融資に関する検査・監督実務についての研究会(第3回)議事録

  • 1.日時:

    平成30年10月2日(火)10時00分~12時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館 12階共用第二特別会議室

融資に関する検査・監督実務についての研究会(第3回)
平成30年10月2日
 
 ○岩原座長  
 それでは、皆様お集まりいただいているようでございますので、ただいまから、融資に関する検査・監督実務についての研究会第3回会合を開催いたします。皆様、お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 初めに、前回及び前々回の会合をご欠席されたメンバーの方及び本日の議論のためにご出席いただいているゲストの方について、事務局より紹介をお願いいたします。

○渡辺地域金融監理官  
 事務局よりご紹介申し上げます。

 メンバーの伊藤麻美様でございます。

 また、メンバーの交代がございます。第一勧業信用組合の郡様にかわって、新田信行様が参加されます。

○新田様  
 新田でございます。よろしくお願いします。

○渡辺地域金融監理官  
 さらに、本日の議題に関連いたしまして、株式会社福岡銀行融資統括部長、橋詰洋様。

○橋詰様  
 橋詰でございます。よろしくお願いいたします。

○渡辺地域金融監理官  
 全国地方銀行協会業務部副部長、海老塚崇様にゲストとしてご参加いただいております。

○海老塚様  
 海老塚でございます。よろしくお願いします。

○渡辺地域金融監理官  
 以上です。

○岩原座長  
 どうもありがとうございます。

 それでは、議事に移らせていただきます。本日はまず、内村様及び五島様より、融資実務や引当等についてご意見をいただきたいと思います。あわせて、前回の会合で、川上様、関様、田中様及び吉野様からご指摘いただきました、信用リスクに関するデータ整備やAIの活用可能性に関連して、五島様より地方銀行協会のCRITSについて、馬場様より信用金庫業界のSDBについてご説明をいただきたいと思います。続いて、菅野様より、第1回会合で関様からご指摘いただきました潜在的な信用リスクに関する分析についてご説明いただき、その後、自由に討議を行っていただきたいと考えております。

 なお、信用組合業界の融資実務や引当等についてのご意見については、次回会合を予定しております。

 それでは、内村様、ご説明をよろしくお願いいたします。

○内村様  
 では、説明させていただきます。みずほ銀行与信企画部長の内村でございます。よろしくお願いいたします。お手元の資料をごらんいただきますと、融資に関する検査・監督実務についての研究会ということで、みずほ銀行の名前になっておりますが、全国銀行協会ということでご説明させていただきます。主要行の方々とはもう既に意見交換させていただいておりまして、その部分を組み入れた形でお話をさせていただきますが、名前はこういうふうになっておりますのでご容赦ください。それから、これまで議論している中で出ているトピックスと重なる部分が一部ございますが、そこの部分については極力割愛したいと思いますが、ご容赦いただければと思います。

 それでは、1ページおめくりいただきまして、下の項目、2となっているところです。「はじめに」というところと、項目立てでいきますと、現行の償却・引当に関して工夫している点、それから、今後工夫が必要になると考えられる点、それから、今後の検討にあたっての意見・要望、あと、参考資料①、②という形の構成になっております。

 それでは、「はじめに」のところの次のページでございます。3ページ目のところをおめくりいただければと思います。ここは言わずもがなのことを書いてございますが、金融機関が果たすべき役割ということで、一番重要なのは、積極的な金融仲介機能を発揮することというところがやはり本来的な業務であるという認識でございます。

 そのために、真ん中に必要なことと書いてございますが、まさしく健全性の確保と、それからあと、目きき力の向上というところで、ここが昨今特に問われているところだと認識しております。企業の成長性、将来の環境変化と、こういうところを捉えたリスク分析能力の向上、その結果としての適切な償却・引当の反映ということで、ここは過度に保守的なということでもなく、適切な引当ということだと認識しております。例えば弊行では、目きき力の向上というところを念頭に昨今いろいろ組織の再編もいたしまして、フロントと審査と、あと、リスク管理のところのコミュニケーションのパイプを特に太くして、より実質のある議論をして、地に足のついた形のアクションをとっていくというようなことを意識して動き始めているというようなことであります。

 あと、目きき力でいきますと、特に海外に展開していますと、最近ではキャッシュフローだけじゃなくて、やはりキャピタルマーケットと向き合っていかないとなかなか判断がきかないというような領域もふえておりますので、そういうところも意識した上での与信判断だとか引当だとか、こういうところを意識してやり始める必要があるというふうに感じているということで、今、道半ばでございますが、やっているということでございます。

 その中で、現行の償却・引当実務ということで書いております。金融検査マニュアルを参照しつつ、決算日現在の財務状態及び経営成績を正確に反映するというようなところでやっておりますということです。この辺の今後必要なところというところでややまだギャップがあるということで、ここをテクニカルに埋めていって、今後どうしていくかということを考えつつやっているというのが現状でございます。

 次のページをおめくりいただきますと、4ページ目になります。技術的な点も含めまして、現行の償却・引当に関して工夫している点ということでございます。基本的には金融検査マニュアルに基づきながら、どちらかというとちょっと保守的な部分になりますけれども、過去のリーマンショックの教訓等も踏まえつつ、いろいろな工夫をしているということをここに記載してございます。

 一番上のところ、算定期間数の拡大ということでございます。ここももともと金融検査マニュアルでは少なくとも3算定期間の平均となっているところでございますけれども、これ、2008年3月から大体10算定期間ということになりますけれども、延ばした形で平均をとっているというようなことです。

 あと、DCFの適用です。こちらも、要管理先、破綻懸念先に限らず、その他要注意先の大口先についても適用しているというような点。それから、1算定期間の長期化と書いていますが、一応3年ということですけれども、ここも要管理先、破綻懸念先に限らず、その他要注意先についても3年間の見積もりを実施しております。それから、直近調整の枠組みということで、昨今はなかなか当てはまらないところがございますが、倒産確率が急激に上昇したような局面におきましては、算定期間を短縮してということで、これは直近の急上昇の傾向がより色濃く反映されるというような仕組みを入れているということです。

 それから、特定ポートフォリオへの予防的な引当ということでございます。ここも信用リスク管理の枠組み全体を活用しながら、機動的な引当計上ということで、これは研究途上でございますけれども、弊行でも、クレジットリスクマップというようなことで、例えば特定の業種だとかトピックス、例えば新興国リスクだとか、それから、米中の貿易戦争みたいなものがありますが、こういうところをトピックスとして取り上げて、そういうことを引当にも反映できないかということで研究をしているというようなことでございます。

 こういうものに加えまして、下にご参考というふうに書いております。必ずしも全部引当ということだけじゃなくて、リスク管理、高度化への取組みということで記載をさせていただいております。ストレステストとか言われる昨今でございますけれども、機動的なポートフォリオ管理を実践するという局面で、不動産与信管理に関する取組み事例ということで、参考資料ということで記載させていただいております。

 そちらのほうに行っていただきますと、後ろになります。参考資料①、②のところをちょっと繰っていただければと思います。①のところで不動産市場のリスクマップということで記載をしております。現在、皆さんご認識のとおり、国内の不動産市場というのは高原状態が続いているということで、なかなか局面の変化を見通しづらいというところでございますが、こちらも過去のリーマンショック後の影響を分析した上で、先行期間1年の先行指標を選定して、月次でモニタリングをしているというような感じでございます。弊行も10個ほど指標をピックアップしまして、こういう形の動きに生かしているということで、上のところに、金融市場指標と、それから、マクロ経済、それからあと、不動産関連の指標ということで書いております。

 金融市場のところは、特にリクイディティだとか投資家のセンチメントというところが大きく影響してきますので、米国債等、それから、金融機関の貸し出し態度のDIみたいなのがありますけれども、こういうようなところも意識しております。それから、マクロ経済は当然でございますけれども、ここも経済全体の影響で、いろいろな受注の状況だとか求人の状況だとかというところ、あと、不動産関連のところでございます。これは直接的なところでございますけれども、賃貸業と売買・分譲業の特性に応じて、サブセグメントに応じた動きを極力早目にすくいとるという形でやっているということでございます。

 この辺も、指標を立ててみると、こういう高原状態なので、1年先行指標をとっても、転倒してもそれなりにすぐビビットにきいてこないというのでしばらく時間がたつということもありまして、ここに加えて、フロント審査、それから、リスク管理を含めてディスカッションしながら、今の現状どういうふうになっているのかとか、細かい状況、どういうふうに気分が動いているのかというようなところを聴取、分析しながら動いているということで、オオカミ少年にならないように、そういう工夫をしながらやっているということでございます。

 ②の次のページのところは、中でのレポーティングのフローということですので、月次でこういう形で経営レベルで報告をしつつ、途中の段階で指標のともりぐあいを見たりとか、あと、マーケットの変調、これは定性的なものも含めていろいろ出てきた場合には、そこをベースに協議をすべきかどうかというようなところも踏まえて、経営レベルで最終判断をしていると、こういう感じの枠組みを入れていくということです。やはりこのフローも有機的なものにしていくためには、やはり各レベルでのコミュニケーションが鍵ということで考えながらやっているというのがご参考事例ということでございます。

 戻っていただきまして、5ページ目のところでございます。今現状やっているということの次に来る、今後工夫が必要になると考えられる点ということで記載しております。これは金融検査マニュアル後の各金融機関の創意工夫というところがやっぱり必要になってくるというふうに理解をしておりますので、その中で考慮すべき点を幾つか下に挙げさせていただいております。

 1つは、信用リスク管理、これは内部格付制度との整合性ということでございます。今後、将来予測情報をフォワードルッキングな側面で入れていくという形に動いていく、これは海外なんかもそうですけれども、なっていくという前提の中で、格付に将来予測を反映して、かつ引当のところにも反映するということで、二重計上になる懸念がケースによってはあり得るということで、ここら辺のところは適切に反映していくようにという注意というか、意識が必要だということでございます。

 それから、監査の側面でございます。やはり将来を入れていくということで、フォワードルッキングなものを先進的に取り込んでいけばいくほど、その妥当性を評価するというのが困難になるというか、なかなか簡単には一筋縄ではいかないということが出てくると思っております。

 ここにつながりますけれども、次の点、ガバナンス・内部統制でございます。言い方を変えますと、結局、創意工夫するということは金融機関側の裁量が大きくなるということでございますので、やはり客観性とか合理性を確保するということが必要になってきます。そのためには、ガバナンスという意味で、社内体制とか文書化とか、そういう形で一定の枠組みの整備が必要になってくるということは当然のことだと思っております。

 それから、最後のところに、開示拡充に伴う二次的な影響と書いております。これ、例えば特定の地域とか業種という形で予防的な引当を計上したと。これを開示しますという場合に、開示がひとり歩きをしてしまって、例えば過剰な信用不安をあおることがないかどうかとかというところについては、これは開示の文言だとかやり方というのはやはり意識する必要があるかなと思っています。

 要するに、プロシクリカル性をあおらないというか増大しないという意味でそこのバランスは重要かなと思っています。昨今こういう状況の中で、例えばツイッターなんかで匿名のアナリストがこの会社はどうだとかというふうにネガティブな情報が出た瞬間に株価が落ちるとか、信用の情報につながるというようなことがありますので、そういうところもちょっと横目で見ながら、やはり開示のところについては意識をしていく必要があると思っております。

 全体通していいますと、ここは不確実性の高い将来というところで不確実性の予測が高まっていますので、そこを反映していく上でのバランスをどういうふうに保つかというところがやはり試されるということになると思っております。

 下にご参考として、国際的な会計基準への取組と書いております。今、海外では2つ大きく走っています。1つはIFRS9でございまして、これは今、欧州だとかアジアだとか、弊行におきましても現法だとか支店のところで既に今年度2018年度から現地での決算だとか報告に使われ始めておりますというのが1つです。それからもう一つは、アメリカにおきまして、ニューヨーク上場対応として、これは2020年度からということになりますが、CECLのモデルによる決算対応が起こってきますということで、この2つの流れがあります。日本においてもこういうことを意識しながら今いろいろ話をさせていただいているということでございます。

 IFRS9のところに関していきますと、特にここで債権単位のステージ判定とあります。PD、LGDの中で債務者単位で考えるというのが結構多かったりとかしますけれども、ますますやっぱり債権単位、それから、案件単位みたいなところ、ここがやはり重要になってくると。先日も資金使途の議論もありましたけれども、やはり案件、債権の特性・属性に応じた引当、見立てをどうするのかということは非常に重要になってくると思っております。

