【トピックス】

「平成18年度実績評価書」、「平成19年度事業評価書」、及び「平成19年度事後事業評価書」の公表について

1.はじめに

金融庁においては、平成14年4月に施行された「行政機関が行う政策の評価に関する法律」の趣旨を踏まえ、政策評価の実施を通じて、

  • (1)国民に対する金融行政の説明責任(アカウンタビリティ)を徹底すること

  • (2)国民本位の効率的で質の高い金融行政を実現すること

  • (3)国民的視点に立った成果重視の金融行政を実現すること

を目指しています。

これまで金融庁においては、金融庁設置法で定めた法定任務(金融機能の安定、預金者・保険契約者・投資者等の保護、円滑な金融)について、政策評価に係る基本計画や実施計画などを策定の上、政策評価に鋭意取り組んでおり、実績評価に関しては、平成13年度(13年7月~14年6月)以降、毎年度を対象とする実績評価書を作成・公表しました。

また、政策評価をより一層予算に活用するとの観点から、平成15年度以降、毎年度、予算措置を伴う事業のうち新規あるいは拡充を予定している主なものを対象として事業評価(事前評価)を実施することとし、事業評価書を作成・公表しました。さらに、過去に事業評価(事前評価)を実施し、効果が発現した事業のうち主なものを対象として事業評価(事後評価)を実施することとし、事後事業評価書を作成・公表しました。

【参考】

政策評価とは、各府省が自らその政策の効果を把握・分析し、評価を行うことにより、次の企画立案や実施に役立てるものです。

なお、政策評価には以下の3つの方式があります。

  • (1)実績評価方式

    政策を決定する際に、あらかじめ達成すべき目標を設定し、これに対する実績を定期的・継続的に測定するとともに、目標期間が終了した時点で、目標の達成度合いについて評価する方式。

  • (2)事業評価方式

    政策を決定する前に、あらかじめ期待される政策効果等を推計・測定し、政策目的が妥当か、行政が担う必要があるか、費用に見合った効果が得られるかなどの観点から評価する方式(必要に応じ事後の時点で、事前の時点に行った評価内容を踏まえ検証)。

  • (3)総合評価方式

    政策の決定から一定期間を経過した後に、特定のテーマについて、政策効果の発現状況を様々な角度から掘り下げて分析し、政策に係る問題点を把握するとともにその原因を分析するなど総合的に評価する方式。

2.平成18年度実績評価書の内容

今回は、平成18年度(18年7月~19年6月)を対象とする政策評価実施計画に定めた26の政策について、実績評価を実施しました。

具体的には、金融庁が法定任務を遂行していくための26の政策について予め目標を定め、それぞれ目標の達成に向けて行った業務内容等を分析し、各政策の評価を行いました。なお、今回から、指標等に照らした当該年度の目標の達成度を3段階(A、B、C)で評価しています。

3.平成19年度事業評価書の内容

今回は、情報等の分野の事業で、平成20年度に予算措置を伴う事業のうち新規あるいは拡充を予定している主なものを対象に、事業評価(事前評価)を実施しました。

事業評価(事前評価)の実施に当たっては、事業の目標、目的及び内容を明らかにするとともに、必要性、効率性、有効性等の観点から評価を行っています。

4.平成19年度事後事業評価書の内容

過去に事業評価(事前評価)を実施し、効果が発現した事業のうち主なものを対象に、事業評価(事後評価)を実施しました。

事業評価(事後評価)の実施に当たっては、具体的成果を踏まえ、必要性、効率性、有効性等の観点から検証を行っています。

※ 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「平成18年度実績評価書」、「平成19年度事業評価書」、及び「平成19年度事後事業評価書」の公表について(平成19年8月30日)にアクセスしてください。


19年5月に実施した「中小企業金融モニタリング」の取りまとめ結果の公表について

「中小企業金融モニタリング」は、中小企業金融の円滑化に向けた取組みの一環として、財務局・財務事務所職員が、商工会議所等、日本公認会計士協会地域会及び税理士会の協力を得て、各地域における中小企業から見た中小企業金融の実情等について的確に把握するために四半期毎に実施しているものです。

