金融行政体験制度(インターンシップ)について

金融庁では、金融行政に関心を持つ学生の皆さんに対して、実践的な就業体験の機会を提供することで、学習意欲の喚起、職業意識の涵養及び金融行政についての理解の増進を図ることを目的として、平成18年度から「金融行政体験制度(インターンシップ)」を導入し、以下のとおり実施しました。

1.実習生

本邦に所在する大学又は大学院(以下「大学等」という。)の学生のうち、学生が在籍する大学等から推薦された学生(日本国籍を有する者に限る)について面接を行い、4名の実習生を受け入れました。

2.受入部署・期間等

平成19年1月から3月までの間の2週間とし、総務企画局総務課審判手続室、総務企画局政策課広報室、総務企画局企画課において、受け入れを行ないました。

【参考】

金融庁「金融行政体験制度」の概要

  • (1)実習時間は、原則として、月曜日から金曜日までの午前9時30分から午後6時15分までとする。

  • (2)金融庁は、実習生を非常勤の国家公務員として採用することとし、服務規律の遵守にかかる「誓約書」の提出を受ける。

  • (3)金融庁は、実習生ごとに実習指導官を置き、きめ細かく実習生の指導、監督、助言等に当たらせる。

  • (4)実習生は、実習の成果として論文等を発表する場合は、事前に金融庁の承認を受ける。

  • (5)実習生は実習終了後、実習内容に関する報告書を作成し、金融庁に提出する。

『お知らせ(今年度の予定について)』

本制度については、今年度(平成19年度)も、引き続き実施していくことを予定しています。

受入課室、期間、内容等の詳細については、現在検討中であり、応募方法等を含めて、別途お知らせしますが、向上心、探究心、チャレンジ精神の旺盛な学生の皆さんの、積極的なご応募をお待ちしています。


今回、金融行政体験制度(インターンシップ)に参加された4名の実習生に、以下のアンケート項目について回答していただきました(五十音順、実習時の学年で掲載)。

【アンケート項目】

(1)  「金融庁」のインターン制度に応募した動機は何ですか。

(2)  あなたが持っていた「金融庁」のイメージはどういうものでしたか。

(3)  あなたが行った実務体験とその感想をお書きください。

(4)  実務体験を終えて、あなたの「金融庁」のイメージはどうなりましたか。

(5)  このようなインターン制度について、あなたのご意見・ご感想をお書きください。

総務企画局政策課広報室
 金井 香澄 さん
(中央大学法学部 2年)
  • (1)日々動く金融経済社会の中で、刺激を受けながら職場体験をすることで、職場の雰囲気を知るとともに、職員の方々の視野の広さや考え方、その場に応じた対応力を体感することが目的でした。そして、今後の自身の課題として、今の時点で足りない経験や能力、視野を特定したいと考え、応募しました。

  • (2)近頃、毎日のように紙面を賑わせている事柄に関連している機関で、公正な市場運営の担い手として、金融庁の動向は市場関係者にとって注目の的です。このことから、金融庁では、生きた経済の動きの中で毎日刺激を受けながら仕事をしているイメージでした。

  • (3)各種資料作成から、記者レクや大臣・長官会見の見学、大臣インタビュー同席など、金融庁でインターンシップをするからこそ出来るたくさんの貴重な体験をさせていただきました。全てが初めての経験で、わくわくする毎日でした。また、実務者の方々とお話し、積極的に教えていただける日々は、様々な点で非常に学ぶところの多い機会でした。

  • (4)基本的には、インターンシップを経験する前のイメージ(問2)とあまり変わりはありません。加えて、外から見ると監督や検査の印象が強いが、金融庁内部には様々な役割を持った部署が、部署内・外にまたがって相互に協力し、報告・連絡・相談をしながら金融庁という組織の考え、決定として外部に表わしていることを実感しました。

  • (5)学生にとって、とても有益な経験が得られる貴重な制度だと思います。私の受け入れ先の方々はとても親切で、ただでさえ忙しい普段の仕事に加えて私の面倒まで見てくださり、毎日様々な場所に同行させてくださいました。そのおかげで多くの経験をし、多くの方々とお話しすることが出来ました。今回のインターンの中で、未知の分野・視野を知り、興味を深め、さらに広げるきっかけをつくることが出来ました。お世話になった方々には感謝の気持ちでいっぱいです。貴重な経験をありがとうございました。


