融資に関する検査・監督実務についての研究会(第1回)議事録

  • 1.日時:

    平成30年7月4日(水)14時00分~16時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館 12階共用第二特別会議室

○渡辺検査局企画審査課長‌  
 それでは、時間となりましたので、ただいまから融資に関する検査・監督実務についての研究会の第1回会合を開催いたします。本日は、皆様、ご多用なところご参集いただきまして、誠にありがとうございます。また、研究会メンバーへのご就任をお引き受けいただきましたことに対してお礼を申し上げます。

 最初は、事務局にて会議を進めさせていただきます。

 本日は、冒頭のみカメラ撮影が入ります。越智副大臣からの挨拶が終わりましたら、カメラの方はご退席をお願いいたします。

 まず、研究会のメンバーの皆様方を配席図に沿ってご紹介申し上げます。なお、名簿につきましては、お手元にお配りしてございますので、ご覧ください。

 岩原紳作様です。

○岩原座長‌  
 岩原です。よろしくお願いします。

○渡辺検査局企画審査課長‌  
 川上陸司様です。

○川上メンバー‌  
 川上でございます。よろしくお願いいたします。

○渡辺検査局企画審査課長‌  
 関哲夫様です。

○関メンバー‌  
 関でございます。よろしくお願いいたします。

○渡辺検査局企画審査課長‌  
 田中正明様です。

○田中メンバー‌  
 田中でございます。よろしくお願いします。

○渡辺検査局企画審査課長‌  
 玉井豊文様です。

○玉井メンバー‌  
 玉井です。どうぞよろしくお願いいたします。

○渡辺検査局企画審査課長‌  
 村岡隆史様です。

○村岡メンバー‌  
 村岡です。よろしくどうぞお願いします。

○渡辺検査局企画審査課長‌  
 森俊彦様です。

○森メンバー‌  
 森です。よろしくお願いします。

○渡辺検査局企画審査課長‌  
 渡邊准様です。

○渡邊メンバー‌ 
 渡邊でございます。よろしくお願いします。

○渡辺検査局企画審査課長‌ 
 鎌田藤胤様の代理で、鵜殿裕様です。

○鵜殿代理‌ 
 鎌田の代理でございます、鵜殿と申します。よろしくお願いいたします。

○渡辺検査局企画審査課長‌ 
 小野行雄様です。

○小野メンバー‌ 
 小野でございます。よろしくお願いいたします。

○渡辺検査局企画審査課長‌ 
 小倉加奈子様です。

○小倉メンバー‌ 
 小倉でございます。よろしくお願いいたします。

○渡辺検査局企画審査課長‌ 
 菅野浩之様です。

○菅野メンバー‌ 
 菅野でございます。どうぞよろしくお願いします。

○渡辺検査局企画審査課長‌ 
 内村裕也様です。

○内村メンバー‌ 
 内村でございます。よろしくお願いいたします。

○渡辺検査局企画審査課長‌ 
 五島久様です。

○五島メンバー‌ 
 五島でございます。よろしくお願いします。

○渡辺検査局企画審査課長‌ 
 國井智之様です。

○國井メンバー‌ 
 國井でございます。よろしくお願いします。

○渡辺検査局企画審査課長‌ 
 馬場栄治様です。

○馬場メンバー‌ 
 馬場でございます。よろしくお願いいたします。

○渡辺検査局企画審査課長‌ 
 郡大輔様です。

○郡メンバー‌ 
 郡です。よろしくお願いいたします。

○渡辺検査局企画審査課長‌ 
 なお、本日は所用によりご欠席ですが、伊藤麻美様、加藤貴仁様、多胡秀人様、野村修也様、米山正樹様にもメンバーをお願いしております。

 当庁側の出席者につきましては、配席図をご参照ください。

 本研究会には、座長を置き、議事進行をお願いしたいと思います。座長は岩原様にお願いしたいと思いますが、皆様、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○渡辺検査局企画審査課長‌ 
 ありがとうございます。

 また、座長代理については、次回以降にお諮りさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続いて、本研究会の議事の取り扱いについてご確認させていただきます。本研究会は、原則公開とし、議事録も公表させていただきます。したがいまして、公表を前提としたご意見、ご発言をお願いしたいと思います。ただし、個別企業のビジネス等に言及して議論をされる際に、競争上の利益の配慮から非公開を希望される場合には、あらかじめ事務局を通じてご相談いただきたいと思います。

 皆様、このような形で議事を進めることでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○渡辺検査局企画審査課長‌ 
 ありがとうございます。そのように進めさせていただきます。

 それでは、以後の議事進行につきましては、岩原座長にお願いしたいと思います。お願いいたします。

○岩原座長‌ 
 ご指名によりまして座長を務めさせていただくことになりました、岩原でございます。研究会の円滑な運営に努めたいと存じますので、皆様のご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 最初に、越智副大臣からご挨拶をお願いしたいと思います。越智副大臣、よろしくお願いいたします。

○越智内閣府副大臣‌ 
 皆さん、こんにちは。内閣府副大臣で金融を担当しております越智隆雄でございます。本日は、お忙しい中ご参加いただきありがとうございます。会議の開催に当たりまして、一言ご挨拶をさせていただきたいと思います。

 金融庁では、これまで借り手の実情を幅広く把握して、融資業務を行う工夫を金融機関に促してまいりましたが、他方、貸出の分類・償却・引当に関する現状の実務には、融資業務で得た多様な情報を十分に反映できていない面が残っていると考えられます。

 先月29日に公表いたしました検査・監督基本方針の策定に当たっては、全国で延べ60回の対話会を開催いたしましたが、こういった点につきまして、その際もご意見を多数いただいたところでございます。

 本研究会では、こうした問題意識に基づきまして、より的確な将来見通しに基づく引当を可能にする枠組みを含めて、融資に関する検査・監督実務のあり方についてご議論をいただきたいと存じます。

 現状の実務は、金融危機の経験、不良債権問題への対応の中で形成され、既に幅広く定着しているものと考えております。ただ一方で、現在では、より優れた実務のための工夫が、メガバンクから信金・信組までさまざまな金融機関によって試みられているということも大切に考えていかなければならないと思います。
 研究会での議論を通じて、各金融機関が現状の実務を出発点に、よりよい実務に向けた創意工夫を進めやすくなれば、将来の損失への備えをより的確に行うことを通じて、金融機関の健全性にもプラスになると考えております。また、金融機関が借り手の実情に沿った融資実務をよりやりやすくする意味もあろうかと思います。

 本研究会でご議論いただくテーマには、今後の日本の金融にとって重要な点が多く含まれていると考えます。皆様にはぜひさまざまな視点から活発にご議論を賜れたら幸いと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

○岩原座長‌ 
 どうもありがとうございました。

 それでは、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。カメラの方はご退席をお願いいたします。

 それでは続きまして、本日は事務局から資料について説明をお願いしたいと思います。

○渡辺検査局企画審査課長‌ 
 その前に、クールビズの期間でありますし、今日は大勢の方にお越しいただきまして温度が高目になっておりますので、場合によっては上着を取っていただければと思っております。

 初めに、これまでの経緯についてご説明を申し上げます。先ほど越智副大臣からもお話がありましたように、金融庁は昨年12月15日に検査・監督基本方針を意見募集に付しまして、いただいたご意見への回答とあわせて修正、公表いたしました。また、金融庁は、対話会という説明・意見交換・対話のための会を全国11カ所で延べ60回開催いたしました。対話会でいただいた主な意見のうち、融資に関する検査・監督実務へのご意見につきましては次回以降ご紹介したいと考えております。

 なお、現在、「金融システムの安定を目標とする検査・監督の考え方と進め方(健全性政策基本方針)」という、検査・監督基本方針のある意味1つのテーマをより具体的に議論するためのたたき台になるようなペーパーですけれども、こちらにつきましても現在パブリックコメントに付しております。今回の研究会は、健全性政策の一部としても位置づけられるものです。

 本研究会での議論の結果につきましては、金融庁として、今後、融資に関する検査・監督実務についての「考え方と進め方」、ディスカッション・ペーパーというような呼び方もしておりますけれども、こちらに反映したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、こちらの資料のご説明に移ります。

 まず1ページ目、2ページ目でございますけれども、こちらに過去の検査・監督の取組みを整理したものを書いております。1ページ目に書いておりますのは、こちらはバブル崩壊後の不良債権の拡大に対応いたしまして、1つは、検査マニュアルに基づく定期的かつ網羅的な個別の資産査定を実施した。さらに、主要行などに対しましては、オフバランス化などの不良債権処理の推進をしてきた。そのあたりをまとめたものとなります。

 次に、2ページ目でございます。こちらは、先ほどの1ページ目のような取組みをする一方で、マニュアルの外形的な基準だけが優先されないように、特に中小企業融資などについてさまざまな取組みを行ってきたものをまとめているものです。検査マニュアル別冊(中小企業融資編)などが代表例かと思います。こうしたものは、不良債権処理の上では意味がありましたが、一方で副作用といいますか、さまざまな問題が指摘されておりまして、そのうち主なものを3ページ目に挙げております。

 こちら、いろいろお伺いしているもののうちのごく限られたものを挙げておりますけれども、マニュアルに基づく検査によって融資行動の変化が生じているのではないか。例えばaとありますが、財務指標への過度な依存。特にバランスシートが重視されることによって、与信判断までが均一化していったのではないかという指摘もよく聞かれるところです。

 また、次、bと書いてありますが、短期継続融資から証書貸付への転換とあります。短期継続融資で貸付けがなされていたものについて、一定のものが貸出条件緩和債権、すなわち、不良債権の一部ですけれども、こちらに当たるのではないかという検査指摘を受けて、証書貸付への切りかえが進んだ。それによって、顧客の資金繰りの悪化の一因となるとともに、貸し付けと使途の対応関係が不分明になるといったような状況が指摘されております。