今般、平成19年5月に実施した中小企業金融モニタリングの結果を当庁において以下のとおり取りまとめ、公表しました。

今回の調査結果について俯瞰してみると、

  • 中小企業に対する融資姿勢は、全地域において、「積極的である」、「やや積極的である」との回答が概ね6割~8割を占めています。

  • また、中小企業金融の実情については、信用保証協会の保証付融資を利用しないと相談に応じないなど融資姿勢が消極的といった意見も少数聞かれるが、全体としては金融機関の融資姿勢は積極的、との意見が多く見られます。

金融庁としては、得られた情報について、金融機関の検査・監督の実施に当たり重要な情報として活用するなど、中小企業金融の円滑化に向けて引き続き努力していきます。

1.モニタリング聴取先について

全国47都道府県の商工会議所、商工会連合会、商工会、中小企業団体中央会等の経営相談に携わる者、税理士、公認会計士411人(250団体)からヒアリングを行いました。

団 体 先 聴取人数(団体数)
商工会議所 176人( 88)
商工会 132人( 98)
商工会連合会 30人( 12)
税理士会 29人( 25)
中小企業団体中央会 22人( 12)
日本公認会計士協会 16人( 12)
商工会議所連合会 4人(  2)
中小企業家同友会 2人(  1)
合計 411人(250)

(注) 当モニタリングは毎回同じ訪問先に調査を行うといった定点観測ではないため、ヒアリング対象数、対象先が調査実施毎に異なる場合があります。

2.ヒアリング結果概要

  • (1)「中小企業金融に関する最近3ヶ月間の貸出動向について」のヒアリング結果概要

    • 地域毎の概要

      地域毎にばらつきは見られるものの、全地域において「積極的である」、「やや積極的である」との意見が概ね6~8割を占めています。また、「消極的である」、「やや消極的である」との意見は全地域において概ね1割を下回っています。

      地域毎の概要

    • 業態毎の概要

      最近3ヶ月の動向 主要行 地方銀行
      第二地方銀行
      信用金庫
      信用組合
      政府系金融機関 全体
      1 積極的である 66 33.3% 89 22.5% 118 31.6% 162 40.5% 435 31.8%
      2 やや積極的である 69 34.8% 166 42.0% 143 38.2% 142 35.5% 520 38.0%
      3 どちらとも言えない 51 25.8% 115 29.1% 89 23.8% 74 18.5% 329 24.1%
      4 やや消極的である 7 3.5% 18 4.6% 16 4.3% 20 5.0% 61 4.5%
      5 消極的である 5 2.5% 7 1.8% 8 2.1% 2 0.5% 22 1.6%
      合計 198 100.0% 395 100.0% 374 100.0% 400 100.0% 1367 100.0%
      (注1) 当モニタリングは毎回同じ訪問先に調査を行うといった定点観測ではありません。
      (注2) 上記表は、有効回答の内訳を表したものです。無回答及び不明は含まれておりません。このため、聴取人数と意見の合計数は一致しません。

      上記表の「4 やや消極的である」・「5 消極的である」を選択したものの理由

      上記4・5の理由 主要行 地方銀行
      第二地方銀行
      信用金庫
      信用組合
      政府系金融機関 全体
      新規融資姿勢関連 6 35.3% 10 28.6% 8 32.0% 10 27.0% 34 29.8%
      担保・保証関連 2 11.8% 5 14.3% 7 28.0% 5 13.5% 19 16.7%
      金利関連 1 5.9% 1 2.9% 1 4.0% 2 5.4% 5 4.4%
      融資条件関連 3 17.6% 10 28.6% 5 20.0% 9 24.3% 27 23.7%
      審査手続関連 3 17.6% 7 20.0% 2 8.0% 8 21.6% 20 17.5%
      その他 2 11.8% 2 5.7% 2 8.0% 3 8.1% 9 7.9%
      合計 17 100.0% 35 100.0% 25 100.0% 37 100.0% 114 100.0%

