【金融ここが聞きたい!】

  • このコーナーは、大臣の記者会見における質疑・応答(Q&A)などの中から、時々の旬な情報をセレクトしてお届けするものです。

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【多重債務者問題改善プログラム】

Q:多重債務者問題改善プログラムについて、これから実行に移すにあたって効果をあげていくには、どういった点が特にポイントになりますか。

A:一番最初のテーマは相談窓口の件でございます。この相談窓口と申しましても、これは230万人という多数に上る方々でございますし、そしてまず、債務整理。債務整理におきましては、過払い問題もございます。いわば、そこに極めて専門性の高い技術的なロジックの話も含まれております。従いまして、その意味では単に窓口を設けただけという以上に、法律専門家、法テラス、弁護士会、或いは司法書士会、そういったところへの連携をしていただけるとありがたいと思っております。ただ、既に消費生活センターという専門性の高い相談員のいる施設を、地方公共団体は、既に500ヵ所以上設けておられますので、既にあるところとの、また、経験やノウハウを活かしながらやっていただければ、スムーズにいけるのではないかというように考えております。そして、次には家計管理。借りられるところが限定をされ、今までとは違う環境に多重債務者を置きますので、もはや多重債務者に生活資金までもが閉ざされるということがないようにするためには、マイクロクレジットという形での債務者に貸付をする体制が必要でございます。そこには、およそ社会福祉協議会でのそうした公的なもの、さらに岩手県の生活生協におけるボランティア活動におけるもの、さらに新しくグラミン銀行的なものが発生していただけるというような期待、そうしたもの諸々について、家計管理ができていくことを希望しておるところでございます。さらに、職業の新たな就業というような展開も自立まで含めてできれば、相談体制としては最高のものができるのではないかと思っておりますが、あまり理想を追うというよりも、直近の課題としましては、苦痛に喘いでおられる方々の精神的救済を中心とした、まず、とりあえずは債務整理ということだけでも、全国あまねくやっていただけることを期待しているところであります。

平成19年4月20日(金)閣議後記者会見 抜粋

 

【我が国金融・資本市場の国際化】

Q:金融庁の金融審議会及び経済財政諮問会議の場で、金融の国際化について色々な意見等がまとまりました。国際化は金融庁単独ではなく、各省連携した様々な取組みが必要かと思いますが、大臣のご所見をお聞かせください。

A:ご発言のとおり、経済財政諮問会議で、特に国際的な金融・資本市場の強化・構築ということが話題となりました。そのためには制度のみならず、多岐に亘る課題について検討する必要がございます。東京は国際金融センターとしての都市インフラの面で優れている点もございますし、交通インフラ、生活環境を含め、都市機能をより強化することによって、その魅力を向上させることができると考えております。国際金融センターとしての機能向上のためには、英語対応の人材の養成・集積等を含む機能性の高い、安全で快適な都市環境の整備に積極的に取組む必要がございます。そのためには、金融行政と都市再生施策の協力と連携により、民と官一体となった取組みを推進することが重要であり、そうした観点から、今後、都市再生本部とよく連携を進めていきたいと思っております。また、地域振興についての経済財政諮問会議の日にも、「投資環境整備に対する海外からの主たる要望事項」という報告がございまして、その3番目に「国際的な金融・資本市場の強化・構築」が海外からの要望として取り上げられまして、「金融グループの地域本社誘致」ということを海外から要求されているということが明らかになりました。当然、金融機関は民間金融機関を想定しておりまして、その意味で国内金融機関を誘致というよりも、国際的な金融機関の活動の拠点という意味におきましては、海外の金融機関を誘致するということも大事でございます。その誘致する時の、抽象的に言えば、日本市場の魅力、これにかかわるわけでございまして、その魅力を作るためには金融庁のみならず、他省庁との連携、もとより必要でございます。特に、先ほど申し上げましたとおり、快適な金融機関のビジネス環境ということにおける世界の比較ということになりますと、ゾーニングだとか、建築物の機能性の高いものだとか、衛生面、治安面というようなものが全てかかってくるわけでございまして、そうしたことからも他省庁ともよく連携したいと思っております。

