとか、常に改善していくべきものであって、作って終わりというものではないと考えております。

 細かい点のところは、ある一定の方向性が出れば、私としては今1番から8番の項目については特に大きなコメントはございません。今、金融庁さんからもEMPで新しいマネージャーを育てていこうということがあって、我々もそれは検討しておりますけれども、そういう新興マネージャーにとっても、ある一定の目安というのは必要なので、柔軟な対応をしつつも、示していくことは本当に必要だと思っています。

 個別論で言うと、皆さんからも御意見があるように9番から13番のところというのは、最初に村田メンバーもおっしゃったと思いますけれども、主語が投資先であったりLPであったりしているように、そこは整理したほうがいいと感じました。また、推奨・期待される事項を完全に特定するというよりは、具体例として、もし書くとしたら「こういう事例が挙げられるけれども、これに限らない」とか、今後期待すべき事項というのは変化していくこともあり得るかなと思います。

 LP側の観点からいうと、これは増田メンバーがおっしゃったことと同じというか、ファンドの延長というのはそれなりに重いもので、LPとしては、望ましくないことがあるのが多いという事実があります。また、クロスオーバー投資のファンドについては必要だとは思っておりますけれども、これはベンチャーキャピタルさんがやるべきなのか、伝統的な資産のマネージャーがやるべきなのか、クロスオーバーをやるに当たっての体制、ケイパビリティ、ナレッジは違ってくると思いますので、クロスオーバー投資をやる場合にはこういったものだと、これがあることが日本のスタートアップエコシステムの中でも重要な役割を果たすというのは私も思っていますので、ここに関する表現等は変えたほうがいいかもしれないと思いました。

 ESGについては、政治的な流れもあるので常にこれが正しいということはないですけれども、日本の機関投資家の立場からいうとESGを考慮する声は結構聞こえてきておりまして、ただし、それはリターンを損なわないというのが大前提でございますので、リターンを損なわずにESGに対しては取り組んでいただく、それを開示していただくことが重要かなと思っております。

 私からの意見は以上でございます。
 
【幸田座長】
 佐村メンバー、ありがとうございました。それでは片岡メンバー、お願いします。
 
【片岡メンバー】
 片岡でございます。色々な議論が出ておりますけれども、アセットオーナーとして、また機関投資家として、いずれも推奨される事項・期待される事項ともにすごく良いことが書いてあるなと思っております。また、我々は投資をするに当たりデューデリジェンスをするわけですが、そこで行うような項目がしっかりと入っていて非常に心強いなと、こういったものが社会に広く普及することは心強いなと、そういった感想を持っております。

 そして、前回は、アセットオーナーあるいは機関投資家としては、意識が高ければ高い方が良いというようなことを申しましたけども、一方で機関投資家として悩みながらやっているところもありまして、これから先々、本当に期待されるもの、推奨されるものは変わってくる可能性もあるかなと思いながら聞いておりました。ということで3点ほど、この中で少し感想めいたものになりますが、お話しさせていただけたらと思います。

 一つ目は利益相反管理、12ページの5番になりますけれども、これについてはデューデリジェンスをする上で極めて重要なところと思っております。様々な類似するファンドが同時に運用される場合、利益相反は起こりやすいと思っております。すなわち、良い案件がどのファンドに入るのか、良くない案件がこちらのファンドに入ってくるのではないか、また、エグジットの仕方や時間軸などもファンドによって異なる場合、どのようにそれをマネージするのだろう、そういった疑問が湧いてくるものでございます。例えば自己の資金と、メインファンドと、それ以外に特定のお客様に対するセパレートアカウント、こういったものが並行する場合においては、それらをどう管理するかというのは極めて重要であると思っています。一方で難しいところは、完全な答えというものはなく、GP様と対話したり、あとはLPACといった仕組みを通じて議論させていただいたりということで都度都度、ケース・バイ・ケースで議論されていくものだと思っております。

