【平成19事務年度 監督方針について】

金融商品取引業者等向け監督方針について

去る8月24日、金融庁では「平成19事務年度金融商品取引業者等向け監督方針」を公表しました。監督方針は、行政の透明性と監督対象者の予測可能性向上の観点から、一年間の監督上の主な検証ポイント等を示すもので、一昨年(平成17事務年度)初めて策定・公表し、今回が三回目の方針となります。第一回目は「証券会社向けの監督方針」でしたが、昨年は対象を「証券会社等」とし、金融先物取引業者や投資信託委託業者などにまで対象を拡げました。本年は更に、9月30日の金融商品取引法の完全施行を踏まえ、例えば集団投資スキームの取扱い業者などを幅広く含む、金融商品取引業者及び登録金融機関を対象としたものにしています。概要は以下のとおりです。

I .基本的考え方

間接金融に偏重している我が国の金融の流れが直接金融や市場型間接金融にシフトする、いわゆる「貯蓄から投資へ」の流れを加速するとともに、国際的なプレゼンスが低下傾向にある我が国金融・資本市場を活性化させ、国際競争力の強化を実現することが重要な課題となっています。また、金融システムの安定、利用者保護、公正で透明な市場の確立といった金融行政の三つの分野について一定の枠組み整備が進み、改善がみられています。その中で、各金融機関の自助努力の重要性が従来以上に高まっています。

こうした背景の下、金融行政における大きな課題の一つに、金融規制の質的向上(ベター・レギュレーション)の実現があります。そのためには、以下の4点について監督手法の面における取組みが必要であり、金融庁では、(1)金融商品取引業者等との対話の充実、(2)当局からの情報発信の強化、(3)海外当局との連携強化、(4)調査機能の強化による市場動向の的確な把握、(5)職員の資質向上、に取り組んでいくこととします。

  • (1)ルール・ベースの監督とプリンシプル・ベースの監督の最適な組合せ

  • (2)行政資源の有効活用による優先課題への対応

  • (3)金融商品取引業者等のインセンティブの重視・自助努力の尊重

  • (4)行政対応の透明性の向上

II .重点事項

今事務年度の監督方針では、これまでのようなテーマ別の事項を「金融商品取引業者の監督」の部分にまとめ、これを金融商品取引業者共通の重点事項として位置づけております。その上で、第一種業から投資助言・運用業までの各業種における個別の重点事項について、それぞれ記載しています。また、ファンドや登録金融機関、無登録・無届業者に関する事項を追加的に記載しています。以下、個別に説明します。

  • 1.金融商品取引業者の監督

    • (1)適正な業務運営態勢、人的構成の確保

      まず金融商品取引業者共通の第一の重点事項として、「適正な業務運営態勢、人的構成の確保」がございます。これは、登録審査を行う段階で留意すべき事項に関する記載です。

      金融商品取引業者の登録事務は、法施行前に行っている業務の継続性を阻害することのないよう迅速かつ円滑に行われる必要があると同時に、利用者保護上問題のある不適格な業者を排除するため厳正に行われる必要があります。

      そのため、登録審査の段階で、例えば、

      • 新たに内閣府令、監督指針に示された登録審査の項目、すなわち暴力団・暴力団員との密接な関係や過去の刑罰等に照らし、金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しないと認められる者でないか、
      • 登録申請段階で金融商品取引業協会に加入する予定がない業者について、協会等の規則を考慮した適切な社内規則の策定がなされているか、

      といった点について検証します。

    • (2)高度で強固な法令等遵守態勢・リスク管理態勢の整備

      金融商品取引業者が高い自己規律の下で、健全かつ適切な業務運営を行うためには、まずは経営者の法令等遵守意識の向上や法令等遵守に対する積極的な関与が図られる必要があります。その上で、法令等遵守部門やリスク管理部門、内部監査部門がその役割を適切に果たしていくことが重要であります。こうした点について、監督当局が検証していくこととします。

    • (3)利用者保護

      金融商品取引法では、適切な利用者保護とリスク・キャピタルの供給の円滑化を両立させる観点から、投資家を特定投資家(プロ)と一般投資家(アマ)に区分し、金融商品取引業者が一般投資家との間で取引を行う場合には、充実した行為規制が適用され、特定投資家との間で取引を行う場合には、多くの行為規制が適用除外になります。

      監督当局としては、こうした規定を踏まえ、まずはルール・ベースの監督として、金融商品取引業者において特定投資家と一般投資家を区分するための適切な審査が行われ、適合性原則を遵守した適正な勧誘・説明が行われているか、新たに規定された広告規制を遵守しているか、といった点を検証することとします。