      (注) 一つのヒアリング先から複数の意見が寄せられることもあるため、上記4・5の合計回答件数(83件)と上記表の全体の合計回答件数(114件)は一致しません。

  • (2)「中小企業から見た地域における中小企業金融の実情等について」のヒアリング結果概要

    中小企業から見た地域における中小企業金融の実情等について以下の10項目を聴取しました。

    ○  融資姿勢に関するもの

    ○  担保・保証に関するもの

    ○  経営指導に関するもの

    ○  創業・再生支援に関するもの

    ○  融資の際の説明態勢に関するもの

    ○  相談苦情処理機能に関するもの

    ○  金融機関の資質・能力に関するもの

    ○  融資の際の審査期間に関するもの

    ○  金利に関するもの

    ○  その他

    各項目に寄せられた主な意見は以下のとおりです。

    (注) 主な意見における(  )内は、意見を収集した財務局名を指しておりますが、同一財務局において多様な意見を収集しており、それぞれの意見を抜粋して記載しています。

    ○  融資姿勢

    • 地方公共団体における制度融資等を活用するなど、融資姿勢は積極的である(全地域)
    • 新規融資の担当者を配置するほか、新規融資先の獲得のために地方公共団体のホームページに広告を載せるなど、新規融資に積極的に取り組んでいる(全地域)
    • 税理士会と提携したビジネス・ローン等の金融商品を拡充するなど、中小企業向け融資に積極的に取り組んでいる(北海道、東北、四国、沖縄)
    • 他の金融機関の借入金を一本化するよう提案しているなど、借換に積極的に応じる動きが見られる(北海道、東北、中国、四国、九州)
    • 信用保証協会の保証付融資を利用しないと相談に応じないなど、融資姿勢は消極的である(北海道、東北、関東、近畿、中国、四国、九州)

    ○  担保・保証

    • 信用保証協会等の制度融資を利用するほか、スコアリング・モデル(企業業績を定量分析し、算出された信用リスクに基づき融資可否を判定)を用いた金融商品を推進するなど、無担保・無保証の金融商品を提供する取組みが定着している(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、福岡)
    • 開業資金の審査に当たっては、担保より事業計画を重視するなど、従前より過度に担保・保証に依存していない(北海道、東北、関東、東海、近畿、中国、四国、福岡)
    • 個人の土地のみならず、関連会社の土地まで追加担保を要求されるなど、担保・保証に依存した融資姿勢が見られる(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、福岡)

    ○  経営指導

    • 経営相談の専担部署を設置するほか、経営相談会やビジネス・マッチング・フェアを開催するなど、組織として経営指導に積極的に取り組んでいる(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、福岡)
    • アジア進出を計画した中小企業に対して、金融機関が地域情報を提供したり、現地支店が企業をサポートするなど、経営内容に踏み込んだ経営指導を行っている(北海道、東北、関東、東海、近畿、中国、四国、九州、福岡)
    • 財務上の課題は分析できるが、その改善策を提案できないほか、既存の借入金を一本化する等の財務内容に対する改善策の提示がないなど、積極的な経営指導は行われていない(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、福岡、沖縄)
    • 中小企業診断士等の資格を保有して具体的な指導が出来る職員が少ないなど、担当者の能力が不足している(東北、東海、北陸、近畿、中国、九州)

    ○  創業・再生支援

    • 創業者向けのセミナーを開催するほか、業況不芳な企業については、中小企業再生支援協議会を活用するなど、創業・再生支援に積極的に取り組んでいる(北海道、東北、関東、東海、近畿、中国、四国、九州、福岡)
    • 少ない自己資金で創業を目指す人に対しても、相談やアドバイスを行い創業まで結び付けているほか、再生支援のプロジェクト・チームが事業改善計画を確認して積極的に再生支援を行っている(北海道、九州)
    • 創業支援については、リスクを取らない消極的な姿勢であるほか、再生支援については、企業の業績が悪化した際に担保保全や債権回収を優先する傾向は変わらないなど、積極的な創業・再生支援は行われていない(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、福岡)

    ○  融資の際の説明態勢

    • 徴求書類の説明や書類の写しの交付等が充実しているほか、重要事項については説明書を交付するなど、十分な説明を行っている(全地域)
    • 金融機関の職員が制度融資の内容を熟知しており、満足のいく対応しているほか、貸出金利や信用保証制度における信用保証料などの融資条件をきちんと事前に説明している(北海道、近畿、九州)
    • 長期間融資可否の判断を曖昧にしていたほか、企業の提出書類の不備に対する説明が不足していたため、借入まで長い期間を要したなど説明不足と認められる事案がある(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、福岡)

