アクセスFSA 第72号(2008年11月)

【国際関連】

金融庁総務企画局参事官(国際担当)のIAIS執行委員会副議長就任について

10月17日に、保険監督者国際機構(IAIS :International Association of Insurance Supervisors)の執行委員会がハンガリー・ブタペストで開催され、執行委員会前副議長のウォルター・ベル 米国アラバマ州保険監督長官の退任に伴い、執行委員会の新副議長に、金融庁総務企画局の山崎達雄参事官(国際担当)が選任されました。

1994年の設立以来、IAISの主要な意思決定機関である執行委員会の副議長への就任は、アジアから初めてです。

金融庁はこれまでも海外当局との連携の強化に取り組んでいるところですが、海外の関連当局との連携の一層の強化を通じた我が国の規制の質的な向上と、国際的な協調を通じた我が国の金融市場の信頼性の一層の向上が重要な課題となっています。

金融庁としては、今後とも、国際機関への積極的な貢献を通じて、我が国のみならず国際的な金融市場の安定性、信頼性、効率性の向上に積極的に取り組んでいきます。

保険監督者国際機構(IAIS)とは

IAISは、○保険監督者間の協調の促進、○国際保険監督基準の策定、○加盟国・地域(特に新興市場国・地域)における監督基準に則った保険制度確立の支援、○他の金融分野の監督機関との連携を目的とした保険監督者の組織として1994年に設立されました。

平成20年10月現在、144の国・地域の保険監督当局がメンバーとして、139の保険会社・業界団体等がオブザーバーとして加盟しています。事務局は、バーゼル(スイス)におかれ、河合美宏事務局長以下計17名のスタッフで運営されています。

主要な意思決定機関は、執行委員会(議長:ピーター・ブラウミューラー オーストリア金融市場機構 保険年金局長)であり、21の国・地域がメンバーとなっています(我が国は、1998年より同委員会のメンバー)。また、執行委員会のもとに専門委員会(議長:アルフレッド・グロス 米国バージニア州保険監督長官)が設けられ、主として監督基準の策定を担当しています。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「金融庁総務企画局参事官(国際担当)のIAIS執行委員会副議長就任について(平成20年10月20日)」にアクセスしてください。

IAIS組織図

【法令解説等】

電子記録債権法施行令及び施行規則について

第166回国会において、「電子記録債権法」(平成19年法律第102号)が可決・成立しました(平成19年6月20日成立、同年6月27日公布)。この法律は、金銭債権の取引の安全を確保することによって事業者の資金調達の円滑化等を図る観点から、電子債権記録機関が調整する記録原簿への電子記録をその発生、譲渡等の要件とする新たな類型の金銭債権である電子記録債権について定めるとともに、その電子記録を行う電子債権記録機関の業務、監督等について必要な事項を定めるものです。

今般、同法の施行(平成20年12月1日)に伴い、平成20年10月22日に電子記録債権法施行令及び電子記録債権法施行規則が公布されました。施行令及び施行規則の主な内容は次のとおりです。なお、施行令については平成20年6月21日(期限8月31日)、施行規則については7月31日(期限8月31日)にパブリックコメントを実施しています。パブリックコメントの結果は、以下をご覧ください。

http://www.fsa.go.jp/news/20/sonota/20081021-4.html(電子記録債権法施行令関係)

http://www.fsa.go.jp/news/20/sonota/20081021-3.html(電子記録債権法施行規則関係)

電子記録債権の基本的イメージ・機能
  • 1.電子記録債権法施行令の概要

    • (1)電子記録債権の発生、譲渡等

      • 電子記録の請求に必要な情報(第1条)

        電子記録の請求をする場合に電子債権記録機関に提供しなければならない情報の内容として、請求者の氏名又は名称及び住所等を定めています。

      • 信託の電子記録の記録事項(第2条)

        信託の電子記録の記録事項として、信託財産に属する旨等を定めています。

      • 信託の電子記録の請求(第3条)

        信託の電子記録は、受託者だけで請求することができること、受託者は、電子記録債権の発生又は譲渡等により電子記録債権が信託財産に属することとなる場合には、発生記録又は譲渡記録等の請求と同時に、信託の電子記録の請求をしなければならないこと、受益者又は委託者は、受託者に代わって信託の電子記録の請求をすることができることを定めています。

      • 受託者の変更による変更記録等(第4条)