 こういったことも相まりまして、目利き力の低下とか、担保・保証への過度な依存、こういったものが進んだのではないかと、こういうご指摘をよく受けております。

 4ページ目をごらんください。こちらも、3ページ目で申し上げたことと、ある意味その延長線といいますか、同じご指摘のものだと思いますけれども、そのほかにも各地でよくお伺いいたしておりますのは、金融機関が認識しているリスクと、引当の水準にずれが発生してきているというご指摘をよく伺います。また、事後的な不良債権処理には今の仕組みは有効であったものの、将来の金融危機には対応できないのではないかという指摘もよく聞くところです。

 近年こうした課題につきましては、次の5ページ目にありますような対応をとってまいりましたが、解決にはいまだ至っていないのではないかと考えられます。

 では、なぜこうした課題が生じてきたのかといった点について、私どもの幾つか考えられるものを6ページ目に2つほど挙げております。駆け足で恐縮ですが、6ページ目をごらんください。なぜこのような課題が生じたのかということですが、考えられる原因として2つほど挙げております。1つは、債務者の実態バランスをベースに、過去データをもとに引当を行ってきたということです。特に将来のキャッシュフローを位置づけにくいというようなご指摘とか、あるいは資金使途などが考慮されにくいといったようなものがこちらの原因として考えられるのではないかと思います。

 また、②とありますが、個別債務者ごとに債務者区分を議論してきたという点も1つの原因としてあろうかと思います。昔は地価の下落という共通要因がありましたので、個別債務者ごとの議論でかなり共通的な要因にある意味対応することができたとも考えられますが、現在は重要なリスクが多様化しているために、個別の債務者ごとに債務者区分を議論しても、本質的なリスクに対応できない可能性があるのではないかとも考えられるかと思います。例えば下にaからdまで例がありますけれども、例えば金融機関によっては、一番のリスクが大口集中であるところ、あるいは産業の集中であるところ、高齢化なり人口減少であるところ、それぞれ原因がさまざまでありますので、まず本質的なリスクをどのように評価していくのかといったようなことからしますと、個別の債務者区分が十分ではないということも考えられるかと思います。

 こうした問題に今後どのように対応していくか、対応する中で、金融機関が実務の改善を進めやすくするためにはどのような環境整備が必要かということが課題になります。7ページにまとめております。この2から4というのは、今申し上げたことの繰り返しになりますので割愛いたします。5、6とありますが、対話会でも明らかになっておりますし、また次回以降ご紹介いたしますけれども、将来の損失をより的確に見積もろうと努力し、改善をされている金融機関も存在します。しかし、今の枠組みの中で対応されようとしていますので、やはりいろいろ制約などを感じられていると思います。

 このようにいろいろな融資ポートフォリオの特性がさまざまである、あるいは地域・顧客の特性がさまざまである、こういった場合に金融機関が重要な順にリスクを評価した上で合理的に行動した場合、金融機関が不安なく工夫できる環境が望ましいと考えられますが、どのようにしたら作っていくことができるかということが問題になろうかと思います。その際、融資に関する検査・監督がどのようになっていくべきか、どのような対応をしていくべきかということが大きな問題の1つになろうかと思います。

 8ページから10ページ目まで、今申し上げた検査・監督の今後の問題となる、論点の幾つか考えられるものを挙げております。これまでのように画一的な最低基準を適用するスタイルの検査・監督を改めるといたしますと、融資に関する検査・監督はどのような対応が必要になるかということでありますが、金融機関の実態の把握とか、あるいはより広範な情報からリスクをどう認識していくかとか、あるいはいろいろな多様性がある中で、情報の評価の仕方をどうするか、こういったことが論点になろうかと思います。

 以下、8ページ目から10ページ目にかけて、多少今申し上げたことを細かく書いておりますけれども、こちらのところは割愛をさせていただきます。

 11ページ目をごらんいただければと思います。以上、大変駆け足で恐縮でしたが、いろいろお伺いしたお話とか、私どもこれが原因ではないかというようなことをまとめて考えてみますと、認識した情報を評価して将来の損失をなるべく的確に見積もると、こういったことは金融機関によって変わらない、大元は変わらないと思います。

 一方で、リスク管理、融資審査、期中管理、引当、こういった態勢は、本来、金融機関が目指すビジネスモデルをどう実現するかといった視点をもって構築されるべきではないか、一律なものではなくて金融機関ごとに異なるのではないかと考えられます。

 仮にそうだといたしますと、金融機関のビジネスモデルとか、貸出先の実態に応じて、将来の損失をできるだけ的確に見積もると、こういう目的を実現する方法というのは、金融機関ごとに異なる、ないしは異なり得ると考えられると思います。

 また、そのように認識した情報をもとにリスクを認識いたしまして、この部分は継続的に観察しましょう、経過観察しましょう、あるいはこの部分は引当の問題ですね、この部分は自己資本の問題ですねと、こういった議論をすると、さまざまな対応があり得ると考えられます。その中で、特に引当に関してはどのような反映方法の改善が考えられるかというのが1つのテーマになろうかと思います。

 また、こういったものを進めていく一方で、会計基準等に照らしまして最低限求められる水準、こういったものもあろうかと思います。こういったところが1つの論点になろうかと思います。

 また、このほかにも、12ページ目は割愛させていただきますが、13ページ目に、全国の対話会などで伺っている、関係者からご指摘を受けております問題点のうち主なものをご紹介したいと思っております。

 1から7とありますけれども、例えば経済的に合理的な行動を妨げないようにするにはどうすればいいか。

 各業務態勢、例えば融資審査とか信用リスク管理とか、こういったものと引当との関係をどういうふうに考えていったらいいか。営業店とか、融資審査、リスク管理、引当、いろいろな部署がいろいろなそれぞれのミッションを持って行動をしておりますけれども、こういったものに与えるインセンティブ構造、こういったものが全体としての金融機関の行動あるいは将来損失の見積りにどういう影響を与えるか、こういったようなご指摘も受けております。

 また、資産査定と引当の関係についても、全国でよくご意見をいただくところです。リスクに応じた引当を計上しようとすると、債務者区分を変えなければいけない。しかし、債務者区分を落とすと、融資に消極的になる金融機関も存在する。こういったような問題をどのように考えていくか。

 私どもの側についても、一定の相応の検査・監督の品質の管理を確保していく必要がありますので、そうした管理をどのように図るべきか。また、過去の破綻事例などについて問題点を把握いたしまして、それにも対応できる仕組みである、こういったようなこともあろうとかと思います。また、金融機関とか監査法人とかこういった関係者の中で、当局の担う役割がどのようなものかということもあろうかと思います。

 今後のスケジュールですが、こちら、まだ今日は第1回目でございますけれども、先ほど申し上げましたように主に地域金融機関を想定してということでありますが、ただ、大手金融機関に関する議論も必要に応じてしていただければと思います。その中で、私どもいただきましたご意見を踏まえまして、ディスカッション・ペーパーを策定いたしまして、意見募集を開始できるようなところに早く持っていけたらと考えております。

 いろいろなご知見、ご意見、ご経験おありになる有識者の先生方ですので、ぜひ忌憚のないご意見を頂戴できればと思っておりますし、また、業界とかその他の団体の代表の方におかれましても、忌憚のないご意見を頂戴できればと思います。

 駆け足で恐縮でしたが、説明は以上でございます。

○岩原座長‌  どうもありがとうございました。それでは、討議に移りたいと思います。ただいまの事務局からの説明を踏まえて、ご議論をお願いしたいと思います。ご発言の際は、挙手をお願いいたします。私が指名させていただきますので、マイクのボタンを押してご発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

 何かご質問でもご意見でもいかがでしょうか。

 では、玉井さん、お願いします。

○玉井メンバー‌ 
 玉井と申します。大変僭越ですが、口火を切らせていただきます。

 最初に、今の渡辺さんからのご説明をお聞きして、率直な感想を申し上げたいと思います。この話は融資の質に関わることで、結局、銀行が今日本でやっている融資の質が変わりつつあり、もっと良い方向に変えていかなければいけないというような議論だろうと思います。あるべき融資の質と、引当とか償却の制度にギャップができていて、そこをどう埋めようかということだと思います。

 ただ、融資の質というものをもっと考えると、融資の目的・意図と切り離せない、つまり一体我が行は何ゆえにこの融資をするのかというような、融資には個別にそれぞれ意図があるわけで、そこのところまで掘り下げて考えなければならないと思います。私はビジネスコンサルをやっておりまして、事業の定義とか、一体あなたは何のためにこの会社はあるとお考えですかといった議論をさんざんするんですけれども、各銀行も、我々は一体何のために存在しているのかという、銀行の役割とか使命、あるいは自行の事業の定義みたいなものを考えなければいけないだろうと思います。各銀行の現状は、特に地域銀行を想定すれば、収益を上げて事業を継続しなければいけないという事業性と、それから一方で、地域を永続させるための地域貢献という一種の公益性、この事業性と公益性の両にらみみたいなところで経営の判断をしているんだろうなと思います。その濃淡はあるにせよ、そこのところを各銀行で軸足の置き方ないしは哲学の部分を各地域やそれぞれの銀行を担っている人たちが自らそれを鍛え上げていかないと、今の議論というのはなかなか成果が出てこない。単に多様ですねというだけになってしまうという気がします。

 そこで思い起こしますのは、2002年7月に金融庁がバブル崩壊後に、処分ばかりしているんじゃなくて前向きな議論をしようということで、通称ビジョン懇、日本型金融システムと行政の将来ビジョン懇話会を開催したことです。ここで2つの方向性、市場型金融モデルと産業金融モデルという、2つのモデルが併存する複線的金融システムで我が国の金融の将来を考えようという議論があって、私はとても感銘を受けました。

 しかしその後、その中核を担うとされていた市場型金融モデルのマーケット機能に対する見方が、リーマンショック以降かなり変わったというか、潜在的リスクが非常に大きいということを学習したわけです。それから一方で、メインバンクシステムを想定した産業金融モデルという方向についても、人口減少だけじゃなくて、地域がかなり変質してきてしまった。それから、もう一つ大きいのは、やはり産業自体がかなりグローバル化し、ITとかデジタル化という、こういう大きな流れの中で、バリューチェーンが世界に広がるという形で、単純に地域ということで従来ほど自己完結的なものではなくなってしまったことがあります。つまり想定していた金融のビジネスモデルの市場型モデルと産業金融モデルの2つとも変化してしまい、この2つの複線型で行こうと2002年に考えたような枠組みがもう時代と合わなくなってきているのではないか。