平成19年4月24日(火)閣議後記者会見 抜粋

 

Q:(5月21日に在日米国商工会議所の主催で講演を行ったことを受けて)
  大臣の講演において、日本橋に新しい金融街を作りたいというお話がありましたが、大臣がお考えの構想、具体策というものについてお聞かせください。

A:まず、世界の例からしますと、金融各都市・地域における金融センター機能というのは局地化されております。そこには、ビルのインテリジェント化が必要であります。即ち、巨大なシステムを支えるコンピュータ等の回線や情報機器等の装備が必要だということが、まず第一の要件でございます。機能の講演でも申し上げましたが、時差がございますので、世界のマーケットを結ぶ仕事であることから、24時間ビルが開放されていなければならない。ビルが開放されていると同時に巨額な金銭の動きを管理するものでありますから、自ずからそこに治安の対策が採られていなければならない。そして、各大手金融会社がそれぞれのビルを持つわけですから、そこの地域として治安が良くて、インテリジェント機能があってということと同時に、この間の新丸ビルで見られますように、朝5時でもレストランが開いている、或いはスポーツクラブがあるというような非常にカンファタブルな要件も必要であるわけでございまして、というような等々の機能を強化していくビルということを考えますと、そこに自ずから集積になるというところが、意図する部分と自然発生的な部分とが加味されて、金融機能が強化をされれば、すればするほど、そういったものが出来上がるというのが、カナリーワーフ、即ちロンドンやニューヨークの例でございます。従いまして、日本における金融機能を強化すれば、おそらく、そのような地域になるだろうというように思っておりますが、他方、外資における現地法人本社の数を調べますと、港区が最も大きいわけでございますので、今後、そうした問題を都市再生本部で鋭意検討いただいて、その地域については、都市再生本部にお任せしたいというように考えております。

平成19年5月22日(火)閣議後記者会見 抜粋

【足利銀行受皿】

Q:(4月23日に栃木県知事が要望を伝えるため、金融庁を訪れたことを受けて)知事の要望の中にもう少し情報を開示してほしいというような要望・要請があったかと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。

A:強い要望ではございませんでした。もう少し何らかの手掛かりがあれば議論がし易いかなというようなお話でございました。それに対して、私どもは手掛かりがあればあるほど、また、関係者のメッセージについて中立的なメッセージと思っておりましても、受け取る側、或いは聞いた人、読まれた人、こういった方々に何らかの意思を感じさせてしまうということになりますと、大変激しい競争が予想されておりますので、いわば公共的立場、中立的立場の金融庁、或いはその他の機関の公平さが担保できるかなというように思っております。それは、引いて市場の透明性や公平性、そういったものの印象にも係わってきます。それは、慎重にしていく必要があろうというように思っておりまして、しっかり公表して、たどり着いた結論という形の方が、公平、そして透明な感じを持っていただけるのか、それから、或いはもう徹底的にインナーでしっかりした調査をして発表した後で、説明をきっちりするのか、その価値観でございますが、いずれにしましてもマーケットメカニズムということを大事にしようということから考えますと、あまり事前に予測や予見ができるという材料を提供しない方がよいということに考えを持っておりまして、受皿候補の数、名称についてまで、相変わらず公表しないという態度になるということをご説明申し上げました。そうしますと、大変よく納得をいただいたというように考えております。

平成19年4月24日(火)閣議後記者会見 抜粋

【大手銀行格付け】

Q:ムーディーズが、大手メガバンクの格付けを軒並み引き上げたのですが、これに対する大臣のご所見をお聞かせください。

A:まずは、日本の(金融機関の)格付がランクアップされたということにつきましては、いわゆるシステミックリスクの問題から、いよいよ発展の段階に入ったことを海外から評価いただいたということだろうと思っております。喜ばしいことでございます。一般論として申し上げれば、主要金融機関が不良債権問題を脱却した今日、国際金融市場において存在感を発揮し、また、顧客の多様なニーズに応えられるよう、経営を行っていただくことを期待しているところでございまして、こうしたことをきっかけに、さらに銀行としての役割を果たしていただきたいというように願っております。

