山本内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成19年3月13日(火) 9時24分~9時41分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

閣議のご報告を致します。まず、総理大臣から日本年金機構法案についてご発言がございました。また、これに関して、渡辺喜美行改担当大臣からご発言がございました。

それから、公認会計士法等の一部を改正する法律案、電子記録債権法案、この2本の国会提出について申しあげます。当庁関連の事項として、公認会計士法等の一部を改正する法律案が本日の閣議で決定されました。本法案は、監査業務の複雑化、高度化が進展する一方で、監査を巡る不適正な事例等が生じ、組織的監査の重要性が高まっている状況に対応するため、監査法人制度等の見直しを行うものでございます。また、法務省主管の法律でありますが、当庁も共管となっております電子記録債権法案も本日閣議決定されました。本法案は事業者の資金調達の円滑化等を図る観点から、電子的な記録によって権利の発生、譲渡等の効力を生じさせ、取引の安全や流動性を確保する新たな制度を創設するものであります。中小企業を含む資金調達手段の多様化など、経済の活性化等に資するものと期待しております。以上でございます。

【質疑応答】

問)

昨日の日興コーディアルグループ株の東証での上場維持の判断ですが、まず、判断への所見と、東証の方では不正を組織的とは言えないとの説明がありました、日興コーディアルグループの特別調査委員会の方では組織的と認めると、その報告に違いがありますけれども、この点について金融庁ではどのように見ていらっしゃるのかをお聞かせください。

答)

まず、上場維持の決定についてでございますが、取引所関係規則に基づいて証券取引所において判断された事柄でありまして、コメントを差し控えたいと存じます。いずれにいたしましても、証券市場は資本主義を支える重要なインフラであり、市場の透明性、公正性が確保されることが重要と考えております。また、当初におけます説明の中で、上場を維持するための判断の中に、組織的関与という問題があろうと思いますが、まずは課徴金の支払い命令についての証券取引等監視委員会の認定した事実は行政処分の認定事実でございます。また、東証が判断した事実は、これは上場廃止・維持の上場審査についての基準の判断でございまして、その2つの物差しは、それぞれスケールにおいて異なるものでございますので、この判断については、それぞれの物差しからのご判断で、一見、結果が異なるように見えますけれども、それぞれの立場からの検討でございまして、私は、矛盾をしているとは思っておりません。

問)

今日、一部の報道で、大手損保について、第三分野での保険金の不払いについて、明日にも業務停止の処分が出るとの報道がありました。大手損保に対する処分の検討状況と、損保各社の経営管理態勢だとか支払管理態勢についての所見を改めてお聞かせください。

答)

そのような報道があったことは承知しております。個別の金融機関に関する今後の行政上の対応に関しましては、コメントを差し控えさせて頂きたいと思います。また、一般論でありますが、保険金の適切な支払いは保険会社の最も重要な業務でございます。これまでも、経営管理態勢、支払管理態勢等の強化を促進してきたところでございますし、各社にありましては、引き続きこうした取組みを進めてもらいたいと考えております。

問)

上場廃止の基準ですが、専門家のなかにも東証の廃止・維持の基準は分かりにくいと、もっと明確にするべきだという意見がありますが、これについては金融庁として何らかのヒアリングを行う考えはございますか。

答)

今回の決定は、取引所関係規則に基づいて証券取引所において判断された事柄で、それそのものについてのコメントは差し控えたいと思いますが、あくまで、一般論として、先ほどのご質問にお答えするとすれば、例えば上場廃止基準について、債務超過、破産手続きの開始等要件が具体的に定められているものがある一方で、あらゆる場合を想定して詳細な規定を設けておくことは困難であることから、例えば、影響が重大といった定性的要件を設けることも一定の合理性があるものと考えております。従って、個別銘柄に係る上場の取扱いについては、様々な観点から総合的に審査を行い、取引所関係規則に照らして適切に判断されるべきものであると考えております。ただし、そうした基準に基づく個々の判断については、証券取引所に一定の説明責任が求められているものと考えるところでございます。いわば、プリンシプルを定めていると考える、総合的判断がいる場合を網羅した規定だという意味では必ず必要な条項ではないかと思っております。

問)

今の措置で、特に大きな問題はないというお考えですか。

答)

そうですね。後は説明責任に委ねたいと思っております。

問)

今日一部報道で、上場廃止について、行政当局筋が、廃止は覆らないというコメントをしたと出ていますが、事前に、金融庁と東証で実際には協議をしていたのではないですか。

答)

協議をしている事実は全くありませんし、そういう報告も聞いておりません。また、当初、監理ポストに入った時から、金融庁としては、コメントを差し控える、また東証に全てお任せするというメッセージしかお持ちしておりません。