 大上段の議論かもしれませんが、本当は、第2のビジョン懇のような議論が今必要なのではないか。もちろん引当とか償却という技術論、これはとても大事なことだと思いますし、検査・監督の実務をやられる方にとっても大きな指針だし、金融機関にとっても大事なんですが、そこに入る前に、あるいはそれと同時並行的に、ビジョン懇的な、金融はそもそも何のためにあるのかといった議論を1回きちんとして、それで、各金融機関の中にある経営哲学あるいは金融の哲学みたいなものとすり合わせながら、そこから各行の多様なといいますか、個性ある、軸をきちんと持った運営を受け止めていく。うちはもう地域のためにやるんだから、100%引当済みの融資枠をつくって、リスクをとって新規事業を応援しましょうとか、いろいろな融資行動があり得ると思いますけれども、そのおおもとの考え方のところから本当はやったほうがいいのではないか。いきなり技術論だけで議論してもなかなか収束しないんじゃないかなという気がいたします。以上です。

○岩原座長‌ 
 渡辺さん。

○渡辺検査局企画審査課長‌ 
 ご指摘そのとおりだと思っております。引当の技術論を、いきなりそこからスタートするということでは、なかなかいろいろな問題は解決しないなと思っております。特に全国でいろいろなお話を伺ったりしますと、今お話がありましたけれども、まず存在の役割とか、そこから、自分たちはお客さんとか地域にどういうような関わり方をするのかというところがあって、どういうリスクのとり方をして、だから、こういうふうにリスクを見たいんだと。ただ、今、仕組みが、別表と言われる一律のものですので、その中にある意味、無理やり押し込めるような形でそれを反映しようと、こういうようなことが全国で今随所で起きているということかと思います。

 おっしゃられたような、ある意味、存在意義からおりていくような演繹的な部分と、個別の金融機関がやっております取組みを、逆にそれを大もとに寄せるような、どういう考え方をするのかといった帰納的な部分、この両方をすることによって、初めてこの考え方が出てきて、私どももどういうふうに融資を見たらいいか、金融機関も自分たちの融資をどう見たらいいか。引当が反映される部分というのは、あくまでもそういった全体的に見た部分での一部になろうかと思いますので、ぜひそういった深いところも含めてご意見をいただければありがたいと思っております。考え方と進め方という名前をつけているのもそういうところでありまして、ぜひ上流部分からいろいろとご意見賜われればと思います。ありがとうございました。

○岩原座長‌ 
 村岡さん、どうぞ。

○村岡メンバー‌ 
 では、上流部分からということで。このペーパーの8ページにも出ているんですが、要は、どのような検査・監督が必要かという話です。画一的なやり方については、少なくとも過去十数年から20年、これは非常に役に立ったし、効果的で効率的だったんだと思います。それは私が参加していた産業再生機構なんかでもそうですが、少なくとも検査・監督するだけじゃなくて、企業再生の現場なんかにおいても、それぞれの銀行が同じ基準で引当を積んでいるというのは、やはりそれによって企業再生の実務が非常にやりやすくなったという、そういうプラスもあったんだと思います。

 一方で今の大きな環境の変化の中でこれから求められることというのは、そもそも地方金融機関としての融資業務のあり方、そもそも融資というビジネスモデル自体を抜本的に見直さなければいけない、そういうタイミングに来ているんじゃないかと思いますので、それを阻害しない、あるいは場合によっては後押しするような形の検査・監督のやり方、あるいは思想が問われているんじゃないかと思います。そういう意味では、ここで書かれているようなビジネスモデルの多様性というのは、これは基本的には歓迎する方向だと思いますし、かつそれをさらにエンカレッジするような検査・監督の方法論と、一方でのリスク管理を、この相反するものをどうやって両立するかというのが多分これから求められることじゃないかと思います。

 一方で、それぞれ銀行ごとのビジネスモデルの多様性とか、場合によってはリスク管理の方法論の違いを認めれば、そこからやはり出てくる事故的なものも増えるので、それに対してどのように対応していくのか。その道具とか、これは法的な部分も含めて全て整っているのかというと、今、私から見ていますと十分ではない可能性もあります。例えば今まで以上に早期に金融機関の経営に対して金融庁としてより拘束力の強い形でステップインできるようなメカニズムが必要なのではないかとも思いますし、それから、いろいろな意味での幅広いセキュリティを守る、地方の経済・社会を守るような仕組みについても、公的資金も含めた枠組みを改めて考え直すという、そんなタイミングにも来ているんじゃないかと思います。

 検査・監督というのは、広範囲な地方の地域の金融をどうやって維持かつ拡大していくかという、そういうことだと思いますので、その目的に照らし合わせて、改めてその方法論も含めて考え直すというのは私はいいタイミングだと思いますし、大きな方向性は、やはり多様性を認めて、かつエンカレッジしていくという、そんな方向だと私は思います。以上です。

○岩原座長‌ 
 森さん、お願いします。

○森メンバー‌ 
 全国の中小企業を金融面から支援する活動を行っている者です。中小企業の社長や次世代経営者といろいろ話をしていますと、中小企業は、人口減少や少子高齢化、人手不足などの非常に厳しい状況の中でも、日夜、果敢に挑戦し、事業リスクをとっている。真剣に挑戦し続けている、そういった事業者が多い印象があります。

 そのときに、現行の検査マニュアルをベースとしたようなことから出てきているんだと思いますけれども、不動産担保や代表者保証が融資条件だとか、担保・保証がないと、特に中小・小規模事業者にはお金を出しませんよとか、そういった議論が、これは中小企業を支援している私の耳にはどんどん伝わってきます。

 担保・保証をいくらとっても、中小企業が挑戦している事業リスクそのものを減じることはないわけですよね。本来金融機関がやるべきは、例えば銀行法の第1条にございますように、国民経済の健全な発展に資することを目的とするということで、まさに今申し上げた、中小企業が果敢に事業リスクをとっている、そこを金融機関としては寄り添って、事業性評価という言葉がございますけれども、事業をしっかりと理解した上で融資や本業支援を実践することで、中小企業の企業価値、つまり、付加価値である営業キャッシュフローを改善し持続的に成長させていくことが、国民経済の健全な発展に資するということです。

 事業性評価については先ほどご説明がありましたけれども、事業そのものは運転資金のところがまずベースになりますが、そこが短期継続融資ではなくて、証書貸付になっているという事実、これも検査マニュアルの結果というような説明がありました。そういった点も含め、本来の事業の理解に基づく融資の仕方、それも本来あるべき、例えば運転資金に見合うような、疑似エクイティである短期継続融資を行っていく。中小・小規模事業者は上場していませんので自己資本は少ないが、正常運転資金に短期継続融資を対応させたお金の貸し方をやっていく。そうすると事業である商流とその逆の流れである金流の同時把握という動態事業性評価ができるし、それに基づき本業支援もする。貸し付けと使途の対応関係をハッキリさせていくことが、企業価値の向上に直結します。

 目指すべきは、中小事業者の挑戦に見合う、営業キャッシュフローを改善し持続的に成長させていくことであって、それこそが担保・保証による保全という話ではなくて、まさに営業キャッシュフローを高める、持続的に成長させていくことこそが最大のリスク管理であり、保全策だと考えます。もちろん担保・保証をとってはいけないという話をしているわけではなくて、順序をまず事業を理解して、そこに本来あるべき融資や本業支援をしていく。そういう建て付けになるようなプリンシプルを今回、融資の基軸として打ち立てるべきと思います。あまり細則にこだわると、またその細則だけをチェックしていくというようなことになりかねないので、プリンシプルをベースにした、キャッシュフローをいかに高めるかといったところを中心にしたプリンシプルをしっかりと確立できればと感じています。

 まさに中小事業者が営業キャッシュフローを高めれば、これは金融行政方針にも明記されていますけれども、共通価値の創造、クリエイティング・シェアード・バリューができます。中小事業者の企業価値の向上の結果として、金融機関の持続可能なビジネスモデル、サステイナブルなモデルができる。そういう順序の認識をしっかり共有する、共有できるような、それを支えるプリンシプルが重要だと考えています。以上です。

○岩原座長‌ 
 ほかに。

 関さん、その後、川上さん、お願いします。

○関メンバー‌ 
 ちょっと論点が変わるかもわからないんですが、私の問題意識というようなものを申し上げます。これは日銀の金融政策ということもあって、超金融緩和の状況だというのが背景にあると思うんですが、今の銀行経営というのは、どんどんスプレッドが小さくなってきて、いわゆる資金利益が出なくなってきている。しかしながら、何とかやれているのは、いわゆる債権整理損が非常に小さくなっているということで、トータルではトップラインの利益は小さくなるけれども、全体の最終利益としては何とかしのげるというようなことが続いているんだと思うんです。

 それで、私の拙い経験からいいますと、いわゆるリーマンショックだとか東日本大震災から始まって、金融円滑化法なんかを根拠にしたいろいろな政策金融が行われた。相当な規模の資金が流れているわけですが、現実に今どんどん債権整理損が出て、かつてのようにある一定の比率で企業が倒産するとかいうようなことが全くなくなってきているということだと思うんです。

 一方、これからの将来を見渡したときに、これは人によっていろいろな意見が違うかもわかりませんが、クレジットサイクルの上で、これは日本だけではなくて、米国あるいは中国なんかもそうなんですが、民間債務というのは大変積み上がっているという状況にある。そういうふうに考えると、我が国において、特に中堅・中小を含めたいわゆる潜在的な企業破綻、すなわち本来なら破綻した企業が、金融の超緩和の中で維持されているという会社が私は相当あると思うんです。

 私の経験からいうと、分類をどうするかはともかくとして実態的に債務超過になっている、あるいは資本欠損である企業など、これは個々の金融機関では相当しっかり見ていると思いますからかなりわかっていると思うんですが、そういうような相当数の企業がずっと維持されている、何とかやれているというような状況があると思います。それが一旦クレジットサイクルが変化したときに一斉に顕在化されてくるというようなリスクという、そういうリスクプロファイルのようなものがあるんだと思うんです。その辺の実態をやはりきちんとまず把握するということが大変大事なのではないかと思います。

