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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(令和2年9月18日(金)15時52分~16時10分)

【冒頭発言】

本日11時からASEAN+3の財務大臣・中央銀行総裁会議がテレビ会議形式で行われて、日本とベトナムが共同議長を務めております。私から会議の前半で日本の経済情勢等について発言をさせてもらい、会議の後半は黒田総裁に議事進行等をお願いいたしております。共同声明につきましては後程事務方から説明をさせますが、いずれにしても新型コロナウイルスによりまして世界経済においては明らかに不確実性が残っておりますので、そういった中で各国の財務大臣・中銀総裁など率直な意見交換が行えたというのは大変有意義だったと思っております。会議では地域の金融協力というものについて議論をされております。チェンマイ・イニシアティブというのがあるのはご存じだと思いますが、これがマルチ化されてから約10年という節目になるんですが、今回の会議を経てIMF、国際通貨基金のプログラムがなくてもこのチェンマイ・イニシアティブが発動できる割合の引上げや、支援を実施する際のルールの整備を通じてこのチェンマイ・イニシアティブがより機動的、円滑に発動が行えるようになったということは地域経済の安定とか信認の向上に大きくつながっていくと考えています。
また、ADB、アジア開発銀行の年次総会が開催されておりますが、これは元財務官の浅川さんがアジア開発銀行の総裁に就任後の初めてのものです。私も財務大臣・保健大臣合同シンポジウムなどで挨拶をさせていただいております。ADBの年次総会の詳細は後程事務方に聞いてもらえればと思っております。

【質疑応答】

問)

今の大臣がおっしゃっていただいたASEAN+3なんですけれども、地域経済金融の安定をさらに強化するため、引き続き協同していくことに合意したという文言が盛り込まれたステートメントが既に公表されておるんですけれども、日本として今後も新型コロナウイルスの不確実性がある中での国際金融の安定に向けた、日本が今後果たしていく役割について、大臣どのようにお考えでしょうか。

答)

コロナの影響によって、これは国によっても差が随分ありますけれども、先進国の中においてもいろいろ差があるのは確かですけれども、そういった差があるのはアジア太平洋地域においても例外じゃないと思っております。そうした中で日中韓の財務大臣・中銀総裁会議とか、ASEAN+3の財務大臣・中央銀行総裁等、いろいろな話を聞かせてもらって意見交換をさせてもらいました。今説明したようにASEAN+3の方ではチェンマイ・イニシアティブについて、従来と違ってIMFのプログラムなしでも発動できるルールというものの比率を引き上げようという話とか、支援を実施する際のルール化しておこうという方向で合意ができたことは、うまいところに来たと思っています。共同議長国としては信頼されるメンバーとしてこうした取組を着実に進めていくことが、アジア太平洋地域という日本としては貢献できる1つの大きな地域だと思います。AMROをつくらせてもらったり、そのほか我々としてはアジア地域のいろいろなプログラムをこれまでやってきています。SEADRIFにしても何にしてもみんな、日本の新聞にはあまり載ったのは見たことないけれども、海外に行くとよく出ているような気がしますね。アジア太平洋各国や島嶼諸国、域内の経済とか金融の安定には今後とも積極的に貢献していった方がいいと私自身としてはそう思っています。

問)

地方銀行の経営についてお伺いいたします。16日の官邸での記者会見で大臣は地銀について、経営基盤強化のため再編の促進を含めた環境整備を進めると発言されました。政府は地銀の統合について独占禁止法の適用を除外する特例法を5月に既に成立させているわけですけれども、政府としての環境整備というのは今後さらに、そのほかどのようなことが考えられるのか、現時点でのお考えをお聞かせください。

答)

総理大臣の各閣僚に対する指示書に基づいて話をしていますが、金融庁としては地域銀行の経営回復に向けた取組を引き続き前進させていきたいと思っております。具体的にはまず、11月に施行予定である独禁法の特例法に基づいて内閣府令の整備を着実に行っていくということだと思っています。銀行が人口減少とか地域のいろいろな変化の中において、今までどおり座っていれば預金が入って金を借りに来る人がいてという時代ではない。地域によって大きく変わっていくというのは十分に地方が活性化しようと、活性化の仕方がまた違いますから、そういった意味では地域の銀行がこれまでと同じような経営だけでやっていけるという保証はありません。これは最初から申し上げているとおりです。したがって地域の銀行はそれなりに、これまでと違った経営努力をしてもらわなければいけないという中の1つに合併とかというようなものも選択肢の1つだということを申し上げて、そういった中で長崎とかそういったところで合併が起きているというのは事実です。我々としてはそういうものが多過ぎるとか少な過ぎるとか、その地域によって極めて活力のある地銀というのはありますから、そういった意味では個別の企業の経営判断によるもの。私らは統制経済をやっているんじゃないからね、そこのところを間違えてもらっちゃ困ります。他方、現在のビジネスモデルのままでいけるというような状況ではないのではないですかということを最初から申し上げているということです。

問)