 もう一つ、機関投資家のトレンドも変わるところがあって、一昔前はメインファンドのトラックレコード、これをすごく重視する文化がありましたけれども、現在は、例えばプライベートエクイティ、プライベートデッド、インフラストラクチャー、色々なものがありますが、セパレートアカウントとしてお客様ごとに一定のまとまった金額については別途アカウントを立てる、そういった動きも活発化していまして、世の中的には、ますます利益相反管理のところは複雑になってきているなという印象もあります。

 続きまして、2点目は公正価値のところですが、それを丁寧にやっていただいたり、タイムリーにやっていただくことが望ましいということですが、感想として特にベンチャーにおいては難しいところもあるという印象を持っております。これは他のプライベートアセット、例えば不動産であればDCF法が使えますし、プライベートエクイティであれば類似の上場企業のマルチプルを使う、要は黒字の企業があればボトムラインに対してマルチプルを使うと、そういった割と客観的な指標が使えるのに比べて、ベンチャーは赤字企業ですので、マルチプルをかける対象もないということで、そうすると直近ファイナンスの増資価格をそのまま使うか、いや、それは高過ぎるか、そういった議論となり、海外も含めて本当に公正価値は難しいなと思っております。それでもどう評価したかという手法と、タイムリーに提供することの重要性は変わらないかなと思っております。

 それと3点目は、今日も触れられている方がいらっしゃいましたが、ファンド期間の延長、それからフォローオン投資、時間軸のところです。こちらに関しても欧米では、どんどん長くなっている印象があります。すなわち、上場する手前のプライベートの段階での時間がどんどん長くなっていると。それはプライベートの資金が厚みを増しているからということなのですが、フォローオン投資をどんどん繰り返して上場することなく企業価値を上げていくというユニコーンも増えております。そうするとファンド期間も長くなってまいります。ただ、あまり長過ぎると元々の想定を超えると困る投資家もいれば、そういった場合はセカンダリーでファンドを売却することとなります。そのように時間軸がすごく長くなる中で、LP側、機関投資家側も長くなることに対する許容度というのを持たなければいけませんし、また、それを超える場合はソリューションが必要になってくる時代になっているのかなと思っています。

 いずれにしろ、期間が長くなればなるほど公正価値評価は大事になると思います。長い期間を経たものが幾らの価値がついているのか、もしくは売るとしたら幾らなのかといったことは重要になると思っております。

 以上でございます。
 
【幸田座長】
 片岡メンバー、ありがとうございました。

 メンバーの皆様からの御意見が、一巡いたしましたので、私のほうで、少し皆さんから御発言いただいた点を含めて、論点として感じたところを少しだけお話をしておきたいと思います。

 今回、前回の議論を踏まえまして、このVCあるいは「スタートアップエコシステム」が発展するための枠組みとして、どういう形で臨むのがいいのかということについては、今回の事務局の原案変更に関し、皆様から一定の理解は得られているかと思います。そういう意味では、この枠組み、位置づけ、あるいは全体のスコープという辺りについては、この整理を前提に進めていくようなことで議論をしていければ良いと思います。

 そうした中で、今回、全体として日本における「スタートアップエコシステム」がどういうふうに発展していくことが望まれるのかというその視点を外さないことは非常に大事だと感じました。これは、先ほど経産省さんからもお話があったように、スタートアップの資金調達が足元10年で、10倍ぐらいになってきたこと、あるいは政府のスタートアップ育成5か年計画が今、進んでいること、こういうような環境の中で、こうしたVCサイドの発展に向けた取組を広げていくことにつながることは、本件の推進でできるといいのではないかと、こういうふうに感じた次第であります。そういう意味では今回、現状を前提にしながらも、一定程度、どういうチャレンジをしていくのかという辺りはポイントになるのではないかと、こういうふうに感じました。

 その上で3点、皆さんのお話の中から非常に大事かなと思った点を御指摘させていただきます。第1点目です。市場環境の変化とか、あるいはグローバルな投資家がどういうふうに動いているのかということについては、かなりスピーディーに状況が変わっていくことがあるということで、皆様メンバーの方々からも御指摘ありました。そういう意味では、こうした今回のVCの枠組みにおいて、そういった視点の変化を、どういうふうに盛り込んでいけるのかという辺りは常に意識はしておく必要があると感じました。