 今後の金融行政を考え、かつ融資の検査・審査をやるというような観点からいえば、一番喫緊の課題は、超金融緩和のもとで、ゾンビ企業とは言いませんが、本来整理されるべきものがずっと温存されている。そして、いかにも経済が平穏無事に終わっている。景気もいいんだとか、実感のない景気のよさだとか言われますけれども、その辺の実質を少し、私自身もここは関心を持っていてもなかなかわからないわけで、そこのところをよく解明しておく必要があると思うんです。おそらく金融庁でも相当研究されているんだと思うので、それが今後の金融検査・監督のあり方を検討する上で非常に重要だということを申し上げておきたいということです。

 もう一つは、これは政治的な配慮もあってそういうことになりがちなんですが、全て守ればいいということではないと思うんです。つまり、国民経済全体の健全な発展が金融の役割だとすれば、ある程度の新陳代謝が産業の活性化の観点から起こっていくということが大変重要なのではないか。そういう理解に立って、本当に今、金利が非常に低いですし、幾らでも、はっきり言えば、まともな事業活動であれば借りられないなんていうことはまずないわけでして、むしろ将来あり得るいろいろなリスクを前提にして、金融機関の経営だって、今は何とか泳げているにしても、やはりある一定規模での、そういう債権整理損のようなものを負担していけるということを前提に経営することが非常に重要であります。そういう意味で、今何が起こっていて、どういうことが今の日本の金融緩和の状況の中で問題なのかということを一遍レビューするということが必要なのではないかと思うんですが、いかがでしょう、こういうことであります。

○岩原座長‌ 
 それでは、渡辺さん。

○渡辺検査局企画審査課長‌ 
 ご指摘いただきましたことは非常に重要な問題だと思っております。先ほど申し上げたように全国で対話会をやっておりますと、特に産業が集中していたりとか、足元はいいように見えても、将来、人口なりマーケットが縮小してしまうとか、そういった危機感を強く持っているところは、何とかその信用コストといいますか、費用を認識して、会計上かどうかという問題はありますけれども、認識して経営をしていこうという努力をしております。今の枠組みの中でそれを当てはめようとしますので、無理やり債務者区分を変えるとか、そういうようなことにどうしても今のところなっておりますが、また、個別にいろいろそういう取組みがありますので、次回以降、場合によったら、業界にもプレゼンをしていただく形でご紹介できればと思っております。

 あと、代謝ということですけれども、こちらも金融機関によっては、債務者区分どうこうということはそれとして、ここはちゃんと再生するし事業も立て直せるので、これはそういう支援をしようと。ここはむしろもう損が少ないうちに、なるべく傷が少ない形で廃業するなりしていったほうがオーナーのためになるのではないかというようなことで、方法を変えているようなところもあります。それによってリスクも当然のことながら、ゴーイングコンサーンで見ていたものが直るのか、それとも、ゴーイングコンサーンじゃないのかということで、これまた認識としても異なってまいりますので、そういったところをきちんとまず議論を、認識をしていく例が、そういうしようとする取組みがありますので、次回以降ご紹介をさせていただければと思っております。

○岩原座長‌ 
 ほかに。いかがでしょうか。

 川上さん、失礼しました。

○川上メンバー‌ 
 せっかくでございますので、二、三点申し上げさせていただきたいと思います。今回、融資に関する検査・監督実務のための研究会という、やや実務的なにおいがするようなテーマになっておるんですけれども、それはそれとして結論をどこかで求めていくということにはなろうと思います。皆さんおっしゃいましたように、これはやはり日本の金融の歴史的な制度というか、質的な問題に立ち入る覚悟があるかというか、そこまで踏み込まないこととこの問題の最終的な解にはなっていかないということなので、そういう視点から二、三点お話し申し上げたいと思います。

 私自身も銀行員でおりましたし、査定とかそういうことも関与しておりましたけれども、基本的には日本の貸出マーケットの特質というものが私はあると考えております。大きく言うと、日本における貸出というのは、銀行はそれをひっくるめてやってきたんですけれども、大きくは、一つはコンテンツ、設備投資とか、M&Aとか、企業の事業展開のために金を使う、もしくは金を貸し出すということと、もう一つは、日常の運転資金に金を貸すというものは質的に違うんだということがしっかりとあるはずなのに、それが混在してきた歴史があります。

 したがって、一方のことでいえば、長期資金であったり、エクイティ性の強い資金であったりするわけですから、コンテンツを見る力が銀行にどこまであるのかということが非常に重要でありまして、これの話と、1年未満の短期運転資金をどうするかということは、審査の仕方とか、まさに本当は検査も全然違っているはずなのであります。過去においては検査もそのように区分してやってきておりました。

 これは検証を渡辺さんのほうでしていると思いますし、してきているんですけれども、それが約20年前不良債権の処理を一挙にしなければいけないという目的のもとに、そこを混在してきたということが20年近く続いてきたという認識が重要であります。そこのもとに戻るということでございまして、コーポレートのリスクは非常に抽象的で、決算書を見るしかわからないというのではだめで、資金の中身というか、どのような資金なのかということを見るということに戻るということが非常に重要だということが第1点目であります。

 もう一つは、やはり金融機関の中で、貸出業務を中心とする金融機関といっても幅が広いです。ここに集まりになっておられる、上からいえば、メガから始まって信用組合まであるんですが、そこのところがそれぞれの業態もしくは金融機関が何のために存在しているのかということの原点を、先ほどちょっと先生がおっしゃいましたけれども、そのことを理解することが重要であります。はっきり言うと、誰が経営のステークホルダーなのかということを見定めることが重要であります。それはグローバルにやっていれば、グローバルの国際基準もあれば、上場していれば、上場することで株主にウエートをかけなければいけないということでありますし、協同組合であれば全然違うガバナンスが存在しているわけで、それぞれの金融業態が何のために自分たちは存在しているのかということをもう一回考える上で、それをベースにした上で、この問題をどう取り上げるかということが非常に重要であると考えております。

 3つ目は、そちら側におられる方に対してやや厳し目のことを言うことになるんですが、金融行政のあり方ということであります。先ほど言いましたように、この問題はもっと早くこういう問題に手をつけなければいけなかったんじゃないかと思いますし、今、最後のチャンスぐらいでこれをやろうとされておられるんだと理解しています。どちらかというと、やはり金融庁というのは監督・検査を中心にして民間を見ております。そうやって指導してきたことが事実でありますけれども、ここに来ますと、予防的行政をどこまで突き詰めていくのかということをやはりもう一回考えなければいけないということです。さっき関先生もおっしゃいましたように、マーケットに任せていくという視点をどこかで取り入れていくということと、もう一つは、さっきのステークホルダーによっては、公的関与を前提として金融を守っていくということ、そこは2つ、間違いなく二分するニーズとしてあるように思います。

 そこのところを金融行政としてどう考えるかということと、もう一つは、どうしても今までの流れからすると、金融庁の流れというのは、金融検査・監督という目線で、本人たちはそうじゃないんですけれども、上から目線でやっているように思われてしまう体質にあります。したがって、この問題というのは、解決するには、間違いなく、より金融庁のほうが現場への会話力をどうつけるかということが非常に重要です。同じ目線よりも、金融庁の現場も含めた人たちが、よりそういう目線で現場というかユーザー側に接することができるのかということが非常に重要です。したがって、両方とも、20年ぐらいかかった体質みたいなことですから、時間もかかるんじゃないかと思うんです。だから、その時間軸をどのように見るのかということはしっかり考えていただきたいなと思っています。

 それで、あまりしゃべり過ぎて。最後になりましたが、こういう形で理屈上のことをしゃべっているんですけれども、最終的には、今この金融業態が置かれているマーケットの状況をどう理解するかというと、やはり先ほど関さんおっしゃいましたように、この低金利で利ざやが、金利が寝てしまっている状況の中で、信用度に応じたプライシングをやれといっても本質的になかなか難しくなっているということなんです。過去においては、5%ぐらい立っているところであれば、まさにそれを反映できたんだけど、そうじゃない状況の中で業態が置かれているということは1つ考えなければいけない。これは多分二、三年は続くんじゃないかという想定を皆しているわけですから。

 それと裏腹なんですけれども、日本が低成長経済になったり、企業が海外に行ってしまったがゆえに、やはりオーバーサプライの状態にあるということをどう考えるかということだと思います。なぜオーバーサプライになっているかというと、各金融機関とも、まさにシステミックリスクで預金を守らなければいけないという金科玉条のもとに、預金は集まってしまうものだといって集めてしまっているということなんです。この問題がまさに先ほどのオーバーサプライを生んでいるという悪循環を生んでいるわけですから、そういうところは明日解決しようということではなくて、そういう前提で物を考えるということが非常に重要だと感じています。

 最後、マーケットのことについて言うと、もっとミクロなんですけれども、サイクリカルだなと思いますのは、貸出の相当の分、数字では押さえておりませんけれども、やはり不動産に関連する融資が大きく存在しているということなんです。これはまさに過去をたどってみると、そういうタイミングでこの問題は必ず出てきています。したがって、何とか銀行で問題が起きていますが、そういうようなことも1つのサインとして登場しているというぐらいの感じで、不動産に対するサイクリカルな問題を捉えておくことが必要です。金融危機が起きるときは必ずそこからスタートしています。だから、今申し上げた3点、マーケットの状況もやはり頭のどこかに置いて議論をしないと解が見出しにくくなるんじゃないかと思いますので、最初にお話し申し上げましたけれども、よろしくお願いします。

○岩原座長‌ 
 ほかにいかがでしょう。

 渡邊さん、どうぞ。

○渡邊メンバー‌ 
 官民ファンドの渡邊でございます。地域金融機関とはここ数年、地域の活性化という視点でお付き合いをさせていただいております。その観点で言いますと、実は地域金融機関はすごくわかりやすいと思います。例えば事業再生の現場に行くと、こういうことを言うとこう返答があるだろうというのが、ほぼ皆さん同じ返答をいただきます。これは実は金融機関相手にいろいろな支援に取組む上では、非常に取り組みやすいです。例えば、地銀さんの本店に行くと、一番上が役員室で、その下が何とか室といったように大体同じようになっていますので、個人的には非常に見えやすいです。

