麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣・黒田日本銀行総裁共同記者会見の概要

(令和2年10月13日(火)22時30分~22時38分)

【冒頭発言】

今日21時からG7の財務大臣・中央銀行総裁会議がリモートで行われて、日本からは私と黒田日本銀行総裁が出席しております。会議では新型コロナウイルス感染症への対応について意見交換を行うとともに、デジタル・ペイメントについて議論し、声明をとりまとめたところです。私の方から、まず新型コロナウイルス感染症への対応に関して、感染対策を講じつつ、経済活動の再開に取り組んでいることを説明しております。次に、日本の議長の下で、昨年大阪のG20でプライオリティ・アジェンダに位置付けたデジタル・ペイメントに関しては、グローバルなステイブルコインは、そのリスクに十分な対応がなされるまでサービスを開始すべきではない。また中央銀行が発行するデジタル通貨については、透明性とか法の支配とか健全な経済ガバナンスにコミットする先進国の取組というのを促す一方、こうしたコミットメントを欠く、そういう力がない、そうする気がないという中銀のデジタル通貨に対しては、注意喚起を行っていく必要があると。また、ランサムウェアというのは、いわゆるコンピューターウイルスを使った恐喝ですな、簡単に言えば。そういったものをランサムウェアと言うんですが、コロナの状況下において、そのリスクが増大をしておりますので、警戒が必要であるということを申し上げております。今回の出されたこのステートメントでは、こうした私の考え方を反映して、取りまとめられているものになっていると思います。デジタル・ペイメントの現下の重要課題について、G7の共通理解を改めて世界に発信することが出来たということは、大きな意義があったと考えております。私の方からは以上です。

【質疑応答】

問)

先ほど、中央銀行デジタル通貨について言及がありましたけれども、今、中央銀行デジタル通貨というと、デジタル人民元などが先行しているかと思うのですけれども、そういったことを特に念頭に置いたものではないでしょうか。

総裁)

CBDCそのものについては、BISが取り纏め、いくつかの中央銀行が加わった研究グループで、報告書を提出しました。それに合わせて日本銀行も、CBDCに対する日本銀行のスタンスを示すという意味で、「取り組み方針」を公表しました。日本銀行では、現時点でCBDCを発行する計画はないのですけれども、今後の様々な環境変化に的確に対応できるよう、実証実験の実施を含めて、しっかり準備していくことが重要と考えています。こうした認識のもと、日本銀行では、従来よりもいわば一段ギアを上げて検討を進めており、先ほど申し上げたように、日本銀行を含む主要中銀の研究グループがCBDCに関する報告書を公表したことに合わせて、CBDCに関する自らの「取り組み方針」を公表したところです。今回のG7のステートメントでは、先ほど麻生副総理が言われたように、特に中央銀行のCBDCとして必要な3つの重要なポイントを、はっきりと示しました。G7だけでなく他の国も、CBDCを発行しようという国があるとすれば、やはり同じように、透明性、法の支配、そして健全な経済ガバナンス、というものを備えた形で発行する必要があり、そうでないと、国際金融システムにも影響が出かねないですし、問題を生ずるという点を注意喚起したものと理解しています。

問)

麻生大臣は、今この段階でデジタル人民元が透明性・法の支配・健全なガバナンスという条件を満たしているとお考えでしょうか。

大臣)

これはいろいろな見方があるんだと思いますけれども、我々としては、これは国際通貨にしようという話ですからね。ですから、そういった意味では、中国に限ったわけではありませんけれども、他の国でもこういったようなものをやろうとしている国があるわけですから、透明性とか法の支配とか健全な経済ガバナンスへのコミットメントというのは、これは重要という認識を示したのですけれども、これは中国を含めて、これは導入に対する動きを念頭に置いたものなのであって、中国さん、あなた透明性大丈夫という話ですよね。誰もそう思っていない人が多いんだろうけれども、そこのところはもうちょっと品良く、どなたでもこの条件を満たしていない限りは駄目ですよということを申し上げているというように理解してもらった方がいいんじゃないですかね。

(以上)

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