 2点目は、先ほど申し上げたように「スタートアップエコシステム」が新しいステージに入ってきている今こそ、目指すべきところを意識を持ち、As isからto beに向けたアプローチというような中で、現状維持に強く依存する部分について、どういうふうにチャレンジして今後目指していくのかという視点を、一定程度、考えておく必要があるかと思います。そういう意味では今回、皆さんからのいろいろなご意見が出ている中で、ローキーでスタートすることについては異論がないわけですけれども、一方で目指すべきところというのも一定程度、示せて対応するのが良いのではないかと、こういう感じがいたしました。

 最後に、3点目ですが、各論のところで、ESGについてはいろいろ皆さんから意見が出ております。その辺りもどうバランス取るかという観点はありますけれども、ダイバーシティということについては、メンバーの一部の方からも重要性を強調する御意見を頂きました。私もこのダイバーシティについてVCの枠組みの中でどういうふうに位置づけるかというのは今後、重要になってくると思います。その辺りの盛り込み方も論点としては意識するといいのではと感じた次第であります。

 以上、皆さんの御意見を頂いて、私なりに感じたことを少しお話させていただきました。まだ少々時間ありますので、冒頭申し上げましたようにメンバーの方々からもう一度、御意見、発言されたいという方がいらっしゃいましたら、手を挙げていただければと思います。いかがでしょうか。

 玉木メンバー、お願いいたします。
 
【玉木メンバー】
 玉木です。今、お話いただいたESGの論点について、ちょっと1個だけなんですけど、我々、私は発行体側にいる人間なんで未上場であってもESGであったりとか、サステナビリティに関してはかなり関心を持っていますし、会社内での取組ということをしていますと。

 その中で重視しているのが、こういうものって短期的な何か会社の業績につながるからというような視点ではなくて、長期的に自分たちがどういうふうに社会に自分たちの会社が責任を果たしていくかというところを中心に、その結果、会社の位置づけも変わるし、いろんなステークホルダーからの支持も得られるよねということが大事だろうということを社内で話しても取組をしていたりするので、発行体ではなくて株主であるVCの皆様の間でも、そういう観点でこのESGであったりとか、ダイバーシティというところでは取り組んでいただくと、お互い目線が合いやすいというか、話がしやすくなるのかなと感じているので、ぜひ、この項目は今回の期待される事項には入れていただきたいなと感じております。
 
【幸田座長】
 玉木メンバー、ありがとうございました。ほかのメンバーの方々いかがでしょうか。増田メンバー、お願いいたします。
 
【増田メンバー】  
 先ほどの、今話題になっていますESG、ダイバーシティに関してなんです。実は私ども、グローバルに700弱ぐらいファンドの投資をしていて、この中でアンケートをとっています。ESGだけのためのアニュアライズドベースのアンケートをとってまして、この中でVC、バイアウトを含めてどういう傾向になるかというのはつかんで、実はこれを定量的に把握しようとしているんですけど、概して申し上げると、VCというのはグローバルに見てもESGのスコアリングが低いんですね。

 これはひとえに結局、ESGというと例えば脱炭素ですと、グリーンハウスガスって投資先企業でどれだけ排出して、どれだけ減らすんですかと、こういうふうなことを把握していくみたいなツールが必要になってくるので、どうしてもベンチャー企業様にとってはグリーンハウスガスの計量をするよりも優先的にしなければいけないことが多々あるということが普通に起こってくるわけでございます。

 したがってVCさんにとってESG、投資先企業のESGのスコアリングを上げることを優先事項として捉えるかって、多分、投資家さんもそれほど期待していないところもあると思いますので、社会的責任を果たす意味でもESGの在り方というのは極めて重要な論点だとは考えておりますが、どうしてもこのスコアリングしていくとVCさんは不利であると、こういうことが我々の統計の中で出てきていますので、ちょっとこの辺りは、もう少し丁寧な説明というんでしょうかね、これが必要になるんじゃないかと考えております。

