五味金融庁長官記者会見の概要

(平成19年6月11日(月)17時00分~17時15分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

今日は、特にございません。

【質疑応答】

問)

今日の午後、三菱東京UFJ銀行に対して行政処分が出たということで、投信の販売をめぐって不適切な事例があったりとか、あと海外の拠点で不祥事があったということなのですけれども、これに対する長官のご所見と、あともう一つは、今後の監督上の対応、特に投信販売に関してなのですが、ここだけではなくて、他にも不適切な事例があるのではないかと思うのですが、その辺について、考え方を聞かせてください。

答)

事案の概要については既に説明があったと思いますけれども、三菱東京UFJ銀行で、海外業務に関して、現地監督当局による複数の行政処分が行われたこと、また、多数の不祥事件が判明していることが第一点。第二点は、投資信託販売業務に関して不適切かつ公平性に欠ける事例が多数判明していること。この両事案について、新銀行の発足前後を通じて経営管理態勢、内部管理態勢、或いは法令等遵守態勢に重大な問題が存在したと認められましたので、この度、三菱東京UFJ銀行に対しまして銀行法第26条に基づいて業務改善命令を発出したところでございます。海外業務と投資信託販売業務でございます。

私の所感という話ですが、銀行というのは免許業種でして、一般には禁止されている業務を特に免許を得て許されるということで、非常に公共性が高いわけでございます。こうした銀行が、不適切な業務運営を行い、顧客の信頼を損ねたとこういうことでございますので、極めて遺憾であると思います。今回の処分によって、過去に生じた事案の再発を防止すべく、自らに課せられました社会的責任、そして公共的使命を踏まえまして、改善に全力を挙げて取り組んでいただきたい。これが私の所感でございます。投資信託の販売でございますけれども、銀行などの登録金融機関による投資信託の窓販、これが増加をしているわけでございます。こうした状況を踏まえまして、今事務年度、平成18年事務年度の証券会社等向け監督指針におきまして、銀行など登録金融機関による投信販売など販売チャネルが多様化する中で、「顧客の知識、経験、財産の状況及び投資の目的を踏まえた上で、適切な勧誘・説明を行う態勢を確立する必要がある」としています。その上で、この指針におきましては、利用者保護という観点から、顧客の理解力、或いは商品性に照らして、どのような勧誘・説明を行っているのかなど重点的に検証することにしております。問題があれば、監督上の厳正な対応を行うことになります。金融庁は、登録金融機関の投信販売につきましては、こうした方針に則りまして、今後とも監督を行っていきます。

ただ、この事案は、適合性原則以前の問題として、マーケット商品でございますから、マーケットルールに従って、例えば事務ミスなり、誤発注なりといったものは、それによって顧客に損害が生じたのであれば、処理をしていくということで、相対取引で、謝って許してもらえば済むという性格のものと違って、きちんと損失を回復するルールができていなければなりません。通常の銀行業務と性格が違う部分がありますので、それは、今申し上げたような基本的なもの以前のものでございます。これは、だけど、当然にやっておいていただかないといけません。そんなに難しいことではありません。ルールは、はっきりしておりますので。

問)

大和都市管財の判決に関連してなのですけれども、先週、大阪地裁で判決が出て、一応国の責任を認める内容だったのですけれども、これを受けて金融庁としての考え方と、行政上の対応をどう取っていくのかについて、長官の考え方を聞かせてください。

答)

まず考え方でございますが、6月6日、大阪地裁で言い渡された判決、この中では、国の主張が認められなかったわけでございまして、これは遺憾でございます。これが考え方でございます。今後の対応ですが、判決内容を十分に精査させていただきまして、関係当局とも協議をした上で決めていく考えでございます。判決の今後の扱いに関するお話について、現時点では、これ以上のコメントは差し控えさせていただきます。

問)

三菱東京UFJ銀行の処分について、投信販売の方なのですけれども、投信販売の背景として、旧東京三菱銀行と旧UFJ銀行が十分な連携を取っていなかったことが原因として指摘されているのですけれど、旧両行の連携が保たれていなかったことを原因として、その他何か問題があれば。

答)