 米州のCECLのほうに関しましても、例えば弊行なんかでも、アメリカの中で今準備をいろいろ検討しておりますけれども、例えば企業調査機能みたいなものを取り込んで、将来のシナリオ分析のところに、乾いた定量のところだけじゃなくて、定性面みたいなことも生かしていけないかとか、そういうことを今、検討を始めたりとかいうようなことをやっております。

 いずれにせよここの部分については、内外、国内と海外、ここを両方とも意識しながら、適切かつシンプルなフレームワークづくりをしていくということだと思いますし、その他工夫すべきところでは、この間も話がありましたが、AIの活用とかというところについては、主要行はみんなそれなりのレベルで検討しているということでございます。ここもデータをどうやって捕捉するかとか、AIをいかに、特定性の強い大口の顧客のところとかにどういうふうに適用するのかというのはなかなか難しいところもございますが、今走り始めているところということでございます。この辺が今、今後工夫が必要になると考えられており、かつ今走り始めていると、こういう感じのポイントでございます。

 最後に、次のページ、6ページ目になります。今後の検討にあたっての意見・要望ということで記載させていただいております。まず1番目のポイントでございますが、金融仲介機能を十分に発揮していくという、冒頭に申し上げましたこの観点から、現行の枠組みを含めて各金融機関の独自性を認めていただきたいというのがまず1つでございます。

 各金融機関の独自性という意味では、例えば、海外におきましても、リーマンショックの後の教訓として、例えばLBOみたいな案件でいきますと、今マーケットで起こっていること、その後に起こったことというのは、例えば当時は大口の案件、パブリック・ツー・プライベートみたいな案件が7つ8つのプライベートエクイティファンドで買収されていたみたいなところというのは最近はもう少し少なくなってきているとか、あと、引き受けに関しては、銀行が昔は一、二行で引き受けたような大型の引き受けがあったのが、最近はそこは数がふえて、三、四行、五、六行みたいなところで、それはできる限りで何とかマーケット参加者というか金融機関も工夫はしているというようなことだと思うんです。これで十分だというふうに思いませんけれども、今後も各金融機関の独自性、創意工夫が出てくると思いますので、ここのところはさらにいろいろなものが出てくるように、国内においてもいろいろな工夫が出てくるように、独自性を発揮するような素地を許容していただければと思っております。

 一方で、先ほど裁量が大きくなると申し上げましたけれども、こういうところを背景にしますと、比較可能、横で比較するというところがなかなか難しくなってくるところが出てくると思っています。ということですので、これは金融庁、それから、日本公認会計士協会等含めまして、何らかのガイダンスとかQ&A等が公表されるとありがたいというふうに思うところでございます。

 3番目のところでございますけれども、先ほど申し上げた創意工夫が生かされるように、検査・監督という側面でいきますと、最低限の水準確保を目的とするという観点で臨んでいただけるとこれもありがたいかなということでございます。

 最後のポイントでございますが、今、ASBJが取り組んでいる金融商品に関する会計基準の開発プロジェクト、こういうところと平仄を合わせて検討を進めていただければということでございます。

 こういうところをまとめますと、やはり途中でも申し上げましたように、バランスが非常に重要だと思っています。金融仲介機能発揮のための独自性とか、創意工夫だとか、適切さというところと、あと、当然ながら、健全なリスク管理水準を保つというところが重要になります。というところで、ここら辺のバランスをいかにうまくとっていくかということだと思っております。

 先ほどリーマンショックの話をよく出していますけれども、当時も音楽が鳴っている間は踊りをやめられないというようなことがよく言われました。ということで、民間金融機関の自律性ということは当然ながら発揮していくという話ですが、ただ、やはりマーケットがいろいろ動き始めると、それだけではなかなか抗し得ないというようなトレンドが出てくることも確かです。不確実性が非常に高まっている環境ということもございますし、それからあと、例えば金融機関といっても、銀行だけじゃなくて、今だと、例えばこれらのファンド系も含めてノンバンクだとか、あと、新業態が入ってきて、競争環境はますます変わってくるし、激しくなってくると思っています。

 そういう中で、やはりぶれないというか、振り回されないというところを保って自律性を保つというためには、みずからの意識に加えて、やはり当局をはじめとして関係者の方々との協働が非常に重要になると思っていますので、今申し上げたようなところでバランス、それから、コミュニケーションが非常に重要だと思いますので、この辺のところを念頭に置いて今後の展開にきちんと対応していきたいと、こういうふうに思っております。

 私からは以上でございます。

○岩原座長  
 どうもありがとうございました。

 続きまして、五島様、よろしくお願いいたします。

○五島様  
 福岡銀行の五島でございます。本日はプレゼンの機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず今日の資料についてですが、メインテーブルの方には、本編に加えまして、参考資料を配付しておりますので、併せて話をさせていただきたいと存じます。

 まず弊行の融資運営を中心に、信用リスク管理の高度化に向けた取組み、あるいは適切な償却・引当に向けた見直しと、それから、地銀協で14年間蓄積してきたビッグデータ、CRITSと呼んでいますが、その利活用について、できるだけ実務的な観点からお話をさせていただきたいと思います。

 それでは、本編の表紙右側をまずご覧ください。これはふくおかフィナンシャルグループの長期ビジョンを記載しています。私どもは地域金融機関として、地域経済発展への貢献と、ふくおかフィナンシャルグループの企業価値の向上の好循環サイクルの実現を基本方針として掲げながら、ブランドスローガンである「あなたのいちばんに。」を全行員の志として共有しつつ、業務運営に当たっています。資料には書いてありませんが、このところ、人口減少、異業種の参入、あるいはデジタル化の進展などが地域金融機関の脅威としてメディアにも取り上げられていますが、私たちはこれを健全な危機感として捉えまして、地域発展に貢献すべくビジネスの構造改革に取り組んでいるところです。

 それでは、説明に入らせていただきます。本編1ページをご覧ください。ここでは、現在の弊行の融資運営の基盤となっている事業再生の取組みから現在までの流れをご説明します。資料の中段、左から右に向かって、不良債権問題との訣別、事業再生、そして、その後の再生ノウハウ活用等による取組み、そして、下段の現在の取組みと、時系列的にこれまでの流れをまとめました。

 まず大きな転換期となりましたのは、2001年3月期、1,752億円という巨額の引当処理です。具体的には、債務者区分の厳正化や担保評価額の、あるいは掛け目の見直しを実施したわけですが、適切な引当金を積むことによって、その後の事業再生の積極的な取組みへとつながりました。また、事業再生を通じて蓄積したノウハウを活用することで、現在のライフステージに応じたソリューション提供など、さまざまな顧客向け支援が可能となりました。

 事業再生の事例を2つ右下に記載しています。事例1は、地元を代表する百貨店の再生に当たり、スポンサー企業を招聘するとともに、私的整理ガイドラインを全国で初めて適用し、債権放棄やDESを実施した事例です。これによって地元老舗百貨店のブランド、地元の雇用、一般債権者を守ることができました。

 事例2は、地元の温泉旅館のファンド活用による再生事例です。弊行が地元企業とともに地域再生ファンドを組成し、そのファンドがリニューアル資金とともに旅館のマネジメントにも参加するハンズオン型支援を実施しました。最終的には福岡銀行がリファイナンスして再生を果たし、現在は観光客の誘致によって地方創生に資する取組みとなりました。なお、この事例2は、経営統合をした熊本銀行、親和銀行の不良債権を会社分割によって再生ノウハウのある福岡銀行が承継することで実現したものです。

 それでは、次のページです。1ページでご説明を差し上げたとおり、2001年の大幅な引当処理によりまして、さまざまな顧客向け支援が可能となり、私たち地域金融機関としての使命である地域への金融仲介機能の発揮につながっています。ここでは、地域への金融仲介機能の発揮を支えるリスク管理、特にそのベースとなる償却・引当の考え方についてご説明します。

 右表にその基本スタンスを記載しております。2つありまして、1つ目が、融資先の業績悪化による格下げ、破綻時の追加ロスを抑制すること、2つ目が、大口先は債務者区分を適切に見直した上で、事業再生も見据えた引当を実施するという2点です。なお、1ページでご説明したような事業再生は、事業再生も見据えた適切な引当を実施していたからこそ、追加ロスも懸念することなく、顧客に最適な支援プランを提供することができたと考えています。

 具体的な償却・引当の精緻化については、その下に4つ記載しております。①デフォルト率は2008年4月以降の長期間の実績を使用。②大口低格付先へのDCF引当は、足元では80先程度適用しています。③要注意先の引当には3年間のデフォルト率を使用。④破綻懸念先の予想損失率は、足元の実績値と円滑化法施行前の実績値との高いほうを採用する。これらの対応につきましては、監査法人との十分なコミュニケーションにより、都度協議をしながら進めています。その結果、下のグラフのとおり、低格付先の非保全引当率は、破綻懸念先で約80%、要注意先で約9%となっています。

 なお、メインテーブルの方々にお配りしました参考資料につきましては、具体的な引当方法について、まず1ページに、債務者区分別の引当方法を記載しております。それから、2ページには、これまで私どもが引当の精緻化に向けて見直しを図ってきたその経緯について、具体的にどういう理由をもってやってきたかというのも一部含めながら記載をしております。後ほどご覧いただきたいと思います。

 それでは、本編に戻っていただきまして、3ページをご覧ください。こちらは、弊行の現在及び今後の取組みについてまとめたものです。これまでご説明をしてまいりましたが、2001年の大幅な引当処理を起点に不良債権処理を加速し、その後、そのノウハウの蓄積から派生したさまざまな支援オプションを地域、お客様に提供してきました。表の一番上に記載してあります事業性評価、ソリューション営業、総合営業体制以下、ご覧のとおり、地域やお客様のニーズに応えるべく、さまざまな取組みを行っているところです。

 その中で、表の2番目にある口座情報の活用についてご説明したいと思います。右側に概要を記載していますが、預金口座情報を活用して、お客様の商流を把握する動態モニタリングシステムを昨年稼働させています。さらに、この情報をもとに、融資の可否や、その条件を決定するファストパスという商品の取り扱いを開始し、実行額、残高も積み上がってきています。この商品は、クラウド上にある会計情報や他行の口座情報も活用するなど、財務情報のみにとらわれないサービスです。今後この商品性の進化とデータ蓄積により、フォワードルッキングなデータ活用による顧客層の拡大、あるいは新しい与信管理モデル構築も検討できるのではないかと考えています。

 それから、表の下から2つ目、顧客の声を聞く仕組みというところがあります。弊行では、半期ごとに顧客満足度アンケートを実施しています。括弧内に記載していますけれども、事業性評価を実施しているお客様の満足度と、それ以外のお客様の満足度を比較しますと、事業性評価を実施したお客様のほうが10点満点で1.4ポイント高い評価をいただいています。これはやはり十分な顧客理解とニーズの把握、それから、ファイナンスだけにとらわれない本業支援に向けた提案が評価されているものと考えています。今後ともお客様の真のニーズを捉えながら、さまざまなサポートを実施していまいります。

 4ページをご覧ください。こちらは地銀協会員銀行の償却・引当の主な見直し事例です。その中から主なものをご紹介します。左側の四角囲みの中ですが、2ポツ目、貸出先や与信の特性を考慮し、事業資金先、個人ローン先、信用保証協会のみ先にグルーピングし、貸倒実績率を算定する。4ポツ目、事業再生支援の必要性、個社業績、毀損可能性に応じて個別に追加引当を実施する。また、最後のポツにありますが、東日本震災等罹災地域に個別の引当率を適用するなど、さまざまな工夫が見られます。弊行のグループ行である熊本銀行でも、熊本地震の罹災時は臨時的に格付を見直し、引当の積み増しを実施しました。また、その右側に記載しておりますが、マニュアル廃止後の創意工夫としては、算定期間や引当期間の柔軟な設定、あるいはグルーピングの設定などが意見として出されています。

 それではここで引き続き、地銀協の事務局から、地銀界のリスク管理の取組みであるCRITSの利活用についてご説明をさせていただきます。

○海老塚様  
 地銀協の海老塚でございます。よろしくお願いいたします。地銀協のCRITSにつきましては、2004年の発足当初から、金融庁様におかれましては、さまざまなご紹介の機会を与えていただき、本日もこういった場で近況をお伝えできることを大変光栄に存じております。