 同様にダイバーシティに関しましても、ベンチャーキャピタルさんの中では確かに米国でも幾つかダイバーシティの問題で訴訟とか発生したりということも起こっておりまして、これは一つのイシューであることは認識しておりまして、私どももそうだよねとは考える一方で、必ずしも特定のグループに寄り添うようなベンチャーキャピタルさんがダイバーシティをしなさいと言われて、そのいわば特色を失っていくこともあり得るわけですので、むしろこれは投資家がポートフォリオを考えていく意味で、ダイバーシティをVCのポートフォリオ群の中で捉えればいいんじゃないかとも考える部分がございます。

 したがって、この辺りは一律的にダイバーシティを求めるというよりは、いや、あなた、こちらのVCはむしろ特定の、例えば米国ではマイノリティのためのベンチャーキャピタルってございますよね。これは別にマイノリティ以外の方は別に雇用されていないわけです。でも、そのVCだけの中でダイバーシティを求められるかというと、そういうわけじゃなくて、それは認められているわけですので、ちょっとその辺りの一律的な適用をされないような形の考え方を持っていたほうがいいんじゃないかと私は思います。

 以上でございます。
 
【幸田座長】
 増田メンバー、ありがとうございました。ほかのメンバーの方々いかがでしょうか。よろしいですかね。オンラインの渡辺メンバー、何かございますか。よろしいですか。

 それでは一旦、オブザーバーの方々からの御意見に移りたいと思いますが、オブザーバーの方から御意見あればお願いいたします。それでは日本ベンチャーキャピタル協会の郷治さん、お願いします。
 
【日本ベンチャーキャピタル協会】
 ありがとうございます。まず、今回、前回の議論を受けて柔軟かつ建設的に原案を作っていただき、御礼申し上げたいと思います。また、今回のアウトプットの位置づけについても、作成者を有識者会議という形にしていただくことも大変ありがたいと思っております。

 前回、私からプレゼンさせていただいたときのポイントの一つとしては、海外ではベンチャーキャピタルのプリンシプルは基本的にILPAさん、International LP Associationというプロのアセットオーナーの団体がつくっている中で、当初案の位置づけでいいのかという観点からの意見がございました。ただ、我が国において、ベンチャーキャピタル業界が、国民経済上も重要な位置づけを持ってきたと政府にも認識いただく中で、こういった場を設けていただいたことにも感謝したいと思っております。

 そういった中で今回、必ずしもアセットオーナーやベンチャーキャピタルだけではなくて、そのほかの業界のオブザーバーの方であるとか、いろいろ御意見も頂いておりますし、今後パブコメにもかけていただくということで、国民の皆さんの意見を広く聞いていただくということでございます。大変ありがたいと思っておるんですけれども、一方でやはり我々ベンチャーキャピタルというのはLPSの受任者でありますので、アセットオーナーであるLP様の御意見が特に尊重されるアウトプットになればありがたいと思っております。

 そういう意味で今回の御議論にもありましたように、項目の9番以降の期待される事項ついては、例えば投資先企業の価値向上という項目がございます。この「価値」の意味ですが、あるステークホルダー、特にLP様にとっては経済的価値のことだと思いますが、ただ、ほかのステークホルダーの方とっては必ずしも経済的価値ではないかもしれない。あるいは経済的価値がコンフリクトがある可能性があったり、場合によっては価値観なのかもしれないしということで、必ずしもLP様のお考え方によっては期待されている場合でないこともあると思いました。そういう意味では、「期待される事項」という言い方については、「考慮すべき事項」とか、「配慮すべき事項」とか、工夫する余地があるのかもしれないと思いました。

 いずれにしましても、このような形で建設的な議論をしていただいていることについて改めて感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 
【幸田座長】  
 郷治さん、ありがとうございました。それでは引き続いてチャットに入れていただいていますので、日本取締役協会、宮下さん、お願いいたします。
 
