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鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(令和5年1月17日(火曜)11時31分~11時56分)

【冒頭発言】

まず最初に、今までマスクをして会見させていただいていましたが、少し前との距離をとって、それから換気もしっかり行うということで、今日からマスクを外して会見させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
冒頭の発言でありますが、先週、10日から13日にかけましてシンガポールそれからベトナムを訪問いたしまして、政府要人や民間の金融関係者等と幅広く意見交換を行ってまいりました。このことについてご報告を申し上げます。
シンガポールでは、ウォン副首相兼財務大臣と会見をいたしました。会見の中身は、地域の経済金融情勢、本年日本が共同議長を務めるASEAN+3財務トラックでの協力強化などについての意見交換をしたところであります。
また、金融面に関しまして、シンガポールに拠点を置く投資関係者、それから起業家の方、日系金融機関の方との懇談会を開催するとともに、金融教育や金融高度人材育成に携わるシンガポール国立大学関係者と面会し、同国の取組や我が国の課題等について、意見交換等を行ったところでございます。
そしてベトナムでは、チン首相及びフォック財政大臣と面会をいたしました。日本・ベトナム国交樹立50周年、今年はその節目の年に当たりまして、経済協力や技術協力を通じた二国間の協力関係をさらに強化していくこと、ASEAN+3の財務トラックでの協力を強化していくことなどについて、議論を行ったところでございます。
さらに、現地の日系企業・金融機関関係者と面会し、同国での事業活動や今後の展望について、いろいろご意見を伺ったところであります。
今回の訪問では、政府要人と率直な意見交換を行って、日本とそれぞれの国との関係をさらに強化することができたと考えています。
また、我が国の国際金融センターの実現に向けた課題でありますとか、現地日本企業や金融機関の活動の後押しに関しまして、示唆に富むご意見を幅広く頂戴をいたしました。大変有意義なことであったと、そのように思っております。

【質疑応答】

問)

金融市場についてなんですけれども、債券市場で長期金利が上昇しておりまして、日本銀行が長期金利の上限とする0.5%を超えるような取引も出ております。これに対する受け止めをまずお願いいたします。また、長期金利の上昇は、国債の利払い費の増加という形で、国の財政にも影響が出るかと思いますが、現状への認識と今後の国債発行に与える影響への考えをお願いいたします。

答)

長期金利が一時0.5%を超える水準まで上昇したことは承知をいたしております。国債金利、これは経済財政の状況でありますとか、それから海外の市場の動向等、様々な要因を背景に市場において決まるものでありますので、その動向についてコメントすることは、市場に無用の混乱を生じさせかねないと思いますので、直接のお答えは控えたいと思います。
その上で、我が国の公的債務残高がGDPの2倍以上に累積するなど厳しい状況にある中で、金利が上昇すれば、ご指摘のように、利払い費の増加が起こり、それによって政策的経費が圧迫されて、財政が硬直化するといったおそれがあるわけであります。
こうした中で、財政規律を守ることは極めて重要でありまして、累積する債務残高を中長期的に減少させていくために、プライマリーバランスを2025年度に黒字化する、これによって債務残高対GDP比を安定的に引き下げるとの方針のもとで、市場や国際社会における中長期的な財政の持続可能性への信認が失われることがないように、引き続き、責任ある経済財政運営に努めていきたいと考えております。
なお、令和5年度予算におきましては、過去の金利上昇の例を踏まえまして積算金利を1.1%に設定しております。十分な予算を計上していると、そのように考えておりまして、今、直ちに何か影響が生じるということは考えておりません。

問)

改めてのお尋ねにもなってしまうんですが、4月に任期を迎える日銀総裁についてお伺いします。大臣は新しい総裁にどのようなことを期待され、どういった人物がふさわしいとお考えでしょうか。また、黒田総裁のもとで行ってきた金融緩和策について、新総裁のもとでも継続すべきかどうか、お考えをお聞かせください。

答)

非常に機微にわたるご質問だと思いますが、黒田総裁の任期は4月8日までとなっているわけであります。
後任の人事につきましては、一般論になりますけれども、その時点において様々な条件を総合的に検討し、最もふさわしい方を任命するということが基本であると、そのように考えます。
総裁人事は国会同意人事でありますので、国会にお認めいただけるよう、ベストと思われる方をご提示できるように、政府としてしっかりと対応してまいりたいと思います。
そして新しい総裁のもとでの金融政策についてでありますが、今のタイミングで予断を持ってコメントすることは控えますけれども、今後とも、日銀には、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、適切に金融政策を行っていただくこと、そのことを期待するということでございます。

問)

防衛費の財源のことで質問させてもらいます。自民党の方で特命委員会が立ち上がりまして、そちらで増額時期の縮減ですとか時期の先送りも念頭にあるようなんですけれど、今の増税以外の歳出改革などでの財源の確保も必ずしも容易ではない、安定的ではないと思うのですが、歳出改革の深掘りについて大臣はどうお考えでしょうか。