      また、金融商品取引業者の態勢面に着目したプリンシプル・ベースの監督として、特定投資家と一般投資家の区分に関する審査態勢、その適正性を事後的に検証する態勢、適合性原則の遵守態勢、広告等審査態勢、苦情処理態勢などの状況に着目していきます。

      金融商品が高度化・複雑化し、新たな商品が次々に登場する中にあっては、全ての金融商品についての利用者保護ルールを予め詳細に定めることは不可能です。各社が適切な態勢整備を図り、法令で示されたプリンシプルに基づき、利用者保護のための自主的な取組みを進めていくことが重要となります。監督当局としては、こうした自主的な取組みを尊重しつつ、態勢面での整備状況を検証することとします。

    • (4)顧客情報管理

      金融商品取引法施行後は、原則として一つの登録によって複数の業を行い得ることになります。そのため、金融商品取引業者等において業務の多様化の進展が予想されますが、そうした中にあって、個人情報はもとより、法人情報を含めた顧客情報の漏えい、滅失又はき損が発生していないか、特にグループ間での不当な共有がなされていないか、管理態勢が整備されているか、について注視し、必要に応じ、金融商品取引法や個人情報保護法等に基づく監督上の対応を行っていくこととします。

    • (5)金融コングロマリットの経営管理

      金融のコングロマリット化が進展し、金融商品取引業者の業務が多様化する中で、金融商品取引業者を含むグループにおいて、潜在的な利益相反の防止や、リスクの集中の防止、グループ内取引の適切性の確保のための取組み等がなされているかについて検証することとします。

  • 2.各業種における監督

    • (1)第一種金融商品取引業

      第一種金融商品取引業の監督においては、証券会社に新たに導入される広告規制の遵守や、昨事務年度も引き続き問題となった外為証拠金取引業者の不招請勧誘禁止の遵守状況について検証することとします。

      また、「証券会社の市場仲介機能等に関する懇談会 論点整理」を踏まえた協会の自主ルールの遵守状況、投資銀行業務やプリンシパル投資業務を行っている場合の利益相反防止態勢にも着目していきます。

    • (2)第二種金融商品取引業

      第二種金融商品取引業については、いわゆる集団投資スキーム(ファンド)の持分に係る権利の販売・勧誘等を行う者の説明態勢に留意することとします。これらの者の中には、法施行以前には当局の監督対象となっていなかった者、透明性・流動性が低く、投資者にとってその実態把握や評価が極めて困難なファンドを取り扱う者があると考えられますので、注意して実態把握をしていくことが必要です。

    • (3)投資運用業

      投資運用業については、運用財産の管理・運用や取引の執行に係る適正な業務執行体制を構築すること、恣意的な前提を設けたシミュレーションによる誤解を生ぜしめる表示などをしないこと、等について、留意して監督を行っていくこととします。

      特に、不動産関連ファンド運用業者については、不動産市場における金融市場との連関の強まり(金融商品化)、海外市場との連関の強まり(グローバル化)、リスクマネーの供給の拡大といった変化に十分留意する必要があります。こうした環境下において、適正な価格形成機能が発揮されるよう、不動産取得及び売却の際のデューディリジェンス態勢や利益相反取引の防止態勢について、必要な検証及び監督対応を行っていくこととします。なお、こうした監督は個別の不動産価格に影響を与えること等を企図するものではないことに留意する必要があります。

    • (4)投資助言・代理業

      投資助言・代理業については、助言実績等が著しく優れていることを根拠なく表示するなどの誤解を生ぜしめる広告等を行っていないか、といった点に留意して検証し、必要な監督上の対応を行っていくこととします。

  • 3.ファンドに関する留意点

    今事務年度の監督方針では、昨今、G7での議論や企業買収等で話題となっている「ファンド」について、特に留意点を記載しています。

    ファンドについては、一方で、その多様性の適切な発揮を通じて、厚みのある市場の形成、金融イノベーションの促進、我が国金融・資本市場の国際化への貢献が期待されるところですが、他方で、特定の潜在的なリスクを有すると考えらます。そのため、サミット等の国際的な場における議論も踏まえつつ、例えば我が国に投資者が存在しない外国のファンドの取扱い業者については、一般的な動向や業界内の実務慣行の見直し・強化を注視し、カウンターパーティー(取引の相手方の金融商品取引業者等)におけるリスク管理や市場の公正性・透明性確保等の観点からのモニタリングを行うこととします。