        受託者の任務が死亡等により終了し、新たに受託者が選任されたときは、信託財産に属する電子記録債権等についてする受託者の変更による変更記録は、法第29条第1項の規定(変更記録の請求は利害関係人の全員がしなければならない)にかかわらず、新たに選任された当該受託者だけで請求することができること、受託者が2人以上ある場合において、その一部の受託者の任務が上記の事由により終了したときは、信託財産に属する電子記録債権等についてする当該受託者の任務の終了による変更記録は、法第29条第1項の規定にかかわらず、他の受託者だけで請求することができることを定めています。

      • 信託財産に属しないこととなる場合等の電子記録(第5条)

        信託の電子記録を削除する旨の変更記録は、法第29条第1項の規定にかかわらず、受託者(信託財産に属する電子記録債権等が固有財産に属することにより当該電子記録債権等が信託財産に属しないこととなった場合にあっては、受託者及び受益者)だけで請求することができること、受託者は、信託財産に属する電子記録債権の譲渡等により当該電子記録債権が信託財産に属しないこととなる場合には、譲渡記録等の請求と同時に、信託の電子記録を削除する旨の変更記録の請求をしなければならないこと等を定めています。

      • 強制執行等の電子記録の記録事項(第6条)

        強制執行等の電子記録の記録事項として、強制執行等の内容等を定めています。

      • 強制執行等の電子記録の削除(第7条)

        電子債権記録機関は、強制執行等の電子記録がされた後、当該強制執行等の電子記録に係る強制執行等の手続が終了した場合において、その旨の書類の送達を受けたときは、遅滞なく、当該強制執行等の電子記録を削除する旨の変更記録をしなければならないことを定めています。

      • 仮処分に後れる電子記録の削除(第8条)

        電子記録債権等についての電子記録の請求をする権利を保全するための処分禁止の仮処分に係る強制執行等の電子記録がされた後、当該仮処分の債権者が当該仮処分の債務者を電子記録義務者とする当該電子記録の請求をする場合においては、当該仮処分の後にされた電子記録を削除する旨の変更記録は、当該債権者が単独で請求することができることを定めています。

      • 電子記録の訂正(第9条)

        電子債権記録機関は、発生記録に譲渡記録、保証記録、質権設定記録若しくは分割記録の制限又は禁止が記録されている場合において、その記録の内容に抵触する譲渡記録、保証記録、質権設定記録又は分割記録がされているときは、電子記録の訂正をしなければならないこと、法における矛盾する電子記録の訂正、電子記録権利者及び義務者等への通知に関する規定は、この訂正について準用することを定めています。

      • 電子記録の訂正等をする場合の記録事項(第10条)

        電子記録の訂正又は回復をするときの記録事項として、この訂正又は回復の年月日を定めています。

      • 電子記録の嘱託(第11条)

        この政令に規定する電子記録の請求による電子記録の手続に関する法の規定には官庁又は公署の嘱託による電子記録の手続に準用する場合を含むものとし、この政令中「請求」及び「請求者」にはそれぞれ嘱託及び嘱託者を含むものとすることを定めています。

    • (2)電子債権記録機関

      • 最低資本金の額(第12条)

        電子債権記録機関の資本金の額を5億円と定めています。

      • 金融機関(第13条)

        電子債権記録機関が電子債権記録業の一部を委託できる金融機関として、銀行法第2条第1項に規定する銀行(同法第47条第2項に規定する外国銀行支店を含む。)、農林中央金庫、日本銀行等を定めています。

    • (3)雑則

      • 金融庁長官へ委任される権限から除かれる権限(第14条)

        内閣総理大臣から金融庁長官に委任される権限から除かれる権限として電子債権記録機関の指定及び指定の取消等を定めています。

      • 財務局長等への権限の委任(第15条)

        内閣総理大臣から金融庁長官に委任された権限のうち、電子債権記録機関若しくは電子債権記録機関から業務の委託を受けた者に対する報告徴求及び検査権限について、電子債権記録機関の本店の所在地を管轄する財務局長等も行うことができることを定めています。

  • 2.電子記録債権法施行規則の概要

    • (1)総則

      • 定義(第1条)

        法において使用する用語の例によるほか、本規則における「一部保証記録」「原債権金額」「特別求償権発生記録」「支払等金額」の各用語の意義について定めています。

      • 磁気ディスクに準ずる物(第2条)

        電子債権記録機関が調整する記録原簿の要件である磁気ディスクに準ずる物を光ディスクとしています。

    • (2)電子記録債権の分割

      • 原債権記録に一定の複雑な内容が記載されている場合における分割(第3条~第20条)

        原債権記録に、債権者ごとの債権の金額が記録されている場合、債務者ごとの債務の金額が記録されている場合、一部保証記録が記録されている場合、特別求償権が記録されている場合における、それぞれの分割記録の請求、分割記録の記録事項、分割記録に伴う分割債権記録への記録、分割記録に伴う原債権記録への記録について、法における分割記録の請求、分割記録の記録事項、分割記録に伴う分割債権記録への記録、分割記録に伴う原債権記録への記録の規定に準じて、技術的・細目的な事項を定めています。

