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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(令和元年12月20日(金)12時03分~12時18分)

【冒頭発言】

令和2年度の予算の概算について本日正式に閣議で決定をしておりますので、既に報じられているところもありますけれども、概要をご説明いたします。令和2年度予算は消費税の増収分を活用した社会保障の充実、経済対策の着実な実行、そして歳出改革の取組の継続、これによって経済再生と財政健全化の両立を目指すという予算としております。まず歳出の方からですが、全世代型社会保障制度の構築に向けて消費税の増収分を活用して、来年4月から高等教育の無償化、医療・介護分野の充実を実施することとしております。また、さきに決定いたしました経済対策を実行するために臨時・特別の措置と計上させてもらって、東京オリンピック・パラリンピックの後も見据えまして個人消費、また投資が切れ目なく持続する、その下支えをすることとしております。また、「新経済・財政再生計画」のもとで歳出改革の取組みも継続し、一般歳出の「目安」を達成するとともに、税収については昨年度の税収減の影響もある中で消費税収の平年度化等により過去最高となる63.5兆円を見込んでいるところです。この結果、新規国債発行額は前年度に比べて約0.1兆円の減額となりますので、政権発足以来8年連続で新規国債発行額は減額できたところです。また、財政投融資計画については成長力強化に向けて現下の低金利状態を活かして高速道路の整備とか成田国際空港の滑走路の延伸、または新設等を盛り込んでおります。税制改正ですが、この大綱も本日の閣議で決定させていただきました。オープンイノベーションの促進等のための税制上の措置、また結構昔からの話題であります一人親の話、すべての一人親の家庭の子どもに対して公平な税制を実現、またBEPS等国際課税制度の見直しなどを行うこととしております。いずれにしても来年の通常国会への提出に向けて今から作業を進めていくことになります。私からは以上です。

【質疑応答】

問)

ご説明いただいた2020年度の予算案で社会保障関係費などが膨らみ、2年連続で100兆円を超えました。政府は25年度のプライマリーバランスの黒字化を目標に掲げていらっしゃいますが、財政再建に向けての今後の考え方についてお聞かせください。

答)

これは基本的に変わらず、プライマリーバランス、PBを25年までというのは従来どおり変わらず持っておりますけれども、予算において歳出総額が前年度に比べて約1.2兆円増えているということになっておりますけれども、これは「臨時・特別の措置」、また国債費、地方交付税交付金が減少する一方で、社会保障関係費が消費税増収分を活用した社会保障の充実や高齢化に伴う増によって1.7兆円増加したこと等によるものが一番大きなところだと思っています。その上で歳出の増の要因について申し上げれば、社会保障の充実は消費税率の引上げの際に実施することが決まっていたものでもあります。また、社会保障関係費の伸びというものは高齢化以内にとどめるという話ですけれども、「新経済・財政再生計画」におけます「目安」の範囲にこれはとどまっておるというのはご存じのとおりです。したがって歳出改革の取組自体はそのまま継続をしているというように考えておりますし、引き続き歳出改革等の取組を継続しながら経済再生、財政健全化の両立を図るということで、2025年度の国・地方合わせたプライマリーバランスの黒字化というものの実現は目指していきたいと、引き続きそのように考えております。

問)

歳入の方なのですけれども、おっしゃるように8年連続で新規国債発行額が減少しているということなのですが、歳入の内訳を見ますと税収が割と高めに見積もってあったり、その他収入のところで結構かき集めたような印象もありまして、このあたり大臣としてどのようなご認識をお持ちでしょうか。

答)

その他収入に関しては別に今回に限った話ではないのだと思いますけれども、少なくとも税収というものは消費税率の引き上げが実際にフルに動きますからね、今までと違って。そういったものの増収分に加えて、経済見通しにおける給与とか生産とか、これは内閣府で出される分であるのですけれども、そういった生産とか消費の伸びを踏まえて基幹三税、所得税、法人税、消費税の「基幹税」が増加するということなどから積算すると63.5兆円というものを見込んでいるということなので、私共としてはOECDのoutlookを見ましても来年につきましては今年度よりはという形にもなっています。私共としては不必要に、必要以上に高く見積もっているというつもりはありません。

問)