 私ども地銀協は、会員銀行の信用リスク管理・高度化を支援するため、信用リスク情報統合サービス、Credit Risk Information Total Service、略してCRITSを2004年より運営しております。CRITSとは何かということですが、3つの機能があります。①財務・信用情報データベース、②財務スコアリングモデル、そして、③信用VaR(バリューアットリスク)モデル、を統合的なシステムプラットフォームの上で一括で提供しているというものです。

 このうち、①の財務・信用情報データベースにつきましては14年間にわたり運用してきていますので、リーマンショックをはじめとする特徴的な経済・社会動向をカバーしたビッグデータへと成長を遂げております。具体的には次のとおり4つの特徴を挙げさせていただきます。

 まず1つは、今申し上げたビッグデータということです。会員銀行64行が14年間にわたり、四半期ごとに着実にデータ登録を実施してきています。地銀のほぼ全ての事業性貸出先を網羅し、延べ約5,000万先の債務者、延べ1,000万件の決算書、延べ290万先超のデフォルトデータ、こういったものが蓄積されており、個別行ではなかなか集められない母集団の不足を補うといったことができるものと考えております。

 2点目は豊富な収集データ項目ということで、業種、地域、規模、財務、信用度等の基本的な項目、担保・保証、貸出金利、残存期間などの取引関連、さらには、メイン先区分、創業年、代表者の生まれた年などの定性的データも試行的に収集しております。

 3点目は高精度・客観性・比較可能性ということです。統一されたデータ登録基準があり、データ母集団も地銀64行ということで一貫しております。全国の地銀ですので、日本全国をほぼ偏りなくカバーしております。地銀協事務局では厳格な精度管理、データのクレンジング的なことをやらせていただいております。最後に、全行データと自行データの比較が可能ということで、後ほど出てきていますベンチマーク、このあたりにも効果的に使えるのではないかと思っています。

 最後に、時系列データの充実です。繰り返しになりますが、リーマンショック、金融円滑化法、東日本大震災、アベノミクス、こういった特徴的な経済・社会動向をこの14年でカバーしております。最長で累積10年のデフォルト率、格付遷移確率の集計が可能です。

 次のページをご覧ください。このCRITSですが、もともとはバーゼルⅡを念頭に、信用リスク定量化を主眼として開発・導入したものでしたが、近年、会員銀行において、自行のビジネスモデルや融資ポートフォリオの特性等を勘案した貸出業務運営、リスクアペタイトフレームワーク、事業性評価、ベンチマーク、こういった新たなキーワード、コンセプトが出てきております。こういったものに取り組むに当たって、財務信用情報データベース機能を中心にCRITSの活用可能性はさらに高まりつつあるのではないかと思っております。

 こうした状況を踏まえ、従来のようなEL、UL、VaR、そういったリスク量の算出に加えて、最近では各行の信用リスク管理や貸出業務運営の高度化を支援する観点から、以下のようなデータ分析に新たな試みとして取り組んでおります。「信用リスクデータベース2.0」との想いで新たな活用可能性を模索しております。

 3つほど代表的なものを挙げさせていただいております。1つ目は、今までになかったさまざまな切り口からのデータ分析還元です。具体的には、点線の枠囲みにありますように、県内・県外取引別の分析、単独行・複数行取引別の分析、メイン先・非メイン先のデフォルト率の算出などです。右に小さなグラフは、県内・県外別の実績デフォルト率の違いを表したもので、普段は県外先のほうがデフォルト率は低いのですが、景気後退時、グラフ中央左のリーマン期あたりは県内先を逆転するということで、デフォルト相関が高まっている。このような動きが見られるということです。また、担保・保証の種類・保全割合と企業財務やデフォルト率との関係、財務スコアと債務者区分の相関分析、このようなこともやっています。

 2つ目はベンチマーキングのサポートです。金融庁様の金融仲介機能のベンチマークなども参考にしながら、客観的・比較可能なデータによる会員各行の立ち位置情報を提供するものです。例えば、与信集中度指標の算出、金融仲介機能のベンチマークの一部項目の試算、さらに、経済産業省様のロカベンの試算などもやっています。例えば、資料上のグラフのように与信残高の業種別構成比を示すことで全行と自行のデータで比較できるといったようなイメージです。

 3点目は、CRITSの長期時系列データを活用した中長期的将来予測の共同研究です。CRITSに蓄積されている時系列の実績デフォルト率と金融経済指標の相関関係を分析し、その結果に基づき、マクロ経済シナリオによるストレステストを実際にやっています。右のグラフにありますように、ベースシナリオとストレスシナリオをそれぞれ想定し、例えばGDPの変動に応じた引当額を試算するといったイメージです。また、破綻懸念先の平均滞留年数や長期累積デフォルト率といった長期データを使わないとできない分析などもやらせていただいております。

 これらの分析の事例は、メンバー様限りということで恐縮ですが、参考資料のほうにもう少し細かく紹介させていただいております。最近取り組んだ面白い分析を他にもいくつか紹介させていただきます。

 左上は、取引先企業の経営改善状況の比較ということで、まさにソリューション営業や本業支援、こういったものの効果がどれくらい出ているのかということで、要注意先のランクアップ割合や、主要な財務指標の変化状況等のベンチマーク情報を提供しています。

 次はメイン先/非メイン先の信用度比較です。メインと非メイン、よりおつき合いしているところとそうではないところで、信用度の違いや債務者区分、主要な財務指標等の改善度合いを比較しています。

 続きまして、中小企業向け担保・保証の分析です。これは金融庁様の金融仲介機能のベンチマークでも取り上げられていた項目です。協会保証つき融資や、無担保(無保全)の融資、根抵当権非設定融資等の割合を算出するに止まらず、債務者属性別の信用度、つまりデフォルト率や財務スコアと関連づけて分析しております。

 その下は、事業性評価の進捗に関する仮説検証です。事業性評価が進展すると、例えば財務スコアと債務者区分の相関が低下するのではないか、あるいは低格付先や低保全先への貸出が増加するのではないかといった仮説を実際にデータを見て検証しています。

 右上は、与信集中に関するベンチマークです。この研究会でも与信集中の話は何度か出ていると思いますが、貸出残高の業種別分布に加えて、個社集中に関する理解・相互比較が可能なベンチマークとして、日銀様のレポートでも紹介されていた大口与信残高比率や、ジニ係数、HHIなど、高度なVaRモデルだけではなく、こういった直感的にわかりやすい数字で自行の立ち位置情報を提供する取組みです。

 次は長期累積デフォルト率の分析です。先ほどありましたように、CRITSは最長10年間の累積デフォルト率が観測できます。債務者の属性、セクターや観測開始時期(ビンテージ)等による傾向の違いや、統計モデルとのフィッティング等を検証しています。IFRS等でも債権の全残存期間を対象とした引当という考え方がありますので、そういったものにも活用可能なのではないかと考えております。

 その次は、破綻懸念先の平均滞留年数分析です。こちらも金融庁様のベンチマークを参考にやらせていただいた分析です。実際、滞留年数がどうなっているかということに加えて、長期滞留先と短期滞留先とで財務にどのような違いがあるのか、そういった分析をやっております。

 最後に、人工知能の活用です。こちらは緒についたばかりではありますが、財務スコアリングモデルのパフォーマンス改善をAIを使って試行するといった取り組みになります。

 本編に戻らせていただきまして、7ページの今後の取組みです。1つ目の●にあるとおり、今後は、合理的に利用可能な情報を活用しつつ、金融機関内外のステークホルダーと深度ある対話を行っていく、これが求められていると認識しております。このため、CRITSでは、主要統計データを自在に集計・グラフ化するツール「CRITS Discover」を提供しています。これは、エクセルベースの簡易BIツールのようなものとご理解ください。さらに、地銀協の例会、会員銀行の代表者が集う会合でも、定期的にCRITSの主要データの傾向をビジュアルなグラフで提供するなど、データの見える化あるいは対話のための情報提供、こういったものに取り組んでおります。

 また、今後、地方銀行における信用リスク管理や償却・引当の高度化の観点から、CRITSのさらなる活用を目指すということで、簡単な図を描いてみました。横軸に、実務寄りか経営寄りかをとり、縦軸に、生データ寄りなのか、分析・知見寄りなのかをとります。例えば左下、実務寄り・データ寄りのエリアでは、リーガル面に配慮した情報活用範囲の拡大、新規データ収集、外部データソースとの連携等が課題です。こういったものに加えまして、今後は右上のエリアもより重要になっていくということで、収益面を含めたより経営目線のディスカッションの提案であるとか、データ利用環境の拡大、ビジュアルなプレゼンテーション、AIの活用など、こういったものにさまざまな可能性を考えて取り組んでいるということです。

○五島様  
 最後に、地銀界の意見、そして、弊行の意見をご説明いたします。

 まず9ページ、10ページは金融検査マニュアル廃止について会員行の意見をまとめています。(1)全般についての意見は、金融検査マニュアル廃止について、概ね異論なしとしておりますが、一部に、統一的な目線がなくなることに対する懸念の声が上がっています。

 (2)自己査定、償却・引当についての意見としては、1ポツ目は、マニュアル廃止後も会計基準の透明性・一貫性の確保等の観点から、一定目線を設けて、金融機関が創意工夫することが望ましいという意見。2ポツ目は、マニュアルのもとでも顧客実態や再生可能性を踏まえて支援に取り組んできた銀行もある一方で、マニュアルが足かせになるケースもあったという意見。3ポツ目は、よって、当局との対話、情報・データの共有・提供を期待する意見。4ポツ目は、検査官の目線統一を求める意見。そして、5ポツ目、6ポツ目は、貸出条件緩和債権判定の簡素化や見直し、金融再生法開示債権と銀行法リスク管理債権の統合を求める意見があります。

 最後、11ページをご覧ください。これまでの研究会での議論及び本日のプレゼン内容を踏まえまして、私どもの意見を述べさせていただきます。マニュアル廃止について、概ね異論はないものの、今後、金融機関のリスク管理の高度化に向けては、金融機関の創意工夫を第一義としつつも、関係者間である程度の一定目線も必要という意見です。そのためには、その下に記載したポンチ絵にありますように、金融機関が抱える課題を、金融機関、金融庁、それから、監査法人の3者が共有すること、そして、ポンチ絵の左にありますようなさまざまなデータを活用しながら、そのデータに基づく客観的かつ建設的な議論を続けていくことにより、償却・引当がさらに精緻化され、金融機関のリスク管理の高度化、ひいては、金融仲介機能のさらなる発揮につながるものと考えます。この研究会においてさまざまな意見が出されておりますが、今後できるだけ実務的な側面での議論が深まることを期待しております。

○岩原座長  
 どうもありがとうございました。

 続きまして、馬場様、ご説明お願いいたします。

○馬場様  
 お手元に、「信用金庫業界の中小企業信用リスクデータベース(SDB)について」という1枚紙があると思います。そちらでご説明をいたします。

 信用金庫業界におきましても、SDB、信金データベースという、信用金庫の取引先中小企業の財務データや属性情報を集約した信金業界独自のデータベースを整備しております。これは業界の中央金融機関である信金中央金庫(信金中金)が運営しております。資料の左上の箱のデータ数のところにありますとおり、直近の平成30年現在では、法人78万先、先般、私は数十万件と申し上げたところですが、それに加えてさらには、個人事業主も65万先、合計で、正味の数字になりますが、約143万先に上るデータを集積しております。

 資料左下の運営の仕組みとありますが、SDBは、参加信用金庫が匿名化した取引先企業等の財務データ、属性情報、債務者区分等のデータを提供し、それを信金中金においてデータを分析した上で、デフォルト確率に基づくスコアリングモデルや統計情報などの成果物を信金中金経由で参加信用金庫に還元するというのが大枠の仕組みであります。

 スコアリングモデルにつきましては、資料右上に簡単にまとめてあります。SDBにおけるスコアリングモデルとは、企業から提供された財務データから1年後にデフォルトする予想確率を算定する計算式のことであります。デフォルトの定義は、破綻懸念先以下にランクダウンすることであり、統計的手法を用いて各種の経営指標と1年後のデフォルトとの関係を定式化したものであります。また、デフォルト確率のレンジを10に区分し、おのおのにS1からS10のSDB階級を付すことで、いちいち倒産確率を確認せずとも、符号によってリスクの程度を各金庫がイメージできるようになっております。