連携というのは、ちょっと私の理解とは違います。先ほど合併前後を通じてと申し上げましたけれども、説明があったと思いますが、旧UFJ銀行で、やはり登録金融機関として投信販売をしていたわけですが、その時に証券取引等監視委員会の検査を受けて、そこで指摘を受けている。その指摘を受けて、事務ミスへの顧客対応のあり方、これが旧UFJ銀行において現状回復が原則で、謝罪のみで済ませることは厳禁であるという規程があったわけです。これが合併をした時に、三菱銀行側ではこういった規程がなくて、上司への報告規程に止まっていたということだったのですが、この不十分な規程が実務レベルの判断で、新銀行へ引き継がれています。UFJ銀行が監視委員会のチェックを受けた上で、自ら定めていた規程が、新銀行に引き継がれていないということで、合併の過程でここに手落ちがあったようです。これだけが、原因ではありません。新銀行全体に、特定の顧客の追認を受ければ済ませられるという認識があり、追認をした人としない人では、不公平な扱いが生ずるわけで、これもまたいけない。どちらの銀行の出身であるかによっての連携というよりは、合併した後の新銀行の全体の運営態勢ということに問題があるし、合併するについての規程の引継ぎということですから、私どもは今、新銀行をチェックするということで、色々な検査なども行っておりますから、新銀行の運営態勢が適切であるかどうかということを、それとして確認をし、検証して、問題があれば、是正していただくよう指導する、こういうことになります。

問)

先ほどの大和都市管財の判決の話なのですけれども、判決要旨を見ますと、当時の国の金融行政について、グループ全体で債務超過の状態であることを知りながら、放置していたのではないかという国の不作為を認定している内容なのですけれども、裁判で勝った負けたという話ではなく、国の不作為が認定されたことについて、長官の考えをお聞かせください。

答)

先ほど申し上げましたように、国はその点についても裁判の中で主張しておりまして、その主張が認められなかったのは遺憾だということでございます。それが今のご質問に対する答えでございまして、だからどうするかという点については、これは、先ほどお答えしましたように今後検討しますので、現状ではコメントはできません。

問)

三菱東京UFJ銀行の処分なのですけれども、今、業務停止期間中で、また更に業務改善命令ということで、全体として求めていることは、法人、リテールを含めて業務改善、コンプライアンスとかガバナンスを改善して下さい、という中での更なる改善命令というのは、屋上屋を架すとか、処分に次ぐ処分で、何度もやる必要があるのかとか、最近、金融の国際化の関連で、金融庁の処分の判断が中々わかりにくいという中で、今一度、なぜそういうのが必要なのかご意見を伺いたいのですが。

答)

前回、業務停止命令が出ましたのは、これは、法人営業拠点での反社会的勢力への関与ということが問題になって、それについての態勢の整備がどうなるかという観点から、一旦業務を停止した上で、そうした点についての個別の意識の徹底、経営者の意識の徹底を図ってほしいということで、順次、各ブロック毎に業務を停止しつつ研修を実施すると、こういう銀行側の改善計画に基づいて、その都度、その拠点における業務を停止しながら、全国的に展開していくと、こういうことでございます。従って、今回とは対象になった業務が異なりますのと、その改善すべき業務改善命令の根拠になりました改善すべき事柄、どうやってそれを改善するか、やっぱり業務を停止しないと改善できないだろうと、判断に至るその事柄、その性格が今回とは違います。これまでの業務改善命令でも例がありますが、ある業務改善命令を打った、或いは、業務改善命令を打って、業務改善計画を出してもらったというケース。一般論でございますけれども、そういうケースでも、その後、新たな問題が発覚をして、やはり業務の改善といったことが必要だという判断に至った場合、我々が取りますのは全く異なる事柄であって、異なる業務改善努力が必要な場合には、それに応じた命令が出されますが、そうではなくて、前に出した業務改善命令の中の業務改善計画をきちんと実行していくことで、新たに発覚した、その後発生したのではだめですけれども、既に命令を出した時点で後から発覚したケースであれば、それは、前の計画をきちんと実行していくことで、自ずと併せて改善されるという場合には、前回出した業務改善計画の中に、今回発覚した事案についての対応も含めたところで、その後のフォローアップにおける報告を求めるという対応をしております。平たく言えば、同じ原因で、同じ事柄について、二つの非違事実が見つかったという場合は、前に出した計画の中に包含をして改善の報告を求めるということで、新たな処分はしないという扱いをしております。今回は、そうではないということです。この飛鳥会に関連する業務の改善計画でございますとか、或いは、三菱UFJ証券に対して出しました業務の改善の命令ですとか、こういったことを引き継げばちゃんとできるという話とは違いますので、それに応じた命令を出させていただいたということでございます。

(以上)

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