      • 分割記録の請求に必要な情報(第21条)

        本規則において定める分割記録の請求に必要な情報につき、法における分割記録の請求に必要な情報に関する規定に準じて、必要な事項を定めています。

    • (3)電子債権記録機関

      • 指定申請書及びその添付書類(第22条、第23条)

        指定申請書の記載事項を定めるとともに、添付書類として、法52条2項各号に規定する書類のほか、利用者に関する情報の管理体制の整備の状況を記載した書面等を提出させることとしています。また、指定申請書に添付される定款、貸借対照表又は損益計算書について電磁的記録で作成されているときに、書類に代えて添付できる電磁的記録としてフロッピーディスクとCDを定めています。

      • 業務の一部委託の承認(第24条)

        承認申請書の記載事項及び添付書類を定めるとともに、主務大臣の承認の基準(業務の委託が電子債権記録業の適正かつ確実な遂行を阻害するものでないこと、受託者が社会的信用のある法人であり、かつ、その受託する業務について確実に業務を遂行する能力があること等)を明確化しています。

      • 業務規程の記載事項(第25条)

        業務規程の記載事項について、記録事項に関する事項、電子記録の請求に関する事項、口座間送金決済に関する契約に係る事項、記録機関の利用者に関する事項、記録原簿等の安全性の確保に関する事項など、電子債権記録業の実施に関し必要な基本的事項を定めています。

      • 債務の支払を確実に知り得る場合(第26条)

        銀行等による債務者口座から債権者口座に対する払込みによる支払(口座間送金決済)に関する契約ではなく、債権者口座に対する払込みによる支払に関する契約を締結している場合における記録機関が債務の支払があったことを確実に知り得る場合として、債権者側の取引銀行が、記録機関から支払期日、金額、債務者及び債権者に係る情報の提供を受け、当該情報に係る入金事実を確認し、記録機関がその旨の通知を受けた場合と規定しています。この場合に記録機関は、遅滞なく支払等記録をしなければならないこととなります。

      • 帳簿書類等の作成及び保存(第27条)

        電子債権記録機関が利用者からの電子記録の請求の順序に従って遅滞なく電子記録を行っているか否かを事後的に検証できるよう、電子債権記録機関は請求受付簿を作成し、作成後10年間保存することとしています。

      • 業務及び財産に関する報告書の提出(第28条)

        電子債権記録機関が作成する業務及び財産に関する報告書を、計算書類及び事業報告とするとともに、所要の書類を添付することとしています。

      • 各種認可・届出における認可申請書・届出書等(第29条~第33条)

        資本金の額の減少、定款又は業務規程の変更、電子債権記録業の全部又は一部の休止について認可を受けようとするときの認可申請書及び資本金の額の増加又は商号、営業所の所在地等の変更について届出をしようとするときの届出書について、その記載事項、添付書類等を定めています。

      • 立入検査の証明書(第34条)

        立入検査をする際に職員が携帯すべき証明書の様式を定めています。

      • 合併、分割、事業譲渡及び解散等の認可申請(第35条~第39条)

        記録機関が合併、分割、事業譲渡又は解散等について認可を受けようとするときの認可申請書の記載事項及び添付書類について定めています。

      • 指定失効、電子債権記録業の結了の届出(第40条、第41条)

        記録機関の指定の失効の原因となる事実の生じたときに提出すべき届出書の記載事項及び添付書類について定めるとともに、電子債権記録業の結了をしたときは記録機関であった者等が法務大臣及び金融庁長官に結了の届出をしなければならないとしています。

      • その他の届出(第42条)

        記録機関は、代表者の氏名に変更があった場合、取締役等が法令等に違反する行為をした場合、システム障害等の事故が発生した場合等には、その旨を法務大臣及び金融庁長官に届け出なければならないこととしています。

    • (4)雑則

      • 開示(第43条~第46条)

        債権記録等に記録された事項を表示する方法を紙面又は映像面に表示する方法とするほか、記録事項の任意的開示に必要な同意の取得方法や請求情報を開示する場合における電磁的方法の内容について定めています。

      • 標準処理期間(第47条)

        法務大臣及び内閣総理大臣または金融庁長官は、指定や認可等の申請から処分までの期間について、指定の場合は二月以内、それ以外の場合は一月以内とするよう努めるものとしています。


