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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(令和2年10月27日(火)11時17分~11時34分)

【質疑応答】

問)

国際金融都市について1問お尋ねできればと思います。総理は昨日の所信表明演説で世界の国際金融センターを目指すと改めて表明いたしました。大臣は政権発足後の会見で総理から外国人材の受入れ環境整備などの指示があったとおっしゃっていたかと思いますが、規制緩和や税制改正など今後必要となる取組、議論の方向性等、改めてで恐縮ですが現時点でのお考えがございましたら聞かせていただければと思います。

答)

今、日本のGDPは、2019年で553兆円。それに対してグロス・ナショナル・インカム、GNI、国民総所得と言うんだけれども、このGNIというのは日本が海外にお金を貸した、株を買った等で年間に入ってくる金利、配当等、そういった資本という金が入ってくる。海外で得た利益が海外の会社から日本に送金されてくる、それを全部足して573兆円。GDPよりこっちの方が大きいんですよ。だから日本というのは何となく貿易立国なんてまだ書いているどこかの新聞がまだあるようですけれども、GDPよりGNIの方が大きいことをまず頭に入れて、その上で金融の話をしてもらわないと何かちまちました話になっているんだと思います。日本の持っている巨万な資本、個人の持っている金融資産が約1,880兆円、そのうち約1,000兆円少々が現金、預金、すなわちキャッシュというのが日本という国の持っている金融の状況です。巨大な個人金融資産が現預金で金利もつかない金が寝ているという今の実態。そこに、その金が当然どこかに動くべきなんですけれども、じーっとしている。金が回っていないということです。傍らニューヨーク、ロンドン等でいろいろな金融の大きな動きがあるんですけれども、少なくとも重商主義でお金を儲けたイギリスはその金でシティーをつくり、戦後世界のGDPの約5割を握ったアメリカはその資金でウォールストリートをつくり等みんなしていったわけでしょう。そして今、金が金を生むという巨大な世界ができ上がって、そのお金というもの自体はあまりにも大きくなって、今、日本では借金が1,000兆円になりました、大変ですという話はよくするけれども、じゃあ赤字公債を再び発行した1994年、あの頃の日本の普通国債残高は確か210兆円ぐらいだと思うんだな。そして金利は4.何%だと記憶するんだけれども、借金が1,000兆円を超えるまでに膨れ上がったら金利は当然上がらないとおかしいが、今金利は幾らだといったら0.0幾つということになった。10年物国債の金利。経済学部に行ったら少なくとも借金が増えたら金利が上がる、資産がないならというのは常識として覚えると思うけれども、今は全く習った学問なんて意味がない。借金が増えたのに金利が下がった。どうやって説明するんだと。起きている事態はそういう事態。したがって金が金を生むという時代に時代が変わっている。したがって国際金融という世界でも今間違いなく香港にアジアの基金の大きなものが集まった、その香港が中国のあの騒動によって、国際金融機能というのを縮小もしくは削減されつつあるというのが今の状態。したがってその金融をどこでやるか、香港では危ないと。どこでやるんですと。上海、こらえてくださいと。開かれた、間違いなく透明化がはっきりしているところにつくるべきだという中に出てきたのが、日本。時間差的に言うとニューヨーク、ロンドン、東京と8時間ずつぐらいずれていますから、大体24時間回る状況になりますから、そういった意味では時間差等を考えると日本に目がついているというのが背景です。そうするとこういったものを日本でやると、いろいろな形で日本に外貨がどーんと入ってきますから、そういった意味では金融収支の上でも非常に大きな影響が出てくるんですが、問題はそれだけ巨万な額、どれくらいかわかりませんけれども、その巨大な額が、今、東証で動かしている金をさらに上回る金が入ってきますから、そういったような金を動かすに当たって、全部日本でそれをやろうとなるとどういう問題が起きるか。まず文書は全部英語に直してもらわないといけないというような基本的なところから始まって、判子が要らないという話も含めて、いろいろなものが動いてくる。加えてそこに人が動きますから、そういうことを動かせる才能、能力、経験というものを持った人が日本にいないわけじゃありませんけれども絶対量が不足しますから、海外から人を呼び戻す、もしくは呼んでくるということをやると、香港なりでやっている人とは所得税の税率が違う。そういった意味ではその人達の所得税をどうするか。今の日本では、途端に税率がぼーんと倍も3倍もなるのではとても入ってこないということになるでしょうし、奥さん子どもを連れてそういったトレーダーの人が入ってくれば日本の景気は活性化するでしょうけれども、その人達について子どもが入ってくる、奥さんもついてくる、女中さんもついてくる、何が来るというようなものに対しては、それに対しては税率はどうするんです、学校をどうします、勉強は、滞在地指定はどうやってやる、全部今までとは別のものを考えないといけないという、特区みたいなものをつくってやっていくとか、いろいろなことを考えないといけないということになるんだと思います。こういった話は日本の市場の活性化に役立つことは確かですけれども、税制上の措置とか金融行政をやっていく上での英語の対応だけじゃなくて、いろいろな意味での在留資格とか生活環境とかありとあらゆるものが考えられますけれども、海外へ行った経験がある人ならみんなわかるだろうけれども、そういったものが入ってきます。これをやっていくに当たってはなかなか多くの問題が急に出てきますから、今の香港の状況を見ても、スピード感を持ってやらなければいけないということを指示されたと思います。金融庁としてはあの香港の事態のときからそこそこ対応してはいますけれども、これは法律を変えないといけないとか、いろいろな問題が出てくるだろうと思って、対応していくための勉強、検討は既に進めております。

