五味金融庁長官記者会見の概要

(平成19年3月26日(月)17時00分~17時12分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

私からは特にございません。

【質疑応答】

問)

週末、新生銀行に対して、公正取引委員会が広告の不当表示で排除命令を出すとの報道がありました。金融庁としては同行に対しどのような対処をされる方針でいらっしゃるか、それから、金融機関が広告を出す際に求められていくこととは何か、お考えをお聞かせ下さい。

答)

ご指摘のありました個別の案件については、公正取引委員会から現状何ら公表もされておりませんので、コメントすることは控えます。一般論でご質問にお答えしますと、金融機関が顧客に誤認されるような広告等の表示を行って、公正取引委員会から排除命令を受けるというような事態になりますれば、これは誠に遺憾なことでございます。そうした場合、当局としては、顧客保護、或いは利用者利便という観点も含めまして、適切な監督上の措置を採ってまいります。

それからもう一つ、広告を出す際に求められることといったご質問ですが、これも一般論でございますが、金融機関が広告等をお出しになる際は、顧客保護、利用者利便という観点から、その内容が誤認されることが無いように、正確でかつ分かり易い表示に努めていただくことが大切だと考えております。

問)

現行のリレバンについては、結果としてチェックリスト方式になっていて効果的でない、という指摘もあると思いますが、先日、山本大臣が総理と会談をされて、地域再生についての指示を受けたところだと思いますけれども、現在検討中の新しいリレバンではどの点を重視されていくのか。それから、この間の総理からの指示を受けて、金融庁としては、この他どのような取組みが考えられるのか、そのあたりをお願いします。

答)

地域密着型金融推進の枠組みについては、今、金融審議会のワーキンググループでご検討をいただいております。これまでのその場でのご議論を見てみますと、二次に亘るアクションプログラムの結果として、地域密着型金融の基本的な概念ですとか、或いは個々の手法ですとか、こういったものは、金融機関に相当程度浸透し、或いは定着してきているという評価を頂いております。一方で、お話のありました点ですが、金融機関の対応の実態ということになりますと、アクションプログラムに例示をされました各項目が、事実上チェックリストになってしまっていて、いろいろな取組みをするといっても、チェックリストの消し込み対応といったようなことに留まっているのではないかというご指摘も頂いております。そこで現在検討中の新しい枠組みでどういった点を重視していくかということになりますが、現在ワーキンググループは取りまとめのご議論の段階に来ていますが、概ね皆さんご意見が一致してきている点というのが3つ程あります。一つは、地域金融機関にとって地域密着型金融のビジネスモデルを確立・深化していくことは必要だという点です。二番目に、地域密着型金融の取組みが収益につながること、そして持続可能なものになるように、顧客のニーズを踏まえて選択と集中を徹底し、深掘りすることが必要だということ。第三には、地域の面的再生について、地域の情報ネットワークの要である地域金融機関という立場を踏まえて、資金供給だけでなくて、情報面、人材面でも果たせる役割があるではないか、といったことが申し上げられると思います。また、行政の関与のあり方、チェックリスト化みたいなこととの関連もありますが、これについては、これまで同様のアクションプログラムといったような形式にはこだわる必要はない、これは見直しが必要であるといったようなご議論になっていると承知しております。この点に関して、今般の総理指示も踏まえまして、地域金融機関が地域経済の再生・活性化に一層貢献できるように、ワーキンググループの議論の取りまとめ、近々まとまると思いますので、これを踏まえて地域密着型金融の推進に引き続き努めていきたいと考えております。

総理指示に関連して申しますと、金融と言う限られた側面だけではない役割が恐らく期待されるということから、ご指示が出ていると思うのですが、今般の総理指示への対応という点は、今後、大臣と更にご相談してまいりますけれども、地域金融機関の活動を、どうやって地域経済全体の再生・活性化に繋げていくかという視点が重要だと考えております。ワーキンググループの委員からも同じような問題意識が表明をされております。金融というのは一つの手法に留まるわけでして、これを地域経済全体という視点から見た場合、金融機関だけが頑張れば全てが解決するという話ではないということでございます。やはり地方行政、或いは地方行政の枠組みを使った様々な財政的な手法、更には中小企業対策ですとか、地域産業についての対策ですとかといった産業政策の側面が組み合わさることによって、初めて実現されてくる事業の面的再生や地域経済の面的再生といった視点が非常に重要だと思われます。こうした問題意識を踏まえまして、今後総理指示を踏まえまして、関係省庁との連携を強化して、地域密着型金融を推進し、それが本来目指す効果を十全に上げるように、努力をしていきたいと考えております。

問)

今月末で、ペイオフの全面解禁から2年になるわけですけれども、この時期に改めて伺うのも何なのですが、現在の金融界全般の状況を、金融庁としてどう見ていらっしゃるか、それからこの問題に対して金融庁としてどう対応していかれるおつもりか、改めて教えて下さい。

答)

ペイオフの凍結が行われたのが、平成8年でしたでしょうか。5年間ということで凍結をしたそもそもの理由といいますのは、一つは、金融システム自体が不安な状況にあって、ペイオフの解禁というものが、それにどのような影響をもたらすかについて慎重な考慮が必要だという、金融を巡る状況が不安定な時代にあったということと、もう一つは、預金者の自己責任と言っても、金融機関側のディスクロージャー・情報開示が十全に行き渡っていない状況であった。協同組織金融機関などは、平成8年の時点で、まだ現状のような情報開示体制について、義務付けという形ではなっていなかったわけです。このようなことがあって、5年間預金全額保護という異例の措置を取ろうということが、平成8年の法律改正で決まったわけです。その後、5年経ちましても、もう一つまだ完全にそう言った状況が払拭されているかどうかという視点もあったと思いますが、さらに延期をされ、或いは部分的に延期をされてきたということです。こうした状況は、現状ではなくなったと、解禁した時点で既にそうだったのですが、その後の状況を見ても、金融システムへの不安ですとか、或いは最低限のディスクロージャーの義務付けも行われていないなどの事態はありませんし、そうした状況は継続していると思います。併せて、その様々な不安の原因の一つとして、特に5年間経ったけれども、さらに凍結を延長するという判断の中に、中小企業金融への不安というものも論ぜられたわけですが、昨今の様々な指標を見てみますと、概ね、連続して、このところ良い方へ向いてきているということで、中小企業金融自体を深刻に心配しなければいけないという状況よりも、むしろそれをどうこれから地域の発展に繋げていくかという、前向きの視点で議論できる、そんな状況になってきているようにも思います。

従いまして、今後やらなければならないことと申しますと、一つは、特に色んな問題がありました大手行の不良債権問題が、再燃・再発しないように、貯蓄から投資へという流れを確実に進める、その上で、収益源の多様化ということが、当然、主要行では起こってまいりますが、そのリスク管理に万全を期していただくような監督をしていくこと。また、中小企業金融については、先ほど幹事社の方からのお尋ねにも出てまいりましたが、やはり地域中小金融機関の地域密着型金融が、できるだけ実効性を持って行われるように、その効果が地域経済に良い影響をもたらし、それがさらに跳ね返って地域中小金融機関にも収益の高まりなどの効果をもたらすように、地域密着型金融推進に向けて、その段階々々で適切な監督をしていくということが当局としては基本になると思います。

(以上)

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