副大臣についての期待です。今回、中西健治議員が副大臣になられました。再任時の会見で麻生大臣は菅総理から指示を受けたものの1つとして国際金融都市を目指した外国人材の受入れ環境整備などを挙げていらっしゃいました。それからひもとくと、JPモルガン証券の副社長を務めたこともある中西氏に期待する役割などはありますでしょうか。

答)

今のはよくわからなかったけれども、中西健治さんにいわゆる金融のセンターというようなものをやってもらうために優秀な人材だからそういうのに充てられるかと、そういうことが言いたいのであれば、それは違うと思いますね。少なくとも我々は今の国際金融の中において、日本という国の地位というのは10年前に比べては比較にならないぐらい上がっていますから、そういった中において今、例えば香港なんかが最たる例かもしれませんけれども、ニューヨークとロンドンと香港という3つのマーケットでそれなりの時差もありますので、そこらのところで回してきたというのは事実だと思いますよ。しかし今、香港の状況というのは極めて厳しくなってきているというのは確かじゃないですかね。香港にいる人が続々いろいろな形で、今、台湾行きの飛行機が満席なんていう話は日本の新聞には載っていないですけれども、海外の新聞には載っています。そういった事実がありますから、それは間違いなく香港から人が動いている、すなわち自分達があそこじゃ不利に、金融というものを仕事にするというのは難しくなってきているということだと思いますよ。したがって、どこかにそれを持っていかなければいけないというときに、日本としては少なくとも時間的に見ても金融のマーケットにしても扱う資金力を見ても、そういったようなものを扱えるだけのバックボーン、そういったようなものをやれるだけのスペースというのはあるとは思いますけれども、じゃあ、その経験者がいるかと。それができるという、経営をやりますという銀行があるのかね。私は聞いてみたい。それは全部横文字でやってもらうことになるからね。だからそういったものは全部、ルールから何から全部やり変えなければいけないと。少なくとも英語だけでいいですよと、それは特区みたいにしなければいけないとか、ありとあらゆることが出てきます。東京でというけれども、東京でこれ以上、人口集中を起こしているのをまた後から背中を押すんですかとかということも含めて、今度はどこでやるか。じゃあどこかでやりますといったときに、それで人がきちんと集まるか、外国人も大量に入ってきます。国際金融、それをやれる人材を含めて、世界中から人を集めなければいけない。そういったようなことを考えると、いろいろな意味でこの話はそんな新聞で書いてあるほど簡単な話じゃありませんよという自覚だけは持ってやってもらわなければいけないでしょうね。中西健治さんがそういった世界にいてJPモルガン証券の副社長をやっていますから、それは大したものですよ。認めなければいけないところだと思いますけれども、だからといってこれができる、そんな簡単な話ではありません。

問)

昨日の金融決定会合についてです。昨日、黒田総裁はこれからも13年の共同声明を踏まえて2%の物価安定目標の変更は必要ないというふうにおっしゃっていました。でも、このアコードは安倍首相のもとで13年に結ばれたものであって、時間が経過しています。かつ足元では為替が少し円高に振れているようなところもあると思います。新政権のもとでいま一度これまでの日銀と政府の協調関係は変わらないということを、アコードを結び直すなど何かアクションを起こす必要性について麻生大臣はどのようにお考えでしょうか。

答)

あの共同声明をやったときには、まず黒田さんじゃないということを忘れないでね。あの共同声明は黒田さんじゃありませんから。あれは白川さんのときにやったんだな。その後、黒田さんになっていますから、したがって今の話は共同声明は、財務大臣は代わっていませんけれども、日銀総裁は白川さんだったというのが1つ。その後、黒田さんになってから石油というものの価格が大幅に変わって、100ドルがいきなり30ドルまで下がっていたので、2%という達成目標というのは極めて現実的じゃなくなってきているのではと、これは自覚しておられましたし、私が申し上げましたけれども。しかし、これは目標ですから、少なくとも当時世界中、皆2%ということを掲げていましたし、イギリスもそうでしたし、皆2%目標というのは当時の国際相場でもありましたから、2%をそのままやりますということでそういった話をしました。以来、それから約7年、8年ぐらいたっているんですけれども、少なくともその間いろいろな形の金融緩和の結果、円というものの対ドル交換レートが大体110円から105円の間ぐらいで収まってずっと来ていますから、金利もほぼ同じという中で、株価は確実に上がってきて、数千円台から2万2,000~3,000円台のところに上がってきたということだと思いますので、そういった面でこの金融政策は当たってきたことは間違いない。しかし、金融政策だけで景気がよくなるというほど、今の景気というのはそんな簡単な仕組みじゃありませんから、ここは財政が必要になってきているんだと思います。したがってドイツですら、今財政というものを出してきて、コロナに当たって、ドイツは財政出動をしました。そういった意味では日本としても財政投融資等を充てなければならない、これは総理指示にもそう書いてありますから、そういったものをつかってやっていかなければいけないというので、黒田さんとは引き続き連携をきっちりとっていますし、日銀の昨日の会議の話も知っていますけれども、きちんと状況がわかった上で対応してもらっていると思ってもらっていいんだと思います。

(以上)

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