アクセスFSA 第64号(2008年3月)
【金融ここが聞きたい!】
※このコーナーは、大臣の記者会見における質疑・応答(Q&A)などの中から、時々の旬な情報をセレクトしてお届けするものです。
もっとたくさんご覧になりたい方は、是非、金融庁ウェブサイトの「記者会見」のコーナーにアクセスしてください。
〔保険業法改正にともなう特定保険事業者の経過措置期間の終了について〕
【大臣冒頭発言】
お手元に配布しました資料のように、保険業法改正にともなう特定保険事業者の経過措置期間が昨日(3月31日)で終了いたしました。昨日末現在で特定保険業者の今後の移行見込みについて集計したところ、何らかの形態で保障の継続が見込まれる業者は全430業者のうち379業者(全体の88.1%)となっております。aからb,c,d,eまでは何らかの形態で保障の継続が見込まれる業者であります。廃業見込みの業者も186業者ありますが、保険業法改正の目的は、保険契約者等への保護であります。全体の9割近くの業者において、契約者への保障が継続される見込みであることに鑑みれば、現在の状況は、保険契約者の保護という保険業法改正の目的に概ね沿った結果となっているものと考えています。
〔金融機能強化法等について〕
Q: 金融機能強化法について延長は必要ないという結論に達したということですけれども、なぜ必要ないという結論に達したかを改めてお伺いしたいということと、「資本増強が必要なら自前で努力する」ということで、協同組織(金融機関)について言及されましたけれども、地銀・第二地銀の資本は十分であるかどうかについてのご認識と、地銀・第二地銀についても、「まずは自前で」というご認識でよろしいでしょうか。
A:今現在、資本が足りないという地方銀行はなかろうと思います。しかし、サブプライム・ローン問題、あるいは米国経済の景気後退が日本の景気に影響が及んでくる時には、不良債権が増大をしていく可能性が高いわけでありますから、そういったことを考えれば、早め早めの手当てをしておくことが大事かと思います。資本不足というのは、金融機関にとっては命取りになるわけでありますから、これはまさしく、まずは自前の努力をしていただく、ということが大事なことだと思うのです。いわゆるLCFI(巨大複合金融機関)などにおいても、国内で資本調達ができなくてソブリン・ウェルス・ファンドなどに資本増強を依頼したかと思いますけれども、ソブリン・ウェルス・ファンドは公的資金とは違いますので、そういうことだったのでありましょう。
日本においては、公的資金アレルギーみたいなものもあったわけでございます。預金保険法第102条においては、第1号と第3号の措置がそれぞれ発動され、それなりの結果も残しているわけでございます。金融機能強化法においては2件の実績は残しましたけれども、最初の予想よりは非常に少なかったということが言えるのではないでしょうか。したがって、こういう公的資金アレルギーも残念ながらあるのです。ということは、まずは自前で努力していただくということに尽きるわけでございます。
株価下落に対しては、相当、体力的に強靭な体質を持てるようになってきておりますので、そういう面からはあまり心配はいたしておりません。いずれにしても、サブプライム・ローン問題に端を発した国際的なお金の変調、これが経済のダウンサイドリスクを高めていることは紛れもない事実でありますから、更に警戒水準は高くしていく必要があると考えております。
【お知らせ】
○ ファンド業者を金融庁ウェブサイトに掲載しました!!
金融庁は、金融商品取引法(以下、「金商法」といいます。)によって届出義務が課され、実際に届出を行った4,038のファンド業者(平成20年2月29日現在)の名称等を金融庁ウェブサイトに掲載しました。※登録業者については従来から金融庁のウェブサイトに掲載されています。
金商法においては、いわゆる集団投資スキーム持分の「自己募集」又 は「自己運用」を行っている者に対して、
(1)一般投資家向け業務を行う者であれば登録義務
(2)プロ向け業務(=適格機関投資家特例業務)を行う者であれば届出義務
(3)金商法施行前にファンドの運営(=特例投資運用業務)を行っていた者であれば届出義務が課されています。
そのうち、金商法施行前にファンドの運営(=特例投資運用業務)を行っていた者や同じく金商法施行前にプロ向け業務(=適格機関投資家特例業務)を行っていた者に対しては、金商法施行後3ヶ月以内(平成20年1月4日が期限)の届出義務が課されていました。
登録業者や届出業者の名称等をウェブサイトで公表することの一つの大きな目的は、投資家の方々に、自らの取引相手である業者が適正に登録・届出を行っているかを確認していただくことにあります。また、仮に無登録・無届で業務を行っていることを確認した場合には、当局へ情報提供していただくことを期待しています。
なお、注意していただきたいことは、金融庁ウェブサイトに掲載していることをもって、金融庁が業者の信頼性を保証しているというものではないということです。特に、届出ファンド業者には、免許業者や登録業者と異なり、参入に当たっての当局の審査プロセスがないということに留意が必要です。
○ 認定投資者保護団体制度の更なる活用を期待します!!