 このSDBスコアリングモデルは、表面財務データを用いて、すなわち公表財務データを用いて、予想デフォルト確率を算出しています。その点、表面財務で統計処理を行うSDBと、各信用金庫が目利き力により、あるいは目利き力の醸成を目的として、個社の実情を踏まえた実態財務、実態評価を行い、それぞれのよさを生かして相互補完している関係と言えるかと思います。私の実務経験上でも、SDBのスコアを相互補完的にフィルターとして有効活用しておりました。

 資料右下には、信用金庫における活用事例を幾つか記載しております。一番上の信用格付の補完・調整は、今申し上げた前回のプレゼンで少しご説明した活用例ですが、実態財務に基づく内部格付や自己査定を第一義としつつも、それらの目線に大きなずれがないかをSDB階級で確認あるいは補正するといった使い方をしています。また、このほかに融資商品の対象先の抽出に利用する。例えば、S1からS3には担保・保証の非常に緩い商品を出すとか、そういったイメージです。あるいは、貸出金利の算出上の信用コスト率としてこれを利用する。あるいは、一番下の融資推進リストの作成にあるとおり、SDB階級の経年変化から、推進先の抽出や、逆に管理先ターゲットを抽出する、あるいは信用VaRへの利活用をするといった信用金庫もあるようです。

 また、信金中金において、「デジタルイノベーション推進室」を設けて、フィンテック等の昨今の先進的手法への対応強化を図っているところであります。

 簡単ですが、私からは以上であります。

○岩原座長  
 どうもありがとうございました。

 それでは、菅野様、ご説明をお願いいたします。

○菅野様  
 日本銀行の金融機構局の菅野でございます。本日このようにプレゼンテーションの機会を頂戴し、感謝申し上げます。早速ですが、資料に沿いましてご説明させていただきます。

 1ページをごらんください。日本銀行は、金融政策に加え、いわゆるプルーデンス政策として、考査・モニタリングなどを通じて金融機関の皆様と日々対話を続けています。私からは、初回会合で関メンバーからご提起されました、潜在的な信用コストの大きさはどれほど蓄積されているのか、そういった問題意識を踏まえまして、地域金融機関を中心に、信用リスク管理や貸倒引当の状況等について、ミクロ・マクロの両面からご説明申し上げます。

 まず第1部では、ミクロ面からの調査結果をご紹介します。2ページに掲げました資料にありますとおり、私どもでは、取引先の地域銀行、信用金庫に対し、2014年度決算をベースに貸倒引当の取り扱いをアンケート調査しています。また、翌15年度決算についてそのフォローアップを行っています。やや古目のデータにはなりますが、これらの結果をごらんに入れます。

 3ページをごらんください。初めに、事実関係の確認です。近年、地域金融機関の信用コストや貸倒引当金は極めて低水準で推移しています。図表1にありますとおり、例えば左上、地域銀行の信用コスト率は、90年度から2004年度に平均92ベーシスであったのが、05年度から15年度の平均は22ベーシスに低下しています。17年度決算を見ますと、地域銀行では4.3ベーシス、信用金庫では3.1ベーシスまで低下しています。私どもではこれを見て、貸倒引当金の算定に当たっては、景気循環の影響をならして見ていくとともに、過去の実績に反映されない先行きの変化を適切に織り込んでいくことが望ましい、そういった考えをお示ししております。

 では、実際のアンケート結果を見てみます。4ページをごらんください。こうした状況にありまして、地域金融機関の皆様の間でも、将来に対する備えとして、金融検査マニュアルに例示された手法以外の引当方法を採用するなど、引当を工夫する先が増加しています。図表2にありますとおり、15年度では地域銀行で96%、信用金庫の81%が何らかの見直しを行っています。残りの先が見直しを行っていない背景としては、図表3にありますように、具体的な方法が見出せない、監査法人向けなど対外的な説明が困難との声が聞かれました。

 5ページをごらんください。見直しの内容を見ますと、景気循環の影響をならす効果が期待できる算定期間数の拡大が目立ちます。また、地域銀行では、区分の細分化やDCF法の導入・拡充などが多い一方、信用金庫では、マンパワー制約などもあって、引当金にフロアを設定する対応が多く見られています。

 次に、見直しの背景を見ますと、6ページにございますとおり、算定期間数の拡大に対応する形で、現行の方法ではクレジットサイクルを捕捉できない、将来の景気悪化時に貸倒引当金の十分性に懸念があるためという回答が多く見られました。他方、図表5の赤線囲みにありますとおり、融資方針の変化など過去の実績には反映されないリスクやコストの発生可能性を織り込みたい、そういった理由での見直しは2割台にとどまっています。これを受けて私どもでは、貸倒引当金の算定に当たっては、足元のポートフォリオの特性やリスクテイク姿勢の変化が先行きのリスクやコストに及ぼし得る影響を適切に織り込んでいくことが重要とのメッセージを発したところでございます。

 おめくりいただいて、7ページ、8ページは、具体的な金融機関の皆様の工夫事例をまとめたものでございます。これまでに事務局や金融機関の方々からご紹介されたものとほぼ同様のものが挙げられてございます。

 9ページをごらんください。9ページでは、日本銀行の考査についてご紹介しています。最近の考査では、信用リスク管理に関しましては、ミドルリスク企業向け貸し出しなどを重点的に点検しており、その中で与信期間や事業特性などを踏まえ、事業の将来性を適切に見きわめているか、信用コストの先行き変化を念頭に置いているか、そういった点を考査先に確認しているところでございます。

 続きまして、第2部として、本年4月に公表しました「金融システムレポート」を題材に、マクロ面から金融機関の信用リスク管理の現状についてご紹介します。

 初めに、静態的な分析です。12ページをごらんください。金融機関の貸出残高は、このところ、前年比2%程度のペースで増加を続けております。そうしたもとで、金融機関の信用リスク量は低位に抑制されています。

 13ページをごらんください。景気が緩やかな拡大を続け、企業財務が改善していることに伴いまして、図表8下段にございます薄いブルーの正常先比率が高まるなど、債務者区分構成が大幅に改善しています。このため、地域金融機関の信用コスト率は図表9のとおり、0%近傍まで低下をしています。

 次に、ミドルリスク企業向け貸し出しに関する潜在的なリスクを見てまいります。15ページをごらんください。企業収益は史上最高水準まで改善し、金利の低下にも支えられて、企業の支払い能力が向上しています。このため、デフォルト率は大幅に低下しています。もっとも、図表11、右上の図にありますとおり、中小企業のROAは、①から②ということで平均値が上昇する一方で、マイナス領域に広がるテールの裾野は相応に厚く長いままでございます。こうした企業財務のばらつきを踏まえますと、信用リスクテイクに伴う脆弱性を点検するには、より粒度の高いミクロデータを用いた分析が必要となりますので、以下これを見てまいります。

 16ページをごらんください。詳細は割愛させていただきますけれども、まずROAが低いあるいはレバレッジ比率が高いなど財務指標から見て信用リスクが高い、なおかつそれに対する貸付利率が低い貸出先企業を、ここでは銀行にとって採算が低い低採算先として抽出し、これを分析してまいります。なお、財務指標の高低に応じて、低採算先を上位グループと下位グループに分けて見てまいります。

 17ページをごらんください。このところこうした低採算先、中小企業全体に占める低採算先の比率、低採算先比率と申しますけれども、こちらが上昇しております。また、それ以上のペースで低採算先貸し出しが中小企業向け貸し出し全体に占める比率、低採算先貸出比率が増加しています。特に図表16の白抜きの上位グループのウェイトが高まっているのがわかります。

 18ページをごらんください。図表17の左の図にございますとおり、企業のデフォルト率は、その財務状態や外部環境の変化に応じて非線形的に変動するものと考えられます。すなわち、マクロ経済に負のショックが発生した際、S字カーブの下部に位置する、ここで言う通常先、低採算先以外の先は、デフォルト率がさほど上昇しません。一方で、傾斜が急なところに位置する低採算先は、デフォルト率が急上昇する可能性があるものと考えられます。

 こういったメカニズムのもとで、右の図にございますように、通常先のデフォルト率が仮に1%上昇する場合、低採算先の下位グループでは1.7から1.8倍程度上昇するということになります。このように、低採算先の信用リスクの特性を見ますと、景気悪化や金利上昇など負のショックが発生した場合、多くの低採算先のランクダウンが発生し、金融機関の信用コストが急激に上昇する可能性も否定できません。

 19ページをごらんください。低採算先のうち、ミドルリスク企業を含む上位グループの多くは、図表18の左上の図の薄いブルーで示しました正常先下位に分類されているものと見られます。左下の図にあるとおり、この正常先下位のウェイトがここ数年高まっています。

 図表18の右の図、真ん中の図でございますが、こちらをごらんいただきますと、現在、正常先債権の引当率は、リーマンショック前を下回る既往最低水準にございます。こうした中、仮に正常先の引当率がリーマンショック時並みに上昇した場合には、図表19にございますとおり、正常先債権の追加引当のみを想定しても、コア業務純益の50%以上に相当する信用コストが発生する地域金融機関が相応にあると試算されます。縦棒の一番右端でございます。金融機関は、リーマンショックのようなテールイベントの発生に対して、資本と流動性の両面で相応の体制を備えており、全体として我が国の金融システムは安定性を維持していると考えています。ただ、今申し上げたように、ミドルリスク企業向け貸し出しなどに関する金融機関のリスク対応力の強化は1つの重要な課題だと考えております。

 最後に、別の観点からの分析として、20ページをごらんください。図表21が示すとおり、ミドルリスク企業向けを含めまして貸出期間の長期化が進んでいます。第1部のアンケート結果でお示ししたとおり、地域金融機関は貸倒引当金の算定に当たり、算定期間数の拡大に取り組まれておられます。しかしながら、図表20にありますように、大手行とは異なり、地域金融機関の大半は依然として3年から4年の算定期間にとどまり、リーマンショック後の貸し倒れが多かった時期が対象から外れています。貸出期間の長期化が進んでいるだけに、足元の良好なマクロ経済環境に過度に引きずられることのないよう、会計原則を踏まえつつ、中長期的な視点から循環的な影響を十分に踏まえ、貸出債権の引当を行う重要性が高まっているように思われます。

 私からのプレゼンテーションのまとめとして22ページをごらんください。金融機関の信用コストは、長期にわたる景気の改善と低金利に支えられた貸倒実績率の低下を反映して、現状、歴史的な低水準にございます。しかし、引当は将来に備えて行うものであり、現状の方法で算定される貸倒引当金は、足元の良好なマクロ経済環境に過度に引きずられているようにもうかがわれます。

 こうした問題意識も踏まえますと、引当に際し、発生の可能性が高い将来の損失額を合理的に適正に見積もる上では、第1に、景気循環の影響をならして見ていくとともに、第2に、過去の実績に反映されていない先行きの変化を適切に織り込んでいくことが望ましいと考えられます。

 具体的には、7、8ページの参考1の工夫事例とも重なりますが、23ページにありますように、第1の観点からは、信用コスト率の長期的な推移あるいは平均値などを踏まえた対応として、景気循環の1期間以上の長い期間、つまり、through the cycleの算定期間とするとか、フロアを設定することなどが考えられるかもしれません。第2の観点からは、融資方針の変化など過去の貸し倒れ実績には反映されていない新たなリスクへの対応として、リスクに応じた引当区分の細分化、算定期間・引当期間の長期化などが考えられます。また、マクロ経済の見通し、産業・地域特性、債務者の属性などを踏まえたきめ細かな対応として、引当区分の細分化、DCF法・キャッシュフロー控除法などの適用拡大なども考えられるかと思います。

 引当区分の細分化は、サンプル数を適切に確保しながら、リスク特性が他と異なるものを抜き出して別の区分とし、それぞれに適切な引当率を適用していくことで、将来損失のより合理的な見積もりにつながることが期待されます。

個々の金融機関がおのおのの実情に応じ、こうした創意工夫を行うこと、また、それを規制・監督や会計ルール、監査がサポートしていくことが大切だと思われます。日本銀行としましても、引き続き考査・モニタリングにおける対話を通じまして、金融機関の前向きな取組みを支援・後押ししてまいりたいと考えております。