平成19年5月8日(火)閣議後記者会見 抜粋

【地方銀行の統合】

Q:山形で「きらやか銀行」が発足しまして、金融界の方でも地銀統合に向けた動きが出ていますが、地方銀行の再編に関しまして大臣のご所見をお聞かせください。

A:経営統合は、あくまで各金融機関の自主的な経営判断に基づいて決定されるものでございます。一般論として申し上げれば、経営統合は、規模の経済や範囲の経済、店舗や経営資源の効率的な配置、システム投資の効率化、人材やノウハウの多様化等が働くことによる経営効率の向上とともに、経営改革や当事者間の相互チェックによる企業統治の向上が期待できるものでございます。経営統合の具体的な効果につきましては、個々の企業やそれらの企業を取り巻く環境等によって異なり得ることから、一概に申し上げることは困難でございますが、今回の経営統合が、さっき申し上げましたようなポジティブな結果に結びつくことを期待するところでございます。地方銀行、特に不良債権がまだ片付いていない地域でのネガティブな経営統合というのもあるでしょうし、更に収益力強化、大競争時代への備えというポジティブな強化もございます。そんな意味で、これからの推移を見ながら、金融庁といたしましても、健全性を求めて、更に経済の成長にどうしたら資することが大なのかということも考え合わせ注目したいと思います。

平成19年5月8日(火)閣議後記者会見 抜粋

【消費者金融決算】

Q:消費者金融の大手4社の決算が出揃い、4社で1兆7,000億円を超す巨額な赤字を計上しました。また一方で、大手の中には貸金業法の施行に先立って、上限金利を引き下げる動きも出ているようですが、こうした業界の動向について大臣のご所見をお聞かせください。

A:まず、赤字の公表、またそれに関連することについて申し上げますと、過払金返還請求の急増、引当増による大幅な赤字、そうしたことについては、既に色々と報道をなされ承知しているところでございます。また、上限金利の引下げや総量規制の導入等、貸金業者を取り巻く経営環境が厳しいものとなっているということは事実でございます。そして、大手銀行、金融機関におかれましても、貸金業者の経営状況を踏まえた業績の下方修正が行われておるわけでございます。こういった中、各社・各グループは、種々のリストラ策を公表するなど、ビジネスのあり方の見直しを進めております。当局といたしましては、各社・各グループにおきまして、改正貸金業法の趣旨を踏まえ、法令遵守態勢、内部管理態勢の整備にしっかり取り組んでもらうなど、新しいビジネスモデルを構築し、模索されることについて注視していきたいと思っております。そして、貸金業の消費者金融最大手のアコムが上限金利の引下げを発表されました。これは、法令施行前の先取りした考え方であろうと思いますが、市場機能としましては、将来予測というものがあるわけでございまして、市場のメカニズムの一つではないかというように思っております。融資の金利形態、金利帯や商品性、それぞれの貸金業者の経営判断によるところではありますが、貸金業法において概ね3年後に上限金利の引下げ、総量規制の導入というようなことからしまして、過去における金利の下げにおいての経験則からしまして、今回も先取りしたというように思っております。いずれにいたしましても、当局としましては、それぞれの貸金業者が貸金業の適正化、過剰貸付の防止、金利体系の適正化といった法の主旨を踏まえまして、準備期間中において、適切にビジネスモデルの見直しを進めることによりまして、改正貸金業法が円滑に施行されることを期待しているところでございます。

平成19年5月11日(金)閣議後記者会見 抜粋

【大手銀行決算】

Q:大手銀行の2007年3月期決算が今週末から本格化し始めますが、大臣はどういうところに注目されておりますか。

A:一般に決算発表がございますが、各企業とも概ね好調であろうというように考えております。特に金融機関の中の大手銀行、銀行における決算についての私の関心事項は、本来業務純益の内容にあります。他の運用面等も含めまして、今後どういう推移を辿るかということについての一つの示唆があろうと思っておりますので、この点注目してまいりたいと思います。