    他方、登録や届出が義務付けられる監督対象のファンド取扱い業者については、利用者保護等の観点から十分な実態把握をした上で、適切な監督を行うこととします。

    このように、ファンドは様々な運用形態に応じて、そのリスクの所在を可能な限り迅速に見極め、監督上の資源を振り向けることが求められていると考えています。

    監督指針では、登録や届出が義務付けられる監督対象のファンド運用業者について、(1)ファンド名、(2)ファンドの類型、(3)運用財産総額の3点のモニタリング調査を行うこととしていますが、こうした調査を通じて全体的な動向を把握することが重要です。また、これを契機として業者との対話を進め、業界の実態を常時把握、調査・分析し、将来のリスクの顕在化を見越した早めの対応を行っていくこととします。

  • 4.登録金融機関の監督

    登録金融機関の監督については、金融機関が登録金融機関業務として店頭デリバティブ取引などを取り扱うことを見越し、優越的地位の濫用防止やそのための態勢整備に着目することとしています。また、投資信託等の販売における預金等との誤認防止や、取引に過誤があった場合の顧客への誠実な対応を留意点として掲げています。

    更に、クレジットデリバティブ取引を扱う部門と融資部門との間での情報管理や、利益相反防止の実効性等について検証することとします。

  • 5.無登録、無届業者の対応

    これまで業法の隙間にあった者の中には、故意又は過失により、法施行後も、登録又は届出を行わずに業務を継続する者が現れるものと考えられます。こうした業者の存在を苦情・相談等によって把握した場合には、当該業者に対し、かかる行為を直ちに取り止めるよう文書等で警告を行うとともに、過失による場合には、まずは速やかに金融商品取引法上の登録申請又は届出を行わせることとします。

    また、故意による場合や悪質な場合には、直ちに捜査当局への連絡等を行い、利用者被害の発生・拡大を防止するための措置を講じることとします。

III .監督手法

監督手法の項目では、検査部局との連携、自主規制機関との連携、業者との関係、海外当局との連携について記載しています。

特に、今回、自主規制機関等との連携の部分では、新たに4つの点に触れています。

  • (1)第一に、「証券会社の市場仲介機能等に関する懇談会 論点整理」を踏まえた自主ルールの策定等の取組みのフォローアップと、業者の遵守状況の検証についての連携を図っていくこと、

  • (2)第二に、規制の質的向上に取組む中で、横断的な利用者保護ルールの徹底という同法の趣旨が、自主規制のレベルでも実現されることが重要との観点から、5協会が集まって取りまとめた「金融商品取引業協会のあり方について(中間論点整理)」を踏まえた各協会の取組みをフォローアップし、必要な協力を行っていくこと、

  • (3)第三に、暴力団等の排除に関し、証券保安連絡会を通じた関係機関との連携を図るなど、適切な連携を進めていくこと、

  • (4)最後に認定投資者保護団体については、その認定に係る基準その他の必要事項を定め、同認定制度が利用者保護の観点から真に効果的に機能するよう、適切な対応を行うこと、

金融商品取引業者等との関係では、業者との積極的な対話を通じて、相互の共通理解の促進、当局からの情報発信やマーケット動向の把握の強化、当局の対応の透明性・予測可能性の向上を図っていくことが重要です。

特に、金融商品取引法の施行に伴い、当局は金融商品取引業者等が必ずしも法令等に違反していない場合でも、「公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認める場合には、その必要の限度において、業務の方法の変更等を命ずる」ことができるようになります。

金融商品取引業者等の経営者においては、法令規制の背後にある原則的な考え方や規制の趣旨・目的を踏まえた上で、適切な内部統制の確保をしていくことが求められています。そのため、金融庁としては、こうした点について金融商品取引業者等の経営者等と十分な意見交換を行うとともに、経営者の内部統制についての自主的な取組みを尊重しつつ、その実効性について検証することとします。


中小・地域金融機関向け監督方針について

金融庁では、平成16事務年度以降、中小・地域金融機関の監督を行うに当たって、各事務年度の監督上の重点事項を明確化するため、年度当初に監督方針を策定・公表しています。

本事務年度は、去る8月24日に「平成19事務年度 中小・地域金融機関向け監督方針」を策定・公表し、監督に当たっての基本的な考え方と重点を置くべき点を示しました。以下では、その概要を説明します。

I .基本的考え方

  • 1.監督の質的向上

    我が国金融・資本市場においては、その活性化や国際競争力の強化が優先的な政策課題となっており、マーケットの競争力を左右する金融規制・監督の質が改めて問われる状況となっています。