 私からは以上です。

○岩原座長  
 どうもありがとうございました。

 それでは、皆様からご質問、ご意見を承る自由討議の時間とさせていただきたく存じます。それでは、どなたからでも結構でございますので、よろしくご発言のほどお願いいたします。

 関さん、どうぞ。

○関メンバー  
 日銀を中心に大変貴重なプレゼンテーションをいただきまして、どうもありがとうございました。特に日銀の皆さんの発言を聞いて、大きく分けて3つぐらいのインプリケーションがあるのではないかと思います。

 1つは、今の金融の実態をベースに置くと、やはりマクロ・プルーデンス上のプロシクリカリティの問題が潜在的には非常に重要な問題としてあるのではないかという話です。将来の景気後退のようなものをある程度想定すると、やはりそこで引当不足の問題が大きく顕在化してくるという懸念なしとしないというのが1つの重要なご指摘だったと思います。したがって、金融システムの安定という観点から、やはり問題は、特に引当が非常に少ないというファクトです。各金融機関の方は随分努力されて、今日はメガバンクから地銀、それから、信用金庫までお話があったわけですが、マクロ的には必ずしもそれでは十分と言えないのではないか。したがって、金融システムの安定という形から何らかの対策を打たなければいけないのではないかということが極めて明快になったのではないかと思います。これが1つです。

 それから、2番目は、これは各金融機関の経営問題ということになると思いますが、今ご指摘あった点は、やはりミドルリスク層に融資がここのところに来て集中をしていることです。これは私の推定なんですが、健全な企業のところは、金融機関としてはスプレッドが下がってしまってほとんど収益が出ない状況になっているということを背景に、ミドルリスク層に対する競争が相当激化しているのではないかと考えます。そこは少し利益がとれるということでありまして、今の引当水準のようなものを前提とすると、そこが1つの狙いどころになって、そこに皆さんが融資を集中していると想定されます。それぞれの金融機関でリスク評価はされていると思いますが、私の勝手な想像ですけれども、どちらかというと競争力が比較的弱い金融機関がそこに出ていっているという懸念なしとしないのではないかと思っています。

 したがって、そこから出てくる1つのインプリケーションは、やっぱり引当の考え方をきちんと整理をして、フォワードルッキングな引当の仕組みを入れて、リスク管理と整合のとれた融資制度をきちんと整備する。その結果、貸し出し競争を、適切なプライシングをやるという意味において是正していくということが、これは銀行経営にとっても非常に大事だと思います。そして、これは競争条理にさらされている金融機関みずからではなかなかできないわけでありまして、引当方式をきちんと、将来予測を踏まえた、簡易なもので私はいいと実は思っているんですが、制度化した上で、市場を規律あるものにしていくということが非常に大事なのではないか。スプレッドをきちんとある程度とるというプラクティスをここへ来て実現するようなことをやらなければいけないのではないかというのが第2のインプリケーションであると思います。

 それから、3点目は、これ、非常に大事なことなんですが、その結果、引当を正常化するということのプラクティスが、私は今日感銘を受けたのは、福岡銀行の皆さんから、そういうことが実は事業再生だとか事業性融資につながっていった、つまり、大きく引当金を積んだことによって、その後の事業性融資ができるようになったというお話があったわけです。このお話を伺って、引当を適正にするということが、将来の日本経済の発展につながる契機になるということだということに確信が持てるわけでございまして、これが3つ目のインプリケーションじゃないか、この3点を最初に申し上げておきたいということであります。

○岩原座長  
 どうもありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。何かご質問でもご意見でも。

 それでは、村岡さん。

○村岡メンバー  
 ご説明ありがとうございました。前回、前々回と出ている議論でもあるんですけれども、やはりAIの影響を、信用リスクの管理とか今回の議論にどうつなげるのかということをもうちょっと深掘りしていくというか、議論を深めていく必要があるんじゃないかというふうに思っております。

 要は、AI、いろいろな形があると思いますけれども、多分今日の議論でもあります中心は、金融機関が持っている情報を利用して、ディープラーニングのような手法を中心に使って信用リスク分析の精度を上げていくという、そういう手法がおそらく中心じゃないかと想像するんですけれども、そこまでであれば、信用リスクの管理とか今回の議論に抜本的な影響はないのではないかと思うんですが、一方で、金融機関自体が持っていない情報、これはSNS上の情報であったり、あるいは通信事業者が持っているような情報であったり、これも会社だけではなくて、経営者や個人が持っている、個人にかかわるようなデータも含めて、こういったものを含めて何らかのAIの手法を使って信用業務を行うようなものが、少なくともこれはフィンテック業者からは出てくるわけですし、かつそれを金融機関自体も何らかの形で取り込んでいくことになると思います。

 一方で、SNS上の情報がいろいろな形で今度は、顧客のクレジットリスクに対してもやっぱり影響を与えるという、その比重が高まってくる。そういうことを考えたときに、本当に今の引当の、今ここでなされているような議論の中で本当に漏れがないのかどうか。いわゆる従来の金融機関がやってきた信用リスクの少なくとももとになっているデータとは全く違う情報やデータを使って信用リスクがなされ、かつその結果も多分変わってくるという中で、引当の基準をどういうふうに考えたらいいのかという話が気になっています。

 ご質問としては、今の金融機関さんの現場の中で、そういった抜本的に違う手法が少なくともフィンテック事業者からは出てきて、かつ自分たちもそれを取り込んでいかなければいけないという環境になる中でどう考えてらっしゃるのか。信用リスクを判断し、かつ銀行全体のリスク管理をしていく上で今どう考えてらっしゃるのか、その辺についてもし追加で教えていただければと思います。

○岩原座長  
 今のご質問に対する……、内村さん。

○内村様  
 はい。まず全銀協の立場というか、みずほ銀行で今やっていることということでは、いろいろ紹介されていることでもあります。例えば個人になりますけれども、「J.Score」みたいなところで、これは金融機関、我々が持っている情報だけじゃなくて、例えば携帯事業者の情報だとかいろいろなところを使って、AIを使いながらスコアリング判断していくという、まずはマスのビッグデータのところで、個人から始まっているところが一番、適正はそこが一番あるということですね。

 そこから、なかなか大企業のところになりますと、やっぱり個別特性のところが強くなりますので、どちらかというと、やっぱり中小企業のところという形になってくると思います。ここはいろいろ工夫をしながら模索中ということです。ただ、データをなかなか全部一気に取り込むとかいろいろなところ、先ほど漏れがないかというのがありましたけれども、確かに今、我々が例えば財務諸表でやっているというところだけじゃなくて、ほかのところを取り込むというのはいろいろ模索しているところでございますけれども、どこまでやれば完全な姿が見えるのかというのはまだ解が多分ないんだと思います。みんな、ここを悩みながらやっているということがございます。

 それから、例えばIoTなんかでもありますけれども、結局、リスク判断に生かしていくという観点からいくと、理想論を言えば、全部情報を開示してくれると、当然ながら歩留りというか、全部情報の非対称性みたいなものがとれるので、そこというのは例えばクレジット的にもフルにできますというような感じになってくると思うんですけれども、これは常に、いろいろなSNSだとか、プラットフォーム業者のところで出てくるように、プライバシーとの兼ね合いみたいなところがありますので、結局どこまでクレジットをフルに出していきますかということとプライバシーの確保みたいなところとの兼ね合いみたいなところもあって、これはそれぞれのセグメントでいろいろ工夫をしていかないと、なかなか勝手にできていかないということだと思うので、継続的な課題だと思って、抜本的な部分ではありますが、時間も要しますし、それなりの労力も要するものだというふうに理解しながら今模索をしているというのが現状だと思っております。

○五島様  
 弊行の取組みで先ほどファストパスという新しいサービスの話をさせていただきましたが、このサービスではもう既に行内情報だけではなく、他行の口座の情報等も使っております。今後の具体的な検討事項としては、先ほど村岡様がおっしゃったようなSNSの情報など、様々な外部データも審査モデルに導入することができないかを、具体的に考えているところです。

 残高にしても相応に積み上がってますし、法人の取引先、どこまで大口先に持っていけるかという課題はあるものの、今後こういった取り組みをしっかりやっていくことで、フィンテック事業者との競合に勝ち抜いていく、あるいは連携に取り組んでいく、信用リスク管理についても、審査モデルの高度化につながっていくことが期待されるものと考えています。

○岩原座長  
 それでは、馬場さん。

○馬場様  
 信用金庫業界におきましては、先ほど申し上げましたように信金中金において「デジタルイノベーション推進室」を設けて、フィンテック企業とかとのやりとりや連携を通じて、情報収集やAIを含むフィンテック全般への対応を強化しているところです。ただ、優先順位の関係上、AIそのものの着手にはなかなか至っていないというふうに聞き及んでおります。

 私としては、先ほど出たディープラーニングにより財務データと格付との関係をAIに学習をさせるということで、特に企業評価の分野、信用格付の世界と言ってもいいですが、専門家でも気がつかない、わかっていない知見が得られるのではないかなというふうに十分想定されると思いますので、そちらの方向に行くのもあるのかなと思います。

 非常に卑近な例でいいますと、我々、融資をやっていると、現場がよく見逃す例として、売上高がどんどん増えている、利益もそこそこ上がっている、自己資本もまあまああるというと、格付システムなんかだと非常にいい点数が出るんですが、実際は従業員が二、三人しかいなくて、コストの大半は外注委託費である。それも右肩上がりに上がっている。これをブローカーと世の中ではいいますが、そういうところは結構見逃すんですね。

 こういうものは、IF-THEN式(モジュール)でも挟めば簡単に見破れる世界かもしれませんが、AIあたりが一番得意なところで、そういう取引先の預金情報やSNS情報で、交際費を、非常に銀座で……、銀座なんて言ったら怒られますが、いっぱいお金を使っているだとか、あるいは弁護士に振り込みをしたら、これはもう破産するつもりだなとか、そういうようなことはコンピューターは見逃しませんので、そういう利用が今後考えられるんじゃないかなと、卑近な例ですけれども、そういうふうに思っております。

 以上です。

○岩原座長  
 田中さん。

○田中メンバー  
 ありがとうございます。今日の資料ではなくて、これはこの間金融庁が出されました「変革期における金融サービスの向上にむけて」という冊子で、金融行政の実践と今後の方針という平成30実務年度のものですけれども、ここに、我が国金融システムの現状という欄があるんです。そこには「我が国金融システムの中心である銀行の自己資本比率は規制上の最低水準を上回っており、十分なバッファを備えている」と書かれている。それから、「現時点で我が国金融システムは総じて安定し、頑健性を備えていると言える」と、こういう評価をまずされておられます。一方で、今日のいろいろな資料によりますと、貸し倒れというのは非常に少ない状況がずっと続いていますということでした。では、一体どこが問題なんだみたいなところは実は現時点ではあるわけですね。

 そうすると、今我々がよく考えなければいけないのは、先ほど日銀さんが一番最後におっしゃっている点だと思うんです。それは、要するに、「貸倒引当をするに当たって、もしくは償却・引当をするに当たって先行きの変化を織り込む」というところですね。これは非常に難しい。現在の金融検査マニュアルもそうですし、いろいろな引当の仕組みというのは貸倒実績率、つまり、過去の数字に基づいたものです。この点をさらに改善しようという幾つかのアクションがこちらにも書かれており、今日もプレゼンテーションが幾つかありましたけれども、そのうちの1つに算定期間の拡大というのがあって、2008年に延ばしますということでした。これは単に過去が延びているだけじゃないかとも言えます。じゃ、過去を延ばせば将来が見えるのかというところで、実際には先行きの変化の織り込みというものをどのようにしてしっかり捉えるような体制をつくっていくのかがやっぱりおそらく必要な論点なんだろうという気がします。

 そういう意味で、今、村岡さんがおっしゃったようなAIを使って将来を分析するという手法もあるでしょうし、CRITSとか信金データベース、こういうものも非常に役に立つと思うんですけれども、こうしたデータベースはこれまで統計手法を使うということが非常に多くて、これはやっぱり過去をベースにして判断するという手法なんですね。そうすると、こうしたデータがせっかくある中で、どういうアルゴリズムをつくっていくのかというのがおそらく1つの大きなテーマになっていくんだろうと思われます。ここから先になると先ほどのAIその他の話になるのでこれ以上の話はしませんけれども、ポイントはやっぱり先行きの変化をどう捉えていくかということだと思うんです。