金融商品取引法(以下、「金商法」といいます。)においては、投資者保護のための横断的法制の構築の一環として、「認定投資者保護団体」に関する規定を整備しています。
認定投資者保護団体制度は、苦情解決およびあっせん業務の業態横断的な取組みをさらに推進するため新たに設けられた制度であり、金商法上の自主規制機関以外の民間団体が金融商品取引業者等に関する苦情の解決およびあっせん業務を行う場合に、行政がこれを認定することにより、当該民間団体の業務の信頼性を確保しようとする枠組みです。
金商法が施行されて以降、社団法人生命保険協会(平成19年9月30日認定)、社団法人日本損害保険協会(平成20年3月7日認定)が認定を受けております。認定投資者保護団体は、金融商品取引業者以外の者も設立が可能で、具体的には、たとえば、消費者団体、NPO法人や各種の業界団体等が考えられますが、これに限らず、認定の要件・基準を満たす民間団体は認定投資者保護団体になることが可能です。金融庁としましては、苦情解決・あっせん業務は、事後的な投資者保護策として非常に重要であることから、同制度が幅広く活用され、一層の投資者保護に寄与していただくことを強く期待しています。
○ 証券市場における不正・違法行為に関する情報を受け付けています!
証券取引等監視委員会は、証券会社などに対する検査、証券市場にかかわる開示検査、課徴金調査及び犯則事件の調査、そのほか日常的な市場監視活動を通じて、公正・公平かつ透明で健全な市場の構築に努めています。当委員会は、こうした調査、検査などの参考とするため、電話、文書(ファクシミリを含む)、インターネットなどで情報提供を受け付けており、平成18事務年度には、6,485件と、多数の情報をお寄せいただきました。 インサイダー取引や相場操縦、有価証券報告書の虚偽記載、証券会社などにおける無断売買や不当な勧誘などの証券市場に関する違法行為に気づいたら、証券取引等監視委員会まで情報をご提供ください。(なお、調査、検査の依頼や証券会社などとのトラブル処理には対応しておりません。) インターネットにおける情報受付窓口は証券取引等監視委員会ウェブサイトをご覧ください。 |
一般からの情報提供を求めるポスター |
○ 株券電子化について
平成16年に、株券を電子化する法律(社債、株式等の振替に関する法律)が成立し、平成21年1月を目途に上場会社の株券を電子化するための準備が進められています。
株券電子化のスムーズな実施のためには、いわゆる「タンス株券」をお持ちの株主を中心に関係者各位に早めの準備を行わって頂く必要があります。
ただ、株券の電子化については、まだまだ十分な知識をお持ちでない方が多いようです。
そこで、金融庁のウェブサイトの改訂(平成19年2月13日)等によって、個人投資家を中心とした関係者各位に株券電子化の概要やご留意頂きたい点をお伝えしてきたところですが、更に、より多くの方々に株券電子化について理解を深めて頂くべく、政府広報オンライン・お役立ち動画「株券電子化の準備 もうお済みですか」では、株券の電子化の概要や留意点について広報を行っております。なお、この政府広報オンラインは、金融庁ウェブサイトからもアクセスできます。
以下では、株券電子化の概要と留意点のうち、特にご注意頂きたい点をピックアップします。
1. 概要
株券電子化は、上場会社の株式について、「株券」をなくし、証券保管振替機構及び証券会社等の口座で、コンピューターにより電子的に管理しようとするものです。
2. 留意点(タンス株券をお持ちの株主)
株券電子化にあたって、自宅や貸金庫などご自身で株券を管理されている株主(いわゆる「タンス株券」をお持ちの株主)については、特に以下の点に留意してください。
(1) お持ちの株券がご自分の名義ではなく、ご本人が株主としての権利を失ってしまうおそれもありますので、株他人名義となっている場合には、株券電子化実施の前に、証券会社等を通じて証券保管振替機構に預託するか、少なくともご自分名義への書換手続を行ってください。 (2) お持ちの株券がご自分名義となっている場合、(1)のように株主としての権利が失われることはありませんが、株券電子化後に売却を行おうとする場合にスムーズに行うことができるようにする等のために、株券電子化実施の前に、証券会社等を通じて証券保管振替機構に預託しておくのが望ましいと考えられます。
なお、上記の証券会社等や証券保管振替機構における預託のための事務手続に時間を要することも予測されます。株券電子化のスムーズな実施に向け、上記預託のための手続はできるだけ早めに行うようにしてください(現在でも当該預託を行うことは可能です。)
※ 「株券電子化」については金融庁ウェブサイトにも掲載しています。金融庁ウェブサイトのトップページ「金融庁の政策 → 政策の一覧へ」から「株券電子化について」にアクセスしてください。
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【3月の主な報道発表等】
※ マークのある項目につきましては、から公表された内容にアクセスできます。