    このような金融行政の置かれた局面を踏まえ、監督の質的向上を図るため、以下の4点に取り組んでいくこととしています。

    • (1)ルール準拠の監督とプリンシプル準拠の監督の最適な組合せ

    • (2)行政資源の有効活用による優先課題への対応

    • (3)金融機関のインセンティブ重視・自助努力の尊重

    • (4)行政対応の透明性・予測可能性の一層の向上

    なお、その際には、「金融機関との対話の充実」、「情報発信の強化」、「調査機能の強化による市場動向の的確な把握」、「職員の資質向上」を図ることにより、その実効性の確保に努めることとしています。

  • 2.重点分野

    地域密着型金融の推進のための恒久的枠組みへの移行に加え、本年9月の金融商品取引法施行、取扱金融商品や運用資産の多様化・複雑化などをも踏まえ、平成19事務年度においては、

    • (1)地域密着型金融の推進

    • (2)地域の利用者保護の徹底と利便性の向上

    • (3)リスク特性を踏まえたリスク管理態勢等

    の3点を重点分野と捉え、監督の質的向上を図りつつ、厳正で実行性のある監督行政の効率的な遂行に取り組むこととしています。

    なお、各金融機関において、自己責任の下、経営陣がリーダーシップを発揮し、適切な経営管理がなされているかという点に特に留意して監督を行うとともに、引き続き検査部局との連携の強化に努めるほか、金融機関の監督を直接担当する各財務局等との連携を一層強化することとしています。

II .重点分野

  • 1.地域密着型金融の推進

    第1の重点分野として、「地域密着型金融の推進」を位置付けています。

    本年4月の金融審議会報告を踏まえ改正した監督指針に沿って、今後は恒久的な枠組みの下で、引き続き地域密着型金融を推進していくこととしたところであり、本事務年度は、その初年度として第1の重点分野に位置付けたものです。

    新しい枠組みでは、金融審議会報告において地域密着型金融の本質に係わる事項とされ、かつ利用者アンケートにおいても取組みが不十分とされた、以下の3点に重点を置いてフォローアップを行うこととしています。

    なお、各分野における具体的な取組み方法については、金融機関の自主性を重視し、それぞれの判断に委ねることに留意することとしています。

    • (1)ライフサイクルに応じた取引先企業の支援強化

    • (2)中小企業に適した資金供給手法の徹底

    • (3)持続可能な地域経済への貢献

  • 2.地域の利用者保護の徹底と利便性の向上

    第2の重点分野として、「地域の利用者保護の徹底と利便性の向上」を位置付けています。

    これは、本年9月の金融商品取引法施行、金融サービスの複雑化・多様化等を踏まえ、引き続き重点分野としたものであり、特に以下の点に重点を置くこととしています。

    • (1)顧客説明態勢及び相談・苦情処理機能の充実・強化

    • (2)法令等遵守(コンプライアンス)

    • (3)金融犯罪防止等に向けた対策の強化・徹底及び適切な顧客対応の確保

    • (4)顧客情報の管理態勢の確立

    • (5)システムリスク管理態勢の適切性の確保

    • (6)外部委託先における適切な業務運営の確保

  • 3.リスク特性を踏まえたリスク管理態勢等

    第3の重点分野として、「リスク特性を踏まえたリスク管理態勢等」を位置付けています。

    これは、各種ファンド商品等の複雑なリスク特性を有する資産運用の拡大傾向や金利・市場動向等の主要なリスク・シナリオを踏まえて適切なリスク管理態勢の整備がなされているかについて、引き続き以下に重点をおいて、検証を行うものです。

    • (1)資産査定、信用リスク管理の信頼性の確保

    • (2)市場リスク管理態勢の整備

    • (3)バーゼル II への対応

    また、(2)の市場リスク管理については、特に信用金庫・信用組合に関して、先般改正した中小監督指針を踏まえ、複雑なリスク特性を有する金融商品への運用を行う場合には、自己資本等を勘案した適切な限度枠を設定しているか、販売会社から十分な説明を求める等により、投資対象、リスク・プロファイル、リスクとリターンの関係等を十分認識・確認する意思決定プロセスを経ているか等について検証する旨を明記しています。

金融庁では、以上のような監督方針に基づいて、今事務年度も引き続き、中小・地域金融機関に対して、監督の質的向上を図りつつ、厳正で実効性のある監督行政を効率的に遂行していくこととしています。


主要行等向け監督方針について

金融庁では、主要行等を監督する際の基本的考え方や着眼点等を「監督指針」として明らかにするとともに、各事務年度当初において、重点的に着目する分野を「監督方針」として策定・公表することで、透明性の高い監督行政の遂行に努めています。