 そういう中で今日の日銀さんのプレゼンテーションは、私は非常にいいプレゼンテーションをしていただいたと思っています。特に、これ、19ページですかね、正常先の中の低採算先、ここの部分が図表18の左上で増えてきていると指摘されています。これがクレジットサイクルが下がってきた場合には、やっぱり1.7倍でしたかね、何か影響を受けるということがここで分析されているわけです。そういうことであれば、現在の格付基準である、正常先、要注意先、要管理先、破綻懸念先という仕組みだけではこれを捉えられないということになりますよね。そうすると、こうした分析の手法を今後我々が引当制度を考えるに当たってやはり取り入れていく必要があるのではなかろうかと思います。

 さらにそこに、この日銀さんの一番最後にあります、クレジットサイクル全体を見るという考え方もおそらく必要でしょうし、今現在クレジットサイクルのどこにいるんだということに関する議論も必要なんだろうと思います。そうなると、おそらくDCFという手法が今既にあるわけですけれども、これはある程度先を見た形なんですが、それの精緻化というのも1つの手法としてはあり得るのかなという気がいたします。

 ここのところ、フィッシャーとかダラーラとか皆さんがもうここ1年2年で世界ではどこかでクライシスが始まるかもしれないという議論がかなり増えてきているということは間違いなくて、来週だったと思うんですけれども、インドネシアでありますIMF、それから、IIF、この辺でも相当その辺の議論は出てくると思うんですね。そういうふうに考えますと、平時の引当の状況と、それから、そうした将来不安が非常に出てきている段階における引当の方法をどのように考えるのかというところも1つのポイントになるんじゃないかという気がしております。

 以上です。

○岩原座長  
 ほかに。

 伊藤さん、お願いします。

○伊藤メンバー  
 ありがとうございます。日々金融機関さんにお世話になっている中小企業としては、金融検査マニュアルがなくなることは大いに大歓迎であります。というのも、実際当社は、金融検査マニュアルにおいてはとうに破綻していた企業であって、勇気あるというか、しっかり見てくださった、ある金融機関さんのおかげで救われ今に至っているので、そういう意味では非常に、マニュアル化されるだけで数値化の中だけで企業の未来を見られるのかというのを常に疑問に思っていたので、いい方向だと思います。

 一方で感じるのは、ちょっとストレートな言い方かもしれませんが、金融機関さんは、マニュアルのおかげでちょっと楽をしていたような気がします。これからやっぱり楽ができなくなる状況に陥っていくわけですよね。もちろんテクノロジーの中で金融検査マニュアルではないけれどもある程度の目安はつけられるシステムはでき上がるのかもしれませんが、結局、冒頭に目ききという言葉が何度か出ていたかと思いますが、やっぱり人の目だと思うんですね。

 やはり企業は規模や業種によって全く育ち方が違いますし、発展の仕方も違います。ですから、感性というか、じゃ、今の企業が、あるA社が悪くても、そのマーケットをどこまでわかった上で判断していくかというところでの人の見る力が必要になってきます。ただ、当然人は減ってきますし、金融機関さんに入ってくる人も多分減ってくるに違いないですし、人にかわるシステムがどんどんふえていく中で、どうやってそういう目ききのできる人材を育てていくのか、これからどんな将来、未来が発展するか、まだ我々にも見えないようなことが起きるかもしれないことを判断できる人材はどうやったら育てていけるのかというのがものすごく課題だと思います。

 ほんとこれ、日本全国の問題なんですよね。だから、文部科学省とかを入れ込まないと、そういった理想的な金融システムをつくるのであれば、やっぱり理想的な人材教育をしていかなければいけないので、それをどうやっていくか。例えば同じ大学を出ても、製造業に入った人、金融機関に入った人ではやっぱり育ち方が変わってきているんですよね。だから、ある種、皆さん職業病になっているので、金融機関さんの皆さんの感性と、やっぱり製造業の感性って違ってきています。だから、そういった違った感性の人たちがいる中でどう判断していくか、それはどうやってしていくのがベストなのか、私にもわからないですけれども、やっぱりその辺が課題になっていくかなという気がします。

 以上です。

○岩原座長  
 ほかに。

 小倉さん。

○小倉様  
 3点、質問と意見です。

 まず1点目ですけれども、監査においてもデータの活用とその分析は非常に重要になってきております。ただ、監査人は基本的には各銀行のデータを見るだけになっておりますので、監査法人でまとめてといっても数に限りがあり、データとしても偏ってしまうというところがあります。本日のご説明の中でCRITSというデータ分析をたくさんされているということ、非常に参考になりました。ぜひ監査人サイドにもこういったデータの活用をさせていただきたいということを思った次第です。そのあたりで監査人への提供が今後可能かどうかというあたりを1つ後で、ご回答いただければと思います。

 2点目ですが、日本銀行様のご説明の中に過去の工夫の例がありました。今までもいろいろご説明があったところです。20ページ目のスライドのところで、大手行・地域銀行・信用金庫の工夫の例と、算定期間の長期化については、そうは言っても、引き続き3から4年のところが非常に多くなっているというお話がありました。これは当局へのご質問というところもありますけれども、工夫をしない金融機関さんは、今後、検査マニュアル廃止後このまま放置しておいていいのかというところが、我々監査人としても、最低基準ということで今までの会計基準どおりであれば当然いいんだということになると思いますが、果たして今このような議論が行われているだけでこのままでいいのかというところについてのお考えがあれば教えていただきたいというところです。

 3点目ですが、これも日本銀行様の資料の最後の23ページ目のまとめのところになります。信用コストについては、やはり長期的な推移であったり、平均値を踏まえた対応ということで、through the cycleの算定期間というのがありました。ここでやはりフォワードルッキングな引当というときに、単にthrough the cycleで貸倒引当金を過去の算定期間も踏まえて平準化してしまうと、現在の景気の状況を踏まえた引当と整合性がとれるのかという問題があると思います。

 ですので、フォワードルッキングというときに、貸倒引当金を、日本銀行様の資料でいうと3ページのスライドのところにあるように、長い期間のものを平均したものを引当てしまうことがフォワードルッキングなのか、それともやはり過去はあくまでも過去ということで見た上で、現在において今後の経済環境を予測した上で、その予測を踏まえた引当をするということを求めていくべきなのかというあたりをぜひこの会の中でも議論していく必要があるのかなと感じたところです。

 以上です。

○岩原座長  
 それでは、新田さん……、あ、先に。

○五島様  
 CRITSのデータの開示についてですが、今のところ、会員銀行で利活用するという規約となっております。今後は、先ほど、最後に弊行の意見として申しあげたように、客観性のあるデータ、時系列のデータ、マクロデータなどと組み合わせて当事者がコミュニケーションすることが重要で、こういったものは会計士の方々ともいい議論の材料になると思いますので、どのようにしたら開示ができるのか、どこまで情報を開示できるのか、開示に向けてのハードルはありますが、そこはまず我々の中で協議したいと思います。

○岩原座長  
 2点目について、渡辺さん。

○渡辺地域金融監理官  
 2点目、ご指摘ありました、工夫しないところを放置しておくのかということですけれども、この点につきましては、まず現状の実務は尊重するということを申し上げておりますので、それを否定するものではないということがあります。

 一方で、特に第1回会合の資料で申し上げましたけれども、当局のアプローチとしては、引当だけが重要だというわけではありませんので、信用リスク全体の中で、例えば経過観察といいますか、ここは例えばリスク特性が違う、データもないけれどもお互いに見ていこうという部分とか、あるいはここの部分はやっぱり本来的な将来的な損失予測という意味でどうなのかという議論をする必要がある部分、あるいはここはむしろ平均を超える損失に対する備えという意味で自己資本の十分性で議論しなければいけない部分、こういうものがあろうかと思います。

 また、第2回会合の資料でもお示しいたしましたけれども、融資のいろいろな工夫、例えば損失を先送りしないような仕組みとか、それを抑制するような仕組みとか、こういったものがあるので、直近過去データを見ていけば、基本的にはそれがある意味正確な見積もりなのだとおっしゃる金融機関もこれはあり得るわけであります。一方で、先ほどお話ありました貸倒引当金を過去の算定期間も踏まえて平準化するというところですけれども、いやいや、うちは長期でつき合います、そして、悪くなるのは長期間で見たときなので、それに備えなければいけないということであれば、そういう議論をしなければいけないと思いますし、やはりそれはまずどういう融資方針をしてどう対応していくかと、こういうこととやはりおそらくセットでやっていかなければいけない。

 ただ、私ども自身がまずそういう議論をちゃんとできるように高度化していくということが、こういった場の議論を踏まえた上で我々自身もレベルを上げていくということがおそらく必要なのかと、こういうふうに思っております。

○岩原座長  
 それでは、新田さん、お願いします。

○新田様  
 すいません、今回初めて参加して、今までの議論と重複したりとかちょっとあるかもしれませんけれども、現場のトップとしてどんなことを今悩んでいるか、そのあたりをお話しさせていただきたいと思います。

 まず1つは、金融庁の皆さんがおっしゃっている、形式・過去・部分、これを実質・未来・全体にするんだと、ここのところは重く受けとめています。今回のテーマでも、実質・未来・全体という中で、この議論をするのに債務者区分判定の問題、それから、引当の問題、それから、3点目は開示基準の問題、ここのところというのは微妙にそれぞれの色があるんですね。

 まず1番目の債務者区分判定の問題でいいますと、形式から実質という意味では、正直、中小企業あるいは小規模事業者を見る上で、決算書は形式であるケースが多いです。今、事業性評価、目ききを私ども一生懸命やっていますけれども、実際赤字の会社でも、あるいは黒字の会社でも、それより私どもはどこを見ているかというと、人です。採用できているか、退職がどうか、あるいはノイローゼがどれぐらいいるか、人の実質面のほうが実は中小企業、小規模事業者にとって、BS、PLよりもはるかにサステナビリティを見るための力になっているということです。これをどこまで織り込むか。今、自己資本はプラスで黒字だけども、間違いなく人的な環境から見ると、この会社は5年後10年後に対するサステナビリティがない。この辺を要注意あるいは要管理に落としていいのか。まず1つは、債務者区分判定の主観性というか、目ききをどこまで生かすかという問題が1点目にあります。

 2点目なんですけれども、引当なんですが、引当というのは、私は個別の債務者区分判定をただ足し上げたものではなくて、これは経営上の、こっちはマクロから入るべきだと思っています。そのときにやっぱり気になるのは外部指標。特に今一番気になるのは、例えば5年後の不動産の価格、あるいは株価、あるいは為替。簡単に言うと、東京の今の実質地価は、もうリーマンショックの前を超えているエリアがあります。これがもしリーマンショック直後まで下がったらば、債務者区分判定あるいは分類額はどうなるのか。これはストレスチェックという関係になります。あるいは、日経平均が1万5,000円に下がったときにどうなるのか。あるいは、為替が一時のときのように円高が80円まで進んだらどうなるのか。この辺の環境変化が私どものポートに対してどのように与えるかということは、経営者としては、私、非常に臆病なので怖いです。

 それとあわせて3点目が開示基準になります。じゃ、どこまで開示するのか。これは金融再生法と銀行法の問題になりますけれども、あるいは引当基準なんかも含めて、どこまで金融機関として開示したらいいのか。

 すいません、実際に私も小さな金融機関のトップでもう6年目になりますけれども、このあたりを悩みながら、まさに実質・未来・全体、この言葉を私どもは経営としてどう受けたらいいんだろうかと、この辺を悩んでおります。ぜひこのあたりを会話させていただきたいなと。

 ただ、正直、データにあらわれない部分が怖いんです。目に見えない部分、データにあらわれない部分、ここのところの人としての、やっぱり人が未来をつくっていきますから、ここのあたりをどう捉えるかということが実は非常に重たい問題だというふうに思っています。ただ、これをやり過ぎると、引当の面とかでいうと客観性を損なう、あるいは開示基準でいうと客観性を損なう。この対外的なアカウンタビリティとの兼ね合い、このあたりが問題かなと思います。

 あと、金融行政全体でいうと、今言ったような要素を緩いほうに使おうという金融機関は許してほしくないですね。厳しい方向に持って……、皆さんが指摘されているように、今のPD値は異常に低いですから、その中でコア業純が低いという理由で、それを引当の戻りでカバーするような動きだけは、金融庁としては僕は見逃すべきではないと思っています。