「企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令」等について

「企業内容等の開示に関する内閣府令」(以下「開示府令」といいます。)、「外国債等の発行者の内容等の開示に関する内閣府令」及び「特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令」の一部を改正する「企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令」(平成20年内閣府令第65号。以下「改正府令」といいます。)が平成20年10月20日に公布され、即日施行されています。

また、同日、「企業内容等の開示に関する留意事項について」(以下「開示ガイドライン」といいます。)も改正され、即日適用されています。

開示府令及び開示ガイドラインに係る主な改正内容は次のとおりです。

1.条件決定に係る訂正目論見書の特例における公表方法の追加

発行価格等を未定とした目論見書を交付し、後日、当該発行価格等が決定された場合に交付すべき訂正目論見書に代えて発行価格等を公表する方法を追加しています。具体的には、当該発行価格等を発行者及びその有価証券を募集又は売出しにより取得させ、又は売り付けようとする者のホームページを通じて閲覧に供し、その有価証券を募集又は売出しにより取得させ、又は売り付けようとする相手方が当該事項を閲覧した旨又は他の方法により当該事項に係る情報を取得した旨を電話その他の方法により当該相手方に直接に確認する方法です。(開示府令第14条の2第1項第3号等・開示ガイドライン15-5)

2.新規公開用の有価証券届出書における四半期情報の開示

上場・店頭登録を行おうとする発行者の新規公開用の有価証券届出書(開示府令第2号の4様式及び第2号の7様式)の「経理の状況」及び「その他」において、直前事業年度終了後の財務情報として記載すべき事項として、開示府令第2号様式における四半期報告書を提出する会社と同様に、四半期連結財務諸表等の記載を求めることとしています。(開示府令第2号の4様式記載上の注意(10-2)から(10-5)まで)

3.上場・店頭登録又は上場・店頭登録の廃止に係る半期報告書及び四半期報告書の提出義務の整理

  • (1)半期報告書を提出する会社が任意に四半期報告書を提出する場合の取扱い

    • (a)半期報告書を提出する会社が法第24条の4の7第2項の規定により四半期報告書を提出しようとする場合には、その事業年度の第1四半期会計期間に係る四半期報告書から提出しなければならないことを明確化しています。(開示ガイドライン24の4の7‐4)

    • (b)半期報告書を提出する会社が、法第24条の4の7第2項の規定により四半期報告書を提出した場合には、継続して四半期報告書を提出しなければならないことを明確化しています。ただし、半期報告書を提出する会社が上場・発行登録のために四半期報告書を提出した場合において、上場・発行登録ができなかったときその他これに準ずる場合には、当該四半期報告書に係る四半期会計期間の属する事業年度の翌事業年度以後、半期報告書を提出することができることを明確化しています。(開示ガイドライン24の4の7‐5)

  • (2)半期報告書しなければならない会社が四半期報告書を提出する会社となった場合の取扱い。

    • (a)半期報告書提出会社が、四半期報告書提出会社となった場合において提出しなければならない四半期報告書を明確化しています。(開示ガイドライン24の4の7‐3)

    • (b)半期報告書を提出しなければならない会社が、事業年度開始の日から6月を経過した日から起算して3月以内の期間に四半期報告書提出会社となった場合(第2四半期会計期間に係る四半期連結財務諸表等が記載された開示府令第二号の四様式又は第二号の七様式による有価証券届出書が提出されていない場合に限ります。)には、半期報告書の提出を要することを明確化しています(ただし、当該会社が第2四半期会計期間に係る四半期報告書を提出した場合にはこの限りではありません。)。(開示ガイドライン24の5‐4)

  • (3)四半期報告書を提出する会社が半期報告書を提出する会社となった場合の取扱い。

    四半期報告書を提出する会社が事業年度開始の日から6月を経過した日から起算して3月以内に半期報告書を提出する会社となった場合には、当該事業年度に係る半期報告書の提出を要することを明確化しています(ただし、当該会社が第2四半期会計期間に係る四半期報告書を提出した場合にはこの限りではありません。)。(開示ガイドライン24の5‐5)

4.その他

  • (1)改正府令は平成20年10月20日に施行され、改正開示ガイドラインも同日実施されています。(附則第1条)

  • (2)経過措置として、半期報告書を提出しなければならない会社が、施行日から一年の間に開始する有価証券発行勧誘等又は有価証券交付勧誘等に係る新規公開用の有価証券届出書を提出する場合には、開示府令第二号の四様式記載上の注意(10-2)から(10-5)までに規定する四半期連結財務諸表等の記載に代えて、第二号様式記載上の注意(61)、(66)、(68)及び(74)に規定する中間連結財務諸表等の記載を行うことができる旨を規定しています。(附則第3条)


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