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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(令和2年8月4日(火)11時08分~11時20分)

【質疑応答】

 
問)

6月30日に中国政府が香港の統制を強化します「国家安全維持法」を施行してから1カ月がたちました。アジアの金融センターとして存在感を香港は示しておったわけですけれども、今後競争関係にある日本の金融都市としての立場に香港への影響や日本への影響について、どういった影響を与えると思われますでしょうか。所得税率の低さとか言語だとかいろいろ環境、課題はあるとは認識しているのですけれども、ご所感があればお伺いできますでしょうか。

答)

一月でどんな流れになっているか、新聞で書いてある程度の話は現象面としては確かにそういった面が言えるんだとは思いますし、事実、香港から台湾への飛行機便が満席ですから、そういったのは確かに影響としてはそういった動きが出ているというのは一面確かなんだとは思いますけれども、同時に香港へいろいろ金が流入している部分もあるので、今一月でこれが流れになるんじゃないのかというような話になるほど、それほど単純じゃないんじゃないかね、あの世界は。ニューヨーク、ロンドン、香港と大体8時間ずつぐらいずれていますから、マーケットとしては24時間それでうまく回れていたというところはあるんだと思いますから、アジアのマーケットとしての香港というのはかなりハブとしては価値があったのは確かだと思いますけれども。それが香港はとにかく危なっかしくてやっとられんというのであれば、その分がほかのところに移り始めるのは当然の話なので、その中に日本であってみたり、シンガポールであってみたり、いろいろなところに移ってくるということだと思いますけれども、日本としても金融、この間骨太方針の中にも書いてありましたけれども、いわゆるそういった金融ハブとしての意識というようなものをかなり持って対応していく覚悟なり、そういったものの心構えというのは持っておかなければいけないということですかね。ただ、そういった意味ではいろいろなものを大きく変えないとなかなか難しいものもあるでしょうし、金融という面で見た場合、日本の場合、貿易立国なんていうようなことをまだ書いている新聞もありますけれども、今、日本は貿易立国というよりは、輸出がGDPの中に占める比率は今何%だ。16~17%じゃないか、GDPの中に占める比率。そんなに大きな比率のものじゃないんですよ、それは。それよりもっと、GDPの中というんだったら、金融収支という日本が海外に投資した金とか特許料とか配当とか、そういったもので入ってくるグロス・ナショナル・インカム、GNIみたいなものの方がよっぽどでかいんじゃないの、今。すなわち金融の方が大きくなってきている、日本の収支から見たら。そういう時代に大きく変わっちゃっていますから、今。だからそういった意味では金融というようなものに関するノウハウ、対応、そういったものは日本としていろいろ考えなければいけないというところでしょうね。そういう時代に変わりつつあるんだと思いますよ。東京じゃ大変だとなると東京じゃなくて大阪だって福岡だっていいでしょうし、そういったところがアジアにはもっと近いからとか、一極集中を避けるという意味もあるでしょうし、いろいろな意味で考えていける分野なのかなという感じはしますけれども、まだ一月じゃどうにもわかりませんね。

問)

7月31日、先週の金曜日に内閣府が中長期の経済・財政に関する試算を公表しまして、成長実現ケースと言われる高い成長率を実現した場合でも25年度の基礎的財政収支の赤字が7兆3,000億残る、黒字化の達成は29年度にずれ込むという新しい試算を出しています。試算には今後の歳出改革の取組というのは織り込まれていないということなのですけれども、歳出・歳入両面含めてこれからどういう取組が必要というふうにお考えになられますでしょうか。何度も伺っているのですけれども、新しい試算が出たので改めてご所見をお願いします。

答)

コロナのいろいろな影響を受けたので前回よりも厳しい試算になったということなんだと思いますので、これは諮問会議だったかな、どこかで申し上げたんだと思いますけれども、プライマリーバランスの黒字化ということについては2025年にゼロにしたいという目標を持っているんですけれども、私共としては直ちにこれを作り変える必要があると考えているわけではありません。いずれにしても今我々としては経済再生と財政再建の両立というのを両方目指しているわけなので、基本的にはこのコロナという予定外のものが入ってきたので少し到達がマイナスに響いてきているという面は間違いない事実でしょうし、世界中そういう動きになっていますから日本だけでどうというわけじゃありませんけれども、少なくとも日本というのは、このコロナで働き方改革に関しては、新聞記者でも会社へ行かなくて仕事をしているなど、働き方が変わっている。役人も半減出勤でちゃんと回していて、その分だけどこか、もっと生産性の上がるところに回すことができる。各会社ならどこでもやっている話ですから、これをきっかけにえらい生産性が上がるかもしれません。医療のところも遠隔医療なんていう話が動けば、それはまた別の生産性向上につながります。プライマリーバランスというのはきちんとしておかないと後で憂いを残すことになると思いますので、今の段階としては2025年というのを直ちに見直すというわけではなくて、コロナの影響があっても改革という方向はきちんと進めていくということだと思います。

問)

いわゆる徴用工問題についてお聞きいたします。日本製鉄への資産の差押え命令の公示の送達の期限が8月4日ということで、実際に資産が現金化した場合の政府の取り得る措置というものを改めて教えてください。

答)

今のうちから先に手をばらすことなんか、それはあり得ませんよね。少なくとも法律、国際法に見合わせて明らかに違反であることははっきりしているというのが日本の立場ですし、これは主に外務省等、いわゆる資産を没収されることに関係する経産省等が主に対応していただいているんだと思いますけれども、そういうような事態になった場合、少なくとも向こうは国際法よりは最高裁の方が上だとかという話をしておられるわけでしょう。それに対しては、どう考えても国際的な常識とは違いますから、それに対してはしかるべく対応をこっちも取らざるを得ないという形にならないようにうまいことやっておかなければいけないのだと思いますけれども。何となく今の話はちょいと、流れとしては取らざるを得ない方向になり得る可能性が出てきているのかなという感じはしますね。

(以上)

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