 こういった金融機関の見えやすい点については、将来を見据えることが容易であったり、将来が楽観的であった時代では非常によかったと思いますけれども、現状、地域金融機関の置かれている環境というのは、人口減少ということで厳しい状況になっており、このように安易に予測可能な状態では、環境の変化に対応できないのではないかと思いますので、おそらく、ストーリー変更が求められているということだと思います。

 地域でどういう環境変化があるのか、47都道府県それぞれに違いがあり、47色だと思いますけれども、ストーリーが変わってきているというか、簡単に言うと、演劇を楽しむ観客が変わってきているということなので、ストーリーが変われば、演出家も、当然配役も皆が変わっていかなければいけないというであり、地域金融機関の中でそういう動きが出てこなければいけないのではないかと思います。そうすると、ストーリーが変わると、ビジネスモデルも変わるということですから、当然組織も変わって、それに関する組織ごとの評価も変わると思います。そうすると、当然それは、結果として貸倒損失や引当にも影響すると思いますので、そこのストーリーも変わってくると思っています。

 ただ、現状、こういう先はこれぐらいだろうというのは我々もすぐにわかるので、やりやすいということにはなりますけれども、このストーリー変更に対して、金融庁の皆様方も、そのストーリーを理解しないと検査・監督ができないと思います。例えば地銀さんであれば105のストーリーがあるわけで、それに対して理解をしていかなければという意味では、まず、少し失礼ですけれども、検査局の皆さん方も質的に向上していかないと、ストーリー変更に対応していけないというのが1つあります。

 当然、地域金融機関の中にも、なかなかストーリーを変えられない経営者であったり、実務部隊が実際いるわけで、しばらくはそういう意味では、検査局、金融庁の皆さん方の立ち位置としては、観客に回るのか、それとも、演出家をサポートするのか、立ち位置が瞬間瞬間で変わってくるかと思っています。つまり、どういうことかというと、地域の環境変化に対して、地銀さん皆さんはなかなか対応し切れていない実情がありますから、どちらかというと、観客よりも寄り添う側にしばらくはいないと実際はワークしないと思っているところでございます。したがいまして、ここ数年、おそらく十数年いろいろな変化が起きてくるかと思いますので、地域金融機関も変わらなければいけないし、当然検査局も変わらなければいけないと考えているところです。

 私からは以上でございます。

○岩原座長‌ 
 ほかにいかがですか。

 田中さん。

○田中メンバー‌ 
 なかなか難しいテーマをいただいたなと思っているんですけれども、まずは金融監査マニュアルがそもそもつくられた時代背景みたいなものは少しよく理解しておく必要があるかなという気がします。今からほぼ20年前ですよね、金融国会があったりして、そのころに、この表がありますけれども、金融機関の倒産等がいろいろありまして、その結果、そういう金融機関の経営者の方々の中には、裁判で10年以上過ごし最後は無罪になった方もおられますし、実際に懲役刑を受けられた方もおられる。そして、そのときの裁判の判断のベースに資産査定のあり方というのが非常に大きな役割を果たしたということがあります。そういう中で金融検査マニュアルができて、ある意味では非常に画一的なものができ上がって、それをきちんと守っていれば、そこに1つの線ができるという、そういう側面が当時あったわけです。

 それで、幾つかのポイントを申し上げたいと思うんですが、私は今回金融検査マニュアルを廃止することに関しては賛成です。それは3ページに書かれているような融資行動の変化といいますか、副作用みたいなものが非常に大きな問題になりつつあるということと、実はここには書かれていないんですが、私が非常に問題だなとずっと前から思っていましたのは、お金を貸している先の状況が悪くなって、要注意の状況から次第に悪くなって、本来は破綻懸念であるというのに、なかなか破綻懸念にしないという行動様式が結構見えるからです。

 それは破綻懸念にすると、突然ものすごい引当が必要になるということが理由で、したがって、その会社の状況をしっかり把握して、そして、それが要管理先なのか、破綻懸念先なのかということをしっかり把握するというよりも、破綻懸念先にすることの反映としての銀行の引当、収益に対する影響を先に考えるあまり、順番が逆で、破綻懸念にしないと判断するという、そういうふうな行動様式が随分見えるんじゃないかという気がするんです。その結果、メインバンク機能が非常に弱体化しているという側面があると思います。

 これを検査マニュアルで見ますと、実態純資産がプラスかマイナスかというところがものすごく大きな分水嶺になっているということで、実態純資産の計算って、例えば資産の中に証券があれば、それをどうやって時価評価するかによりかなり変わるという側面は実はあるわけですけれども、そういうふうな形で副作用が大きな形で出てきているんじゃないかという気が私は実はしています。

 本来であれば、金融機関はもう少し腹を決めて、破綻懸念にして、それでも貸すんだ、引当を積んでも貸すんだ、そして、助けるんだというぐらいのことをやればいいんだと思うんですが、なかなかそこまでは今は行ってないなという気がしています。ある意味ではそれは制度の副作用と考えてもいいのではないかと思いますから、そういう意味では、検査マニュアルの見直しをするということは1つの意味があるだろうと思っています。

 ただ、先ほど冒頭言いましたように、この検査マニュアルの見直しをするに当たっては、その結果、でき上がった引当金の金額がどの程度の客観性を持つんだというところは非常に難しい問題ではないかと思います。つまり、金融機関の状況が悪くなっていくと、粉飾決算の材料にされるんじゃないかという、そういう懸念があります。これは20年前にまさにそういう批判を金融機関は非常に浴びて、そして、いろいろな形で対策が打たれて、そのうちの1つが検査マニュアルだったということもやはり頭に置いておく必要があるだろうと思います。その検査マニュアルを廃止し、そして、新たなやり方でやるということには非常に賛成なんですが、そこのところはやはりしっかり押さえておかないといけないと思っています。

 それから、先ほど川上さんのほうからおっしゃったことに私は大賛成で、私自身も申し上げようと思ったんですが、要するに、お金を貸すに当たっては、資金使途というのがあるんですよね。資金使途という言葉は実はこの資料の中には全く出てこない。通常は、資金使途――短期運転資金、長期設備資金、つなぎ資金、その他、先ほど川上さんも幾つかおっしゃいましたけれども、資金使途の把握がやはりそもそもの原点で、その資金使途に合わせた貸出の仕方がある。これが本来のあり方なんです。

 それで、私は普通銀行に勤めていましたし、川上さんは長期信用銀行におられましたから、まさに役割の分担が当時はあったんです。長期の資金というものは、設備資金とか工場をつくるための資金とか、そういうものは例えば5年とかそういうお金を貸すわけですけれども、普通銀行は通常1年のお金を貸すわけです。運転資金を貸す。そういう役割の分担がありまして、5年のお金を貸す場合と1年のお金を貸す場合では、当然先々の見通しが全然違うわけです。1年先だったら、何とかキャッシュフローもある程度見えるだろう。5年先のキャッシュフローが見える人はまずいないでしょうし、しかも今みたいな経済情勢の中ではほぼ不可能です。

 日本の場合は、20年前の金融危機を経て、長信銀、信託という、長期資金の提供をしてきた金融機関がなくなったんです。その機能がきちんと引き継がれてないのではないかと思っています。昔は興銀の産業調査部というのが非常に有名だったわけですけれども、そうした資金の出し方というものは、普通銀行の出すお金の出し方と違ったわけです。工場のそれこそものすごく細かいところまでしっかり見て、建設のところからしっかり彼らは伴走をしながらお金を貸していくというようなことをやっていたわけです。一方で通常の普通銀行の場合は、むしろいわば売掛金とか在庫とかそういうところを中心に短期のお金を貸していたということです。

 そういう機能があったわけですが、実は長信銀機能、長期のお金の貸し方というものは違うわけですけれども、本来はこれはキャピタルマーケットの仕事なんですよね。5年先を見据えて回収可能性を判断するというのは、これ、人間技としては本当は不可能です。したがって、担保がそこに出てくるわけですけれども、本来はキャピタルマーケットの仕事に転嫁するべきところが、実際にはそこがうまくいっていない。それは、なかなかエクイティプレーヤーが日本の中でしっかり出てこなかったということがあるんだろうと思うんですけれども、そういう、ここ20年ぐらいの課題が1つあるんじゃなかろうかと私は思っています。

 実は先ほど申しましたように、信用格付をやるときに、実態債務超過かどうかということを非常に大きなテーマにするわけですけれども、日本のお金の貸し方、今の検査マニュアルに基づくお金の貸し方と、私、実はアメリカに14年ほどいましたから、アメリカでお金を随分いろいろ貸したわけですけれども、アメリカでのお金の貸し方は根本的に違うわけです。アメリカのお金の貸し方は、基本的にキャッシュフローレンディングです。したがって、相手方が債務超過であってもお金を貸します。テスラはいまだに黒字になったことないですよね。ちゃんと借りていますよね。

 要するに、債務超過であっても、キャッシュフローをしっかり見極めて、将来の事業性を、いろいろな分析をしながらそれをベースにして判断をし、必要なリスクをとる。しかもそのリスクの一部に関しては、あらかじめ、これはスペシャルアロケーションという言葉を使いますけれども、そうしたものに対するリスクを一種の引当として押さえた上でお金を貸すということを彼らはやっています。ただ、このキャッシュフローレンディングは日本ではほとんどされてなくて、担保方式に行ってしまったわけですけれども、このキャッシュフローレンディングを日本でももっとしっかり作らなければいけないんじゃないかという気がしています。