総務企画局総務課審判手続室
  野崎 雅人 さん
(早稲田大学大学院法務研究科
法務専攻3年)
  • (1)法科大学院の学生として、証券取引法その他の金融法を学んでいく中で、これらの諸法が実際に、行政の現場でどのように運用されているのか興味を持ちました。そして、様々指摘されている金融行政の問題点に対し、現場はどのように取り組んでいるのか、行政に携わる者とそうでない者の間で問題意識はどの程度共有されているのか、また、こうした問題について自分自身どう向かい合うべきか。それらを考えるきっかけになればと思い、今回の金融行政体験実習に応募させていただきました。

  • (2)私が「金融庁」に対して持っていたのは、厳しい監督官庁であり、クリーンであるというイメージです。前者は、元々金融機関で働かれていた法科大学院の同級生や、今まさに金融機関に勤めている友人達との会話を通じて思い描いていたイメージであり、後者は、大学院で金融法を学ぶ身として、また金融機関の一利用者として、そうした厳しい監督を行う金融庁に対して抱いていたイメージです。我々法科大学院生は、必修科目として行政法を学んでいますが、社会人経験のない、学部から直接大学院へ進学した一学生としては、ニュースや知人から伝え聞いたものを越えた、具体的な行政庁としての「金融庁」をイメージできていなかったというのが正直なところです。

  • (3)私は総務企画局総務課に配属され、主に審判手続室で証券取引法の課徴金制度に関わる業務に携わりました。同室では、課徴金納付命令の事前手続としての審判手続と、課徴金の納付・徴収に関する業務を行っています。

    実習内容としては、決裁などに同行させていただくとともに、審判手続のあり方について、様々な観点から調査し、報告書にまとめました。また、企画課の方で検討されていた政策に関して、法律上の問題点について調査し、報告書にまとめました。

    実習では、まず、法曹関係者との考え方の違いというものを感じました。司法に携わる人たちにとって、法律を変えることは立法府の仕事であり、条文をそのまま適用することによって生じる問題は、解釈によって回避するというのが通常の考え方だと思います。これに対し、行政に携わる人たちには、法律を変えることに抵抗感はなく、問題があれば法を変えればよいという意識があるように思いました。そのためか、逆に、法を執行する場面においては、より条文に忠実な解釈をとっていたのが印象的でした。

    次に、書面での報告や決裁といった作業が多いという印象を受けました。以前、弁護士事務所で実習をした際には、対内的な報告のためだけに書面を作ることはほとんどなかったと記憶しています。行政庁に限らず、組織として行動する上で当たり前の作業なのかもしれませんが、今まで経験したことがない作業だったので、とても新鮮でした。

    そして、最後に一番強く感じたのは、目線がきちんと国民の方を向いているということです。行政では、ある程度抽象化された国民を想定して政策を企画・立案するため、どうしても個々具体的な国民に被害が生じてしまいます。それを救済するのが司法の役割ですが、だからといって行政が彼らを見捨てているのではなく、行政は行政でそうした被害者が出ないように懸命に努力しているのだということがわかりました。それだけに、金融庁の方々のそうした努力が国民の皆さんに十分伝わっていないのは、非常に残念なことだと思います。

  • (4)今回の実習を終えて、「金融庁」は単に厳しいだけの組織ではない、と認識を改めました。不正に対して厳格な態度で臨むのは当然ですが、それ以外の部分については予想以上に柔軟性に富んだ組織だという印象を受けました。また、監督や検査というイメージの強い省庁でしたが、それだけではなく、様々な政策・法案を企画立案することで、金融にまつわる様々な被害から国民を積極的に保護しようとしている、情に厚い組織だと思います。

    そして、やはり何よりクリーンな省庁だと思います。他の省庁より一段と厳しい服務規定を課しているのは、自分たちが担う職務の重要性を認識していることの象徴であるように感じました。今回、職員の方々には、私がなるべくいろいろな部分を見ることができるよう配慮していただき、大変感謝しています。おかげさまで、金融庁についてより具体的なイメージを掴むことができたように思います。