答)

政府の防衛費の財源確保については、昨年末、予算編成のときにもご説明したとおり、段階を踏みながら進めてきたところでございます。
改めて申し上げますと、防衛費の財源確保のための増税について、様々なご意見があるというのは事実でありますが、総理は、防衛力強化の裏付けとなる安定財源は将来世代に先送りすることなく、今を生きる我々の責任として対応すべきものであるということを述べられているところであります。
その際、国民のご負担をできるだけ抑えるべく、必要な財源の約4分の3につきましては、歳出改革など、あらゆる工夫を行ったところでありますけれども、他方、それでも足らざる残りの4分の1の約1兆円強については、国民の皆様に税制でご協力をお願いせざるを得ない、そのように考えているところでございます。
その上で、税制措置について国民の負担感をできるだけ抑えるということ、その観点から、個人・法人への影響に最大限配慮する仕組みにするとともに、政府として、経済成長や賃上げ、物価高騰対策などの取組に引き続き全力で取り組む所存であり、こうした工夫や努力を含めまして、税制措置その他の財源確保の取組について、引き続き、丁寧に説明をしていきたいと、このように考えております。
その上で、自民党において、防衛財源に関する特命委員会、昨日役員会が開催され、これから議論が本格化していくと、こういうことでございますが、与党として、こうしたことについてご議論いただくということは、とても大切なことであると思いますので、我々といたしましても、与党におけます議論がどういうように進んでいくのか、それを今後注意深く見ていきたいと思います。何分、昨日役員会が開かれたばかりで、実質的なところがまだ詰まっていない段階でありますので、今の時点ではそのように思っております。

問)

関連してなんですけれども、その財源の中で、決算剰余金の活用、2分の1の繰入れ、財政法で国債の償還に充てていて、残りの2分の1を今回防衛費の財源にということなんですけれども、過去には特例法で全額繰り入れたこともあると思うんですけれど、そういったものを活用してはどうかという意見もあるようなんですけれども、大臣・財務省のお考えはいかがでしょうか。

答)

12月末の時点では、整理基金への2分の1繰入れは変わっていないという扱いで、政府としてはそういう案をつくってご説明を申し上げているところであります。

問)

そうすると全額というのは考えていないということでいいんですか。

答)

ですから、今後どういう議論がなされていくかということも踏まえなければなりませんが、政府としての考えを年末にはお示ししたわけでありまして、それに基づいて予算案をつくったわけでありまして、その予算案の中には、原則として、今ある2分の1を国債整理基金の方に繰り入れるということ、それは変えていないということで、その前提で予算を組んでいるということであります。

問)

今の質問に関連なんですけれども、その自民党の特命委員会の中で国債の60年償還ルール見直しについても議論するというふうな話も出ております。まずこれの受け止めと財務省としての立場について、改めてお考えをお聞かせください。

答)

以前の記者会見でもお尋ねがありまして、お答えをしたところでありますけれども、まさに特命委員会におけます議論、これから始まっていくわけでありますので、まだ議論の経過、それから結果等について何もない中で結論めいたことを申し上げるのもいかがなものかと思います。
そういうことでありますので、財務省としても、今の段階では議論の内容を注視してまいりたいと、そのように思います。

問)

先程の日銀総裁人事の関係なんですけれども、正副総裁人事の国会同意人事案を2月10日に提出するといった報道がありまして、まずこれに関しての事実関係と、それも含めて、日銀総裁人事の国会への提出時期についての考え方をお伺いできればと思います。

答)

私はその話は全く聞いておりません。したがって承知していないということです。
それから国会同意人事でありますから、そのスケジュール感でありますが、それはまさに、議運等において、国会運営を決めていくという中で定まってくるのではないかと、そのように思います。

問)

今日からマスクを外されて会見ということですが、ご自身で今日どうして判断されたのか、または例えば閣議でそういったお話があったのかなど、教えていただければ。

答)

官房長官はマスクを外して記者会見をされているというふうに思います。他省庁、他大臣の実施状況などを踏まえて検討したわけでありますけれども、冒頭申し上げましたが、皆様方との距離を十分とると、2メートルというのが1つの目安になっていること、それと換気等を十分に行うというようなことを対応した上で、マスクを外して記者会見を行わせていただくということにさせていただいたところであります。

問)

先程の関連でもあるんですけれども、防衛増税の話ですね、TBSのアンカーをやっていらっしゃる星浩さんが、自民党の菅前総理大臣が防衛増税について党税制調査会で決めるというのはおかしいということを言っていて、これに限らず、かなり自民党内からは防衛増税そのものに関する批判の声というのも出ているんですけれども、なおかつ60年、先程の償還ルールにもありましたとおり、このマーケット環境なのにもかかわらず、より緩い形で財政規律を弱めようとする動きもあるわけですが、その菅さんの話を含めて、そういった動き、どういうふうにご覧になって、どう反応されますか。