問)

今回の日興の問題なのですけれども、金融庁のスタンスとして、元々証券持株会社を監督できなかったことに問題があると思うのですけれども、この問題は一つの決着を見せたわけですが、ここへ来て、これまでの金融庁の対応として、課題が残った点はどこにあって、どういう改善が必要なのかお考えをお聞かせ下さい。

答)

一連のこの種の事案というのは、いつもいつもあるわけではないだろうと思っております。特に組織的であるという点において、経営者が指示をする、そしてその指示に対して取締役会の監査機能も果たし得なかった、またコンプライアンス的な内部監査委員会等においてもなし得なかった、また監査役業務等についても果たし得なかった、また監査法人も果たし得なかったというように考えていくと、極めて、自浄能力に対する、そういう会社法で予定されたものを外れた、埒外の非違行為でございます。そうしたものについて、今後検討すべきは、会社法の中での一つの問題意識がございます。そうしたことは、所管外でもありますし、今後フリーハンドで、一国民として、証券市場においての健全性を全うするためには、少し法務省とも議論をしてみたいと考えております。また今後、監査法人についての新たな手法が設けられるわけでありまして、法案審議の観点からこうした事実に対してどう対処できるかということも考えてみたいと思っております。そして、証券取引等監視委員会における課徴金制度の中で、いわば課徴金を課すための基本的事実に対して、会社側から異論があるならば、審判手続きを受けてもらうのが普通の流れではなかったかと思っております。課徴金支払いに応じたということにおいて、また事実が変わってきたわけでありまして、そのようなことからすると、少しこのケースは異例ではなかったかと思います。今後、こうした点を踏まえまして、こうした事実の流れの中で、我々も事実認定等について、よりスムーズに相手方との調査、或いは今後の展開について、更に各関係方面との連携を強化しながら非違事実についてより明らかになり得る方法を考え、さらには、再発防止について、最も効果的な手段について検討するということもあり得るだろうと思っております。

問)

会社法の問題意識について触れられましたけれども、その中には、公認会計士法の改正案では見送られた会社法の話になるのですが、監査役に監査人の選任など法律上の決定権を移す、この点についても含まれるという理解でよろしいでしょうか。

答)

それが、直接、因となり果となり、相当因果関係が日興コーディアルの場合にあり得るのかどうかについて考えてはおりませんが、従来から、もう何十年も前から、監査役の権限強化というようなことはテーマとなってきたところではありますが、相変わらず日本における取締役と監査役の力関係というものは変化がないわけでありまして、会社法改正が何度も行われても、こうした事実が変わらない以上は、何かもう少し別の観点からものを考えていくという意味で、ご質問にあったようなことも一つではないかと思っております。

問)

松岡大臣の光熱費の問題が色々と取り上げられているのですけれども、5年間で2,800万円計上していたということで、色々答弁なさったり、会見で発言なさったりしているのですが、国会での松岡大臣の答弁について、山本大臣は、説明責任を果たされているかどうかについて、どう思われますでしょうか。

答)

少し、この問題はすれ違いがあると思います。政治資金についての報告義務、法的な義務は報告をするということであって、それについての妥当性や中身についての審査をするということは、総務省も権限はありませんし、どこにもないわけでありまして、その点においてアプローチをしてくるのではなくて、届出がこうだからこう説明しろということになりますと、あたかも政治資金規正法における届出に説明義務まで課せられたような法の運用になっていくと思うのです。ですから、もしそれがおかしいとするならば、もう少し事実を別の角度から調査されて、それで摘示をしていくという手段がいるのではないかと思います。あくまで、政治資金規正法との関係でこの問題を追及していくことにおいては、政治資金規正法という法に則っているはずですから、法の解釈との矛盾というものについて、いつまでも付きまとっていくわけであります。その意味では、松岡大臣の答弁は、法に沿った答弁であると思います。

問)

根本的な問題として、今大臣がおっしゃられたようなことが一つあると思うのですけれども、もう一つ、松岡大臣の開示の仕方ということで、例えば先週の閣議後の会見で、今、水道水を飲んでいる人はいないとおっしゃったのですけれども、このようなことを、会見で、大臣が発言なさるというということについては、どのように考えられます。

答)

それは、当然議会ですので、議会で、その政府に質問をし、また政府が答弁をする。そこに合理性がなければ、より追及されて、更に、合理性があるとする大臣の方も、納得ができるような説明をしていくという義務が課されていると私は思います。通常の常識的な範囲の中に収まるまで議論は尽くさないと、説明責任は全うできないだろうと思います。

(以上)

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