    ○  相談苦情処理機能

    • お客様相談室などの専門部署を設置するほか、内部研修や事例研究を実施して苦情案件の再発防止に努めるなど、相談苦情処理態勢が整備されている(北海道、東北、関東、東海、近畿、中国、福岡)
    • 支店の上級職が顧客の不満、要望を積極的に聞くほか、本部が相談苦情に対する対応を一括して行い、必要に応じて顧問弁護士を交えて解決を図っている(四国、九州)
    • 追加融資を希望した際、納得いく説明がないまま拒否されたほか、融資拒絶を受けた際にその理由を求めたが回答がなかった(四国、九州)

    ○  金融機関の資質・能力

    • 中小企業診断士などの資格取得に取り組むほか、研修会を実施して目利き能力の向上を図るなど、組織として積極的に取り組んでいる(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、四国、九州、福岡、沖縄)
    • 地域経済や事業者の状況等に応じて制度融資の活用を勧めるなど、多様な情報を駆使して対応しているほか、経営者の資質や事業計画の妥当性に関してしっかりと検討している(北海道、東北)
    • 財務諸表を見て返済能力を判断する分析能力は十分であるが、企業の将来性を判断する能力はないほか、決算数値に表れない企業独自の強み、技術力等を融資判断時に考慮していないなど、目利き能力が不足している(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、九州、福岡)
    • 制度融資に関して、基本的な内容の理解が不足しており、書類の不備が多いほか、スコアリング・モデルに依存した融資を行っているために職員独自の審査・調査能力は低下している(北陸、中国)

    ○  融資の際の審査期間

    • 信用保証協会の保証付融資に当たっては、事前に信用保証協会と連絡を取り、審査の迅速化を図っているなど、融資の際の審査期間については特に問題となっていない(北海道、関東、東海、近畿、中国、四国、九州、福岡)
    • 融資可否を7営業日以内に回答すると明示した金融商品もあるなど、審査期間が短い金融商品を販売している(北海道、東北、関東、北陸、近畿、中国、四国、福岡)
    • スコアリング・モデルを活用した融資によって審査期間は短くなっているほか、融資出来ない場合でも速やかに回答しており審査処理が早い(東北、九州)
    • 信用保証協会の保証付融資に当たって、信用保証協会との事前協議が終わった後の手続きが遅く、手続きに時間を要している理由の説明も不十分であるなど、審査期間は短くなっていない(東北、関東、近畿、中国、福岡、沖縄)

    ○  金利

    • 貸出金利は上昇傾向にあるものの、企業の経営を圧迫するほどの上がり方ではないなど、金利に関する不満はない(北海道、東北、関東、東海、近畿、中国、四国、九州、福岡)
    • 企業の信用リスクに応じた金利水準の適用が定着しているなど、金利水準は適切に設定されている(全地域)
    • 企業の信用格付けに応じて設定する金利水準は妥当であるほか、バブル期と比べるとまだまだ金利は低く、不満が出るような水準ではない(東北、九州)
    • プロパー融資の金利が高いという不満があるほか、中小零細企業の経営には厳しい金利水準となっているなど、金利水準は高い(北海道、東北、関東、北陸、近畿、中国、四国、九州、福岡、沖縄)

    ○  その他

    • 19年10月実施予定の責任共有制度(信用保証協会の保証付融資において、金融機関が代位弁済額を一部負担)により、金融機関の融資姿勢が厳しくなるのではないかと懸念している(北海道、東北、東海、北陸、中国、四国、九州)
    • 融資条件の変更時の手数料や、ATM手数料などの各種手数料が高い。金融機関は手数料を引き下げて利用者に利益還元してほしい(北海道、東海、近畿、九州)
    • 金融機関の貸出金利と預金金利について、差が開きすぎている(北陸、近畿、九州)
    • 売掛債権担保融資については、担保掛目が40~50%と低いため使い勝手が悪い(近畿)
    • 地域密着型金融の推進の意義を認識し、金融機関としての長期的役割と経営方針を明確に保有すべきである(沖縄)
  • (3)「中小企業金融の円滑化策の浸透を示す事例について」のヒアリング結果概要

