鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣臨時閣議後記者会見の概要
(令和6年8月30日(金曜)10時41分~10時49分)
【冒頭発言】
毎年行っているものでありますけれども、金融行政における1年間の方針や重点課題を示した金融行政方針について、冒頭、私からご紹介をいたします。
本日午後、2024事務年度の金融行政方針を公表する予定です。今回の主なポイントは大きく2つあります。
一つ目に、力強く持続的な経済成長に貢献するため、骨太の方針2024なども踏まえまして、コーポレートガバナンス改革やサステナブルファイナンスの推進等を通じ、経済全体の生産性や企業価値の向上に貢献するとともに、この企業価値の向上の恩恵が国民に還元され、さらなる投資や消費につながるという好循環の実現に向けて、新しいNISAの適切な活用の促進や金融経済教育の充実など、資産運用立国を推進するための施策などを着実に進めてまいります。
それから二つ目でありますけれども、金融システムの安定・信頼と質の高い金融機能を確保するため、金融経済情勢の動向を注視しつつ、金融機関における財務の健全性の確保、サイバーリスクや金融犯罪等のリスクへの対応等の促進、顧客ニーズを捉えた付加価値の高い支援・サービスの提供とビジネスモデルの持続可能性の確立に向けて、深度あるモニタリングなどを進めてまいります。
金融庁としては、今後の社会・経済環境の変化等にも柔軟に対応しながら、金融を通じて持続的な経済成長に貢献し、またその基盤となる金融システムの安定・信頼と質の高い金融機能の確保にしっかりと取り組んでまいります。なお、詳細につきましては本日午後に事務方から説明をさせていただきます。
【質疑応答】
- 問)
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本日各省庁から受け取る概算要求についてお伺いします。まず、既に明らかになっている要望について大臣のご所感を伺いたいと思います。
また、今回の予算編成では重要な政策に関して重要政策推進枠、それから、事項のみの要求も認める方針となっています。利払い費の増加や調達価格上昇など歳出が膨れやすい中で、年末の予算編成に向けてどのような方針で臨まれるか、お考えをお聞かせください。 - 答)
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来年度、令和7年度予算概算要求につきましては、8月31日までに各省庁からの提出を受けた後に、財務省において提出内容を取りまとめる作業を行うこととなっております。したがいまして、提出内容の取りまとめ作業をこれから行うところでありますので、現時点で内容や金額について具体的なお答えをできる段階ではないということはご理解をいただきたいと思います。
その上で、今回の概算要求基準におきましては、概算要求段階から予算の中身の重点化や施策の優先順位付けを促す効果を期待すると同時に、重要な政策については、必要に応じて重要政策推進枠や事項要求を行うことができるようにすることで、重要な政策の選択肢を狭めることがないよう工夫をしておりますが、歳出規模を含めた予算の最終的な姿については、各省庁からの要求・要望を踏まえ、今後、予算編成過程において各省庁と財務省での議論を経て決定されることになります。
令和7年度予算編成にあたっては、政権として取り組むべき重要な政策として例を挙げますと、持続的・構造的な賃上げの実現、官民連携による投資の拡大、少子化対策、子ども政策の抜本的強化を含めた取組の加速、また防衛力の抜本的な強化をはじめとした、我が国を取り巻く環境変化への対応を進めていくことが重要であると考えております。
来年度予算ではこうした重要課題に着実に取り組むとともに、ご指摘がありました利払い費の増加や人件費・調達価格の上昇などについて、適切に対応しながら、これまでの歳出改革努力を継続することによりまして、経済成長と財政健全化の両立をしっかりと進めていきたいと、そのように考えています。
- 問)
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外部有識者等から、事項要求を認めることによって財政規律が緩むのではないか、歳出拡大に歯止めが利かなくなるのではないかという指摘もありますが、こうした指摘に対してどのようにお考えかお聞かせください。
- 答)
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そのようなことがないように、予算編成過程においてしっかりと関係要求省庁と議論し、査定を財務省として行ってまいりたいと思っております。
令和6年度、今年度の予算編成をする際においても、事項要求というのがありました。そのときも同様の懸念というものが示されたわけでありますけれども、6年度予算案を決めるにあたっても、財務省としては必要なところにはしっかりと予算措置はしなければいけませんけれども、やはり必要度が低いと言ったらいいのでしょうか、また時代の流れの中でだんだんと政策的な意味が薄れているというようなところ、そういったところはなるべく抑えていくということで、メリハリのある予算を編成したと思っております。結果におきましても、令和5年度の当初予算に比べて令和6年度の当初予算の方が、当初予算に限ってですけれども予算の決定額としては久しぶりに前年度を下回ったということもございます。
したがいまして、事項要求があるから財政規律が緩む、一方的に増えていく、そういったことにならないように予算編成過程でしっかりと対応したいと思っております。
(以上)