 例えば携帯電話、もう今は皆さん持っておられると思うんですが、20年30年前には当然日本にはなくて、アメリカでものすごく大きな携帯電話が作られたわけですけれども、携帯電話の設備を、つまり、電柱みたいなものを最初にいっぱい作るわけです。各州でそういうものを作るわけです。携帯電話の業者としてアメリカで初めていろいろな企業が発生してきたんですけれども、そのときに携帯電話の業者も電柱というか、そういうものに当初は投資しなければいけない。それを投資するのをサポートしてきたのが、金融機関のまさにキャッシュフローレンディングだったんです。私も当時ユニオンバンクというところに、しかも審査の担当の企画にいましたけれども、その業界で貸している先が全部債務超過なんです。債務超過の先にお金をいっぱい貸しているんです。日本から行きますと、これは一体何だろうという、そういう驚きを覚えた経験があります。

 そうした会社は、今度は携帯電話が普及するに当たって、どんどん黒字になって、大変大きな企業として皆が発展してきたということなんですけれども、キャッシュフローレンディングという金融機能があったために、アメリカではそういう携帯電話の会社が世界に先んじて大きなものができ上がっていったということで、今、バイアコムとかいっぱいありますね。そういうようなものができ上がっていったとそういう背景があります。つまり、金融機能のあり方が産業の生成に影響するという1つの事例だろうと思います。

 このキャッシュフローレンディングということを考えるときに、やはり非常に大事なのは、短期資金であるのか長期資金であるのかの判断です。今の例は長期資金なんですけれども、したがって、いろいろな担保は当然とるわけですが、資金の使途、そして、キャッシュフローの見通し、そこには明らかに事業性見通しが入ってくるわけですけれども、そうしたものが非常に重要になってくるというところがあると思います。

 ただ、同時に考えなければいけないのは、これは3つ目になるんですが、お金を貸すという作業は、どうしても「回収可能性」に縛られます。ここはエクイティと違うんですね。エクイティは、お金を渡して、そして、成長してもらうという働きをします。そして、その成長の果実をエクイティのバリューが上がることによって回収するという世界ですけれども、お金を貸すという作業では、常に入り口から回収可能性を考えなければいけないということになります。回収可能性のないお金を今貸しますといったら、これは背任そのものですから、回収可能性というものをどのようにして判断するのかというのは非常に大きなポイントになります。そこは当然それぞれの金融機関がリスクをとりながら貸出をして、企業を育てるという、そのコンセプト自体に私は異論はありませんけれども、そのときに回収可能性という縛りがあるというところだけはやはり頭に置いておく必要があるだろうと思います。

 それから、最後に、私はユニオンバンクというところの頭取をしたものですからアメリカとの比較をして見ますと、皆さんもいろいろ研究をしていただいたと思うんですけれども、日本の場合は格付を決めたら、会計上も自動的に引当率が決まるというように、格付けと会計がつながっているわけですけれども、アメリカではそうなっていないですよね。要するに、格付ではサブスタンダードとかスペシャルメンションとか、そういうのがあるわけですが、会計上の引当、これはインペアメントをベースにした考え方ですけれども、そこには一直線のつながった関係は必ずしもありません。

 何故かといいますと、要するに、スペシャルメンションとかサブスタンダードとか、その格付は何に使うかというと、実はエコノミックキャピタルというものを計算するプロセスの中でツールとして使う部分があります。資本というのはいろいろな種類があって、財務上の資本がありますね。エコノミックキャピタル、経済資本というのがありますね。規制上のキャピタル、いろいろあるわけですけれども、エコノミックキャピタルを計算するためのリスクの分類という1つのツールとして使っているという部分があるわけです。

 それに対して、会計上のキャピタルを考えるときの会計上の引当は、これはインペアメントをベースにして考えるという形になっていますから、そこは格付けを下げたからといって直ちにインペアメントになるということには必ずしもならないので、そこはちょっとやり方が違うので、この会合の何回目かにその辺のことを一度ご説明していただくと少しわかりやすくなるかなという気はしております。

 つらつらいろいろ申し上げましたけれども、少し話を飛ばさせていただきますと、欧米型のやり方の場合には、いわゆるがちがちの検査マニュアルではやってないんだけれども、自分たちでリスクの計量化をします。自分たちでリスクの計量化をし、ある程度の裁量でリスクの塊のところに追加的な引当をするということが認められています。合理的な判断であれば、それで認められています。しかし、合理的な判断であるかどうかというのは、実は取締役会がきちんと判断をしているかどうかというところに全ての、最後の監督当局の判断の源泉があります。つまり、取締役会が、この引当金を客観的にこういうふうな考え方で積みましたということが重要です。

 例えばオイルの値段が急速に下がってきましたというとき、もっとどんどん下がると思われているときに、じゃ、オイルの値段が今から半分になった場合には、貸出のポートフォリオのリスクはどれだけふえるんだという、こういう議論をするわけです。そうすると、例えば今、40ドルのオイルが20ドルになる場合と10ドルになる場合と5ドルになる場合は当然、引当の金額が違ってくるわけです。では、どれをとるんだということになります。なぜ10ドルをとるとか、5ドルをとるとか判断するのか。これは取締役会できちんと判断しなければいけないということになります。

 そういうことがあるために、欧米の金融機関は、取締役会の中にリスクコミッティというものをつくるようになったんです。そのリスクコミッティが非常に力を持っていまして、リスクコミッティにおいてそうした判断をしっかりして、それを当局が実際にガバナンスをしっかり見ているのかどうかというところまで監督をしている。しかもご承知のように、アメリカの場合ではレジデントという、そういうような形で監督をしていると、こういうことになります。結局、検査マニュアルをやめて、ある程度、それぞれの金融機関のビジネスモデルに合わせたような形の引当のやり方に持っていこうということであれば、同時に、ガバナンスの問題というものもそこには入ってくると思います。

 長々と話しましたが、最後に1つだけ申し上げたかったのは、このいただきました資料の中で、私、非常に大事だなと思っているページがあります。10ページです。10ページのご議論いただきたい論点という、この下の絵、これ、よくできていると思うんですけれども、過去実績、個社の定量情報、個社の定性情報、足元の情報、将来の情報、要するに、これ、色がついているところは今やっているけれども、右のほうは使っていませんということですよね。

 これからやはり考えなければいけないのは、検査マニュアルを離れて、新たにそれぞれのリスク、信用リスクについてどのようにして分析していくかというときに、右側のところをしっかり考えてなければいけないという、それが大きなポイントだろうと思います。

 それで、先ほど申しました例に行きますと、例えばオイルの値段がこれからどうなるかというのは、これ、一番右のわけです。そうしたことを考えておかないと、きょうの時点の債務超過がどうだということを考えるとしても、今日例えばオイルが40ドルですということでその日時点の実態債務超過はどうかということを考えても、これから先、オイルの値段が20ドル、10ドルになった場合には、今の引当が全く意味をなさないわけです。

 したがって、ここにありますように、右にあるような将来の見通しをしっかりした上で、あるべき引当水準を考える、リスクの水準を考えるというやり方に変えていくということは、これは極めて重要だと思いますけれども、しかしながら、そこにはさっきから申しましたようにいろいろな主観的な判断も必要になりますので、それはやはりガバナンスの世界でしっかり押さえる必要があると思います。

 長々と話しましたが、とりあえず今日はこれぐらいにしておきます。

○岩原座長‌ 
 渡辺さん、お願いします。

○渡辺検査局企画審査課長‌ 
 今お話に出ました米国の取り扱いにつきましては、私どももFRBからいろいろと聞いておりますので、2回目以降でご紹介したいと思います。ただ、外国の事例というと何かものすごい突飛なものというふうに、ひょっとすると、参加されている、特に業界の方は思われるかもしれませんが、対話会で私どもが伺った地域金融機関あるいは場合によっては協同組織金融機関、それが指向しているものとかなり類似しているものがあるということを申し上げたいと思います。

 今ご指摘いただきました中でも、例えばキャッシュフローにつきましては、川上メンバーから少しご指摘がありましたけれども、昔このマニュアルに入る前は、キャッシュフローを、使途を見て、検査・監督としていたものが、実態バランスに変わったということが非常に大きいものとしてあるということは私どもも過去をさかのぼって研究といいますか、調査をしているところです。

 また、特に破綻懸念先の貸付けにつきましては、これも全国の対話会でいろいろとお話を伺いますと、おおむね対応されているところの多数の方の対応の仕方というのはおありになるんですが、中には非常にバリエーションのある、先ほど田中メンバーからお話ありましたように、まず先に引き当ててから、そこをどれだけの再生ができるかということを取組むとか、あるいは一定の期間を決めて、再生担当部署が本当に再生できるかどうか、できなければ、その場合は高い引当率に変えるとか、いろいろなバリエーションがございます。この辺につきましても、先ほど申し上げましたように対話会の模様を幾つかご紹介する際にご紹介をしたいと思います。

 また、先ほど渡邊メンバーからご指摘がありました再生の部分、今の別表の仕組みがありまして、そこで大体引当率とかいろいろなものが決まっているものですから、予想がしやすいということもあろうかと思いますが、これも対話会の中で、例えば別表かどうかということじゃなくて、自分たちの再生のプロセス自体を評価してもらえないかという協同組織金融機関とかこういった先がありますので、これもあわせて2回目以降にご紹介したいと思います。

 また、最後、田中メンバーからご指摘がありました、足元の情報とか将来の情報の反映、これはいろいろと私どももさらに研究を進めていかなければいけないと思っています。例えばオイルのプライスということですと、将来情報ということになりますが、リグの数とか建設予定数ということになりますと、これは足元の情報になってまいりますので、そういったものを踏まえてどうやって反映していくかというのはいろいろな見方ができると思います。

 この点につきましても、特に一定の産業に集中している地域金融機関さん、地域銀行とか、メガも一部そうですし、あとは、一定の産業に集中している信用金庫さんなどは、その産業の動向をどのようにしたら反映ができるかという工夫を、今の枠組みの中ではありますけれども、いろいろ試行されて、既に実行されているところもあります。この点につきましても、2回目以降に、私ども対話会でお伺いしている情報についてはご紹介をしたいと思います。ありがとうございます。

○岩原座長‌ 
 どうもありがとうございます。

 さらに何かご発言いただくようなことはございますでしょうか。

 では、小野さんからまず。

○小野メンバー‌ 
 ありがとうございます。企業会計基準委員会の委員長の小野でございます。資料の10ページあるいは11ページの論点に関連しまして、実務的な観点から3点ほどお話をさせていただけたらと思います。私ども企業会計基準委員会は、日本の会計基準の開発を行っておりますが、基本的な方針といたしまして、我が国の上場企業等で使われております会計基準の質の向上を図るために、日本基準を高品質で国際的に整合のとれたものとするとして、日本の会計基準の開発を行っております。