    • 中小企業金融モニタリングでは、中小企業金融の円滑化策の浸透を示す事例として、毎回、検査・監督に関する特定のテーマを設定し調査を行っています。
    • 今回の質問調査事項とそれに対する主な意見は、以下のとおりです。

    [金融検査マニュアル別冊[中小企業融資編](改訂版)の中小企業への浸透状況について

    【寄せられた主な意見】

    • 金融機関や商工団体等の関係機関から間接的に情報を受けていると思われることから、中小企業者へある程度浸透していると思われる。
    • 商工会議所の経営指導員等は内容を理解しているが、中小企業者への浸透は十分ではない。
    • 中小企業者への浸透は十分とはいえないが、金融機関には浸透しており適切に対応しているので、更に浸透させる必要性はないと思う。
    • 説明会へ講師を派遣するなどの官側からの広報を行ってはどうか。

3.「中小企業金融モニタリング」の活用状況について

  • (1)ヒアリングの実施

    中小企業金融モニタリングで得られた個別金融機関に関する情報を活用し、当該金融機関の対応方針、態勢面等についてヒアリングを行いました。

  • (2)意見交換会における要請(金融庁での活用)

    金融庁幹部と業界団体代表者の意見交換会(毎月開催)等において、中小企業金融モニタリングで得られた事例を紹介しています。具体的には、○事業からのキャッシュフローを重視した、担保・保証に過度に依存しない融資など、健全な中小企業に対する資金供給の一層の円滑化や、○これまでの取引関係や顧客の知識、経験及び財産の状況を踏まえた、顧客の理解と納得を得るような十分な説明の実施、○金融検査マニュアル別冊の周知等について要請を行っています。

  • (3)地域金融円滑化会議の活用等(財務局等での活用)

    都道府県毎に設置し、半期毎に開催している「地域金融円滑化会議」(金融当局、中小・地域金融機関及び関係業界団体から構成)や、財務局幹部等と金融機関代表者との面談など、諸々の機会を通じて、顧客への説明態勢の整備や相談・苦情処理機能の強化について注意喚起を行うとともに、中小企業金融の円滑化に向けた取組みの要請を行っています。

※ 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「平成19年5月に実施した「中小企業金融モニタリング」の取りまとめ結果の公表について」(平成19年9月3日)にアクセスしてください。


「公正な市場の確立に向けて~『市場の番人』としての今後の取組み~」

はじめに

証券取引等監視委員会新しいウィンドウで開きます(以下「証券監視委」という)では、平成19年7月20日、新たに委員長に佐渡賢一、委員に福田眞也及び熊野祥三がそれぞれ任命され、第6期となる新体制が発足しました。これに伴い、証券監視委としての今後の取組みに関する基本的考え方を取りまとめ、9月5日、PDF「公正な市場の確立に向けて~『市場の番人』としての今後の取組み~」新しいウィンドウで開きます(以下「基本的考え方」という)を公表しました。

この証券監視委の中期的な戦略は、総合力の発揮により公正・透明な質の高い市場を形成し、我が国市場の活性化や国際競争力の向上を目指すものであり、様々な点で金融庁が掲げているベター・レギュレーションの考え方と軌を一にしています。

基本的考え方の概要は以下のとおりです。

基本的考え方の概要

  • 1. 証券監視委の使命

    証券監視委は、引き続き、

    • 市場の公正性・透明性の確保
    • 投資者の保護

    を目指して市場監視に取り組んでいきます。

  • 2. 基本的な考え方

    我が国市場を取り巻く状況は、金融商品・取引の複雑化・多様化・グローバル化といった環境の変化や、それらを踏まえた金融商品取引法の施行をはじめとする制度の変革など、ダイナミックに動いています。証券監視委は、こうした大きな変化に対応し、「市場の公正を汚す者には怖れられ、一般投資家には心強い存在」であるべく、2つの基本的な考え方に則ってその使命の達成に取り組んでいきます。