平成19年5月15日(火)閣議後記者会見 抜粋

【電子マネー】

Q:流通系ですとか交通系ですとか、民間各社の電子マネーを巡る動きがあります。この電子マネーについて、利用者保護のための法的な枠組みが十分でないとの指摘がありますが、金融庁として、今後、どのように対応していく必要があるのか、お考えをお聞かせください。

A:IC型電子マネーは、前払式証票規制法の適用対象とされておりまして、未使用残高の2分の1相当額について、供託等を行うことによりまして、一定の利用者保護が図られております。他方で、証票が発行されていないインターネット上の取引で使用できるようなネットワーク型の電子マネーは、前払式証票規制法の対象となっていないわけでございます。このような電子的支払サービスにつきまして、金融庁としても、金融審議会「情報技術革新と金融制度に関するワーキンググループ」を設置して課題整理を行いまして、昨年4月に今後検討すべき課題を座長メモとして公表したところでございます。具体的には、一番に「サービス提供者破綻時の利用者保護」、二番に「電子的支払サービスに関する当事者間の責任分担のあり方等」、三番に「電子的支払サービスのあり方」が課題として挙げられております。このような課題につきまして、情報技術革新に伴うサービスの発展を阻害しないように配慮しながら、多様かつ安定した決済サービスを可能とし、利用者を適切に保護する観点から検討を更に行うことが重要と考えております。現在のところ、直ちに前払式証票規制法等の改正を行う予定はございませんが、多岐に亘る論点が関連する課題でございますため、今後も、着実に各論点に関する検討を継続してまいりたいと考えるところでございます。

平成19年5月18日(金)閣議後記者会見 抜粋

【G8財務大臣会合】

Q:ドイツで開かれたG8財務相会合で、ファンド規制については監視強化で合意され、直接規制が見送られるという内容でしたが、大臣のご所見をお聞かせください。

A:金融庁は、以前から利用者保護の観点、それから市場の健全性といったことを中心に、ファンドについては考えるところでございますし、また、私もFRBの高官とこの問題について整理をした時には、プライベートファンドについては、完全自由な行動をむしろ認めるべきである。しかし、ヘッジファンドについては、やや注意を要する点がある。その注意とは、短期投機的な動きについては、これは市場の混乱を招くので注意を要する。この注意を要することにおいて、登録までしていくということが是が非か、或いは規制をするということが是が非か、ここについては、アメリカでもまだ悩み多きことであって検討中ということでございます。また、そこで、我々としましては、投資家保護の観点からは届出いただいて、それでその行為について中身までは監視しないけれども、もし、何らか投資家に損害が与えられるようなことがあれば、所在場所、連絡場所等については、しっかりと把握しておきたいというようなところが、今の考え方でございます。ドイツで行われましたG8のポツダムでの話は自主規制ということでございますので、そういったことは、今後自主規制の中から、自ずから浮き彫りにしていただけるというものと期待しているところでございます。

平成19年5月22日(火)閣議後記者会見 抜粋

【その他】

Q: 国内三大証券の一角である日興コーディアルが、外資の傘下に入るということですが、三角合併の解禁を前に、民間企業の一部から外国企業からの買収を懸念する声も出ているようです。こうした環境の中、大手証券が外資の傘下に入るという点について、大臣のご所見をお聞かせください。

A:金融庁としましては、証券会社が法令等を遵守し、市場仲介機能を適切に発揮することで、信頼性と厚みのある証券市場が実現するとともに、適切な投資家保護が図られることを重視しております。国内企業でありましても、国外企業でありましても、こうした方向に寄与していただくことが大事であろうと考えております。なお、監督行政にあたりましては、従来から内外無差別の原則の下、国内の金融機関と外国資本の金融機関等との間で異なる取扱いを行うということはございませんので、その意味におきましては内外無差別。また、上場している以上は、外資であろうが、内資であろうが、株式購入は可能でありますので、その意味におきましては、当然予測される範囲、想定の範囲内の話として受け止めるべきことであろうと思っております。

平成19年4月27日(金)閣議後記者会見 抜粋


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