 すいません、ちょっととりとめないですけれども、以上でございます。

○岩原座長  
 ほかにいかがでしょうか。

 森さん。

○森メンバー  
 森でございます。中小企業を金融面から支援するNPO法人の事業性評価専門機関でして、賛助会員は90ほどです。うち60は全国の地域金融機関。30は中小企業を金融面から支援する事業性評価に必要な大手のシステム会社とかデータ会社、また知財事務所とか、そういったところと連携しながら支援をしているところなんです。

 先ほど中小企業の立場として伊藤さんからお話がありましたように、「個別の中小企業は全く違うんだ」と。「そこをしっかり目利きを働かせてほしい」とご指摘した点について、これはもう私、日々事業再生とか創業支援とかに携わっている立場で、本当にそのとおりだなと思います。そういう観点からしますと、引当はそれぞれの個別の企業の成長可能性も含めた事業実態の目利きをしっかり行い、そこと表裏一体でないとやはり事業性評価に基づく融資や本業支援ができませんし、融資に対する適切な引当もできないと思います。

 一方で、新田さんからご指摘がありましたように、じゃ、マクロ的に引当水準がどうなのかといった点は、金融機関の健全性といった観点、それはそれで非常に、まさに私も会員60地域金融機関を抱えて経営陣と対話していますので、重要だなと思います。心ある経営トップは全体としての引当の低下に危惧と言いますか関心を強めています。ELに対応した引当と、ULに対応した自己資本とは、様々不確実性の下で、それぞれを適切に把握したり切り分けたりは必ずしもできないことを念頭に置く必要があると考えます。そういう意味で、マクロの経済指標の指摘がございましたけれども、そういった観点も踏まえたストレステストも勘案しながら、それをまさにミクロとマクロの両サイドから整合的に持っていく、そこの、練り上げていくというかそういった観点が重要だなと感じています。

 それとあと、最初に全国銀行協会、みずほ銀行さんの資料にご指摘がありましたけれども、まさにいろいろな手法を、AIも含め、フィンテックも含め、向上させていったときに、手法に先進性があればあるほど、監査法人との関係が微妙になってくるというか、監査法人と対話を深めつつも、本当に先進的な引当とかができるのか。できないとなると金融機関の健全性の観点で資本の厚みにも関係しますので、いわゆるリスクアペタイトフレームワークや早期警戒制度にもはねてくるというふうに思うんですけれども、やはり監査法人との対話の深まりをどのように確保していくのがいいのかなと、そこは監査法人サイドの意見も私ぜひお伺いしたいと思っています。

 以上です。

○岩原座長  
 いかがでしょうか。

 加藤さん。

○加藤メンバー  
 ありがとうございます。2点意見を述べさせていただきます。

 前回・今回のご説明により、金融検査マニュアルの償却・引当の基準が、与信の判断などにどのような影響を与えてきたのか、また、どのような意味で制約となってきたのかというが大変よくわかりました。ご説明の中では、既に融資をしている相手方に対して、たとえば事業再生のために融資をする際に金融検査マニュアルが制約となった事例が数多く紹介されていたと思います。

 そこで1点、うかがいたいのですが、これまで取引関係がなかった会社に対して新しく融資をするということも金融機関に期待されている業務ですが、そういった事例でも金融検査マニュアルは何らかの制約になっていたのでしょうか。私の質問は、前回別のメンバーからのご質問がありましたけれども、純粋な与信判断とその後の償却・引当の判断が組織の中でどういう関係になるのかということを別の形でうかがっているのかもしれません。事業再生の場合における追加融資の判断と金融検査マニュアルの関係はよくわかったのですが、事業再生以外の局面で、金融検査マニュアルに従った償却・引当という制約があるから与信できないとか、そういった事例が果たしてあるの、教えていただければと思います。

 2点目は、金融庁による検査・監督の意義についてです。今回の研究会の方向性としては、引当や償却の判断については、可能な限り、もちろん健全性確保という観点からの最低限の要請はあるとしても、可能な限り個々の金融機関の創意工夫を認めていくべきであるということだと思います。

 その上で、監督当局、すなわち、金融庁がどのような役割を果たすべきかも検討されることになると思いますが、この点について、今回の日本銀行の菅野様のプレゼンテーションから重要な示唆を得ることができるように思います。菅野様のプレゼンテーションからは、例えば長期的な景気変動などは果たして個々の金融機関が創意工夫を行う中で適切に取り込める要素なのかという問題の存在が明らかになったように思います。つまり、個々の金融機関の創意工夫に任せていては落ちてしまう要素があるのではないかということです。そういった落ちてしまうような要素には、他にどのようなものが存在するのか。特に長期的な景気変動に応じて機動的に毎期ごとに償却・引当の判断を変えていくといったようなことは、創意工夫に委ねることにそもそも限界があるのかもしれません。今後、金融機関の皆さんの創意工夫を前提とした上で金融庁が何を補うことができるかという観点からの検討が必要となりますが、創意工夫に委ねると落ちてしまう要素が何なのかという点が非常に重要であると思います。

 以上です。

○岩原座長  
 五島さん、どうぞ。

○五島様  
 既存先以外、新規先に融資をする場合、金融検査マニュアルが影響を及ぼしているかというお話でしたが、基本的には既存先へ融資する場合と全く一緒です。逆に我々は、新しいお取引先を開拓するのが1つは我々のビジネスですから、基本的には既存先に対する事業性評価と同様、あるいはそれ以上にやはりお客様の本業や経営者としての人となりをしっかり聞かせていただきながら、ニーズ把握を行い、他行の融資の単なる肩がわりではなく、新規のお取引先にとってメリットがある、本業支援につながるようなことをしっかりやらせていただくという点では、今の金融検査マニュアルがあるからできないということはないと思います。我々として何を提供できるかというのをしっかり考えながら、お客さんと日々向き合っているというのが現場の実情です。

○岩原座長  
 川上さん。

○川上メンバー  
 二、三点申し上げさせていただきたいんですけれども、1つ、データベースの話、AIを使ってということなんですが、AIを使ってということはまさにこれからの時代としては必要なんですが、そのためのビッグデータがどういう形で集約できるかということが非常に重要であります。法人のデータということになりますと、当然メガさんにもあるし、先ほどの地銀さん、それから、信金さんも持っておられるし、民間にもあります。こういうものを、さっきたまたま新田さんがおっしゃいましたように、財務データについても、本当に個人事業主のようなところは出てきていないケースが相当あり、なかなか難しいということはそのとおりなんですが、そうじゃない部分も相当あり、業界ごとに閉鎖的な形でデータベースが管理されているということがあります。

 これは単純に定性データではなくて、要するに、キャッシュフローとか資金繰りだとかそういうことも、今の時代であれば相当入り込める余地があるわけでして、そこは相当カバーされていくはずであるということであります。金融形態によって順番に取引先が小さくなるというわけではないんですが、少なくとも信金さんレベルぐらいまでは相当財務データの収集力というのは適正に行われているんじゃないかという理解をしています。したがって、そこのところについてはまさにそれをベースにして初めてAIが成り立つということですので、工夫の余地があるのではないかと思います。

 もう一つは、引当の問題としては、先ほど関さんおっしゃいましたように、リーマンショックのときというのは相当危機感があって、金融機関の経営自身にものすごく危機感があるという背景のもとに引当をしていくというインセンティブが働いております。でも、現状では、超緩和の金融状況の中でそういうものをやっていくというインセンティブがどこにあるのかということが非常に重要です。そこで、フォワードルッキング的な将来を見通した引当というんですけれども、相当これはハードルが高いことになります。

 したがって、そこについてはどういう合意を経ていくのかという。今日幾つかの業態さんの話を聞きましたけれども、なかなかどういう基準でやるというところについては難しいとすれば、何らかの基準は、曖昧にしても示していくことが必要になる訳で、やっぱりそこには、ベースのデータベースを持っておられる金融機関と、金融庁がどこまでマクロ・プルーデンス的な情報を手に入れていくのかと。要するに、金融庁自身がある種の主体性を持ってマクロ・プルーデンス的な方向感を持つようなことにならないと、やはりトータルとしてはフォワードルッキングでそうすべきだと言うものの、そこについて、民間の人たちだけで考えてくださいというわけにはいかないステージまで来ているというように思います。このテーマをやるとすれば、金融庁自身にこの問題が返ってくるという意識をやっぱり持ってもらわなければいけないなということをすごく強く感じます。

 なぜかというと、融資に係る引当問題というだけでこの問題は解決するわけじゃなくて、もともとこのような金融情勢の中で金融政策そのものにある種のほころびが出てきているということの前提があるわけでして、その中でこの議論をしているということを共有していかないといけないということを共通認識にしておかないといけないということを痛感しておりますので、改めてよろしくお願いしたいという。

 以上でございます。

○岩原座長  
 金融庁にも問題が投げかけられているわけで、さっきの加藤さんのご発言などにもありましたように、我々の作業は、最終的にはどういう検査・監督をしていくか、金融庁が、各金融機関が創意工夫して行ったフォワードルッキングな引当等をどういうふうに見て、どういうふうに取り組んでいくかということが当然問われるし、また、将来のマクロに対してどういう問題意識を持って、そこから検査・監督で見ていくかということは当然問われることになるわけで、それをまさにここで議論するのが我々の役目だと思うんですけれども、何か渡辺さんあれば。

○渡辺地域金融監理官  
 まさにご指摘のとおりでありまして、先ほどもご指摘ありましたけれども、債務者区分だけで見ているということが、銀行・信金・信組のビジネスの仕方から見て本質的なリスクを拾い切れているのかどうかと、そこがやはりもともとの出発点で、そこに違和感を感じておられる方々がたくさんおられて、しかも検査マニュアルの制約がある中で非常に工夫をされていたと。

 そこが出発点のわけですけれども、これも小倉さんのご質問に対してお答えしましたけれども、引当の部分だけではなくて、その外縁にある部分がありまして、これを含めてどのように議論していくかと。そのときには、将来のフォワードルッキングなところをどう見るかということもありますが、第1回会合でも申し上げましたけれども、足元の情報、足元で既に起きている変化、これをどこまで織り込んで議論ができるようになるかと。そのときの議論の仕方、くくり方、こういったものがどうなのかと。そこに対して当局が、おそらくデータの実装も含めてレベルアップしていかなければいけない。こういうことがおそらく私どもに課せられたものだと思います。

 その中には、先ほどおっしゃられた、例えば人を見てどう判断する、そういうビジネスをとられたときに、それをどうやって当局が受けとめていくかということもあれば、よりマクロ経済に大きな影響を受けるようなポートフォリオ、事業運営をされた場合に、そこにどうやって当局が対応していくかと。いろいろな多様性がある中でどう対応していくかと、こういうことだと思っておりますので、その点についてはまさにおっしゃるとおりだと思っております。

○岩原座長  
 ほかに何かございますでしょうか。

○橋詰様  
 すいません。

○岩原座長  
 橋詰さん。

○橋詰様  
 幾つか今日全般的にいろいろご質問とか受けた中で、少し実務的なところで何点かお話しさせていただければと思います。

 AIについてどう考えていくのかという話がございました。eコマースとかそういうところがいろいろデータを使いながらレンディングをやっていることに対して、我々は非常に脅威に思っています。そこに対して我々はどうしていくかということを、五島が申し上げていましたようにいろいろそこも考えています。

 ただ、我々、本質的に、地域銀行というのはお客さんとの距離が近いこと、お客様とリレーションがあることが我々の一番強みだと思っています。データはデータとして当然やっていく話と、お客様お一人お一人を見ながらご融資をやっていく、提案をやっていく。事業性評価という話がございますけれども、そういうことをやっていくことが我々の使命であり、我々の強みであると思いますので、そこを今まで以上にやっていくということだと思っています。

 その中で、目利き力が不足しているというお話もございました。正直、我々金融業界はどこも同じだと思うんですけれども、今30代後半から40前後の人員が非常に薄いという状況です。そういう中で若手が増えており、やっぱり先輩から逐次指導を受けていく、そういう徒弟のような、言葉古いかもしれませんけれども、そういう関係がやっぱり切れていっているような状況があって、そこを我々はシステム的にいろいろ補完して、マニュアルをつくったり、格付をやったり、そういうことをやってきました。