本事務年度は、去る8月24日に「平成19事務年度 主要行等向け監督方針」を策定・公表し、監督に当たっての基本的な考え方と重点を置くべき点を示しました。以下では、その概要を説明します。

I .基本的考え方

  • 1.監督の質的向上

    金融行政においては、これまでの不良債権問題や利用者保護に対する取組みを一層定着、深化させていく必要があります。また、我が国金融・資本市場においては、その活性化や国際競争力の強化が優先的な政策課題となっており、マーケットの競争力を左右する金融規制・監督の質が改めて問われる状況となっています。

    このような金融行政の置かれた局面を踏まえ、監督の質的向上を図るため、以下の4点に取り組んでいくこととしています。

    • (1)ルール準拠の監督とプリンシプル準拠の監督の最適な組合せ

    • (2)行政資源の有効活用による優先課題への対応

    • (3)金融機関のインセンティブ重視・自助努力の尊重

    • (4)行政対応の透明性・予測可能性の一層の向上

    なお、以上の4点に取り組んでいくに当たっては、「金融機関との対話の充実」、「情報発信の強化」、「海外当局との連携強化」、「調査機能の強化による市場動向の的確な把握」、「職員の資質向上」を図ることにより、その実効性の確保に努めることとしています。

  • 2.重点分野

    主要行等を巡る状況をみると、本年9月の金融商品取引法施行、取扱金融商品や運用資産の多様化・複雑化、コングロマリットの一般化など、様々な変化が生じています。そこで、平成19事務年度においては、

    • (1)利用者保護の徹底と利便性の向上

    • (2)リスク特性を踏まえたリスク管理態勢等

    • (3)コングロマリット・国際化への対応

    の3点を重点分野と捉え、監督の質的向上を図りつつ、厳正で実行性のある監督行政の効率的な遂行に取り組むこととしています。

II .重点分野

  • 1.利用者保護の徹底と利便性の向上

    第1の重点分野として、「利用者保護の徹底と利便性の向上」を位置付けています。

    これは、主要行等においては、顧客ニーズに対応した金融サービスの提供が期待される一方、金融商品取引法施行も踏まえ、利用者保護に向けた一層の取組みが求められていること、また、組織犯罪による金融サービスの利用の防止対策の必要性も高まっていることを踏まえ、引き続き重点分野としたものであり、特に以下について重点的に監督することとしています。

    • (1)顧客説明態勢及び相談・苦情処理機能の充実・強化

    • (2)金融犯罪防止等に向けた対策の強化・徹底及び適切な顧客対応の確保

    • (3)システムリスク管理態勢の適切性の確保

    • (4)業務運営の適切性を確保するための態勢整備

    • (5)借り手のニーズに対応した審査・融資管理態勢の整備

    • (6)外部委託先における適切な業務運営の確保

    • (7)マネー・ローンダリング防止等に係る取組み

  • 2.リスク特性を踏まえたリスク管理態勢等

    第2の重点分野として、「リスク特性を踏まえたリスク管理態勢等」を位置付けています。

    これは、金融機関の財務の健全性を持続的に確保するためには、経営者の自主的・持続的取組みにより、適切なリスク管理が行われることが重要であることから、監督当局として、各金融機関におけるリスク管理態勢が、業務の変化や環境の変化の構築状況を踏まえたものとなっているか検証するとともに、主要なリスク・シナリオに対する認識及び経営上の対応状況について議論を行うこととしたもので、以下の点に留意することとしています。

    • (1)リスク・リターンの視点を踏まえた業務運営

    • (2)運用資産の多様化等への対応

    • (3)自己資本の質の向上

    • (4)バーゼル II への対応

  • 3.コングロマリット・国際化への対応

    第3の重点分野として、「コングロマリット・国際化への対応」を位置付けています。

    これは、主要行等において、コングロマリット化や海外業務の拡大が進展していることを踏まえ、グループ内の各拠点や海外業務に対して、本部による適切な業務管理が行われているかについて、重点的に監督するとともに、必要に応じて海外当局との緊密な連携を図ることとしたものです。具体的には以下の点に留意することとしています。

    • (1)コングロマリットへの対応

    • (2)国際化への対応

    • (3)我が国金融・資本市場の国際化に向けての監督の改善

金融庁では、以上のような監督方針に基づいて、今事務年度も引き続き、主要行等に対して、監督の質的向上を図りつつ、厳正で実効性のある監督行政を効率的に遂行していくこととしています。


次のページ

 

 

 

サイトマップ

ページの先頭に戻る