  • (5)今回の金融行政体験では非常に多くのことを学ぶことができました。行政庁のインターンというと、将来の採用を意識して応募する人が多いのかもしれません。しかし、行政の仕事そのものにあまり魅力を感じていない場合であっても、金融分野に興味がある人であれば、金融庁でのインターンの経験は大きなプラスになるはずです。ですから、行政に興味がないからと言わず、一度応募してみてもらいたいと思います。金融庁の側も、実習の中で行政の仕事に興味を持ってもらうことこそがインターン制度の趣旨ですから、いろいろなことを吸収しようという強い意欲を持った人であれば、どんどん実習生として採用していってもらいたいと思います。

    また、法科大学院生の皆さんは、司法試験との関係が気になるのではないでしょうか。しかし、今回参加させて頂いて思ったことは、インターンに参加することが試験にとってプラスになることはあっても、マイナスになることはないということです。普段の法律家の視点とは異なる、行政の立場に立った法律の見方を学ぶことができるので、法律事務所へのエクスターンとは別の意味で、法律の勉強になると思います。


総務企画局政策課広報室
 藤田 大輔 さん
(北海道大学大学院法学研究科
修士1年)
  • (1)大学院で租税法・財政法を専攻しているため、将来、金融関係の職業に就きたいと考えていたところ、「金融庁」の方でインターンの募集が告知してあり、「金融庁」も就職先の1つの選択肢と考えていたので、応募しました。

  • (2)インターンに行くまで私が持っていた「金融庁」のイメージは、悪い意味でまじめな場所ではないかということでした。趣味がなく、仕事だけに専念する人々しかいないのではないかという先入観を持っていました。

  • (3)私のインターン先の部署は、「金融庁」の広報全般を取り扱う広報室でした。広報室でのインターン体験は、大きく分けて2つあったと思います。

    1点目は、審議会・報道会見(大臣会見・長官会見・記者レク・行政処分発表)のセッティングです。普段、新聞やテレビで見る人々に間近で出会ったため、初めのうちは緊張しました。しかし、慣れていくうちに、広報という業務は金融行政全般を見渡せる仕事だと気づき、個々の会見毎に興味が尽きず時間が過ぎていき、有意義に過ごせました。

    2点目は、文書配布です。1点目が、「金融庁」の仕事を「金融庁」内部から外部へ伝える仕事だとすれば、2点目の仕事は外部の情報を「金融庁」内部へ伝える仕事です。国内外の金融事情や金融庁への評価について扱っているメディアの情報を的確に収集し、庁内の人々に伝える仕事です。「金融庁」の内部と外部をつなぐ潤滑油の役割を担うことで、広報の重要性を知ることが出来ました。

  • (4)インターン終了後の私の「金融庁」のイメージは、長官をはじめとして室内の人々まで気さくな方が多いという感想です。インターン期間中、室内の人々だけではなく、他の部署の方々にも、「そろそろ仕事は慣れた?」等、色々と話をかけていただき、インターンに行くのが楽しかったです。

  • (5)私のインターン先の部署である広報室は、他の部署と異なり、「金融庁」について内外から見ることが出来るという特殊な場所であったためか、「金融庁」について詳しく知ることが出来たと思います。今年が、「金融庁」のインターン制度の初年度で、私が1人目ということもあり、まだ、制度としては荒削りな所もあったと思いますが、来年度以降も継続した方がよいと考えます。

    2週間という短い期間でしたが、「金融庁」の仕事を体験することは、かけがえのないものでした。今後、金融がますます重要視されていく中にあっては、このようなインターン制度は必要だと思います。


総務企画局企画課
 森高 盾 さん
 (明治大学政治経済学部2年)
  • (1)金融庁が行政としてどのように金融に携わっているかを、体験を通じて具体的に学びたかったからです。

    また、新聞などで知ることが、どのように決定されていくのかということが体験できると思ったからです。

  • (2)漠然と金融業界への検査、監督というイメージを持っていました。具体的に上げられることは、保険会社への業務停止・改善命令を出すということや、銀行が健全な運営をしているかどうかをチェックしているというくらいでした。

  • (3)私の受け入れ課室は、総務企画局企画課、保険・信託(信用機構)企画室、市場課でした。

    企画課は、金融制度の企画・立案の総括を行っています。

    私は、違法経済取引における被害者救済のために、行政が加害者へ損害賠償命令を出せるかどうか。また、被害者を救済するために一体どのような手段があるかを考えてみろと言われ、自分なりに調べ、まとめた後、職員の方と議論をさせていただきました。