 ただ、それだけでは足りなくて、今はそういう若手をどう育てるかということが、我々として非常に重要な課題と思っています。また、そこを、我々は今後、営業の第一線で、一線って当然、融資をやっていったり、管理したり両方ですけれども、スペシャルな人間をどんどんつくっていかなければいけない。そのために、営業の一線の人間の時間をつくっていく。これはシステム的にもやっていますし、本部で業務集中も行っていますが、例えばもう一つ私どもで今試みていますのは、格付を本部でやろうとしています。営業店はお客様の情報をしっかり取ってくる。それを本部で専門的なレベルでお客様の実態を見ていく。それを営業店に指導しながら、お客様の管理であったり、逆に与信を提案していくであったり、そういうことをしていこうということを正に考えています。

 もう一つ別の話ですけれども、私どもが引当をしていく中でいけば、将来を見るというところは、債務者区分、格付に反映しており、引当や信用リスク管理上、格付を非常に重視しています。格付を付与する中で、このお客様が今後どうなっていくのかということを十分検討しながら格付を付与しています。ですので、格付を付与して、それに基づく引当をしていく。引当については、私どもは実績に基づいた数字を使っておりますけれども、格付毎に引当を行うことで、取引先の状況をできるだけ反映できると考えているということでございます。

 また、格付に足りないものについて、本来は将来的にという何人かの方からお話ありましたように、どう将来を見て引当をするか、そこの理屈をどうつけていくというか、IFRSでもそうですけれども、合理的に定義していく必要があります。そこはなかなか簡単ではないところがございまして、そういうところを格付をベースとしてストレステストを使いながら、我々の許容できるリスクを把握し、お客様に引き続きちゃんとご融資ができるようリスク管理をやっております。

 私のほうから補足で申し上げさせていただくのは以上でございます。

○岩原座長  
 ほかに何かございますでしょうか。よろしいですか。

 さっきのもう一つ大きい問題として、データベースをつくるということをいろいろ工夫されて、先ほどもご紹介いただいたわけですけれども、法人顧客であっても企業秘密の問題がありますので、それとの関係でどのように適正に扱われるようにして、どこまで出せるかという問題もあるかと思います。

 ほかに特になければ……。

 玉井さん、どうぞ。

○玉井メンバー  
 今日お聞きした信用リスク管理の高度化は大事なことだと思いますが、素朴な疑問として、お客さんにどのようにこれを説明するのかというのがよくわからない。むしろそこが大事ではないかと思います。

 というのは、金融検査マニュアルが導入されたときに、最初、融資先に対して「おたくは信用格付が低いから融資ができません」というような、要するに、自分たちの判断ではなくて、金融検査マニュアルという当局の制度の枠組みゆえにおたくはバツがついたので、従来ずっと継続してきていた年度資金の折返し融資みたいなのはできませんといって、それで資金繰りが狂って大慌てするというような企業が出たということがありました。償却・引当を精緻化していくのは大いに結構ですが、これはある意味、銀行の楽屋内のいわば内向きの話なんですよね。内部の仕組みとしてこれを制度化してさまざまな将来リスクに備えていくというのは、銀行の健全性という点で大事ですが、一方で、金融仲介機能を大いに発揮して、今までお金が届かなかったところまで元気になってもらおうじゃないかというときに、この仕組みを生でというか、むき出しで使うのではなく、そこは工夫する必要があると思います。

 それに関連して、今日着目したのは、地銀協さんの説明の中で、リスクアペタイトフレームワーク(RAF)について言及された点です。これは、自分たちはこの地域においてこのようなリスクをこれぐらいとりたいですということを宣言したうえで、これを経営の軸にして、そこにヒト・モノ・カネを配置して、それをステークホルダーに開示してレビューしていくというような経営の枠組みであり、事業者にとっても理解しやすいと思います。ただ、これは経営サイドの話で、経営トップも含めて脳髄を振り絞ってやらなければいけない話。だけど、一方で、現場において、さっきの金マ導入時の話じゃありませんが、こういった精緻化された信用リスク管理のもとで融資していく現場の支店長とか営業課長が、取引先に対してどういう語りかけをして、融資をするとか、しないとか、そこのところを視野に入れた議論というのも必要になってくるのではありませんか。

 ちなみに対話というキーワードが先ほどから随分出てきていますけれども、正直言ってすごく上滑った感じの印象です。本音を聞き出すことが対話だといった文脈で話されていますが、対話の手法について本当は「もう一つのAI」というのが大事だと私は思っています。AIとはAppreciative Inquiryで、「評価的質問」なんていうこなれてない翻訳があります。例えば事業性評価融資などでも、おたくの問題は何ですか、どこに原因があっておたくは赤字ですか、解決方法は何ですか、じゃ、アクションプランをつくってくださいといった進め方をしますが、これは実は悪い、問題があるということを大前提にした議論なんですね。むしろAppreciative Inquiryのほうでは、おたくの強みは何ですか、その強みを2倍3倍に発揮したときどんな将来が描けますか、それを伸ばしたときに、本件この設備投資の申し込みはそういう中で位置づけられるんですかといった問いかけと対話を行うイメージです。これだけで融資判断はできませんが、複眼的に見て初めて事業者を本当に理解できるということです。つまりお客様に対する問いかけだったり、対話の仕方、こうした面の高度化というのも、制度を精緻化するのと同時に大いに工夫してやっていく必要があるのではないかと思います。 以上です。

○岩原座長  
 五島さん。

○五島様  
 まず格付が低いから融資ができないというようなご指摘でしたが、決してそういうことではなく、格付が低い先、例えば破綻懸念先でも、債務者から拒否されることもありますが、債務者との話し合いの中で、抜本的にここを見直せば再生できるとの可能性があれば融資をしっかり実行しています。これは、私どもの中では十分やっているところです。

 それから、事業性評価における語りかけについては確かに課題としてあって、先ほど橋詰も申し上げましたが、担当者がお客さまのことを本当に共感できて、お客さまのための議論をするスキルを習得することは簡単ではないのですが、まず知識とスキルを身につけさせるという観点では、そこの教育に力を入れてやっているところです。

○岩原座長  
 多胡さん。

○多胡メンバー  
 すいません、後出しで申しわけありません。やはりフォワードルッキングが非常に難しいという今日の話、もう一つ、新田さんがおっしゃった人の問題、この2つだと思うんですが、フォワードルッキングのほうについては、各金融機関さんは1年間の短期経営計画、3年の中期経営計画、場合によっては10年の長期とかいろいろ、5年とか持ってらっしゃると思うんですが、ここでは相当、経営がしっかり議論をして、そういう計画書ができているわけですね。

 それで、私も実は仕事柄、そういうものをつくる手伝いをやっている仕事をずっとやっていて、最近は実際中に入って社外でやるわけですけれども、この議論をやる場合に、数字のところはしっかりつくっていくんですが、その地域の産業とかいろいろな、地域がどうなるか、融資ポートフォリオがどう変わっていくか、ここのところについてはかなり甘いという認識を持っているんです。ですから、ここがしっかりしてないと、フォワードルッキングで適切な償却・引当というところの論点に進まないような気がするんです。

 もちろんこれ、地域金融機関さんはいっぱいあって、相当濃淡があると思うんです。今日お見えになっていらっしゃる福岡銀行さんなんかはおそらく、うちは違うとおっしゃるかもしれませんが、平均的に見て、その辺が非常に甘いという認識があるんです。ここをやっぱりクリアしないと、やはりフォワードルッキングな償却とか引当という議論には進まないし、かつ金融庁のほうもそこをしっかり見てほしいんですね。

 経営計画がちゃんとあるわけです、1年、3年、10年とか。10年はないところも多いんですけれども。ただ、そこで議論されて、これは経営の意思そのものなんですけれども、そこの部分が数字でこうなりますという話はよく聞くんだけど、やっぱり地域の産業とか地域特性、これは行政方針2018にもしっかり書いてあるわけですけれども、画一的ではない。そこのところはどういうふうに見ていくべきかということで、金融庁のほうにはぜひお願いしたいということと、あと、地域金融機関さんには現状、福岡銀行さん、うちは違いますという話ではなく、場合によっては、海老塚さんのほうで業界全体の話として伺えればいいかなと思っているんですけれども、いかがでしょうか。

○渡辺地域金融監理官  
 先に私が答えます。

○岩原座長  
 渡辺さん。

○渡辺地域金融監理官  
 まず当局の側ですけれども、第1回会合の資料でまさに、債務者区分はこれというところからスタートというよりも、どういう地域、産業、融資方針があって、やはりそこから議論をしていく必要があるのかという、ある意味仮説といいますか、論点を私どもとしてお示しをしたところであります。逆に言いますと、それについてある意味エンドースといいますか、賛意を示していただいたというふうには理解しております。

 実際に私は、地域銀行と対話をするポジションも兼ねておりますので、差し支えない範囲で申し上げると、計画に書いてあるものそのものを読んでも、おそらくそこの金融機関が本当にやりたいと思っていること、ある意味、どういう地域にあって何をやっているかというのは無意識のうちにやっているものもありますので、それは本当によく私どもが把握する必要があるのかなと。これは決して容易な作業ではなかったり、ご自身がご自身の状況を、無意識のうちにそこでずっとやられていると必ずしも認識をされていない場合もあったりしますので、ここはかなり難度の高い仕事なのかなというふうに思いながらやっております。

 ただ、まさに私どもとしても論点としてはお示ししたところですので、今おっしゃられたようなご意見を含めてご指摘いただけると私どもとしては大変助かります。

○岩原座長  
 五島さん。

○五島様  
 今のご指摘にあるようなところを弊行が全て完璧にやれているかというとやはり課題認識している部分もありますし、先ほどお話がありましたリスクアペタイトフレームワークも、完全に実効性のあるものかというとやっぱりまだまだこれから実効性を高めていかないといけない。そのためには経営の中でもっと議論する必要があるとは認識しています。

 あと、地銀協の取組みとしては、海老塚のほうからお話しします。

○海老塚様  
 未来、将来予測というのは、皆さんおっしゃるように難しいということですけれども、先ほどの資料にもありましたとおり、私どもは、過去のマクロデータを使ってストレステストを外部の協力会社の手も借りながらやっております。当然、個別行だけですと、そういった大きなデータや長期のデータが不足する場合があるわけですが、CRITSを使ってこのようなことができる。ストレステストの結果は、個別行のデータにばらして還元しておりますし、そういった実務の中から、的確な将来予測まで行かないまでも、自行ポートフォリオのこのあたりが弱点だとか、このような傾向があるだとか、そういったことの気づきが与えられるような取組みを続けていければなと思っております。

○馬場様  
 すみません、時間が過ぎていますが、だめですか。いいですか。

○岩原座長  
 どうぞ。

○馬場様  
 最後につまらない例え話みたいで申しわけないのですが、昔ある碩学が、ラクダに箱を載せて外からは全然中が見えないが、そこに麦わら、英語でいうとストロー、それがどんどん入っていく。どのぐらい麦わらというリスクがたまっているかはわからないけれども、ラクダは非常に辛抱強い動物なので、最後の1本、軽いストロー1本が入った瞬間に、一気に倒れるという例を出されたんです。会計学の先生ですけれども。

 そういうものを何らかの方法で、適当に、適当にというのはいいかげんにという意味じゃなくて、フォワードルッキングって本当に難しいんですけれども、何らかの方法で「適当に見積もる」のが会計の仕事だよ、経理の仕事だよとおっしゃった先生に非常に感銘を受けたことがあるんです。そういう意味で、前回私が申し上げたような、エイヤみたいな簡便的なものであっても、既にある潜在的なリスク(実積率に現れないリスク)を見積もりで引き当てるということをやってみたらどうかなというふうに申し上げた次第です。

 以上です。

○岩原座長  
 よろしいでしょうか。

 それでは、終了の予定の時刻を過ぎておりますので、本日の自由討議は以上で終わらせていただきます。

 事務局から連絡があればお願いします。

○渡辺地域金融監理官  
 第2回会合の議事録につきましては、過日公表いたしました。ご協力ありがとうございました。

 次回の日程につきましては、10月29日を予定しております。詳細は後日改めてご連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。

○岩原座長  
 それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了いたします。どうも長時間、熱心なご議論ありがとうございました。

 以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

総合政策局リスク分析総括課(2602, 2543)

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