先程も目安はしっかり守られているということで財政健全化の姿勢を主張されていますけれども、一方でその目安以外の部分、前回の補正もそうなのですけれども、そちらの支出が膨らんでいて、果たして本当に財政規律は緩んでいないのかというところ、どのようにお考えでしょうか。

答)

その点については我々は財政と経済という話を、財務省に長くいると何となく財政の話が大きくなりますけれども、世の中は経済なのだから、経済というものが伸びないというのでは少なくともいろいろな目的が達成できませんから、そういった意味で我々は経済というものを今の状況では、例えばこれだけ金利が低いという状況の中において財政投融資を積極的に使わせてもらうとか、そういったようなことを考えて、経済が成長していくというのを考えた場合に我々としては今回の歳出はそういったものを踏まえて妥当なものだと考えています。

問)

税制改正大綱のことで伺いたいのですが、自民党の税調がキックオフをする際に麻生大臣、その会合の場で3つ言いたいことがあるというふうにおっしゃっていたと思うのですが、例えば真に意味のある仕組みを検討いただきたいという話ですとか、特定の人だけを優遇するような形で不公平感を招かないようにということでおっしゃっていたと思います。今回こうした形で大綱がまとまったことを受けて、麻生大臣がおっしゃっていたことが反映されたというふうにお考えでしょうか。

答)

いろいろな話で私共としては申し上げてきたことはそんなにずれているという感じはしませんし、特定の大企業がどうとかといってもちゃんと税収は中立になっていますし、そういった意味では偏ったというような感じはありませんね。

問)

令和2年度の予算なのですけれども、国債発行残高が過去最高に積み上がるのに対して利払費の方は減少する見込みになっています。日銀の金融緩和が続いていることで低金利環境が継続して、拡張財政を支えているという部分があると思うのですけれども、これに対してマーケットからは実質的な財政ファイナンスではないかというような指摘もあります。それについては受け止めをお願いします。

答)

財政ファイナンスではないかという話は、よく言われていますけれども、今国際金融の社会の中で少なくともいろいろな財務大臣とか中央銀行総裁会議等の中において、いわゆる財政ファイナンスではないかというような非難が出ているということはありません。財政ファイナンスではないかという意見があるのは知らないわけではありませんが、7年前から言われている話ではあるかもしれませんけれども、我々としてはそんな感じはありませんし、少なくとも日本銀行としては、いわゆる不況、資産のデフレーションから来る不況を緩和するために金融を緩和する、それによって金利が安くなる等によって少なくとも我々としては資産のデフレーションという状況ではなくなってきて、動産等を見れば当時8,000円だったような株が今2万3,000円だ、4,000円だというところに来ているということはそれなりの効果があったということだと理解していますけれども。

問)

同じような質問になってしまうのですけれども、国債市場での日銀のプレゼンスが高過ぎるために国債市場機能が低下して国債の金利やリスクプレミアムがその国の財政を反映しないような状況になっていますが、これについては特に問題とは見ていらっしゃらないのでしょうか。

答)

これは特に日銀の話であって、私共財務省がとやかく言う話ではないので、日銀の記者クラブで黒田さんに聞かれた方が正しいので、私共として日銀の金融政策の話に関して財務大臣がとやかく言う立場にはありませんので、その点はちょっと難しいですね。いろいろな意見があるのは知っていますよ。

問)

18日にかんぽ生命の不適切販売をめぐって特別調査委員会が報告書を出しました。その報告書の大臣のご所見と、特別調査委員会が調査をする対象として経営陣の責任は調査対象外にしたことについてのお考え、ご意見を伺えればと。

答)

少なくともこういう話は経営者がきちんとする話なのであって、私らの立場から見ると、第三者委員会というのを立ち上げたのは、かんぽ生命の関係のグループの中でいろいろ事実確認とか、ご自分で調査をされたとか、そういった話に基づいて原因とか起こった理由とか、改善策をまとめられたものだと承知をしていますので、その内容を詳しく知っているわけではありませんが、そういったものに基づいて、経営陣の責任をというのを第三者委員会が言うべき話なのか、よくわかりませんね。そういう権限を有しているのかね、この第三者委員会というのは。

問)

大臣自身が郵政、郵便、かんぽ3社の社長の責任についてどうお考えでしょうか。

答)

迂闊なことは言えないですよ。

(以上)

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