【日本取締役協会】  
 ありがとうございます。お時間いただきましてありがとうございます。所感じみたところから大変恐縮なんですけれども、皆様の専門的見地からの意見というのが本日共有されて、アウトプットがよりブラッシュアップされるようなものになるんだろうなと思う一方で、場合分けとかターゲットの明確化ってアプローチも必要なのかなと思いました。

 これは皆さんが頭に描いているスタートアップビジネス、これは経産省さんも金融庁さんも含めてなんですけれども、これがちょっと全然異なっているんじゃないかなと思っていまして。これが違うものを無理やりそろえようとするとどうなるかというと、アウトプットがその対象が不明瞭なものになってしまうんじゃないかなと、これはすごくもったいないなと思いましたので、ターゲットを明確化する、そういうアウトプットを目指す方向性も、必要な方向性なんじゃないかなと思いながら伺っていました。

 その上で我々、当協会からは主にグローバル型のエコシステムを実現するためにはという観点から、3点に絞って意見を述べさせていただければと思います。まず1点目なんですけれども、有識者会議を作成主体とすると、この点なんですけれども、位置づけそのものには全く異論はございません。私からのお願い、これは強いお願いは、手段が目的化してしまわないようにしてもらいたいなと、こういう点です。

 今回の議論の目的というのは我が国の競争力の向上、これが目的で、金融の高度化ってのは手段なはずなんですよね。つまりスタートアップそのものの稼ぐ力を向上させるとか、オープンイノベーションを通じてエシュタブリッシュメントの稼ぐ力を向上させるとか、ひいては我が国全体の稼ぐ力を向上させて資産運用立国を実現する、これが目的で、その手段としての金融のあるべき姿というのが今、論じられているはずなんです。

 スタートアップ業界というのは、これは前回もお話をさせていただきましたがパワーロー、べき乗則が支配する世界ですね。小さいものをたくさん生み出すことにとどまらず、その中から粒の大きなスタートアップをバーンと生み出すと、これが目指すべき世界観で、日本にはそのシーズがあるんですよね。ファーマしかり、AIしかり、ディープテックの領域って日本はすごく強いので、ただ、これらの特徴というのは時間も金もかかるということですよね。なのでこれを支えるようなVC、要するに金も時間も余裕を持って付き合えるようなVCを生み出してく。そのためにはどうすればいいのかという、その合目的的な議論も継続いただいて、最終的にはアウトプットを最終化いただければと思っております。これが1点目です。

 2点目から各論なんですけれども、まずナンバー9の投資契約とか投資条件についてという部分なんですけれども、これも前回の繰り返しで恐縮なんですが、強調しておきたいのは、これ、プラットフォームにすぎないということなんですよね。あえて問題提起の意味も込めてポジションをとった言い方しますと、投資条件というのはVCの競争優位を発揮すべき場面ではないのだというのが我々の理解の大前提なんです。VCの競争優位というのは例えば投資対象の目利きであるとか、バリューアップであるとか、エグジット、エグジットといってもキャピタルゲインを確定する狭い意味でのエグジットじゃなくて、投資先企業の非連続的な成長のためのキャピタルストラクチャーをリデザインする力、そういう意味でのエグジットの力ですね。

 こういう点がVCにとって競争優位を発揮すべき競争領域であって、この投資条件というのはプラットフォームですから標準化されているべき協調領域なんですよね。もちろんラウンド別のファインチューニングとか、あとは投資のトレンドとして標準そのものがシフトしていくとか、そういうことがありますけども、ただ、いずれにしても投資家ごとにユニークネスを発揮すべき領域ではないというのが、我々の理解の大前提になっている部分です。

 3点目ですけれども、今度はナンバー11に関連してなんですが、フォローオンとか投資契約の修正とか、こういうものに応じることが必要なのかと、こういう点ですよね。この点についても我々の考え方、思想を御共有させていただくと、スタートアップ投資というのは、これ、好むと好まざるとに関わらず運命共同体を形成する作業なんですよね。この有識者会議は投資条件の各論を話す場ではないんですけれども、分かりやすいものとしてちょっと例示させていただくと、プットオプションの問題とか経営者保証の問題とかというガラパゴス化した実務、これが実務の中ではまさに、投資実務の中では問題になっているわけなんですけれども。

