【金融ここが聞きたい!】

  • このコーナーは、大臣の記者会見における質疑・応答(Q&A)などの中から、時々の旬な情報をセレクトしてお届けするものです。

    今号の「金融ここが聞きたい!」では、9月26日に就任されました 渡辺 喜美 内閣府特命担当大臣((金融)、行政改革担当 、公務員制度改革担当)の大臣就任記者会見から金融関係の部分の抜粋と閣議後記者会見(9月28日)の模様をご紹介します。

    もっとたくさんご覧になりたい方は、是非、金融庁ホームページの「記者会見等」のコーナーにアクセスしてください。

【大臣から発言】

このたび、同じ任務を与えられ再任されました渡辺喜美でございます。どうぞよろしくお願いします。

本日、皇居にて認証式を終え初閣議を行ってまいりました。初めての閣議にしては、大変和やかな雰囲気だった気がいたします。勝手格付の中で、「運と愛嬌」という項目を作りましたけれども、あの時は、運気は福田候補に、愛嬌は麻生候補にと申し上げましたが、福田総理は大変愛嬌のある方だということもわかりました。格付を若干訂正しなければいけないと思っております。私の方からは以上であります。

平成19年9月26日(水)初閣議後記者会見

初閣議後記者会見の模様(9月26日)

〔金融に対する新総理の認識〕

Q: (福田内閣と)小泉内閣、安倍内閣との間で金融に対する総理の認識の違いはありますでしょうか。

A: 特にないと思いますが、私が総理から指示を受けておりますことは、日本市場の国際競争力を強化することでございますので、この点については、前内閣から引き続き進めていくべきことだと思っております。我が国の金融・資本市場の国際競争力強化、これが私に与えられた指示の一番最初の項目に挙がっているわけでございます。ちなみに、二番目が多重債務の防止・救済のための貸金業制度改革の円滑な実施や、金融商品取引法の適正な運用など国民が安心して利用できる制度の整備、運用、こういう指示でありますから、前内閣と変わっているとか、路線が変更されたということは全くございません。

平成19年9月26日(水)初閣議後記者会見

〔金融商品取引法の完全施行〕

Q: 今週末(9月30日)、日曜日に金融商品取引法が完全施行になりますが、現行の金融機関の対応状況と、現段階でこういうふうに取り組んでほしいということがありましたらお聞かせください。

A: 一部、金融商品取引法の対応で、てんやわんやのところもあるという話は聞いております。また、ちょっとこれでは厳しすぎるのではないかというような話を聞くこともございます。しかし、制度がスタートする時には、こういう話は多分いつでもあると思います。ですから、この新しい制度の主旨をご理解いただいて、リスクとかいったことを利用者の皆さんにきちんと説明するという習慣は当たり前のことでありますから、是非、こういう慣行を出来るだけ早く身に付けてもらって、リスクマネーを市場に呼び込む。その流れを加速するということをやっていただきたいと思っております。

平成19年9月26日(水)初閣議後記者会見

〔金融・資本市場の競争力強化〕

Q: 金融・資本市場の国際競争力強化ですが、年内に取りまとめられるまで3ヶ月ということになりましたが、今後の進め方についてお考えがありましたらお聞かせいただきたいのですが。

A: 金融審議会で金融・資本市場競争力強化プランの策定を進めているところであります。一方、新たに私のところで、サブプライムローン問題の勉強会をスタートさせておりますので、そういった観点からもこの市場の競争力強化についての勉強は進めていきたいと思っております。とりあえずは、この金融審議会における指摘を踏まえて、年内に策定すべく検討をしているところでございます。

平成19年9月26日(水)初閣議後記者会見

〔郵政公社〕

Q: 郵政公社が昨日、総務省からコンプライアンスに関して、文書で厳重注意を受けており、民営化を控え、金商法の完全施行を控えた時期に、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険、大臣としていかがでしょうか。

A: 金融庁もプレ検査といいますか、民営化にあたってのチェックは行ってまいりましたが、やはり、総務省の検査でも明らかなように、民間に比べて法令違反が多すぎます。民間の金融機関は相当、念入りに法令遵守態勢をひいているわけでありますから、民営化されるのであれば、当然のこととして民間並みのコンプライアンス態勢にまで持っていっていただく。当たり前のことです。ちょっと、(水準が)低すぎます。

平成19年9月28日(金)閣議後記者会見より抜粋

Q: 郵政民営化の点でもう一点。政府出資が続く間は民営化後も新規事業を始めるべきではないという意見も、まだ民間からはありますが、その辺についての業務開始のお考えをお聞かせください。