問)

大臣、先週土曜日、福岡市内で講演されまして、国民に1人一律で10万円を給付した特別定額給付金について、多くは貯蓄に回ったというような趣旨のご発言をされました。その認識について改めて伺いたいということが1点。そしてあの給付金というのは効果がなかったというふうにそのご発言をもって受け止める向きもあるんですが、それについても伺いたく存じます。

答)

増えたのは間違いないですよ。本年4月から6月の間に家計の貯蓄が一挙に20兆円ぐらい増えていますからね、だから昨年の同時期より4~5倍ぐらい増えている。ですから、貯蓄に回ったことは確かです。傍ら足りないというところもありますから、そういったところは結構有効にいろいろ使われたので、生活は助かったという方もいっぱいいらっしゃるんだと思いますから、それなりの効果はあったとは思います。しかし、いわゆる生活が厳しいところに10万円いって、そうじゃない人も10万円もらったわけだろう、必要もないのに。別に食うに困っているわけじゃないんだからさ。だからもっと貧しい人にその10万円がいっておけば、もっと全体にはよかったんじゃないのかと。これは自民党が最初に掲げた30万円の説はこれだったんだけれども、いろいろな経緯があって今申し上げたように一律10万円になったけれども、ほとんどの方とは言わないけれども、少なくとも4倍に増えていますから、貯蓄が。だからその貯蓄は、簡単に言えば4兆円で済む、30万円だったら4兆円と思っていましたけれども、実際は12兆円要ったわけですから、その分だけ増えています。そういった意味では貯蓄に回った部分が、これが消費に回ってもらわないと本来の目的が達しません。そういった意味ではお金が不足しているところは生活安定につながった、そうでもないところは、消費が止まっているわけですから、GoToキャンペーンも結構ですし、いろいろなものに消費をしてもらう。ため込むんじゃなくて、家計金融資産は約1,900兆円あるんだから、もう少しその金がどんどん出ていってもらわないと個人消費が伸びないということになるんだとは思います。

問)

先週末から東証のシステムトラブルの問題で金融庁として立入検査を開始されたと思います。今後その具体的なスケジュール感と行政処分について大臣としてはどのようなお考えなのか、いつ頃を目途に判断をするのか、もし考えがあればお聞かせください。

答)

今はまだ、10月23日に東証に対して立入検査を開始したんだと思いますけれども、システム障害というものに関して東証から提出されています報告書等の内容を踏まえて、どうして起きたか、普通バックアップシステムが動けば何てことない話なんだが、そういったものを的確に把握してもらうというのがあれなので、まだそれがどうしてそういうことになったのか、極めて単純なミスなのか、壊れていたのか、何が何だかよくわかりませんから、そこのところの答えが出てきませんので、その意味で今の段階でお答えするのは、詳細がよくわかっていない段階なので今お答えすることはちょっとできないんだと思っています。いずれにしてもそれが出た上で、これをどうやってやるか、肝心なところは再発防止ですから、再発防止についてどうやって対策をするのかというようなことを改めてもう1回、やっている会社、でかい会社が受けているんでしょうけれども、いろいろなところに発注して、いろいろな部分部分で細目分けているはずですから、そういったところからのチェックのシステム等についてきちんと調べなければいけないというところが出てくるでしょうね。その上での話ね、今の話は。

(以上)

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