 この議論をしているときに、こういうふうに私、質問されたことがあって、いや、グローバルVCにとって障害だって言うけれども、いや、グローバルVCにもそういう権利を与えれば、むしろ彼らにとっても好ましいことではないかと、こういう質問受けたことが実際あるんですよね。結論、全くそうではなくて、そういう問題じゃないんですよね。グローバルVCからすると、そういう訳の分からない権利を他の投資家が持っていて、他の投資家が当該スタートアップの生殺与奪を握ってしまっているのが受け入れがたい状況だと。つまり運命共同体を構成する前提をもうそこで欠いてしまっている、だから入ってこれないと、こういうことなんですね。これが前提なんです。

 今の文脈でナンバー5の利益相反の話に飛びますと、ここで想定されている利益相反がどういうことなのかって、これ、私のイメージなんですけど、恐らく利益相反の中でも投資ビジネスに付随する局所的な利益相反を多分、念頭に置かれているんだと思うんですよね。例えば二号ファンドを設立するような場面とか、あと投資先が戦略的にピボットしていくような場面とか、そういう局所的なコンフリクトじゃなくて構造的生来的なコンフリクト・オブ・インタレストってありますよね。その典型が二人組合形式のCVCなんですけども、こういうものというのはアドバイザリーコミッティに諮問を求めるとか、もうそういう次元の問題ではないわけですよね。

 ここで、さっきの運命共同体の話に戻ると、こういうものが投資家として別の投資家として含まれていると、先ほどのこれ、プットとか経営者保証と同じ問題を引き起こすんですよね。いや、もしかして、それを通じてもう情報が筒抜けになっているかもしれないとか、あと最適な形で株主としての権利が行使されないのではないか、こういう不安感は他のVC、なかんずくグローバルVCに対して、その不安感を与えてしまう。要するに招聘するときの障害になってくる、これが現実なんです。

 なので、この現実も知っておいていただいて、利益相反に関しては局所的な利益相反問題だけではなくて、つまりアドバイザリーコミッティ云々で解決できるような問題ではない構造的な利益相反問題、そのストラクチャーについても正面から議論いただければと思っております。

 私からは以上になります。
 
【幸田座長】
 宮下さん、ありがとうございました。それでは引き続いて、オブザーバーの方で、スタートアップエコシステム協会の藤本さん、お願いいたします。
 
【スタートアップエコシステム協会】  
 発言の機会を頂き、ありがとうございます。今現在、スロバキアという国におりまして若干、通信環境が不安定なため、カメラオフのまま失礼いたします。

 先ほど宮下さんがおっしゃっていただいた、まさにグローバルレベルというところと、あとは座長がおっしゃっていた今後どういうところを目指していくのかというところを、やはりゴールをしっかり定めていただきたいなと思っております。具体的な細かいことは多分この後、詰めていくところだと思うんですが、細かいところになる前に、そもそも私たちがスタートアップ育成5か年計画を軸にしながら日本のスタートアップエコシステムをどのように発展させていくのか、そういった観点で、そこの主たるVCの方が一番の貢献者になると思われますので、皆さんとともに高い理想を持ってゴールを設定し、実行していける、そんなことを考えていっていただければなと思っています。

 なので、ダイバーシティやESGのところもいろんな御発言ありましたけど、そこも今の議論は少し細かいところに寄ってしまっていると思いますので、方向性のところでどういうことが必要なのか、そういう関係も御議論いただきたいなと思っております。以上になります。
 
【幸田座長】
 藤本さん、ありがとうございました。
 
 それでは、引き続いてオブザーバーのFintech協会の髙尾さん、お願いします。
 
【Fintech協会】
 ありがとうございます。さまざま議論で皆さん、異口同音に目的をそらさない、あるいは踏み込んだチャレンジングの方向性を示すような話をされている方が比較的多かったのかなと印象を持っているんですけれども、これに関しては私も基本的に同じ意見を持っております。