 日本基準を国際的に整合性のあるものとする取組みの1つとしまして、金融商品会計基準の改正がございます。会計基準の改正に向けた検討につきましては、着手するか否かを今、企業会計基準委員会で検討中でございますけれども、最終的に開発をするということを決める前の段階で、今後意見募集をするため、意見募集文書の公表を予定しております。そういう中で先に述べた取組みを行っているわけですけれども、この研究会でこれからご議論をされていく中で、日本の現行の会計基準を前提として議論がなされていくものと理解をしております。その点がまず第1点目でございます。

 それから、2点目は、スライドの7ページとか9ページとか10ページに記載があり、先ほども田中メンバーからも信用のリスク等を評価する上での将来情報についてお話がございました。この将来情報という用語がどういうものを含むかということで、その範囲が論点になるのではないかと思います。その点、会計基準という点からしますと、国際的な会計基準でありますIFRSとか、あるいは米国の会計基準では、将来予測について、合理的であるとともに裏づけ可能な情報であることが必要とされているところであります。したがいまして、将来情報をどのような精度のものまでを取り入れていくかということが1つの論点ではないかと思いますので、今後ご議論をしていただけたらと思います。

 3点目は、同じくこの資料の中で何カ所かでビジネスモデルという用語が使われております。当然、金融機関の活動内容が違えば、発生して得られる将来キャッシュフローが変わりますので、その意味で、引当のとり方も変わってくるとは思います。ただ、ビジネスモデルという表現は、極めて一般的なものですが、ある意味、人によってかなり受け取り方が異なり、意味合いが違ったふうに使われることが多いと思われますので、ビジネスモデルという表現を使うのであれば、きっちり定義をするか、あるいはもう少し別の用語を使うということもご議論の中に入れていただけたらと思います。

 以上でございます。

○岩原座長‌ 
 では、渡辺さん。

○渡辺検査局企画審査課長‌ 
 ご指摘いただきましたように、現行の日本基準を前提にご議論をいただくということではありますけれども、実は今の私どものいわゆる検査マニュアルの別表にも、将来予測をした上で、必要であれば補正をするという条項が入っております。ただ、仕組みが別表の極めて画一的なものしかないということで、事実上、反映するのは非常にコストがかかってしまっているという状況があります。他方、国際的な会計基準も、いろいろ特徴はおありになりますが、予想損失をどのように、将来情報をどのように取り込むかということでありまして、この点につきましては私どもとしても念頭に置きながら、ただ一方で、基本的には今の日本基準も構えはそうなっているのではないかと思っておりますので、ご議論いただければと思います。

 あと、定義などについては、また私どもとしても検討したいと思いますけれども、まさに今、小野メンバーからご指摘ありましたように、やり方が変わればキャッシュフローが変わるというところが基本でありまして、そこの点については私どもも同じ考え方だと思っております。

 また、将来情報の反映の仕方、これはまたご議論いただきつつ、私どもで検討いたしますけれども、これはお客さんの特性とかポートフォリオの特性、あるいは業態によっても、この点はさまざまなやり方があるのかと思います。たまたまここにGDPの予測とか書いてありますけれども、これが影響する金融機関もあれば、そうでもない金融機関もありますし、一見影響しそうもなくても影響するところがあるかもしれませんし、このあたりはまたご議論をいただきながら、私どもとしても研究を進めてまいりたいと思っております。

○岩原座長‌  会計上の概念との関係というのは多分これからいろいろと問題になっていくところではないかと思います。かつてそれこそ20年前に金融検査マニュアルを導入したときにも、会計上の概念との関係が非常に問題になり、かつ当時は、不良債権の概念がいろいろと違っていたわけですね。例えばディスクロージャー誌に開示される不良債権の概念、それから、当時ですと金融監督庁が金融機関に求めている自己査定における不良債権の概念、それから、3番目には、金融再生法上の分類としての不良債権があって、それが非常に混乱をもたらしたんですけれども、多分、今ここで我々が研究会でまず検討したいと思っているのは、金融機関の自己査定における概念を主に検討したいということでしょうか。

○渡辺検査局企画審査課長‌ 
 考え方といたしますと、まず融資のポートフォリオをどう検査・監督するかということですので、自己査定の前のリスク認識をどうするかというところからおそらく入りませんと当局としてはいけないのではないかと今の時点では思っております。

 その中には、会計上の引当に反映されていく種類のものもあれば、今の時点ではそうはなっていないのだけれども、お互いに経過観察をしましょうというものもあれば、あるいは会計上はこうなんだけれども、場合によってこういうダウンサイドシナリオが来た場合に自己資本が十分かどうかというような議論につながるものまでありますが、おそらく根っことすると同じなのではないかと。

 例えば先ほど田中メンバーがおっしゃったオイルの話でいうと、おそらくシェールがどんどん増えてきて、収益性も高く問題もない状態から、リグがふえて供給過剰になって下がっていくと、仮に簡略してそういうことだとすると、それをどういうふうに当局で見るか。ある時点では引当になり、ある時点ではお互いに見ましょうかと、そういうことになるかと思います。

 ですので、一旦リスク認識をどうするべきかというお話があった上で、あるいは当局がどう金融機関と話をすべきかという話があった上で、では、会計上の概念にどこまでそれを落とし込むことができるか、あるいは落とし込むべきなのかということ、それが場合によりましては、田中メンバーがおっしゃいましたガバナンス構造も含めた上で、もう少しある意味、会社法的なということかもしれませんけれども、その外側も含めた問題なのかもしれないというふうに、先ほどご意見を伺っていて思いました。

 あと、今、座長からご指摘のありました概念の違いというのは残っておりまして、再生法、あとは、業法によるもの、こちらは法律による開示の規定ですので、今後も残ります。今回検査・監督基本方針を私どもがパブリックコメントにかけました際には、2つあるのは負担なので、1つにまとめてほしいというご意見もありまして、法律そのものは厳然としてございますのですぐ私どもの一存でどうこうできるものではありませんが、私どもとしてはやはり検討課題かと思っております。

 その上で、自己査定上のものとどう関係するかというものにつきましては、これはもちろん現状の実務を否定しておりませんので、それをとるというやり方もあると思いますけれども、先ほど田中メンバーがおっしゃったように、米国では実は自己査定上の概念と引当の概念、これはまた2回目以降正確にご説明いたしますけれども、それは一応は関係はしておりますが、分かれております。したがいまして、その関係自体をどのように考えるかということも実は大きなテーマではなかろうかと思っております。

○岩原座長‌ 
 最終的には、健全な銀行経営を行ってもらうためには、どれだけのリスク認識をしていただいて、どれだけの引当をしていただくかということを判断するための枠組みを考えていくということではないかと思っています。その意味では、会計上の概念と必ずしも一致しない可能性もあるということではないかと思っています。

○渡辺検査局企画審査課長‌ 
 あると思います。

○岩原座長‌ 
 田中さん、どうぞ。

○田中メンバー‌ 
 今のお話につながるんですけれども、さっきもちょっと申しましたけれども、要するに、資本にはいろいろな資本があるんですね。決算書に書く資本、これは、有価証券報告書に書く資本ですよね。それから、レギュラトリーキャピタルという、例えばBIS規制上の資本。これは資産にリスクウエートを掛けて出てくる資本、これが何%なければいけない。それから、もう一つがエコノミックキャピタルです。それで、自己査定というものは、基本的にはエコノミックキャピタルとつながると考えるのがおそらく一番整理しやすいのではなかろうかと思います。そういうふうにすれば、もう少しフォワードルッキングな形でもって自己査定をして、それがエコノミックキャピタルにつながっていれば、エコノミックキャピタル全体が、実際にそれぞれの銀行の資本の部にある金額との対比でどれくらい多いのか少ないのかと言うことはできるわけです。

 実際に監督の観点から重要なのは、このエコノミックキャピタルがきちんと把握されて、リスクがどのように計測され、そして、そのリスクが将来できればフォワードルッキングな形でもって数値化され、そして、その数値化のプロセスがきちんとロジカルにされていって、そのロジックについてガバナンスがしっかりきいているという形ではないかと思います。それが監督の立場からすれば、金融機関としてはしっかり健全性があるという判断につながると、こういうふうな形になっていくんじゃないかということで、キャピタルの種類が違うというところから考える必要があるんじゃないかと私は思っています。

○岩原座長‌ 
 よろしいでしょうか。

 まず馬場さん、お願いします。その後で五島さん。

○馬場メンバー‌ 
 川崎信用金庫の馬場と申します。本日はありがとうございます。次回以降に主なテーマになると思いますのであまり詳しくは申しませんが、末尾についている参考資料4にいろいろな取組み事例が出ていて、その中には多くの信用金庫からの事例も含まれているというふうに思っております。

 そうした対話会などの、今日の話も含めてですが、そこから我々の立場で総合的に考えますと、やはり今まで検査マニュアルで示されていた債務者区分等の大きな今までの枠組みとか考え方というものは、実務にはしっかり定着し、根づいている面がございます。また、お金をかなりかけて自己査定システムもそういうものをベースに構築されております。

 そういうことでありますので、一方で、近年、各金融機関でいろいろ工夫されてきた歴史、あるいは工夫がうまく通らなかった歴史もございますが、これまでの枠組みをうまくベースに利用しながら、地域だとか、あるいは金融機関のリスクの特性といったものを柔軟に取り入れていくという形でより合理性を高めていって、全体として適切な引当あるいはリスク管理を実現していくという方向性が一番実務的にもありがたいというか、よいのではないかなと思います。

 先ほど少し出ていましたが、例えば破綻懸念先の話は、昔は信用金庫では、今で言う破綻懸念先にいろいろリレーションをとり、工夫をし、そこに何とか融資を頑張ってつけていくというのが普通の姿だったわけです。それが、別に検査マニュアルのせいにするつもりはありませんが、やはりそういったものを経て、なかなか融資ができないといった時期も正直言ってございました。