A: 民営化をするということは、民間の自主的な経営を通じて、お客様の支持を得ていく。早い話が、我々、政治家は票で投票してもらいますが、民間会社は円で投票してもらうわけです。したがいまして、お客様の支持が得られなければ、民間会社としてやっていけないわけでありますから、そういう観点からいきますと、今までと全く同じ業務をやれよといっては、民営化した意味がなくなります。郵貯で仕入れが一番大きいのは、定額貯金という商品でして、これは私流に言いますと、プットオプション付個人向け国債という商品であります。これで仕入れて、国債運用で運用しても、ほとんど利ざやが稼げない。稼げなければ民間会社として、持続可能性がなくなってしまいますので、民営化しても新規事業を全く認めないというのは、どうかなと思います。

平成19年9月28日(金)閣議後記者会見より抜粋

Q: 先ほどの郵政のお話ですが、こういった法令遵守体制がなかなか整わない原因はどのようにご覧になっておりますでしょうか。

A: 公社だったからだと思います。要するに、「親方日の丸」で民間の経営にさらされずにやってきたこと自体が、法令遵守体制が非常に危うい、不備であったという状況をもたらしたということに尽きるのではないのでしょうか。その最悪の事例が社会保険庁です。社会保険庁におけるコンプライアンス違反は、いまさら解説するまでもないことでございまして、そういう「親方日の丸」体質が郵政公社にもあったということに他ならないのでしょうか。

平成19年9月28日(金)閣議後記者会見より抜粋

Q: 郵貯についてですけれども、法令違反が民間に比べて非常に多いという現状認識が示されましたが、10月以降、監督・検査をする上で民間と同じコンプラのレベルでチェックをすれば、おそらく民間に比べて非常に問題が出てくると予想されるのですが、そういう意味で、開業からすぐに民間と同じような検査・監督をしていくのか、または多少なりとも開業当初は猶予といいますか、状況を見ながら対応していくのか、このあたりの大臣のゆうちょ(銀行)、かんぽ(生命保険)への対応方針についてお聞かせ下さい。

A: 助走は随分時間をかけてやってきました。いよいよ民間会社になるわけでありますから、民間並みの検査をやるということであります。

平成19年9月28日(金)閣議後記者会見より抜粋

〔総合取引所構想〕

Q: 総合取引所については、大臣は賛成のお立場だと承知しているのですけれども、その意義と効果について改めて教えて下さい。

A: 私の頭の中の整理では、まもなくスタートする金融商品取引法の態勢というのは、ホップ、ステップ、ジャンプという段階論でいきますとステップの段階です。ホップの段階よりもより包括的・横断的な利用者保護の体系になってきております。ということは、ジャンプの段階ではそこからさらに進んだ体系、より包括的・横断的な体系に行く流れが想定されますので、そういうことを考えれば、まさしく総合取引所というのは、その一部を先取りした試みであろうと思います。したがって、今ある縦割りの規制、金融商品取引法並みの規制を他の商品先物などの分野にもかけてはいるわけでございますが、そのような縦割りを部分的に統合する、それが総合取引所構想だと理解しております。縦割りの行政というのが、これを阻むハードルになっているわけでありますから、まさしくジャンプ段階の一部先取りという発想で総合取引所構想は進めて行くべきだと思います。

平成19年9月28日(金)閣議後記者会見より抜粋

Q: 総合取引所の定義なのですけれども、もともと証券取引所と商品取引所の統合という発想で始まったと思うのですけれども、一方で、各省の反発が強いからだと思うのですが、証券取引所が商品を裏づけとするETF(上場投資信託)を扱うということで、商品多様化で事実上総合取引所を目指すという考えもあるようですけれども、大臣はあくまで組織に踏み込んだ統合をすべきだというお考えなのでしょうか。

A: 現実的にやれるところからやる必要があると思います。まず、日本市場の国際競争力を強化すると同時に、日本にある1,550兆円もの個人金融資産を、豊かさの実感できる社会を構築するために運用をしていくという発想をとるならば、まずETFの様な形で各取引所の持っている商品をまとめて商品化して販売をできるというところからスタートすることが、より現実的なのではないでしょうか。ですから、いきなり取引所同士を統合してそこからスタートをするよりは、商品段階でまとめて販売、商品化をしていくということがあり得るかと思います。

平成19年9月28日(金)閣議後記者会見より抜粋

Q: 縦割り行政が包括的・横断的なマーケットを阻む要素になっているということなのですけれども、例えば金融庁が商品先物業界や金融先物会社、取引所を経産省、農水省と共管にしたいというお考えもお持ちなのでしょうか。

A: 将来構想として、ジャンプの段階ではより包括的・横断的な体系がありうると申し上げているわけです。金融商品の中にも、例えば預金や保険というのは別の体系になっているわけです。そういうところまで含めてジャンプの段階では利用者保護、消費者保護といったことを徹底する体系があり得るのではないかという頭の体操を先ほどから申し上げているわけです。今縦割りでバラバラにやっている工業品や穀物なども金融商品取引法並みの規制はかけることになったわけでありますから、まずはその態勢がスタートするので、それを見たいということであります。

平成19年9月28日(金)閣議後記者会見より抜粋


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