 その上で、期待される事項の11番のところにフォローオン投資や投資契約の修正、あるいはファンド期間の延長のところが言及されていたかと思いますので、ここに関してですけれども、事務局で示していただいた案を拝見しますと、これらいずれも無条件にということではなくて、投資先企業の意向があることはもちろんですけれども、必要性・合理性が認められる場合においては、フォローオン投資や投資契約の修正等にも相談に応じるということですので、この前後からしても、あくまでまさに期待されるような方向性を示したということでしかないと、良くも悪くもそのような印象を持っております。

 あと、期間の延長の部分も投資先企業の価値向上、LPのリターン最大化というところが、そういった視点を踏まえということになっておりますので、このLPのリターン最大化といったときに戦略的な話なのか、純経済的な話なのかというのはLPのバックグラウンドによっても異なると思いますけれども、ともかくも、こういった視点を踏まえた上での取組ということで示されている部分かと思いますので、この意味でもファンド期間の延長というものが無条件に推奨されているということではないのかなと理解いたしました。その上で、まさにユニコーンを生み出していくとか、世界に伍するようなスタートアップを生み出していく観点からは、考慮として踏まえられなければならない点かと思いますので、望ましい方向性と捉えております。

 また、期待される事項の13番の部分ですけれども、渡辺メンバーから、ややESGという言葉が党派性を持つような部分があるのではないかというような趣旨の御発言だったと私は理解しているんですけれども、これは特に米国においてはそういう側面があると私も理解しておりまして、したがって、ラベリングのところでESGという言葉に代わるものを記載することは検討されてもよいのかなと思いました。

 これがサステナビリティやダイバーシティになったらどうなのかというところの所感、感覚は、私あまり分からないんですけれども、内容というよりは、ラベルのところで議論が惹起されるのはあまり望ましいことではないかと思いますので、この辺りの出し方は検討の余地があろうと思った次第です。

 以上になります。
 
【幸田座長】  
 髙尾さん、ありがとうございました。オブザーバーの方々からコメントは以上でありますけれども、ほかによろしいでしょうか。

 それでは皆さん、ありがとうございました。少し早いですけれども、本日頂きました御意見等を踏まえて、次回の有識者会議では取りまとめに向けた議論をお願いしたいと考えております。また、次回日程につきましては皆様方の御日程等を踏まえて、後日、事務局より御連絡をさせていただきたいと思います。それでは以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。ありがとうございました。

 ちょっと待ってください。どうぞ。

【経済産業省 富原新規事業創造推進室長】
 最後で大変恐縮でございます。最後のページの13番のESGとダイバーシティの尊重のところだけ、1点クラリファイをしたいと思いまして、ESGとダイバーシティは少し観点が分かれるかなと思ってございます。

 ここで記載している趣旨としては、ダイバーシティのところは、女性起業家に積極的に投資をする戦略を持っているファンドを歓迎しつつも、女性起業家にのみ投資していただきたいという趣旨ではないと思います。実際問題、今、国内のベンチャーキャピタルにおける女性意思決定者が7%しかおらず、JVCAさんのDE&Iのガイドラインの中でもマイノリティと、女性だけではなくて例えば外国籍の方、LGBTQ+の方、あるいは40歳未満の若手なども入れていこうとされていらっしゃると認識しております。

 亀山課長からも申し上げたように、我が国のスタートアップエコシステムを次のステージに持っていくためには、そういった多様な優秀な人材を寄せつけるような業界になっていく、そういった方々の採用をして活躍をしていただいて、結果として多様な視点によるリターンの高い投資が進むことを目指していくことが重要なのかなというところでございますので、1点補足させていただきました。ありがとうございます。すみません、最後に。
 
【幸田座長】  
 経済産業省からのコメントありがとうございました。それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。どうも皆さん、お忙しいところ、ありがとうございました。
 
―― 了 ――
 
 
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