五味金融庁長官記者会見の概要

(平成19年1月22日(月)17時00分~17時13分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

冒頭にひとつ私からお知らせがございます。証券監督者国際機構、略称IOSCOでございますが、ここが毎年主催しております国際コンファレンスが、金融庁をホストといたしまして、今年の11月8日と9日の日程で、東京において開催されることになりました。IOSCO国際コンファレンスは、IOSCOのプレゼンスの向上、そして規制当局と民間金融セクターとの対話の促進を目的といたしまして、平成16年から毎年、世界の主要な金融センターで開催されております。第一回はニューヨーク、そしてフランクフルト、ロンドンと開催をされまして、今年東京という予定になっております。金融庁にとりまして、このような大規模な国際会議をホストいたしますのは初めてのことですが、日本の金融・資本市場が、国際金融センターとしての機能を高めていく上でも、こうした国際会議をホストすることは大変重要であると考えています。

このIOSCO国際コンファレンスの開催に向けての準備を本格化させるべく、本日、総務企画局総務課内に、国際コンファレンス準備室を設置することと致しました。室長は総務課国際室の黒澤企画官でございます。今後、この準備室を中心に、金融庁を挙げてコンファレンスの成功を目指して行きたいと考えております。関係者の皆様に於かれましても、ご協力のほどよろしくお願いしたいと思います。私からのお知らせは以上です。

【質疑応答】

問)

今お話になりましたIOSCOの会議の開催についてですが、準備室の人数、それからどういった方がメンバーになるのか、それから準備室の職員の方が兼任なのか専任について、お願いいたします。

答)

準備室は8名でございます。黒澤企画官、準備室長を含めまして、8名で発足をいたします。メンバーとなります諸君はいずれも兼務の形を採ります。メンバー詳細は黒澤室長にご取材いただければと思いますが、国際室のメンバー、開発研修室、広報室、更には、これははっきりしておりませんが証券取引等監視委員会からどなたか入っていただけるはずだと聞いております。詳しくは黒澤室長にご確認をお願いします。

問)

この国際コンファレンスの過去の会議の規模、それから参加国数や、どういった方が参加されていたのか、それから過去の議題、更に今回はどういったことが議題になる見込みなのか、お願いします。

答)

規模でございますが、IOSCO自体は大変大きな規模を持っておりまして、参加加盟国・地域が116、会員数は182機関となっております。この全ての機関がこのコンファレンスに参加するわけではございませんが、過去の例では、参加人数で申しますと400人弱、前回のロンドンが約370名、その前のフランクフルトが350名と聞いております。主要な、金融を語る上で主要国といわれる国の機関はほとんど全て参加しておりますのと、あとはホストをいたします国の民間の皆さんも当然参加をされることになります。過去の議題でございますが、これはいずれまとめて資料化いたしますけれども、例えば前回のロンドンでは、クロスボーダーの市場或いは取引所に対する規制の最適化、或いは監査・会計基準の国際化による市場への信頼性の向上等が話題になっております。この11月の東京での会合の議題は現時点では決まっておりません。ただ、当然これまでの流れからいたしましても、或いは会合の目的からいたしましても、会計・監査を含めて証券取引に関する規制のあり方についての幅広い議論がなされることになると考えております。その時々の規制監督上の話題についての意見交換を、当局者間そして当局と市場参加者との間で議論を行うことになっております。そういった視点から、今後、議題を決定していくことになります。

問)

日銀は先週の金融政策決定会合で追加利上げを見送りましたが、今回の決断をどう評価されるか、ご所見をお願いします。

答)

金融政策は日本銀行の専管事項でございますので、その内容についてのコメントは控えさせていただきます。今般の決定は、日銀が諸般の状況を勘案して責任を持って判断されたものであると考えております。いずれにいたしましても、金利は市場リスク或いは信用リスク等を通じまして金融機関の経営の健全性に様々な影響を与えうるものでございます。したがいまして、日銀がどのようなご決定をなさるにせよ、金融監督の観点からは、金利の動向について今後とも注視をし、適切な対応をとっていく必要があると考えております。