答)

まず税制調査会に議論をゆだねるというのは、別に筋違いなところに議論をゆだねたということではないと、このように思っております。
やはり増税ということになりますと、まずは税制調査会というところで議論してもらうというのが、これが普通じゃないかなと。私も過去のあれを全部知っているわけじゃありませんけれども、そのように思います。それから…

問)

財政規律を緩くしようとする、60年償還ルールもそうですけれども、そういった動きが強まっている全般状況について、財政当局としてどう思いますか。

答)

これはたびたび申し上げているところでありますが、財政再建の旗というものは、決して下ろしていないということであります。
そういう中において、先程申し上げましたとおり、2025年度のプライマリーバランスの黒字化をまず当面の目標として目指していくということ、それによりまして債務残高対GDP比を低減させていくということ、これが目標でございますので、それはしっかりと今後とも守っていかなければならないと、そのように思っています。

問)

もう1点、冒頭にあった国債の償還の話なんですけれども、0.5%を超える局面が今出てきているわけですけれども、財務省、10年もの国債の表面利率を今月に入って0.2%から0.5%、日銀の政策展開に伴って上げているわけですけれども、これをまた上げなきゃいけない局面も来るかと思うんですけれども、その辺の財務当局としての準備なり、どういうふうに今の状況を見ているか、既にその表面利率を超えてしまう局面があるわけですから。

答)

あまり先のことを私がここでコメントすると、あたかもそのようになるということを前提に政策を考えていることにもなりかねませんので、私が財務大臣という立場で発言するのはよろしくないと思います。
しかし、いろいろな事態が起こってから、それから考えますかというのではなくて、やはりそれは財政当局としていろいろなことについての対応が遅れずにできるように思いをめぐらすということは必要だと思います。

問)

長期金利についてなんですけれども、金利の上昇と、あとイールドカーブのゆがみで国債市場の機能がちゃんと発揮されていないという指摘があるんですけれども、それに対応して日銀が何らかの追加的な手段をとる必要性についてお伺いしたいと思います。

答)

まさに今日明日に金融政策決定会合が開かれるわけでありますが、まさにこれは日銀そのものの今後の施策を決定する会合でありまして、まさに日銀の独立性のもとで行われる会合でありますので、私としてここでそうした、こうなるんではないかとか、こうあるべきではないかとか、そうしたことは申し上げません。

問)

自賠責審議会について金融担当相にお伺いします。自賠審の目的は、料率の妥当性を審議することだと保険課は説明していますが、自賠責保険を支える自動車ユーザーの理解を求めることから逃げていないでしょうか。保険の公共性に立ち、その在り方を審議するのが第一義ではないでしょうか。大臣のご所見をお願いいたします。もう1点、審議会の運営について改善の余地がないかお尋ねします。例えば、金融庁は委員構成を審議会の開始直前にしか公表しません。日程も2日間開催が既定路線なのに1日しか公表しません。オンラインの視聴では、料率算出機構の音声だけが頻繁に途切れます。委員の姿を映さないラジオ状態なので、藤田会長は賛同を求める前に表情が見えないので分かりにくいと苦言を呈していますけれども、2年間同じ指摘をしているのに改善されません。国会は新たな賦課金の制度の導入で国民への丁寧な説明を求めましたが、審議会の運営、これに照らしても国民に分かりやすいように対策をする必要があるのではないでしょうか。

答)

自賠責審議会は、自賠責保険料率の適切性を審議する、それが目的であるというふうに思っております。
基本的に多くの国民の皆さんに関わりのあることでありますので、なるべく開かれた形で審議が行われるということが重要であると、そのように思っているところでございます。
そうした透明性の観点から言いますと、昨年1月25日の記者会見でご指摘があったわけでありますが、それを踏まえて、私としてもこの審議会運営の在り方について、より改善すべきだということを事務方にも指示したところでございます。
そうした中におきまして、今年度からは、これまでは審議会終了後に公表していた委員名簿を含む審議会資料、今までは事後に公表していたわけでありますが、これを事前公表することといたしました。そしてリアルタイムでの動画配信を導入するということもしたわけでございます。
ただ、今お話を聞きますと、途切れ途切れになってしまったという、恐らく技術的なことで、何か審議の内容をここで意図的にそのようにするということはもちろんないので技術的なことでありますが、そうしたことも含めまして、情報発信にはまだ課題があるということ、これは我々しっかりと受け止めます。
その上で、引き続きまして、よりよい審議会運営につきまして検討を続けていきたいと思います。一気に100点満点には至っていないようでありますので、確実に改善すべき点を改善していきたいと考えます。

(以上)

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