    • (1)機動性・戦略性の高い市場監視の実現

      • 証券監視委の持つ、市場分析審査、証券検査、課徴金調査、開示検査、犯則調査といった手段を戦略的に活用し、迅速かつ効果的な市場監視を行います。
      • その際、市場の動きに対してタイムリーかつ機敏に対応するとともに、顕在化しつつあるリスクに対しても将来に備えた機動的な対応を目指します。
      • また、自主規制機関、海外当局などとの連携を強め、全体としての市場監視の効果を上げていきます。
    • (2)市場規律の強化に向けた働きかけ

      • 市場監視から得られた問題意識を、建議などを通じて、金融庁をはじめとする関係機関によるルール整備、制度づくりに反映させていきます。
      • 各市場参加者による自主的な取組みを通じた市場規律機能が強化されるよう、自主規制機関等を通じて各市場参加者に積極的に働きかけていきます。
      • そのため、市場参加者との対話、市場への情報発信も強化していきます。

    証券監視委としては、このような考え方に基づき、その総合力を発揮した実効性の高い市場監視を通じて公正・透明な質の高い市場を形成していくことが、我が国市場の活性化、国際競争力の向上に貢献するものと考えています。

  • 3. 重点施策

    市場監視の各手段を戦略的に活用しながら、特に以下のような点に重点をおいて、実効性のある効率的な市場監視を行っていきます。

    • (1)包括的かつ機動的な市場監視

      • 発行市場・流通市場全体に目を向けた市場監視を行います。
      • 直ちに法令違反とは言えないような取引などについても、幅広く注意を払っていきます。
      • 個別取引や市場動向の背景にある問題を分析し、機動的な市場監視に役立てていきます。
    • (2)課徴金制度の一層の活用

      • 課徴金制度の特性を活かした迅速・効率的な調査の実施に努めるとともに、課徴金制度の見直しに適切に対応していきます。
    • (3)金融商品取引法制の適切な運用

      • 検査対象業者の範囲の拡大などを踏まえ、検査マニュアルを全面改訂し、検査手法やノウハウの確立に取り組むほか、公益の確保や投資者保護を念頭に、内部管理態勢に着目した検査を実施していきます。
      • 開示検査についても、四半期開示制度の導入などに適切に対応していきます。
    • (4)自主規制機関などとの連携

      • 全体としての市場監視機能を強化するため、自主規制機関の行う考査・監査や、ルール整備、市場参加者への情報発信の面での連携を一層強化していきます。
    • (5)グローバル化への対応

      • 情報交換や国際的な電子取引への監視の強化など、海外当局と積極的に連携し、市場監視の空白を作らないよう取り組んでいきます。

    また、基本的考え方の中では、市場参加者に対するメッセージとして、市場の公正性・透明性を確保するためには、市場参加者一人一人の努力が不可欠であり、証券監視委と力を合わせ、我が国市場を誰でも安心して利用できる公正・透明なものとしていくよう呼びかけています。

おわりに

証券監視委としては、上記の基本的考え方を踏まえ、市場監視機能を十分に発揮し、市場の公正性の確保及び投資者保護に向けて最善を尽くしていく所存です。

※ 基本的考え方は、証券取引等監視委員会ホームページの「報道発表関係」から、「記者会見等の概要」のPDF「公正な市場の確立に向けて~『市場の番人』としての今後の取組み~」(平成19年9月5日)にアクセスしてください。


証券取引等監視委員会の事務処理状況の公表について

1.はじめに

証券取引等監視委員会新しいウィンドウで開きます(以下「証券監視委」という。)は、金融庁設置法第22条の規定に基づき、毎年、事務処理状況を公表しており、平成19年8月31日に、平成18年7月1日から平成19年6月30日までの期間(以下「平成18事務年度」という。)における事務の処理状況を「証券取引等監視委員会の活動状況」として公表しました。なお、今回の公表は、証券監視委発足後15回目となります。