    保険・信託(信用機構)企画室では、預金制度の企画立案等を行っています。

    私が配属された部署では、信託法、生命保険保護機構の在り方、銀行の窓口での保険商品販売の在り方などを取り扱っていました。一番印象深かったのは、生命保険保護機構の在り方について、民間の保険会社が外国の制度を視察してきた報告会に参加させていただいたことでした。

    市場課では、証券市場その他の金融市場に関する制度の企画立案等を行っています。

    私が配属された部署では、日本の市場を国際化するためにはどうしたらいいかを扱っており、私は、国際化のスタディーグループの補助作業を行いました。このスタディーグループでのトヨタ自動車の専務が行ったプレゼンで、トヨタが国際競争力をつけるために、膨大な研究費をあてていること、トップをとっても胡坐をかかない姿勢に、非常に感銘をうけました。また、チャイナショックにより、日経平均株価が急落した時に、たまたま私が市場課に配属されていたため、緊張した雰囲気も経験することができました。

  • (4)金融庁はかなり厳格なイメージがあったのですが、日々変化する金融を反映するかのように、非常に活気が溢れている場所でした。

  • (5)非常にいい制度だと思います。説明会などでは中々聞くことのできないことを聞くことができるし、公務員とはどのような仕事をしているのかを、人から聞くのではなく、自分で体験できるということは非常に貴重な体験だと思います。また、金融庁では、様々な省庁からの出向の方がたくさんいるので、他省庁の話も聞くこともでき、非常に有意義でした。

    最後に、インターン中お世話になった方々には本当に感謝しています。

    私にとって非常に有意義な二週間であり、本当にたくさんのことを勉強させていただきました。ありがとうございました。


入庁式の開催について

桜もほころぶ平成19年4月2日(月)、金融庁では、39名の若者を新規採用者として迎えて入庁式が行われました。

緊張した面持ちの中にもフレッシュな決意のあふれる新規採用者一人ひとりに対し、五味長官より採用辞令が交付されたのち、新規採用者に対し、次のような訓示がなされました。

「皆さん、入庁おめでとうございます。

皆さんは、大いなる期待を胸に、今日という日を迎えていることと思います。私をはじめ、金融庁職員一同、皆さんの入庁を心待ちにしていました。若い熱意ある皆さんを金融庁に迎え入れることができ、大変嬉しく思っています。

金融庁は、我が国の社会経済活動の根幹を支える金融の円滑を図ることを使命とする省庁です。現在、我が国の金融システムを巡る局面は、バブル崩壊後の長く厳しい時期を経て、不良債権問題の正常化を達成し、活力ある金融システムの構築に向けた時代へと本格的に移行しつつあります。また、少子高齢化やグローバル化が進む中、国民一人当たりの所得の向上を目指す観点から、金融・資本市場の構造改革と活性化が求められています。こうした今後のわが国の社会経済の方向性を決める大きな変革の時期に入庁された皆さんには、新たな時代の金融行政の担い手として、立派に成長してくれることを期待しています。

その上で、皆さんに心がけて頂きたいことがあります。

第一に、豊かな人間性と優れた人格の形成に努めて下さい。入庁後も、幅広い分野に興味・関心を持ち、多くの人の話に耳を傾け、豊かな人間性を育んでもらいたいと思います。

第二に、金融行政のプロになって下さい。国民のニーズに応えるためには、金融の知識を身につけるとともに、常に問題意識を持ち、積極的に考える姿勢を保つことが重要です。このため、日々自己研鑽に努めて欲しいと思います。

最後に、常に、国民の方を向いた仕事をして下さい。これは、国家公務員の原点です。今、皆さんが心の中に抱いている「国民のために」という熱い思いをいつまでも忘れず、日々の業務に邁進してください。

本日の輝かしい門出にあたり、皆さんのご健康と今後のご活躍を祈念して、私の訓示と致します。」

そして、五味長官から、次のような言葉も贈られました。

《England expects that every man will do his duty.》

~トラファルガー海戦において、ナポレオン海軍を打ち破った英国のネルソン提督が兵士を鼓舞した言葉~

入庁者代表宣誓の模様


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