問)

アイフルが有人店舗の8割閉鎖やグループ従業員約2,000人の削減を決めるなど、貸金業法成立の影響で消費者金融業界では相次いで大規模なリストラ策が打ち出されております。こうした動きや利用者への影響をどうみていらっしゃるか、お考えをお聞かせ下さい。

答)

個別の会社のリストラの実施等については経営判断に関わることですから立ち入ったコメントは控えます。一般的に申しますと、この貸金業者の経営環境というものを見ますと、今回の法改正、そして近年における過払い金返還請求の増大など貸金業者のビジネスモデルに直結する様々な要因が作用をしているということは事実であるというふうに見ております。今回の法改正について申しますれば、貸し手の問題、借り手の問題、そして制度の問題、この大きな三つの問題に抜本的な対応がなされております。すなわち、貸し手の問題に対しては参入要件や行為規制を強化する。また、借り手の問題については総量規制が導入される。制度の問題については、ご承知の通り上限金利の引下げが行われるといったようなことでございまして、これらは現在の貸金業者からの借り手の皆さんにも大きな影響を与える内容となっております。こうしたことも踏まえましてこの法律では、十分な準備期間を設けるという対応をしているところでございます。貸金業者の皆さんにおかれましては、こうした状況を踏まえまして、一つには内部管理態勢の強化をまず図っていただく。それからもう一つ、市場の実態も踏まえてビジネスモデルの見直し、これを的確に進めていただく、これが必要であろうと思います。そうしたことで市場原理が十分に機能する消費者金融市場というものへ円滑に移行していくようにご努力をお願いしたいというように考えております。

また利用者の皆さんへの影響があるという話を今申し上げましたが、それへの対応といたしましてはカウンセリング体制やセーフティネット貸付の充実など多重債務問題の解決に向けた対策に政府を挙げて取り組むということを目的といたしまして、内閣官房に多重債務者対策本部が12月に設置をされております。金融庁といたしましても、こうしたことを通じ関係省庁と連携をして取組みを進めていきたいと考えています。

それからこれに関連しまして昨年末、内閣府令とガイドラインを改正いたしまして、貸金業者の廃業などに伴う債権の譲渡あるいは回収方針、こういったことを当局が把握し得るように手当てを講じたところであります。環境変化に応じてこの点は非常に重要な意味を持ってまいります。違法な債権回収については都道府県当局と連携をいたしまして厳正で適切に対処してまいりたいと考えております。

問)

先程のアイフルというか貸金業界の変化・対応ですけれども、法改正された時点で想定された業界の対応についてスピード感をどうご覧になっているでしょうか。想定通りの動きと捉えられているのか、あるいはその兼ね合いで今後の対応を急がねばならないとか、予定通り進めて行けばいいなど長官の考えをお聞かせ下さい。

答)

法律として制定を検討しております時から、その内容の程度によって借り手の皆さんに相当大きな影響が出るような貸し手の側のビジネスモデルの変更ということが起こり得るということは想定しておりました。従いまして、準備期間をどのように設定したらよいかということと併せまして、多重債務者対策本部のような法の施行を待たずに起こるであろう変化に対応するための対策というものは迅速に取れるような体制が必要だと考えまして、与党ともよくご相談の上、12月に内閣官房がこうした対策本部を設置できるようにお願いをしたという経緯がございます。具体的にいつまでにどういうことが貸し手の側に起こるだろうかということを細かくシミュレーションしたわけではございませんが、法律が成立をしたならば、おそらく相当早いペースで業界にはビジネスモデル変更の動きが起こる、あるいは参入規制に対応するための様々な動きが起こるということは想定をしておりました。意外な結果ではございません。

(以上)

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