2.概要

「貯蓄から投資へ」といった投資活動の促進のためには、公正かつ透明性の高い健全な証券市場を確立するとともに、市場に対する投資者の信頼を保持することが不可欠の課題となっています。こうした中、市場監視機能の充実・強化も行われてきており、中でも、平成17年には、従来からの犯則事件の調査や証券会社等の取引の公正確保に係る検査に加え、新たに導入された課徴金調査のほか、開示検査、証券会社等の財務の健全性等に係る検査及び投資信託委託業者・投資顧問業者等に対する検査の権限も証券監視委に委任され、また、新たに外国為替証拠金取引を扱う業者が金融先物取引業者として検査の対象となるなど、証券監視委の検査範囲は大幅に拡大されました。平成18事務年度においては、従前からの犯則事件の調査や証券会社等の取引の公正確保に係る検査はもとより、これらの大幅に拡大された権限に基づき調査・検査を実施してきたところです。

(不公正取引に対する告発・勧告)

「不公正取引に対する告発については、証券監視委発足以来の年間最多の12件の告発を行いました。IT技術の進展などを背景に、全国どこからでもインターネットを利用した情報伝達や発注が可能となり、いわゆるインターネット取引を通じたインサイダー取引や相場操縦などの不公正取引の可能性も増大していることから、こうした不公正取引に関しても全国に広く監視の目を向け、各地の捜査当局等と連携することにより、証券市場の信頼を揺るがす重大・悪質な犯則事件に対して告発を行った。この中には、法定公告を担当する新聞社の従業員が行ったインサイダー取引(西松屋チェーン他4銘柄事件)、重要事実に関する公表資料の作成等について業務委託契約を締結した法人の役員等によるインサイダー取引(ホーマック他1銘柄事件)事件などがありました。

「不公正取引に対する勧告については、9件の課徴金納付命令(いずれも内部者取引に関するもの)の発出を求める勧告を行いました。これらの中には、上場会社が重要事実の公表前に自己株式を買い付けたことがインサイダー取引に該当するとして、多額の課徴金の納付を求めた事例もありました。また、これらの勧告を契機として、上場会社が内部規程や社内管理体制の見直しを行うなど、インサイダー取引の未然防止に取り組む契機となりました。

(ディスクロージャーに関する告発・勧告)

「ディスクロージャーに関する告発については、犯則事件の調査の結果、虚偽の有価証券報告書等の提出につき1件・3名について、証券取引法に違反するとして告発を行いました(サンビシ事件)。

「ディスクロージャーに関する勧告については、開示検査の結果、平成18年11月に初の課徴金納付命令の発出を求める勧告(東日本ハウス(株)に係る有価証券報告書の虚偽記載)を行ったのをはじめ、開示書類の虚偽記載について計5件の課徴金納付命令の発出を求める勧告を行ったほか、訂正報告書等提出命令の発出を求める勧告を1件行いました。これらの中には、(株)日興コーディアルグループに係る発行登録追補書類の虚偽記載に対する課徴金納付命令の発出を求める勧告があり、ディスクロージャーに対する社会的関心を高める契機となりました。

(証券検査)

「証券検査については、発足以来最多となる209社の検査を終了し、問題点が認められた142社のうち、28社について行政処分等の勧告を行いました。特に、平成18事務年度には、自主規制機関に対して、自主規制業務が実効性の高いものとなっているか、その機能が適切に発揮されているか、という観点から検査を行い、売買審査業務に係る不備等が認められた3機関に対して行政処分の勧告を行いました。

(建議)

「建議については、平成4年の証券監視委の設立以来、前事務年度までに12件の建議を行ってきたところですが、引受審査、市場指標を歪める取引の規制及び法定帳簿の保存期間の見直しについて、金融庁長官に対し、3件の建議を行いました。

(市場分析審査)

「平成18事務年度中に投資者など一般から受け付けた情報は6,485件となっています。

「また、平成18事務年度の取引審査件数は、合計1,039件であり、前事務年度と比較すると約2割増加しており、平成4年の発足以来最高の審査件数となっています。

「加えて、クロスボーダー取引の増加に伴い、証券監視委は海外規制当局との間で緊密な連携を図っているところであり、証券監視委の審査において端緒を把握し、海外規制当局に緊密な連携を働きかけた結果、同事務年度には海外規制当局による処分が2件行われました。

※ 詳しくは、証券取引等監視委員会ホームページの「年次公表」から「平成18年度版年次公表」新しいウィンドウで開きますにアクセスしてください。


次のページ

 

 

 

サイトマップ

ページの先頭に戻る