 ただ近年は、近年といってもここの三、四年というのが正直なところですけれども、破綻懸念先であっても、事業性キャッシュフローを見て、私は不良債権の処理の部長でしたが、今はこの間の異動で肩書は変わっておりますが、隣にいる融資部長が、ここは破綻懸念先だけれども、先の見通しは十分つくし、いずれその他要注意等にランクアップしていくような先だから、個別引当金を積んでも貸したいと。私はもちろん中身はきちんと見ましたけれども、「悔いなき融資ですか」と問うて、「そうだと」言われれば、それは普通に貸しています。破綻懸念先だと貸せないということはなく、地域によるし、金庫によると思いますけれども、そういう形で今は、債務者区分の壁をある意味では乗り越えてきているので、そういったことも知っていただきたいなと感じました。

 金利が低い中でもし景気が悪くなり、地価も下がるということになると、いよいよ金利が上げられなくなるということになりますと、今のような引当状況がまた第2のリーマンのような、大幅に事後的に引当を増やさなければいけない、ただ、そういう体力はないというようなことにもなりかねませんので、そういうこともつけ加えさせていただきます。私どもは、公益性が第1、第2に事業性ですが、なかなか事業性が成り立ちにくい環境なので今困っているところですけれども。

 いろいろとりとめのない話になりましたけれども、私の申し上げたいのは、今の大きな枠組みをベースに、それを柔軟にもうちょっと変えていって、それを活用して引当の適切性を高めていくかという方向で議論が進んでいただけるとありがたいなと思います。以上です。

○岩原座長‌ 
 はい、どうも。

 それでは、五島さん、お願いします。

○五島メンバー‌ 
 福岡銀行の五島と申します。今日はありがとうございました。冒頭、地域金融機関の経営理念あるいはビジネスモデルがしっかりしているべきだというお話がありましたので、私、福岡銀行の経営の現場のお話を少しだけさせていただきます。

 当然、地域金融機関としてこれまでにない危機感を持ちながら経営をやっているわけですけれども、今回、やはり私たちの中で長期ビジョンとして持っています、地域の活性化への貢献と、それから、銀行の成長という、これを両立させる、あるいは好循環を回していくと、これをお客様本位の業務運営とあわせて、従業員にしっかり説明をしながら、現場で徹底しようという動きをやっているところです。

 そのためにも、単にお金を貸すという行動だけではなくて、お客様の本業の支援、具体的には事業再生は従来からですけれども、最近でいえば、事業承継のお手伝い、あるいはビジネスマッチング、あるいは人材の不足に対するサポート、こういったところまで含めていろいろなお話を今、お客様と現場でやっているところです。

 また、さらには、リスク管理も高度化しなければ、そういったビジネスの拡大にもつながっていきませんので、収益の採算管理につきましては、リスクアセットベースのRORA(リターンオンリスクアセット)を見ながら個別にやっています。引当も十分に積みながら、そういった事業を今展開しているところです。

 それから、銀行のビジネスも、やはり広く、深くなっています。ご承知のとおり、フィンテックと言われるところともアライアンスを組みながら、融資の世界でいうと、これまでは決算書ベース、あるいは短期間でも試算表ベースでしか見られていなかったものが、リアルタイムで口座の動き、あるいはお客様の商流まで見て、いろいろなアドバイス、あるいは融資の判断をするというところまで今来ているところです。

 今後、地域金融機関全体として、このリスク管理あるいはビジネスモデルを多様化していくためにどういったものが必要かということで今考えているところですけれども、1つ、私ども地方銀行協会が持っているものとして、信用リスク情報統合サービスというCRITSというビッグデータを持っています。これは64行のお取引先の個社別の情報、属性あるいは、貸金、財務、格付、延滞、デフォルトの情報など、いわゆるこういったもの全て持っておりまして、ビッグデータ化しております。こういったビッグデータを十分会員行の中で共有をしながら、とるリスク、とらないリスク、いわゆるリスクアペタイト的な枠組みのリスク管理を業態として取り組んでいければ、今までよりもさらに前向きな、あるいはフォワードルッキングなものができていくのではないかと。

 これは全行のデータを持っていますので、自行の立ち位置、いわゆるベンチマークと比べて自分のところはどうかということも見られますし、さまざまな使い方ができると考えております。このあたりにつきましては、どこかお時間があれば、またご紹介させていただきたいと思います。以上です。

○岩原座長‌ 
 はい、どうも。

 ほかに何かございますでしょうか。

 小倉さん。

○小倉メンバー‌ 
 日本公認会計士協会の小倉と申します。11ページのご議論いただきたい論点では、特に5番のところで意見を述べさせていただければと思います。今回、検査マニュアルについては自己査定、償却及び引当の別表を含めて廃止するということが示されております。金融機関が一般に公正・妥当と認められる企業会計の基準に従って適切な償却・引当を実施し、その結果を財務諸表として公表することは、金融機関の財務内容等の透明性の確保のためにも非常に重要なことであると考えております。

 会計監査人は、金融機関の財務諸表について、償却、引当も含めて会計基準に従っているかどうかを独立の第三者としてチェックする、監査をするということでございます。そういった金融検査マニュアルの別表が廃止されてしまった場合には、金融機関の財務諸表等の作成の基本となる考え方が失われてしまうことになるという懸念を持ってございます。ですので、現状の実務を否定しないで、それをベースにということですが、別表に記載されている資産査定の基本的な考え方は、明文として引き続き残していただきたいと考えております。

 現状の実務をベースに創意工夫をということでございますけれども、創意工夫は認めることがよろしいと思っておりますが、創意工夫をされた各々の金融機関の財務諸表の利用者に対する比較可能性を担保するためには、貸倒引当金の計上基準に係る注記等、財務諸表上の開示を充実させることが必要です。同じやり方であれば、何ら注記は要らないと思いますけれども、創意工夫をされるのであれば、開示を充実させないと、比較可能性が担保されないと考えております。

 本日のご説明資料の中では、6ページのところに、原因分析ということで、過去のデータをベースに引き当ての見積もりを行ってきたというところがございまして、それで少し問題が生じているということもありますけれども、我々が監査に従事しています公開している金融機関、上場会社は、四半期ごとに財務諸表を公表しておりますので、過去ベースで資産査定をするといっても、3カ月ごとに情報を更新しております。当初、自己査定基準が入ったときは、仮基準日ということで12月に基準日を設けて、期末日までの修正ということでやっておられましたけれども、その後、平成20年に四半期報告が入ってからは、四半期ごとに情報の修正をされて公表されていますので、引当金の不足に該当するような債務者の予兆があった場合には、次のすぐ3カ月後には反映できるということもございますので、自己査定というのがそれほど大きな問題なのかというのは、監査をやる身からすると、どうなのかなという意見を持っております。

 それに対しまして、実績率ですね。債務者区分を判定した上で貸倒引当率を算定することになりますが、その引当率のほうについては、主に貸倒実績率法という方法で金融機関は計上されております。貸倒実績率は、過去の算定期間の貸倒れの毀損をもとに算定された率を使いますので、やはり最近は非常に倒産が少ない、景気がいいということもありますけれども、金融円滑化法の関係も一部には出ているかと思いますが、非常に低い実績率になっているということが各金融機関の悩みと認識しております。

 日銀様でもレポート等出されておりますが、いろいろな創意工夫はやっておられますが、それも少し限界には近づいているかなというところもありますので、今後はぜひご議論の中で、上流のどのような融資方針かというところもございますけれども、実務上、最低基準検証ということも今回の考え方で出ておりますが、今の貸倒実績率法による引当が本当に最低基準を満たしているのかというあたりはぜひ議論していっていただければと考えております。以上です。

○岩原座長‌ 
 渡辺さん。

○渡辺検査局企画審査課長‌ 
 今ご指摘ありました中で非常に重要な点が幾つか入っていると思います。1つは、開示の充実というところです。これは比較可能性というお言葉もありましたけれども、やり方が1つであれば、開示の必要性はそれほど高くない。それが多様性が出てくるとこの必要性は高まっているということは確かにあろうかと思います。海外の事例などもいろいろ研究しているところですが、実は日本でも幾つか、銀行さんでもご自分で工夫をされているところとか、あるいは信金さんで、通常、定型のフォーマットで出されているんですけれども、定型のフォーマットであまり縛られないところに、業務報告のようなところ、そこにむしろ書き込まれて、例えばご自分の金庫さんの再生の考え方、それに基づいて、例えば債務者区分を自分たちはどう扱っているかということをかなり詳しく実は書かれていらっしゃる金庫さんなどもあります。なので、1つの重要なテーマになろうかと思います。

 あと、債務者区分なり実績率、これも重要なテーマかと思います。例えば先ほど田中メンバーがおっしゃったような、油価が動いたりとか、将来的に動くことが見込まれる場合、これは会計に落としていくと、債務者区分にどうなのかとか、実績率がどうなのか、債務者区分を過去の財務データでやっていたとしますと、例えば2年連続で一定の財務状況だと一定の債務者区分になるということですと、そこで2年遅れるリスクもありますし、ましてや実績率も、小倉様おっしゃったように大幅にずれる可能性もありまして、この変動の幅が大きい場合に、こういうやり方かどうかということも場合によってはあるのかなということは、伺っていて、外国の例あるいは各地域金融機関の例などを見ていると、幾つかそういう例もあろうかと思います。

○岩原座長‌ 
 よろしいでしょうか。ほかに何か特にございますでしょうか。

 それでは、大体皆様からご意見いただいたようでございますので、本日の討議を終わらせていただきたいと思います。熱心にご討議をいただき、誠にありがとうございました。

 最後に、事務局から連絡事項がございましたら、お願いします。

○渡辺検査局企画審査課長‌ 
 次回の研究会の日程でございますが、皆様方のご都合を踏まえた上で決定させていただきたいと思います。

 事務局からは以上でございます。

○岩原座長‌ 
 それでは、どうも長時間にわたり熱心なご討議ありがとうございました。
 

以上

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金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

総合政策局リスク分析総括課(2602, 2543)

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